日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season13」第8話「幸運の行方」(12月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)。
<ネタバレあらすじ>
その日、商店街を「防犯」の腕章を携えた2人が歩いていた。
誰あろう、特命係の右京(水谷豊)と甲斐(成宮寛貴)だ。
どうやら、パトロールをしているようだ。
「自転車の籠には防犯ネットを!!」
道行く人々に注意を促す右京。
その傍らでは甲斐が「これも仕事かぁ……」と溜息を吐いていた。
その頃、同じ商店街にある久米質店では主人・久米(矢崎滋)とその客・平(足立理)とが何やら遣り取りを交わしていた。
平は久米にとってあまり嬉しい客ではない。
今日も街角で配っていた「健康学習塾」と書かれた見るからに二束三文のボールペンを質草に持ち込んでいた。
「これには貸せないよぉ」と渋面を作る久米。
「そこをなんとか」と頼み込む平。
「仕方ないなぁ……じゃぁ、買取ね」根負けした様子の久米は奥の金庫にしまったガラクタ袋にボールペンを収めると1000円を払い出す。
これもいつもの遣り取りであった。
これまでにもお守りや車券などで同じことが繰り返されていた。
店頭に戻って来た久米。
その目の前で平は番犬のランドとじゃれ合っていた。
「もう、平君。番犬と馴れあうほど通っちゃ駄目だよ。君の為にならないよ」
諭しながらも質札を発行する久米。
平はと言えば頭をかきつつ「えへへへ」と照れ笑いを浮かべていた。
久米と平にとって、これが日常であった。
その夜、久米は幼馴染で小池呉服店の店主・小池(斉木しげる)が見知らぬ若い女性と歩いている姿を目撃する。
まさか……驚いた久米は小池たちを尾行。
2人がラブホテルに入っていく姿を目撃するや、義憤に駆られ一部始終をスマホで撮影してしまう。
「あいつぅ〜〜〜瑠璃ちゃんが居ながらぁ〜〜〜」
呟く久米。
実は、小池は婿養子。
妻は美人で有名な瑠璃子で、久米とも顔見知りだったのだ。
その翌日、久米は撮影した動画の入ったSDメモリを使い小池に猛省を促そうとする。
ところが、小池は「金を払うから黙っててくれ」と主張。
久米は勢いで口止め料・2万円を受け取ってしまう。
「なんで、こうなったんだろ……ハァ」
店頭にて溜息を洩らす久米。
其処にハンチング帽を被った男性客がやって来る。
慌てて応対する久米。
暫くすると、店の奥からランドの声が。
「なんだぁ〜〜〜」とぼやきつつ、様子を確認すると其処には驚愕の光景が!!
奥に置かれた金庫から平が現金とガラクタ袋を盗み出していたのだ。
見つかったと気付いた平は慌ててその場を逃走する。
残された久米は呆然である。
通報すべきだろうか?
だが、良く知る平だけに事を荒立てたくない。
それに、持ち去られた品の中には例の動画のSDメモリも入っていた。
もしも、あれが表に出たら……。
仕方ない自分で平と話し合おう。
こうして平宅を訪問する久米。
ところが、当の平は何者かに殺害されていた。
しかも、盗まれた現金はあるもののガラクタ袋は消えていた。
久米は慌ててその場を逃げ出す。
数時間後、伊丹たちが捜査に乗り出した。
そして、其処には当然のように右京たちも……。
まず、平宅に質札があったことに注目する右京。
さらに、周辺を何やら探し回る男を発見する。
もちろん、現場からSDメモリを見つけ出せなかった久米だ。
久米は平宅周辺に落ちているのではないかと探していたのだ。
右京に声をかけられた久米はまたも逃走することに。
怯えた久米は小池にアリバイ証言を依頼する。
いや、SDメモリを盾に取った脅迫だ。
これに小池は屈した。
其処に右京たちがやって来た。
右京は手にしていたダルマを久米に見せつつ「あなた、これを落としてて探してました?」と問う。
もちろん、罠だ。
久米が探していた物はSDメモリであり、ダルマでは無い。
ダルマは甲斐の所持品であった。
だが、久米は罠と知らずに受け取ってしまう。
これに右京は久米が何かを隠していると確信。
しかも、小池も久米の協力者だと看破する。
一方、久米と小池は動画探しに躍起になることに。
だが結局、徒労に終わってしまう。
店に戻った久米。
その背後から声がかけられる。
右京だ。
右京は平宅で発見された質札からも久米質店に辿り着いたのだ。
「ボールペン1000円、他にお守りやハンカチも買取ですか」
質草と見合わぬ金額に疑問を抱く右京。
これに久米は「質屋は救済所でもあるんです」と平の持ち込んだ品に金を貸していた理由を明かす。
それは学生であった平を援助する意味もあったらしい。
そんな久米に、右京は平から預かっている品を拝見させて欲しいと依頼する。
これに久米は困惑した。
実際の品はガラクタ袋ごと盗み出されてしまっている。
必死に周囲から該当する品をかき集める久米。
何とか誤魔化せたかと思われたが……。
右京はさらにいつもの調子で久米宅の様子を観察し始める。
金庫に目を止めた右京に、久米が狼狽する。
「ああ、それ良いでしょ。スゴイ金庫なんですよ」
聞かれてもいないのに説明し始める久米。
防犯の為に1週間ごとに4桁の暗証番号を変更しているらしい。
此処で久米はふと疑問を抱く。
どうやって平は此の金庫を開けたのだろうか、と。
そんな久米の前で右京は黒い粉を発見。
それが、コピー機のトナー粉末だと気付く。
平は事前にトナー粉末を用いて久米が押したキーを確認していたのだ。
後はその組み合わせだが暗証番号は4桁、押したキーさえ分かれば時間はかかるがそれほど苦労する作業でも無い。
この発見により、右京は平が久米宅の金庫から何かを盗み出したと推測。
さらに、久米が被害届を出さなかったことから盗まれた品を隠したがっているとまで看破した。
当然、隠したがっている品とは久米が探し回っている品だろう。
一方、甲斐は久米と小池が犬猿の仲であることを突き止めていた。
そんな2人が協力してまで何かを隠したがっている……右京の目が光る。
その頃、伊丹たちは居酒屋で平が見かけない男と話し込んでいたことを突き止めていた。
何でも2人で「一千万がどう」と話し込んでいたらしい。
何てことだ、それだけの大金が関わっていたのか―――驚く伊丹たち。
ところが、その目の前で「はい、お釣り1千万円」と店主が口にする。
店内では1000円を1千万円と呼んでいたのだ。
だったら、平が口にしていたのも……憮然とする伊丹。
このエピソードを米沢から聞いた甲斐は大笑い。
しかし、右京は真剣な表情で「どうですかねぇ」と呟く。
何やら考えがあるらしい。
翌日、右京が小池呉服店を訪れた。
平宅に小池呉服店の傘があったことについて尋ねる為だ。
これに応じたのは瑠璃子。
瑠璃子によれば、雨に降られていた平に傘を貸していたらしい。
其処に居た久米は瑠璃子と平に面識があったことに驚く。
その頃、甲斐は小池周辺を聞き込みしていた。
此処から小池の浮気が発覚することに。
その夜、久米と小池は建築中のビルの隙間で作戦会議を行っていた。
久米は瑠璃子が平を殺害したのではないかと告げる。
だが、それに対し小池は「もしかして、あの女が……」と不倫相手の犯行を匂わせる。
これを不審に思った久米は「心当たりでもあるのか」と小池に掴みかかるのだが……。
そのとき、空から鉄パイプが降って来た。
久米を庇った小池は負傷してしまう。
同じ頃、久米呉服店では帳場の金が合わないと騒ぎが持ち上がっていた。
だが、瑠璃子は「気にしないで」と騒ぎを抑え込む。
数時間後、久米と小池は瑠璃子と共に病院に居た。
久米と小池は「命を狙われた」と主張。
そんな小池に右京は「捜査の結果、小池がホテルに入ったことが分かった」と指摘。
久米は瑠璃子の手前、必死に小池を庇おうとするが……右京の次の言葉に驚嘆する。
「小池さん、昏睡強盗に遭いましたね」
そう、小池は女性とホテルに入ったものの、昏睡強盗に遭っていたのだ。
相手の女性は昏睡強盗の常習犯らしい。
こうなると、SDメモリの意味合いが変わって来る。
不倫の現場を撮影したものではなく昏睡強盗の現場を撮影したものになるのだ。
その動画があれば、昏睡強盗の顔が分かる。
これに伊丹たちは昏睡強盗が取り戻そうとした結果の犯行と断定。
だが、右京はこの説に否定的であった。
久米が撮影したことは小池自身が教えられるまで知らなかったように、昏睡強盗犯も知らない筈だからだ。
取り返そうなどと思う筈もない。
さらに、瑠璃子は小池の浮気に気付いていたことも判明。
だが、傘を貸した際の平の言葉もあって小池を取り戻そうと心に決めていたそうだ。
右京は瑠璃子に平に傘を貸した際の状況を問う。
これに瑠璃子は詳細を伝えた。
あの日、平は雨に降られて小池呉服店の軒先に佇んでいた。
見かねた瑠璃子が傘を差し出すと次のようなことを口にしたらしい。
「幸運を取り戻す。
僕の幸運はすぐ其処にあったんです。
でも、気付いていなかった。
幸運は取り戻さないと」と。
これを聞いた右京は「犯人が狙ったのは小池ではなく久米であった」と断定。
平が持ち込んだ品々の中に、持ち込んだ平自身も最初は気付かないような価値のある品が紛れ込んでいたと指摘する。
調べた結果は……。
数日後、右京の姿が競輪場にあった。
その前で窓口に向かって払い戻し車券を差し出す男。
ところが、直後に右京に逮捕される。
その男こそが平殺害の犯人だったのだ。
男の正体は―――あのハンチング帽の男であった。
そして、平が必死に取り戻そうとした品は1539万円の当たり車券だった。
平は当たり車券と知らず、お守りと一緒に質草にしていた。
ところが、後に当たり車券と知ったのだ。
男はこれを独り占めする為に平を殺害していた。
そもそも、平が久米質店に盗みに入ったとき、久米の気を引く役割が必要であった。
あのとき、久米はハンチング帽の男の接客をしていたのだ。
ハンチング帽の男も共犯だったのだ。
平が居酒屋で大金の話をしていたのは男に協力を依頼する為であった。
だが、男は初めから全額を手に入れるつもりだった。
久米質店から戻って来た平を殺害し車券を奪ったのだ。
では、久米を狙ったのは誰か?
これもこの男だ。
男は久米が警察に被害届を出さなかったことから、てっきりすべてを知っているものと思い込んでいた。
其処で換金前に口封じを目論んだのだ。
実際、久米は危険な立場にあった。
逮捕された男は久米を殺害し当たり車券を手に入れようとしていたのだが、これを平が止め、あのような方法になったのだそうだ。
数日後、久米は「平君が相談してくれていたらなぁ……」と心底、口惜しそうに語る。
もしも、相談されていたら車券を換金した上で平の卒業まで預かるつもりだったらしい。
これを聞いた右京は「平さんは待ちきれなかったのかもしれませんねぇ」と告げる。
ちなみに、当たり車券だが久米はすべてを寄付していた。
そして、小池呉服店から消えていた金は、昏睡強盗に遭った小池が先々の瑠璃子のことを思い生命保険に入る為に必要としたものであった。
さらに、ガラクタ袋が発見され、昏睡強盗も逮捕された。
久米が預かっていた甲斐のダルマも無事に持ち主に返却された。
其処に瑠璃子が鯛焼きを持ちやって来る。
これをほくほく顔で受け取る右京たち。
ふと、右京が久米に囁く。
久米が小池の浮気を隠していたのは瑠璃子の為であった。
照れる久米に甲斐は思う。
瑠璃子は小池と久米に守られているのだ、と。
そして、事件を解決した右京は今日も防犯パトロールに精を出す。
もしかすると、明日はあなたの街をパトロールしているのかもしれない―――第8話了。
<感想>
シーズン13第8話。
脚本は太田愛さん。
サブタイトルは「幸運の行方」。
「幸運は特別な何かではなく、それまで積み上げた日常の中にある」的な内容でしたね。
また「人と人との繋がりにこそ、幸運がある」とのテーマでもありました。
平君にとっての「幸運」は車券を当てたことではなく、久米と出会えたことにあったのでしょう。
あの久米との繋がりこそが、彼にとっての「幸運」でした。
しかし、平君はそれに気付かず当たり車券こそをソレと思い込み、久米を裏切ってしまった。
それゆえに、思わぬ形で落命することに。
切ないです。
そして、久米にとっての「幸運」は瑠璃子や小池なのでしょう。
もちろん、小池にとってのソレは久米と瑠璃子。
瑠璃子にとってのソレは小池と久米。
それは右京たちにも言えること。
右京にとっては亀山、神戸、甲斐ら「相棒」たち。
甲斐にとっては右京、悦子らが上がりそうです。
そして、ラストでは「直接的な意味での幸運」も描かれました。
当たり車券は然るべきところに寄付され、小池の心情も明かされ、ガラクタ袋も発見、昏睡強盗も逮捕、ダルマも返却、鯛焼きもやって来るとささやかながらも劇中人物にとって怒涛の幸運続きでした。
これもなかなかでしたね。
日常と言う点では「1000円が1千万円」など、商店街との舞台設定も十分に活かされており、これも良かった。
総評ですが、全体的に安定感がある作品で面白かった。
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