2015年02月28日

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第13話「探偵女と病院と殺人2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第13話「探偵女と病院と殺人2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第13話登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
逸見:楓の知人の刑事。

末為良則:12話で遺体で発見される。場津間学園の教師であった。
謎の女性:蛍が廃病院で出会った女性。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

高校生になった赤木蛍は行方不明となっていた兄・圭一と思わぬ形で再会を果たすことに。
なんと、圭一が幽霊として蛍のもとに戻って来たのだ。
しかも、圭一は悪意が関わる事件を察知し悪意を消滅させる能力を手に入れていた。
だが、圭一は現世に介入することが出来ない。
これでは折角の力も無意味である。
其処で圭一から協力を求められた蛍は、兄妹で力を合わせ1人でも多くの人を助けるべく動き出すことに。

・前回までのあらすじはこちら。
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第12話「探偵女と病院と殺人」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

口笛と独眼猫に誘われ、廃病院で他殺と思われる遺体を発見した蛍と圭一。
ところが、其処を楓に目撃されてしまう。

「あんた、何を……」
蛍と死体の関連性を訝しむ楓。
そんな楓に、蛍は「あたし、少女探偵だから」と楓のお株を奪う発言で誤魔化そうとする。

だが、本家本元の少女探偵である楓は俄には信じない。
蛍の実力を試すこともかねて「では、この事件を解決してみなさい」と挑戦状を叩きつけることに。
つまり、どちらが早く目の前の殺人事件の真相に辿り着くか勝負を挑まれたのだ。

其処に通報を受けて、楓の知人である逸見刑事たちが到着。
逸見刑事たちによれば被害者は末為良則なる男性で場津間学園の教師らしい。
早速、本格的な捜査が開始され、蛍は慌てて退散する。

こうして楓と対決することとなった蛍。
その隣では圭一が「どうやら被害者は薬物中毒だったようだ」と告げる。
遺体の腕に常習していた痕跡があったのだ。
「はぁ〜〜〜分かったことと言えば被害者の名前と薬物中毒患者だったことだけかぁ」
去り際にふと洩らした蛍の言葉を何気なく耳にする楓だが……。

帰路に着いた蛍と圭一。
蛍は被害者である末為が教師であることに注目。
もしかすると末為が買い手ではなく売り手なのではないかと考える。
末為が教師の特権を用い学内で薬物を捌いていたのではないかと疑ったのだ。
だとすれば、場津間学園の関係者に犯人が居る可能性は高い。
蛍は場津間学園を調査することを決める。

一方、逸見たちの報告に耳を傾ける楓。
其処である言葉を耳にし瞠目する。
末為が薬物中毒であったことが明かされたのだ。
楓の脳裏に甦ったのは、去り際の蛍の台詞である。
蛍が捜査本部よりも先に、この事実を突き止めていたことに気付いた楓は戦慄する。

翌日、学園の授業を終えた蛍は場津間学園へ足を運ぶ。
生徒たちはエリートである「聖マルス」の制服を着た蛍に興味津々だ。
蛍は友人を訪ねて来たと嘘を吐き、末為についての情報を集め始める。
すると、末為を中心としたグループが存在することが判明。
しかも、グループに所属しているメンバーの中には異常行動を示す者も多いらしい。
末為のグループ内には薬物が蔓延しているようだ。
どうやら、蛍の予想は当たっていたようである。

蛍は末為のグループ内に犯人が居ると推理。
さらに現場付近に独眼猫が多数居たことに注目し、独眼猫が死の象徴だとすればこの事件が複数の偶然が重なった結果の事故ではないかとの仮説を立てる。
そんな蛍に圭一は、廃病院では独眼猫だけではなく口笛も聞こえていたことを教える。
これに興味を抱く蛍だが……。

此処で蛍は家事の時間になったので帰宅することに。
蛍にとって少女探偵はあくまで余技に過ぎない、家事と学問が重要な学生なのである。
とはいえ、ある程度の成果を上げることが出来たのは収穫であった。
流石は蛍と言えるだろう。

その頃、捜査本部に入り浸る楓は逸見から場津間学園についての情報を耳にしていた。
これを受けて、楓も蛍同様に学園内に犯人が居ると確信。
内情を調べるべく、楓は逸見のバックアップを受けて潜入捜査を開始することに。

その夜、赤木家の家事を全てこなし時間を作った蛍は圭一を連れ再び廃病院へ向かう。
例の口笛が気になったのである。

再度の現場検証も踏まえて現場を荒らさないように忠告する圭一。
だが、蛍はそれも織り込み済みである。
第一発見時と同じ靴で訪れることで、最初の訪問時の靴跡として誤魔化せるとの対策を用意していた。

これに圭一が感心する中、蛍は独眼猫を追い病院を駆け上がる。
辿り着いたのは荒廃した病室の1つ。
蛍は其処で独眼猫に囲まれた謎の女性を発見する―――次話に続く。

いよいよ始まった蛍と圭一の奇妙な相棒物語。
ちなみに、ネタバレあらすじはまとめ易いように展開などをかなり改変してます。
気になる詳細は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!

<感想>

「名探偵マーニー」から3ヶ月……我らが木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」に還って来た!!
というワケで、その新作「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」です。

さて、その13話。
サブタイは「探偵女と病院と殺人2」。

というワケで「探偵女」こと楓と「病院」での「殺人」について、蛍が捜査対決を行うこととなりました。

まずは今回も「探偵女」こと緑川楓について。
どうも、楓は蛍をライバル視している様子。
でもって、場津間学園に潜入捜査を行うとのこと。
前エピソード同様に、真犯人に命を狙われたところを蛍に助けられるシーンが浮かぶなぁ……。
だとすれば、今回のケースを通じて和解し仲間となるか、あくまでライバルキャラのポジションを崩さないのか……注目ですね。

続いて「病院」について。
此処で登場したのは独眼猫を集める謎の女性。
舞台が廃病院だけに、彼女自身も霊なのでしょうか。
口笛は彼女によるものなのか!?
今回の事件にも深く関わっているように思われますが、果たして!?

そして「殺人」について。
蛍によれば末為の死は他殺よりは事故に近いらしい。
おそらく「ピタゴラスイッチ」のように条件が重なっての結果か。
場津間学園の生徒と謎の女性により末為は死亡したことになりそうです。

問題は圭一の検死能力が何処まで信用出来るかだな。
蛍の指摘もあったが、圭一は死者であるが為に嗅覚が効かないらしい。
圭一経由の視覚情報は信頼出来るが、その他の情報の信憑性は今後のポイントになるかもしれない。

それと末為が大便を洩らしていたことも気になる。
通常のパターンだと糞尿を洩らすのは絞殺の特徴。
刺殺でも括約筋が緩むことで洩らすこともあるそうだが、今回がこれに該当するか。
それ如何で防御創も含め意外な展開に繋がるかもしれない。
なにしろ、場所が廃病院だし。
此の点も注目。

次回も見逃すなかれ!!

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」関連過去記事
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)第1話から第10話までネタバレ批評(レビュー)まとめ

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第11話「初恋と殺人装置3」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第12話「探偵女と病院と殺人」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

◆関連過去記事
「名探偵マーニー」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ

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これまでの登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

獣を連れた男:圭一の死に関わる人物。獣は殺意のことらしい。

【赤木家とその周辺】
蛍の父:赤木興業の社長。
赤木真知恵:蛍の母。バーのような店を経営している様子。
節:蛍の妹。
和也:蛍の弟。

謎の少年:蛍の初恋相手らしい。11話に登場。
真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。

【聖マルス学園関係者】
志田りか:聖マルス学園の生徒。2話から登場。
塞田康平:蛍のクラスの担任教師。割とミーハーらしい。
見場創太:3話ラストに登場した怪しい男。学園の生徒であった。
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
校長:聖マルス学園の校長。
教頭:聖マルス学園の教頭。

【警察関係者】
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
逸見:楓の知人の刑事。

【その他】
志田高志:りかの兄。りかにストーカーしているとのことだが……。
実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。
麻依:貝塚の元婚約者。
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
末為良則:12話で遺体で発見される。場津間学園の教師であった。
逸見:楓の知人の刑事。
謎の女性:蛍が廃病院で出会った女性。

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【犯人判明】「蟻地獄壕殺人事件」第8話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【犯人判明】「蟻地獄壕殺人事件」第8話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

「金田一少年の事件簿R」第5弾は「蟻地獄壕殺人事件」!!
心理実験を舞台に事件が……


【「蟻地獄壕殺人事件」登場人物一覧】
金田一:主人公。最終エピソードまで犯人にも被害者にもならないでしょう。
美雪:言わずと知れた金田一少年のベストパートナー。最終エピソードまで犯人にも被害者にも(以下略)。

馬江田準樹:西東大学心理学部教授。実験の主催者。
巳月七生:高校2年生。赤色
祝木桐彦:大学4年生。オレンジ色
彩世泉:大学3年生。ベージュ
華形拓人:大学2年生。黄色
舞谷かえで:大学2年生。エメラルドグリーン
蜂倉柊太:大学3年生。灰色
司吉里子:高校3年生。黒色

草薙蓮:1年前に溺死体で発見された人物。

いつき陽介:フリーライター、何かと金田一と繋がりのある人物。
高遠遙一:「地獄の傀儡師」として知られる金田一少年の宿敵。

マスター:カフェふくろうのマスター。
ホー之介:マスターが飼っているふくろう。

<あらすじ>

・前回はこちら。
【急転直下】「蟻地獄壕殺人事件」第7話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

取り敢えず「蟻地獄壕殺人事件」の部屋割りは次の順となっている。

東ブロック(東から西の順):空室、馬江田、空室、蜂倉(金田一と交代)、巳月、空室、彩世、美雪。
西ブロック(東から西の順):いつき、華形、金田一(蜂倉と交代)祝木、空室、司、空室、舞谷。

以上の16室があり、2部屋ずつが合流する点には小広間が存在。
その小広間同士が合流する点にも別の小広間がある。
これを繰り返しつつ中央にある大広間へと続いている。
いわば、トーナメント表のような作りなのだ。

此の点を踏まえて本編スタート!!

祝木の部屋に踏み入った犯人。
そんな犯人を背後から呼び止めたのは金田一であった。

慌てる犯人。
それもその筈、この区間は祝木により扉が封鎖されており犯人と祝木以外には誰も存在しない筈だったのだ。

其処にいつきや馬江田らが現れる。
さらに愕然とする犯人。
どうやら、金田一が封鎖されていた扉を内側から解錠し招き入れていたようだ。

犯人の目の前で金田一は心理試験の参加者が主催者により任意に選ばれていたことを指摘する。
心理試験を口実に主催者に都合の良いメンバーが選出されたのだ。

例えば、金田一は探偵役。
例えば、司は部屋に籠って居て貰う必要があった為に引き籠りの彼女が選ばれた。

他にも心理試験との設定にも意味があった。
今回のトリック上、参加者には個別に部屋に籠って貰う必要があったからだ。
これをさらに促進するべく、心理試験の名目で服の色をバラバラにしたのだ。
一種の逆ユニフォーム効果を狙ったようである。

次第に明かされ行く事件の構造。
金田一は集まったメンバーの表情を眺め、高遠を牽制していた。
だが、誰が高遠なのかまでは分からない。

一方で、此処に金田一は犯人の名を明かす―――舞谷かえで、と。
そう、犯人はかえでだったのだ。

しかし、かえでは自身の犯行を認めない。
泉と華形殺害は不可能だと主張したのである。

これに金田一はそれぞれの事件の意味について語り出す。

まず、泉と華形殺害が共に遺体発見現場ではなく、それぞれの部屋で行われたと指摘。
その上で、ある目的の為に死体移動が行われたのだ。

さらに、泉殺害時の施錠は心理誘導だったとする金田一。
あれにより、当初は西ブロックの犯行と思われたが最終的に東ブロックのメンバーも犯行可能であるとされた。
だが、参加者たちはトリックが用いられたことにより東ブロックの人間ではないかと内心で疑っていたのである。
すなわち、泉殺害時は馬江田、金田一、巳月、美雪の犯行が疑われていたのだ。
これにより、犯人は泉殺害の動機を覆い隠そうとしていた。

金田一の指摘にかえでが震える―――9話に続く。

<感想&推理>

「金田一少年の事件簿」が「金田一少年の事件簿R」として帰って来ました。
その第5弾は「蟻地獄城殺人事件」……ではなく「蟻地獄壕殺人事件」です!!

どうやらタイトルが「蟻地獄城」から「蟻地獄壕」へと変更になった様子。
「城」ではなく「壕」であることに深い意味があるのだろうか。
だとすれば「蟻の巣」状の連結構造(トーナメント表)に何かありそうだが……。

そんな「蟻地獄壕殺人事件」の第8話。

第3の犯行に及ぼうとした犯人を金田一が補足、その正体は舞谷かえででした。
さらに、事件の構造についても触れられました。

やはり、司が選ばれたのはあのトリックを成立させる為だったんですね。
さらに、かえでの移動現場を目撃されない為の仕掛けでもあったのでしょう。
部屋割りも同様か。

さて、此処からは肝心のトリックについて。
前回の内容と重なる点があるので注意。

遮断されていた筈の祝木の部屋に犯人と金田一が何故、侵入出来たのか!?
この謎は今回における金田一の行動を追えばすぐに分かります。

まず、金田一は7話で3つの行動を取りました。

1つ目、色彩心理により参加者が部屋に籠っていたことを指摘。
2つ目、犯行前後の参加者全員のバイタルサインを確認。
3つ目、司の部屋に直結する小広間の錠から指紋採取。

1つ目により、参加者は壕内をうろうろしない。
つまり、泉や華形たちの遺体を移動させることが可能。

2つ目により、泉と華形のバイタルと同じ数値を示していた人を発見。
つまり、犯行直後にリストを被害者から外し犯人自身が着用することで殺害時刻を誤認出来た。

3つ目により、小広間からある人物の指紋を発見。
これについては以前に触れた金田一の物以外が検出されたことが判明すれば良い。
誰の物か確認する必要は無い。
これにより、犯人が司が部屋から出て来ることを怖れ施錠していた事実が分かる。

さて、此処で勿体ぶっても仕方がないので、まずは犯人を確定させる。
2つ目により、これは舞谷かえでと断定出来る。
泉や華形と同じ数値で表示されているので。

加えて1つ目により、殺害時刻が実際と異なることも分かる。
同時に、殺害場所についても誤認の可能性が浮上し、かえでが泉と華形の遺体を動かしたことも分かる。

何故、これが必要だったかを考えた上で3つ目。
かえでは司に合流されることを怖れていたことも分かる。

それが意味するところは1つ。
かえでが泉の遺体に隠れ、全員をやり過ごしたからである。
このトリックについては5話で既に述べたので参照のこと。
同時に、かえでが司を封殺すべく施錠したことについても触れている。

【容疑者絞り込みました】「蟻地獄壕殺人事件」第5話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

で、問題の遮断された祝木の部屋にかえでと金田一が登場出来た理由。
これは先のトリックの応用であろう。

かえでが華形の遺体に隠れ、金田一が泉の遺体に隠れていたのだろう。
これはもちろん逆でも良い。
とりあえず、祝木をやり過ごし閉鎖空間の中に紛れ込むことが肝要なのだ。

どうやら、これによりかえでの犯行とその方法については解明出来たと言えそうだ。

さて、此処からはいろいろ気になった点を。

まず、金田一が後発で2つの遺体の1つに隠れたワケだが、2分の1の確率でかえでが既に隠れた遺体を引き当てた筈なのだが、その際はどうするつもりだったのかが気になる。
個人的にはかえでは祝木の部屋にほど近い華形のソレに隠れたのだろうと思うのだが……。
もしも、まかり間違えていたらなかなかな状態に陥りかねないような。
そう言えば、かえでが華形の遺体に隠れていたとすると、それより遠い泉の遺体に隠れた金田一はかえでの行動を把握出来ないのではないかとの謎も残るなぁ……。
どうなんだろ。

そもそも、かえでは華形殺害時に並行して祝木も殺害しておけば泉の遺体1つで事足りたんだよなぁ。
泉殺害と華形殺害を同日に行ったかえでが、なんで此処だけはわざわざプロセスを分けたのか?
そして、金田一と蜂倉の部屋交代にどんな意味があったのかの謎も残されてますね。

そう言えば、草薙蓮の苗字は「薙」と「凪」のどちらなのか問題もある。
今回の祝木によれば草凪で正解なのだろうか。

さらに華形に続き祝木の部屋へとあっさり侵入したかえで。
蟻地獄壕では個室に鍵は付いていないのだろうか……気になる。

でもって、高遠とカフェふくろうのマスターに何らかの関係があるのではないかとの謎。
新シリーズ「金田一少年の事件簿R」になって以来、カフェふくろうのマスターが登場するエピソードには高遠も必ず登場している(「亡霊校舎の殺人」「蟻地獄壕殺人事件」)。
例として挙げるには2作と些か心許なくはあるが、これは新シリーズになってからの高遠の登場自体が上記2作に限られている為。
つまり、今のところ100%となっている。
どうも、この登場には何か意味があるのではなかろうか。
マスター自身が高遠の変装なのか……それとも高遠のルーツがマスターに関わって来るのか。
今後もこの法則が守られるのかどうかに注目したい。

さて、これらの謎について解が提示されるのか!?
此の点も含めて次回以降に注目!!

ちなみに、此処で大ニュース。
「ファイアーエムブレム」シリーズ最新作「ファイアーエムブレムif」開発に「金田一少年の事件簿」原作者である樹林伸先生が参加されるとのこと。

そう言えば『小説 野性時代』(角川書店刊)でも樹林伸先生『ドクター・ホワイト』が2014年11月号から連載開始されています。
こちらも注目すべし!!

綾辻行人先生「Another」シリーズ続編『Another 2001』が『小説野性時代132号(11月号)』にて連載開始!?

◆「蟻地獄壕殺人事件」関連過去記事
「蟻地獄壕殺人事件」第1話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「蟻地獄壕殺人事件」第2話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「蟻地獄壕殺人事件」第3話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【第2の殺人発生】「蟻地獄壕殺人事件」第4話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【容疑者絞り込みました】「蟻地獄壕殺人事件」第5話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【あの人が参戦!!】「蟻地獄壕殺人事件」第6話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【急転直下】「蟻地獄壕殺人事件」第7話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

◆シリーズ関連過去記事
・「金田一少年の事件簿R」より「学生明智健吾の事件簿」のまとめはこちら。
「学生明智健吾の事件簿」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿R」より「狐火流し殺人事件」のまとめはこちら。
「狐火流し殺人事件」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿R」より「亡霊校舎の殺人」のまとめはこちら。
「亡霊校舎の殺人」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ

・「金田一少年の事件簿R」より「雪鬼伝説殺人事件」のまとめはこちら。
「雪鬼伝説殺人事件」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「薔薇十字館殺人事件」のまとめはこちら。
「薔薇十字館殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「香港九龍財宝殺人事件」のまとめはこちら。
「香港九龍財宝殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「暗黒城殺人事件」のまとめはこちら。
「暗黒城殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「人喰い研究所殺人事件」のまとめはこちら。
「人喰い研究所殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」のまとめはこちら。
「ゲームの館殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・「金田一少年の事件簿」より「錬金術殺人事件」のまとめはこちら。
「錬金術殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・同じく「高度1万メートルの殺人」のまとめはこちら。
「高度1万メートルの殺人」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・さとう先生による読み切り「トキメキトキナ消失宣言」のネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「別冊少年マガジン」(講談社)より「トキメキトキナ消失宣言」ネタバレ批評(レビュー)

【ドラマ版】
ドラマ版「金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件・アジア北米同日放送〜美雪誘拐!破滅の街の悲劇…死体出現密室トリックの謎はすべて解けた!」(1月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件 マレーシアのジャングルで合宿中の生徒達が次々と消えた…太陽と月が交わる時暴かれる驚愕のトリック!謎はすべて解けた!」(1月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「金田一少年の事件簿N」(日本テレビ系、2014年)まとめ

「金田一少年の事件簿R(1) (講談社コミックス)」です!!
金田一少年の事件簿R(1) (講談社コミックス)





こちらはキンドル版「金田一少年の事件簿R(1)」です!!
金田一少年の事件簿R(1)





「金田一少年の事件簿R(2) (講談社コミックス)」です!!
金田一少年の事件簿R(2) (講談社コミックス)





「金田一少年の事件簿R(3) (週刊少年マガジンKC)」です!!
金田一少年の事件簿R(3) (週刊少年マガジンKC)





「金田一少年の事件簿R(4) (週刊少年マガジンKC)」です!!
金田一少年の事件簿R(4) (週刊少年マガジンKC)





「金田一少年の1泊2日小旅行(1) (講談社コミックス)」です!!
金田一少年の1泊2日小旅行(1) (講談社コミックス)





こちらはアニメ版サウンドトラック!!
「金田一少年の事件簿R オリジナルサウンドトラック」です!!
金田一少年の事件簿R オリジナルサウンドトラック





「高遠少年の事件簿 (少年マガジンコミックス)」です!!
高遠少年の事件簿 (少年マガジンコミックス)





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金田一少年の事件簿N(neo) DVD-BOX





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