2015年02月26日

『墓標なき街』第7話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)

『墓標なき街』第7話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)です!!

ネタバレあります!!注意!!

<あらすじ>

「百舌シリーズ」新連載!巨悪を追う、迫真のサスペンス。
(集英社公式HPより)


<感想>

「百舌シリーズ」2014年時点での最新作が『小説すばる』にて連載開始されました。

「百舌シリーズ」は次の6作が既刊。
『裏切りの日々』、『百舌が叫ぶ夜』、『幻の翼』、『砕かれた鍵』、『よみがえる百舌』、『鵟の巣』。
そして、これに新たに加わるのが意外な導入から始まったシリーズ最新作『墓標なき街』(2014年11月時点)。

今回はその第7話ネタバレ批評(レビュー)です。

田丸殺害は新百舌による犯行と確定。
さらにその背景が明かされつつあるようです。

どうやら、茂田井と三重島による権力闘争が根幹にある様子。
それに次の2つの事柄が密接に関わっているようです。

1つ目は「武器輸出事件」。
2つ目は「田丸による百舌についての記事掲載」。

2つ目の「田丸による百舌についての記事掲載」は茂田井の命によるものの様子。
となると、問題は「武器輸出事件」。
こうなると、黒幕は茂田井か三重島の2択だが、どちらかと言えば三重島が怪しいか。
新百舌の裏にも三重島が居るようだし……。

かなり物語が進展しましたね。
これは『小説すばる』掲載の第7話をチェックすべし。

<ネタバレあらすじ>

【前回までのあらすじ】

初代・百舌との戦いから長い月日が過ぎ、大杉は警察を退職し探偵業を営んでいた。
娘・めぐみは警察官になり、倉木を失った美希とは大人の男女として関係を続けている。

そんな大杉のもとに旧知の残間から田丸が「百舌について」記事にしようとしていることを聞かされる。
今更のことに、意外に思う大杉。
また一方で、不正な「武器輸出」が行われているとの情報を入手する。
その告発者は三京鋼材の石島であった。

さらに、千枚通しを用いる殺し屋が新たに登場し美希が狙われてしまう。
これは大杉により事無きを得たのだが……。

その翌日、石島を監視していた大杉と村瀬であったが、めぐみとその同僚・車田聖士郎に見咎められてしまう。
大杉たちは何とかめぐみたちの裏をかき、石島が接触していた為永に辿り着く。

矢先、田丸が何者かに殺害されてしまう。

・前回はこちら。
『墓標なき街』第6話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)

【今回のあらすじ】

田丸が殺害された。
凶器は千枚通し、どうやら新百舌の犯行のようである。

大杉は美希と共に情報を収集し、その背景に潜んでいた事実に迫る。

どうやら、田丸は馬渡に従っていた茂田井の命で動いていたらしい。
その狙いは百舌の存在を暴露し、三重島にダメージを与える為だったようだ。
これを察し、三重島が機先を制して新百舌を動かし田丸を殺害したようである。
つまり、茂田井と三重島の権力闘争だったのである。

さらに、為永についての情報を求めてめぐみと接触する。
めぐみによれば、次のような事情があったらしい。

まず、武器輸出事件が背景にあり、石島がこれを為永に告発した。
為永は雑誌記者だったのだが、これを車田聖士郎に伝えたらしい。
其処で車田とめぐみが捜査に乗り出していたのである。

その後、石島はさらに田丸へと同様の情報を流した。
其処から残間を経由して、大杉へと伝わったのだ―――8話に続く。

◆関連過去記事
『墓標なき街』第1話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『墓標なき街』第2話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『墓標なき街』第3話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『墓標なき街』第4話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『墓標なき街』第5話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『墓標なき街』第6話(逢坂剛著、集英社刊『小説すばる』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『百舌シリーズ(百舌の叫ぶ夜、幻の翼)』(逢坂剛著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『墓標なき街』7話が掲載された「小説すばる 2015年 03 月号 [雑誌]」です!!
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『墓標なき街』6話が掲載された「小説すばる 2015年 01月号 [雑誌]」です!!
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水曜ミステリー9「今野敏サスペンス 廉恥 警視庁強行犯 樋口顕 完全犯罪のストーカー殺人!現場一徹主義の親父刑事が暴く!」(2月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「今野敏サスペンス 廉恥 警視庁強行犯 樋口顕 完全犯罪のストーカー殺人!現場一徹主義の親父刑事が暴く!」(2月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

警視庁強行犯係の樋口顕(内藤剛志)のもとに、生活安全部少年課の警部補で親友の氏家譲(佐野史郎)が現れる。近頃発生している大学への連続爆破予告事件のうち、4件目が樋口の娘・照美(逢沢りな)が通う大学で、しかも樋口家のパソコンから予告が書き込まれていたというのだ。氏家は近く捜査員が調べに行くと内々の情報を教える。

そんな中、東京・池尻のマンションの一室で殺人事件が発生する。被害者は部屋に住むホステスの南田麻里(三津谷葉子)。第一発見者の石田真奈美(江口のりこ)は麻里の友人で、この日は部屋で飲む約束をしていた。ところが部屋に鍵が掛っておらず、中に入ると既に変わり果てた姿だったと話す。さらに麻里が客の柳本行雄(小林健)によるストーカー被害の相談を警察にしていたことが判明する。ストーカーの被害者が殺されたという事態を重く見た警察庁は、捜査本部に刑事指導官を置くことを決定。犯罪心理を研究しストーカー事件に詳しい警察庁の小泉蘭子(釈由美子)が送り込まれ、樋口は管理官の天童隆一(榎木孝明)から蘭子に付くよう指示を受ける。

氏家が調べを進めると、1年前、麻里は痴漢被害にも遭っていた。しかし相手は一貫して冤罪を主張している。一方樋口は、任意同行に応じた柳本の取り調べを担当。しかし柳本は麻里の家に押しかけたのは1回だけだと言い、犯行を否認する。その後、樋口と氏家は、麻里と同じ店のホステス・ユカリ(岸明日香)の証言から、もう1人ストーカーがいた事実を突き止める。浮上した人物は、前科二犯の樫田臨(湯江健幸)。新たな情報に捜査本部は活気づくが、まずはストーカー行為の詳細を調べるべきだと主張する蘭子。樋口もストーカー殺人と決めつけた捜査は危険だと指摘。天童は「この線を追う以外にない」と突っぱねるが、2人は麻里の素性を探るため、美容師である真奈美の店へ向かう。真奈美の行きつけのバーで出会った2人は、すぐに意気投合。吹聴するところもあった麻里だが、人を惹きつける天性の魅力があったと振り返る。

その矢先、樋口の携帯に妻・恵子(川上麻衣子)から連絡が入る。氏家の情報通り、自宅に捜査員がやってきたが、照美がパソコンの押収を拒んだというのだ。慌てて家に戻った樋口は、照美に拒む理由を問いただすが、やってないのに人権侵害だと耳を貸さない。仕方なくそのまま家を出る樋口に、樫田が池袋にいるとの一報が。現場に急行し捜査員と共に樫田を追い詰めるが、一瞬の隙をついて高校生を人質に。しかも樋口の判断ミスで樫田を取り逃がしてしまう。
(公式HPより)


では、続きから(一部、重複アリ)……

樋口顕は警視庁強行半係の刑事。
清廉潔白で知られ、上司、同僚、部下からの信頼も厚い。

そんな樋口の親友は生活安全部少年課の刑事である氏家譲。
その氏家から樋口にある情報がもたらされた。

最近になって頻発している「連続爆破予告事件」。
この発信元が樋口の娘・照美が使用するパソコンだったことが判明したのだそうだ。
其処で近く捜査が開始されると教えられたのだ。
照美は氏家とも顔見知り、氏家としては照美を疑っているワケではない。
あくまで「ウイルスによる遠隔操作の疑い」が強いらしい。
照美の犯行でなければ調べさえすればすぐに分かるとのことであった。

一抹の不安を抱えながらも「まさか照美がそんなことをする筈がない」と信じる樋口。
氏家に事前に教えられたにも関わらず、照美本人には伝えないことに決めた。

矢先、東京池袋のマンションの一室にて殺人事件が発生する。
被害者はホステスの南田麻里。
第一発見者となったのは麻里の友人で美容師の石田真奈美。
部屋を訪ねてみると麻里が死んでいたと言う。
真奈美によれば麻里はストーカーに悩まされていたそうだが……。

調べたところ、柳本行雄なる男性が麻里からストーカーと名指しされていたことが判明。
この事態に刑事指導官として犯罪心理学を修めた小泉蘭子が招聘される。
樋口は蘭子と共に事件捜査に携わることとなった。

だが、柳本は犯行を否定。
それどころかストーカー行為自体も存在していなかったらしいことが明らかに。
どうも、麻里が一方的に柳本をストーカーに仕立てたようだ。
加えて、麻里殺害当日のアリバイも確認された。

麻里の同僚・ユカリの証言でもう1人ストーカーが居たらしいことが判明。
こちらは樫田臨なる男性。
樋口たちは樫田を追うことに……。

一方、樋口は妻・恵子から驚きの報告を受ける。
照美がパソコン提出を拒否したのである。
潔白を示す機会をみすみす逃すことになると考えた樋口は照美に理由を問い質すが、照美は「個人情報が入っているから」の一点張りである。
その内に、喧嘩に発展してしまう。

そんな中、樫田の居所が判明。
樋口がこれを確保に向かうが、逃げられてしまう。

公私共に想定外の事態が発生し、肩を落とす樋口。
そんな樋口を励ます蘭子。
2人は麻里の人柄を調べるべく真奈美のもとへ。
真奈美によれば、麻里は人懐っこい人柄で初対面の真奈美に積極的に話しかけて来たらしい。

さらに、麻里が1年前に痴漢被害を訴えていたことも判明。
相手は信金マンの楢崎公平。
楢崎は無実を主張していたが、麻里が彼の腕時計を撮影し証拠として持ち出したことから裁判へと発展していた。

楢崎は麻里の言いがかりだと主張。
麻里の所為で職と妻子を失ったと言い募る。
殺害当日、楢崎には取材を受けていたとのアリバイがあり、これが確認される。

並行して、照美の件があっさりと解決する。
恵子が説得し照美がこれに応じたのだ。
照美のパソコンが調べられ、照美は無実であることが証明された。
照美は新しいパソコンを樋口にせがむ。

そんな中、遂に樫田の身柄が確保された。
これに樫田は薬の横流しを行っていたことを認めるが、麻里殺害は否定する。
犯行当夜のアリバイが確認され、樫田の主張は認められた。
しかも、樫田にもストーカーの事実は存在しなかったことが判明する。

柳本、樫田、楢崎と容疑者3人が共にシロとなったのだ。
樋口は彼らの関係者を調べるべきではないかと考えるように。

まず、浮かんだのは楢崎の妻・智子である。
彼女によれば離婚の原因は麻里ではなく、楢崎に浮気相手が居た為らしい。
相手の素性は知らないが、例の腕時計が浮気相手からのプレゼントだと発覚したそうである。
どうやら、楢崎が職を追われたのもこれが理由のようだ。

楢崎の浮気相手を調べ始めた樋口たちは驚愕の事実に行き当たる。
なんと、浮気相手は真奈美だったのだ。

真奈美の周辺を調べたところ、麻里が真奈美に近付いたのではなく、真奈美が麻里へと近付いていたことが分かる。
どうやら、真奈美は楢崎の為に麻里を調べようとして接近したらしい。

直後、楢崎と真奈美が姿を消してしまう。
その頃、真奈美は楢崎と無理心中を図っていた。
間一髪、樋口たちが駆け付け真奈美が逮捕されることに。

麻里殺害は真奈美の犯行であった。

楢崎の為に麻里に近付いた真奈美。
だが、いつしか本当に友情を感じていたらしい。

そんなある日、真奈美は思い切って麻里に楢崎の件を問い質した。
すると、麻里は「誰でも良かった」と明かしたのだ。
なんでも、痴漢被害に遭ったが誰が犯人かまでは特定出来ていなかったそうである。
其処で近くにいた楢崎が生贄にされたのだ。

これを聞き憤慨した真奈美は自身と楢崎の関係を打ち明けた。
ところが、そんな真奈美に麻里は「あんなおじさん止めちゃいなよ」と忠告した。
これに留まらず楢崎の悪口雑言を並べ立てたのだ。
真奈美は麻里に裏切られたと感じ、これを殺害してしまったのであった。

蘭子は語る。
麻里に憧れる故に、麻里の裏切りを許せなかったのだろうと。

翌日、恵子と共に街へ出かけた樋口。
照美の新しいパソコンを買いにショップに立ち寄る予定なのだ。
ところが其処には照美と寄り添う見知らぬ若い男が。
狼狽する樋口を横目に恵子がニヤリと笑う。
照美が連れているのは彼氏なのだ!!
どうやら、恵子と照美に嵌められたようだ。
察するなり、その場から逃げ出す樋口―――エンド。

<感想>

ドラマ原作は今野敏先生「警視庁強行犯係・樋口顕」シリーズの第4弾『廉恥 警視庁強行犯係・樋口顕』(幻冬舎刊)。

<あらすじ>

ストーカーによる殺人は、警察が仕立てた冤罪ではないのか? そして組織と家庭の間で揺れ動く 刑事は、その時何を思うのか。傑作警察小説「警視庁強行犯係・樋口顕」シリーズ、待望の第四弾!
(幻冬舎公式HPより)


管理人は未読です。

「警視庁強行犯係・樋口顕」シリーズには2015年2月時点で本作以外に既刊が3冊存在。
それぞれ『リオ』『朱夏』『ビート』となっています。

このタイトルを耳にして「おやっ?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実はこのシリーズ過去にもドラマ化されています。
しかも、当の内藤剛志さん主演で。

調べてみたところ、同じテレビ東京系「女と愛とミステリー」枠にて2003年に『朱夏』が、2004年に『リオ』がそれぞれ「警視庁・樋口警部補 朱夏 警視庁脅迫事件」、「警視庁・樋口警部補2 リオ 水曜日の殺人者」としてドラマ化されていました。

すなわち、本作は実に11年越しのドラマシリーズ第3弾と言えるものとなっています。

ちなみに『リオ』は1997年にNHKにて「日だまり刑事 容疑者リオの涙」として鹿賀丈史さん主演でドラマ化。
残る『ビート』は2011年にWOWOWの「ドラマW」枠にて奥田瑛二さん主演でドラマ化されています。

つまり、この『廉恥』のドラマ化を以てシリーズ全てがドラマ化されたことになります。

さらに、『リオ』『朱夏』『ビート』については幻冬舎で発刊後に新潮社へと版元を変えて今も刊行され続けて居ます。
あらすじは次の通り。

<あらすじ>

・リオ

地道な捜査、落としの人間力。「火曜日の連続殺人犯」を追いつめる刑事たち。これが警察小説だ!

「彼女が容疑者だとは、思えない」警視庁捜査一課強行犯第三係を率いる樋口警部補は、荻窪で起きた殺人事件を追っていた。デートクラブオーナーが殺害され、現場から逃げ去る美少女が目撃される。第二、第三の殺人が都内で起こり、そこにも彼女の姿が。捜査本部は、少女=リオが犯人であろうという説に傾く。しかし、樋口の刑事の直感は、“否”と告げた。名手が描く本格警察小説。

・朱夏

刑事の妻が誘拐された。もっともハードな捜査が今、始まる。この警察小説が熱い!

あの日、妻が消えた。何の手がかりも残さずに。樋口警部補は眠れぬ夜を過ごした。そして、信頼する荻窪署の氏家に助けを求めたのだった。あの日、恵子は見知らぬ男に誘拐され、部屋に監禁された。だが夫は優秀な刑事だ。きっと捜し出してくれるはずだ――。その誠実さで数々の事件を解決してきた刑事。彼を支えてきた妻。二つの視点から、真相を浮かび上がらせる、本格警察小説。

・ビート

ベテラン刑事の息子が殺人容疑者に――。この警察小説に酔え!

警視庁捜査二課・島崎洋平は震えていた。自分と長男を脅していた銀行員の富岡を殺したのは、次男の英次ではないか、という疑惑を抱いたからだ。ダンスに熱中し、家族と折り合いの悪い息子ではあったが、富岡と接触していたのは事実だ。捜査本部で共にこの事件を追っていた樋口顕は、やがて島崎の覗く深淵に気付く。捜査官と家庭人の狭間で苦悩する男たちを描いた、本格警察小説。
(新潮社公式HPより)


これは残る『ビート』の内藤さん版のドラマ化も期待出来そう。

では、ドラマ版の感想。
先述した通り原作は未読なので、あくまでドラマ版単体での感想となります。

劇中にて描かれた内容は次の3点。

1つ目、樋口の人柄。
2つ目、照美に関わる騒動。
3つ目、真奈美に関わる事件。

そのすべてにタイトル「廉恥」が関わっていました。
「廉恥」とは「心が清らかで、恥を知る心が強いこと」。
この逆が「破廉恥」。
「廉恥を破る」、すなわち「恥を知らないこと」となります。

これを踏まえて、まず1つ目「樋口の人柄」。

樋口の本質こそ「廉恥」。
照美の捜査について事前情報を得ながら、公正を期すべく本人に伝えない。
同じく照美の捜査について不正を持ちかけられたものの、これを拒否。
まさに「恥を知る故」の行動であり「清廉潔白」と言えるでしょう。

続いて2つ目「照美に関わる騒動」。

思った以上にあっさりと解決したコレですが、そもそも照美がパソコンの提出を拒んだ理由が「恥ずかしい」から。
言わば、これもまた「恥を知る故」の行動。

そして3つ目「真奈美に関わる事件」。

真奈美が麻里を殺害した動機は「麻里への憧れとこれに裏切られた為」とされていました。
ただ、それ以外にも「自身も内心で密かに恥じていた楢崎との不適切な関係を麻里に指摘されたこと」もあるのではないかと思います。
こう考えれば、これもまた「恥を知る故」にソレに耐えられずにあのような行動を取ったと言えるのではないでしょうか。

とはいえ、劇中では特に此の点に触れられていないのが不満。
少なくとも「真奈美に関わる事件」については、蘭子を活かして総括の際にもっと強調しても良かったのではないかと思う。

実を言うと、管理人がこの共通点に気付いたのは1度批評(レビュー)記事を公開した後のこと。
内容をもう1度読み返すうちに「アレ、こういう意味だったんじゃね!?」と気付いた次第。
其処で慌てて感想部分を訂正してます。
まさに「熟慮せず公開したことを後悔した」ワケです、恥ずかしい……って、これこそが「恥」の概念じゃん!!
これまた「恥を知る故」に感想部分を書き直したと言えるでしょう。

此の他に、もう1点不満が。
「照美に関わる騒動」にて樋口父娘をあれほどクローズアップするなら、同じ父娘の絆で「犯人側の父娘の関係」も用いるべきだったのではないでしょうか。
例えば、楢崎に妻との間に年頃の娘がおり、その娘も事件に絡んで来るとか。
その中で、無実であった父を疑ってしまったことを恥じ犯行に走ると言った展開でもアリだったのではないでしょうか。
これにより、樋口、照美、楢崎の娘を通じ「恥」というものへの考察がより深まったと思う。

ちなみに、キャストは素晴らしかった。
内藤剛志さん、宮川一朗太さん、小木茂光さん、榎木孝明さん、佐野史郎さんの共演。
此の時点で無条件で認めてしまいそうなほどキャストが豪華だった。
「おいおい、なんだよ……管理人の心を狙い過ぎなんじゃないの?」とか言いたくなるほどのキャスティングでした。
このキャストにてシリーズ続編も欲しい。

◆関連過去記事
【STシリーズ】
「ST 警視庁科学特捜班 傑作警察エンターテインメント小説ついにドラマ化!特殊能力を持つ5人の科学者が挑む恐るべきトリック!協調性ゼロのチームを率いるのは引きこもり刑事!?」(4月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)

日本テレビ系「ST 赤と白の捜査ファイル」が2015年1月10日に映画公開決定!!

【ハンチョウシリーズ】
「ハンチョウ神南暑安積班シーズン2」(TBS系、2010年)まとめ

【その他】
「ハンチョウ」シリーズで知られる今野敏先生の「同期」がWOWOWでドラマ化決定!!

<キャスト>

樋口 顕:内藤剛志
小泉蘭子:釈 由美子
樋口恵子:川上麻衣子
石田真奈美:江口のりこ
樋口照美:逢沢りな
楢崎公平:宮川一朗太
南田麻里:三津谷葉子
柳本行雄:小林 健
樫田 臨:湯江健幸
木田亮太:河合龍之介
ユカリ:岸 明日香
植村浩二:小木茂光
天童隆一:榎木孝明
氏家 譲:佐野史郎 ほか
(公式HPより、敬称略)


ドラマ化されたシリーズ第4弾「廉恥 警視庁強行犯係・樋口顕」です!!
廉恥 警視庁強行犯係・樋口顕





こちらはキンドル版「廉恥 警視庁強行犯係・樋口顕」です!!
廉恥 警視庁強行犯係・樋口顕





シリーズ第1弾「リオ―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)」です!!
リオ―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)





シリーズ第2弾「朱夏―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)」です!!
朱夏―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)





シリーズ第3弾「ビート―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)」です!!
ビート―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)





ドラマ版がブルーレイ化!!
「ST 警視庁科学特捜班(Blu-ray Disc)」です!!
ST 警視庁科学特捜班(Blu-ray Disc)





ドラマ版がDVD化!!
「ST 警視庁科学特捜班 [DVD]」です!!
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