2014年10月01日

「最強少女さゆり」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)第1話(6話)から30話(35話)までネタバレ批評(レビュー)まとめ

「最強少女さゆり」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)第1話(6話)から30話(35話)までネタバレ批評(レビュー)まとめです。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
さゆり(彩百合):謎の少女。4歳ながらとてつもない怪力を誇る。
豪田:さゆりの祖父。普通の人。
バニー・ラビット:宇宙警察の刑事。
リコス:バニーが追う逃亡犯。
源さん:さゆりの体当たりを受け止めることが出来る地球人。愛の力は偉大だ。
駐在さん:最近赴任してきたばかりの若い警官。集中連載1話でさゆりの三輪車に撥ねられトラウマに。
ヨシさん:隣町の住人。さゆりを侮ったが為に……。
恭也:さゆりが出会った年上の少年。さゆりに自身を「師匠」と呼ばせる命知らず。
メタボ:ヤスの兄貴分。
ヤス:メタボの弟分。出っ歯が特徴。心は折れても出っ歯は折れない。
オヤッサン:バッティングセンターの元経営者。
タマちゃん:オヤッサンが作った自律制御AI搭載型ボールタイプロボット(たぶん)。
デービス親子:グリーンスライダー大会に参加した親子。
課長:宇宙警察でのバニーの上司。花魁姿をしている。
シヤ:バニーの妹。
豪田彩花:さゆりの母、元祖・最強少女。
森:彩花が入院していた杏森病院の担当医師。
インリン・マールィ:レガード(遺産調査団)所属の宇宙人。
雑草マン:さゆりたちがこよなく愛するアニメの主人公。
グータラ大魔王:雑草マンの宿敵。
柏木さん:駐在さんにやっと出来た後輩の婦警さん。たぶん、拳銃ラブな人。
さゆり父:25話時点で名前は不明。どうやら社会的地位の高い人物のようだが。
インリンの後輩:シルエットのみ27話より登場。
小堺さん:豪田家の隣人にして彩花の女友達。別名・手だけの人。結婚指輪をしているので人妻のようだ。

<あらすじ>

〜〜〜前回までのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

宇宙刑事であるバニー・ラビットは凶悪犯リコスを追って地球に飛来。
あと一息というところまで追いつめるが、現地の少女・さゆりにリコスともどものされてしまう。
こうして、さゆりの家に保護(囚われた)されることに。
仲間に救助を依頼するが助けは未だにやって来ない。
さゆりを通じ、何時の間にやら凶悪犯のリコスが善良になりつつあるなど、想定外な要素を抱え過ぎた彼女の明日はどっちだ(嘘)!?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「最強少女さゆり」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)第1話(6話)から20話(25話)までネタバレ批評(レビュー)まとめ

「最強少女さゆり」第21話(26話)「逆境魂 雑草マン」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第22話(27話)「我の名はインリン」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第23話(28話)「インリンの事件簿」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第24話(29話)「初めてのアルバイト」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第25話(30話)「母との遭遇」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第26話(31話)「川遊びとバーベキュー」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第27話(32話)「名探偵インリン」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第28話(33話)「プリンセス小堺」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第29話(34話)「アルバイター インリン」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第30話(35話)「寝かしつけの達人」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて短期集中連載された福田やすひろ先生の作品「最強少女さゆり」。
そんな本作が正式な連載として帰って来ました!!
ファン大歓喜だぜ、ヒャッホウ(^O^)/!!

ちなみに連載になったことで本作のアプローチも多少変わった様子。
短期集中連載時は「さゆりを中心とし、人並み外れた怪力がありながら周囲の人々に保護される4歳児を描くハートフルコメディ」でしたが「人並み外れた怪力を有する少女と、これを温かく見守る周囲の人々を描いたハートフルコメディ」へと変わった印象あり。

つまり、何処が変わったかと言うと、短期集中連載時は「さゆりが中心だった」のに対し連載では「さゆりとその他の人々」にまで焦点の対象が広がったかな。
これは新キャラである恭也の登場にも顕著。
それに伴い源さんの「さゆりラブ」キャラに拍車がかかってます。
これにより、さゆり抜きでサブキャラたちのみ描かれる回も有り得ますね。
正直、個人的には短期連載時の「さゆり中心」のノリが好きだけど、連載が長期化することを見据えれば物語の幅を広げる意味で正しい判断だと思われます。
ただ、出来るなら主人公・さゆりの正体はもちろんのこと、リコスとバニーの掘り下げをもっとして欲しいかも。

さて、そんな21話から30話。
特筆すべきは次の4点。

1.リコス&バニーの仲が深まる。
2.インリン・マールィが本格参戦。
3.さゆり父登場!!
4.小堺さん登場!!

1はもちろん、2、3、4により世界観が広がりを見せつつあると言って良いでしょう。

そんな本作ですが、コミックス1巻に続き2巻が発売予定。
1巻表紙は『ジャポニカ学習帳』をイメージした装飾の中にさゆり、バニー、リコスとメインが並ぶ可愛らしい物でしたが2巻はフォームこそ同じですが色調を変えた表紙に。
ちなみに、2014年8月5日に『ジャポニカ学習帳』のデザインが立体商標化されたことで、ツイッター上のファンから本作の表紙について不安の声が上がる一幕もありましたが、あれはあくまで「同様のデザインを用いたノートに限る」らしいので本作は対象外のようです。一安心。

そして、此処からは今後の展開予想。
最終的には仲間になりそうなインリン(あるいは後輩)だけど、さゆりについて報告しちゃうんだろうなぁ。
でもって、彼女の所属するレガード本隊がやって来る展開か。
バニーの上司である花魁課長によると、どうもこのレガードも一癖ありそう。
だとすれば、これまでの予測で唱えて来たバニーとリコスたちが連合して挑む敵はレガードになりそうか。
こんな感じ!?

インリンの報告でさゆりに目を付けたレガードが地球に飛来。
さゆりを連行しようとする。
通常ならば相手ではないが、レガードはさゆりの弱点であるお化けを使用。
しかも、周囲にまで被害を及ぼす。
此処にインリンはレガードに疑問を抱き離反。
もちろん、バニーやリコス、源さん、オヤッサンとタマちゃんらも協力してレガードに抵抗。
とはいえ、多勢に無勢で危機に陥るんだけど、其処に花魁上司たちが登場。
レガードが星々の遺産を不正使用していたとかで逮捕。
さゆりは見逃されるんだけど、バニーとリコスは帰還したかに見せて……実は地球に居るのです、的な結末とか。
でないと、リコス逮捕されちゃうし。
そして、バニーは花魁課長からさゆりとリコスの監視の名目で地球滞在の権利を得るとか。
ちなみに、さゆりがお化けが苦手なのは遺産としての記憶が残っているから……だったりして。
この妄想、果たして的中するでしょうか!?

さて、此処で幾ら言葉を尽くしたところで本作の面白さは伝えられない。
やっぱり本作は理屈じゃないな。
実際に読んで感じるべし。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「実は私は」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

◆関連過去記事
【短期集中連載版】
「最強少女さゆり」第1話「さゆりと宇宙人」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第2話「さゆりとチャンバラ」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第3話「さゆりとアルバムと私」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第4話「さゆりと峠とお見舞い」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」最終話(第5話)「さゆりとサヨナラの日」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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「思春鬼のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)1話から30話までネタバレ批評(レビュー)まとめ

「思春鬼のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)1話から30話までネタバレ批評(レビュー)まとめです。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:

・レギュラーキャラ
辻:WCO(世界お掃除機構)に所属する掃除人(連続殺人鬼)。私立揺籃高等学校の生徒。
白雪:辻に恋焦れる少女。私立揺籃高等学校の生徒。
担当さん:辻を担当するWCOの職員。
小鹿陸:眼帯を着けた謎の少女。演劇部所属。実はWCOのお仕置き人であった。都立確立高等学校の生徒。

・もう1人の掃除人篇(1話から5話まで)
深海末姫:辻と白雪の前に現れた少女。「もう1人の掃除人」を名乗る。
諏訪:深海のクラスメート。実はWCOの掃除人。6話で小鹿に処刑される。

・辻の過去篇(6話)
辻卓麿:辻の父、何者かにより惨殺される。30話にて紡木荊の犯行と判明。
辻の母:卓麿の死にショックを受け自殺。

・解体魔篇(7話から10話まで)
黒金:辻たちが通う学校の教師。女性。
若丸:黒金が招いた病院の医師。男性。

・星野銀華篇(11話から17話まで)
星野銀華:元WCOのお掃除人。だが、WCOを離脱する。
園長:辻と白雪が遊びに出かけた動物園の園長。
高倉さとみ:星野銀華に大きな影響を与えた人物。
木田雷:夜刃音珠(ヨハネス)のリーダー。
大雁江美:雷に狙われた一家の一人娘。

・黎盟高等学校演劇部篇(18話から25話まで)
神条くん:都立確立高等学校の演劇部員。
砂織零子:黎盟高等学校演劇部の部長。
灰猫硝:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣の息子・レアティーズ役。
赤川真人:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。王弟・クローディアス役。
折葉メイ:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。王妃・ガートルード役。
廻部連:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣の娘・オフィーリア役。
安土礼雄:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣・ポローニアス役。

・夏祭り編(25話終盤から)
紡木茨:9歳にして大量殺人を行い逃亡した人物。WCOからは「最重要お掃除対象」とされている。
深森臥美:茨の大量殺人事件の発端となった人物。
紡木荊:茨の弟にして本人を殺害し茨に成り代わっている人物。
飯田華夜:白雪の友人。私立揺籃高等学校の生徒。
筒川:辻の友人。華夜のことが好き。私立揺籃高等学校の生徒。
坂田:辻の友人。私立揺籃高等学校の生徒。

◆各回リンク

「思春鬼のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)1話から20話までネタバレ批評(レビュー)まとめ

「思春鬼のふたり」第21話「舞台外のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「思春鬼のふたり」第22話「すれ違いのふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「思春鬼のふたり」第23話「主役がふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「思春鬼のふたり」第24話「劇中のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「思春鬼のふたり」第25話「終劇のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「思春鬼のふたり」第26話「夏祭りのふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「思春鬼のふたり」第27話「慕うふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「思春鬼のふたり」第28話「茨がふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「思春鬼のふたり」第29話「恋するふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「思春鬼のふたり」第30話「邂逅するふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

<感想>

「コミックフラッパー」にて「モコと歪んだ殺人鬼ども」を連載中の反転邪郎先生の新作が「週刊少年チャンピオン」で連載中です。

その新作「思春鬼のふたり」はなかなかにぶっ飛んだ設定が印象的な作品。
思春期真っ盛りの主人公・辻は悪を滅する掃除人こと必殺仕事人。
そんな辻の正体を知りつつ、彼を愛するストーカー少女・白雪。
果たして、2人はどうなるのか……的なストーリー。

そんな「思春鬼のふたり」コミックスが1巻、2巻に続き3巻も発売とのことヒャッホウ(^O^)/!!
しかも「モコと歪んだ殺人鬼ども」4巻も発売。
まさに破竹の勢いの本作。

さて、その20話から30話までですが……。

まずは18話から始まった「演劇部編」。
ある種、ミステリ的な物語が展開。
意外な「フーダニット」と犯人のキャラクターがインパクトを残しました。

そして、25話後半から始まっている「夏祭り編」。
最重要お掃除対象・紡木茨が登場。
そして、彼こそは辻がお掃除人を志すきっかけとなった仇であった……。
果たして、2人の対決は如何なる結末に繋がるのか!!

おおおおおおっ、いろいろと気になる!!
果たして、次回は如何なる展開を迎えるのか……注目です!!

本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「実は私は」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

「思春鬼のふたり 1 (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
思春鬼のふたり 1 (少年チャンピオン・コミックス)





「思春鬼のふたり(2) (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
思春鬼のふたり(2) (少年チャンピオン・コミックス)





「思春鬼のふたり(3) (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
思春鬼のふたり(3) (少年チャンピオン・コミックス)





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モコと歪んだ殺人鬼ども 1 (フラッパーコミックス)





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モコと歪んだ殺人鬼ども 2 (フラッパーコミックス)





「モコと歪んだ殺人鬼ども 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)」です!!
モコと歪んだ殺人鬼ども 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)





「モコと歪んだ殺人鬼ども(4) (MFコミックス フラッパーシリーズ)」です!!
モコと歪んだ殺人鬼ども(4) (MFコミックス フラッパーシリーズ)



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『笑わない数学者』(森博嗣著、講談社刊)

『笑わない数学者』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

天才数学者、天王寺翔蔵博士の住む館、「三ツ星館」。そこで開催されたパーティの中で、博士は庭にある巨大なオリオン像を消してみせた。翌朝、再びオリオン像が現れたとき、2つの死体が発見された。犀川助教授と西之園萌絵が、オリオン像消失の謎と殺人事件に挑む。
(公式HPより)


<感想>

「S&Mシリーズ」第3弾。
まさに「S&Mシリーズ」版「館モノ」。

「館モノ」特有の豪快なトリックに、繊細な「定義の問題」が組み合わせられている点が特徴。
この2つが上手く融和して、読者の不安感を煽り立てている。
さらに、認識の相違などが絡み合うことで読者の自意識の境界線を揺らがせ自然に作品世界へと誘うのである。

そんな本作の中では、何と言っても「定義の不確かさ」が活かされたトリックが秀逸。
とはいえ、これは「律子と俊一殺害のハウダニット」に非ず。
上記、「定義の問題」に絡む「地下室の天王寺博士」の正体を示している。

終盤で犀川が述べた通り、あの天王寺博士には3通りの可能性が考えられる。
すなわち、天王寺翔蔵本人、宗太郎、片山の3パターンだ。

さらに、作中で登場したそれぞれと思われる結論候補も3つある。
すなわち、白骨死体、地下室の天王寺、公園の老人の3パターンだ。

これにより、どれかがどれかに該当することが明らかだろう。
さて、どれがどれなのだろうか。

その最大のヒントが作品タイトルにある。
それが『笑わない数学者』。

宗太郎は小説家、片山は建築家、天王寺博士のみ数学者である。
これが意味するところは、作中で笑う描写のある人物は天王寺では無いということ。

地下室の天王寺は笑った。
公園の老人も笑っていた。

つまり、2人とも天王寺本人ではない。
これにより、白骨死体が天王寺であると確定する。

さて、残る2人はどちらがどちらなのだろう。
管理人は此処で詰まった。
しかし、偉大なるは先人の知恵だ。

ネットで調べてみたところ、やはりこれが問題の焦点になっていた。
複数説が散見されたが、その中でもっとも管理人が感銘を受けたものによると次のように判断すべきようだ。

片山の性格について述べられた描写と地下室の天王寺の描写が一致(神経質な点がホワイトボードの字に表現など)。
つまり、地下室の天王寺こそが片山。

となれば、消去法で公園の老人こそが宗太郎となる。

なるほど、スッキリです。
とはいえ、これこそ地下室での天王寺博士の言葉ではないが「定義の問題」。
定義者によって解は変動する筈。
其処に答えがあるとしても、それは読者の数(定義者の数)だけ存在するとも言えそうです。

そう言えば舞台となった「三ツ星館」。
『犯行現場の作り方』なる本にて、一級建築士である安井俊夫先生により実際に建築可能なのかが検討されているようです。
興味のある方は、本記事下部のアマゾンさんリンクよりどうぞ!!

ちなみに「ネタバレあらすじ」はまとめ易いように一部に改変を加えた上にかなり端折ってます。
本作を正確に味わうには、本作それ自体を読むべし!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
犀川創平:国立N大学建築学部の助教授。
西之園萌絵:犀川の恩師の娘にして犀川の教え子。犀川に好意を抱いている。
天王寺翔蔵:天才数学者として知られる人物。
天王寺宗太郎:翔蔵の長男。著名な小説家。
天王寺律子:宗太郎の妻。
天王寺俊一:律子の息子。
片山基生:稀代の建築家。「三ツ星館」の設計者。
片山亮子:翔蔵の長女。
鈴木:天王寺家の使用人。
鈴木君枝:家政婦。
鈴木昇:君枝の息子。


此処にも天才が居た。
その名は天王寺翔蔵博士、彼は天才数学者である。
老境に入った彼は娘の夫である建築家・片山が建てた「三ツ星館」の地下にひっそりと生活していた。

天王寺博士は家族と縁が薄い人物であった。
彼には長男と長女が居る。

まず、長男が天王寺宗太郎。
宗太郎は著名な小説家で妻・律子と息子・俊一を抱えている。
だが、宗太郎は数年前に死亡していた。

続いて、長女である片山亮子。
稀代の建築家と呼ばれ「三ツ星館」を設計した片山の妻である。
だが、片山は数年前に姿を消していた。

さらに「三ツ星館」には使用人の鈴木一家が生活していた。
鈴木の妻・君枝はお手伝いとして働き、その息子・昇もまた天王寺家に仕えている。
だが、鈴木もまた数年前に姿を消していたのである。

こんな曰くつきな場所へと赴いた我らが犀川と萌絵。
当然、事件が発生することに。

その夜、天王子博士は地下からスピーカー越しに来訪者と会話していた。
天王寺博士は人前に姿を現さないのだ。

天王寺博士は「三ツ星館正門からオリオン像を消してみせる」と宣言する。
オリオン像とは「三ツ星館」の出入り口に存在する像のこと。
犀川たちも門から入って来た際に目にしていた。
容易く消せる筈など無かったのだが。

犀川たちが正門へと出てみると、あった筈のオリオン像が消えている。
驚愕する犀川たち。
あまりに驚き過ぎたのか、律子が倒れ込んでしまうほどであった。
昇たちが律子を彼女の自室へと運び込む。

その翌朝、オリオン像が再び姿を現したとき、同時に2つの死体も其処で発見されてしまう。
どうやら他殺のようだ。
殺害されたのは律子と俊一であった。

部屋の位置から関係者全員にアリバイが証明されることに。
すべては姿を消している片山の犯行かと思われたが……。

こうして犀川がこの解決に乗り出した。
しかし、矢先に昇が何者かから猟銃で狙撃されてしまう。
さらに、鈴木と思われる謎の白骨死体までもが発見されて……。
やはり、片山の犯行なのか!?

犀川は遂に真相を突き止めることに成功する。
律子と俊一を殺害した犯人は昇であった。
そして、昇を狙撃したのはそんな息子の犯行を止めようとした君枝だったのだ。

事件にはオリオン像の消失が深く関わっていた。
実は犀川たちが天王子博士とスピーカー越しに会話していた部屋が回転していたのである。
そして、犀川たちが正門と思っていた門こそが裏門だったことが判明する。
これにより、オリオン像の消失トリックが暴かれた。

オリオン像は裏門に正門方向へと向け設置されていた。
つまり、犀川たちはオリオン像のある裏門から「三ツ星館」を訪問したのだ。
この時、犀川たちは裏門を正門だと思い込んだ。
その後、部屋が回転していたことで屋外へと出た際に裏門と寸分違わぬ正門に導かれてしまったのである。
オリオン像は消えたのではない、正門に存在するように思い込まされていただけであった。
そもそも、正門にはオリオン像は存在していなかったのだから消すことは造作も無かったのだ。

昇はこのトリックを知っていた。
これにより何が起こるか。

実は事前に律子の飲み物に睡眠薬を混ぜていた昇。
律子はオリオン像消失に驚きつつ、意識を失った。
これを昇は律子の部屋へ運び入れた。

だが、此の時点で正門と裏門が入替っている。
すなわち、実際に運び込まれた部屋は律子の部屋では無い。
それこそ、対角線上に存在する昇の部屋であった。
後は自室へ戻る振りをしつつ、律子を殺害すれば良い。
もはや、アリバイは存在しない。
こうして昇は不可能を可能にしたのだ。

この後、昇は実際の律子の部屋に工作を施した。
ベッドを使用した形跡を残す必要があったからだ。
ところが、律子の体調を心配した俊一が訪ねて来た。
昇は俊一も殺害することに。

もともと、昇は律子と俊一が天王子家に相応しくないと考えていたらしい。
そして、排除の機会を狙っていたのだ。

事件はこうして解き明かされたかに思われた。
だが、まだ肝心な秘密が残されていたのである。

犀川は地下に隠れる天王子博士と対決する。
「三ツ星館」を巡っては関係者が消え過ぎていた。
此処に秘密があると指摘する犀川。

まず、犀川は宗太郎と片山が兄弟であることを指摘する。
宗太郎は天王子博士の養子だったのである。
そして、天王子博士の娘・亮子はそんな宗太郎を愛していた。
宗太郎もまた亮子を愛していたらしい。
だが、実際は亮子は天王子の意向で片山と結婚させられた。

一方、宗太郎は君枝とも関係を持っていた。
君枝は宗太郎を愛し、鈴木を疎んじた。
其処で宗太郎と2人で鈴木を殺害したのである。
死亡した宗太郎とされる遺体は鈴木のものであった。

では、当の宗太郎は何処に消えたのか?
そう言えば、片山も何処かに消えている。
そもそも、天王子博士は本当に天王寺博士なのか?

此処に、犀川は現在「三ツ星館」地下に住む天王子博士を名乗る人物が本人、宗太郎、片山のうち誰かであると指摘する。
しかし、3名の内の誰かまでは分からない。
さらに、鈴木のものとされていた白骨死体も天王子博士、宗太郎、片山のうちの誰からしい。

これに天王寺博士は「それは意味が無い問いだ」と応じる。
彼にとっては彼が誰であろうとも意味が無いのだ。
何故なら、天王子博士を区別するのは彼を彼だと定義した人物に委ねられるのだから。
これだけ告げた天王寺博士は密やかな笑いを浮かべる。

これを聞いた犀川はこの天王寺を名乗る人物が昇や君枝を操っていたと確信する。
だが、それを証明する術もない。
こうして、犀川は「三ツ星館」を後にするのであった。

数日後、「三ツ星館」地下で犀川が面会した天王寺博士が死体となって発見された。
死因は心不全らしい。
だが、犀川にとってそれは興味を失った情報であった。
それこそ、天王寺博士が口にしていた定義の問題なのだから。

同じ頃、白髪の老人が公園を歩いていた。
老人は近くの少女に声をかけると、謎解きを求める。
それは定義についての問い。

首を傾げる少女に、老人は軽く笑いながら答えを教える。

小さな円も際限なく大きくなることで、円の内外が入替る。
そのとき、円の内側は外側に転ずるのだ。
内が外であり、外が内である。
かつて天動説が正しいとされていた時代があった。
だが今、それに取って代わり地動説が唱えられている。
定義とはそのようなものなのだ。

果たして老人の言が正しいのか―――悩む少女に老人は告げる。
「君が決めるんだ」と―――エンド。

◆関連過去記事
・シリーズ第1弾。
『すべてがFになる』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第2弾。
『冷たい密室と博士たち』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第4弾。
『詩的私的ジャック』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第5弾。
『封印再度』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第9弾。
『数奇にして模型』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ第10弾(最終巻)。
『有限と微小のパン』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

超再現!ミステリー「巧妙なトリック暴け人気推理小説を超再現謎を解け&犯人は誰?超衝撃の2時間SP 大学内で連続殺人…美女が残した(秘)日記に謎を解くカギ…珍推理佐藤隆太スタジオ爆笑砂羽も紗栄子も超興奮」(4月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)

森ミステリィの名作「S&Mシリーズ」がフジテレビ系火曜21時枠にて連続ドラマ化!!タイトルは「すべてがFになる」に!!

「笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)」です!!
笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)





「三ツ星館」は実際に建築可能なのか……に挑んだ「犯行現場の作り方」です!!
犯行現場の作り方





「有限と微小のパン (講談社文庫)」です!!
有限と微小のパン (講談社文庫)





「冷たい密室と博士たち (講談社文庫)」です!!
冷たい密室と博士たち (講談社文庫)





こちらはコミック版「冷たい密室と博士たち (幻冬舎コミックス漫画文庫 (あ-01-02))」です!!
冷たい密室と博士たち (幻冬舎コミックス漫画文庫 (あ-01-02))





「すベてがFになる (講談社文庫)」です!!
すベてがFになる (講談社文庫)





「すべてがFになる (バーズコミックススペシャル)」です!!
すべてがFになる (バーズコミックススペシャル)





こちらはゲーム版「すべてがFになる〜THE PERFECT INSIDER」です!!
すべてがFになる〜THE PERFECT INSIDER



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