ネタバレあります、注意!!
第11話登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。
蛍の父:赤木興業の社長。
赤木真知恵:蛍の母。バーのような店を経営している様子。
真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
謎の少年:蛍の初恋相手らしい。11話に登場。
実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。
これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。
<ネタバレあらすじ>
〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
高校生になった赤木蛍は行方不明となっていた兄・圭一と思わぬ形で再会を果たすことに。
なんと、圭一が幽霊として蛍のもとに戻って来たのだ。
しかも、圭一は悪意が関わる事件を察知し悪意を消滅させる能力を手に入れていた。
だが、圭一は現世に介入することが出来ない。
これでは折角の力も無意味である。
其処で圭一から協力を求められた蛍は、兄妹で力を合わせ1人でも多くの人を助けるべく動き出すことに。
・前回までのあらすじはこちら。
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第10話「初恋と殺人装置2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
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蛍の父が経営する赤木興業に未曾有のピンチが訪れていた。
経理を任せていた会計士の実山が会社の金を持った状態で姿を消してしまったのだ。
このままでは赤木興業は倒産してしまう。
蛍は工場を救うべく、幽霊となった兄・圭一と幼馴染の真島慎一と共に事態の解明に挑む。
そんな中、実山が何者かの殺人装置により殺害されてしまう。
この犯人は実山会計士事務所の職員・貝塚であった。
矢先、実は少女探偵であった緑川楓も解明に参入。
実山の殺害現場にて貝塚と遭遇してしまう。
当然、貝塚がこれを逃す筈がない。
楓は抵抗虚しく、貝塚に命を狙われてしまう。
圭一のこともあり、楓と関わることを避けたい蛍だが……。
とはいえ、蛍を見殺しには出来ない。
結局、これに介入することに。
楓の首を絞めていた貝塚は蛍に不意討ちを受けて少し怯んだものの、すぐに怒りを露にする。
「お前も、お前もかぁ〜〜〜そんなに金か、金なのかぁ!!」
どうやら貝塚は楓と蛍を実山の若い愛人だと誤解しているようだ。
理性を失ったように蛍へ襲い掛かる貝塚。
その足元では楓が気絶している。
貝塚の狂気に満ちた陰から蜘蛛のような悪意が溢れ出て来た。
それは増殖し、蛍を覆い尽くそうとする。
これを守ろうと飛び込む圭一。
だが、数が多過ぎてどうにもならない。
一方、貝塚は蛍の首筋に手を這わせ始めた。
蛍は呼吸を邪魔され顔色を変える。
そんな蛍に向け、貝塚が動機を語り始めた。
すべては金の為だったらしい。
故郷から幼馴染の麻依と共に上京した貝塚。
2人は結婚を約束した恋人同士であった。
ところが、日々の生活に汲々とするうちに麻依が資産家の男性に乗り換えてしまった。
貝塚は約束を踏みにじられ血の涙を流すことに。
いつしか、貝塚は「金こそがすべてだ」と信じるように。
その頃、貝塚が務める会計士事務所の所長・実山が離婚した。
独身となった実山は蛍の母でバーを営む真知恵に入れ揚げるようになった。
実は真知恵と実山は高校時代の同級生。
実山にとって真知恵はマドンナだったのだ。
真知恵は実山をもてなし、実山は赤木興業の経理を担当することとなった。
いつしか実山は人妻であるにも関わらず真知恵との再婚を夢見るようになった。
しかし、此処で実山は現実を知ることに。
真知恵は実山を客としてしか見ていなかった。
それどころか、同級生として覚えても居なかったのだ。
これを知った実山は逆上し、赤木興業に復讐することに決めた。
資金を持ち逃げし倒産に追い込もうとしたのだ。
この実山の動きを知ったのが貝塚だ。
ならば、この動きに便乗し他の顧客の資産も奪ってしまえ……貝塚は決断した。
その罪は実山に着せて殺してしまえば誰にも分からない。
其処で、今回の事件に繋がったのである。
今や意識も朦朧として来た蛍。
そんな蛍の前で動機を明かした貝塚の顔が蜘蛛に転じた。
貝塚は動機を明かしながら、血の涙を流している。
これに圭一が気付いた。
蜘蛛の子は本体では無い。
あの貝塚の顔こそが本体なのだ。
圭一は手にした銃を発砲。
狙い違わず弾は貝塚に命中、貝塚は倒れ臥す。
圭一の銃弾は貝塚の悪意だけを撃ち抜いていた。
こうして事件は解決した。
実山は死亡、貝塚と楓は気絶との結末である。
楓を気にかける蛍だが、これ以上はどうしようもない。
警察の保護を期待して置いて行くこととなった。
実山のマンションを去る蛍。
事の発端が「初恋」にあったと知り、ある少年の姿を思い浮かべる。
思えば、それが蛍の初恋であった。
一方、慎一はと言えば「いつか蛍ちゃんに告白するぞ!!」とこれまた決意を新たにしていた。
そして、数時間後。
保護された楓は刑事に事情を説明していた。
だが、其処に蛍の名は無い。
しかし……楓は意識を失う寸前に飛び込んで来た蛍の姿をはっきり覚えていた。
蛍の存在に興味を抱く楓―――次話に続く。
いよいよ始まった蛍と圭一の奇妙な相棒物語。
ちなみに、ネタバレあらすじはまとめ易いように展開などをかなり改変してます。
気になる詳細は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!
<感想>
「名探偵マーニー」から3ヶ月……我らが木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」に還って来た!!
というワケで、その新作「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」です。
さて、その11話。
サブタイ「初恋と殺人装置」の意味が真に明らかになりました。
なるほど、此処での初恋は慎一であり、実山であり、貝塚であり、蛍であったワケか。
慎一にとっては蛍が初恋相手。
実山にとっては真知恵が初恋相手。
貝塚にとっては麻依が初恋相手。
蛍にとっては謎の少年が初恋相手。
そして、それぞれにとっての殺人装置は。
慎一にとっては蛍に振り回されることとなった装置。
実山にとっては命を絶たれることとなった装置。
貝塚にとっては実山の命を奪う装置。
蛍にとっては事件解決に寄与した装置。
なるほど、サブタイは実に4者を表現していたワケです。
それにしても、この4者のうち実山と貝塚が初恋に破れた。
かくも初恋は厳しいものなのか……慎一はどうなる!?
でもって、蛍の初恋相手の「謎の少年」の正体が気にかかる。
これ、もしかして圭一ではなかろうか。
ただ、台詞から見ると兄妹の関係では無い様子。
今回の真知恵がモテるとの設定からも、蛍父と真知恵は再婚なのかも。
もしかすると、圭一と蛍はそれぞれの連れ子同士で血縁関係にない可能性もあるのではなかろうか……。
だとすれば、蛍の圭一への態度も頷けるが。
同時に、蛍の母の名が「真知恵」であることも判明。
蛍は真知恵に似ているのかなぁ……。
もしも、先の仮説通りに蛍父と真知恵が再婚同士ならば2人の結婚話などは重要エピソードとなりそう。
そして、思わぬ因縁となった蛍と緑川楓の関係。
これは良きライバルとなりそう。
時に対立、時に共闘といった姿が見られそうで何より。
最終的には圭一殺害犯に対して共に戦うかけがえの無い仲間になることでしょう。
そして、次回からは新エピソードが開幕か。
次回も見逃すなかれ!!
木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。
・木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!
さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。
「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。
衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。
既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。
◆「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」関連過去記事
・「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)第1話から第10話までネタバレ批評(レビュー)まとめ
◆関連過去記事
・「名探偵マーニー」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「フランケン・ふらん 最終話(最終回) Dream」ネタバレ批評(レビュー)
・「フランケン・ふらん 59話 BestFriend」ネタバレ批評(レビュー)
・「Phase20」(木々津克久作、「チャンピオンRED 2012年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「鋏女(チャンピオンRED 5月号掲載)」ネタバレ批評(レビュー)
・「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)
これまでの登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。
獣を連れた男:圭一の死に関わる人物。獣は殺意のことらしい。
【赤木家とその周辺】
蛍の父:赤木興業の社長。
赤木真知恵:蛍の母。バーのような店を経営している様子。
節:蛍の妹。
和也:蛍の弟。
謎の少年:蛍の初恋相手らしい。11話に登場。
真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。
【聖マルス学園関係者】
志田りか:聖マルス学園の生徒。2話から登場。
塞田康平:蛍のクラスの担任教師。割とミーハーらしい。
見場創太:3話ラストに登場した怪しい男。学園の生徒であった。
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
校長:聖マルス学園の校長。
教頭:聖マルス学園の教頭。
【その他】
志田高志:りかの兄。りかにストーカーしているとのことだが……。
実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。
麻依:貝塚の元婚約者。