土曜ワイド劇場「タクシードライバーの推理日誌 地図を失くした乗客・北陸金沢〜よく喋る死体の死亡推定時刻トリック!?殺された刑事が追った8年の空白!!」(12月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!
<あらすじ>
タクシードライバーの夜明日出夫(渡瀬恒彦)は、元警視庁の敏腕刑事。ある夕方、食堂で休憩中の夜明を訪ねて、ひとりの女性がやってきた。大東大学准教授でもある臨床心理士・岡江七瀬(雛形あきこ)で、夜明のタクシーに手帳を忘れたことを営業所に連絡したところ、この店に夜明がいると教えてくれたという。
夜明から手帳を返却してもらった七瀬は、安堵の表情を浮かべる。手帳にはカウンセリングの相手であるクライエントの個人情報も記してあるため、七瀬にとってはとても大事なものだったのだ。ちょうどお腹が空いていたという七瀬は夜明と一緒に定食を食べ、その後、夜明は七瀬を自宅マンションまで送り届けた。
翌日、夜明が娘・あゆみ(林美穂)の新たなアルバイト先であるブックカフェを訪ねていると、なんと店に七瀬がやって来た。七瀬もこのカフェの常連客と聞き、偶然の再会に驚く夜明。ところが、そこに東山刑事(風見しんご)たちが現われたから、さらにビックリする。実は早朝、都内の駐車場で刺殺体が発見されたのだが、被害者・森本信彦(松本実)の携帯電話の最後の通話相手が、七瀬だったという。
七瀬は、確かに森本は自分のクライエントのひとりだが、カウンセリングの相談内容については他人にもらすことはできないと堅く口を閉ざす。東山たちは死亡推定時刻である前夜6時から8時の間のアリバイを七瀬にたずねるが、話を聞いていた夜明はその時間なら自分と食堂におり、七瀬のマンションまで送り届けたのだからアリバイは完璧だと証言する。またまた夜明が容疑者のアリバイを証明したと報告を受けた神谷警部(平田満)は、どうしても気にいらない。
その後、殺された森本は同居していたホステス・小田加奈子(水谷ケイ)への暴力で書類送検されていた事実が浮上。加奈子によると、森本のもとには暴力団風の男、大久保敦(きたろう)がたびたび会いに来ていたという。
調べてみると、大久保は富山県警内川西署の刑事と判明。急いで電話をかけ、なぜ森本に会っていたのかと聞く東山に対し、大久保は所轄のヤマには口出しするなと言って一方的に電話を切った。ぶ然とする、東山…。しかも直後、七瀬が富山県射水市内川の出身とわかる。
殺された森本の周辺にいた2人の人物が、共に射水市内川に縁があるとは…。偶然とは思えない東山らは大久保に会うため、内川まで出張するが、その頃、夜明は電車に乗り遅れたという七瀬を講演先である金沢に送り届けていて…。
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)夜明日出夫はタクシードライバーである。
しかし、彼には裏の顔が……いや、そこまでではないけど別の顔があった。
夜明は元警視庁の敏腕刑事だったのだ。
今も後輩たちからは「伝説」と呼ばれ、日夜アドバイスを求められている。
ちなみに、タクシー業界での夜明は「ロングの夜明」と呼ばれている。
それは夜明が「客から長距離の指名を受けることが多い」ことに由来している。
しかも、恐ろしいことに「乗せた客はほぼ100パーセント(例外はある)の確率で夜明をアリバイトリックに利用する」のだ。
故に、メタ的であるが夜明のタクシーを長距離で利用した時点で「その客はこれから犯人となる確率がダントツで跳ね上がる」のである。
心ある視聴者としては、いつか夜明自身もこれに気付いて未然に客の犯行を防いでくれるのではないかと期待しているが……今のところ全くその様子はない。
まことにもって残念なことである。
そんな夜明が今回乗せた客は東京大学準教授で臨床心理士の岡江七瀬。
さらに、七瀬は夜明の娘・あゆみが勤務するブックカフェの常連客でもあった。
ヤバイ、犯人確率さらに倍である。
そんな中、事件が発生。
森本信彦なる男性が刺殺されたのだ。
森本は七瀬のクライエントであった。
しかも、七瀬との間にトラブルを抱えていたらしい。
しかし、その時間の七瀬にはアリバイがあった。
そう、夜明と共に居たのだ。
こうして七瀬には鉄壁のアリバイが。
だが、これが気に喰わない男が居た―――神谷だ。
神谷は「むしろ、夜明さんが関わっているとなると奴が犯人だぞ」と主張。
夜明本人よりも的確に夜明の特性を見抜き、森本の身辺捜査を行う一方で七瀬への疑惑を深める。
森本の周辺から意外な過去が明らかに。
まず、森本は同居しているホステス・小田加奈子へのDVで犯歴があった。
しかも、加奈子によれば大久保敦なる人物が森本のもとへ足繁く通っていたことが判明する。
大久保は富山県内川西署の刑事であった。
8年前に発生した殺人事件を調べているらしい。
この事件の被害者こそが、七瀬の父と婚約者・門倉仁だったのだ。
七瀬の父は岡江観光の経営者、門倉はその右腕とされた人物だった。
そして、森本は犯人の目撃者だったのである。
森本の証言に基づき行われた捜査であったが、結局、犯人は捕まらず仕舞いであった。
その頃、夜明は七瀬からクライエントの1人・夏川みずほを紹介される。
みずほにはつぐみという名の幼い娘が居た。
みずほによれば、高木リゾートの高木社長がつぐみを自身の娘ではないかと疑っているらしい。
みずほは高木と過去に恋人関係にあったのである。
さらに意外な事実が判明。
高木リゾートの前身は岡江観光だったのだ。
高木は岡江観光の営業マンだったが、経営者と門倉が殺害されたことで後を継いでいた。
そして、県下屈指のグループに成長させたのだ。
当然、高木には8年前の事件の動機がある。
だが、高木には犯行時刻にアリバイがあった。
当時、交際していたみずほとカラオケに居たのである。
そんな中、大久保が高木に1枚の写真を手に詰め寄っていた。
狼狽する高木。
その夜、大久保は何者かに撲殺されてしまう。
神谷は大久保が高木による犯行の決定的な証拠を掴んだ為に彼に殺害されたのでは……と推測。
その直後、高木がつぐみを連れ去ってしまう。
七瀬とみずほは必死につぐみを探し、助け出すことに成功。
ところが、高木までもが殺害される。
さらに、高木の車から大久保殺害の凶器が発見される。
どうやら、大久保殺害犯は高木だったようである。
神谷の推測が的中していたのだ。
しかも、高木の所持品から高木と森本の密会写真が発見。
高木は森本に大金を支払うことで偽証させ、アリバイを確保していたらしい。
つまり、実際の犯行時刻はもっと早かったのだ。
これにより、高木のアリバイは意味を為さなくなった。
さらに、みずほが岡江家の娘だったことが判明。
七瀬とみずほは二卵性双生児の姉妹だったのである。
夜明は、高木が森本と大久保を殺害したと主張。
だが、神谷は大久保殺害犯は高木だが、森本と高木殺害は七瀬の犯行に違いないと主張する。
そんなことあるワケない!!と断言する夜明。
しかし、それは紛うことなきフラグである。
そんな視聴者の気持ちを代弁するように、あゆみの口から「七瀬とつぐみが似ている」との発言が飛び出す。
これを聞いた夜明の気持ちが唐突に揺らぎ始めた。
しかも、その夜に「冷凍車で運搬する」とのキーワードを聞いた途端に顔色を変える。
これはマズイ、マズ過ぎる。
遂に夜明は七瀬とみずほを呼び出してしまう。
あああああああ〜〜〜っ、視聴者の溜息が漏れた。
そして、此処で夜明が七瀬に真相を問い質す。
夜明は、七瀬が臨床心理士として森本から8年前の事実を聞かされていたのではないかと指摘。
其処から高木の犯行と森本が偽証したことを知り、復讐に乗り出したと断言する。
何故、高木がつぐみを連れ去ったのか。
それは七瀬の口を封じる弱点だと知っていたからではないか。
そう、七瀬こそがつぐみの生みの親だったのだ。
さらに森本殺害時のアリバイ崩しが開始。
森本の死亡推定時刻から、七瀬には夜明と共に居たとのアリバイが成立していた。
だが、この死亡推定時刻自体が工作されたものだとしたら……。
七瀬は冷凍車を用い、森本の死亡推定時刻を誤認させたのだ。
此処に七瀬はすべてを告白し始めた。
高木は最初から岡江観光乗っ取りを目論んでおり、故意にみずほに近付き恋人となった。
そして、森本に偽証させアリバイを作ったのだ。
この事実を森本から聞いた七瀬は復讐を決意。
森本を殺害し、冷凍車を利用しアリバイを作った。
その後、高木は七瀬が8年前の真相を知っていると思いつぐみを誘拐した。
高木はつぐみを人質に七瀬の口を封じようとしたが、逆に殺害されてしまう。
到底、大久保を口封じしたと同一人物とは思えぬ脇の甘さで殺害される高木であった。
こうして、七瀬は逮捕された。
夜明はと言えば、あゆみにたかられるのであった―――エンド。
<感想>
前回の2014年10月11日放送分(第35弾)に次ぐ第36弾です。
第35弾からは1年2ヶ月ぶりの新作放送となりました。
意外とスパンが開いたなぁ……。
では、ドラマの感想を。
今回もお約束が強調されていましたね。
特に「夜明の寝起きドッキリ」が回を重ねるごとに凄くなってるなぁ。
今回は2度もあったし、かなり好評なのだろうか。
そして、お約束とは違えど気になった点。
高木がゴールド免許だった!!
悪事はすれど無事故無違反だったか……。
改めて思ったのは、やっぱり神谷優秀だなぁ……。
夜明さんとあゆみは犯人を引き寄せてるから別格なんだよ。
あれはもうギフトの域だよ、常人で対抗出来る筈がない。
前にも述べたが、きっと夜明の長距離運転が催眠暗示を搭乗者にもたらし何かを起こさせてるんだよ。
その点、神谷は普通に優秀なんだから卑下する必要は無いって。
さらに確信したが「夜明のタクシーにロングで乗車」し「あゆみの職場の関係者」であれば「犯人確率99パーセント以上」だな。
とりあえず条件を満たした者は未遂、既遂問わず調べるべきかもしれない。
神谷には此の点も頑張って欲しい。
でもって、内容ですが……。
七瀬とみずほが二卵性双生児である必要があまり見受けられませんでしたね。
そして、高木とみずほが元恋人同士である必然性も薄い。
正直、七瀬とみずほが姉妹ではなく親友同士でも筋は成立するよなぁ。
つぐみも本筋には殆ど関わってないしなぁ……。
それと、ラストが物凄く雑だった点が印象に残りました。
とはいえ、本作の神髄は内容には無い(キッパリ)。
お約束にこそあるのだ。
此処で気になるのは今回も前回同様“夜明の法則”は発動したのかどうか?
この法則をいかにストーリーに放り込んで来るか(または捻ってくるか)が本シリーズの見所。
解説!!夜明の法則とは―――
土曜ワイド劇場「タクシードライバーの推理日誌」にて適用される法則。
犯人(女性)は夜明のタクシーに乗りアリバイを作る。
そして、最初に疑われる。
が、夜明が「あの人は犯人じゃない、だってアリバイあるし」と頑固に庇う。
別の容疑者浮上。
だが、急に夜明の気が変わる(偶然、何かに気付く)。
夜明アリバイ崩しに挑戦。
やっぱり、あの人が犯人でした。
―――完―――
のこと。
はい、普通に発動してました。
今回も王道でしたね。
やっぱり、これがないと「タクシードライバー」じゃないよ。
と言うワケで、この点は満足です。
遊び心も満載で次回にも期待ですね!!
ちなみに「タクシードライバー」シリーズの原作は「木枯らし紋次郎」の著者で知られる笹沢左保先生の「タクシードライバーの推理日誌」シリーズ。
とはいえ、本作においてはモチーフというべきでしょう。
完全に別物なので、そこは注意。
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夜明日出夫:渡瀬恒彦
神谷警部:平田 満
岡江七瀬:雛形あきこ
高木征二:小木茂光
大久保刑事:きたろう
夏川みずほ:大路恵美
東山秀作:風見しんご
馬場刑事:正名僕蔵
運転手・野村:鶴田 忍
小林係長:徳井 優 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)