2014年10月13日

島田荘司先生『異邦の騎士 改訂完全版』(講談社刊)が「神奈川本大賞」に決まる!!

御手洗潔シリーズ『星籠の海』映画化と『傘を折る女』ドラマ化が噂されている島田荘司先生。
さらに、島田先生が原作を担当した映画「幻肢」も公開中です。

【未確認情報につき注意!!】あの御手洗潔が『傘を折る女』にて実写ドラマ化との報がツイッター上で流れる!!『星籠の海』映画化と関連か!?

まさに勢いに乗る島田先生ですが、ファンにとってさらに喜ぶべき報がこの9月に届いていました!!
なんと、島田先生『異邦の騎士 改訂完全版』(講談社刊)と、本作について熱い推薦文を述べられたペンネーム・家貞さんが「神奈川本大賞」を受賞されたのです。

ペンネーム・家貞さんは29歳の男性。

受賞、おめでとうございます!!

「神奈川本大賞」は神奈川県内の書店関係者有志が2014年に創設した賞。
お気に入りの本を紹介、あるいは推薦する100字以内のコメントを読者から募集。
集まったコメントを対象に、今度はそれを読んだ人々の投票で大賞を決めるもの。

第1回となった今回は「神奈川」「はじめて」「大好きな本」がテーマ。
何でも計468ものコメントが寄せられたそうで、これを選考委員が10点まで選考。
その後、2014年6月25日から7月15日にかけて書店や図書館などで投票が行われたそうです。

推薦を受けた『異邦の騎士 改訂完全版』のあらすじは次の通り。

<あらすじ>

失われた過去の記憶が浮かびあがり男は戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺したのか。やっと手にした幸せな生活にしのび寄る新たな魔の手。名探偵御手洗潔の最初の事件を描いた傑作ミステリ『異邦の騎士』に著者が精魂こめて全面加筆修整した改訂完全版。幾多の歳月を越え、いま異邦の扉が再び開かれる。
(公式HPより)


これについて、推薦者である家貞さんは次のようにコメントされています。

「記憶喪失の主人公が自分は誰なんだと彷徨さまよう姿に、居場所を見つけられずにいる自分の姿がダブる。心が温まるような本ではない。むしろその現実に愕然がくぜんとする。だけど何かに立ち向かう勇気を貰もらえる。そんな本でした」

この推薦コメントに選考委員からは「信頼できる作品なのだと確信できた」などと評価を受けたとのこと。

うむ、改めて見ても本作を見事に表現した素晴らしいコメントです。
受賞も頷けるでしょう。

また、こういった推薦コメントを読者に抱かせる『異邦の騎士 改訂完全版』という作品自体も素晴らしい。

そして、こうした形で取り上げられることでその作品自体もさらに多くの読者の目に触れることが出来る。
この試み自体も素晴らしい。
読者目線による「神奈川本大賞」、次回も注目の賞となりそうです。

◆関連過去記事
【島田荘司先生作品】
『UFO大通り』(島田荘司著、講談社刊 収録作『UFO大通り』『傘を折る女』)ネタバレ書評(レビュー)

『山高帽のイカロス』(島田荘司著、講談社刊『御手洗潔のダンス』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『数字錠』(島田荘司著、講談社刊『御手洗潔の挨拶』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『IgE』(島田荘司著、講談社刊『御手洗潔のメロディ』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『疾走する死者』(島田荘司著、講談社刊『御手洗潔の挨拶』収録)ネタバレ書評(レビュー)

【ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録―】
『糸ノコとジグザグ』(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』3号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 傘を折る女』(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』4号連続掲載)まとめ

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 山高帽のイカロス』(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』4号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 数字錠』(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』3号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― IgE』(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』4号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 疾走する死者』第1話(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』2号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 疾走する死者』最終話・第2話(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』2号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)

【ドラマ】
「探偵Xからの挑戦状!夏休み・島田荘司スペシャル『ゴーグル男の怪』(島田荘司著)真夏のミステリーSP夜霧の街に現れた恐怖の殺人鬼・犯人は誰か謎を解くのはあなた!!」本放送(8月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)

【その他】
【未確認情報につき注意!!】あの御手洗潔が『傘を折る女』にて実写ドラマ化との報がツイッター上で流れる!!『星籠の海』映画化と関連か!?

【新刊情報】『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録―』コミック1巻が2013年1月23日に発売予定!!

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録―』第3弾の内容判明!!コミカライズ作品は『山高帽のイカロス』(講談社刊『御手洗潔のダンス』収録)に!!

「神奈川本大賞」を受賞した「異邦の騎士 改訂完全版」です!!
異邦の騎士 改訂完全版





『傘を折る女』収録「UFO大通り (講談社文庫)」です!!
UFO大通り (講談社文庫)





「ミタライ 探偵御手洗潔の事件記録(3) (モーニングKC)」です!!
ミタライ 探偵御手洗潔の事件記録(3) (モーニングKC)





「ミタライ 探偵御手洗潔の事件記録(2) (モーニングKC)」です!!
ミタライ 探偵御手洗潔の事件記録(2) (モーニングKC)





2013年1月23日発売「ミタライ 探偵御手洗潔の事件記録(1) (モーニングKC)」です!!
ミタライ 探偵御手洗潔の事件記録(1) (モーニングKC)





「御手洗潔の挨拶 (講談社文庫)」です!!
御手洗潔の挨拶 (講談社文庫)





『IgE』収録「御手洗潔のメロディ (講談社文庫)」です!!
御手洗潔のメロディ (講談社文庫)





「島田荘司 very best 10 Reader's Selection/Author's Selection (講談社BOX)」です!!
島田荘司 very best 10 Reader's Selection/Author's Selection (講談社BOX)





『山高帽のイカロス』収録「御手洗潔のダンス (講談社文庫)」です!!
御手洗潔のダンス (講談社文庫)





『糸ノコとジグザグ』を収録した「毒を売る女 (光文社文庫)」です!!
毒を売る女 (光文社文庫)





「マイ・ベスト・ミステリー〈3〉 (文春文庫)」です!!
マイ・ベスト・ミステリー〈3〉 (文春文庫)



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市川哲也先生『名探偵の証明』に続編登場!!その名は『名探偵の証明 密室館殺人事件』に!!

『名探偵の証明』(東京創元社刊)と言えば「第23回鮎川哲也賞」受賞作。
「名探偵の宿業(有り方)」をテーマに、往年の名探偵で今は隠遁する屋敷啓次郎の活躍を描いた作品。
屋敷から後輩である「もう1人の名探偵・蜜柑花子」へと「名探偵の意志」が受け継がれる衝撃的なラストが印象的でした。

『名探偵の証明』(市川哲也著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)

そんな『名探偵の証明』にシリーズ第2弾が登場することが明らかに。
気になるタイトルは『名探偵の証明 密室館殺人事件』!!
あらすじは次の通り。

<あらすじ>

人気ミステリ作家の自宅(密室館)に軟禁された八人。館内で起こった殺人事件を論理的に解決できれば、そこから解放される!? 名探偵・蜜柑花子がその謎に挑む、シリーズ第二作。
(公式HPより)


どうやら屋敷から名探偵の意志を受け継いだ「もう1人の名探偵・蜜柑花子」が主人公の様子。
しかも「館モノ」!!
さらに「館内で起こった殺人事件を論理的に解決できれば解放」ということは裏を返せば「出来ねば解放されない=死」ということ。
すなわち、「デスゲーム」のテイストも含んだ作品になるのかも……。
とすれば、迫り来る死と戦う臨場感や圧迫感こそが物語のポイントになるかもしれない。
これに『名探偵の証明』で描かれたロジックが組み合わされば……これは期待大!!

市川先生は以前『ミステリーズ!』にて本シリーズについて三部作構想を明かされていました。
これで第2弾まで達成されたことになります。
となると……気は早いですが、さらなる衝撃が待ち受けるであろう第3弾も心待ちに出来そう。

おっと、まずはその前に第2弾である『名探偵の証明 密室館殺人事件』を読まなければ!!
それにしても、もう少し早く刊行されていれば年末のミステリランキング(10月刊行分まで対象)にも名を連ねたかもしれないのになぁ……。
そんな期待の新作『名探偵の証明 密室館殺人事件』は2014年11月14日発売予定とのこと。
注目せよ!!

◆関連過去記事
『名探偵の証明』(市川哲也著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「第23回鮎川哲也賞」受賞作決定!!栄冠は市川哲也先生『名探偵-The Detective-』に!!

「名探偵の証明 密室館殺人事件」です!!
名探偵の証明 密室館殺人事件





こちらはキンドル版「名探偵の証明 密室館殺人事件」です!!
名探偵の証明 密室館殺人事件





「名探偵の証明」です!!
名探偵の証明





こちらはキンドル版「名探偵の証明 (第23回鮎川哲也賞受賞作)」です!!
名探偵の証明 (第23回鮎川哲也賞受賞作)



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『大癋見(おおべしみ)警部の事件簿』(深水黎一郎著、光文社刊)

『大癋見(おおべしみ)警部の事件簿』(深水黎一郎著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、未読の方は注意!!

<あらすじ>

本格ミステリーの古典から最先端までを、上から下から、後ろから、そして真正面から、斬新に独自の視点から痛快に切りまくるミステリー・ファン垂涎の異色作。生け贄となったのは──ノックスの十戒、アリバイ崩し、密室殺人、逃走経路の謎、叙述トリック、レッドヘリング、図像学、ヴァン・ダインの二十則、後期クイーン問題、正確な死因、お茶会で特定の人物だけを毒殺する方法、二十一世紀本格、「見立て」の真相、バールストン先攻法にリドル・ストーリー、警察小説、歴史ミステリーおよびトラベルミステリー、さらには多重解決──。
初心者からマニアまで大癋見警部が満足させます!
(光文社公式HPより)


<感想>

光文社刊『ジャーロ』誌上にて連載されていた深水黎一郎先生「大癋見警部の事件簿シリーズ」短編集です。
シリーズには『国連施設での殺人』から始まり『青森キリストの墓殺人事件』までで全13作品存在。
このうち、3作品のみ過去に書評(レビュー)してますね。

【大癋見警部の事件簿シリーズ】
『現場の見取り図 大癋見警部の事件簿(ザ・ベストミステリーズ2012収録)』(深水黎一郎著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『大癋見警部の事件簿(番外編)』(深水黎一郎著、光文社刊『宝石 ザ ミステリー2』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

『大癋見警部の事件簿 青森キリストの墓殺人事件』(深水黎一郎著、光文社刊『ジャーロ』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

本作の肝は何と言ってもミステリのお約束をパロディ化したこととそれを逆手に取った大胆なトリック。
ある意味、東野圭吾先生『名探偵の掟』の本格ミステリバージョンと言えそうです。

今回は本『大癋見(おおべしみ)警部の事件簿』に収録された作品のうち、『宇宙航空研究開発機構(JAXA)での殺人』と『薔薇は語る 〈見立て〉の真実』をネタバレ書評(レビュー)。
このノリに「おっ?」と惹かれる物があれば、是非、本作それ自体にチャレンジを!!

ちなみにネタバレあらすじはまとめ易いようにかなり改変しています。
本作をきちんと読まれた方が楽しめる筈。
あくまでノリをご確認頂ければと思います。

<ネタバレあらすじ>

◆『宇宙航空研究開発機構(JAXA)での殺人』

宇宙航空研究開発機構(JAXA)にて殺人事件が発生した。
被害者は研究用の施設内で殺害されていたのだが、現場は密室であった。
果たして、犯人はどのようにして犯行に及んだのか!?

この犯人、実は同じく職員の佐和田であった。
佐和田は部屋の屋根に熱を加えると変形する新素材を採用していた。
変形すれば人が出入り可能な穴が屋根に出来るのだ。
本来は余興の脱出マジック用だったのだが、今回の犯行に活かせることに気付き利用したのであった―――エンド。

◆『薔薇は語る 〈見立て〉の真実』

眼窩から肛門、果ては前立腺まで穴という穴に薔薇を突き立てられた被害者の遺体が発見された。
死因はショック死。
おそらく、薔薇を突き立てられた恐怖と激痛により死亡したようだ。
被害者の携帯は水没させられており、何者かによる陰湿な猟奇殺人が考えられたが……。

携帯のデータを復元したところ、死亡直前の被害者が風俗店に連絡を入れていたことが判明。
その店舗は俗にいう「SMショップ」であった。
まさか……。

読者の脳裏に嫌な予感が過る中、被害者を担当していた風香嬢から意外な事情が明かされた。
被害者にはM嗜好があったのだ。
其処で前立腺と肛門に薔薇を突き立てるプレイに興じていたらしい。
ところが、喜びの余り興奮し過ぎた被害者がショック死してしまう。
そう、事故死だったのだ。
風香嬢は慌てて其処から逃げ出したのであった。

あれ?
では、眼窩や耳に突き刺された薔薇は?

実はこれにも意外な結末が控えていた。
現場保全を行ったのは刑事の安齋(趣味:写真)である。
此処で注目は彼の趣味だ。

後日、安齋が芸術写真で大賞を受賞する。
その作品こそ人体を花瓶に見立てた例の被害者の写真。
そう、安齋は自身の創作意欲を満たす為に勝手に遺体に手を加えていたのである。
眼窩や耳に突き立てたのは彼であった。

当然、安齋はクビになった。
しかし、彼はこの写真がもとで写真家として大成することに。
世の中、何が功を奏するか分からないものなんだなぁ―――エンド。

◆関連過去記事
【大癋見警部の事件簿シリーズ】
『現場の見取り図 大癋見警部の事件簿(ザ・ベストミステリーズ2012収録)』(深水黎一郎著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『大癋見警部の事件簿(番外編)』(深水黎一郎著、光文社刊『宝石 ザ ミステリー2』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

『大癋見警部の事件簿 青森キリストの墓殺人事件』(深水黎一郎著、光文社刊『ジャーロ』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

【その他】
『人間の尊厳と八〇〇メートル(ザ・ベストミステリーズ2011収録)』(深水黎一郎著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『完全犯罪あるいは善人の見えない牙』(深水黎一郎著、東京創元社刊『人間の尊厳と八〇〇メートル』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『特別警戒態勢』(深水黎一郎著、東京創元社刊『人間の尊厳と八〇〇メートル』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『蜜月旅行 LUNE DE MIEL』(深水黎一郎著、東京創元社刊『人間の尊厳と八〇〇メートル』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『五声のリチェルカーレ』(深水黎一郎著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「大癋見(おおべしみ)警部の事件簿」です!!
大癋見(おおべしみ)警部の事件簿





『大癋見警部の事件簿 青森キリストの墓殺人事件』が掲載された「ジャーロ NO.49 冬号 (光文社ブックス 111)」です!!
ジャーロ NO.49 冬号 (光文社ブックス 111)





『大癋見警部の事件簿(番外編)』が掲載された「宝石 ザ ミステリー2」です!!
宝石 ザ ミステリー2





「ザ・ベストミステリーズ2012 (推理小説年鑑)」です!!
ザ・ベストミステリーズ2012 (推理小説年鑑)





『ザ・ベストミステリーズ2011 (推理小説年鑑)』です!!
ザ・ベストミステリーズ2011 (推理小説年鑑)



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