2015年02月15日

第15回本格ミステリ大賞(小説部門、評論・研究部門)ノミネート発表!!

第15回本格ミステリ大賞(小説部門、評論・研究部門)ノミネートが発表されました。
候補作は次の通りです。

【第15回本格ミステリ大賞小説部門候補作】
・『黒龍荘の惨劇』岡田秀文(光文社)
・『さよなら神様』麻耶雄嵩(文藝春秋)
・『冷たい太陽』鯨統一郎(原書房)
・『フライプレイ!』霞 流一(原書房)
・『僕の光輝く世界』山本 弘(講談社)

【第15回本格ミステリ大賞評論・研究部門候補作】
・『アガサ・クリスティー完全攻略』霜月蒼(講談社)
・『大癋見警部の事件簿』深水黎一郎(光文社)
・『路地裏の迷宮踏査』杉江松恋(東京創元社)
・『情報化するミステリと映像』渡邉大輔(青土社『ユリイカ 8月臨時増刊号 総特集 シャーロック・ホームズ』掲載)
・『ループものミステリと、後期クイーン的問題の所在について』小森健太朗(南雲堂『本格ミステリワールド2015』掲載)
(両部門共に敬称略)


まずは「小説部門」。
こちらは何と言っても麻耶雄嵩先生『さよなら神様』に注目です。

『さよなら神様』(麻耶雄嵩著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

他には岡田秀文先生『黒龍荘の惨劇』か。

基本「本格ミステリ大賞」は『本格ミステリ ベスト10』で10位以内の作品が受賞する傾向があり、今回もこれに倣うとすればこのいずれかの可能性が高いと思われますが……果たして。
もちろん、他の3作も侮れません。

2015年(2014年発売)ミステリ書籍ランキングまとめ!!

一方の「評論・研究部門」。

何と言っても目を惹くのは深水黎一郎先生『大癋見(おおべしみ)警部の事件簿』。
この作品については過去にネタバレ書評(レビュー)していますね。
本作は「バールストン先攻法」と「リドル・ストーリー」など、ミステリのトリックやお約束をテーマに作中に反映させた作品。
読んで行くうちにミステリに詳しくなる上に実例集としての機能も備えています。
おそらく、その点が高く評価された故のノミネートではないでしょうか。

『大癋見(おおべしみ)警部の事件簿』(深水黎一郎著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

そんな『大癋見(おおべしみ)警部の事件簿』ですが、早くも表現法に工夫を凝らした新シリーズが始まっています。
こちらも注目!!

『ある音楽評論家の、註釈の多い死(※1)』(深水黎一郎著、光文社刊『宝石 ザ ミステリー 2014冬』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

他には霜月蒼先生『アガサ・クリスティー完全攻略』、杉江松恋先生 『路地裏の迷宮踏査』からも目が離せない。

果たして、どの作品が受賞するのか。
結果や如何に!!

◆関連過去記事
第14回本格ミステリ大賞(小説部門、評論・研究部門)発表!!栄冠はどの作品!?

第13回本格ミステリ大賞(小説部門、評論・研究部門)発表!!栄冠はどの作品!?

第12回本格ミステリ大賞(小説部門、評論・研究部門)発表!!栄冠はどの作品!?

【速報】第12回本格ミステリ大賞(小説部門、評論・研究部門)ノミネート発表!!

第11回本格ミステリ大賞(小説部門、評論・研究部門)発表!!栄冠はどの作品!?

第11回「本格ミステリ大賞」(小説部門、評論・研究部門)ノミネート作品発表!!

第10回本格ミステリ大賞(小説部門、評論・研究部門)ノミネート作品発表!!

第10回本格ミステリ大賞発表!!

本格ミステリ大賞の歴史がこの一冊に凝縮!!
「本格ミステリ大賞全選評 2001〜2010(第1回〜第10回)」です!!
本格ミステリ大賞全選評 2001〜2010(第1回〜第10回)





「路地裏の迷宮踏査 (キイ・ライブラリー)」です!!
路地裏の迷宮踏査 (キイ・ライブラリー)





キンドル版「アガサ・クリスティー完全攻略」です!!
アガサ・クリスティー完全攻略



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「実は私は」第99話「いつも通り話そう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第99話「いつも通り話そう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧は本記事下部に移動しました。

<あらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜

「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒峰朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?

矢先、実は宇宙人であった委員長・渚、狼男で肉食系女子な獅穂、悪魔っ娘の茜、未来人の凛、幼馴染のみかん、天使の華恋も加わって……。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

朝陽の目の前で嶋がパトカーに乗り連行されていた。
その傍らでは涼が放心状態で空を見上げている。
何が起こったかは一目瞭然であった。
アレが起こったのだ……朝陽は嶋を止められなかった自身の無力に涙していた。
そんな朝陽の肩に手を置き励ましたのはサクラである。
2人は連れて行かれる嶋をそれぞれの表情でじっと見送っている。
ちなみに「アレ」の正体は81話「止めよう!」に詳しい。

「実は私は」第81話「止めよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

さて、話は少し遡る。
実はこの日、朝陽、岡、嶋、サクラ、みかんの5人は明里のメイド喫茶に出向く予定であった。
ところが、その途中で嶋が涼に出会い暴走。
朝陽とサクラがその場に残り善処しようとしたが仕切れず、この悲しい結末に至ったのだ。

というワケで、去って行った嶋は置いといて。
今、朝陽たちは明里が勤務するメイド喫茶に足を向けている。
このメイド喫茶については73話「メイド喫茶に行こう!」が詳しいだろう。

「実は私は」第73話「メイド喫茶に行こう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

さて、朝陽とサクラの話題はサクラの恋愛について進む。
どうやら、明里のバイト先に出向くのも少しでも明里との距離を縮めさせようとの周囲の配慮らしい。

「実は私は」第98話「ドッジボールをしよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

朝陽としては葉子とのカップル成立に力を貸してくれた面々への恩返しの意味合いもあるようだ。
其処でふと、岡とみかんの関係について話題に上った。
そう言えば、あの2人はいつもどんな会話を行っているのか……朝陽たちはそんなことを語り合うが。

一方、当の岡とみかんはメイド喫茶のテーブルを挟み座り合っていた。
しかし、一言も会話が無い。
互いに携帯画面を眺めるのに必死だ……いや、読者は彼らが如何なる関係か既にご存知だろう。
これについては68話「友達の恋愛事情を知ろう!」が詳しい。

「実は私は」第68話「友達の恋愛事情を知ろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

それ故に醸し出される空気なのだ。
その空気は何人たりとも寄せ付けない。

「おい、何しに来た!!」

それは、あの明里が怒鳴っても不動である。

「きゃるる〜〜〜ん!!」

それは、あの明里がメイドバージョンで接客しても不動である。

「今なら、このサービスが……」

それは、明里とメイド先輩の2人がかりでも不動である。
終始、互いに意識していない素振りを見せつつ無言を貫いている。
かと言って、全く無視し合っているワケではない。

「惚れた女が別の男に惚れてるくらいで諦めがつくワケないよなぁ……」
岡が自身の心情を呟けば。

「それ逆。惚れた男が別の女に惚れて、でしょ」
即座にみかんが自身の心情に置き換える。

密かに岡がみかんに宛てて「実は俺はお前の事が……」とメールを打とうとしていてもみかんは無言である。
だが、みかんは朝陽からの電話には嬉々として応対している。
岡は静かにメールを削除した。

そうこうしている内に、電話で告げた通り朝陽とサクラが到着。
明里が彼らの来店に「何しに来た〜〜〜」と怒り出す。
そっと席を立つみかんと岡。
彼らは今の時間に何があったかを意識の外に消すと、朝陽たちに合流する。

その夜、フクちゃんは呟く。
「ああ……ハードだった」と―――100話に続く。

充実の「実は私は」が読めるのは「週刊少年チャンピオン」だけ。
本誌で確認せよ!!

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻に続き2巻、3巻、4巻、5巻、6巻、7巻、8巻、9巻も重版出来とのことで、目出度い。
さらに、10巻も発売。
そして、本作かなり面白い!!

ちなみに遂に「実は私は」がアニメ化されるとのこと。
詳細は「週刊少年チャンピオン」の続報を待つべし!!

【朗報】あの「実は私は」が2015年にアニメ化予定とのこと!!

その99話。

サブタイは「いつも通り話そう!」。
68話「友達の恋愛事情を知ろう!」の続編的な位置づけかな。

「実は私は」第68話「友達の恋愛事情を知ろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

そんな99話は嶋の連行からスタートと、普段のオチがまさかの序盤から行われました。

内容的には岡とみかんの微妙な関係が描かれましたね。
先の73話では明里のメイド姿だけで大爆笑していた岡も、みかんの前では全く動じず。
それだけ、みかんのことしか目に入らない感じなのか。

フクちゃんの台詞はまさに読者の感想。
岡とみかんの微妙な関係は緊迫感を伴うシリアステイスト。
フクちゃんならずとも零してしまいそうになる。
とはいえ、それだけ2人の関係は真剣なもので、茶々を入れられる類のものではないのでしょう。

これにて、以前に予想した関係がほぼ成立。

サクラと明里、岡とみかんはほぼ確定。
残るは嶋と涼ですが、おそらく涼から妹である渚へとシフトするものと予想されます。
渚的には涼と嶋は似たタイプ、いつしか惹かれて的な展開と予想します。
これにより、朝陽と葉子を含め4組の同級生カップルが生まれることになるのではないでしょうか。

そして、今回もメインヒロインはほぼ不在。
とはいえ「不在の在」とでも言うべき存在感で各所に出没しています。
葉子さん、恐るべし……。

明里が未だにあのメイド喫茶でバイトしているのも驚きだなぁ。
そして、以前に比べるとそれなりに順応しているのが怖い。

「実は私は」第73話「メイド喫茶に行こう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

でもって次回は遂に連載100回だそうです。
祝うべし!!

うむ、今回も充実した回ですな。
多くは語るまい、とりあえず読め!!

そう言えば、上でもお伝えした通りコミックス10巻が発売。
表紙は1巻の葉子、2巻の渚、3巻の獅穂、4巻の茜、5巻のフクちゃんとみかん、6巻の凛、7巻の明里さんに続き、8巻が銀華恋、9巻が渚とみかんのコンビ。
そして10巻は―――1周回って葉子が単独で表紙に!!
うむむ、11巻は誰になるのか……まさか、緑苑坂弓ではなかろうな。

ちなみに、上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

◆関連過去記事
「実は私は」第1話から第90話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ

「実は私は」第91話「お花見をしよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第92話「3年生になろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第93話「言い張ろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第94話「言い張ろう!!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第95話「家族と話そう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第96話「前言撤回しよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第97話「恩返しをしよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第98話「ドッジボールをしよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。

藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
藍澤涼:渚の兄、意外な形で登場することに……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本明里:教師。彼女にも秘密が……。
黄龍院凛:33話より登場した謎の少女。彼女にも秘密が!?
黄龍丸:凛が駆るドラゴン。52話にて意外な正体が明らかに。

朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「外道クイーン(オレンジ)」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。眼鏡が特徴。割と友人想いの様子。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
フクちゃん:「福の神見習い」を名乗る眼鏡。
フクの介:フクちゃんの先輩。やはり眼鏡。
フク太郎:フクちゃんとフクの介の先輩。やはり眼鏡。
フク蔵:フクちゃんとフクの介とフク太郎の先輩。やはり眼鏡。
手崎:文字通り茜の手先な料理教室のシェフ。

朝陽の父:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の母:朝陽の家族。22話に初登場。
黒峰鳴:朝陽の妹。22話、28話、48話に登場。48話にて名前と顔が判明。92話で高校に進学。
白神源二郎:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。39話にて名前が判明。
白神桐子:葉子の母で人間。和服の美女。38話にて名前が判明。
銀華恋:茜に続く第2のツノツキ……の筈だったが。58話から登場。

緑苑坂弓:朝陽たちの副担任、実は源二郎。92話から登場。
忍者少女:92話から登場、詳細不明。

「実は私は(1) (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
実は私は(1) (少年チャンピオン・コミックス)





こちらはキンドル版「実は私は(1)」です!!
実は私は(1)





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「さくらDISCORD 5 (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
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土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル40 40回記念作 娘に捧げる犯罪!?疑惑の母は警察学校教官!!女医が暴くタイヤ痕とスケッチブックの秘密」(2月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル40 40回記念作 娘に捧げる犯罪!?疑惑の母は警察学校教官!!女医が暴くタイヤ痕とスケッチブックの秘密」(2月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

二宮早紀(名取裕子)は港南医大・法医学教室の准教授で、神奈川県警から監察医を委託されている。夫の一馬(宅麻伸)は横浜東署の警部で、2人の間には新米新聞記者として奮闘中の息子・愛介(佐野和真)がいる。また、一馬には七海(由紀さおり)という叔母がいて、時々二宮家内を引っ掻き回すので、早紀にとってはありがたい相手ではない。

ある夜、山下公園を通りかかった早紀と一馬はひったくりの現場に遭遇する。被害者は日本画家の寺沢瑠璃(小沢真珠)で、老舗呉服メーカー社長・宮永誠(原田龍二)とデザイン画の受け渡しをしていたところだったという。犯人は瑠璃の左手を切りつけ、バッグを奪い去っていった。
すぐに瑠璃のマネージャー・中川知子(遊井亮子)が駆けつけたが、知子は物陰で事態を見つめるひとりの女を見つけ、「私の後をつけてきたの?」と強く反発する。その女性の顔を見て、一馬の部下・谷村刑事(田中幸太朗)はビックリする。警察学校時代の恩師・西脇則子(高橋ひとみ)だったのだ。則子は「個人的にある事件を調べている」とだけ話し、その場を去った…。

翌朝、早紀は大学構内で、則子が附属病院の精神科医・山口玲子(舟木幸)に詰め寄っているところに出くわす。則子は、玲子の患者が受けた催眠療法の詳細を教えてほしいと訴えていたようだったが、携帯電話に緊急のメールが入ったらしく、あわてて帰って行った。
ところがその日の午後、変死体発見の知らせを受けて現場に急行した早紀は、驚愕する。なんと則子が、第一発見者だったのだ――! 殺されていたのは高校美術教師・野々村郁恵(建みさと)で、則子は郁恵の部屋を訪ねた直後、ドアの陰に隠れていた何者かにクロロフォルムをかがされて気を失い、目覚めたときは仰向けになった郁恵の死体の上に、あたかも自分が胸倉をつかんで押し倒したような格好で覆いかぶさった状態だったと証言する。
則子は一馬たちの事情聴取に対し、5カ月前、娘の美里(川上ジュリア)が溺死した事件を調べていたことを打ち明ける。美里は瑠璃に弟子入りしており、師匠である瑠璃や友人の郁恵、マネージャーの知子たちと川に行った際、風に飛ばされた郁恵の帽子を拾うために川に入って溺れたとされていたが、彼女の死に責任を感じ、港南医大の心療内科に通いはじめた郁恵から、先日ある真実を明かされたのだという。
郁恵は、臨床心理士・飯島伸一(長谷川朝晴)の催眠療法によって失われていた記憶がよみがえったと話し、美里は何者かによって頭を抑えられ、溺死させられたと告白したのだ。だが、郁恵はその犯人が誰だったのかまでは思い出すことができず、則子は瑠璃や知子らに話を聞いてまわっていたらしい。

しかし、現場近くの郵便ポストの中から血のついた手袋が入った則子宛ての封筒が見つかり、さらには事件前夜、則子と郁恵が激しく言い争っていた目撃証言など、則子の犯行を疑う事実が次々と判明。谷村は深いショックを受ける…。
ところが、早紀が郁恵の遺体を解剖した結果、おかしなことが発覚する。郁恵は青銅の置き物に後頭部を打ちつけた格好で発見され、確かに死因は鈍器による脳挫傷であることは断定できたのだが、なぜか両膝下の後十字靭帯が断裂していたのだ。郁恵は仰向けで発見されたが、実はうつ伏せで倒れ、その際に後十字靭帯が切れたのではないか…!? 早紀は、郁恵を殺した犯人が則子に罪をきせようとして現場を偽装したと考えはじめるが、その後また新たに関係者が殺害される事件が起き、則子への疑いはますます深くなっていき…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)


では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……

二宮早紀は港南医大・法医学教室の准教授。
また、優秀な監察医としても名前を知られている。

そして、早紀の夫・一馬は横浜東署の警部。
早紀が暴走し、一馬がこれを窘めつつ支えることで幾つもの難事件を解決して来たのだ。

ちなみに、2人の間には一粒種の息子・愛介が居る。
そんな愛介も今では新米ながらも新聞記者だ。
さらに一馬の叔母・七海を加えた4人が二宮家のメンバーだ。

ある夜、早紀と一馬は山下公園で引ったくりの現場に遭遇する。
被害者は日本画家として高名な寺沢瑠璃。
どうやら、瑠璃の後援会長である老舗呉服店メーカー社長の宮永誠とデザイン画の受け渡しをしていたところを何者かに襲われバッグを奪われたらしい。

この際、瑠璃は左手を切りつけられており、病院へ。
直ぐに瑠璃のマネージャーである中川知子が駆け付ける。
その知子の背後を1人の女性がひっそりと尾行していた。

これに気付いた一馬の部下・谷村刑事は驚きの声を上げる。
知子を尾行していた女性は谷村の警察学校時代の恩師・西脇則子だったのだ。
則子は「ある事件を調べている」とだけ告げ、多くを語りはしなかった。

その翌朝、早紀は附属病院に所属する精神科医・山口玲子のもとを訪ねる則子の姿を目撃する。
どうやら、則子は玲子に対し催眠療法について尋ねていたようだ。
だが、慌てたようにその場を後にする。

同日午後、高校の美術教師・野々村郁恵が変死体で発見された。
早紀が駆け付けたところ、ふらふらと則子が現場から現れた。
則子によれば、郁恵の部屋を訪ねた直後に何者かからクロロフォルムを嗅がされ気絶していたらしい。
これが事実ならば、郁恵殺害は則子以外の人物が犯人となる。

「早く、早く、綿棒を!!」

慌てた様子の則子。
どうやら、鼻粘膜に残ったクロロフォルムが吸収される前に採取しておきたいらしい。
自身の主張の正当性を明らかにしたいようだ。
だが、生憎と早紀は綿棒を切らしていた。
結局、則子の主張は確認出来ず仕舞いであった。

こうして郁恵殺害の容疑を向けられた則子。
渋々、何を調べていたかを明かし始める。

則子が調べていたのは5ヶ月前に発生した彼女の娘・美里が溺死した事件であった。

美里は瑠璃の弟子。
5ヶ月前に瑠璃、知子、郁恵らと共に川遊びに出向き溺死していた。
瑠璃たちによれば、郁恵の帽子を拾おうとして溺死したとされていた。
だが当時、郁恵自身は溺れており郁恵の口からは何があったかは謎とされていたのである。

ところが、郁恵が臨床心理士・飯島伸一の催眠療法によりある記憶を取り戻した。
それによれば、美里は何者かに溺死させられたらしい。
この犯人を突き止めるべく、則子は瑠璃や知子らに話を聞いて回っていたのだ。

則子が現場に居たことで郁恵殺害の容疑は彼女に集中する。
しかし、早紀は郁恵の遺体を解剖し工作の痕跡を発見する。
則子が犯人ならば工作を施す意味は無い。
早紀は別に犯人が存在していると確信する。

一馬は早紀の言に従い、捜査対象を拡大。
瑠璃の元夫・松村光彦に目を付ける。
松村は素行が悪く、美里に乱暴をしようとした現場を瑠璃に目撃され離婚していた。
松村は美里の所為で離婚したと恨んでいたらしい。
美里殺害の動機があったのだ。
もしかして、美里を殺害したことを知られることを怖れ郁恵を殺害したのではないか。

だが、松村はあっさりと犯行を否定。

矢先、早紀は則子と会話する機会を得た。
則子によれば美里は水恐怖症で、水遊びで死ぬ筈がないと言う。
しかも、美里はある絵を自慢していたらしい。
早紀は映像に残されていた美里のスケッチブックの絵を目にし、その絵に感銘を受ける。

そんな中、またも松村への容疑が浮上する。
なんと、松村は過去に瑠璃と宮永を爆弾で脅し逮捕されていたのだ。
一馬は松村を調べるように指示する。

一方、当の松村は当時の爆弾を隠し持っていた。
これを取り出した松村はニヤリと微笑む。
松村は姿を消してしまう。

松村が姿を消したことで、一馬は瑠璃周辺を警戒するよう指示。
瑠璃のもとを訪れた早紀は彼女が使う3連筆、5連筆、7連筆を目にし興味を抱く。

松村が中央美術館に現れた。
中央美術館では瑠璃が個展を開催することになっており、これを襲撃する気ではないかと予想されたが。

同夜、知子が消えた
同時に瑠璃も消息不明に。

その頃、瑠璃は塩見埠頭から公園へと向かっていた。
これを則子が尾行する。

その翌朝、知子の遺体が発見される。
其処にはデコルマン創が検出され、知子は車で撥ねられ殺害されたものと思われた。
さらに、解剖の結果から午前2時から4時の間が死亡推定時刻とされた。

此処で再び則子へ容疑が。
則子の車からは血痕の付着したタイヤが発見されてしまう。
則子は犯行時刻には瑠璃を尾行していたと主張することに。

当の瑠璃は塩見埠頭の5番倉庫などを移動していたと証言。
瑠璃の証言に基づき、移動先の防犯カメラを調べたところ瑠璃と則子の姿が確認された。
これにより、3時までの瑠璃と則子のアリバイが確認されたのである。

だが、死亡推定時刻は2時から4時の間だ。
一馬は別の防犯カメラ映像から倉庫に停められた則子の車が動かされていないことを確認。
3時以降に則子が車を用い知子を殺害したと考える。
防犯カメラ映像中での則子の車は後部が別の車の影に隠れていたが、確かに動いてはいなかった。

しかし、早紀は犯人のトリックを看破した。
知子を転落死させた後に、地面に固定した知子に向けて重りをつけたタイヤを落とす。
これで同様のデコルマン創が出来るのである。
すなわち、タイヤさえあれば則子の車は必要ない。

則子の車の後部は防犯カメラ映像の死角となっていた。
おそらく真犯人は後部からスペアタイヤを盗み出し、犯行に用いたのだろう。

此処で捜査線上に飯島が浮上した。
飯島には借金があったのだが、此処数日で一度に返済していたのだ。
この動きを察知した飯島は姿を消してしまう。

矢先、則子が犯人に気付き、早紀に連絡を入れて来た。
則子はこれから犯人と対決するらしい。

慌てて則子を探した早紀は、公園で点々と撒き散らされた血痕を発見。
これを追跡し、廃屋で前方から腹部を刺殺された則子を発見する。

其処にダイナマイトが投げ込まれた。
早紀と一馬は爆破の衝撃で廃屋に押し潰される。
身動きできない早紀たち。
だが、早紀は殺菌剤とルミノール剤で化学反応を起こし助けを呼ぶことに成功。
事無きを得る。

早紀は負傷した身体で則子の解剖を強行。
此処で首筋に楕円形のリング、手に指先の2つの円の痕跡を発見する。

これが事件解決のキーと考える早紀。
七海との会話から、則子が犯人に手錠をかけたのではないかと思いつく。
だが、則子はその状態で首を絞められた。
羽交い絞めの体勢だ。
だから、首筋に楕円形のリングの跡が残ったのだ。

しかし、だとすると犯人は則子を前方から刺殺するこは不可能である。
此処から早紀は共犯者が居たことに辿り着く。

おそらく、早紀と一馬に向けてダイナマイトを投擲した理由は仲間を連れて逃げ出す時間稼ぎだったのだろう。
早紀はダイナマイトを用いたことから共犯者が松村光彦ではないかと想定する。

その上で、則子の指先に残された形を思い浮かべた。
そう言えば、あれは丸い鉛筆を二つ繋げたような形だ。
最近に似たような物を見たような……。

此処で浮かんだのは5連筆だ。
犯人を確信した早紀は中央美術館へ。
さらに、其処でスケッチブックで描かれていた美里の絵が瑠璃のものとして飾られていることに気付き、動機に思い至る。

そう、犯人は瑠璃だったのだ。
動機は美里の絵を自身の絵として発表する為である。

早紀は瑠璃に詰め寄るのだが……その背後にナイフを構えた宮永が現れる。
瑠璃の共犯者は松村ではなく宮永だったのだ。
松村は既に宮永に殺害されていた。

美里を殺害したのは宮永。
郁恵を殺害したのも宮永。
知子を殺害したのも宮永。
則子を殺害したのは宮永と瑠璃であった。

宮永は瑠璃の為に犯行を繰り返したのだ。

瑠璃は美里の作品を奪う為に、宮永に依頼し美里を殺害した。
その後、郁恵が記憶を取り戻しかけた為に宮永がこれを殺害。
真相を察した知子が脅迫して来たのでこれを殺害。
最後に則子に突き止められたので、これを瑠璃と2人で殺害したのである。

すべてを打ち明けた宮永は早紀を殺害しようと襲い掛かる。
早紀ピンチ!!

其処に一馬が駆け付けた。

一馬によれば、飯島がすべてを自供したのだそうだ。
冒頭のひったくり犯こそ飯島であった。
郁恵は深層心理下で既に記憶を取り戻しており、これから飯島は美里殺害犯の正体を知った。
其処で脅迫し1千万円もの大金を手に入れていたのだ。
その取引現場が早紀と一馬が遭遇した現場だったのである。

逮捕された飯島の供述により、瑠璃と宮永の犯行が判明し、一馬が現れたのだ。
ナイフを振り回す宮永だが、抵抗虚しく逮捕されることに。
こうして事件は解決したのである―――エンド。

<感想>

シリーズ40作目。
前回となる39作目は2014年10月18日放送なので4ヶ月ぶりの新作となりました。
それにしてもこのシリーズは各作品間のスパンが短い。
38作目から39作目の間はわずか2週間だったし。
ちなみに、39作目の批評は欠番となっています。
それ以外の過去作批評(レビュー)についてもあったりなかったりするので、興味のある方は本記事下部をどうぞ!!

では、ドラマの感想。

流石は40回記念、力が入っていました。

導入部で発生したひったくり事件。
瑠璃と宮永が被害者で謎の人物が犯人と思われていましたが、あれは取引現場でした。
実は冒頭から犯人が指し示されていたんですね。
なかなかのサプライズでした、個人的にかなり好みです。

それにしても、宮永と瑠璃はかなりの凶悪犯。

殺人被害者だけでも、美里、郁恵、知子、則子、松村の5人。
これに早紀と一馬への殺人未遂などを加えると……どんだけ武闘派なのだろうか。
しかも、松村殺害時にさらりとダイナマイトを奪うという非道ぶり。
廃屋で消費しなければ何処で使うつもりだったのか……考えただけで背筋が凍る。

それにしても……宮永たちが飯島を口封じしなかったのは何故なのだろうか。
それこそ、彼らなら真っ先に採用しそうな手段なのに。
もしかすると、冒頭で早紀と一馬が現れなければ飯島も危かったのだろうか。
それにしては、瑠璃たちは大金を用意しているし謎だなぁ……。

それと、直接的に犯人に繋がる証拠が則子殺害まで一切出て来ないのはアンフェアかな。
5連筆も則子殺害があって証拠として活きて来たものだし。
とはいえ、キャストと美里のVTRの時点で宮永と瑠璃が犯人だと確信された方も多かったでしょうから、此の点は特に気にしなくても良いかもしれないなぁ。

あらすじからは省きましたが今回はサブストーリーも熱かった。
まずは、愛介と南のイチャラブが進展。
前回から引き続いています。

次いで、七海と高野志郎のイチャラブ……は今回限りとなりました。
ちなみに、高野志郎役が榎木孝明さんだったのもサプライズ。
実は、榎木さんは過去に谷崎孝仁役で本シリーズに出演。
それは濃い悪役を演じられていたのです。
あのイメージが未だに残っていたから、タコ焼き屋のシーンでは面食らったよ。
谷崎が登場したのはこの回です。

土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル 自分に復讐する女!?猫の咬み痕とステーキの謎…犯人が傷の中に傷を隠した理由」(6月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)

でもって、名前の似たキャラが登場。
刑事の谷村元彦と瑠璃の元夫である松村光彦。
「村」と「彦」が被っている……。

とはいえ、今回も十分にシリーズらしさは出ていたように思います。
次回に期待!!

◆関連過去記事
「法医学教室の事件ファイル」シリーズはこちら。
土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル38 男女の死体は二人で嘘をつく!?女医が暴く殺人ボールの謎 復顔!20年前から来た殺人者?」(10月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル パラシュートで舞い降りた美女の死体復讐殺人?ミステリーの女王が、女医に残した遺言の“裏の裏”」(11月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル すべてが“1/2”の死体の謎…疑惑の女弁護士vs女医!綺麗な殺害現場と3センチ足りない髪の秘密」(3月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場35周年特別企画「法医学教室の事件ファイルSP 長崎〜横浜、亀が見ていた殺人事件!?曲がった人差し指と金属アレルギーの謎」(12月1日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル 判決の報酬!!誘拐された裁判長…女医VSくちびるを読む妻!疑惑の音声分析?破れた鼓膜が暴くバスルームの秘密」(2月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル 自分に復讐する女!?猫の咬み痕とステーキの謎…犯人が傷の中に傷を隠した理由」(6月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル アラフォー同窓会に届いた冷凍遺体!女医vs元・女子高教師23年目の秘密?傷口のギザギザ線と歯の矯正具の謎!」(1月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル 殺人犯は私の夫絶体絶命の女医vs疑惑の新妻!OKサインを出す死体…謎の爪痕と深さ=速度÷距離?の検証」(9月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル 女医VS水曜日の絞殺魔!蟻の死体解剖が殺人トリックを暴く 砂糖+コーンスターチ殺意の合成」(1月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)

<キャスト>

二宮早紀:名取裕子
二宮一馬:宅麻 伸
望月七海:由紀さおり
西脇則子:高橋ひとみ
寺沢瑠璃:小沢真珠
宮永 誠:原田龍二
高野志郎:榎木孝明
中川知子:遊井亮子
飯島伸一:長谷川朝晴
谷村元彦:田中幸太朗
二宮愛介:佐野和真
伊吹 南:中村静香
助手・永岡:本村健太郎
助手・桑田:石橋篤史 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)


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