「金田一少年の事件簿R」第3弾は「狐火流し殺人事件」!!
6年前の想い出の地である「白狐村」に集った旧友たち。
しかし、その裏では強い悪意が蠢いていた。
2ヶ月前の茉莉香に続き、光太郎、凛が殺害されることに。
その犯人は……神小路陸であった。
第10話……陸はその動機を告白する!!
【「狐火流し殺人事件」登場人物一覧】
金田一:主人公。最終エピソードまで犯人にも被害者にもならないでしょう。
美雪:言わずと知れた金田一少年のベストパートナー。最終エピソードまで犯人にも被害者にも(以下略)。
月江茉莉香:金田一のカブスカウト仲間。当時は男勝りな少女であったが……。
桃瀬心平:金田一のカブスカウト仲間。高身長。
霧谷凛:金田一のカブスカウト仲間。茉莉香の義姉妹。
蝉沢忍:金田一のカブスカウト仲間。痩せた。
緋森美咲:金田一のカブスカウト仲間。美女。
鐘本あかり:金田一のカブスカウト仲間。蛇に噛まれた娘。
梨村亮:金田一のカブスカウト仲間。イケメン。
神小路陸:金田一のカブスカウト仲間。靴紐を貸し渋った男。
乾光太郎:金田一のカブスカウト仲間。茶髪。
凛の父:茉莉香の母と再婚した。
茉莉香の母:凛の父と再婚した。
川原刑事:所轄署の刑事、金田一に好意的。
<あらすじ>
・前回はこちら。
【解答編第2話】「狐火流し殺人事件」第9話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
金田一の推理により、茉莉香、光太郎、凛殺害を認めた陸。
その動機を明かし始めた。
6年前、陸の家庭は父が再就職したばかりで経済的に困窮しており母がパートをかけもちしてやっとの状況であった。
陸はそんな頑張る母が大好きだったのだ。
そんな中、どうしても陸はカブスカウトのキャンプに参加したかった為に無理を知りつつも両親に頼み込んだ。
父は反対するが母が応援したこともあり、陸はキャンプに参加を許される。
そして、例の遭難事件が発生しつつも無事に帰宅することが出来た。
陸は興奮しつつ冒険譚を母に語って聞かせた。
そして、疲れ果てたのか寝入ってしまった。
ふと、何やら騒がしさに目を覚ました陸。
寝ぼけつつ騒動のもとである台所へ足を運ぶと……其処では母が倒れ父が慌てふためいていた。
事情を問うべく陸が尋ねるが、父は彼を睨みつけると無視しながら救急車を呼んだ。
しかし、母は息を引き取ってしまった。
周囲からは急病と聞かされた陸。
だが、それ以来、父は人が変わったようになり陸に虐待を始めた。
耐え兼ねた陸は不良になり、家へ帰ることも少なくなった。
そして半年前、父が倒れた。
原因は母を亡くしてから続けていた深酒である。
父は死の床で陸に謝罪する―――すまなかった、と。
あの日、倒れた母は「水筒に……陸……蜂が」と言い残したのだ。
どうやら、陸がキャンプに持参していた水筒の中にスズメバチが入っていたらしい。
これに刺されたためにアナフィラキシーショックを起こし絶命してしまったのだ。
母はこれを陸がやったことと思い彼を庇った。
だからこそ、陸に死因が告げられなかったのだ。
父もその遺志に従ったが、妻を奪った陸を許せず恨み続けた。
だが、死の床で「陸が結末を理解した上で行ったワケではない」と思い直したのだと言う。
ところが、陸にとってこれらの告白は青天の霹靂であった。
何しろ、水筒にスズメバチを入れた覚えなど全くないのだ。
完全な濡れ衣である。
まさか、そんな理由で父から疎まれていたとは……。
驚いた陸は父に無実を伝えようとするが……既に父は事切れた後であった。
陸は愕然としつつ、この許されざる悪戯を仕掛けた人物を憎んだ。
犯人はあのときのメンバーの中に居るに違いない。
そんな中、茉莉香と凛が白狐村に住んでいることを思い出した陸。
リーダー格だった茉莉香ならば何か知っているかも……と事情を聞くべく村を訪れた。
すると、天の配剤か。
偶然にも茉莉香と道で行き会った。
なにしろ6年ぶりである。
2人は積もる話をするべく社へと移動した。
買い物帰りの茉莉香はナイフで皮を剥いたリンゴをその場で陸に振る舞う。
これに咽喉を潤わせつつ、陸はスズメバチの悪戯について問うた。
此の時点で陸に殺意はない。
あくまで真相を聞きたかっただけだ。
だから、スズメバチで母が死んだことは臥せた。
すると、茉莉香が過剰反応を示したのだ。
茉莉香はスズメバチを水筒に入れたのは彼女であることを認めた。
靴紐を貸し渋った陸への天誅だったのだそうだ。
これには凛と光太郎も加わったらしい。
挙句「6年前のことを今更持ち出すなんて……相変わらずイ〜〜〜ンケ〜〜〜ン」と陸を攻撃し始めたのである。
この言葉を聞いた陸は逆上した。
事情を知らない茉莉香にとっては些細な悪戯のつもりだったのだろうが、それにより陸は両親を失ったのだ。
許せる筈がない。
陸は茉莉香に詰め寄ろうとした。
これに茉莉香が抵抗し、手にしたナイフで陸が負傷する。
「大丈夫!?」
此処で茉莉香が陸を気遣った。
これが尚更陸の気に障った。
何故、その気遣いをあのときに見せてくれなかったのか?
お前らがあんなことをしなければそもそも……。
数分後、気付いた時には茉莉香は死亡していた。
こうして、陸の復讐が始まったのである―――11話に続く。
<感想&推理>
「金田一少年の事件簿」が「金田一少年の事件簿R」として帰って来ました。
その第3弾は金田一の過去にも関わる「狐火流し殺人事件」です!!
今回はその第10話(解答編3話)。
今回、明かされたポイントは次の1つ。
・陸の動機
これは茉莉香たちに非がありますね。
幼い為に事の重大性を理解していなかったかと言えば、蜂騒動の様子から「蜂が命の危険に繋がる」と認識していたのは明らか。
にも関わらず、故意にスズメバチを仕掛けた。
水筒を選んだのも開けたらどうなるかある程度理解出来た筈で、明らかに悪意が含まれています。
未必の故意と言い換えても良い。
しかも、靴紐貸し出しを渋られた当事者であるあかりではなく、無関係な茉莉香が何故、勝手に裁く必要があるのか?
さらに、陸は茉莉香たちと異なりあかりにきちんと付添までしています。
むしろ、無責任だったのは茉莉香たちでしょう。
いや、全員では移動できないし、残ったメンバーにもリーダーが必要だったから茉莉香が残留したのも理解出来る。
だが、だからと言って少なくとも茉莉香たちに陸を責める権利は無い。
これを茉莉香たちも理解している。
だからこそ、ああ言った陰湿な方法で攻撃した。
そうでなければ、堂々と批判すれば良い。
つまり、真に「イ〜〜〜ンケ〜〜〜ン」なのは陸では無く、この言葉を発した茉莉香本人であった。
おそらく茉莉香の行動は単にリーダー格と自負する独善的な自己満足にしか過ぎないでしょう。
これに追従したのが光太郎と凛だったとすれば、まさに陸にとっては悲劇としか言いようがない。
3人も居て、誰も止めようとしなかったことになるのですから。
あいつは気に喰わない、だから天誅だ―――では、暴漢と変わりません。
言わば、1対多を目的とするイジメの構図と一緒。
だからこそ、陸は憤った。
これはイジメ被害者の加害者への逆襲だったのです。
そもそも、陸には負い目もあった。
無理を言ったキャンプ参加が引き起こした悲劇です。
陸の中には「自分が参加を強く希望しなければこんなことにはならなかった」との想いも根強いに違いない。
しかも、両親の誤解は最期まで解けなかった。
弁明する機会すら与えられなかった。
だから余計に犯人が許せない。
と言っても殺害は行き過ぎですが、何らかの形で贖罪して欲しいと望むのは自然な成り行きだと言えるでしょう。
だからこそ、衝動的な犯行に繋がったものか。
とはいえ、この騒動の発端を考えれば……実は金田一自身に行き着く気がしないでもない。
好奇心を満たそうとして冒険し遭難しなければ、此の展開はあり得なかったワケだし。
靴紐の流れに導いたのも金田一だしなぁ……。
アレが無ければ……と陸が考えなかっただけ彼は冷静なタイプなのではなかろうか。
そんな陸を追い詰めた茉莉香たちは相当罪深いよ。
まぁ、金田一の場合は茉莉香たちと異なり悪意も全く無いワケなんだけど。
でも裏を返せば、それだけナチュラルに遠因を作ったことに……少し怖いなぁ。
そして、気になるのは心平の挙動。
どうにも何かを知っている様子を見せていた彼。
これまでのところ、他のメンバーが過去の情報について何らかの形で金田一に提供しています。
残った心平も最終話で何か告白しそうな予感。
果たして!?
ちなみに、陸のタコ焼き問題は……永遠の謎になりそうだなぁ。
今回は此処まで。
いよいよ次回(11話)にて「狐火流し殺人事件」も完結。
如何なるラストが待つのか―――注目せよ!!
◆「狐火流し殺人事件」関連過去記事
・「狐火流し殺人事件」第1話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「狐火流し殺人事件」第2話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「狐火流し殺人事件」第3話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「狐火流し殺人事件」第4話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「狐火流し殺人事件」第5話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「狐火流し殺人事件」第6話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【次回は解答編】「狐火流し殺人事件」第7話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【解答編第1話】「狐火流し殺人事件」第8話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【解答編第2話】「狐火流し殺人事件」第9話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
◆シリーズ関連過去記事
・「金田一少年の事件簿R」より「亡霊校舎の殺人」のまとめはこちら。
「亡霊校舎の殺人」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「金田一少年の事件簿R」より「雪鬼伝説殺人事件」のまとめはこちら。
「雪鬼伝説殺人事件」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「薔薇十字館殺人事件」のまとめはこちら。
「薔薇十字館殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「香港九龍財宝殺人事件」のまとめはこちら。
「香港九龍財宝殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「暗黒城殺人事件」のまとめはこちら。
「暗黒城殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「人喰い研究所殺人事件」のまとめはこちら。
「人喰い研究所殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」のまとめはこちら。
「ゲームの館殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・「金田一少年の事件簿」より「錬金術殺人事件」のまとめはこちら。
「錬金術殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・同じく「高度1万メートルの殺人」のまとめはこちら。
「高度1万メートルの殺人」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・さとう先生による読み切り「トキメキトキナ消失宣言」のネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「別冊少年マガジン」(講談社)より「トキメキトキナ消失宣言」ネタバレ批評(レビュー)
【ドラマ版】
・ドラマ版「金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件・アジア北米同日放送〜美雪誘拐!破滅の街の悲劇…死体出現密室トリックの謎はすべて解けた!」(1月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件 マレーシアのジャングルで合宿中の生徒達が次々と消えた…太陽と月が交わる時暴かれる驚愕のトリック!謎はすべて解けた!」(1月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿N」第1話「銀幕の殺人鬼・2つの密室を行き来する鍵!?犬が重大ヒント 驚愕トリックを完全再現&本格推理にあなたも参加…キャラ爆発!笑って泣けるニューヒーロー誕生」(7月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿N」第2話「ゲームの館殺人事件 最凶の脱出クイズ!」(7月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿N」第3話「夏合宿!開かずの間の鬼火怪談(鬼火島殺人事件 前編)」(8月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿N」第4話「鬼火島解決!大どんでん返し驚愕の真犯人はお前だ!!(鬼火島殺人事件 後編)」(8月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿N」第5話「俺が刺した?願望催眠ではじめが逃走!(金田一少年の決死行 前編)」(8月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿N」第6話「12年分の憎悪と愛…犯人はお前だ!決死行壮絶完結編(金田一少年の決死行 後編)」(8月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿N」第7話「真夏に降る雪の足跡トリック…暗闇の犯行唯一のミス(雪影村殺人事件)」(9月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿N」第8話「最終決戦!十字架密室推理対決(薔薇十字館殺人事件 前編)」(9月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿N」最終話(最終回、第9話)「薔薇十字館解決編 恋の謎も最終解決!(薔薇十字館殺人事件 後編)」(9月20日放送)ネタバレ批評(レビュー)
「(TVアニメ化10周年記念) アニメ「金田一少年の事件簿」DVD コレクターズBOX (初回限定生産)」です!!
(TVアニメ化10周年記念) アニメ「金田一少年の事件簿」DVD コレクターズBOX (初回限定生産)
(TVアニメ化10周年記念) アニメ「金田一少年の事件簿」DVD コレクターズBOX (初回限定生産)
◆金田一少年の事件簿シリーズコミックはこちら。
◆金田一少年の事件簿シリーズ映像作品はこちら。