2014年10月16日

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第180話「波濤」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第180話「波濤」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)です!!

登場人物一覧は本記事下部に移動しました。

<東京篇のあらすじ>

北海道編終盤にて未来と異なる道を選んだ大和。
1人東京へ向かい、欽一、泰成と共に沢田と対峙することに。
だが、軽く一蹴されてしまう。

傷心の泰成はいずこかへと姿を消す。
一方、沢田の権力を諦めきれない欽一は葉子を利用しようと目論む。
大和はと言えば、そんな欽一の行動を知り、未来たちを守るべく邪魔者全員を排除しようと決意する。

そんな中、未来は水原の死を知り東京へ。
真玉橋もまた真実を追うべく東京へと向かう。

一方、遂に大和と欽一、二郎が対決。
大和は欽一を破るも二郎に敗北する。
しかし、此処で欽一が錯乱し二郎と相討ちに。
残された大和は駆け付けた沢田により雄大が軍艦島に居ると知らされ長崎へ戻ることに。

東京に残った沢田はすべてを打ち明ける会見を行う。
だが、直後に泰成に射殺されてしまう。
当の泰成も逮捕される。

真実は大和と未来の手に委ねられた。
赴くは軍艦島、其処には雄大が居る。

いよいよ、最終章!!
さまざまな思惑が入り乱れる事件の結末は―――。

<180話あらすじ>

大和と未来は叔父と姪の関係であった。
互いに衝撃を受け言葉を失う2人だが……。

やがて、耐え兼ねたように大和は正面から未来の肩を抱くとボート小屋の床に押し倒した。
「こんなことって許せるかよ」
大和は震えながら呟く。

互いの息と息が触れ合う距離で下から大和を見上げる未来。
大和の大胆な行動に軽い抵抗を示しながらも完全には拒否しない。
そして、大和の本心を尋ねた。

未来の問いにより、衝動に捉われた自身の行動に気付く大和。
そんな大和に未来は「好きだよ」と告白する。
北海道で別れてから素直な気持ちに気付いたらしい。
これを受けて素直な自分の気持ちと向き合った大和もまた「好きだ」と応じる。

折り重なった2人は唇を重ね、身体を重ねて行く―――。

翌朝、未来を残し大和は血塗れの500円札を手に軍艦島へとボートを走らせる―――181話に続く。

<感想>


大和と未来、心重ねて


新章「軍艦島編」第7回です。
サブタイトルは「波濤」。

意味は「大きな波、大波」のこと。
すなわち「実は近親者であった大和と未来の波乱含みの事実」を指すモノか。
とはいえ、2人はこの「禁忌」と言う名の大波を「愛」で乗り越えた。

此の点、意外でしたね。
禁忌を乗り越えることは憚られ、軽いフレンチキス程度で想い出にするとばかり……。
ただし、若い2人の情熱によるものとは言え、これが「愛の成就」を指し示すのか、「刹那の愛」に終わるのかは未だ不明なのが気になるところ。

「愛の成就」となれば、かなり苦しいが大和の出自が覆る可能性もある……のか?
「刹那の愛」となれば、大和は雄大との決着後に姿を消す可能性が高い。
残された未来がこの際の逢瀬で妊娠し出産、1人で力強く子供を育てると言った結末が予想されるが……。

果たして、大和と未来の行く末はどうなるのか?
う〜〜〜む、此処で新たな謎が登場したか。

この謎解明に重要となるのは大和の母親の正体になりそう。
一体、誰なんだ。
そして、どういった経緯で大和が生まれたのか!?
武雄と比しても大和は雄大に似過ぎているほど似てるし。
これには何か理由があるのか……それとも無いのか。
うわあぁぁぁぁぁぁぁ、気になるぅぅぅぅぅ。

そして気になると言えば、大和が握っているカッターナイフ。
おそらく、大和はこれで雄大を手にかけるつもりでしょう。
奇しくも、166話「盟約」にて雄大が沢田にケジメを求めて彼を刺したように。

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第166話「盟約」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

とはいえ、雄大は既に瀕死の状態。
大和が罪を背負う必要は無い。
今回の未来との結び付きが大和の決意を転換させることになるか。

さて、176話により横溝の死の謎は解明、179話で武雄出生の秘密も解明。
こうなると残る謎は次の通りかな。

・雄大が三億円事件を起こした動機(何故、沢田に協力したか)。
・雄大が須黒からどうやって逃れたか。
・大和の母は誰か?
・雄大と大和の結末。
・夏美はどうなる?
・未来たちの去就。

果たしてどうなる!?

此処で登場人物たちの現状をまとめておきましょう。

沢田:雄大との間は決着。三億円事件について記者会見を行うも泰成に射殺される。
雄大:沢田との間は決着。軍艦島へ!?瀕死の状態。
大和:長崎へ帰還。雄大と対決か!?
欽一:大和と対決するも完敗。錯乱し夏美を盾にするも二郎により死す。
二郎:決戦の場へ到着。大和を追い込むも夏美を人質に取られ二郎と対峙。欽一から夏美を守り死亡。
夏美:決戦の場へ到着。欽一に人質に取られる。関口兄弟の終焉を看取ることに……。
未来:テレビ局から事件の真実を訴えようとするも、放送事故として処理され倒れてしまう。真玉橋と合流。
真玉橋:東海林の行動を追い、雄大のもとへ迫る……が先に未来と合流。沢田の最期を目撃。
武雄&葉子:島袋に保護され、沖縄へ?
泰成:復讐が無為だったと諭され傷心するも、記者会見場の衆人環視の中で沢田を射殺。3億円は彼が保管している筈だが……。

でもって、仮説に代わりこれまでの「作中の出来事」をまとめておきます。
良ければ参考までに。

<<作中の出来事まとめ>>

1960年、雄大と沢田は軍艦島に生活。
ところが美佐子が正当防衛の殺人を犯す。
これにより、沢田は世の中に秩序が必要と考える。

数年後、雄大が長崎から上京し竜と出会う。
同じ頃、沢田とも再会。
沢田、須黒と手を組み過激派の一掃を画策。

雄大、和子と出会う。
和子が妊娠するが事故死。
子供は無事出産(武雄のこと)。

雄大、沢田に協力し竜、響子、横溝と共に3億円事件を起こす。
その目的はこの捜査を口実にローラー作戦を行う為。
ところが、須黒が雄大と竜の口封じを図る?
この際、どうやって須黒の魔の手から逃れたかは不明。

竜が瀕死の重傷を負い、須黒を道連れに死亡。
直後、雄大は整形し鳴海鉄也となる。

同じ頃、武雄が施設へ。後に関口弘美が出産した沢田の娘・葉子も施設へ。

雄大、沖縄で鉄也として響子を見守る。

此処から雄大の不明期間が続く。
誰かとの間に大和を作る?

一方、沢田は関口兄弟と出会い彼らを引き取る。

雄大、長崎へ。
目的は息子・武雄が居る小田切家に近付く為。

横溝、鈴木により資金難に陥る。
雄大に分け前を要求するも断られ事故死する。
この死が発端となり、東海林が再捜査を開始。

並行して関口兄弟が雄大を危険視し排除に動く。
沢田と雄大密会するも、雄大偽装死。
同時に鉄也から雄大に戻る。

一方、東海林は真相に迫り二郎に口封じされる(1話での出来事)。

<<終わり>>

こんな感じだろうか?

さて、以前から映像化が予告されていた「三億円事件奇譚モンタージュ」ですが、その詳細が少し明らかになりました。

【朗報】渡辺潤先生「三億円事件奇譚 モンタージュ」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)遂に映像化!!

フジテレビ系列にてドラマ化だそうです。
放送時期や、単発のSPドラマか連続ドラマなのかまでは不明。
とはいえ、本作の内容的に単発でのドラマ化は不可能、連続ドラマが予想されます。
また、2014年9月時点で放送時期が明かされていないところを見ると、早くとも2015年春以降からの放送が予測されますが、果たして……。
いずれにしろ、楽しみです!!

変わって、現在の勢力図はこんな感じ!?

@大和
A雄大
B未来、真玉橋、島袋、響子、ハリー、武雄、葉子たち
C夏美

実にそれぞれの思惑が乱立。
関口兄弟が172話で共に斃れ、176話で沢田と泰成が消えた。
これにより、争いはほぼ大和VS雄大の親子対決に絞られた。
気になるのは夏美の去就もだが……。

とりあえず、今回はここまで。
逃亡し続ける大和と未来の明日はどっちだ!!
181話に期待です!!

ちなみに「三億円事件奇譚 モンタージュ」最新第17巻も発売。
購入希望者は本記事下部のアマゾンさんリンクから是非!!

◆関連過去記事
「ヤングマガジン27号」(講談社刊)より「三億円事件奇譚 モンタージュ」連載開始!!

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◆登場人物一覧

【現代】

鳴海大和:主人公、三億円事件の犯人の息子と呼ばれるが……
小田切未来:大和の幼馴染み、両親の行方不明後は大和と共に逃亡中

鳴海鉄也:大和の父、五つの首(首、手首、足首)を失くした遺体で発見されるが……
小田切武雄:未来の父、突然姿を消した。関口が行方を知っているらしい……。
小田切葉子:未来の母、突然姿を消した。関口が行方を知っているらしい……。

鈴木泰成:未来の両親の後輩、要所要所にて不穏な動きを見せていたが……。104話にて横溝保の息子と判明。
水原:福岡県警所属の巡査。上司曰く「検挙率100%男」。15話より登場。146話にて死亡が確認される。
夏美:泰成の塾の教え子。大和に一目ぼれする。14話より登場。

土門:過去編の土門その人。足を洗い東海林とは友情を築いていた。47話時点では既に死亡している、病死らしい。享年70歳。
土門あきら:46話で登場した土門の孫娘。未来より1つ年下の17歳。

響子:現代編の響子。沖縄にてバーを経営していた。80話より登場。
キャサリン:響子が経営するバーの女給。81話より登場。

ハリー・スタンレー:元海兵の幹部。現在ではヘリコプター会社を営む。95話より登場。
ケニー:現役の海兵。キャサリンに想いを寄せる。

関口二郎:元祖悪徳警官、眼鏡の男の命令に従い大和と未来を追う。172話で壮絶な死を遂げる。
眼鏡男:関口に指示を与えている男、どうも謎の男と同一人物らしい(42話)。88話にて関口の双子の兄・欽一と判明。172話で落命。

沢田幹事長:19話で登場、謎の男を従えているが……。176話で泰成により命を落とす。
謎の男:シルエットのみ登場した沢田の腹心。関口に指示を与える人物と同一人物らしい(42話)。88話にて関口の双子の兄・欽一と判明。172話で落命。
桜井:沢田の部下で黒子の多さが特徴的な男。167話より登場するも171話で命を落とす。
美佐子:沢田の初恋の人で「四季荘」の女将。

松葉杖の男:30話で登場、小田切家を訪ねたシルエットの人物。48話で川崎雄大と判明。

朝霧:46話で登場、沢田の部下らしい。45話で石川を殺害したのは彼。64話で関口に殺害される。

小柳翔太:61話で登場、負傷した大和と水原を助けた。以後、大和と行動を共にする。
茜:61話で名前のみ登場、翔太の彼女で社会人らしい。69話で大和たちを匿う。

真玉橋:ホスト風の男性だが実は警部だった。フェリーにて大和たちと乗り合わせる。
鈴木:泰成の義父。どうにも行動が腹黒い男。105話で死亡する。
関口弘美:沢田と親しいらしい関口兄弟の養母。過去編で沢田が出入りしていた風俗店の店員か?
島袋:沖縄編で登場した刑事。真玉橋の部下。
亀井:県警本部長、それと知らず沢田に情報を提供した。149話に登場。

森田:1話にて関口と共に現われた捜査員。以降、本編に出番なし。
血塗れの男性:元刑事、1話にて殺害される。これは関口の犯行だった。実は過去篇の東海林。
ボート小屋のオヤジ:軍艦島付近でボート小屋を営んでいた。6話で関口に殺害され、この殺人容疑が大和と未来にかかっている。
土居:18話に登場。ミステリ作家兼コメンテーター。三億円を信じていなかった。
島田:5話より登場。関口の部下だったが、19話で失態を犯し関口に処刑された。
夏美の母:関口と男女の関係にある。
水原の祖母:44話より登場。その自宅は東京での大和たちの活動拠点となっている。
石川:東海林の同僚、45話にて登場。同話にて朝霧に口封じされてしまう。
東海林の息子:45話にて登場。東海林の一人息子だが東海林とは折り合いが悪かったらしい。
高野:65話で登場。関口に協力し証拠を隠滅した。69話で関口に殺害される。
高田:128話で登場。北海道の沢田の別荘に居た3人組のリーダー格。
シゲキ:129話で登場。北海道の沢田の別荘に居た3人組の1人。ロンゲ。
トシオ:129話で登場。北海道の沢田の別荘に居た3人組の1人。メカ担当。
石井:162話で登場。テレビ局のプロデューサー。

【三億円事件当時】

川崎雄大:22話より登場。三億円事件では白バイ警官役を演じたらしい。和子との間に一子をもうける。
望月竜:23話(22話は名前のみ)より登場。雄大と共に三億円事件を実行した。
響子ギブソン:竜の恋人。竜と共に土門への対策を練っていた。
土門:地元の顔役(地廻り)。竜と対立するが……
東海林:25話にて登場。土門を追う刑事。雄大の機智に興味を持っていた。後に1話で殺害された老刑事が彼と判明(37話)。
沢田慎之介:26話より登場。竜の顔馴染み&雄大の友人、日本の行く末を憂慮していた。28話にて後の幹事長と判明。
横溝:26話より登場。竜の後輩。
和子:27話より登場。雄大と交際中の女性。雄大との子供を妊娠するも事故死。
和子の子供:28話に登場。雄大と和子の子供。未熟児で生まれた。現代篇の誰になるのか?

健:真理のヒモ、関口兄弟を虐待する。後に関口兄弟に殺害される。89話より登場。
真理:関口兄弟を拾った人物、健の恋人。健同様、関口兄弟に殺害される。89話より登場。

須黒:当時の公安課刑事。強引ながらもかなりのやり手。108話より登場。

ジョージ・スタンレー:ハリーの父。裏社会と繋がり暗躍していたらしい。107話より登場。
ハリー・スタンレー:若かりし日のハリー。当時から響子を知っていた。

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2012年12月「モンタージュ(10) (ヤンマガKCスペシャル)」です!!
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2012年3月6日発売「モンタージュ(7) (ヤングマガジンKC)」です!!
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2011年12月10日発売「モンタージュ(6) (ヤングマガジンKC)」です!!
モンタージュ(6) (ヤングマガジンKC)





2011年9月6日発売「モンタージュ(5) (ヤングマガジンKC)」です!!
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2011年6月6日発売「モンタージュ 4 (ヤングマガジンコミックス)」です!!
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2011年3月4日発売「モンタージュ(3) (ヤングマガジンKC)」です!!
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10月6日発売「三億円事件奇譚 モンタージュ(1巻)」です!!
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本作の作者である渡辺潤先生が描き伝説のラスト(○○○落ち)を迎えた「代紋TAKE2(62)<完> (ヤングマガジンコミックス)」です!!
代紋TAKE2(62)<完> (ヤングマガジンコミックス)





全巻セットはこちら。
「代紋TAKE2 全62巻完結(ヤングマガジンコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]」です!!
代紋TAKE2 全62巻完結(ヤングマガジンコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]





「RRR(10) <完> (ヤングマガジンコミックス)」です!!
RRR(10) <完> (ヤングマガジンコミックス)





◆渡辺潤先生の作品はこちら。


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乾くるみ先生『イニシエーション・ラブ』(文藝春秋社刊)が映画化とのこと!!

乾くるみ先生による名作『イニシエーション・ラブ』(文藝春秋社刊)が映画化されることが明らかになりました。

本記事は『イニシエーション・ラブ』のトリックについて軽くではありますが言及しています。
注意!!


『イニシエーション・ラブ』と言えば内容的に映像化不可能と言われて久しい作品の1つ。
そのまさかの映画化です。

原作『イニシエーション・ラブ』のあらすじは次の通り。

<あらすじ>

僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて……。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説−−と思いきや、最後から2行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず2回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。解説・大矢博子
(文藝春秋社公式HPより)


この映画版です。

監督は堤幸彦さん。
キャストは鈴木役に松田翔太さん、マユ役を前田敦子さん、美弥子役に木村文乃さんとのこと。
2015年公開予定。

ちなみに原作は、先述のあらすじにもあった「最後から2行目」がある為に映像化不可能とされていました。
何故ならば、本作のトリックは世に言う「叙述トリック」だからなのです。

「叙述トリック」とは文章中にある仕掛けを施すことで、読者の誤認を招き登場人物の性別や時系列などを錯誤させる手法のこと。
ラスト付近で作中での正しい情報が明かされることにより「最後の一撃(フィニッシング・ストローク)」効果を与えサプライズを生み出します。
その後、作中に配された仕掛けを振り返ることで読者は驚嘆するのです。
つまり、「叙述トリック」は基本的に小説ならではのトリックと言えるでしょう。

もちろん、同じ「叙述トリック」の作品に映画化の例が無いワケではありません(例えば殊能将之先生の某作品や伊坂幸太郎先生の某作品など)。
とはいえ、本『イニシエーション・ラブ』はその「叙述トリック」によってさらに意外な効果を生じさせている点が名作と称された理由。

映画版ではラスト5分でこのトリックを盛り込むとのこと。
果たして、如何なる映像化となるか……物凄く注目です!!

◆「乾くるみ先生」関連過去記事
『カラット探偵事務所の事件簿2』(乾くるみ著、PHP研究所刊)ネタバレ書評(レビュー)

『六つの手掛り』(乾くるみ著、双葉社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「イニシエーション・ラブ (文春文庫)」です!!
イニシエーション・ラブ (文春文庫)





姉妹編「セカンド・ラブ (文春文庫)」です!!
セカンド・ラブ (文春文庫)





「謎解き『イニシエーション・ラブ』」です!!
謎解き『イニシエーション・ラブ』



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「相棒season13」第1話「ファントム・アサシン〜幻の殺人者は二度死ぬ!?〜協力か対立か…VS国家機密を握る女」(10月15日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「相棒season13」第1話「ファントム・アサシン〜幻の殺人者は二度死ぬ!?〜協力か対立か…VS国家機密を握る女」(10月15日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season13」第1話「ファントム・アサシン」(10月15日放送)ネタバレ批評(レビュー)。

<ネタバレあらすじ>

昏く深い闇の中、国家の威信と存亡を賭けた暗闘が繰り広げられている。
その闇の中では人の命は紙よりも軽い。
吹けば飛び、飛べば失われてしまう。
だが、これは表沙汰にされることは無い。
そして、今日も―――。

サングラス着用の黒服2人組がある家の前で立っていた。
彼らの標的は今まさに帰宅しようと扉の前へと歩み寄った。

標的は彫りの深い白人男性。
彼は自宅の前に「黒いバラ」が置かれているのを見るや、慌てふためき出した。
周囲を窺いつつ、そっと中へと入ると急ぎ足でPCへ。
PCを開けば其処には暗号文が踊っていた。
解読したところ「ただちに帰国せよ」との文字列が得られる。

これを見た男が頭を抱えた。
暫しの逡巡の後、男は決意を固めた様子で動き出した。
手慣れた様子で荷物を片付けると拳銃を鞄に隠し外へと飛び出す。
男はサングラス2人組を横目にバイクに跨ると猛スピードで夜の道路を駆け抜けて行く。

これにサングラス男が遅まきながら気付いた。
息の合ったコンビネーションで車を発進させると、バイクを追うのだが……。

初動の差が勝敗を分けた。
男はアメリカ大使館へ飛び込むと「私はロシア人だ」と叫びつつ、保護を求めた。
これを遠巻きに眺めるサングラス男たち、彼らも口々に「上に連絡だ」と叫んでいる。
これがこれから始まる事件の発端となる亡命騒動の顛末であった。

亡命騒動から数日後、謎の人物が何やらリストを眺めていた。
其処には「小倉健二」なる人物の個人情報が詳細に記載されている。
その翌日、小倉健二は歩道橋から転落死を遂げてしまう。

さらに数日後、謎の人物がリストを見詰めていた。
今度は「慶明大学准教授・日下栄助」なる人物だ。
これに呼応するように、日下はその翌日には絞殺死体として発見されることに。
日下の事件は殺人事件として捜査の対象となった。
早速、伊丹たち捜査一課が動き出したのだが……。

同じ頃、退庁する右京(水谷豊)の前に懐かしい人物が現れた。
飄々とした物腰に、人を喰ったような物言い―――「自称・自由人」こと吉田一郎(松尾貴史)である。
一郎は「ある発見」をネタに、右京に夕食をねだる。

その頃、甲斐(成宮寛貴)と悦子は峯秋との会食に挑もうとしていた。
甲斐との仲を進めたい悦子は思い切って峯秋との会食をセッティングしたのだ。
悦子に押し切られ渋々といった表情の甲斐、その前に峯秋が到着する。
甲斐にとって忍耐が試される時間が訪れようとしていたかに思われたが……。
甲斐にとってはタイミング良く、悦子にとっては悪いことに、右京から「花の里」での夕食のお誘いの電話が甲斐に届く。
峯秋との会食を避けたい甲斐は一も二も無くこれに乗ることに。

数十分後、「花の里」では右京と甲斐相手に一郎が「ある発見」を伝えていた。

何でも歩道橋下を歩いていたところ、キラキラと光る紙をゴミ箱から見つけたらしい。
光る紙はバラバラに引き裂かれており、興味を持った一郎はこれをかき集めた。
すると―――光る紙の表に個人情報らしきリストが現れたと言う。
それは被害者・小倉健二についてのものであった。

小倉健次の死亡現場に被害者の情報と思われる紙が落ちていた。
どうにも怪しい―――。

その頃、謎の人物はまた別のリストに目を通していた。
其処には「若島宏文」なる名前が……。
そして、若島もまた高架下で何者かに殺害されてしまう。

翌朝、米沢のもとに例の紙を持ち込んだ右京たち。
米沢によれば紙の正体は「シークレットペーパー」だと言う。
それは複写を不可能にする用紙らしい。
すなわち、物理的にコピー不可な重要機密を記すに適した用紙なのだ。

なんとも、きな臭い状況になって来た。
其処に峯秋から甲斐に電話が……なんでも甲斐抜きで会食を完遂したらしい。
峯秋は「良い御嬢さんじゃないか」と悦子を褒めつつ「お前たちのことだ、勝手にしなさい」と電話を切ってしまう。
相変わらずの峯秋の態度にムスッとした表情を浮かべる甲斐。

数分後、右京と甲斐は小倉健二殺害現場へ到着。
其処で監視カメラを発見し、中身を確認することに。

それには小倉健二殺害当日の階段下の様子がバッチリ撮影されていた。
小倉は歩道橋上から突き落とされており、カメラの死角となっており犯人は分からない。
だが、その周辺に意外な人物が映っていたのである。
それは「日下栄助」であった。

何かの繋がりを感じ取った右京たちは俄然、本腰を入れ始める。
其処に米沢から連絡が。

例の「シークレットペーパー」から採取された指紋の中に、社美彌子(仲間由紀恵)の物を見つけたのだ。
美彌子は内閣情報調査室総務部門(通称・内調)に在籍する主幹、言わば情報機関のスペシャリストであった。

さらにきな臭さを増す事態に身構えつつも、右京と甲斐は美彌子のもとを訪れる。
早速、回収した「シークレットペーパー」を取り出したところ、美彌子の顔色が変わった。
それは美彌子が保管していた資料の1つだと言う。

確認したところ、ファイルされていたソレが消えていることが判明。
どうやら、コピー不可である為にファイル自体を持ち出した人物が居るらしい。

伊丹たちの捜査が進展を迎えていた。
日下と交際していた女子学生・横田小百合に事情聴取を行ったのだ。
日下に別に妻が居る。
つまり、日下と小百合の関係は不倫である。
伊丹たちは日下のことについて問い質すが……小百合の答えは意外な物であった。

なんと、日下は分不相応なほどの豪遊をしていたらしい。
「財布が2つあるんだ」とさえ、豪語していたようだが……。

さらに、小百合によれば日下は彫りの深い白人(冒頭のロシア人だ!!)と何かの受け渡しを行っていたのだと言う。
受け渡した物は茶封筒で、まるでスパイ映画のようだったそうである。

同じ頃、美彌子は右京たちに冒頭のロシア人の写真を見せていた。
彼の名は「ヤルポロク・アレンスキー」、スパイだそうだが亡命していた。
アレンスキーが亡命したのは直属の上司が汚職で逮捕され、彼自身も疑惑を持たれたからである。
帰国命令が届いたのだが、命の危険を察したアレンスキーはアメリカに亡命したのだそうである。
その後、アレンスキーの協力者7人の名前が明らかになった。

此処で室長の天野がやって来た。
見知らぬ来訪者―――右京たちに驚きつつも天野は美彌子に事情を尋ね、これに許可を出す。
美彌子は続けてアレンスキーについての情報を続ける。

協力者として届けられたリストには7人の名があった。
まず、既に死亡している小倉、日下、若島の3名。
続いて残る4名は次の通りだ。

まず下山秀和、与党代議士である。
次に伊勢光、半導体メーカーの社員。
そして矢部邦仁、自衛官である。
最後に佐々木宏、東京都職員。

天野によれば7人には命の危険が迫っていることを教えたが、誰も耳を貸そうとしなかったらしい。
耳を貸すことはスパイ行為を認めることに繋がるからだ。

こうして、アレンスキーの協力者を狙った殺人事件が明らかとなり内村が乗り出した。
ここぞとばかりにやる気満々の内村、威信を見せつけるべく大々的な捜査が開始された。
下山ら残る4人を囮に犯人を炙り出す計画である。

一方、右京たちは若島の殺害現場が人気の少ない高架下であったことに注目していた。
何故、若島は危険を知りつつ其処に足を運んだのか……?
右京は若島が犯人に誘われたか、待ち合わせの場所として指定されていたのではないかと推理する。
すなわち、犯人と若島は顔見知りとなる。

同じ夜、伊丹たちの監視対象となった矢部が何者かに襲撃を受ける。
慌てて駆け付けた伊丹たちだが、矢部襲撃犯は忽然と消えていた。
周辺を見張っていた者たちの目にも止まらない早業であった。
「まるで幽霊のようだ」と洩らす伊丹。

しかし、矢部は襲撃者を逆に撃退し、その顔を目撃したと証言。
この証言をもとに似顔絵が作成された。
それは白人男性を示していたが……。

右京はこの似顔絵に懐疑的であった。
プロの殺し屋に仕留め損なうなどといったことがあるだろうか。
果たして、矢部は本当のことを述べているのか……。

翌朝、伊勢光が唐突に動き出した。
伊勢は監視班を撒くと、いずこかへと姿を消した。

同時刻、下山、佐々木、矢部たちまで一斉に行動開始。
何処かへと姿を消してしまう。

その頃、美彌子もまた行動を開始していた。
これを追跡する右京たちだが尾行がバレた為に、行動を共にする羽目に。

共に食事を楽しむ右京と美彌子。
右京は保護対象4人が消えた背後に美彌子が居ると指摘する。
美彌子は「安全な場所を用意した」と4人に自主的な避難を行わせたのだ。

美彌子の背後には当然、天野も居ることになる。
当の天野は下山たちを集め、互いに互いを紹介させていた。
嘲笑するように互いのコードネームを挙げる天野。

下山は「ビローナ」こと「烏」。
伊勢は「ジャーバラナカ」こと「雲雀」。
佐々木は「バラビール」こと「雀」。
矢部は「ラースパチカ」こと「燕」。

天野の態度にたじろぐ伊勢たち。
しかし、1人下山だけは動じない。

美彌子の案内で天野のもとへ向かうことになった右京たち。
その車中、甲斐は昨晩の悦子との遣り取りを思い出す。

峯秋との会食を逃げたことで、甲斐は悦子に批判されたのだ。
悦子は「結婚するならば峯秋に祝福されてからでなければ……」と強硬に主張していた。
それは甲斐に峯秋へと頭を下げさせることとなる。
甲斐はこれに悩んでいた。

ようやく天野のもとへ到着した右京たち。
下山たちに引き会わされた途端、美彌子は「あなたたちは国賊です」と痛烈に批判する。
しかし、他の面々と比較して下山はまたも全く動じない。
これに苛立ちを募らせる天野と美彌子。

話を引き取るように右京が推理を述べ始める。
今回の犯人はプロでは無いと断言する右京。
リストを現場に廃棄した手口はプロの犯行ではない。
また、矢部襲撃時の犯行に疑問を呈する。
襲撃犯は煙のように消えてしまった。
まるで人間業では無い、果たして何処に消えたのだろうか……。

これをせせら笑う下山。
右京たちは下山の態度を不審に思うことに。
何故か、下山からは狙われているとの意識に欠けているのだ。
そう言えば、天野が用意した避難場所(別荘)も警護に向くとは思えない代物であった。

その頃、別荘内の下山たちは矢部に促され互いがスパイに手を貸した理由について語り合っていたが……。
唐突に下山が別荘から帰ると騒ぎ出した。
ところが、美彌子を見るなり意見を翻してしまう。
下山は美彌子を見て何かに気付いたようだが……。

下山と矢部、伊勢と佐々木がそれぞれ相部屋となり、いよいよ夜を迎えた。
矢先、下山が姿を消してしまう。
なんと、下山は別荘の外で死亡していた……。

この事態に別荘に伊丹たちが駆け付ける。
下山の死因は撲殺、17時以降18時までが死亡推定時刻になるようだ。

早速、別荘内の人物が容疑者となった。

伊勢は室内で佐々木と居たと証言。
佐々木は室内で寝ていたと証言するも、伊勢については知らないと主張。
矢部は室内で1人。
美彌子は食堂で夕食の準備、天野はロビーで読書していたと証言する。
つまり、誰にもアリバイはない。
これに、伊勢と佐々木は「矢部襲撃犯が別荘にまでやって来た」と騒ぎ出す。

しかし、右京は矢部襲撃が矢部による自作自演だと指摘。
矢部がすべての事件の犯人である故に攪乱を狙ったと叫ぶ。

動揺する矢部に畳みかける右京。
「あくまで矢部は実行犯に過ぎない。指示した人物の名前を明かせ」と詰め寄るが……。

これに矢部は「指示は受けたが殺人は犯していない」と主張する。
矢部の受けた指示は殺人未遂の被害者を演ずることにあった。
そして、その指示者こそ天野であった。

此処に右京は天野こそが全ての黒幕であると断定する。
さらに、小倉、日下、若島殺害の犯人はそれぞれ日下、若島、下山であると断ずる。
実は円環型の不連続殺人事件だったのだ。

小倉殺害は日下の犯行。
日下殺害は若島の犯行。
若島殺害は下山の犯行。

小倉殺害時に現場に居た日下。
何故ならば、日下こそが小倉を殺害した犯人であったからだ。

天野は下山たちの裏切りを許せなかった。
だから、裏切り者たちの手で同士討ちさせていたのだ。
其処で、それぞれの弱味を掴み脅迫し円環状に殺害させた。
最終的には全員を抹殺するつもりだったらしい。
当初、天野は1人ずつ殺害を進める予定であったが、右京が事件であることに気付いた為に4人を別荘に集め事を完遂するつもりだったようである。

そして、下山殺害は天野の犯行であった。

だが、下山殺害のみはどうにも奇妙だ。
この犯行により残る矢部、伊勢、佐々木を抹殺出来ないのだ。
しかも、これに関しては天野自身が手を汚している。

これに対し何事もイレギュラーだったと主張する天野。
天野には裏切り者に対し苦い記憶があった。
過去、ノンキャリの内調プロパーが情報を売り渡していたが法で罪に問えなかったのだ。
無力感に苛まれた天野は裏切り者たち自身の手による粛清を企んだのであった。

翌日、右京は下山殺害について天野の犯行で間違いないとしつつも、その隠された動機がある筈と述べる。
右京たちは美彌子を訪ね、これを問い詰める。
しかし、美彌子はこれを軽くいなす。

数時間後、天野のもとを美彌子が訪れた。
天野は美彌子の為に下山を殺害したと匂わせるようなことを打ち明ける。
それは美彌子の将来を守る為でもあったらしい。

「君ならこの国を守れる……そう思ったからこそだ」
熱く語る天野にそっと頷く美彌子は自身の異動について伝える。
警視庁への出向だそうである。
これを聞いた天野は心底嬉しそうに微笑む。

「いつか返せるときが来たらご恩返しします」
呟くと美彌子はそっとその場を立ち去った。

実は美彌子もまたアレンスキーと関係があったのだ。
そう、美彌子はアレンスキーの恋人であった。
これを下山に脅されたらしい。
其処で美彌子の為を想った天野が口封じすべく下山を殺害したのだ。

同じ夜、悦子は甲斐相手に結婚の条件を改めて提示していた。
すなわち、峯秋と和解すること。
これが果たされなければ結婚は考えられないらしい。
この難題に頭を抱える甲斐。

数日後、美彌子は警視庁広報課へ異動し広報課長となった。
さらに峯秋とも密かに連絡を取り合っていた。
どうやら、顔見知りらしい。
峯秋は特命係について「有用だが使い方を誤れば足元を掬われる」と評するが……。

帰宅した美彌子に彼女の愛娘が駆け寄る。
その子供は金髪に青い目を持ったハーフであった。
それが意味するところは……アレンスキーと美彌子との間に出来た娘なのだ。

一方、右京たちは天野による下山殺害の動機を突き止めるべく動いていた。
果たして右京たちは美彌子の秘密に辿り着くことが出来るのか否か。
それはまだ分からない―――第1話了。

<感想>

シーズン13第1話。
脚本は輿水泰弘さん。

サブタイトルは「ファントム・アサシン」。
直訳すれば「幻の暗殺者」ということで「そもそも存在しない殺し屋」となります。
それは矢部襲撃犯のことであり、小倉や日下たちを殺害した「幻の犯人」とも言えるでしょう。
何しろ、小倉を除けば犯人は被害者自身だったことになるのですから。
実態はすべての黒幕・天野による円環状の不連続殺人となるワケですが、実行犯の円をずらせばすなわち自身を殺すのもまた自身となるワケで、その点でも「幻」と言えるでしょう。

それにしても……なんとも初回から評価が難しい作品になりましたね。

天野の犯行は右京さんからは「歪んだもの」とされていましたが、だからと言って情報漏洩に対し手をこまねくべきではないことは一理あります。
此の点では、下山殺害までの天野の動機は「母国愛」の裏返しとでも言うべき物でした。

ただ、此処からが問題なのですが判断の主体が天野個人であったことの弱点が表面化します。
下山殺害です。
その動機はアレンスキーと通じた美彌子を庇う為でした。

ラストに登場した美彌子の娘はアレンスキーとの間の子供でしょう。
つまり、美彌子も下山たち同様にアレンスキーと通じていた。
確かに美彌子とアレンスキーは純愛なのかもしれない。
だが、美彌子がふとした拍子に洩らした情報がアレンスキーによって悪用されないとは言い切れない。
むしろ、それが狙いで近付いていた可能性が高い。
アレンスキー自身にその気が無くてもその周囲により悪用される恐れがある。
子供が居れば、子供自身の安全も含めてなおさら危険だ。

だとすれば、それこそ天野が忌み嫌う「裏切り者」に美彌子も該当すると思うのですが。
まさに下山たちと同じ存在です。
ところが、何故か天野は美彌子だけは特別としてこれを許してしまう。
天野にとって美彌子の娘の存在を知らないとしても下山の発言からアレンスキーとの関係は悟っていた筈。
なのに何故、美彌子だけは特別なのか……。

これが「裏切り者か否か」判断の主体が天野にあったことによる問題点と言えるでしょう。
其処には天野の主観が介在する余地がある。
故に公正を著しく欠きかねない。
まさに、これこそが右京さんが指摘した「歪んだ優越感」なのでしょうが……。

それとも……あるいは視聴者は知らないが、天野だけが知る美彌子にとっての何らかの事情が存在するのか。
どうも、美彌子は今シーズンのキーパーソンとなる!?

此の為に、本作単独では評価が難しいと言わざるを得ません。
どうにも、本作はラストでの美彌子の処理の仕方といい続編があるような気がしてなりません。
ちょうど「相棒シーズン6」での石橋凌さん演じる三雲判事(1話「複眼の法廷」と最終話「黙示録」)のように本作も美彌子を通じて「シーズン13」の最終話に繋がる物語なのかもしれません。
だとすれば、余計に本作単独では評価出来ないなぁ……。

でもって、本作を視て「エレメンタリー」が浮かんだ。
なんとなく、父親との会食を避けるのが「6話 危険なフライト」で、スパイをテーマにした点が「11話 命の洗濯」を思い出したからだろう。
特に、冒頭の甲斐が峯秋との会食を避ける様子は「エレメンタリー」でのホームズっぽかった。
まぁ、これに限ったことではないんだけど……「エレメンタリー」のホームズが父親を避けるところと、悦子がワトソンのようにホームズと父親との仲を取り持とうとするところがイメージ的に重なったんだろうなぁ。

そんな甲斐と悦子には結婚が迫る。
薫ちゃんと美和子の頃を思い起こさせる遣り取りだったなぁ……。
あっちも紆余曲折あったけど、甲斐たちはどうなる!?

そして、キャスト的に高評価。
美彌子役の仲間由紀恵さんも好演でした。
そう言えば、天野役を演じた羽場裕一さんは「相棒シーズン4」17話「告発の行方」でも代議士秘書・赤枝文和役で出演されていらっしゃいます。
同作は2006年2月15日の放送なので、実に8年ぶりの「相棒」だったのか。
こちらも良かった。

ああ、天野でふと思ったことを1つ。
天野計画はいわゆる円環状の不連続殺人で良いと思うんだけど、最後に残った1人は自身で手を下すつもりだったのかなぁ……。
だとすると、円環状にはならないのか。
どうなんだろ。

さて、今年も「相棒」のシーズンがやって来ました。
次回は如何なる事件が彼らを待つのか―――注目です!!

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