2015年03月04日

「相棒season13」第17話「妹よ」(3月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「相棒season13」第17話「妹よ」(3月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season13」第17話「妹よ」(3月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)。

<ネタバレあらすじ>

とあるマンションの一室。
其処ではお馴染みの男が病床に臥していた。
その傍らでは1人の女性が甲斐甲斐しく世話を焼いている。

男は彼女の背中に呟く……美奈子と。

男は捜査一課で経理係をしている陣川(原田龍二)。
そして女性はその妹・美奈子(水崎綾女)。
陣川が風邪をこじらせ、妹を看護に呼んだのだ。

「まったくもうお兄ちゃんたらぁ」
わざわざ呼び出されたことに些か不満な様子を見せる美奈子。
と、不意に何かに気付き立ち上がる。

「ああ〜〜〜っ、お粥が!!」
悲鳴を上げる美奈子、その原因はキッチンのお粥にあった。
目を離した隙に焦げ付かせてしまったのだ。

「おいおい何をしてるんだよ、お前は!!」
「何よぅ!?本当なら彼女にして貰うべきことでしょ」
先程まで寝ていた筈の陣川が飛び起きた。
これに美奈子が反発する。
機嫌を損ねてしまった美奈子はその足で陣川家を飛び出す。

その夜、陣川のもとに美奈子から電話があった。
以降、陣川は美奈子と連絡が取れなくなってしまう……。

翌朝、未だ風邪を引きずる陣川が特命係に現れた。
妹・美奈子が消えてしまったのだ。

美奈子はヘッドハンター。
依頼主の要望に応じ人材をスカウトし紹介する仕事である。

ところが、昨晩のこと。
美奈子が陣川の留守電に変なメッセージを残した。
気になって、美奈子の携帯に連絡を入れたが電源を切っていて繋がらないのだ。

これを聞いた右京(水谷豊)は眉根を寄せる。
ヘッドハンターの仕事上、誰から電話が入るか分からない。
到底、電源を切っておくとは思えないからだ。
どうやら、何かが起こったようだ。

陣川の留守電を聞いた右京。
「もしもし、お兄ちゃん」と美奈子の声の直後に「早く乗せろ」との男の声を見出す。
どうやら、美奈子は何者かに連れ去られた可能性が高いらしい。

その頃、当の美奈子は手足を拘束され廃工場の床に横たわらされていた。
「助けて、助けて」と叫ぶ美奈子。
だが、その声は誰にも届かない。

右京たちが動き出した。
美奈子の部屋を訪れた右京は其処に昨日の夕刊と今朝の朝刊を発見し、昨晩から帰宅していないと判断する。

一方で、美奈子の部屋を物色する。
机の中身を確認した右京は美奈子がスカウトした面々の名刺を発見。
さらに、美奈子のPCに残されたメールから「例の件から手を引かなければ、それ相応の対応をさせて頂く」と書かれたメールを発見する。
一見したところ、かなり不穏当な内容である。
メールの差出人は工藤雄一なる男性であった。

続いて、美奈子が働いているヘッドハント会社「ゴールド・リサーチ社」へ。
だが、社長の高柳沙織も美奈子の行方は知らないと言う。
此処で、沙織と陣川に既に面識があったことが判明。
どうも何度か食事も共にしているようで、例の陣川の病気が出ているようだ。

右京は沙織に美奈子の入退室記録について問う。
沙織によれば16:06が最後で、昨日は美奈子と会っていないとのことだが……。

美奈子のオフィスへ向かった右京。
PCにはロックがかかっており、書類もシュレッダーにかけられた後である。
「ゴールド・リサーチ社」ではその業務の性質上、情報の取り扱いを重要視しており細心の注意を払っているようだ。
それが仇になったか手掛かりらしい手掛かりも無い。
果ては、ゴミ箱の中まで空であった。

右京は近くで作業していた「清掃業者のおばちゃん」に目を留める。
何か情報が無いか尋ねる右京。
すると美奈子が男性に対し「絶対に許さない」と叫んでいたことが分かる。

当の男性を問い質す右京たち。
男性の名は谷口、美奈子の同僚である。
帰りが一緒になったので2度ほど食事を誘ったところ「お付き合いしても良くってよ」と申し込んでも居ない交際を了承されてしまったのだそうだ。
驚き慌てつつ「僕、来月結婚するんだ」と説明したところ、「裏切った。絶対に許せない」と罵られたようだ。

まさかぁ……と笑う甲斐だが、これを聞いた陣川は美奈子ならあり得ると断言する。
どうやら、兄妹そっくりな性格のようである。

さらに、谷口によれば美奈子は「外資系電器メーカーの技術者と交渉中」と語っていたと言う。

当の外資系電器メーカーを訪問した右京。
美奈子は「山本」なる技術者の引き抜きを行おうとしていたのだ。
山本に代わり現れた人事部長の武田によれば、工藤雄一は彼が依頼した調査会社の人間だと言う。

米沢から工藤の身許について連絡が入った。
工藤は「R総合調査事務所の調査員」らしい。

陣川は「工藤が犯人だ」と決めつけ、工藤のもとへ。
右京と甲斐は山本から事情を聴取する。

山本は転職話を受けるつもりだったようである。
何処からどう洩れたのか、引き抜き話が武田に知られてしまい会社に居場所が無くなってしまったのだ。
ところが、話を進めて欲しいと美奈子に伝えたところ「この話、少し待って欲しい」と頼まれ困惑していたのだそうだが……。

その頃、陣川は工藤を問い詰めていた。
だが、工藤は調査の真っ最中。
陣川の大声で調査対象に存在を気取られ、大騒ぎに。

散々な目に遭った工藤は激怒しつつも、陣川に身の潔白を明かす。
美奈子の消えた当日には、工藤は浮気調査を依頼されておりアリバイが存在していた。
ちなみに、工藤が美奈子に辿り着いたのは山本を監視して突き止めたのだそうだ。
一方、当の山本にもアリバイが成立していた。

此処で右京は視点を変更。
美奈子が陣川の部屋でお粥を焦がしたことに注目する。
陣川宅に乗り込んだ右京は陣川の事件ファイルに興味を抱いた。
そう、美奈子は陣川の事件ファイルに気を取られてお粥を焦がしたのだ。

事件ファイルを調べたところ、5日前の強盗傷害事件の被害者・香坂達郎が浮上。
それは美奈子がスカウトした人物の1人であった。

陣川は伊丹たちに頭を下げて香坂の事件について情報を収集する。
概要は次の通りである。

たまたま体調を崩した香坂が早めに帰宅したところ複数人の強盗と遭遇。
慌てて逃げようとしたが、殴りつけられ気絶してしまった。
次に気付いた時には、1千万円相当の絵画を盗まれたのだそうだ。

入院中の香坂のもとへ向かった右京。
香坂によれば、被害に遭ったのは「オーバン・ギャレルの絵」。
時価2000万円相当で、この存在を知る人物は限られているらしい。
だが、美奈子にだけは話してしまったそうだが……。

美奈子宅にあった名刺と過去の窃盗事件を突き合わせた右京。
すると、出るわ出るわ。
なんと、美奈子がスカウトした相手が次々と盗難被害に遭っていた。

「金に困ってるなら言ってくれれば……」
美奈子の犯行だと思い込み、罪を償わせなければと息巻く陣川。
そんな陣川を右京が押し留める。

右京は美奈子が山本のスカウトを中断しようとしていたことから、窃盗とは無関係であると指摘。
もしも、窃盗一味ならば山本のスカウトを中断する必要が無いからだ。
むしろ中断したことから、美奈子は自分の情報が漏れていることに気付き犯人探しを行っていたに違いないと推測する。

右京たちは美奈子の情報にアクセス出来る人物が犯人と考え、社長である沙織へと疑いの目線を向ける。
沙織を問い質す右京たち。

美奈子の立場からすれば情報漏洩に気付けば沙織に報告した筈である。
だがあの日、沙織は美奈子に会っていないと主張していた。
この矛盾は何処から生じるのか!?

情報漏洩について問われ「山本さんの引き抜きは本人が洩らしたのかも……」と躱していた沙織。
だが、執拗に詰問され遂に折れた。

そっと差し出された入退室記録によれば、美奈子の入退室は21:12が最後になっていた。
すなわち、沙織が嘘を吐いていたのである。
沙織によれば確かに報告は受けたが企業イメージが悪化することを怖れて、口止めしていたらしい。

これに右京は美奈子を連れ去ったのは沙織ではないと宣言する。
どうやら、既に犯人の目星を付けたようだ。

数時間後、監禁されていた美奈子のもとに2人組の男が現れた。

「山本の家には俺たちが行く。此処は引き払う」
「あの女はどうする?」
「顔は見られていない、捨てておけ」

犯人の1人がその場に残り、もう1人が何処かへ消えた。
美奈子は犯人の1人の隙を突き、これを昏倒させると車を奪い山本宅へ。
其処には黒ずくめの2人組が!!

黒ずくめは美奈子を昏倒させるが、思わぬ乱入者にその場を逃げ出そうとする。

ところが、此処でさらに右京たちが突入する!!
右京たちは犯人の様子を窺い、現場を抑えようとしていたのだ。
あっさりと逮捕された黒服たちの中には、あの「清掃業者のおばちゃん」こと牧田冬美の姿が。
美奈子が担当した面々の情報が漏洩したのは冬美経由だったのだ。

一見、完璧に見えた「ゴールド・リサーチ社」の情報の取り扱いだが、思わぬ穴があったのだ。
美奈子は紙媒体の書類を破棄する際にシュレッダーを用いていた。
だが、シュレッダー処理された書類は1万ピース程度までならば、人力とコンピュータソフトを駆使すれば復元可能なのだ。

あの夜、美奈子は冬美こそが情報漏洩の主であると気付きこれを問い詰め捕まったのだ。

冬美によれば、最初の標的はクレジットカード会社の情報だったそうだ。
ところが、美奈子が紙媒体を中心に顧客情報を管理していたことからこちらに標的を切り替えたのだそうだ。

「それにしても、何であたしだと気付いた!?」
右京に問いかける冬美。

右京が冬美に目を付けたのは彼女の奇妙な行動が原因であった。
美奈子の部屋のゴミ箱は空だった。
すなわち、既に回収済みだったのだ。
にも関わらず、冬美はその周辺をうろうろしていた。
おそらく、右京たちの行動が気になって監視していた為に違いない。
だからこそ、右京は冬美を疑っていたそうである。

「くそっ、くそ〜〜〜っ!!」
自身の用心深さが仇になったと知らされた冬美は獣のように吠え立てるのであった。

一方、助け出した美奈子を抱き締める陣川。
兄妹の再会を喜ぶ右京たち。
美奈子は右京たちを目にすると「いつも兄から聞いてます。兄の手伝いをして下さってるんですよね」と頭を下げる。
実際はまるっきりの逆である、これに笑うしかない右京たち。
陣川が普段から美奈子に何を言っているか分かろうと言うものだ。

さて、陣川兄妹がその場を去り右京と甲斐が残された。
2人は「もう1つ疑問が残っている」と頷き合う。

数時間後、美奈子と陣川が沙織のもとを訪れていた。
沙織を食事に誘う陣川。
だが、美奈子はそんな陣川を制し「1つ分からないことが……」と沙織に尋ねる。

美奈子は山本の件も含めて過去の転職者たちを調べた。
すると、山本だけでなく香坂が転職を決断した理由も会社に知られたからだったことが分かった。
もちろん、他の面々も同様である。
誰かがスカウトを成功させる為に、情報をリークしていたのだ。

其処に右京と甲斐も現れた。
彼らが注目していた疑問も美奈子と同じであった。

山本の秘密が会社に洩れていた。
誰が会社にリークしたのか。
それは沙織しか居ない。

情報漏洩について右京たちが沙織を問い詰めたとき、その内容については一切触れていないにも関わらず沙織は「山本の転職話が会社に洩れたこと」について口にした。
何故、沙織は山本の転職話が会社に洩れたことを知っていたのか。
そもそも沙織がリーク主だったからだ。

これに沙織はリークを認める。
「転職について保守的過ぎる人々の背中を押したに過ぎない」と主張する沙織。

これを「建前としては素晴らしい」と評する右京。
ヘッドハンター業を成立させるのは成功報酬である。
沙織は自社を成り立たせる為に「秘密保持の原則違反」を犯したのだ。

その夜、花の里には右京たちと陣川、美奈子の姿があった。
陣川はカウンターの端で酔い潰れており、右京たちは美奈子を励ましている。

美奈子は「ゴールド・リサーチ社」を辞めたのだ。
別のヘッドハント会社へ再就職するつもりらしい。

「兄の手伝いだなんて、失礼を言いました」
右京と甲斐にそっと謝罪する美奈子。
陣川の前だからこそ彼の言葉を信じている振りをしたが、既に実体を知っているらしい。

「陣川君は優しい妹をお持ちですねぇ」
右京が目を陣川へと向けると……。

「あんな人だったとは思わなかったよ、沙織さ〜〜〜ん」
これに呼応するように叫ぶ陣川であった―――第17話了。

<感想>

シーズン13第17話。
脚本は金井寛さん。

サブタイトルは「妹よ」。
まさかの陣川君の妹が登場です。

何と言っても陣川兄妹のインパクトに押され気味ですが、テーマは「情報の取り扱い」か。

「ゴールド・リサーチ社」では「情報の取り扱いは万全」とされていました。
ところが、何事にも万全は存在しない。
完璧と思われた処理法も「シュレッダーの限界」との蟻の一穴から崩れることに。

さらに、そもそも取扱いを行う沙織自身が意図的に悪用していたことも判明。
改めて情報の価値がクローズアップされると共に「その取扱いの意味」を考えさせられる結果に。

同時に、冬美が「ゴールド・リサーチ社」に目を付けた理由が「顧客を想うが故に紙媒体中心に。また個人情報の重要性を知り熱心に守っていた美奈子」にあった点は皮肉でした。
とはいえ、当の美奈子は自宅にまで情報を持ち帰ってるし、回想パートでは「日頃から兄である陣川君にその情報をまとめた資料を読ませているし」であまり遵守していたように見えない点もありましたね……どうなんだろ。

まぁ、今回はテーマよりも陣川君のキャラクター像に妹の登場で更なる深みが刻まれたことの方が「相棒」史上にとっては大きい。
此処は次の言葉で締め括りたい。

「陣川君の歴史にまた1ページ」(『銀河英雄伝説』のアレで)。

ちなみに「season13」を以て甲斐が「相棒」を卒業することが判明しています。
こうなると峯秋の去就にも注目が集まります。
なお、詳細は次の記事からどうぞ。

【至急報】3代目相棒・甲斐享が「相棒season13」にて卒業とのこと。

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電子書籍化不可能なミステリについて語ってみよう!!

タイトル通り、電子書籍化不可能なミステリを挙げてみようとの趣旨の記事です。

まず、電子書籍化出来ないミステリとは何か!?
これに対し、管理人は次の2つを上げたいと思います。

1つ目、物理的に不可能。
2つ目、物理的には不可能ではないが紙媒体でこそ真価を発揮する。

もちろん、これ以外にも諸般の事情が考えられますが本記事では敢えてこの2つに絞ってみましょう。
で、それぞれに好例を上げてみます。

まず1つ目の「物理的に不可能」。

この例は泡坂妻夫先生『生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術』(新潮社刊)が詳しいでしょう。
本作にはある大きなトリックがありまして、これは本作それ自体を目にすればすぐに分かることでしょう。
あればかりは「任意で指定ページを解放出来る」などの工夫が無い限り電子書籍で再現することは難しい筈。
まぁ、逆に言えばそれが出来れば不可能ではないのだけど。

ちなみに、『生者と死者』は先頃に復刊されたばかり。
比較的、目にし易いのでこの意味を是非確認して欲しい。

泡坂妻夫先生の幻の名作『生者と死者』(新潮社刊)が復刊とのこと!!

続いて2つ目の「物理的には不可能ではないが紙媒体でこそ真価を発揮する」。

こちらの例は泡坂妻夫先生『しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術』(新潮社刊)が詳しいでしょう。
本作にもある大きなトリックがありまして、これは本作ラストを読むことで意味に気付くでしょう。
確かに電子書籍化自体は可能ですが、文庫だからこそ可能なあの仕掛けは不可能な筈。
これもまた本作それ自体を読んで確認して欲しい。

『しあわせの書〜迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術〜』(泡坂妻夫著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

さて、こうして挙げてみたが奇しくも泡坂妻夫先生の2作品、しかも共に「ヨギガンジーシリーズ」との結果に。
やっぱり泡坂先生はスゴイ!!

ちなみに「ヨギガンジーシリーズ」には他に短編集『ヨギ ガンジーの妖術』(新潮社)や『ヨギ ガンジー、最後の妖術』(東京創元社刊『泡坂妻夫引退公演』収録)もあります。
興味のある方は是非チェックを!!

でもって、ヨギガンジーと言えばこんな記事もありました……。

これぞリアル!?ヨギ・ガンジー!?

そうそう、泡坂妻夫先生と言えば総特集本が2015年2月24日に発売されています。
それが『KAWADE夢ムック 総特集 泡坂妻夫 からくりを愛した男』(河出書房新社刊)。

<あらすじ>

『しあわせの書』で再ブレイクの、ミステリ作家・奇術師・紋章上絵師の3つの顔を持つ才能に迫る初の総特集! 対談:北村薫×法月綸太郎、寄稿:綾辻行人、恩田陸、田中芳樹、皆川博子……。
(河出書房新社公式HPより)


あらすじにもある通り泡坂妻夫先生に対する綾辻行人先生や皆川博子先生らの想いが語られています。
他にも米澤穂信先生も寄稿されています。

その中では、泡坂先生作品の評価の高さと共に『妖女のねむり』(東京創元社刊)の評価の高さも窺われる結果になっています。

さらに『ハートの2』『クラブの1』など、泡坂先生の本名・厚川昌男(ペンネーム・泡坂妻夫はアナグラム)名義の短編や泡坂先生の隠れた名作『東洲斎写楽』も掲載。
ファン垂涎の一冊となっています。
是非、この『KAWADE夢ムック 総特集 泡坂妻夫 からくりを愛した男』もチェックするべし!!

さて、此処まで書いて来てなんだが、もしも『生者と死者』と『しあわせの書』が電子書籍化されたらどうしよう。
そのときは笑って誤魔化すとするか……。

◆関連過去記事
『しあわせの書〜迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術〜』(泡坂妻夫著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

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水曜ミステリー9「カメラマン 亜愛一郎の迷宮推理 “本物を見抜く眼”が暴く真実!写真は語る!?気弱な天才が完全犯罪に挑む」(11月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)

曾我佳城 (奇術探偵曾我佳城全集)

これぞリアル!?ヨギ・ガンジー!?

泡坂妻夫先生の幻の名作『生者と死者』(新潮社刊)が復刊とのこと!!

【続報】遂に魔術師の演目判明!!『泡坂妻夫引退公演』収録作品はコレだ!!

マジシャンの本領発揮!!泡坂妻夫先生、最後の短編集『泡坂妻夫引退公演』発売決定!!

【続々報】『泡坂妻夫引退公演』発売日延期……も未収録短編2編が追加される!!

お洒落で異性にモテるミステリを知りたい……と思いませんか?

知人が「謎解きはディナーのあとで」でミステリにハマった!!では、次に奨めるべきミステリは?

「泡坂妻夫: 総特集 (KAWADE夢ムック 文藝別冊)」です!!
泡坂妻夫: 総特集 (KAWADE夢ムック 文藝別冊)





電子書籍化不可能「生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術 (新潮文庫)」です!!
生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術 (新潮文庫)





こちらも電子書籍化すると意味を失う「しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)」です!!
しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)





「妖女のねむり (創元推理文庫)」です!!
妖女のねむり (創元推理文庫)





「亜愛一郎の狼狽 (創元推理文庫)」です!!
亜愛一郎の狼狽 (創元推理文庫)





「亜愛一郎の転倒 (創元推理文庫)」です!!
亜愛一郎の転倒 (創元推理文庫)





「亜愛一郎の逃亡 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)」です!!
亜愛一郎の逃亡 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)





「亜智一郎の恐慌 (創元推理文庫)」です!!
亜智一郎の恐慌 (創元推理文庫)





「泡坂妻夫引退公演」です!!
泡坂妻夫引退公演





「泡坂妻夫 マジックの世界」です!!
泡坂妻夫 マジックの世界



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『どこかでベートーヴェン 第三話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.8』掲載)

『どこかでベートーヴェン 第三話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.8』掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

『このミステリーがすごい!』大賞受賞作家たちの書き下ろしミステリー・ブックです。海堂尊の人気ミステリーの続編ついに登場!「加納&玉村」シリーズ「発心のアリバイ」、『さよならドビュッシー』の中山七里が描く大人気・音楽シリーズ「どこかでベートーヴェン」第3話、絶好調「死亡フラグ」シリーズの七尾与史によるジェットコースター・ミステリーがついに完結!「僕はもう憑かれたよ 最終話」、上甲宣之「JC科学捜査官」シリーズ・最新短編「雛菊こまりと“メリーさんの電話”殺人事件」、スマッシュ・ヒットの佐藤青南「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズ「ペテン師のポリフォニー」、千里眼をもった金平糖屋のひとり娘が事件解決に挑む伽古屋圭市「なないろ金平糖」第2話など、話題作家競演の一冊。
(宝島社公式HPより)


<感想>

中山七里先生「岬洋介シリーズ」の最新作『どこかでベートーヴェン』の第3話が発表されました。
長編第3作である『いつまでもショパン』と同様に『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK』に掲載されています。
これにより、何時か来るシリーズ第4作『どこかでベートーヴェン』の発売が明らかに。

そんな「岬洋介シリーズ」は「難聴を抱える天才ピアニスト岬洋介が関わった事件を描く」シリーズ作品。
あくまで関わった事件なので、中心視点人物は各作品ごとに別の人物となっており、岬は事態解決やアドバイスなどを行う探偵役の立場となっています。
いつか岬自身が視点人物となる日がやって来るのでしょうか。

なお、今回の『どこかでベートーヴェン』は『いつまでもショパン』の後から始まる物語。
ただし、ある事柄により一躍有名になった岬を見かけた高校時代の同級生が当時の事件について振り返るとの内容になっています。
この為、実際は回想が主になりそうかな。

そして、3話も岬を取り巻く不穏な空気を描きつつも事件は未だ発生せず。
これ自体が何かの伏線なのか!?
あるいは岬の青春が主眼となるのか……目が離せません。
さらに本作はタイトルが『どこかでベートーヴェン』とされている通り、岬の難聴も大きく絡んで来るのかもしれません。

ちなみに、「岬洋介シリーズ」には長編が『さよならドビュッシー』、『おやすみラフマニノフ』、『いつまでもショパン』の3作(刊行順、作中時系列順)と短編が短編集『さよならドビュッシー前奏曲(文庫化に際し『要介護探偵の事件簿』を改題)』(『さよならドビュッシー』の前日譚を描いたスピンオフ)、『間奏曲(インテルメッツォ)』(『いつまでもショパン』とう同時期に起こっていた事件を描くスピンオフ)の2作が存在しています。
記念すべきシリーズ第1作『さよならドビュッシー』は映画化もされています。
書籍版については、すべてネタバレ書評(レビュー)していますね。
興味のある方はネタバレあらすじ後の関連過去記事へどうぞ!!

ネタバレあらすじについては、管理人によりかなり改変されています。
本作を楽しんで頂くには直接お読み頂くことをオススメします!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
岬洋介:シリーズ主人公、今回は高校時代が描かれる。
鷹村亮:『どこかでベートーヴェン』の視点人物。音楽科の学生。
岩倉:音楽科の学生の1人。
板台:音楽科の学生の1人、バンドを組んでいる。
春菜:鷹村が憧れる同級生。
棚橋:音楽教師。
佐久間:数学教師。

・2話はこちら。
『どこかでベートーヴェン 第二話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.7』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

岬による「月光」の演奏から鷹村のクラスは変わった。
それまで、クラスではあくまで厭世観から来るモラトリアムが蔓延していた。
そんな気分が岬の演奏で吹っ飛んだのだ。
何しろ、「自分だけは特別だ」と信じる面々が「本物の特別」を目にしてしまったのである。
まさに青天の霹靂とでも言うべき出来事であった。

その反応は様々な形で出た。

鷹村は岬を「破壊神」だと考えた。
それは本人の意志に関わらず、周囲の者を振り回す。

春菜は岬に憧れ、彼に近付く方法を得ようと動き出した。
今では鷹村から岬の情報を引き出そうと必死だ。

岩倉は常にクールを気取っていた彼の仮面をかなぐり捨てて、岬排除に躍起である。
岬に悪意が無いことを知る鷹村は岩倉を押し留めようとするが効果のほどは分からなかった。

そして、教諭の棚橋もまた変化の兆しを見せていた。
何よりも「努力」を是としていた彼が「才能」についても目を向け始めたのだ。
いや、むしろこれが棚橋の本音だったのだろう。
岬という宝石を目にし、それが表に出始めたと言うべきだ。

岬の存在は本人の意志に関わらず、かくも影響を与え始めたのだ。

そんなある日、鷹村はある現場を目撃する。
岩倉が岬に暴力を奮っていたのだ。
我関せずを貫くべきか悩む鷹村だが、岬を放置出来ず助けに飛び込む。
こうして、岩倉と決裂することに。
だが、鷹村にとってはそれでさえも何故か清々しい気持ちになるのであった。

しかし、此の状態を放置することが岬の為にもならないと考えた鷹村は彼が周囲に与えている影響について少しは配慮すべきだと苦言を述べる。
これに当初は不思議な表情を浮かべる岬。
だが、やがて鷹村の言葉を理解し多少なりとも考えてみると応じるのであった。
そんな岬の柔軟な態度に、鷹村は余計に好意を抱く。

怪我をした岬を治療すべく自宅に連れて行った鷹村。
其処に鷹村の母が現れる。
岬の力量を知らない鷹村の母は息子が赤面しているにも関わらず、ピアノを教えてあげると申し出た。
これを必死に止める鷹村。
どう考えても岬の技量が抜きん出ていたからであった。

そんな鷹村母子の騒動を目の前にした岬は少し寂しそうにその日は帰ってしまうのであった―――『どこかでベートーヴェン』4話(あるいは本編)に続く。

◆「中山七里先生」関連過去記事
【岬洋介シリーズ】
『さよならドビュッシー』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『おやすみラフマニノフ』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『いつまでもショパン』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『いつまでもショパン』第1回(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK』連載)ネタバレ書評(レビュー)

『どこかでベートーヴェン 第一話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.6』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

『どこかでベートーヴェン 第二話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.7』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

『間奏曲(インテルメッツォ)』(中山七里著、宝島社刊『このミステリーがすごい!2013年版』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『要介護探偵の事件簿』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)

【その他】
『連続殺人鬼カエル男』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『静おばあちゃんにおまかせ』(中山七里著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『残されたセンリツ』(中山七里著、宝島社刊『このミステリーがすごい! 四つの謎』収録)ネタバレ書評(レビュー)

「どこかでベートーヴェン 第三話」が掲載された「『このミステリーがすごい!』大賞作家 書き下ろしBOOK vol.8」です!!
『このミステリーがすごい!』大賞作家 書き下ろしBOOK vol.8





「どこかでベートーヴェン 第二話」が掲載された「『このミステリーがすごい!』大賞作家 書き下ろしBOOK vol.7」です!!
『このミステリーがすごい!』大賞作家 書き下ろしBOOK vol.7





「どこかでベートーヴェン 第一話」が掲載された「『このミステリーがすごい!』大賞作家 書き下ろしBOOK vol.6」です!!
『このミステリーがすごい!』大賞作家 書き下ろしBOOK vol.6





「いつまでもショパン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)」です!!
いつまでもショパン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)





『いつまでもショパン』第1回が掲載された『『このミステリーがすごい!』大賞作家書き下ろしBOOK』です!!
『このミステリーがすごい!』大賞作家書き下ろしBOOK





「さよならドビュッシー (宝島社文庫)」です!!
さよならドビュッシー (宝島社文庫)





「おやすみラフマニノフ (宝島社文庫)」です!!
おやすみラフマニノフ (宝島社文庫)





「さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード)~要介護探偵の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)」です!!
さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード)~要介護探偵の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)





『間奏曲(インテルメッツォ)』が収録された「このミステリーがすごい! 2013年版」です!!
このミステリーがすごい! 2013年版



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