2014年11月13日

『消えた脳病変』(浅ノ宮遼著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.67 OCTOBER 2014』掲載)

『消えた脳病変』(浅ノ宮遼著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.67 OCTOBER 2014』掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

患者の脳病変が消えた。新たな担当講師となった男性からの難問に学生たちは……。第11回ミステリーズ!新人賞受賞作
(公式HPより)


<感想>

舞台はとある医大の講義室。
其処で講師はある患者について語り出す。
彼女には脳病変があったのだが、ある日を境に消えてしまったと言うのだ。
果たして、何故、消えたのか―――その謎に学生たちが挑む!!
その真意とは!?

そんな本作は「第11回ミステリーズ!新人賞」受賞作です。

「第11回ミステリーズ!新人賞」受賞作発表!!栄冠は浅ノ宮遼先生『消えた脳病変』に!!

第11回は応募総数592編、佳作が選ばれなかったので票が割れることなくその頂点に立った作品と言えるでしょう。
事実、選評を読んでみても選考委員の票が本作に集中していたことが分かります。

その専業的なテーマと登場人物たちが討論することによって生じる『毒入りチョコレート事件』的な二転三転する真相が高い評価を受けた様子。
ロジックも精緻であったとの評もありました。

実際、読んでみるとかなり完成度が高い。

西丸豊―――この名前、シリーズ化されそうですね。
作中の榊同様に「覚えておかねば」と言うべきでしょう。
さらに、辻村も。
おそらく、本作が単行本化される際には西丸が探偵役で辻村がワトスン役の連作短編になるのかもしれない。
今後も要注目です!!

なお、『消えた脳病変』は単品で電子書籍でも発売されているようなので、興味をお持ちの方はチェック!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
辻村:医学部の学生。
榊:医学部講師。
西丸豊:???

医学部の学生・辻村たちが講義を待つ教室に、新たな担当講師・榊が杖を突きつつ現れた。
榊は医学生の心得を教えるとして、ある女性患者について語り出した。
その患者には大きな謎があるらしい。

榊が担当した患者には脳病変があった。
患者には姉が居り、いつも付き添っていた。

ところがある日、患者が1人で榊を訪れて来た。
不審に思いながらも榊が検査を行ったところ、事態が急変する。
採血検査の直後に患者が倒れてしまったのだ。
もしや脳病変が原因なのか……これを機に調べたところ確かにあった筈のソレが消えてしまったのだ。

榊はこの謎を解き明かすよう学生たちに告げた。

辻村を始め、学生たちは様々な意見を述べて行く。
手術ではないか?
もしや、脳病変を上回る腫瘍ではないか?
あるいは、新技術・ガンマ線治療による成果ではないか?

しかし、榊は学生個人の外見的な特徴を取り上げ揶揄しつつ、それらすべてに首を振る。
そもそも患者には手術などが行われた形跡はないらしい。

やがて、皆が皆、当初の雰囲気とは打って変わって押し黙って行った。
そして、諦めムードが漂い始めた。

そんな中、1人の学生が口を開いた。
彼は告げる―――もしかして、先生は人の顔が認識出来ないのではありませんか、と。
榊は杖を突いている。
過去に脳卒中を患っているのだ。
しかも、わざわざ1人1人学生の外見的な特徴を取り上げていた。
あれに意味があるとすれば……榊は人の顔が区別出来ず特徴で辛うじて判断していたのだ。

これに満足げに頷く榊。
学生は続ける。

だとすれば、榊には女性患者の顔も見分けられていなかったことになる。
もしかして、患者が入替っていたのではないか。

つまり、榊が人の顔を見分けられないことに気付いた患者の姉が騙りを行ったのだ。
狙いは障害年金だったと言う。
患者本人は受給を拒否していたが、家族は本人の為にも受給すべきと考え申請手続きを行う為に成り済ましたのだ。

ところが、血液検査が行われると聞いた姉は驚き慌てた。
何しろ妹ではない、与えられた薬を飲んでいないのだ。
其処で慌てて薬を飲んだ為に、飲みなれない薬に影響が出て倒れてしまったのだ。
そして、検査が行われ自然に脳病変が消えるとの不可思議な事態に繋がったのだ。

榊は正答に辿り着いた学生に名前を問う。
学生は「西丸豊です」と答えた。
これに「覚えておく」と応じる榊。

続いて榊は語る。
今回の問いは医者として患者を想い、諦めることなく最後まで考えることの大切さを説いたものだったのである。
これを聞かされた辻村は西丸に対し、羨望ともつかない嫉妬を覚えるのであった―――エンド。

◆関連過去記事
「第11回ミステリーズ!新人賞」受賞作発表!!栄冠は浅ノ宮遼先生『消えた脳病変』に!!

『消えた脳病変』が掲載された「ミステリーズ! vol.67」です!!
ミステリーズ! vol.67





キンドル版「消えた脳病変 (第11回ミステリーズ!新人賞受賞作)」です!!
消えた脳病変 (第11回ミステリーズ!新人賞受賞作)





posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

水曜ミステリー9「ソタイ 組織犯罪対策課〜この男、危険なり! 大追跡…拳銃密売!緊迫のガサ入れ!死体の足首に五彩色の紐?犯罪都市“六本木”の治安を守る強面刑事」(11月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「ソタイ 組織犯罪対策課〜この男、危険なり! 大追跡…拳銃密売!緊迫のガサ入れ!死体の足首に五彩色の紐?犯罪都市“六本木”の治安を守る強面刑事」(11月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

組織犯罪対策課・通称ソタイとは、凶悪・多様化する国際犯罪組織や暴力団が関与する事件を迅速に摘発するために設置された部署。目下、強盗・暴行・架空請求などの犯罪を繰り返すグループ“半グレ”の撲滅を目指している。
六本木署のソタイの中でも一際強面の二本松進(遠藤憲一)は、ヤクザの杉崎義弘(河本ダタオ)と、拳銃を売りつけた中国犯罪組織の若頭・劉周徳(安藤彰則)を捕える。半グレとの関係を吐かせようとするが、いずれも口を割らない。

夜の六本木を歩く二本松の前に、彼が雇う情報提供者でシンガーの麗麗淡(Sharo)が現れる。慌てる麗についていくと、廃ビルにガムテープでぐるぐる巻きにされた死体が転がっていた。被害者は4年前に架空請求詐欺の受け子をして逮捕された半グレの中田良一(勝也)。別の場所で殺害されビルに遺棄されたようだ。捜査本部に入って動くことになった二本松は、六本木一帯で勢力を伸ばす中国系グループの捜査に当たるよう、管理官の根本信一(村田雄浩)から指示される。また異動してきた空手三段の比屋根真里(とよた真帆)と組んで捜査することになるが、めぼしい情報がつかめない。捜査一課に野次られやる気をなくす二本松に、課長の作田豊松(平泉成)は「あいつらをとことん利用しろ」と喝を入れる。

そんな中、真里は本当に中国系グループの仕業なのか疑問を抱き、二本松もまた同じことを感じていた。奮い立った二本松は、少々手荒なソタイのやり方で劉から違法拳銃の売買を認めさせる。劉は盗難車を解体する違法ヤードの所有者・張文国(丹古母鬼馬二)に杉崎を紹介されたという。張を叩けば何かがわかると踏んだ二本松は、根本に情報を提供。捜査本部が張を追求している隙に、裏に隠された確信に迫ろうとする。

中田の殺害場所らしきヤードが千葉で発見された頃、二本松は中田と前後して逮捕された半グレの男が、オレオレ詐欺の掛け子になっていることを突き止める。真里と共に男が出入りするアジトを張り込んだ末、彼らが使う携帯電話を入手。履歴から辿りついたNPO法人ピープルハンドへ向かう。外国人研修生を様々な職場に派遣しているというが、二本松は全て中国語表記になっているパンフレットに目が止まる。さらにクラブの非常階段で若い男と立ち話する中田を目撃した麗の証言により、その若い男がピープルハンドのスタッフ・青山瑛士(市川知宏)であると判明。さらに二本松はピープルハンドと千葉のある繋がりに気づく。

中国マフィア・ヤクザ・半グレとの銃撃戦に大乱闘!何でもアリの危険な男が命を張って捜査に挑む!遠藤憲一主演の新シリーズ!
(水曜ミステリー9公式HPより)


では、続きから(一部、重複アリ)……。

二本松進は六本木署の組織犯罪対策課・通称ソタイに所属している。
ソタイとは「凶悪・多様化する国際犯罪組織や暴力団が関与する事件を迅速に摘発する」為に設置された部署で強盗・暴行・架空請求などの犯罪を繰り返すグループ“半グレ”の撲滅が任務である。

そんなある日、二本松は情報提供者からの連絡で死体を発見する。
被害者は4年前に架空請求詐欺の受け子で逮捕された中田良一。
どうやら、別の場所で殺害され運ばれたようだ。

この中田殺害で捜査本部が設置。
管理官の根本信一の指揮のもと、二本松も捜査に携わることに。
二本松の相棒となったのは空手三段の比屋根真里。

真里は二本松に批判的な態度を取るのだが……二本松の境遇を知り和解する。
過去、二本松は捜査一課に所属していた。
あるとき、二本松は潜入捜査を行い、信頼を勝ち取る為に刺青を入れた。
潜入捜査は成功し組織を壊滅させたのだが、刺青がある二本松は刑事として相応しくないと判断されてしまったのだ。
其処でソタイに入ったらしい。
これを聞いた真里は二本松に協力するように。

そんな中、二本松はNPO法人ピープルハンドに目を付ける。
ピープルハンドの主催者・梁紅華によれば、外国人研修生を様々な職場に派遣しているらしいが……。

二本松はピープルハンドが青山瑛士と言うスタッフを追っていることを突き止める。
こうして、二本松たちも青山の行方を追うことに。
ところが、ピープルハンドが先んじて青山を捕まえてしまう。

同じ頃、千葉の海岸では周花なる研修生の他殺体が浮かんでいた。
これを知った研修生の1人・花琳は隠れていたカラオケボックスで怯えるのであった。

実は、花琳は青山と共にピープルハンドから逃げていた。
ピープルハンドは研修生を契約で縛ると、格安な労働力として劣悪な環境のもとに派遣していたのだ。
青山はこの監視役を命じられていた。
そして、中田もまたピープルハンドに雇われた監視役だったのだ。

そんなある夜、中田が花琳に暴行しようと企んだ。
これを止めようとした青山が中田を押したところ、打ち所が悪かったのか動かなくなってしまったらしい。
其処で2人で逃げ出したのだ。

青山が捕まったことを知った花琳は二本松を頼り、青山を助けて欲しいと依頼する。

こうして、二本松と真里が乗り出し青山は助け出された。
青山は中田を殺したと罪を認めるが、二本松はその過程に疑問を抱く。
改めて調べたところ、真犯人は梁紅華とその部下であった。
中田は青山に押され気絶していたところを役立たずと判断され殺害されたのだ。
もちろん、周花殺害も彼らの犯行だ。

梁紅華の罪が暴かれ逮捕されることとなった。
ところが、さらに黒幕が居ることが判明。

黒幕は大河原なる男性であった。
しかし、大河原は口封じで殺害されていたのである。

闇の深さに戦慄する二本松。
だが、必ず真相を突き止めると宣言する。
これに協力を約束する真里であった―――エンド。

<感想>

新シリーズ「ソタイ 組織犯罪対策課」第1弾。
原作なし、オリジナル作品です。

最近になって「組織犯罪対策課」をテーマに取り上げる作品が増えたように感じます。
例えば原作自体は相当前ですが先頃ドラマ化された『アウトバーン』。
例えば本城雅人先生『ジーノ 渋谷署組織犯罪対策課刑事』。
他にも集英社刊『グランドジャンプPREMIUM』に連載開始された大沢俊太郎先生「DIVER -組対潜入班-」。
いろいろ増えて来ましたね。
本作もその流れに乗ることが出来るか!?

土曜プレミアム「アウトバーン〜マル暴の女刑事・八神瑛子〜米倉涼子主演最新作 大人気ミステリー小説ドラマ化!連続殺人犯VS手段選ばない美しき一匹狼!裏には哀しき過去…驚愕の黒幕は(〜組織犯罪対策課 八神瑛子〜)」(8月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「組織犯罪対策課 八神瑛子シリーズ(アウトバーン、アウトクラッシュ、アウトサイダー)」(深町秋生著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)

では、ドラマの感想を。

全体的に「東映Vシネマ」のノリを2時間サスペンスに持ち込んだみたいな感じでした。
とはいえ、バイオレンスとサスペンスには和合性もあるのでなかなか良かった印象。

ちなみに公式あらすじでは「裏に隠された確信に迫ろうと」になってますが「核心」ですね。
管理人も誤字はよくやるので分かります。

それとNPO法人の名前が「ピープルハンド」ってのも凄いな。
直訳すると「人手」だもんなぁ……。
まさに「名は体を表す」か。

キャストとしては二本松役の遠藤憲一さん、味があって良かったですね。
他にも真里を演ずるとよた真帆さんのアクションが凄かったですね。
それとライバル役の根本を演じた村田雄浩さんも良かった。
全体的にインパクトのある作品でした。

<キャスト>

二本松進:遠藤憲一
比屋根真里:とよた真帆
根本信一:村田雄浩
深野仁美:中島ひろ子
麗 麗淡:Sharo
青山瑛士:市川知宏
梁 紅華:李丹
花 琳:小宮有紗
大河原悠希:趙a和
日下部勇:小川隆市
客引きのボブ:アントニー
劉 周徳:安藤彰則
陣内和明:金剛地武志
土屋ヒロキ:児玉拓郎
作田豊松:平泉成 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)


「ジーノ 渋谷署組織犯罪対策課刑事」です!!
ジーノ 渋谷署組織犯罪対策課刑事



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