2014年12月18日

『黒いパンテル』(乾緑郎著、宝島社刊『このミステリーがすごい!四つの謎』収録)

『黒いパンテル』(乾緑郎著、宝島社刊『このミステリーがすごい!四つの謎』収録)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

最強の『このミス』大賞作家、書き下ろし4編!豪華作家陣で贈る、ミステリー・アンソロジー。

TBS系にて豪華ドラマ化!『このミステリーがすごい!ベストセラー作家からの挑戦状』

2014年12月29日(月)よる9時〜 案内人:又吉 直樹(ピース)×樹木 希林
歴代大賞作家4名×映画監督の豪華コラボレーション!
(宝島社公式HPより)


<感想>

第9回「このミステリーがすごい!」大賞『完全なる首長竜の日』の作者・乾緑郎先生による短編。
12月29日にTBS系にてドラマ放送が決定されている。

『完全なる首長竜の日』(乾緑郎著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)

読んでみたところ、『完全なる首長竜の日』もそうだったんだけど、やっぱり管理人には合わない印象。
悪くはないと思うんだけどなぁ……どうにも合わない。

おそらく、須藤は今回の出来事によりトラウマを乗り越えたことになるのだろう。
此の点で「ゼブラーマン」にモチーフが近い。
管理人も「ゼブラーマン」は好きなのだが、本作についてはこのモチーフを処理し切れていない印象。

作中の各描写が浅く感じたのがその原因。
基本、あらすじっぽい作品になっている。
それなのに、内容的には情を介する作品で読者の感情移入が求められるのが辛い。

もしかして、映像化を念頭に置いてのことなのだろうか。
確かに映像化されるのならば描写不足は補えそうだし期待出来そうではあるが。
描写不足が解消されれば「化ける」作品ではあると思う。

それとモチーフは寧ろ好ましいくらいなのに、何故、あれで終わってしまうのか。
あれで引っ張るなら、二ノ宮自身にそれらしいことを口にさせる必要があると思うのだが。
少なくとも、それなりのまとめは必要だと思う。
仮に余韻を重視するならするで、もっと描写を増やすべき。

それと、作中だと「取り壊し間際の廃工場が見せた夢」になってるけど、どう考えても「小惑星が見せた夢」だと思うんだよなぁ……。

どうにもこの辺りが気にかかったのでネタバレあらすじでは相当改変を加えています。
本作に興味のある方は本作それ自体をチェックすべし!!

ただ、シナリオとしては不満があるが、映像化により化ける可能性は非常に高い作品のように思う。
映像化には期待したい。

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
須藤:元役者で現在は建設会社勤務。
栄子:須藤の妻。
千明:須藤の娘、戸倉と交際中。
戸倉:千明の恋人。
二ノ宮:須藤の役者時代の先輩。


須藤は元役者で現在は建設会社に勤務する中年男性。
30年来の妻・栄子や娘・千明と共に慎ましく生活している。

だが、須藤には2つだけ悩みがあった。

1つは千明の恋人・戸倉のこと。
須藤は2人の交際を認めていなかったのである。

そして、もう1つが須藤が抱えるあるトラウマ。
栄子はトラウマに苦しむ夫をそっと支え続けていた。

その頃、小惑星の接近が取り沙汰されていた。
地球直撃コースを取るとされたソレに人々は怖れ慄いていた。

そんな須藤の目の前に二ノ宮が現れた。
須藤は大いに狼狽する。

二ノ宮は須藤の役者時代の先輩であった。
だが、ある撮影中に事故死を遂げていたのだ。

事の発端は30年前に遡る。

須藤は特撮ヒーローの主役であった。
須藤が演ずるヒーローの名は「ブラック・パンテル」。

後の妻となる栄子ともこの番組で出会った。
当時、栄子はアイドルであり出演していたのだ。

そして、ブラック・パンテルの敵役「ドラクル」として配されたのが須藤の先輩にして天才俳優と称された二ノ宮。
当時の二ノ宮は誰からも憧れられる存在で、栄子も彼に恋心を抱いていた。
栄子に想いを寄せていた須藤も一時は諦めていたのである。

ところが、そんなある日に事件が起こった。
廃工場での撮影中に火が出たのだ。
これが仕掛けていた火薬に引火、たちまち廃工場内は火に包まれた。

そのとき、須藤は廃工場内に居た。
そして、二ノ宮と栄子も中に居たのである。

脱出しようとする須藤の前で、二ノ宮と栄子がそれぞれ助けを求めた。
須藤は栄子を選び助け出したが、これにより二ノ宮を助け出せなかったのである。
その後、須藤は傷心の栄子と結婚したのだ。

あのとき、須藤の心のどこかに栄子を欲する気持ちが無かったとは言い切れない。
もしかして無意識に二ノ宮を見捨てたのではないか……須藤はそんな想いを抱えていたのだ。

須藤は30年もの間、この想いに苛まれて来た。
其処に来て二ノ宮の登場である。
須藤が驚くのも無理のない事であった。
ところが、二ノ宮は特に何かを告げるでもなく消えてしまう。

それから数日後、いよいよ小惑星の直撃が噂され始めた。
人々が混乱を来たし始めた。

そのとき、千明が消えた。
戸倉によれば何者かに誘拐されたらしい。
そして、須藤のもとに届いた二ノ宮からの挑戦状。
須藤は30年ぶりに「ブラック・パンテル」として廃工場に挑む。
その傍には戸倉の姿もあった。

廃工場に現れたのは当時のままの二ノ宮……すなわち「ドラクル」と部下の戦闘員たち。
須藤は「ブラック・パンテル」として彼らとの戦いに挑む。

30年のブランクをモノともせず、戦闘員たちを蹴散らす須藤。
残るは「ドラクル」だけだ。

だが、ドラクルは強かった。
あっという間に劣勢に追いやられる須藤。
そんな須藤にドラクルは「俺を倒さなければ小惑星が衝突するぞ」と明かす。

そんなことになれば千明は……栄子は……。
家族を助けるべく須藤は再び立ち上がるや、必殺の一撃をドラクルに叩き込む。

ふと須藤が気付いた時、ドラクル……いや二ノ宮の姿は消えていた。
其処にはただ廃工場だけが残されていたのだ。

小惑星は直撃コースを逸れ、地球は救われた。

後に聞いたところ、この廃工場は取り壊しが迫っていたのだそうである。
もしかして、廃工場が見せた幻だったのだろうか……。
だが、須藤の身体には確かに傷跡が残されていたのであった―――エンド。

2014年12月30日追記:

2014年12月29日にドラマ版が放送されました。
ネタバレ批評(レビュー)はこちら。

「このミステリーがすごい!〜ベストセラー作家からの挑戦状〜 天才小説家×一流映画監督がコラボした、一夜限りの豪華オムニバスドラマ!味わいの異なる4つの謎=各25分の濃密ミステリー!又吉×希林の他では見られないコントも!」(12月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)


追記終わり


◆関連過去記事
『カシオペアのエンドロール』(海堂尊著、宝島社刊『このミステリーがすごい!四つの謎』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『ダイヤモンドダスト』(安生正著、宝島社刊『このミステリーがすごい!四つの謎』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『残されたセンリツ』(中山七里著、宝島社刊『このミステリーがすごい! 四つの謎』収録)ネタバレ書評(レビュー)

◆関連過去記事
『完全なる首長竜の日』(乾緑郎著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)

乾緑郎先生『完全なる首長竜の日』(宝島社刊)が映画化!!タイトルは『リアル〜完全なる首長竜の日〜』とのこと!!

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「相棒season13」第9話「サイドストーリー」(12月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「相棒season13」第9話「サイドストーリー」(12月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season13」第9話「サイドストーリー」(12月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)。

<ネタバレあらすじ>

美人介護士・三塚奈々(まつながひろこ)の殺害事件がワイドショーで取り上げられていた。
その切り口は興味本位なモノで、奈々のある側面を強調し面白おかしく報じていた。

奈々は介護士の仕事をしながら、夜にキャバクラで働いていたのだ。
しかも、バツイチであり大して親しくも無いキャバクラ客の家を連日泊まり歩いていたと言う。
このことから「素行の悪さが招いた自業自得による殺人」と伝えられていたのである。

さらに、ネット上では加熱する報道に比例するように奈々の個人情報まで暴露され、奈々の実家には被害者であるにも関わらず嫌がらせの電話が続いていた。

この状況に心ある者は眉を顰めていた。
特命係でも、甲斐(成宮寛貴)が右京(水谷豊)に「酷過ぎますよ」とぼやいたものだ。

そんな中、匿名告発ダイヤル宛に一本の電話が入ったことが事件に一石を投じることとなった。
なんと「真犯人は別に居る」と通報が入ったのだ。

奈々殺害事件では、現状から犯人が逃げ出したところをその場で逮捕されていた。
現場から逃走し逮捕されたのは、社会保険労務士の柿谷正臣。
キャバクラ好きらしく、奈々を目当てに足繁く通っていた常連客であった。
殺害当日も、奈々に「今夜、バイト前に逢える?ちょっと相談あり」とメールで呼び出されていたと言う。

伊丹たちは奈々と柿谷が男女の仲にあり、別れ話がこじれて犯行に繋がったと見ていた。
だが、当の柿谷は犯行を否認していた。

もしも、柿谷が犯人でなければ大変なことになる。
かといって、伊丹たちは柿谷の犯行を信じている。
其処で白羽の矢が立ったのが特命係、すなわち右京(水谷豊)と甲斐である。
こうして、右京たちが捜査に乗り出した。

まず、右京はいくつかの謎を発見する。

奈々はSNSに熱心で居場所を頻繁に呟いていた。
例えば、犯行当日も「浅草ナウ、雷門綺麗」と浅草に居ることを匂わせていたのだ。
ところが、実際の犯行現場は池袋であった。
何故、奈々は浅草に居ると嘘を吐く必要があったのか?

さらに、奈々の遺留品からは本来家族に渡しておくべきその日の介護内容を記したノートまでもが発見されていた。

果たして、この謎の答えとは!?

ヒントを求めて、奈々の勤務先を訪れた右京たち。
「奈々ちゃん真面目そうだったのに……私たち騙されてたのね」と憤りを隠せない様子の担当者。
どうやら、故人と接していた者でさえも報道の影響を受けているようだ。
奈々について語られる内容はすべてワイドショーで報じられていたものである。

そんな中、2つだけ新情報が。

まず、先週のことだが従兄弟を名乗る男性が奈々を訪ねてやって来ていたと言う。

そして、もう1つ。
奈々が介護を担当していたのは大腿骨を骨折し寝たきりになった老婦人・小宮山佳枝(丘みつ子)であること。
佳枝は偏屈な性格で介護士が1ヶ月と続かない。
奈々が初めて1ヶ月続いた介護士なのだそうだが……。

「やぁ〜〜〜ねぇ〜〜〜、あいつが犯人に決まってるじゃない!!」
その頃、当の佳枝は2時間サスペンスを視聴してはツッコミを入れていた。
佳枝は「2時間サスペンス」マニアなのだ。

右京たちが佳枝を来訪したところ、応対に現れたのは佳枝の一人息子・茂樹(吉満寛人)。
茂樹には妻が居たが佳枝の介護に負担を感じ離婚しており、以来、茂樹が介護士と共に佳枝の介護をしていたらしい。
ところが、佳枝の性格から誰もが長く続かなかった。
そんな中、佳枝と初めて気が合った介護士が奈々だったのだ。
お蔭で、最近になってやっと奈々と茂樹で1日おきに佳枝を支えられるようになったと言う。
その矢先の奈々の喪失に茂樹は深い失望感を露にする。
ちなみに、奈々が持ち出した介護ノートについて尋ねるも特に知らない様子であった。

右京はそんな茂樹に注目しつつも、ノートの内容を読み込み新たな謎を見出す。
ノートには佳枝が食べた食事のレシピが記されていた。
ところが、肉じゃがなど3ヶ月前と最近のものを比較すると分量や味付けが大幅に変わっていたのである。
佳枝の年代が食べるには明らかに量が多いのだ。
これは何を意味するのか!?

右京は佳枝が利用していたスーパーで食材を購入し、レシピの再現を試みる。

一方、甲斐は奈々の実家へ。
奈々の実家は老舗の煎餅屋、其処には報道陣や野次馬が屯していた。
憔悴しきった奈々の両親、どうもワイドショーで伝えられる奈々の姿に面食らっているようだ。

両親は「あれは一面に過ぎない」と主張。
奈々がキャバクラに勤務しているのは異性を求めてではなく、介護福祉士の資格取得に向けて資金が必要だから貯金する為であった。
「決してふしだらな娘ではない」と母は訴える。

さらにバツイチについても言及。
何でも結婚相手からDVを受けた上に、離婚すると執拗に復縁を迫られて困っていたらしい。
しかも、此処で奈々の従兄弟を名乗った男性が偽物だと判明する。

その頃、スーパーを出た右京は「花の里」の厨房を借りて料理の腕前を奮っていた。
ノートにあるレシピに従い出来た料理は、やはりボリュームも多く、味も濃い。
合流した甲斐は「美味しい」と口にする一方で「これは若い人向けですね」と評する。

直後、奈々の従兄弟を騙っていた人物の正体が元夫・浪岡譲だと判明。
どうやら、奈々をストーカーしていたようだ。

此処で1つ謎が解けた。
奈々がSNSで居場所を公表し続けた理由だ。
あの日、池袋に居ながら浅草に居ると嘘を吐いたように、追って来る浪岡を攪乱する為だったのだ。

そんな中、佳枝の50年来の友人からある情報が飛び込んだ。
佳枝が奈々を嫌っていたと言うのだ。
しかも「料理が不味くて食べられない」や「反発すると暴力を奮われた」などと洩らしていたそうである。
まさに虐待だ。

右京はこれが事実か茂樹に確認。
すると、茂樹は「虐待の事実を知りながらも看過していた」と明かす。
茂樹によれば「佳枝のヘルパー問題は深刻化」しており「相手を選べなかったから」だそうだ。

これを聞いた右京は甲斐を巻き込み佳枝のヘルパーに志願する。

右京による介護がスタート。
佳枝は右京に「所轄に対して態度が悪いよ」とドラマで仕入れた知識で口撃を仕掛ける。
これに苦笑いする右京。

さらに、甲斐に対しては「あんたの掃除の仕方はなってない」と根本から否定する。
「言ってくれるよ」と愚痴を零す甲斐。

佳枝は右京たちの一挙手一投足に不満をぶつける。
ただ、右京の手料理だけは美味しそうに食べる。
まるで欠食児童のようにご飯をかき込む佳枝に「ゆっくり食べて下さい」と諭すほどであった。

此処で右京は奈々がノートに残した「佳枝さんは今日も美味しそうに食べてくれました」とのメモを取り出し「食べてたんですよね」と問う。
しかし、佳枝は「それはあの娘の嘘だ!!」と譲らない。

そんな中、浪岡の居所が判明。
伊丹たちが浪岡を取調べたところ、その日は奈々のSNSの言葉を信じ浅草で一晩中探していたと供述する。
どうやら、奈々をストーカーしていたことも事実らしい。
浪岡は一方的に離婚させられたことを不服に思っていたのだ。

その頃、1日にして介護の大変さを実感していた右京と甲斐。
此処で甲斐はあることに気付く。
佳枝の虐待が事実ならば、茂樹にも殺害動機が生じるのではないか―――。
右京は目を細めつつ、これを聞いていた。

その午後、右京は佳枝を散歩に連れて行く。
世間話に紛れ込ませつつ、浪岡について尋ねる右京。
佳枝は浪岡が自宅まで奈々を訪ねてやって来たことを明かす。
これを茂樹が追い返したそうだ。
奈々は「浪岡に知られると仕事が続けられなくなるので居所を教えないでください」と茂樹に懇願していたそうである。
さらに、佳枝は「どんな事件も単純な理由で起こる」と主張。
奈々殺害の動機が痴情のもつれに違いないと断言する。

同時刻、甲斐は茂樹の職場を訪れていた。
大手に勤務していた茂樹は佳枝の介護を機に退職、今は契約社員として働いていた。
茂樹の上司によれば、犯行当日には飲み会に参加しておりアリバイがあるらしい。
ただ、途中で何やら佳枝から連絡が入り退席していたと言う。

数時間後、今日も佳枝は2時間サスペンスを視ながらツッコミを入れていた。
余計なミスリードを否定する佳枝。
これに右京は「サイドストーリーを膨らませているのでしょう」と擁護する。
だが、佳枝は「そんなものは要らないよ!!」と手厳しい。

こに乗じて、右京はさり気なく佳枝に奈々殺害犯について問うが……。
「あれ、捕まったのじゃないのかい?」
あっさりと躱されてしまう。

同じ頃、甲斐は茂樹を取り調べていた。
殺害直前となる午後8時に、奈々の通話履歴から茂樹の電話番号が発見されたのだ。
茂樹が飲み会を途中退席した電話は佳枝からではなく奈々からであった。
茂樹は通話は認めるが、内容については黙秘する。

一方、右京は佳枝のかかりつけ医に彼女の健康状態を確認する。
何でも、栄養不良の状態にあるらしい。
あれだけ、栄養バランスも良くボリュームのある食事をしながら何故なのか?

翌日、右京と甲斐は捜査状況をまとめていた。
奈々が柿谷を呼び出したのは仕事について相談をしようとしていたのではないか。
例えば、佳枝の介護に何かの問題を見出し相談しようとしていたとすれば。
だから、介護ノートを持ち出したとすれば―――。

右京は佳枝の言を引き「どんな事件も単純な理由から起こる」と呟く。

右京が犯人と考えている人物は浪岡であった。
だが、浪岡を犯人とするには1つだけ障害がある。
奈々は浪岡の追跡から逃れる為に居場所を偽っていた。
浅草ではなく、どうやって池袋の所在を突き止めたのか?

右京は茂樹を再訪し真相を明かすよう促す。
奈々の食事は不味くて食べられないとしていた佳枝。
ところが、右京が介護していた此処数日間、見渡す限り残飯の痕跡が見当たらなかったのだ。
本当に佳枝は奈々の食事を食べなかったのか?
一方で、欠食児童のようにご飯をがっつく佳枝の姿。

此処で右京は考えた。
奈々が虐待を行い、茂樹がこれを救おうとしたのではない。
茂樹が虐待を行い、奈々がこれを救おうとしていたのではないか。

栄養不良になっていたのは当然だ。
茂樹は佳枝に食事を与えなかったのだ。
そう、介護放棄と言う名の虐待だ。

茂樹と奈々は一日おきに佳枝の介護を行っていた。
つまり、佳枝は奈々の担当日のみ食事を摂れたのだ。
ボリュームのある食事を求めながらも、栄養不良に陥った理由はコレであった。

これに対し、茂樹は「お袋がそれを認める筈がない」と反発する。
頷きつつあっさりと受け止める右京だが「それはそうでしょうねぇ、佳枝さんも介護放棄の共犯だったのだから」と指摘する。

佳枝が友人に語っていた奈々への不満。
食事が不味くて食べられない。
反抗すると虐待を受ける。
これらはすべて茂樹を庇う為の佳枝の嘘であった。

事此処に至り、茂樹は介護放棄の事実を認めた。

あの夜、奈々は茂樹の介護放棄に気付いた。
奈々が買い出しした食材の減り方が不自然だったのだ。
其処で茂樹を電話で呼び出した。
その後、奈々は柿谷を交えて話し合いしようと彼をメールで呼び出すと、佳枝の介護状況が記されたノートを持ち出した。

此の時点で、茂樹は奈々を排除する方法を考えた。
奈々が居る限り、介護放棄の事実が露見してしまう。
それは何としても避けたかった。
其処で奈々が怖れていた人物を思い出した。
浪岡だ。

奈々は言っていたではないか―――「浪岡に知られると仕事が続けられなくなるので居所を教えないでください」と。
だから、茂樹は浪岡に奈々との約束の場所を密告したのだ。
あわよくば消えてくれる……そう思ったに違いない。

茂樹に居場所を教わった浪岡は嬉々として奈々のもとへ飛んで行った。
そして、復縁を求めたが拒否され逆上。
結果、殺害してしまったのである。

「まさか、殺人にまで発展するなんて」
茂樹は佳枝の介護に疲れていただけで、こんなことになるとは思わなかったと述べる。

そんな茂樹を庇うように、佳枝は「あんたらに何が分かる」と右京たちを批難する。
「この子はただストーカーに電話しただけだ。何の罪もない。うちの問題で、あんたらが口出しする問題じゃない」
舌鋒鋭く詰め寄る佳枝。

これを聞いた右京は「この事実は、きっとあなたの言うサイドストーリーに過ぎないのでしょう」と口にする。
そして続けた「奈々さんのお母さんに匿名で通報したのはあなたですね」と。

右京たちが捜査に乗り出す理由となった匿名通報。
実は其処に至るまでに、もう1つの匿名通報があったのだ。

ワイドショーを見ていた佳枝は奈々の報道に心を痛めていた。
心苦しくなった佳枝は奈々の実家に電話を入れた。
此の時点では励ますつもりであった。

ところが、電話に出た奈々の母の声からは想像以上の苦痛が窺えた。
余計に心苦しくなった佳枝は咄嗟に「真犯人は別に居る」と告げたのだ。

匿名ダイヤルへの電話は、この電話を受けた奈々の母が娘の名誉を守る為に入れたものであった。

茂樹を庇う佳枝、娘の名誉を守ろうとする奈々の母。
共に親の子を想う気持ちからの行動であった。

数日が経過し、奈々の真実がぽつりぽつりと報道され始めた。
甲斐はほっとすると共に「何故、(佳枝が茂樹を)介護放棄されてまで庇ったんでしょうねぇ」と疑問を口にする。
心底、分からないと言った様子だ。
これに「それが分かれば、君は苦労しない筈です」と応じる右京。
その表情は微笑んでいた―――第9話了。

<感想>

シーズン13第9話。
脚本は池上純哉さん。

サブタイトルは「サイドストーリー」。

サブタイ的に他者から見れば取るに足らないように感じる「サイドストーリー」も当事者から見れば「重大なもの」である的なテーマなのかなぁ。
例えば佳枝は「サイドストーリー」を不要としたが、自身らがその「サイドストーリー」の登場人物となった時、それを不要と切り捨てることが出来なかった。
何故なら、他者から見た「サイドストーリー」も佳枝たちからすれば「メインストーリー」だから。

本作は、そんなテーマを「介護問題」を舞台に扱った作品かな。
なので、テーマとしては「事件の裏に繋がるサイドストーリーも重要なのだ」とも言えるのかもしれない。

ただ、一方で個人的には次のような物語だと感じてます。
此処からは上手くまとめ切れていないのですが徒然と。

佳枝は「サイドストーリー」を「不要なもの」としていました。
それを知った上で、敢えて「今回の茂樹の行動」を「サイドストーリー」と評した右京。
だが、本当に「不要なもの」ならば佳枝が奈々の母に匿名電話を入れる必要は無い。

これは「サイドストーリー」の重要性を訴えている……のではなく「茂樹の行動」が「事件には黒幕が居た」的なもので充分に「メインストーリー」であることを示しているのでしょう。
何しろ、事件の裏側で事を仕掛けていたのですから。
つまり、佳枝たちの存在は最初から「サイドストーリー」レベルを既に超越し「メインストーリー」になっている。
佳枝もこれを理解していたからこそ、奈々の母に匿名電話を入れた。
それだけ罪深いことを佳枝自身も分かっている筈です。

ちなみに、むしろ本作の「サイドストーリー」と言えそうなのは「佳枝の2サスマニア設定」か。
折角の設定だけにもっとがっつりストーリーと絡めても良かったような気はしますね。

それにしても、茂樹は奈々を排除するつもりなら解雇するか担当を変えて貰えば良かったのに。
選りにも選って、どんな結果を生むかある程度の予測がつくだろうにストーカーに密告するなんて……。
言わば恩人をその宿敵に売るような行為。
佳枝が「うちの問題だ」と口にしていましたが、その通りだとしてもその「うちの問題」で「よその大切な娘さん」である奈々を振り回した挙句死に至らしめたのだから、置かれた状況が状況とは言え余計に罪深い。

此の観点からだと「人と人とが理解し合うことの難しさ」もテーマだったのかもしれないなぁ。
そう言えば、奈々の上司らしき人が直接的に奈々と接して居ながら人柄を理解していなかったのもポイントなのかもしれません。

そして、本作は「2人の母が子を想う物語」でもありました。

佳枝は茂樹を想うあまり、奈々を犠牲にしたことを黙認した。
一方、奈々は娘の名誉回復を願い、匿名電話を入れた。
対照的な行動でしたが、根は同じですね。

とはいえ、佳枝は茂樹を庇うくらいなら自分の偏屈で介護士を辞めさせないように努めるべきなのになぁ。
そちらの方がよっぽど茂樹の為になるのだが。

ちなみに、佳枝の奈々の母への電話は自己満足の域を出ないよなぁ……。
あんなことしても、報じられている内容には変化が出ないだろうし。
決して、奈々の名誉は回復されない。
だからこそ、奈々の母が動かざるを得なかったのだろうし。
ただ、佳枝の電話が無ければ特命係が捜査に関わらず柿谷が冤罪で裁かれかねなかったのも事実。

ラスト、右京が甲斐に告げた「それが分かれば、君は苦労しない筈です」は峯秋との関係性を示したものか。
これが「甲斐が若さゆえに峯秋の親心を理解していない」ものなのか。
それとも「峯秋に佳枝のような親心が見られない為に、甲斐には理解出来ないだろう」とのものなのか。
いずれの意味を指し示しているのかは―――視聴者の受け取り方次第と言えそうです。

ちなみに、次回放送は2015年1月1日(木)。
恒例の元日スペシャルだそう。
そのタイトルは「ストレイシープ」。
すなわち「迷える羊」のこと。
おそらく、多くの登場人物により混迷の度合いを深める事件を右京は無事解決に導くことが出来るのか!?
三浦浩一さんが「相棒7」10話「ノアの方舟」以来の再登場。
但し、別の役で登場です、注目せよ!!

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