2014年10月05日

「サイレーン」第64話「橘カラになりたい」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「サイレーン」第64話「橘カラになりたい」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧は本記事下部に移動しました。

<あらすじ>

・前回までのあらすじはこちら。
「サイレーン」第63話「15歳」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)

高校生当時、カラはカラではなかった。
当時の彼女の名は―――と言った。

当時の―――は、感情を表に出さないタイプであった。
そんな―――は自身と対照的な少女・橘カラと出会い、これに憧れた。

橘カラは―――と異なり何事もはっきりと口にし、好きなことを好きな時に好きなだけやるタイプであった。
だから、カラには敵が多かったし、友達も居なかった。
カラは一匹狼で孤独だったのだ。

そして、女性教師殺害疑惑により―――も孤独であった。

やがて、互いに孤独な2人は急接近する。
2人はたちまち打ち解け親友となった。

カラは彼女の性格から思ったこと感じたことを包み隠さず―――に話し、―――はそれを黙って聞いていた。

ある日、―――はカラに勧められ整形を行った。
すると、これが―――には心地よさを感じた。
自身の不満が解消される感覚とでも言おうか。
たちまち、―――は整形を繰り返した。

そんな中、カラの両親が急死し彼女は天涯孤独になった。
このとき、―――は憧れのカラになれると雷鳴の如く思いついた。

一度、思いつくとソレは大層甘美な誘惑となって―――を捕らえた。
結局、―――はカラをドライブに連れ出すと、自身を信頼し切ったカラを睡眠薬で眠らせ絞殺した。
その後、遺体を何処かに遺棄し戸籍を奪った。

こうして、―――は橘カラになった。
そう、今の橘カラは別人からその名前を奪っていたのだ。
そして、月本と出会い今の顔になったのだ。

カラの過去を聞いた猪熊は彼女の行動がコンプレックスに基づくものであることに気付く。
隙を突き、カラの手に噛みつく猪熊。
しかし、それはカラに何らの打撃も与えない。
焦る猪熊だが、打つ手はない―――。

一方、里見とレナは遂に別荘に辿り着いた。
猪熊救出に動く2人の足元には侵入者用のセンサーが光っていた―――65話に続く。

早川書房刊『ミステリマガジン』や『週刊文春』でも取り上げられた本作。
目的を果たすべく逃げるカラを里見が追う。
追い付くことが出来るのか……今週号の「週刊モーニング」で確認せよ!!

<感想>

「週刊モーニング」では『レンアイ漫画家』や『シマシマ』、『はるか17』などで知られる山崎紗也夏先生の新連載です。
『レンアイ漫画家』は設定と展開が面白くて読みました。

そんな「サイレーン」。
遂に猪熊が捜査一課に配属。
これにより「猪熊&里見VSカラ」の物語が明確化されました。
とはいえ、「悪女カラ自身」がテーマだったりもしそうだが。
それだけ、敵役のカラのインパクトが凄い。

その第64話。
サブタイトルは「橘カラになりたい」。

「カラ」が「自称・カラ」だったことが判明。
どうも「自称・カラ」は感情表現が苦手なタイプで、これにコンプレックスを抱いていたのか。
其処で、手っ取り早くこのコンプレックスを解消すべく憧れる相手と自身とを重ね合わせるようになり、本来ならば相手との交友を通じて自身を高めて行くべきところを、直接的に相手を殺害したものと思われる。
この過程で「相手を殺し、その特徴を取り込む」との思考に至ったのだろう。
おそらく「自称・カラ」は自己表現が下手なタイプ……だからこそ、犯罪の中で自己表現しているとも言えそうだ。

この憧れる相手との同一視、「思春鬼のふたり」に登場する紡木茨と荊の関係に近いか。
荊が自身が恋する臥美が恋した茨に憧れ、彼にとって代わったようなもの。

「思春鬼のふたり」第30話「邂逅するふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

それにしても今回ちょっと気になる描写が。
本物のカラ殺害当時、自称・カラは高校生の筈なのに車の運転をしているのだが……免許は大丈夫だったのだろうか?
気になるなぁ……。

そして、里見とレナがいよいよ別荘に到着。
とはいえ、その足元にはセンサーらしき装置が。
あれにより接近を察知されそうだけど……果たして。

一方、先日ふと思ったのですが61話で明かされたカラの動機に1つ疑問が生じています。
それは……女性マネージャーの「自信」はともかく、高槻とおるの「優しさ」を得た割にカラが全く優しくないこと。
これはもしかして、打倒カラの伏線か?
此の点で精神的に矛盾を突いて彼女の動機を奪い自己崩壊を引き起こさせるのだろうか。
だとすると、かなり丁々発止の遣り取りになりそう。

そして、里見はレナを連れて渡の別荘へ。
これにより61話で「無さそう」とした「レナとアイの誤認」が再び復活。
カラを別荘へ導かせる為に用いるのではなく、カラを猪熊から引き離すべく別荘から誘き出すか動揺させる為に用いそうな予感。

この「レナとアイの誤認」については次の通り。

これまでも何度か述べて来たけど、この状態での里見の打開策はレナにあると見た。
カラは里見の協力者が長髪の女性2人(レナとアイ)であることは知っているが、レナがアイそっくりなのは知らない。
そして、アイは渡の別荘で拘束されている。
其処で、レナがアイのふりをしてカラを揺さぶり、アイが脱走したと思い込んだカラを別荘の外へと誘き出す展開か。

それにしても、カラ篇が終了したとして次のエピソードはあるのか、それともカラの終焉を以て本作も完結するのか……此の点も気になるところ。

ちなみにカラですが、ラストは燃え盛る別荘と共に生死不明になりそうな予感。
でもって、里見と猪熊が街中でカラっぽい人を見かけてエンド的なホラーテイストの結末と予想。
あるいはカラは何処にでも居る的なラストか。
だとすると、やはりカラ篇終了が本作の完結となるのだろうか。
確かに綺麗にまとまるけど、出来れば里見と猪熊で他のエピソードなども読みたいなぁ。

おっと、気が早いか。
それもこれも今後の展開次第かな。

さて、いずれにしても里見とカラの対決はすぐ其処。
果たして里見は猪熊を助けることが出来るのか。
次回に期待!!

コミックス1巻が2013年9月20日、2巻も2013年12月20日に発売。
さらに3巻、4巻に続き5巻も発売とのこと、こちらも注目!!
興味のある方はアマゾンさんのリンクよりどうぞ!!

ちなみに、山崎先生と言えば『七瀬ふたたび』のコミカライズでも知られる方です。

「七瀬ふたたび」(筒井康隆著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

◆関連過去記事
「サイレーン」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)第1話から第60話までネタバレ批評(レビュー)まとめ

「サイレーン」第61話「動機」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「サイレーン」第62話「11歳」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「サイレーン」第63話「15歳」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)

登場人物一覧:
里見偲:男性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の猪熊と恋人同士。31歳。
猪熊夕貴:女性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の里見と恋人同士。
橘カラ:女性マネージャー急性アルコール中毒死(実は他殺)の犯人。猪熊に興味を持つ。
渡:猪熊の寮の向かいに住む。カラを家に置くこととなった。
月本:美容整形外科医。実は高級売春クラブ「フルムーン」のオーナー。カラに正義執行される。
乃花:カラの元同僚。不倫の恋に生きていたがカラに殺害される。
千歳:生活安全課所属。
レナ:里見が潜入捜査を行った先の関係者。
アイ:里見が潜入捜査を行った先の関係者。
盛元:テレビ局有名アナウンサー。
田沢麻弥:月本のもとへ出入りしていた少女。カラの犯行を目撃し襲われるも一命を取り留めた。
倉本:入院した田沢麻弥の担当女医。
三河くん:月本の部下。
高槻とおる:5年前に発生した薬局店息子殺人事件の被害者。
時田:捜査一課未解決事件係の刑事。猪熊の先輩。
舞川:5年前からのカラの常連客。

遂に発売。「サイレーン(1) (モーニングKC)」です!!
サイレーン(1) (モーニングKC)





「サイレーン(2) (モーニングKC)」です!!
サイレーン(2) (モーニングKC)





「サイレーン(3) (モーニングKC)」です!!
サイレーン(3) (モーニングKC)





「サイレーン(4) (モーニングKC)」です!!
サイレーン(4) (モーニングKC)





「サイレーン(5) (モ-ニングKC)」です!!
サイレーン(5) (モ-ニングKC)





「レンアイ漫画家(5)<完> (モーニング KC)」です!!
レンアイ漫画家(5)<完> (モーニング KC)





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土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル38 男女の死体は二人で嘘をつく!?女医が暴く殺人ボールの謎 復顔!20年前から来た殺人者?」(10月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル38 男女の死体は二人で嘘をつく!?女医が暴く殺人ボールの謎 復顔!20年前から来た殺人者?」(10月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

二宮早紀(名取裕子)は港南医大・法医学教室の准教授で、神奈川県警から監察医を委託されている。夫の一馬(宅麻伸)は横浜東署の警部で、2人の間には新米新聞記者として奮闘中の息子・愛介(佐野和真)がいる。また、一馬には七海(由紀さおり)という叔母がいて、時々二宮家内を引っ掻き回すので、早紀にとってはありがたい相手ではない。

横浜市内の廃工場で、男女の死体が発見された。女性の首には絞殺された痕があり、男性の遺体の右手が凶器のロープを握りしめていた…。現場で検視に当たった早紀は、被害者の女性が20年前に失踪した大女優・桐島夏子(早織)の姪・桜(宮内知美)と知って驚く。桐島夏子は45歳のとき「年老いていく私をファンに見せるわけにいかない」と言い残して姿を消したまま行方知れずで、近々、愛介が紙面で特集を組む予定と聞いていたのだ。また、男性は、桜の大学時代の友人・工藤正彦(扇田拓也)とわかる。
早紀の検死と解剖の結果、桜はやはり背後から首を絞められて殺されたことが判明。一方の正彦の死因は、心臓が収縮するタイミングで何かが胸に当たって心室細動を起こす“心臓震盪症(しんぞう・しんとうしょう)”だとわかる。実は2人の死体を発見したのは、ボールを捜しに来た近くの野球部員・藤堂慎吾(橋龍飛)とマネージャーの赤石恵(當麻真歩)で、練習中に慎吾が打ったホームランのボールが遺体の近くに転がっていた上、正彦の衣服の胸にボールの形の白い粉が付着していたのだった。法医学教室の助手・伊吹南(中村静香)は、正彦が桜の首を絞めて殺害した後、飛んできた野球のボールが彼の胸を直撃し死に至らしめたのではないかと推理するが、早紀は「それを調べるのは、あくまで警察の仕事」といさめる。
その直後、早紀は正彦の妻で、美術解剖学の研究員である杏子(酒井美紀)から「夫には殺人などできない。遺体の声を聞いてくれ」と詰め寄られて困惑する。だが、まもなく死んだ正彦と桜は大学時代に交際していたという事実が発覚。杏子も、桜の夫・大作(林泰文)も、2人のかつての関係を知っていたことがわかる。

そんなとき、第一発見者の慎吾と恵が、早紀のもとを訪ねてきた。慎吾は交番勤務の巡査・谷村元彦(田中幸太朗)から正彦の死因が心臓震盪症であることを聞き、自分が打ったボールが正彦を殺してしまったのかと心配していた。早紀は「事件のことを話すわけにはいかない」と前置きしつつ慎吾を励ますが、谷村がなぜそんな推測を軽々しく話したのか憤る。
さらに、桐島夏子を失踪直前まで追っていたというドキュメンタリー監督・吉野和文(野間口徹)が早紀の前に現れ、正彦の死因とボールとの関係について探りを入れてきたため、早紀は、情報を漏らした谷村に対して激怒。だが逆に、谷村から「心臓震盪症を起こした原因は本当にボールなのか、法医学でハッキリさせるべき」と反論され、早紀は反省。もういちど死因を追究する決意を固める。
再び遺体に向き合った早紀は、とある偶然から、正彦の胸の部分に拳の痕が浮き出てきたことに気がつく。正彦は犯人に拳で殴られて心臓震盪症を起こし、その後、凶器のロープを握らされ、しかも野球ボールに当たって心臓震盪症を起こしたように偽装されたのではないか…。早紀の中に、犯人は心臓震盪症に関する知識のある者ではないかという疑惑が湧きあがり…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)


では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……

二宮早紀は港南医大・法医学教室の准教授。
また、優秀な監察医としても名前を知られている。

そして、早紀の夫・一馬は横浜東署の警部。
早紀が暴走し、一馬がこれを窘めつつ支えることで幾つもの難事件を解決して来たのだ。

ちなみに、2人の間には一粒種の息子・愛介が居る。
そんな愛介も今では新米ながらも新聞記者だ。
さらに一馬の叔母・七海を加えた4人が二宮家のメンバーだ。

さて、早紀が今回解決した事件は……。

横浜市内の廃工場の敷地内で男女の死体が発見された。

女性の名は桐島桜。
20年前に失踪した大女優・桐島夏子の姪である。
夏子は45歳のときに謎の失踪を遂げていたのだが……。

男性の名は工藤正彦。
桜の大学時代の恋人で美術解剖学の研究員。
同じく美術解剖学の研究員である杏子という妻が居た。
ちなみに、美術解剖学とは芸術的な技術を取り入れることで精緻な復顔を行う学問らしい。

検死と解剖の結果、桜が背後から紐による絞殺、正彦が「心臓震盪症」による死亡と判明。
「心臓震盪症」とは「心臓が収縮するタイミングで何かが胸に当たって心室細動を起こしたもの」。
近くには野球のボールが転がっていたことから、このボールが直撃し死に至ったものと思われた。

さらに、正彦の手に紐が握られていたことも併せて「正彦が不倫の末に揉め桜を殺害、直後に飛んで来たボールを胸に受け死亡した」のではないかと思われたが……。

矢先、ボールの主が判明。
近くの野球部員・藤堂慎吾であった。
どうやら、練習中に慎吾が打ったボールだったようである。

その数日後、当の慎吾とマネージャーの赤石恵が早紀を訪ねて来た。
慎吾は自分の打った球が人を殺したと思い顔面蒼白、恵が励ます声も聞こえない様子。
なんと、谷村元彦巡査に正彦の死因を聞いたそうで、ショックを受けていたのだ。
そんな慎吾に早紀はかける声もない。

普段に似つかわしくなく、気の毒だがこればかりはどうしようもないと諦め気味の早紀。
一方で、死因を洩らした谷村に激しい怒りを覚えた。
早速、一馬経由で谷村を呼び出し批難するのだが……。

谷村は「ボールと正彦の死との因果関係がはっきりしない以上、励ます為には教えるしか無かった」と主張する。
この言葉を聞いた早紀は谷村の態度に反発を覚えつつも、もっともだと納得する。

一方、20年前に桐島夏子の失踪をテーマにしたドキュメンタリー映画で賞を受賞した監督・吉野和文が早紀に急接近する。
何故か、正彦の死因とボールについて知っていた吉野だが……。

これにより、尚更真相究明の必要性を痛感した早紀は再度、正彦の遺体と向き合う。
ところが、死体安置室のエアコンが冷房では無く除湿になっていたことから、正彦の遺体の胸に人の拳の痕跡が革皮様化として現れる。
どうやら、正彦の「心臓震盪症」の原因は慎吾のボールでは無く、何者かに殴られた為らしい。

村中葉子検事を交え、自身の推測を述べる早紀。
犯人は正彦の胸を殴りつけ「心臓震盪症」を起こさせ殺害。
狼狽する桜を背後から絞殺し、偶然飛んで来た慎吾のボールを利用したに違いない。
普段は早紀と犬猿の仲の葉子も、今回に限ってはこの見解を支持する。
不審に思った早紀が一馬に尋ねたところ、葉子が検事を辞め弁護士に転身しようとしていることを聞かされる。
互いにいがみ合いつつも事件に向けて誠実であろうとしたライバルの新たなる出発に早紀は胸を熱くする。 

同じ頃、正彦たちの殺害現場付近で夏子と思われる女性が目撃されていたことが分かる。
その一方で、谷村巡査が謎の男と接触していた。

翌朝、謎の男が溺死体で発見される。
報を聞き駆け付けた谷村は驚きを隠せない様子。

謎の男の正体は矢崎稔。
谷村は密かに矢崎を調べていた。
矢崎は正彦たちの殺害現場に面したアパートに暮らしていたが、事件後から急に羽振りが良くなっていたのだそうだ。
谷村は矢崎が犯行を目撃し犯人を脅迫したのでは……と考えていた。
其処で、密かに問い詰めていたのだが結局認めなかったそうである。
その矢先の矢崎の死であった。

この検死と解剖を担当することとなった早紀。
矢崎の顎に痣があることを発見し、入念に調べたところ……正彦の胸と同じく拳の痕が見つかることに。
こうして、正彦と矢崎が同一犯に殺害されたことが判明する。

直後、杏子が倒れてしまった。
実は杏子は正彦との間に子供が出来ていたのだ。
だが、正彦を亡くした精神的ショックから流産の危機に追いやられた。
早紀の活躍で、事無きを得ることに。

その頃、吉野は「犯人に心当たりがある」と早紀に告げると、ある人物に接触していた。
吉野の心当たりは桐島大作。
大作は桜の夫で、20年前には夏子のマネージャーであった人物。
夏子失踪後は芸能事務所の社長となっていた。
そんな彼には大学時代にボクシングの経験があったのだ。

その夜、杏子宅に何者かが侵入。
現場に居合わせた早紀は犯人を追跡し手傷を負わせるものの、逃亡を許す。
其処に平塚工房の社長が正彦から預かっていた頭蓋骨を返却しにやって来る。
頭蓋骨の頭頂部に何かを叩きつけられたような痕跡を発見した早紀はこの復顔に挑む。

翌日、慎吾と恵が谷村と共に早紀を訪問。
付き添っている谷村の腕には包帯が巻かれていたが……。

他方で現場周辺をうろついていた桐島夏子と思われた女性は他人の空似であった。

そして、早紀が成功させた復顔が示した顔は……夏子であった。
夏子は20年前に死亡していたのだ。
おそらく殺害されたに違いない。

捜査本部は大作が夏子を殺害。
夏子の頭蓋骨を隠していたが、桜に発見される。
桜が正彦に復顔を依頼するが、これに気付いた大作に2人ともが殺害されたと考える。

ところが、当の大作が死体で発見されることに。
大作は吉野に宛てたメールを残していた。
其処には「夏子殺害についてドキュメンタリーとして作品にして欲しい」と吉野へ訴えていた。
どうやら、20年前の殺人は些細なミスをきっかけに夏子と揉めた大作がこれを殺害してしまったとのことだようだが……。
さらに、大作の手の甲には引っ掻き傷が残されていた。
それは早紀が付けた傷に似ている。

早紀は大作の前歯が欠けていることを気にかけるが、大作の死因は急性心臓死―――つまり病死である。
何らかの心臓麻痺と思われ、其処に工作の余地はないとされたが……。

こうして、大作が犯人として事件は落着。
……するかと思われたが、ある事実から急転する。

なんと、大作が水中毒であったことが判明したのだ。
大作は犯人に大量の水を飲まされ殺害されたらしい。
前歯が欠けたのは水を注ぐべく無理矢理に口を開かされた為であった。

となれば、犯人は別に居ることになる。
包帯を巻いていた谷村に疑惑が向かうが、連続殺人の原因と思われる夏子殺害時に彼は10歳である。
到底、犯行が可能とは思えない。

では、犯人は!?
そんな中、吉野が心臓震盪症と水中毒に造詣が深いことが判明。
一躍、彼が容疑者のトップに。

同時刻、杏子が吉野に取材を受けていた。
早紀は杏子を救うべく吉野たちのもとへ。
しかし、早紀に疑われていると知った吉野は杏子を人質に抵抗を見せる。

夏子を殺したのは大作であった。
だが、その場に吉野も居たのだ。
なんでも、大作が夏子にクビを言い渡され逆上したのが原因らしい。
吉野は大作に買収され、沈黙を貫いた。

それから20年、吉野は大作に夏子の頭蓋骨を売りつけた。
しかし、これに桜が気付き正彦に復顔を依頼。
夏子の遺体であると突き止めた。
これを陰から監視していた吉野が正彦を正拳突きの一撃で殺害。
狼狽する桜を背後から絞殺したのだ。

ところが、この現場を矢崎稔に目撃されていた。
其処で矢崎をも殺害したのである。

さらに、大作に疑いが向いていると知るや偽装工作を施しこれを殺害したのだ。

すべてを明かした吉野。
其処に一馬が到着し、抵抗虚しく逮捕された。

こうして事件は解決を迎えた。

一方、谷村が刑事課に配属されることとなった。
つまり、一馬の部下である―――エンド。

<感想>

シリーズ38作目。
前回が2013年11月9日放送なので、ほぼ11ヶ月ぶりの新作となりました。
過去作の批評(レビュー)は本記事下部にあるので、気になる方はどうぞ!!

では、ドラマの感想。

1年に1、2度ほぼ定期的に放送されるシリーズドラマの醍醐味と言えば、何といってもレギュラーキャラクターの去就や近況の推移。
例えば、本作だと愛介の成長だったりします。
まさに、それは年賀状を貰って遠く離れた知人の近況を知るようなもの。

さて、この第38弾ではどうだったのでしょうか。

まず、村中検事が弁護士に転身の為、検事を辞職。
代わりに谷村巡査が刑事課に異動し谷村刑事が誕生。
すなわち、村中検事が引退、谷村刑事が参加ということ(次回キャストに谷村刑事の名がある)。
これも世代交代なのかなぁ……。
とはいえ、村中検事には弁護士として再登場して欲しい。
また、フレッシュな谷村刑事の姿は西村和彦さんが演じていた水村刑事を思い出しますね。

キャラクターと言えば、愛介と南ちゃんの恋の進展からも目が離せない。
今回では、早紀が早くも鬼姑フラグを立てつつある……。
なんだか、二宮家では愛介の嫁取りの壁になりそうなのは一馬ではなく早紀っぽいが愛介は大丈夫か。
ちなみに……この進展ですが本日から2週間後の10月18日には「法医学教室の事件ファイル39」が放送予定とのことでもしかすると、もしかする!?
本編以外に、こちらも注目です!!

でもって今回の本編と言えば……吉野犯人はかなり分かり易かったですね。
正彦の死因とボールとの因果関係について谷村が慎吾にしか洩らしていない時点で、これを何故か知っている吉野(吉野自身は噂で聞いたと主張してたけどあまりに眉唾)が犯人であることは早期に見当がつくし。
早紀に接触したのも、あわよくば夏子のドキュメント映画に続き2匹目のどじょうを狙ったのはもちろんのこと、何処までバレているか探っていたのでしょう。

ただ、個人的に想像していた動機が異なっていたなぁ。

実は、夏子殺害も吉野の犯行だと思ってて……夏子失踪のドキュメンタリーで賞を受賞したと言っていたから、夏子失踪のインパクトと話題性で映画の価値を高め賞を取る為に、夏子を殺害し失踪を偽装したと思ってたんだけどなぁ。
そもそも、これが夏子殺害の動機だと思ったからこそ吉野犯人説に絞ったんだけど、まさか大作の犯行とは……意外でした。
とはいえ、それ以外にも劇中では中盤から吉野の存在を完全に隠蔽するなどかなりアピールしてましたね。
特に工藤宅の侵入者が早紀に手傷を負わされてから吉野自体が画面から消えるし、皆がその存在に触れないようにし出すし、あれは露骨過ぎでしょう。

ただ、実を言うと序盤は杏子犯人説もありかと思ってた。
てっきり、復顔の材料から粘土と石膏とか連想して、拳を石膏で型取りしたものを使用したと考えてた。
調べれば男性の拳だと判明するから、杏子が容疑圏外になる為に仕掛けた罠的な。
夏子の復顔と合わせて、だからこその美術解剖学設定だと思ったんだけどなぁ……。

では、此処からは気になった点をつれづれと。

まず、桜と正彦は何であんな廃工場跡で復顔を見ていたのか。
何処か別の安全な場所で確認するべき。

と言うか、ボールが飛んで来た時点で誰か(この場合は慎吾)がやって来るのが分かってるのに、吉野はよくあの場で犯行に及べたなぁ……。
凄ぇよ、凄過ぎるよ。
大胆過ぎだよ。

さらに何と言っても、正彦殺害時に見せた正拳突き。
あれは尋常ではない。
吉野……殺し屋かよ。
あれはプロだよ、プロの犯行だよ。

ああ、そう言えばあの正拳突きで漫画「はじめの一歩」の伊達が誇る「ハートブレイクショット」を思い出した。
まさか「ハートブレイクショット」が実写でお目にかかれるとは思わなかったなぁ……。
吉野、やっぱり凄過ぎだよ。
ボクシングならチャンピオン狙える逸材だよ。
きっと監督よりもそちらの方が天職だった筈だよ。

そう言えば……正彦と矢崎についてた拳の痕だけど、大作の拳の型を採取していたんだから、それと比較すれば大作が犯人ではないことはすぐ分かった筈なんだけどなぁ……。

そして、今回のラストでは早紀が杏子を完全に巻き込んだんだよな。
あれ、早紀が先走らなければ最後の吉野による杏子と早紀への殺人未遂は無かったよなぁ……。
まさか吉野の罪を増やそうとするとは……恐るべし、早紀。

ちなみに「矢先の矢崎の死」や「早紀が先走る」は狙ってやったことです。
完全にオヤジギャグですが、笑っても宜しくてよ……オホホホ(受けるかどうかドキドキで錯乱気味)。

ああ、そうそう矢崎稔殺害について。
あれ、矢崎が泳げなかったから成功したけど、泳ぎが得意だったら「これ幸い」と逃げられちゃうよね。
突き飛ばしたはいいけど、矢崎に暗い海の中をスイスイと沖へ逃げられて呆然と立ち尽くす吉野を想像すると何故か微笑ましくなった。
それにしても……吉野は矢崎が泳ぎが得意かどうか調べたのだろうか。
調べたとすると、その痕跡が残るだろうから逆にマズイ気もするけど。

いろいろ言っちゃいましたがシリーズらしさは出ていたように思います。
なかなかに楽しめました。
次回にも期待……というワケで、その次回が驚くべきことに2014年10月18日放送予定。
つまり、2週間後です。注目!!

◆関連過去記事
「法医学教室の事件ファイル」シリーズはこちら。
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土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル 女医VS水曜日の絞殺魔!蟻の死体解剖が殺人トリックを暴く 砂糖+コーンスターチ殺意の合成」(1月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)

<キャスト>

二宮早紀:名取裕子
二宮一馬:宅麻 伸
七海:由紀さおり
工藤杏子:酒井美紀
吉野和文:野間口 徹
桐島大作:林 泰文
谷村元彦:田中幸太朗
村中葉子:五十嵐めぐみ
助手・永岡:本村健太郎
二宮愛介:佐野和真
伊吹 南:中村静香 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)


「法医学教室」ということで「法医学教室の午後」です!!
法医学教室の午後 (〔正〕) (朝日文庫)





「続 法医学教室の午後」です!!
続 法医学教室の午後 (朝日文庫)



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