「すべてがFになる」最終話(10話)「有限と微小のパン(後編)【神に最も近い犯罪者】」(12月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!
<あらすじ>
西之園萌絵(武井咲)はホテルのベッドで目を覚ますと、ふらつきながら教会へとやってくる。警察の規制線をくぐって見上げた天井のガラスは割れたままだった。
萌絵は、犀川創平(綾野剛)に会いに行くと、自分は夢を見ているのではない、と確認するようにつぶやいた。
ホテルに戻った萌絵は、鵜飼大介(戸次重幸)に電話し「ユーロパーク」に真賀田四季(早見あかり)が潜伏しているから捜索要請をしてくれ、と頼む。やがて、鵜飼から連絡を受けた愛知県警の芝池護(小林隆)がやってくる。萌絵は芝池に、自分とともに塙理生哉(城田優)のところへ行き、四季の居場所を聞き出して欲しいと言う。
萌絵と芝池は、ナノクラフト社で塙と藤原博(鈴木一真)と面会する。萌絵は、自分に睡眠薬を飲ませ四季のいる場所に連れていったはずだ、と塙を問いただすが、塙は萌絵の妄想だと言って取り合わない。
同じ頃、犀川はホテルの公衆電話から国枝桃子(水沢エレナ)に電話をかけると、他愛もない話をして電話を切る。すると、ほどなくその電話が鳴った。受話器を取った犀川が名乗ると、相手は四季だった。
塙に相手にされなかった萌絵がロビーに戻ると、藤原がやって来る。藤原は、ナノクラフトを世界一のソフトウェア会社に成長させた塙が、ユーロパークを作ったのは、ここで萌絵に会いたかったからだと話す。さらに、いい物を見せると言って、萌絵を地下へと案内し…。
(公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……・前編はこちら。
「すべてがFになる」9話「有限と微小のパン(前編)」(12月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)萌絵の前に四季が現れた。
四季は萌絵に対し「また殺人が起こる」と予告するや姿を消した。
萌絵は鵜飼に「ユーロパーク」を調べるよう依頼。
数分後、地元の刑事・芝池護がやって来る。
萌絵は芝池と共に塙に詰め寄るが、塙は「四季のことは知らない。妄想だろう」とシラを切る。
打つ手を失い途方に暮れる萌絵に「ナノクラフト」副社長・藤原が声をかけた。
藤原は塙が「ユーロパーク」に手を出したのは萌絵の為だと告げる。
塙は萌絵を公私共にパートナーにするべく「ユーロパーク」を建設したらしい。
さらに、藤原は「見せたいものがある」と萌絵を研究室に誘う。
同じ頃、犀川のもとに四季から電話が入る。
四季はすべてを見通していた。
「萌絵を助けたければエレベーターに乗るように」と指示する四季。
その頃、萌絵の前では藤原がホログラムによる実験を行っていた。
ところが、その目の前でホログラムの藤原が甲冑騎士に殺害されてしまう。
それはすなわち、本物の藤原の死も意味していた。
そんな萌絵の前に四季が現れた。
これまたホログラムだ。
ホログラムの四季は萌絵が抱えるトラウマを指摘。
萌絵は両親の死を目撃したことで自己否定に陥っていた。
思わぬ指摘に萌絵は精神的な衝撃を受ける。
其処にエレベーターに乗った犀川が駆け付けた。
さらに塙も登場。
犀川に抱え起こされた萌絵は藤原が殺害されたことを教える。
当初は「ホログラムでしょ」と余裕を示していた塙。
だが、実際に遺体を目にした途端に「そんな馬鹿な」と激しく狼狽する。
芝池が捜査にやって来た。
芝池によれば、事件後に桑原みどりなる「ナノクラフト」社員が1人消えてしまったらしい。
どうやら、桑原が犯人だと考えているようだ。
同じ頃、塙は「まさか、こうなることを知っていたのですか」と四季を問い詰めていた。
これに笑顔で頷く四季。
塙は未だ底知れぬ四季の思考に戦慄する。
直後、犀川は消えていた松本の遺体を発見し真相に辿り着く。
塙のもとを訪れた犀川は四季に会わせるよう迫る。
当の塙は何かから逃れるように酒に溺れていた。
さらに、塙は「四季を利用できるワケが無かったんだ」と後悔を口にする。
1年前、塙は四季からメールを受け取った。
其処には「ビジネスパートナーになりたい」と記されていた。
これに塙は狂喜乱舞した。
四季を手に入れコントロールすれば世界が手に入ると思ったのだ。
当然、世界の中には萌絵も含まれる。
だから、四季に手を貸した。
ところが、四季はすべてを予見しつつ塙を利用した。
いや、四季は利用すべき者を利用したに過ぎないのかもしれない。
四季にとって、塙は単に利用するべき存在だったのだ。
傷心の塙から四季のもとへ辿り着く為のパスを手に入れた犀川。
萌絵と共にエレベーターに乗る。
辿り着いた先は例の教会であった。
其処には四季が一片のパンと共に居た。
一方、事情を聞いた鵜飼たちも教会に突入。
ところが、其処は無人であった。
犀川たちは何処に消えたのか!?
此処で萌絵は教会が2棟あることに気付く。
地上の教会の下にもう1つそっくり同じ教会があったのだ。
だからこそ、ステンドグラスが割れた教会(松本殺害現場)と割れていない教会(四季が居る教会)が存在していたのだ。
犀川は今回の事件の仕掛けを解き明かす。
全ては2つある教会と同様に虚構と現実が入り混じった出来事だったのだ。
松本や藤原は殺害されるつもりは無かった。
だが、殺された芝居をうつつもりはあった。
すべては塙主導による狂言だったのだ。
塙は萌絵を手に入れるべく「ナノクラフト」に興味を持たせようと大掛かりな芝居を仕掛けた。
そして、芝池らも彼らの仲間だったのである。
ところが、ある人物の思惑で塙の意図を大きく外れることとなった。
このある人物とは新庄その人だ。
新庄は塙の計画に便乗し、本当の殺害を行った。
四季はこの全てを知りつつ放置した。
では、これを踏まえて事件を振り返ろう。
まず、松本を殺害。
松本は新庄に殺害されるとも知らず、与えられた役割を演じていた。
すなわち死体役だ。
ところが、本当に新庄に殺害されてしまう。
当初の新庄の予定では松本の死体消失を演じた後に、その死体を湖畔に沈め消息不明を終結させるつもりであった。
ところが、萌絵が松本の死を確認してしまった。
これでは消息不明で誤魔化すことが出来ない。
其処で筋書き変更の必要に迫られた。
筋書きに沿った連続殺人を完遂する必要が生じたのだ。
新庄は自身も殺害されたように偽装。
その後、桑原に扮すると藤原殺害を実行に移す。
藤原は萌絵と共に入室した時点で殺害されていた。
萌絵が見た藤原は途中から事前に撮影していたホログラムとすり替わっていたのだ。
これが今回の事件の真相であった。
四季は萌絵に「虚構と現実の狭間を確認する為の実験だった」と告げる。
さらに、萌絵を試す為とも。
先にも指摘された通り、萌絵は本人でも気付かぬ内に精神的なバランスを欠いていた。
そんな萌絵がこれまで何とか生きて来られたのは犀川を心の拠所としたからだ。
萌絵にとって自己否定の対象である自身が死の象徴ならば、犀川は生の象徴だったのだ。
これを真っ向から指摘された萌絵は初めて精神的なバランスを欠いていたことをはっきりと認識した。
此処に萌絵は問題を認識したのだ。
後は立ち向かうのみである。
四季は萌絵に犀川を解放するよう迫る。
もはや、萌絵は犀川を必要としない。
犀川も萌絵を支える必要は無い。
四季は犀川を自身が属する世界へと誘う。
其処は思考と理念が優先し、肉体に縛られない世界だ。
ふらふらと四季へと歩み寄る犀川。
そして、照明が暗転し萌絵が1人残された。
波打ち際が延々と続く浜辺を四季と犀川が歩いていた。
シンパシーを感じ合う四季と犀川は互いの理論を確認し合う。
四季は自身が既に死亡していると宣言。
常に思考のみに集中する自由を手に入れたと述べる。
これを贅沢だと評する犀川。
一方で、四季を孤独だとする。
しかし、四季に孤独は意味を為さない。
四季は完全な存在であり、孤独と言う概念がそもそも存在しない。
だが、犀川は違う。
彼はまだ完全なる個の存在ではない。
あくまで群体に生きる個なのだ。
犀川は四季に決別を告げた。
今度、会うときはきっとどちらかが死んだときになるだろう―――そう、予告する四季。
四季は「犀川先生が死んだその時には泣いてみたい」と伝える。
犀川は「四季博士が死んだその時には一日禁煙します」と伝える。
そして、2人は別れた。
四季は煙のように消えた。
これまたホログラムだったのだ。
犀川は萌絵のもとに戻った。
萌絵に犀川が必要だったように、犀川にも萌絵が必要だったのだ。
数日後、世津子宅を訪れた萌絵は隣人の名に注目する。
隣人の名は瀬戸地衣(せとちい)。
これを逆から読めば「いちとせ」。
すなわち一年だ。
一年は春夏秋冬を示す。
つまり、四季である。
瀬戸地衣は四季だったのだ。
隣家を覗き込む犀川たち。
其処にはあの教会と同じく一片のパンが残されていた―――エンド。
<感想>
ドラマ原作は森博嗣先生「S&Mシリーズ」。
そして、今回はシリーズ第10弾にして最終作『有限と微小のパン』のドラマ化でした。
原作『有限と微小のパン』については過去にネタバレ書評(レビュー)ありますね。
・シリーズ第10弾にして最終話。
『有限と微小のパン』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)では、ドラマ感想を。
やっぱり良いわぁ。
怒涛のラストでしたね。
エピローグの余韻も良し。
何よりも、浜辺を歩きながらの四季と犀川の遣り取りが良かった。
あのテンポと雰囲気の再現は素晴らしかった。
原作からはアレンジもかなりありましたが、ドラマ版最終話としてこれ以上ないものだったと思います。
惜しむらくは続編の話が聞こえてこないことか。
ドラマ版の続編、欲しいねぇ……。
とはいえ、まだ『すべてがFになる』は続きます。
ドラマ版ではありませんが『すべてがFになる』アニメ化が発表されているのです。
アニメ版にも期待です!!
・
『すべてがFになる』がアニメ化とのこと!!◆関連過去記事
【S&Mシリーズ】
・シリーズ第1弾。
『すべてがFになる』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)・シリーズ第2弾。
『冷たい密室と博士たち』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)・シリーズ第3弾。
『笑わない数学者』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)・シリーズ第4弾。
『詩的私的ジャック』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)・シリーズ第5弾。
『封印再度』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)・シリーズ第9弾。
『数奇にして模型』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)・シリーズ第10弾にして最終話。
『有限と微小のパン』(森博嗣著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)【ドラマ版】
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