<あらすじ>
西之園萌絵(武井咲)は、従兄で有名作家の大御坊安朋(小松和重)から緊急事態だと連絡を受け、彼が主催するイベント会場にやってくる。そこは模型とフィギュアが展示された「モデラーズフェス」で、有名モデラーや造形師が作った作品にマニアが集まり、雑誌記者の儀同世津子(臼田あさ美)も取材に来ていた。
そんな会場の控室で大御坊は萌絵に、SFのコスプレスーツを着てくれと頼む。それを着るはずだった筒見明日香(山川紗弥)と連絡が取れなくなったため、萌絵に代役としてイベントに出てほしいと言う。
同じ頃、犀川創平(綾野剛)も喜多北斗(小澤征悦)と会場にいた。ふたりは大御坊の中学高校の同級生で招待されていたのだ。
大御坊の頼みを断り切れなかった萌絵は、渋々スーツを着ることに。するとそこへ、明日香の兄の紀世都(中島歩)が来て「寺林」を知らないか、と大御坊に尋ねる。寺林が第二控室の鍵を持ったまま連絡が取れないので、みんなが困っていると言う。
そんな時、廊下から悲鳴が聞こえ駆けだした萌絵は、守衛によって開けられた第二控室を覗く。そこには、頭部が切断された明日香の遺体があった。さらに近くには出血して倒れている男――寺林高司(山本耕史)がいた。
そこへ、鵜飼大介(戸次重幸)と片桐誠人(坂本真)が駆け込んでくる。鵜飼は別の事件の容疑者となっている寺林を探していたのだ。一方、萌絵の視点は、鵜飼の後ろにいた犀川に釘付けになる。
(公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……
有名作家・大御坊安朋が主催する「モデラーズフェス」が公会堂で開催された。
まさに其処は多種多様、地球防衛軍が居るかと思えば鉄道模型が並ぶなど、独特な世界観を創出していた。
さて、その会場に我らが西之園萌絵も居たのである。
しかも……肌の露出も際どい未来戦士風の衣装を身に着けて。
そう、萌絵は世に云うコスプレに挑んでいた。
何故、そんな事態に発展していたか。
実は、大御坊安朋は萌絵の従兄であった。
そして、萌絵は大御坊に頼まれると断れない。
何しろ、大御坊は萌絵が赤ん坊の時から知っているのだ。
今回、大御坊は本来衣装を着る筈だった筒見明日香と連絡が取れなくなってしまった為に困り果てた。
其処で、急遽代役として萌絵に依頼したのだ。
こうして、渋々ながら萌絵がコスプレに挑むことに。
愚痴る萌絵だが、大御坊には歯向かえない。
と、そんな萌絵を驚かせる事件が既に発生していたのである。
なんと、当の筒見明日香が公会堂控室にて殺害されていたのである。
しかも、明日香の遺体頭部は何者かにより持ち去られていた。
挙句、その部屋にはもう1人・寺林高司が頭部を負傷し倒れていたのだ。
控室は施錠されていた。
その鍵は寺林が所持していた筈であった。
当然、明日香殺害容疑は寺林に向かう。
そして、事態はこれに留まらない。
事件を聞き付け「モデラーズフェス会場」に現れた鵜飼によれば、寺林は別の事件の容疑者でもあるのだ。
その前夜、「モデラーズフェス会場」から300メートルと離れていない京浜工大の研究室にて院生の上倉裕子が殺害されていた。
その容疑者が他ならぬ寺林であったのだ。
寺林は京浜工大の社会人大学院生で裕子と交際していたらしい。
しかも、裕子殺害現場となった研究室も施錠されており、この鍵も寺林が所持していたのである。
明日香殺害と裕子殺害、2件の殺人と2件の密室。
これに1人の容疑者―――寺林。
なんとも特異な状況になったところで、その場に居た犀川が出馬することに。
えっ、何で犀川がその場に!?
視聴者と同じく萌絵が驚く中、実は大御坊と犀川、喜多が同級生だったことが明かされる。
その関係で大御坊から招待を受けていたらしい。
此処で喜多が仮説を述べる。
寺林が両方の鍵を所持していたこと。
筒見明日香殺害現場に倒れていたこと。
これらのことから喜多は寺林犯人説を主張。
しかし、これに萌絵が反発する。
どう考えても、そんなことをすれば疑われるに決まっている。
真犯人がそんなことをする筈がないと言うのだ。
こうなれば、犀川の意見だ。
ところが、肝心の犀川はと言えば……萌絵のコスプレ衣装が気になって仕方がない。
慌てて自身の衣装に気付いた萌絵は着替えようとするのだが、その前にフリーライターの儀同世津子が現れる。
世津子に情報提供を求められた萌絵はこれを拒否するのだが……。
すると、世津子は萌絵のことを振り返りもせず「じゃあ、いいわ。創平くんに聞くから」と犀川と親しげな様子を見せる。
これに萌絵は困惑、犀川と世津子の関係に思い悩む羽目に至る。
果たして犀川と世津子の関係とは……。
一方、大御坊はモデラーとして高名な明日香の兄・紀世都の為にも犯人を捕まえて欲しいと犀川たちに依頼。
明日香について情報提供する。
なんでも、明日香は「3次元の女神」と称されるほどモデラー間では完璧なフォルムを持った存在として有名だったそうだ。
ファンも多かったと言う。
寺林もまた明日香の熱烈な信者だそうだが……。
犀川は明日香の死亡推定時刻からイベント前夜の時点で公会堂に居たことに注目。
其処に意味があると主張する。
一方、裕子殺害について新情報が鵜飼から寄せられた。
20時前、裕子は研究室で担当教官の川島教授に目撃されている。
1時間後、川島が研究室の明かりが点いたままであったことを不審に思い覗いたところ、裕子が死亡していたらしい。
萌絵は別の人物が寺林に罪を着せようとしているのではないかと主張。
そもそも同一犯ではないのでは……とまで述べる。
ところが、裕子殺害現場である研究室の流しから明日香の血液が採取されていたことから、別人による犯行は否定されている。
さらに、寺林の自宅から頭部だけのフィギュアが多数、発見されていたこともあって鵜飼は寺林犯人説を捨て切れない様子だ。
だが、萌絵は寺林犯人説を頑なに否定する。
これに対し犀川はと言えば、犯人が明日香の頭部を持ち去ったことに興味を覚えていた。
そしてもう1つ、真犯人が居るとすれば寺林が何故殺されなかったのかも気にしているようだ。
そんな中、川島にも模型趣味があったことが判明。
だが、川島はフィギュアではなくプラモデル専門。
何でも「人間が作った物を模倣した物だけが模型だ」との信念があるらしい。
つまり、飛行機や鉄道などは模型だが人間を模したフィギュアは異なると考えているようだ。
モデラーの世界の深さに戸惑う萌絵。
その夜、萌絵は寺林に近付くべく看護師に変装して接触を試みる。
驚く寺林だが「それが萌絵の趣味」と聞かされ納得する。
同じ趣味人として好感を抱いたようだ。
寺林によれば裕子とは交際関係には無かったとのこと。
あくまで数度デートした関係に過ぎないらしい。
また、萌絵は川島犯行説を提唱するが寺林はこれを否定する。
さらに、明日香の頭部持ち去りについて寺林は「持ち去りたかったからだろう」と犯人の気持ちを理解する様子を見せる。
だが「自分ならその為に人を殺しはしない」と否定する。
さらに、寺林が紀世都と親交があったことも明らかに。
寺林の趣味の多くは紀世都から教えて貰ったらしいが……。
寺林は否定していたが、どうしても川島への疑念が拭えない萌絵はその周辺を調べ始める。
すると、裕子と川島が過去に交際していたことが明らかに。
だが、裕子が寺林に心変わりしたことで川島が裕子を恨んでいたとの証言が得られる。
「問題、解けちゃいました!!」と大喜びする萌絵。
早速、犀川に報告しようとするのだが、犀川の隣には世津子が居た。
「なに、コイツ……」と嫉妬の炎を燃やしながら自身の推理を伝える。
川島は裕子を殺害し、寺林に罪を着せることを計画していた。
あの日、川林は公会堂で寺林を襲撃し気絶させ鍵を奪った。
ところが、其処に明日香が偶然にもやって来た。
現場を目撃された川島は明日香を殺害し、これも寺林の犯行に偽装しようと考えた。
当初の予定通り、研究所に戻り裕子を殺害。
明日香殺害を寺林の犯行に偽装すべく道具を手に取って返して、明日香の頭部を切断した―――との説だ。
だが、犀川はこれを笑って否定する。
明日香の頭部切断が寺林に罪を着せる為だった点は良しとしても、其処まで咄嗟の機転が利く犯人にも関わらずそもそもの犯行計画が雑であること。
また、頭部を切断した道具は何処で入手したのか?
など、説明できない点があるからだ。
犀川はこれらをクリアする仮説を進めているらしいが……。
犀川は「密室を作った方法などは意味が無い」と助言。
「頭部が切断された明日香さんの遺体と犯人が1つの部屋に居たことが命題だ」そう語る犀川であったが……。
これが意味することとは!?
その夜、公会堂の犯行現場を訪れた萌絵は紀世都と出会う。
紀世都は現場で楽しそうに鼻歌を口ずさんでいた。
逃げ出そうとする萌絵だが、紀世都宅に招かれることに。
紀世都は常人の物差しでは計り切れない精神構造をしていた。
よく言えば自由奔放、悪く言えば……野放図。
妹が殺害されたにも関わらず、特に気にもしていないように萌絵には見えた。
紀世都は萌絵が困惑している様子に気付いてか気付かずか、一方的に「プラモデルもフィギュアも卒業した」と語り始めたかと思うと、さらに萌絵の写真を撮影したいと主張する。
紀世都の様子に恐怖を抱いた萌絵。
その場を逃げ出そうとするが紀世都に無理矢理引き止められてしまう。
嫌がる萌絵を無視し、紀世都はリモコンを手にスイッチを押した。
すると……部屋の中央に置かれていた人の頭部を模したらしき塊と其処に突き刺さっているペットボトルが光り出した。
次いで、ペットボトルがあちこちに飛び始めると中に入った赤い液体が周囲にぶち撒けられたではないか!!
おそらく飛び散る血を表現しているのだろう。
あまりの悪趣味に引き攣る表情を隠せない萌絵。
対照的に紀世都は大笑いしていた。
どうやら、彼の会心の作らしい。
天才とはいつの世も理解しづらいモノのようだ―――8話「数奇にして模型(後編)」に続く。
<感想>
ドラマ原作は森博嗣先生「S&Mシリーズ」。
そして、今回はシリーズ第9弾『数奇にして模型』のドラマ化でした。
原作『数奇にして模型』については過去にネタバレ書評(レビュー)ありますね。
ちなみにタイトルにも深い意味が。
・『数奇にして模型』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
では、ドラマ感想を。
ドラマ版今回はトリックそのものよりも、犀川と萌絵の関係がメイン。
その証拠に原作だと『すべてがFになる』で登場した世津子が、此処で登場し萌絵の心をかき乱す役割に。
さらに、原作からアレンジを加え、次回は犀川が萌絵を救うようですし。
2人の距離が此処で縮まるか。
そして、大御坊や紀世都など、本来ならば周囲を振り回す萌絵が今回に限っては周囲に振り回されっぱなしでしたね。
これも今回の特徴かな。
特徴と言えば、原作ラストのアレまで再現されるのかどうかも注目です。
ちなみに、瀬戸地衣登場は……やはり早くても9話、もしかすると登場なしかもしれないなぁ。
どうなるか……。
そう言えば『すべてがFになる』アニメ化も発表されています。
・『すべてがFになる』がアニメ化とのこと!!
それと今回のドラマ化はシリーズ第2弾『冷たい密室と博士たち』に始まり、第5弾『封印再度』、第1弾『すべてがFになる』、第9弾『数奇にして模型』、第10弾(最終巻)『有限と微小のパン』が予定されており、各話が前後編となるので全10回が予想されています。
そんな次回は「数奇にして模型(後編)」。
ある種、お約束を逆手に取った作品でこれまで同様に一筋縄では行きません。
そのタイトルにも深い意味が……。
・シリーズ第9弾。
『数奇にして模型』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
◆関連過去記事
【S&Mシリーズ】
・シリーズ第1弾。
『すべてがFになる』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第2弾。
『冷たい密室と博士たち』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第3弾。
『笑わない数学者』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第4弾。
『詩的私的ジャック』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第5弾。
『封印再度』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第9弾。
『数奇にして模型』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ第10弾にして最終話。
『有限と微小のパン』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【ドラマ版】
・「すべてがFになる」1話「冷たい密室と博士たち(前編)」(10月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」2話「冷たい密室と博士たち(後編) 【暴かれる冷たい密室の謎と哀しき殺人者の記憶】」(10月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」3話「封印再度(前編) 【呪われた仏画師一族と家宝が眠る密室の殺人】」(11月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」4話「封印再度(後編) 【50年の時を超えた殺人と封印された真相】」(11月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」5話「すべてがFになる(前編)【天才博士が仕組んだ孤島の謎】」(11月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「すべてがFになる」6話「すべてがFになる(後編)【美しき狂気の殺人者】」(11月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【その他】
・超再現!ミステリー「巧妙なトリック暴け人気推理小説を超再現謎を解け&犯人は誰?超衝撃の2時間SP 大学内で連続殺人…美女が残した(秘)日記に謎を解くカギ…珍推理佐藤隆太スタジオ爆笑砂羽も紗栄子も超興奮」(4月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・森ミステリィの名作「S&Mシリーズ」がフジテレビ系火曜21時枠にて連続ドラマ化!!タイトルは「すべてがFになる」に!!
・『すべてがFになる』がアニメ化とのこと!!