2015年01月05日

『挑戦者たち 2』(法月綸太郎著、新潮社刊『小説新潮 2015年1月号』掲載)

『挑戦者たち 2』(法月綸太郎著、新潮社刊『小説新潮 2015年1月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

――「読者への挑戦」を積み上げると、ミステリはどこへ至るのか?
(新潮社公式HPより)


<感想>

「読者への挑戦」により成立している短編、その第2弾です。

『挑戦者たち』(法月綸太郎著、新潮社刊『小説新潮 2014年5月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

「読者への挑戦」とは「手掛かりは既に示されている。読者諸氏に置かれては犯人を的中されんことを!!」のアレのことですね。
これを、レイモン・クノー(レーモン・クノー)の『文体練習』に基づいて、複数の「読者への挑戦」単体で短編として成立させたのが本作。
流石は『ノックス・マシン』の著者と言うべき仕上がりになっています。

その「読者への挑戦」がバラエティに富んでいて凄い。
まさにありとあらゆる「読者への挑戦」が存在することに。

その第2弾。
今回は「朗読風」から「袋とじ風」が取り揃えられています。

ちなみに「袋とじ風」は東野圭吾先生『どちらかが彼女を殺した』(講談社刊)のパロですね。
他にもとにかくパロがスゴイ!!
これが単行本化されたときのことを思うと……胸が高鳴るな。

そう、本作は単行本化が予定されています。
『挑戦者たち 2』のラストにも単行本化予定について触れられており、期待大!!

ちなみに、これの犯人は「作者」であり「読者」になるのでしょうか。
読むべし!!

◆関連過去記事
『キングを探せ』(法月綸太郎著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『三人の女神の問題』(法月綸太郎著、光文社刊『犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『一の悲劇』(法月綸太郎著、祥伝社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『挑戦者たち』(法月綸太郎著、新潮社刊『小説新潮 2014年5月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

『挑戦者たち 2』が掲載された「小説新潮 2015年 01月号 [雑誌]」です!!
小説新潮 2015年 01月号 [雑誌]





「挑戦者たち」が掲載された「小説新潮 2014年 05月号 [雑誌]」です!!
小説新潮 2014年 05月号 [雑誌]





『ノックス・マシン』です!!
ノックス・マシン





『都市伝説パズル』が収録された「法月綸太郎の功績 (講談社文庫)」です!!
法月綸太郎の功績 (講談社文庫)





コミック版もあります。
「都市伝説パズル―法月綸太郎の事件簿 (SUSPERIA MYSTERY COMICS)」です!!
都市伝説パズル―法月綸太郎の事件簿 (SUSPERIA MYSTERY COMICS)





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『プラ・バロック』(結城充考著、光文社刊)

『プラ・バロック』(結城充考著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

雨の降りしきる港湾地区。埋め立て地に置かれた冷凍コンテナから、十四人の男女の凍死体が発見された! 睡眠薬を飲んだ上での集団自殺と判明するが、それは始まりに過ぎなかった――。機捜所属の女性刑事クロハは、想像を絶する悪意が巣喰う、事件の深部へと迫っていく。斬新な着想と圧倒的な構成力! 全選考委員の絶賛を浴びた、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
(光文社公式HPより)


<感想>

結城充考先生による「クロハシリーズ」第1弾です。
シリーズには2014年12月現在で既刊として本作以外に長編『エコイック・メモリ』、短編集『衛星を使い、私に』の計2作が存在。

『エコイック・メモリ』(結城充考著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

タイトル『プラ・バロック』の意味だが―――
英語だと「プラ」が「プラスチック」、「バロック」が「歪んだ真珠」。
サンスクリット語だと「プラ」が「都市」、「バロック」が「塔」となるらしい。
意訳すると英語版が「プラスチックの歪んだ真珠」、サンスクリット語だと「塔の都市」となるのかな?

どちらも、作中に登場した事象ですね。
どちらかと言えば仮想世界がモチーフとなっていることから、両者を折衷して「歪んだ都市」との解釈もアリかもしれません。

そんな本作ですが、特異な世界観を楽しむ作品と言えるでしょう。
特に全体の構成力が高いのもポイントです。
また、続編『エコイック・メモリ』だと仮想世界設定が余り活かされていないのですが、本作に関してはこれが非常に効果を示している点も良し。
そして、何よりタカハシの存在が一際異彩を放つ作品。

此処から是非「クロハシリーズ」の世界観に嵌って欲しい。

ちなみに、ネタバレあらすじはかなり改変を加えているので注意!!
あらすじを読んで興味を持たれたら本作にチャレンジすべし!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
クロハ(黒葉佑):射撃の名手である女性刑事。
黒葉諒:クロハの姉。
アイ:諒の息子、クロハの甥。

サトウ:サイバー犯罪対策課職員。

管理者:クロハが訪れる仮想世界の管理者。
キリ:仮想世界での友人。
レゴ:仮想世界での友人。

タカハシ:クロハが出会った人物。
鼓動:自殺サイト「蒼の自殺掲示板」の管理者。

コウ:5年前に殺害された被害者。


埋立地に置かれた冷凍コンテナから14人の遺体が見つかった。
これは睡眠薬を服用した上での集団自殺と考えられた。
どうやら、被害者は自殺サイト「蒼の自殺掲示板」の利用者たちらしい。
これについて、掲示板の管理者・鼓動は「残念ながら仕方がない事だ」と述べるが……。

この捜査に携わったのが射撃の名手である女性刑事・黒葉佑(通称:クロハ)。
クロハはこれを単なる自殺ではないと考え、捜査を続ける。
もちろん、周囲の反発は激しい。

男社会で1人戦い続けるクロハ、そんな彼女の心の癒しは2つ。

まず、現実社会では同居している姉・諒とその息子・アイの存在だ。
そして、ネット上の仮想世界である。

クロハはその仮想世界で匿名のアゲハなる人物になるのだ。
その世界では管理者やキリ、レゴらに囲まれアゲハは充実していた。

ところが、この仮想世界に暗雲が。
キリによれば、雲を連れた冒険者がやって来たのだと言う。
仮想世界ではCPUの処理能力を抑えるべくテクスチャを抑制するのだが、その冒険者は敢えて負荷を与えるようにしていたらしい。

安穏の地に訪れた不快な存在に、クロハは不安を覚える。

そんな中、クロハの前にタカハシなる人物が現れた。
タカハシは闇社会の人間で、集団自殺事件を調べているらしい。
なんと、集団自殺事件は自殺ではなく何者かによる他殺の疑いがあったのだ。

矢先、仮想世界からキリが消えた。
現実世界でクロハはキリを調べ、これまた「蒼の自殺掲示板」に出入りしていることを突き止める。
キリも自殺しようとしていたのである。

間一髪、これを阻止するクロハ。
キリによれば「鼓動」から「死は美しい」と奨められたようだ。
しかも、鼓動は自殺者に対して仮想世界上にモニュメントを建造することを約束していた。
ところが、これがまるっきりの嘘だったことが分かる。

「鼓動」は快楽殺人者。
「蒼の自殺掲示板」の来訪者たちを利用して、自身の願望を叶えていたのである。
なんと、「鼓動」は「楽な死を与える」と約束しつつ、実際には自分本位な「苦痛ある死」を与えていたのだ。

裏切られたと知ったキリの告発により「鼓動」の悪行が発覚。
「鼓動」は追われる身に。

と、レゴがクロハに身辺を警戒するよう忠告する。
レゴの正体はサイバー犯罪対策課のサトウであった。
サトウによれば、クロハはネット上で身分を隠しているつもりらしいが調べればすぐに分かるらしい。
さらに、仮想世界の管理者が何かを隠しているらしいことも判明する。

直後、クロハは諒と連絡が取れなくなってしまった。
サトウの忠告を思い浮かべるクロハ。
まさか「鼓動」が……。

慌てて自宅に戻ってみると諒が何者かに殺害され、アイが連れ去られていた。
クロハはアイを取り戻すべく心当たりへ向かう。

向かった先はコンテナ街。
此処なら潜伏し易いと考えたのだ。

ところが、其処にはタカハシが断末魔の表情を浮かべて倒れていた。
どうやら「鼓動」を追って返り討ちにあったらしい。

「鼓動」の存在を確信したクロハはこれと対決する。
「簡単にお前を殺せる」と主張する「鼓動」。
「鼓動」は快楽殺人者であり、5年前にも女性を殺害していた。
暫く衝動を抑えていたが耐え切れなくなり今回の事件を起こしていたのだ。
クロハはそんな「鼓動」に強い殺意を抱く。

正直、「鼓動」はクロハをなめていた。
本気を出したクロハの前に「鼓動」はあっさりと沈められてしまう。
命の危機を感じた「鼓動」はその場を逃げ出す。

アイは……アイは無事であった。
辛うじて最後の平穏を取り戻したクロハ。

去ろうとして、タカハシの遺体が消えていることに気付く。
さらに「鼓動」が大量に出血していることに。
どうやら、タカハシは最期の力を振り絞り「鼓動」を捉えたようだ。

その数日後、例の仮想世界を訪れたクロハ。
その管理者こそがタカハシであった。
タカハシによれば、この世界は「鼓動」を捕らえる為の罠の1つだったらしい。

5年前、タカハシ……いや、本名はタカハシではない。
その男は恋人であるタカハシコウを「鼓動」に殺害され、復讐を誓った。
以来、「鼓動」を追い続けていた。

そして「鼓動」の正体に繋がるヒントを仮想世界に隠した。
「鼓動」は自身の正体が暴かれることを極端に恐れており、ネットを巡っては正体に繋がる証拠を隠滅していた。
例の雲を背負った冒険者こそが「鼓動」だったのだ。
其処で「鼓動」は管理者=タカハシを名乗る男と接触し誘き出されたのである。

だが、「鼓動」は強かった。
タカハシは反撃に遭い、瀕死の重傷を負った。

その後、「鼓動」はクロハと戦闘し逃亡。
必死に逃げるところをタカハシに不意討ちされたのである。

タカハシによれば「鼓動」は既にこの世に居ないと言う。
そして、タカハシにもそう時間は残されていないらしい。
タカハシを名乗る男は復讐を果たし恋人・コウの名を満足そうに呟くのであった―――エンド。

ドラマスペシャル「クロハ 機捜の女性捜査官 連続殺人と集団自殺…2つの捜査本部8日間の激闘!!悪意に立ち向かう家族の絆!!真相にたどり着いた女刑事が交わす涙の約束とは!?冒頭20分…この中に犯人がいる」(2月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)

◆関連過去記事
『エコイック・メモリ』(結城充考著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

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