2015年02月09日

【容疑者絞り込みました】「蟻地獄壕殺人事件」第5話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【容疑者絞り込みました】「蟻地獄壕殺人事件」第5話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

「金田一少年の事件簿R」第5弾は「蟻地獄壕殺人事件」!!
心理実験を舞台に事件が……


【「蟻地獄壕殺人事件」登場人物一覧】
金田一:主人公。最終エピソードまで犯人にも被害者にもならないでしょう。
美雪:言わずと知れた金田一少年のベストパートナー。最終エピソードまで犯人にも被害者にも(以下略)。

馬江田準樹:西東大学心理学部教授。実験の主催者。
巳月七生:高校2年生。赤色
祝木桐彦:大学4年生。オレンジ色
彩世泉:大学3年生。ベージュ
華形拓人:大学2年生。黄色
舞谷かえで:大学2年生。エメラルドグリーン
蜂倉柊太:大学3年生。灰色
司吉里子:高校3年生。黒色

草薙蓮:1年前に溺死体で発見された人物。

いつき陽介:フリーライター、何かと金田一と繋がりのある人物。

マスター:カフェふくろうのマスター。
ホー之介:マスターが飼っているふくろう。

<あらすじ>

・前回はこちら。
【第2の殺人発生】「蟻地獄壕殺人事件」第4話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

取り敢えず「蟻地獄壕殺人事件」の部屋割りは次の順となっている。

東ブロック(東から西の順):空室、馬江田、空室、金田一、巳月、空室、彩世、美雪。
西ブロック(東から西の順):いつき、華形、蜂倉、祝木、空室、司、空室、舞谷。

以上の16室があり、2部屋ずつが合流する点には小広間が存在。
その小広間同士が合流する点にも別の小広間がある。
これを繰り返しつつ中央にある大広間へと続いている。
いわば、トーナメント表のような作りなのだ。

此の点を踏まえて本編スタート!!

西ブロックに居た華形のバイタルに異常を計測した馬江田は、華形の部屋に一番近いいつきに確認を依頼することに。
ところが、華形の部屋は無人であった。
いつきは馬江田に合流すべく中央の大広間へと向かうのだが……。

部屋から2つ目の小広間(彩世泉の遺体がある部屋)前で思わぬ足止めを喰らうことに。
どうも、小広間の内側から施錠されているようなのだ。
これでは動けない。

この報を聞いた馬江田は小広間の内側から解錠すべく東ブロックへ向け出発。
ところが、馬江田自身も部屋から2つ先の小広間にて動けなくなってしまった。
この小広間も内側から施錠されていたのだ。
突破するにはこれも内側から解錠して貰うしかない。

其処で馬江田は解錠可能であり直近の部屋である金田一を呼び出す。
呼び出された金田一は内側から解錠し、馬江田と合流を果たす。

ところが、今度は小広間の大広間側出口が開かない。
大広間側から施錠されているのだ。
馬江田と金田一は美雪と巳月を呼び出し、外側から解錠して貰う。
此処で4人が合流した。

大広間を抜け、西ブロックへ。
辿り着いたのはいつきが立ち往生している泉の遺体が置かれた小広間前だ。
ところが、こちらもいつき同様に内側から施錠されていた。
当然、中には入れない。

これが解錠可能なのは蜂倉と祝木の2人のみ。
連絡を取り内側から解錠して貰うこととなった。

ところが、その途中が騒がしい。
どうやら、蜂倉と祝木の部屋に繋がる小広間に何かがあったようだ。

そうこうしている内に、蜂倉と祝木が小広間(泉の遺体がある)の内側から鍵を開けた。
此処で2人が1つ前の小広間に華形の遺体があったことを告げる。

いつきも加わり、慌てて、その場へ駆け付ける金田一と馬江田たち。
すると、蜂倉と祝木が述べた通りの華形の遺体を其処に発見する。

危険を感じた馬江田は未だ合流していない司と舞谷に連絡を入れる。

まずは司。
ところが、司は「怖いので出たくない」と部屋に籠ることを宣言してしまう。

残るは舞谷。
こちらは呼びかけに応じ、華形の遺体のもとへ駆け付ける。

取り敢えず、司を除く生存者が集まった。
馬江田たちは現状で犯行可能な者を絞り込もうとする。

それは余りにも明白であった。

馬江田は施錠した扉に阻まれていた。
金田一も同様。
美雪と巳月も同じ。
いつきも同じ。
司と舞谷も同様だ。

この状況下で何の拘束もなく犯行が可能なのは……蜂倉と祝木しかいない。
蜂倉と祝木は互いに互いを疑い、罵り合う。

険悪な雰囲気に互いの部屋を離してはどうかとの提案が為された。
これに舞谷は「いっそのことブロックを分けるべきだ」と主張。
結果、蜂倉が金田一と部屋を交代することとなった。

金田一はと言えば、これ以上の悲劇を防ぐことを「ジッチャンの名にかけて」と宣言する―――6話に続く。

<感想&推理>

「金田一少年の事件簿」が「金田一少年の事件簿R」として帰って来ました。
その第5弾は「蟻地獄城殺人事件」……ではなく「蟻地獄壕殺人事件」です!!

どうやらタイトルが「蟻地獄城」から「蟻地獄壕」へと変更になった様子。
「城」ではなく「壕」であることに深い意味があるのだろうか。
だとすれば「蟻の巣」状の連結構造(トーナメント表)に何かありそうだが……。

そんな「蟻地獄壕殺人事件」の第5話。

なんとも不思議な事態に。
何故か、犯人はあちこちの小広間を施錠して回っていました。

そもそも、この犯人は遺体をあちこちに運ぶし、小広間を施錠して回るし、パワフルな上にアクティブ。
壕内をうろうろしていて目撃されたら完全に怪しい人とされてしまう……これはかなりリスキーな行動だ。
にも関わらず、犯人はそんな行動を取った。

そのリスクを負ってまで行った「小広間を施錠して回る」との行動に意味があるとすれば、それは「犯人自身が容疑圏外へ逃れる為」しかありえない。
すなわち、其処にはトリックが存在しており、蜂倉と祝木は犯人ではない。

だとすれば、このトリックは何か。
此処で思い起こして欲しいのが、犯人のもう1つのリスキーな行動である「やたら遺体を動かしている」こと。
この遺体移動にも意味がある筈。

となると……ほら、見えて来た。

今回、蜂倉と祝木に容疑が向けられた理由は何だったか。
それは泉の遺体がある小広間が内側から施錠されていたから。
つまり、彼ら以外に小広間を内側から施錠することが出来れば良い。
ちなみに、この小広間の錠は糸では工作不可能であることが既に示されており内側からの施錠しかあり得ない。

でもって、泉殺害前と殺害後とでこの小広間にどのような変化が起こったか。
泉の遺体が安置されたのだ。
しかも、ご丁寧に毛布で遺体が確認出来ない状況で。

こうなると、もう答えは1つだろう。
犯人は泉の遺体と共に毛布に隠れて、金田一たちをやり過ごすことが出来た人物になる。
その人物は金田一たちが小広間を通過後にこっそりと抜け出したのだろう。
これが可能なのは誰か。

金田一と美雪は犯人ではない。
馬江田と巳月は金田一たちと同行していたので犯人ではない。
いつきは糸で工作不可能である以上、犯人ではない。
蜂倉と祝木はこのトリックを行う必要が無いから犯人ではない。

可能なのは司と舞谷の2人だ。
さて、いずれが犯人か。

メタ的に見れば、2話時点で司が自室に籠った後に大広間で黒い影が何やら想いを巡らす描写がある。
これに従えば司が消える。
残ったのは……舞谷だ。

現状、舞谷が犯人である可能性は非常に高い。

また、4話の描写から司の部屋に繋がる小広間が外から施錠可能であることも判明している。
あの描写が差し挟まれたことに意味があるとすれば、やはり舞谷犯人説に繋がるのではないか。

舞谷としてみれば自身が行動するにあたり、もっとも近くの部屋に居る司に目撃されることは避けたい。
だとすれば、あの小広間を施錠し行動を封殺したと思われる。
実際は、司は部屋に籠ってしまった為に無意味となったこの行動が後程になってクローズアップされることで犯人指摘に繋がるかもしれない。

いずれにしろ、舞谷犯人説を推して行きたく思う。
これにより、2話時点で推理したトリックは残念ながら消えたか。

さて、こうなると舞谷が提案した蜂倉と金田一の部屋交代が物凄くきな臭くなる。
4話の華形の発言により、祝木が次なる犯人のターゲットであることは判明している。
此の点に注目して行くべきだろう。

そう言えば……舞谷が犯人として華形の部屋にどうやって忍び込めたのかが謎だ。
此の点も含めて次回以降に注目!!

ちなみに、此処で大ニュース。
「ファイアーエムブレム」シリーズ最新作「ファイアーエムブレムif」開発に「金田一少年の事件簿」原作者である樹林伸先生が参加されるとのこと。

そう言えば『小説 野性時代』(角川書店刊)でも樹林伸先生『ドクター・ホワイト』が2014年11月号から連載開始されています。
こちらも注目すべし!!

綾辻行人先生「Another」シリーズ続編『Another 2001』が『小説野性時代132号(11月号)』にて連載開始!?

◆「蟻地獄壕殺人事件」関連過去記事
「蟻地獄壕殺人事件」第1話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「蟻地獄壕殺人事件」第2話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「蟻地獄壕殺人事件」第3話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【第2の殺人発生】「蟻地獄壕殺人事件」第4話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

◆シリーズ関連過去記事
・「金田一少年の事件簿R」より「学生明智健吾の事件簿」のまとめはこちら。
「学生明智健吾の事件簿」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿R」より「狐火流し殺人事件」のまとめはこちら。
「狐火流し殺人事件」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿R」より「亡霊校舎の殺人」のまとめはこちら。
「亡霊校舎の殺人」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ

・「金田一少年の事件簿R」より「雪鬼伝説殺人事件」のまとめはこちら。
「雪鬼伝説殺人事件」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「薔薇十字館殺人事件」のまとめはこちら。
「薔薇十字館殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「香港九龍財宝殺人事件」のまとめはこちら。
「香港九龍財宝殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「暗黒城殺人事件」のまとめはこちら。
「暗黒城殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「人喰い研究所殺人事件」のまとめはこちら。
「人喰い研究所殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」のまとめはこちら。
「ゲームの館殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・「金田一少年の事件簿」より「錬金術殺人事件」のまとめはこちら。
「錬金術殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・同じく「高度1万メートルの殺人」のまとめはこちら。
「高度1万メートルの殺人」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・さとう先生による読み切り「トキメキトキナ消失宣言」のネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「別冊少年マガジン」(講談社)より「トキメキトキナ消失宣言」ネタバレ批評(レビュー)

【ドラマ版】
ドラマ版「金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件・アジア北米同日放送〜美雪誘拐!破滅の街の悲劇…死体出現密室トリックの謎はすべて解けた!」(1月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件 マレーシアのジャングルで合宿中の生徒達が次々と消えた…太陽と月が交わる時暴かれる驚愕のトリック!謎はすべて解けた!」(1月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「金田一少年の事件簿N」(日本テレビ系、2014年)まとめ

「金田一少年の事件簿R(1) (講談社コミックス)」です!!
金田一少年の事件簿R(1) (講談社コミックス)





こちらはキンドル版「金田一少年の事件簿R(1)」です!!
金田一少年の事件簿R(1)





「金田一少年の事件簿R(2) (講談社コミックス)」です!!
金田一少年の事件簿R(2) (講談社コミックス)





「金田一少年の事件簿R(3) (週刊少年マガジンKC)」です!!
金田一少年の事件簿R(3) (週刊少年マガジンKC)





「金田一少年の事件簿R(4) (週刊少年マガジンKC)」です!!
金田一少年の事件簿R(4) (週刊少年マガジンKC)





「金田一少年の1泊2日小旅行(1) (講談社コミックス)」です!!
金田一少年の1泊2日小旅行(1) (講談社コミックス)





こちらはアニメ版サウンドトラック!!
「金田一少年の事件簿R オリジナルサウンドトラック」です!!
金田一少年の事件簿R オリジナルサウンドトラック





「高遠少年の事件簿 (少年マガジンコミックス)」です!!
高遠少年の事件簿 (少年マガジンコミックス)





「金田一少年の事件簿N(neo) DVD-BOX」です!!
金田一少年の事件簿N(neo) DVD-BOX





「金田一少年の事件簿N(neo) Blu-ray BOX」です!!
金田一少年の事件簿N(neo) Blu-ray BOX





「金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件 [DVD]」です!!
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金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件 [Blu-ray]





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金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件 [DVD]





こちらはゲーム。「金田一少年の事件簿 悪魔の殺人航海」です!!
金田一少年の事件簿 悪魔の殺人航海





シリーズの1つ「金田一少年の事件簿 錬金術殺人事件(上)(週刊少年マガジンKC)」です!!
金田一少年の事件簿 錬金術殺人事件(上)(週刊少年マガジンKC)





「金田一少年の事件簿 錬金術殺人事件(下)(週刊少年マガジンKC)」です!!
金田一少年の事件簿 錬金術殺人事件(下)(週刊少年マガジンKC)





「(TVアニメ化10周年記念) アニメ「金田一少年の事件簿」DVD コレクターズBOX (初回限定生産)」です!!
(TVアニメ化10周年記念) アニメ「金田一少年の事件簿」DVD コレクターズBOX (初回限定生産)





◆金田一少年の事件簿シリーズコミックはこちら。


◆金田一少年の事件簿シリーズ映像作品はこちら。
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「実は私は」第98話「ドッジボールをしよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第98話「ドッジボールをしよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧は本記事下部に移動しました。

<あらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜

「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒峰朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?

矢先、実は宇宙人であった委員長・渚、狼男で肉食系女子な獅穂、悪魔っ娘の茜、未来人の凛、幼馴染のみかん、天使の華恋も加わって……。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

三年生への進級に伴い行われたクラス替え。
新しい仲間との親睦の為に、明里の提案でドッジボールが行われることとなった。

ところが、いざ始まってみると……それは戦争だったのである。

「朝陽、危ない!!」
何故、こんなことになっているのだろうか……周囲の惨状を呆然と眺めていた朝陽をサクラが救う。
先程まで朝陽が立っていた場所を剛球が通過する。
いや、それはもはや球ではない。兵器だ。

屋上からは雨霰とコートに向けてボールが投げつけられる。
だが、標的には一球も当たらず、むしろ反撃で屋上側のメンバーが全滅する始末である。

隙を突き、横合いから伏兵が動く。
だが、これまた標的に睨みつけられあっさりと壊滅した。

今、戦いを行っているのは1人VSその他大勢である。
だが、その1人が倒せない。
何故なら、その1人こそ独身と揶揄されたことで狂戦士モードとなった明里なのだから。

何がどうなったのか、親善試合の筈が担任教師VSクラス全員の図式となっていたのだ。

その場を離れた朝陽たち。
被害は拡大するだけで一向に収束する気配はない。

いっそ、降伏するか……そんな空気が流れ始めたその時、爆弾発言が炸裂した。

「この勝負に勝ったら先生に告白する」

そう言い切ったのはあのサクラである。
もちろん、告白の相手は紅本明里であることに間違いはない。

何でも、サクラはやんちゃしていた「あのとき」に明里に戒められ今の自分になれたのだと言う。
きっと、明里にとっては些細なことで覚えてなどいないに違いない。
だからこそ、明里に勝つ男として認められた上で告白したいのだそうだ。

これを聞いた朝陽たち。
そんなサクラを応援しようと必勝の策を練り出した……。

数分後、校庭には明里が仁王立ちしていた。
全方位を警戒しているようだ。

其処に屋上からボールが投擲される。

「ふん!!」
身に迫るボールを次々と華麗に回避する明里。
だが、其処でハタと気付いた。
降って来たのはボールでは無い……妙に粘つく。
よく見れば、それは餅であった。

投げつけられた餅は明里の行動範囲を狭めて行く。
同時に彼女の手持ちのボールを容赦なく奪い去った。
餅に絡め取られることなく残されたのは1球だけだ。

其処で朝陽たちが白兵戦を挑む。
誰か1人が犠牲になり、他のメンバーが明里を討つのだ。

「舐められたものだな」
言うや、明里は悠然とボールを投げつける。

たったの1球であったが、その1球が凄かった。
なんと、1球で白兵を挑んだ面々を打ちのめしたのだ。
さらに、明里はリバウンドしたボールをその手に収める。

しかし、まだ終わりではない。
明里の隙を突くように、逆サイドから第3波が襲いかかる。

その面々は周囲を霧……いや、湯気に浸し明里の視界を奪う。
こんな芸当が出来るのは……獅穂だ!!
77話「カリスマを超えよう!」にて魅せたあのワザが此処に来て活かされたのだ。

「実は私は」第77話「カリスマを超えよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

湯気に覆われた空間から脱すべく大きく跳躍した明里は鮮やかに空中を舞う。
そのとき、明里に向け単騎駆けする人影があった。
これこそが本命―――すなわち、サクラだ。

如何に明里とはいえ、空を漂う状況では格好の的である。
サクラは渾身の力を込めてボールを投げた。
これに明里は諦めたように目を瞑った。

(やった……)
誰もがそう思った。しかし……。

次の瞬間には全員が絶句する展開が待っていた。
明里はサクラを見るでもなく、そっとボールを手放した。
これが明里の手を離れるや高速回転しサクラを襲ったのだ。
サクラは直撃を受け倒れ込む。
一方、サクラ渾身の一撃は明里が姿勢を変えただけで回避されてしまった。

(空気を読めよ〜〜〜)
その場に居た全員の声なき声が響く。

落胆する一同、何よりサクラのソレは大きかった。
しかし、倒れ込んだサクラに明里が声をかけた。
「あのときよりはマシになったな」と。

明里は覚えていたのだ。
サクラは「今は駄目だったがいつか必ず……」と決意を新たにする。
朝陽たちもそんなサクラを応援することを誓う。

そんな輪から離れたところに、2つの人影があった。
1つはサクラの恋を応援すべきか悩み続ける茜。
そして、もう1つは……。

(まさか、最近の高校生が此処までスゴイなんて……ワシ、副担任引き受けたの早まったんじゃ)

目の前の壮絶な光景に唖然とする源二郎であった―――99話に続く。

充実の「実は私は」が読めるのは「週刊少年チャンピオン」だけ。
本誌で確認せよ!!

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻に続き2巻、3巻、4巻、5巻、6巻、7巻、8巻、9巻も重版出来とのことで、目出度い。
さらに、10巻も発売。
そして、本作かなり面白い!!

ちなみに遂に「実は私は」がアニメ化されるとのこと。
詳細は「週刊少年チャンピオン」の続報を待つべし!!

【朗報】あの「実は私は」が2015年にアニメ化予定とのこと!!

その98話。

サブタイは「ドッジボールをしよう!」。

92話「3年生になろう!」にて3年生となった朝陽たち。
この際にクラス替えについても触れられていましたが、これを受けての親睦ドッジボールが行われました。

「実は私は」第92話「3年生になろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

とはいえ、親睦というよりは担任教師の恐ろしさを知らしめる場になってしまったとしか言いようがない気がしますが……。

そんな今回も登場キャラが十分に活きていましたね。

まずは、ヒロインの葉子さん。
あらすじからは省いていますが、コマの隅などで再三登場。
その中で、どうも少しずつ厨二病を拗らせつつあるようです。
これにより、どんどんクールビューティーからは遠くなるなぁ。

次いで獅穂。
77話「カリスマを超えよう!」のあのワザが今回も活躍!!

「実は私は」第77話「カリスマを超えよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

そして、何より大きく活躍したのは前回で実家が精肉店と判明したサクラ。
遂にサクラが明里に猛烈アタックです!!
これにより、88話「生徒会長の仕事に密着しよう!」にてさり気なく配されていた伏線が回収されることに。
それにしてもサクラ、昔はやんちゃしてたんですねぇ。
ちなみに「あのとき」とは「どのとき」なんだ……。

「実は私は」第88話「生徒会長の仕事に密着しよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

でもって、あの茜が戸惑う結末に。
まさに驚異的。

さらに、明里に恐れ戦く源二郎。
そう言えば、この2人に接点は無かったか。
源二郎が副担任となった故の関係ですね。

こうして、少し振り返るだけでもキャラがきちんと活かされていることが分かります。

うむ、今回も充実した回ですな。
多くは語るまい、とりあえず読め!!

そう言えば、上でもお伝えした通りコミックス10巻が発売。
表紙は1巻の葉子、2巻の渚、3巻の獅穂、4巻の茜、5巻のフクちゃんとみかん、6巻の凛、7巻の明里さんに続き、8巻が銀華恋、9巻が渚とみかんのコンビ。
そして10巻は―――1周回って葉子が単独で表紙に!!
うむむ、11巻は誰になるのか……まさか、緑苑坂弓ではなかろうな。

ちなみに、上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

◆関連過去記事
「実は私は」第1話から第90話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ

「実は私は」第91話「お花見をしよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第92話「3年生になろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第93話「言い張ろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第94話「言い張ろう!!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第95話「家族と話そう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第96話「前言撤回しよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第97話「恩返しをしよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。

藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
藍澤涼:渚の兄、意外な形で登場することに……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本明里:教師。彼女にも秘密が……。
黄龍院凛:33話より登場した謎の少女。彼女にも秘密が!?
黄龍丸:凛が駆るドラゴン。52話にて意外な正体が明らかに。

朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「外道クイーン(オレンジ)」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。眼鏡が特徴。割と友人想いの様子。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
フクちゃん:「福の神見習い」を名乗る眼鏡。
フクの介:フクちゃんの先輩。やはり眼鏡。
フク太郎:フクちゃんとフクの介の先輩。やはり眼鏡。
フク蔵:フクちゃんとフクの介とフク太郎の先輩。やはり眼鏡。
手崎:文字通り茜の手先な料理教室のシェフ。

朝陽の父:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の母:朝陽の家族。22話に初登場。
黒峰鳴:朝陽の妹。22話、28話、48話に登場。48話にて名前と顔が判明。92話で高校に進学。
白神源二郎:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。39話にて名前が判明。
白神桐子:葉子の母で人間。和服の美女。38話にて名前が判明。
銀華恋:茜に続く第2のツノツキ……の筈だったが。58話から登場。

緑苑坂弓:朝陽たちの副担任、実は源二郎。92話から登場。
忍者少女:92話から登場、詳細不明。

「実は私は(1) (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
実は私は(1) (少年チャンピオン・コミックス)





こちらはキンドル版「実は私は(1)」です!!
実は私は(1)





「実は私は(2) (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
実は私は(2) (少年チャンピオン・コミックス)





「実は私は(3)」です!!
実は私は(3)





「実は私は(4) (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
実は私は(4) (少年チャンピオン・コミックス)





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実は私は 6 (少年チャンピオン・コミックス)





「実は私は 7 (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
実は私は 7 (少年チャンピオン・コミックス)





「実は私は(8) (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
実は私は(8) (少年チャンピオン・コミックス)





「実は私は(9) (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
実は私は(9) (少年チャンピオン・コミックス)





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