日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season13」第16話「鮎川教授最後の授業・解決篇」(2月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)。
<ネタバレあらすじ>
右京(水谷豊)と美彌子(仲間由紀恵)は大学時代の恩師・鮎川(清水綋治)の古希の祝いに参加し彼の手で監禁されてしまった。
・前回はこちら。
「相棒season13」第15話「鮎川教授最後の授業」(2月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)
米沢経由で急を聞いた甲斐(成宮寛貴)たちは鮎川宅に駆け付けるが、其処はもぬけの殻だった。
舞台は別の場所だったのである。
手掛かりを求めて鮎川邸を調べた甲斐たちは、鮎川が御堂黎子(石野真子)なる女性と生活していたことを突き止める。
その頃、悦子(真飛聖)は産婦人科医から「深刻な状況である」と宣告されていた。
詳細な検査が必要であると勧められた悦子は不安に苛まれることに。
と、其処に峯秋(石坂浩二)から電話が。
どうやら、今朝方に電話して来た甲斐の様子がいつもと異なることに違和感を抱いたらしい。
峯秋と落ち合った悦子は自身の妊娠を告白。
峯秋は朗報に顔を綻ばせるのだが……その目の前で悦子が急に倒れてしまう。
同じ頃、監禁されている右京たち。
解答提出のタイムリミットが刻一刻と迫る中、右京は状況把握に勤しむ。
まずは黎子の身許を確認する右京。
そんな右京に黎子は自身を「家政婦だ」と明かす。
なんでも、2年ほど前にネット上で鮎川と知り合い家政婦として雇われることになったらしい。
一方、右京を探す甲斐に峯秋から電話が入っていた。
峯秋は悦子が御茶ノ水の山楽病院に向かったことを教える。
これを聞いた甲斐は悦子を気にかけるのだが……敢えて捜査を続けることに。
甲斐たちは鮎川が所有する車のGPS情報を確認。
さらに、右京が救助を求めた際の携帯の基地局の位置から近隣に鮎川が所有する別邸があると判断。
鮎川名義では存在しなかったが、御堂黎子名義にて存在することを確認し急行する。
一方、右京たちにタイムリミットが到来していた。
右京と美彌子は解答を鮎川に提出することに。
これを一目見た鮎川はニヤリと笑う。
「殺すとはどういうことか、法的正義と法的責任まで言及している。短い間にも関わらず素晴らしい」
右京と美彌子の解答に称賛を与える鮎川。
面々は「助かった」と息を吐くのだが……これは些か早かった。
鮎川は解答の完成度の高さを認めつつ「それでもこれでは及第点とは言えない」と否定したのだ。
さらに、鮎川に捧げる犠牲者を誰か1人選べと迫る。
同じ頃、甲斐たちが御堂黎子名義の別宅に辿り着いた。
米沢が右京顔負けの鍵開けの名人芸を披露し、邸内へ突入する。
同時刻、犠牲者の提示を求める鮎川に対し全員が挙手していた。
明らかな時間稼ぎである。
鮎川は狙いを看破すると黎子へ銃口を向ける。
どうやら、標的を黎子に絞ったようだ。
途端、黎子が隠し持っていた小銃を抜いた。
そして発砲音。
甲斐たちが踏み込んだ其処には射殺された鮎川と小銃を構えた黎子、呆然と立ち尽くす右京たちが居た。
数十分後、鮎川の遺体が回収されていた。
小銃は鮎川が生前に護身用として黎子に渡したものらしい。
黎子の行動は正当防衛とされたが……。
右京と美彌子は事の結末に疑問を抱いていた。
そもそも、黎子が鮎川邸で家政婦となっていた理由は何なのか?
右京たちは鮎川邸の書斎へ。
其処には相変わらず青酸カリやテトロドトキシンが並んでいる。
此処で右京が鮎川の机の引き出しに収納されていたアルバムに目を留めた。
注目したのは2013年1月の写真である。
其処には書斎が写っているが毒物は並んでいない。
すなわち、2年前までは毒物は存在しなかったことになる。
毒物は黎子が家政婦としてやって来て後に用意されたことになる。
角田課長から御堂黎子が御堂家の実子ではなく養女であるとの情報がもたらされた。
御堂家を訪れた右京たち。
黎子の義弟によれば、黎子の母は御堂佳子といい黎子を出産後に亡くなっているらしい。
佳子は未婚の母だったそうだが……。
一方、検査の為に病院を訪れていた悦子は入院するよう医師から宣告されていた。
その夜、悦子入院の報を受けた甲斐は彼女のもとへ。
其処で悦子が急性骨髄性白血病を患っていることを知らされ衝撃を受ける。
悦子の病状に後ろ髪を引かれる甲斐だが、捜査を続けることに。
捜査により、御堂佳子が東大の卒業生であることが判明。
また、佳子と鮎川教授が肩を寄せ合う写真を発見する。
どうやら、鮎川と佳子は恋仲だったらしい。
どうも、黎子が鮎川の家政婦となったことには意味があるようだ。
甲斐と美彌子が黎子周辺、右京が鮎川周辺を調べることとなった。
十数分後、美彌子が黎子の取調べを行っていた。
それによれば鮎川邸の書斎の掃除は黎子の担当らしいが……。
右京はと言えばOBから「鮎川が佳子を捨てた」との情報を得ていた。
どうやら何か事情があったようだが……。
ところが、2年前には鮎川がこの行為を後悔し「万死に値する罪だ」と述べていたらしい。
「どうやら、我々は大きな勘違いをしていたようです」
右京はある結論に辿り着く。
翌日、鮎川が死亡した別邸に右京たちと黎子の姿があった。
まず、鮎川が黎子の父親であることが明かされた。
鮎川と黎子の髪の毛のDNAが合致したのだ。
次いで、右京は黎子が鮎川を父と知りつつ近付いたと指摘する。
これを認める黎子。
だからこそ、家政婦として傍に居たのだ。
鮎川はネットを通じて黎子が連絡を寄越したことに驚いた。
それまで忘れていた佳子とその子供の記憶が「御堂」との苗字から甦ったのだ。
鮎川は確認すべく黎子と直接会い、彼女が自身の娘だと確認した。
少しでも娘と共に居たい鮎川は黎子を家政婦として雇い入れた。
いずれは黎子から父娘の名乗りを上げて来ると思っていた鮎川。
ところが、当の黎子にその様子はない。
「鮎川に殺されかけたんです」
黎子は打ち明ける。
佳子の妊娠を知った鮎川は堕胎を迫ったそうである。
佳子はそんな鮎川に失望し彼と別れた。
危く黎子は鮎川に殺されるところだったのだ。
其処で、黎子は今になって仇を討とうと決めた。
鮎川が動物たちを殺していると知り、その気持ちは殺意にまで昇華した。
この黎子の殺意を鮎川は敏感に察知した。
鮎川は書斎に毒物を収集し始めた。
書斎の掃除は黎子の担当である。
黎子ならばいつでも毒物を持ち出すことが出来る。
さらには、小銃まで与えた。
これらの意味するところは1つ、鮎川は黎子に復讐を果たすよう背中を押したのだ。
しかし、何時まで経っても黎子は復讐に乗り出さない。
業を煮やした鮎川は右京たちを監禁し、黎子が復讐し易い環境を整えたのであった。
すなわち、すべて鮎川の意志だったのだ。
此処で右京が1つの問いを投げかける。
今回の一件、果たして本当に正当防衛だったのか。
鮎川を撃ったとき、黎子に殺意は無かったのか。
黎子は常に小銃を所持していた。
鮎川への殺意を常に懐に抱いていたのだ。
右京は黎子に止めの一言を突き付ける。
「あなたは此処で撃たなければ殺されると思いましたか?それとも此処で撃てば殺せると思いましたか?」
それは殺意の有無を問うもの。
これに黎子は「殺意はありました……」と認めることに。
右京はさらに黎子を追い討つ。
「何故、人を殺してはいけないのか?それに解はありません。ですが、殺人という罪には罰が付随するのです」と。
こうして、黎子は殺人罪に問われることとなった。
親子相克の結末は何とも悲壮なものとなったのである。
その夜、独りとなった美彌子は娘へ電話を入れる。
無性に声が聞きたくなったのだ。
同じ頃、花の里では右京が甲斐に「黎子に必要なのは罪の意識を認識する事だ」と語って聞かせていた。
翌朝、病院へ悦子を訪ねた甲斐は彼女を支えることを約束する。
一方、庁舎では右京が美彌子と擦れ違いざまに声をかけていた。
美彌子が鮎川の書斎で毒物に気付いたことが事件解決の手掛かりになったと礼を述べたのだ。
これに眉根を寄せる美彌子。
美彌子には事件解決においてある疑問が残されていたのである。
「杉下さん……あれは一種の暗示だったのではありませんか?」
おそらく、発砲寸前の黎子自身には殺意があるともないとも言えない状態だったに違いない。
だが、右京が追及したことで黎子は殺意があったと思い込んでしまったのではないだろうか。
美彌子はそう述べたのだ。
これに「さぁ……どうでしょう」と応じる右京。
交錯する2人の視線が中空で激しく火花を散らす……。
やがて先に視線を逸らしたのは美彌子であった。
口元に薄く笑いを浮かべると美彌子は右京に背中を向けて歩き出す。
これに右京も軽く笑うと逆方向に歩み出した。
右京と美彌子、2人の関係は如何なるものなのであろうか―――第16話了。
<感想>
シーズン13第16話。
脚本は輿水泰弘さん。
サブタイトルは「鮎川教授最後の授業・解決篇」。
前後編の後編です。
前編はこちら。
・「相棒season13」第15話「鮎川教授最後の授業」(2月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)
なかなかに衝撃的な後編となりました。
前編にて書斎の毒薬の存在について触れ推理を組み立てましたが、こういった形になろうとは想像してませんでした。
鮎川教授主導で黎子に関するものとは思っていましたが、なるほど……。
そんな後編は前編から引き続いての2点と新たな1点が描かれました。
それが「右京監禁」と「悦子の病気」。
そして、「右京と美彌子の関係」ですね。
まず、「右京監禁」について。
これは鮎川による緩慢なる自殺でした。
とはいえ、鮎川はどこまでも業が深いなぁ……。
過去には娘を殺そうとし、今は娘を父殺しの殺人者に仕立て上げた。
仮に鮎川の計画通り正当防衛だろうとも、公的に人を殺した事実は拭えないし、黎子自身には父を殺した罪の意識が残るだろうし。
そもそも、黎子が2年も復讐を躊躇っていた時点で復讐が本気ではないことは分かっていた筈。
あれは、あくまで「父親を求めての行動」が素直に表現出来なかったに過ぎない。
父である鮎川に会いたい。
だが、素直には認められない。
だから「殺す」との口実でこれに近付いた。
本気なら2年もかけずに殺していたでしょう。
それほど嫌いな相手と2年も暮らす筈がない。
だから鮎川側から歩み寄りさせすれば、父娘としてぎこちなくとも上手く行った筈なのだ。
それを鮎川は父親としての努力を怠り、娘を人殺しにしてしまった。
これを業が深いと言わずして何と言おうか。
ところが、右京はこの罪を問わず踊らされた筈の黎子の罪を問うのである。
「杉下の正義は暴走するよ」
亡き小野田の言葉ですが、まさに今回これが出たか。
視聴中、殺意の有無について問う右京に「誘導してるじゃん!!」と多くの視聴者がツッコミを入れられたことと思いますが、美彌子の指摘はまさにその通り。
それを受けた右京の反応で、右京自身にもその認識があることが判明しています。
とすると……今回の事件は鮎川と右京の師弟による黎子を殺人犯に仕立てるリレーみたいに思えて来た。
なんだか本当にメルカトル鮎っぽくなってきたぞ……。
これなら、招待状はゴミ箱の中だった方が平和的に解決したんだろうなぁ……。
続いて「悦子の病気」。
これは「急性骨髄性白血病」と判明。
すなわち、ドナーが必要な病気です。
前編での予想通り、甲斐卒業へ向けての布石となりそうですね。
この病気の治療の為に悦子に付き添い海外へ……といった形での卒業になりそうです。
こうなると峯秋の去就にも注目が集まります。
なお、甲斐卒業について詳細は次の記事からどうぞ。
・【至急報】3代目相棒・甲斐享が「相棒season13」にて卒業とのこと。
そして「右京と美彌子の関係」。
今のところ、敵とも味方とも言えない曖昧な関係ですね。
たまたま共闘した今回でしたが、ラストにて美彌子が右京のスタンスにズバリと異議を述べました。
あれは、やはり一時的な共闘関係に過ぎないとの意思表示なのか。
ある意味、かなり魅力的に描かれているだけに2人の関係の今後が気になります。
どちらかと言えば、美彌子は右京たちと対決するキャラだと思っていたのですが……。
とはいえ、怒涛のseason13終盤を迎えています。
右京は、甲斐は、悦子は、峯秋は、美彌子はどうなるのか!?
おそらく最終話にてこの答えが示されることでしょう。
この際、我々視聴者は鮎川教授よろしく「うむ、素晴らしい」と賛辞を述べるのか、それとも「及第点とは言えないなぁ……」とニヒルに微笑むのか。
いずれになるか……注目です!!
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