日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season13」第4話「第三の女」(11月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)。
<ネタバレあらすじ>
その日、捜査一課に激震が走った。
なんと、内村の命により伊丹(川原和久)と芹沢(山中崇史)に三浦に次ぐ「相棒」が出来たのだ。
その名は浅木真彩警部補(原田夏希)。
彼女は警察庁から転属して来たのである。
なんでも、伊丹たちに憧れて異動を希望したらしい。
時期も経緯も、まさに異例中の異例であった。
真彩は早速、ビルの屋上から転落死した身元不明女性の捜査に参加する。
憧れていた割には伊丹たちに素っ気ない真彩。
ビルに到着するや否やさっさと屋上へと向かってしまう。
慌てて追いかける伊丹たち。
すると、屋上には伊丹たちが苦手とするあの人たちが……。
そう、右京(水谷豊)と甲斐(成宮寛貴)だ。
右京たちも既に捜査に乗り出していたのだ。
右京はビル内の防犯カメラの映像から被害者が内部に詳しい人物と推理。
其処からビルを管理する「シルバー警備保障」の人間ではないかと考える。
「まさかぁ〜〜〜そんなことあるワケ」と否定しようとする伊丹。
ところが、真彩は「なるほど、鋭い推理です」と右京の言を認める。
思わぬルーキーの登場に右京は目を細めるが……。
この右京の推理は的中。
被害者は「シルバー警備保障」に勤務する名取恵子(菅原あき)であった。
恵子は元警察庁の刑事で退職後に再就職を果たしたらしい。
恵子宅を調べた右京たちは、彼女が女性刑事のパイオニア的存在であることを知る。
警察庁生活安全局に所属し多くの活躍後、2007年には警察学校の教官として後進の指導に励んでいたようだ。
と、右京は恵子宅のテーブルの上に「シルバー警備保障」の官製談合についての記事を認める。
タイトルは「治安利権の闇を暴く(前編)」、記者は日向義久となっていた。
内容はかなり詳細なものとなっており、内部告発者の存在も匂わせていた。
早速、日向を訪ねた右京たちは人目を避けるように、日向が普段から密談に用いる喫茶店に案内されることに。
やっと人心地ついた様子の日向はアイスコーヒーを注文。
店の印の入ったコースターの上にアイスコーヒーを置くと、右京について告発者の正体を明かし出した。
その正体は……やはり恵子であった。
その昼頃、右京は米沢に彼が管理している恵子の遺留品が紛失していると指摘する。
これに真っ赤になって反論する米沢は絶対に有り得ないと繰り返すのだが……。
右京が指摘した遺留品は恵子が所持していた鍵であった。
右京が目にしたときに5本あった鍵が1本減り4本しかないのだ。
しかも、丁寧なことに写真データも4本分しか残されていなかった。
あくまで認めようとしない米沢だが、右京は3本目と4本目の間の通しナンバーが抜けていることに気付く。
もしも、盗み出されたのだとしたら……。
右京は真彩の犯行を疑う。
こうして真彩の経歴を調べた右京。
すると、彼女が2007年に警察学校を卒業していることが判明。
そう、2007年と言えば恵子が教官を務めていた時期だ―――。
恵子の同期を調べた右京たち。
当時から恵子は女性警官のパイオニアと呼べる存在だったらしい。
そんな恵子に真彩も憧れていたそうだが……。
右京は真彩の急な異動に不審を抱き調べることに。
内村に不満を抱える中園経由で聞き出したところによると、なんでも真彩は警察庁の勅使河原課長からの依頼を受ける形で内村が引き受けたらしい。
これまた異例中の異例であった。
早速、勅使河原に当たることに。
だが、勅使河原は「本人の希望です」と繰り返すばかり。
恵子が暴こうとしていたとされる談合についても全く知らないと主張する。
その頃、真彩は「シルバー警備保障」の社長を執拗に追及し談合と恵子殺害について認めさせようとしていた。
この姿を目にした甲斐は「意外だ」と洩らすことに。
てっきり談合の事実を揉み消す為に真彩が派遣されたと考えていたのだ。
ところが、真彩は逆に談合を暴こうとしている。
そんな中、米沢が鍵を紛失していたことを認めた。
残されたデータを復元したところ消去の痕跡があったと言う。
やはり、右京の指摘通り鍵は5本あったのだ。
失われた5本目は復元された画像データを見る限りロッカーの鍵のようだが……。
「シルバー警備保障」に赴いた右京が鍵に対応する12番のロッカーを調べるとDVDが残されていた。
中身は「シルバー警備保障」が担当した防犯カメラの配置データ。
まさに「秘中の秘」である。
右京たちはデータに基づき目印をチェックして回る。
すると、映像記録に残らずに殺害現場に辿り着けることが明らかになる。
どうやら、恵子殺害の犯人も同様のルートを駆使し映像に残らずに犯行に及んだようである。
だが、このデータは部外秘であり早々に触れられる物ではない。
犯行可能な人物は限られて来るが……。
右京は真彩に異動の真意を問うことに。
警察学校中、真彩は同級生のイジメを見かねてイジメを行った者を叩いた。
これが問題行動となり、真彩は一時退学まで検討されていた。
そんな真彩を庇ったのが教官だった恵子だったのだ。
恵子により真彩は退学を免れたのである。
以来、真彩は恵子を尊敬し彼女に憧れを抱き続けた。
勅使河原はそんな真彩の事情を知りつつ、彼女にある命を下した。
勅使河原は防犯カメラの配置データが既流出しているとの情報を入手していた。
矢先の恵子の死である。
もしも恵子経由で流出したとなれば退職者とはいえ問題になる。
其処で真彩を派遣し鍵を盗み出させ、事態の隠蔽を目論んだのだ。
真彩は恵子のことを信じてはいたが、この命に背くことが出来なかったのである。
だからこそ、命に従った上で恵子を殺害した犯人を捕まえようと奔走したのだ。
恵子を殺害した犯人こそ、データ流出の犯人に違いないと考えたようだ。
その夜、角田が逮捕した薬物の売人から例の防犯カメラの配置データが発見された。
どうやら、防犯カメラ映像の穴を突いて売買を行っていたらしい。
このデータを確認した右京は其処にある特徴的なモノを見出すことに。
翌朝、恵子殺害現場に日向が呼び出されていた。
右京は恵子殺害が日向の犯行であることを指摘する。
そして、配置データを流したのも日向だったのだ。
その証拠は右京たちが日向から話を聞いた際に喫茶店で用いられたコースターにあった。
角田が検挙した売人から手に入れた配置データ、其処にはコースターの印がバッチリと映り込んで居たのである。
日向は恵子から談合の告発を受けた。
その証拠として印刷した防犯カメラの配置データ資料を見せて貰うことに。
恵子はその場で回収するつもりであったが、これを見た日向が悪心を起こした。
わざと水を零すと、恵子にトイレへと向かわせたのである。
その隙に資料をデジカメで盗み撮ったのだ。
だが、この際にコースターの印が透けて映り込んだのであった。
さらに、右京たちの追及は続く。
甲斐は犯行現場の向かい側のビルを指差す。
其処には現場に向けられた防犯カメラが光っていた。
「なん……だと……」
見るなり絶句する日向。
それもその筈、防犯カメラの配置データではカメラの向きは逆だったのだ。
だからこそ、このビルの屋上を現場に選んだのである。
「あれ、設置時だけだったんですよ。オーナーさんに言われて向きを変えたんです」
甲斐はさらりと言ってのける。
甲斐の言葉が真実なら、日向の犯行は全て撮影されていたことになる。
これを聞いた日向は罪を認める。
あの夜、恵子は設置データが流出していることに気付き売却したことを認めるよう日向に詰め寄った。
日向は殺意を隠しつつ、屋上から自殺する素振りを見せた。
これを止めようと無防備に近付いて来た恵子を突き落とし殺害したのだ。
「まさか、カメラに映ってたなんて……」
「映ってませんよ。あれ、さっき向きを変えたんです」
膝を着き愕然とする日向に、しれっと言い放つ甲斐。
「まぁ、いずれにしろ取引相手が捕まれば分かることでしょ。それに……」
「あなたに騙された名取さんの悔しさはこんなものじゃなかったと思いますよ」
日向に対し痛烈な皮肉を浴びせる右京たちであった。
こうして、日向は逮捕されることに。
その昼、真彩は勅使河原に対し談合で「シルバー警備保障」に捜査の手が入ると報告していた。
直後、勅使河原は「シルバー警備保障」へ向けて走り出す。
例のロッカーに駆け込むと真彩に盗み出させた鍵を用いてロッカーを開けるが……其処には何もない。
狼狽する勅使河原の前に右京と甲斐が現れた。
右京の手には勅使河原のお目当てのDVDが握られていた。
そう、防犯カメラの設置データが収録されたソレだ。
右京によれば、このDVDには管理番号が振られており誰の所持品か分かるようになっているらしい。
右京がロッカーで手に入れたDVDの管理番号は勅使河原のものであった。
関係者としてデータを渡された勅使河原はその足でキャバクラに赴き泥酔、データを紛失していたのである。
此のデータは巡り巡って恵子の手に入った。
勅使河原が真彩を派遣した真の狙いは鍵を手に入れさせること。
そしてデータを回収し、紛失の事実を隠蔽することにあったのだ。
すべてを聞いていた真彩は恵子の意志を継ぐことを決意する。
真彩は警察を退職することに。
こうして、捜査一課第三の女は去って行ったのであった―――第4話了。
<感想>
シーズン13第4話。
脚本は徳永富彦さん。
サブタイトルは「第三の女」。
「相棒」で「第三の男」と言えば「特命係第三の男」こと陣川君。
そんな「特命係第三の男」に比べると、捜査一課には「第一の女」も「第二の女」も居ない筈なので何故いきなり「第三の女」なのかが少し気になりますが、どんなストーリーだったのでしょうか。
では、感想を。
全体的に面白かったように思います。
感じたテーマは2つ。
まず「職権の意味」。
これは職権を重んじ其処に利益を得ようとした談合を告発しようとした恵子。
そんな恵子とは逆に職権を悪用し配置データを得た日向。
同時に職権を用い真彩を利用しミスを隠蔽しようとした勅使河原。
そして、勅使河原に命じられ職権を悪用し鍵を盗み出したものの、恵子の意志に気付き退職した真彩による。
次いで「地位に相応しい人品とは」。
具体的には「地位は性別や容姿ではなく人品や能力により決められるべき」とのメッセージ。
これも日向と勅使河原から。
日向は真実を伝えるべき記者としてあるまじき行為に及んだこと。
そして、恵子を攻撃していた勅使河原だが、そんな彼こそが部外秘データをキャバクラに置き忘れておりどう見てもその地位に不適であるように思われること。
ただ、これに繋がる勅使河原のラストがミステリ的には蛇足の感あり。
あれで日向以外にも勅使河原経由での流出(キャバクラで忘れた後に何者かがデータをコピーした可能性)が有り得ちゃうワケだし。
DVDを回収していた恵子がこれを考えなかったのは不自然。
これを回避するには恵子自身が右京同様にコースターに気付かないといけないのだけど、あれはあくまで日向経由で出回ったデータを目にしないと気付けないだろうし。
それに気付いていれば、屋上で日向に詰め寄った際に用いているだろうし。
だから、此の点が些か不満かなぁ……。
それと、犯人を落とす決め手となったのが3話のメモリーカードに続き今回もブラフだったのがなぁ。
流石に2週続くと爽快感はあまりないかなぁ……。
ロジックで詰め切って欲しかった。
ちなみに、日向で義久だと島津義久を思い出したりした。
まぁ、島津は薩摩が本拠地だけど。
とりあえず、今週もきちんと視聴出来たことが何より嬉しい。
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