2015年04月30日

「三億円事件奇譚 モンタージュ」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ

「三億円事件奇譚 モンタージュ」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめです!!

登場人物一覧は本記事下部に移動しました。

<第1話から第193話(最終話)まであらすじ>

三億円事件に関連した身に覚えのない殺人の罪で悪徳警官・関口の罠に嵌められ追われる身となった大和と未来。
二人は未来の父・小田切武雄の後輩である鈴木泰成の協力を得て逃亡。
その最中、夏美や水原など多くの人と出会い助けられることに。

一方、政界では沢田幹事長が動き出していた。
そんな沢田の傍にはある男の影があった。

物語はここで全ての発端である過去へと遡る―――。

川崎雄大、望月竜、響子、沢田など多くの人物が登場する中で、雄大は和子と愛し合いひとりの子供をもうける。
だが、当の和子は事故により死亡。
雄大は精神的に追い詰められ、あることを決意する。

舞台は再び現在へ。

厳島にて、関口の罠に捕らえられた未来だったが、謎の人物の狙撃により助けられる。
関口は重傷を負い泰成に捕らえられた。
ところが、ここで泰成が本性を露わす。
関口を解放し、大和の隠し持っていた血染めの旧紙幣を奪うと姿をくらましたのだ。

裏切られ意気消沈する大和たちだったが、関口を追っていた水原の手を借り再起。
水原と共に事件の黒幕へと辿り着くべく東京へ向かう。
こうして、舞台は東京へ。

東京で三億円事件を調べていた刑事・東海林の足跡を辿る大和たち。
そこへ、年齢を重ねた雄大が現れる。
雄大は何かを狙っている様子だが……。

同時に謎の殺し屋・朝霧も登場。
大和たちと対立することに。

調査を続ける大和たちは土門の孫娘・あきらと出会い、東海林の遺品を発見。
そこに「軍艦島」の本を見つける。

大和、雄大、関口、朝霧―――それぞれの思惑が入り乱れる中、あきらが東海林の遺品の中からあるフロッピーを捜し出してしまう……。

東海林のフロッピーディスクに遺されていたのは「ローラー作戦について」だった。
ディスクから沢田の関与に気付いた大和と水原たちだが、そこへ朝霧が迫る。
未来たちと別行動をとった大和と水原は急襲され、捕まってしまう。
朝霧の次の狙いは未来たちである!!

未来が危ないと気付いた大和は機転を利かせ監禁先から脱出し、通りがかった翔太に助けられる。
朝霧との戦闘で負傷した水原を残し未来のもとへ駆けつけるも、未来は既に連れ去られた後だった。

朝霧はといえば、大和に続き未来を捕え目的を達成したと喜ぶが、戻ってみればもぬけのカラ。
愕然としているところに瀕死の水原の反撃を受ける。
騒ぎを聞きつけた警察も介入。
結局、朝霧はその場からの逃走を余儀なくされるが、関口に処刑されることに。

水原は警察に保護、未来は大和と合流し翔太宅に匿われる。
しかし、そこへも関口が襲来。
危機一髪となるが、突如現れた雄大が関口を道連れによもやの自爆。
雄大は安否不明、生き残った関口も右腕を失う。

翔太の恋人・茜を頼った大和たちは一時の休息の後、雄大たちと関わりのあるバー「ハービー」を訪れる。
そこで、大和たちは3億円事件の犯人とみられる雄大、竜、保、響子のうち響子の消息を突き止めるのだった。

「ハービー」のマスターから、響子のいる沖縄行きのフェリーチケットを受け取った大和たち。
それは泰成の置き土産だと云う。

罠を疑いつつも、それに乗ることにした大和たちは、あきらや翔太たちと別れを交わし、一路フェリーで沖縄へ。
ところが、その途上、旧紙幣を何者かに盗まれてしまう。
怪しげな容疑者たちが登場する中、窃盗犯を突き止めた大和は紙幣を奪還。
遂に沖縄への上陸を成功させるのだった。

一方、フェリーには泰成の養父・鈴木も乗船していた。
彼もまた何か企んでいるようだが……。

上陸した大和たちだが、早々にトラブルに巻き込まれてしまう。
車上荒らしを働いた中学生たちがリンチを受ける現場を目撃したのだ。
見捨ててはおけない―――未来の正義感が爆発し、自ら事件に関わることに。
そこへ現れたのは尋ね人の響子だった。

こうして、響子と出会うことが出来た大和たち。
響子から沢田と雄大の意外な関わりを突き止める中、鈴本を名乗り鈴木の養父が接近。
それを知らぬ大和たちに危機が迫る。

一方、右腕を失った関口のもとを眼鏡男が訪ねていた。
彼の容貌は関口そっくり。
それもその筈、彼こそは関口二郎の兄・欽一だったのである。
彼らは互いに過去に思いを馳せる……。

関口兄弟はコインロッカーに捨てられた双子だった。
偶然、通りがかった真理に拾われた2人は、真理とその恋人・健に育てられる。

だが、健は兄弟を虐待。
真理もそれを黙認し続けることに。
追い詰められた兄弟は遂に健と真理の殺害を思い立ち実行に移す。
この事件を担当した沢田が関口兄弟を引き取るのであった。

沖縄では鈴本が暗躍、泰成すらも出し抜き暴走―――大和の持つ3億円を奪おうとする。
これに刑事の真玉橋も介入し、大和たちは響子の友人であるハリーに救われ脱出。
鈴本も目的を達することなくその場を去るが、真の狙いを明らかにした泰成と対峙し無念の死を遂げる。

泰成こそは雄大たちの仲間であった横溝の息子だったのだ。
彼の狙いは不審な死を遂げた横溝の復讐であった。

ハリーに保護された大和たち。
ハリーは響子との古い因縁、そして自身もまた3億円事件に関与していたことを打ち明ける。
沢田、そして須黒の関与を知る大和たち。

一方、響子は隠された3億円を回収すべくハリーと共に地蔵のもとへ。
そして、地蔵の下から恋人である竜の遺骨を発見する。
竜は既に死亡していたのだ。
どうやら、須黒や沢田らと雄大、竜の間で暗闘が行われたらしい。
結果、竜は須黒を道連れに死亡していた。

竜の死に涙する響子。
其処へ真玉橋が登場。
罪の清算を望む響子はこれに逮捕される。

同じ頃、横溝の墓の前に雄大の姿があった。
雄大は生きていたのだ。

一方、大和と未来はハリーの協力を得て北海道へ向かう。
沢田と戦う為の武器を求めて。

その頃、関口欽一、二郎兄弟は水原殺害計画を実行に移す。
水原は夏美に呼び出され意気揚々と江の島へ。
其処で夏美に刺されてしまう。
これこそが二郎の水原殺害計画であったのだ。
水原は江の島の海に消えて行く。

そうとは知らない大和たちは北海道でハリーと別れ、沢田の別荘へ。
そして、遂に消えた小田切夫妻の足跡を発見する。
どうやら、別荘に監禁されているらしい。
大和は救出作戦を開始。

一方、欽一、雄大、泰成の3者が遂に激突。
雄大有利で事が進む中、反撃を試みる欽一は泰成に手を組むよう提案。
泰成もこれに応じる素振りを見せる。
追い詰められたかに見えた雄大だが、格の違いを見せつけ圧勝する。

同じ頃、北海道では救出作戦に失敗した大和と未来が囚われることに。
だが、これにより2人は小田切夫妻と再会。
同時に、未来の母・葉子が沢田の娘であることを知る。
さらに、大和は父・鉄也こそが整形した雄大であると考え始める。

其処へ夏美を連れた二郎が乱入。
しかし、大和は武雄を囮に二郎を倒す。
二郎は夏美と共に逃走。
未来は大和の行為に激怒し、2人は決別することに。

数日後、大和は欽一、泰成と共に居た。
沢田と対決する為である。
大和は雄大の居所を知る為、泰成は沢田に復讐する為、欽一はあわよくば2人を利用し沢田を追い落とすつもりであった。
だが、軽く一蹴されてしまう。

傷心の泰成はいずこかへと姿を消す。
一方、沢田の権力を諦めきれない欽一は葉子を利用しようと目論む。
大和はと言えば、そんな欽一の行動を知り、未来たちを守るべく邪魔者全員を排除しようと決意する。

そんな中、未来は水原の死を知り東京へ。
真玉橋もまた真実を追うべく東京へ。

大和は標的を関口兄弟に絞り込む。
二郎の声を収録した音声ファイルを編集し、これを利用し欽一を呼び出す。
他方で、二郎にも決戦を持ちかける。

その頃、未来は水原祖母と再会。
水原の遺した雄大のペンダントを入手し、其処に記されたある事実に驚く。
これ以上、被害者を出すことを怖れた未来はテレビ局にて全てを明らかにしようとするが。

同じ頃、雄大と沢田が密会を行う。
此処で雄大が鉄也から雄大に戻った日のことが明かされる。
さらに、雄大は沢田に過去に行った罪の清算を求めてこれを刺す。
しかし、沢田は死に至らず入院することに。

未来がテレビ番組にて「3億円事件の犯人は沢田だ」と発言。
しかし、これは途中で妨害されてしまう。
結果、これを目にしていた真玉橋が未来と合流を果たす。

その数時間後、大和VS関口兄弟の火蓋が斬って落とされた。
欽一相手に地の利を活かした罠で圧勝する大和。
しかし、想定外の形で二郎が乱入し、これに敗北を喫する。

万事休すかと思われた大和。
だが、欽一が錯乱し夏美を人質に二郎と対決。
結果、関口兄弟は相討ちになってしまう。

この惨状に、駆け付けた沢田はがっくりと膝を着く。
沢田に保護された大和と夏美は長崎へ帰還することとなった。

一方、関口兄弟を失ったことで贖罪の念を抱いた沢田は記者会見を開き「三億円事件の犯人」を明かす。
しかし、直後に警備員として潜んでいた泰成に射殺されてしまう。

当の泰成も逮捕され、真相解明は大和と未来に託された。
だが、その前に2人には大きな壁が待ち構えていた。

孤独に決着を求める大和と合流した未来は驚愕の事実を告げる。
未来の父・武雄もまた雄大の息子だったのだ。
つまり、大和と未来は叔父と姪の関係に当たるのだ。
恋心を抱き合う2人は近親者であるとの事実を知って尚、互いに求め合う。

その翌朝、大和は父・雄大が待つ軍艦島へ。
其処で雄大から彼の過去を聞かされる。

和子は暴徒鎮圧の騒動に巻き込まれ死亡していた。
さらに、雄大は武雄とも引き離され絶望してしまう。

和子の復讐を思い至った雄大だが、直接的に命を奪った暴徒を特定することは難しい。
其処で暴徒全員に復讐する方法として三億円事件によりローラー作戦を起こさせることを思い立つ。
これに手柄を求めていた須黒と沢田が乗った。

雄大は竜と共に史上有名なあの強奪を決行する。
ところが、此処で須黒が裏切った。
これにより、竜が重傷を負い須黒を道連れに死亡することに。

責任を感じた雄大は関係者を陰ながら見守るべく整形し鉄也となった。
響子を暫く見守った後、武雄と葉子の隣人としてこれに近付くことに。
その最中、武雄を介して恵里と知り合い、2人の間に大和が生まれたのだ。

恵里は大和を生むと死亡。
だが、雄大にとっては忘れ形見の大和が居た。

しかし、横溝が雄大に三億円の分け前を求めたことから事態が急変する。
誤って横溝が事故死してしまったのだ。
この死を契機に東海林が捜査を開始。

並行して関口兄弟が雄大を危険視し口封じを目論む。
結果、雄大は死を偽装し姿を消すことになったのである。

ところが、事態はこれで終わらなかった。
雄大の死に疑惑を抱く二郎は武雄と大和を監視。
彼らに辿り着いた東海林を殺害する。
そして、此処から1話の展開に繋がるのだ。

全てを知った大和は罪深き血を断つべく、雄大の前で自殺を図る。
一方、雄大自身も病魔に蝕まれており、その場で絶命する。

事態を察した真玉橋と未来により大和は一命を取り留めた。
しかし、未来たちの前から姿を消してしまう。
そして、物語は1年後の最終話へ続くのである。

「三億円事件奇譚 モンタージュ」最終話(第193話)「命脈」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

果たして大和たちの未来は―――「三億円事件奇譚 モンタージュ」完。

<感想>

本作「三億円事件奇譚 モンタージュ」は全193話、2010年6月から連載開始され2015年2月まで……すなわち4年8ヶ月に及ぶ連載作品です。
当ブログもその第1話から注目し追い続けて来ており、すなわち同じ年月を過ごして来たことに。
それだけに、とても感慨深い作品となっています。
この間、毎週毎週が本当に楽しみでした。

そして、本作の作者・渡辺潤先生の次作品も初夏から連載予定とのこと。
こちらにも期待したく思います。

さて、此処からは「各種情報」と「本作をさらに楽しむ為のまとめ」を。
まずは各種情報。

もちろん、以前から予告されていたドラマ版「三億円事件奇譚モンタージュ」も注目です。
こちらはフジテレビ系にてドラマ化予定だとか。

【朗報】渡辺潤先生「三億円事件奇譚 モンタージュ」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)遂に映像化!!

ちなみに「三億円事件奇譚 モンタージュ」最終19巻は2015年5月発売予定とのこと!!

此処からは本作をさらに楽しむべくまとめを。
まず、本作に纏わる謎が明かされた各回のメモ。

176話:横溝の死の謎が判明。
179話:武雄出生の秘密が判明。
184話:雄大が三億円事件を起こした動機が判明。
189話:鳴海鉄也誕生の経緯が判明。
190話:大和の母判明。

続いて登場人物たちの結末をまとめておきましょう。

沢田:雄大との間は決着。三億円事件について記者会見を行うも泰成に射殺される。
雄大:沢田、大和との間は決着。軍艦島で病没。
大和:長崎へ帰還。雄大と対決後に自決を図るも一命を取り留め姿を消す。ラストは長崎に帰還。
欽一:大和と対決するも完敗。錯乱し夏美を盾にするも二郎により死す。
二郎:大和を追い込むも夏美を人質に取られ欽一と対峙。欽一から夏美を守り死亡。
夏美:欽一に人質に取られる。関口兄弟の終焉を看取る。後に水原夏美を名乗り女優に。
未来:沢田の最期を見届け長崎へ。大和の真意を悟り軍艦島へ。日常に戻り、短大の幼児教育学科へ進学。
真玉橋:未来と共に沢田の最期を見届け長崎へ。軍艦島へ。日常へ戻る。
武雄&葉子:島袋に保護され、長崎へ。日常へ戻る。
泰成:復讐が無為だったと諭され傷心するも、記者会見場の衆人環視の中で沢田を射殺し逮捕される。

小柳翔太&茜:結婚し一子・翼をもうける。
土門あきら:大学進学を控え、未来の後を追う?
響子&ハリー:店を再建後、いつもの通りに過ごす。
ケニー&キャサリン:帰国後、結婚予定。

でもって、過去の雄大周辺の流れはこんな感じ。

<<過去編の出来事まとめ>>

1960年、雄大と沢田は軍艦島に生活。
ところが美佐子が正当防衛の殺人を犯す。
これにより、沢田は世の中に秩序が必要と考える。
沢田、上京し刑事の道を志す。

数年後、雄大が長崎から上京し竜と出会う。
同じ頃、沢田とも再会。

雄大、和子と出会う。
和子が妊娠するが事故死(暴徒鎮圧に巻き込まれる)。
子供(武雄)は無事出産するが親権は得られず武雄は施設へ。
雄大、自暴自棄になる。

そんな雄大の様子を見かねた沢田。
雄大の発案により過激派の一掃を画策、須黒に承認を得る。

雄大、沢田に協力し竜、響子、横溝と共に3億円事件を起こす。
沢田の目的はこの捜査を口実にローラー作戦を行う為。
雄大の目的は和子殺害に関わった暴徒に復讐すること。

ところが、須黒が雄大と竜の口封じを図る。
沢田は雄大たちを庇おうとするも、竜が瀕死の重傷に。
死を覚悟した竜が須黒を道連れに死亡。

雄大は竜を巻き込んだことを後悔、関係者を陰ながら守るべく整形し鳴海鉄也となる。
雄大、沖縄で鉄也として響子を見守る。

関口弘美が出産した沢田の娘・葉子が施設へ。
数年後、沢田が関口兄弟と出会いこれを引き取る。

十数年後、葉子が武雄の存在を知り接近するも、これと本気の恋に落ちる。
武雄と葉子、結婚。
未来生まれる。

同じ頃、雄大が鉄也として長崎へ移住し武雄たちに接近。
武雄を介して恵里と知り合い、これに惹かれて結婚する。

2年後、大和生まれる。

十数年後、横溝が鈴木により資金難に陥る。
雄大に分け前を要求するも断られ事故死。
この死が発端となり、東海林が再捜査を開始。

並行して関口兄弟が雄大を危険視し排除に動く。
沢田と雄大密会するも、雄大偽装死。
同時に鉄也から雄大に戻る。

一方、東海林は真相に迫り二郎に口封じされる(1話での出来事)。

<<終わり>>

◆関連過去記事
「ヤングマガジン27号」(講談社刊)より「三億円事件奇譚 モンタージュ」連載開始!!

「三億円事件奇譚 モンタージュ」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)第1話から第180話までネタバレ批評(レビュー)まとめ

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第181話「横溢」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第182話「再燃」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第183話「禍福」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第184話「常闇」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第185話「暗涙」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第186話「一葉」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第187話「決行」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第188話「咆哮」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第189話「生存」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第190話「母親」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第191話「思慕」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第192話「終熄」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「三億円事件奇譚 モンタージュ」最終話(第193話)「命脈」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

◆登場人物一覧

【現代】

鳴海大和:主人公、三億円事件の犯人の息子と呼ばれるが……
小田切未来:大和の幼馴染み、両親の行方不明後は大和と共に逃亡中

鳴海鉄也:大和の父、五つの首(首、手首、足首)を失くした遺体で発見されるが……
小田切武雄:未来の父、突然姿を消した。関口が行方を知っているらしい……。
小田切葉子:未来の母、突然姿を消した。関口が行方を知っているらしい……。
伊藤恵里:大和の母で故人。190話の回想にて登場。

鈴木泰成:未来の両親の後輩、要所要所にて不穏な動きを見せていたが……。104話にて横溝保の息子と判明。
水原:福岡県警所属の巡査。上司曰く「検挙率100%男」。15話より登場。146話にて死亡が確認される。
夏美:泰成の塾の教え子。大和に一目ぼれする。14話より登場。

土門:過去編の土門その人。足を洗い東海林とは友情を築いていた。47話時点では既に死亡している、病死らしい。享年70歳。
土門あきら:46話で登場した土門の孫娘。未来より1つ年下の17歳。

響子:現代編の響子。沖縄にてバーを経営していた。80話より登場。
キャサリン:響子が経営するバーの女給。81話より登場。

ハリー・スタンレー:元海兵の幹部。現在ではヘリコプター会社を営む。95話より登場。
ケニー:現役の海兵。キャサリンに想いを寄せる。

関口二郎:元祖悪徳警官、眼鏡の男の命令に従い大和と未来を追う。172話で壮絶な死を遂げる。
眼鏡男:関口に指示を与えている男、どうも謎の男と同一人物らしい(42話)。88話にて関口の双子の兄・欽一と判明。172話で落命。

沢田幹事長:19話で登場、謎の男を従えているが……。176話で泰成により命を落とす。
謎の男:シルエットのみ登場した沢田の腹心。関口に指示を与える人物と同一人物らしい(42話)。88話にて関口の双子の兄・欽一と判明。172話で落命。
桜井:沢田の部下で黒子の多さが特徴的な男。167話より登場するも171話で命を落とす。
美佐子:沢田の初恋の人で「四季荘」の女将。

松葉杖の男:30話で登場、小田切家を訪ねたシルエットの人物。48話で川崎雄大と判明。

朝霧:46話で登場、沢田の部下らしい。45話で石川を殺害したのは彼。64話で関口に殺害される。

小柳翔太:61話で登場、負傷した大和と水原を助けた。以後、大和と行動を共にする。
茜:61話で名前のみ登場、翔太の彼女で社会人らしい。69話で大和たちを匿う。
翼:193話に登場、翔太と茜の子供。

真玉橋:ホスト風の男性だが実は警部だった。フェリーにて大和たちと乗り合わせる。
鈴木:泰成の義父。どうにも行動が腹黒い男。105話で死亡する。
関口弘美:沢田と親しいらしい関口兄弟の養母。過去編で沢田が出入りしていた風俗店の店員か?
島袋:沖縄編で登場した刑事。真玉橋の部下。
亀井:県警本部長、それと知らず沢田に情報を提供した。149話に登場。

森田:1話にて関口と共に現われた捜査員。以降、本編に出番なし。
血塗れの男性:元刑事、1話にて殺害される。これは関口の犯行だった。実は過去篇の東海林。
ボート小屋のオヤジ:軍艦島付近でボート小屋を営んでいた。6話で関口に殺害され、この殺人容疑が大和と未来にかかっている。
土居:18話に登場。ミステリ作家兼コメンテーター。三億円を信じていなかった。
島田:5話より登場。関口の部下だったが、19話で失態を犯し関口に処刑された。
夏美の母:関口と男女の関係にある。
水原の祖母:44話より登場。その自宅は東京での大和たちの活動拠点となっている。
石川:東海林の同僚、45話にて登場。同話にて朝霧に口封じされてしまう。
東海林の息子:45話にて登場。東海林の一人息子だが東海林とは折り合いが悪かったらしい。
高野:65話で登場。関口に協力し証拠を隠滅した。69話で関口に殺害される。
高田:128話で登場。北海道の沢田の別荘に居た3人組のリーダー格。
シゲキ:129話で登場。北海道の沢田の別荘に居た3人組の1人。ロンゲ。
トシオ:129話で登場。北海道の沢田の別荘に居た3人組の1人。メカ担当。
石井:162話で登場。テレビ局のプロデューサー。

【三億円事件当時】

川崎雄大:22話より登場。三億円事件では白バイ警官役を演じたらしい。和子との間に一子をもうける。
望月竜:23話(22話は名前のみ)より登場。雄大と共に三億円事件を実行した。
響子ギブソン:竜の恋人。竜と共に土門への対策を練っていた。
土門:地元の顔役(地廻り)。竜と対立するが……
東海林:25話にて登場。土門を追う刑事。雄大の機智に興味を持っていた。後に1話で殺害された老刑事が彼と判明(37話)。
沢田慎之介:26話より登場。竜の顔馴染み&雄大の友人、日本の行く末を憂慮していた。28話にて後の幹事長と判明。
横溝:26話より登場。竜の後輩。
和子:27話より登場。雄大と交際中の女性。雄大との子供を妊娠するも事故死。
和子の子供:28話に登場。雄大と和子の子供。未熟児で生まれた。現代篇の誰になるのか?

健:真理のヒモ、関口兄弟を虐待する。後に関口兄弟に殺害される。89話より登場。
真理:関口兄弟を拾った人物、健の恋人。健同様、関口兄弟に殺害される。89話より登場。

須黒:当時の公安課刑事。強引ながらもかなりのやり手。108話より登場。

ジョージ・スタンレー:ハリーの父。裏社会と繋がり暗躍していたらしい。107話より登場。
ハリー・スタンレー:若かりし日のハリー。当時から響子を知っていた。

キンドル版「[まとめ買い] モンタージュ(渡辺潤)」です!!
[まとめ買い] モンタージュ(渡辺潤)





「モンタージュ コミック 1-19巻セット (ヤンマガKCスペシャル)」です!!
モンタージュ コミック 1-19巻セット (ヤンマガKCスペシャル)





最終巻「モンタージュ(19) (ヤンマガKCSP)」です!!
モンタージュ(19) (ヤンマガKCSP)





本作の作者である渡辺潤先生が描き伝説のラスト(○○○落ち)を迎えた「代紋TAKE2(62)<完> (ヤングマガジンコミックス)」です!!
代紋TAKE2(62)<完> (ヤングマガジンコミックス)





全巻セットはこちら。
「代紋TAKE2 全62巻完結(ヤングマガジンコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]」です!!
代紋TAKE2 全62巻完結(ヤングマガジンコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]





キンドル版「[まとめ買い] 代紋<エンブレム>TAKE2 (1-25)」です!!
[まとめ買い] 代紋<エンブレム>TAKE2 (1-25)





キンドル版「[まとめ買い] 代紋<エンブレム>TAKE2 (26-50)」です!!
[まとめ買い] 代紋<エンブレム>TAKE2 (26-50)





キンドル版「[まとめ買い] 代紋<エンブレム>TAKE2 (51-62)」です!!
[まとめ買い] 代紋<エンブレム>TAKE2 (51-62)





「RRR(10) <完> (ヤングマガジンコミックス)」です!!
RRR(10) <完> (ヤングマガジンコミックス)





◆渡辺潤先生の作品はこちら。
posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

特集ドラマ「紅雲町珈琲屋こよみ ヒロインは76歳!優しく、甘く、ほろ苦く〜人生はコーヒーのように」(4月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)

特集ドラマ「紅雲町珈琲屋こよみ ヒロインは76歳!優しく、甘く、ほろ苦く〜人生はコーヒーのように」(4月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

北関東の町・紅雲町(こううんちょう)で、和食器と珈琲豆の販売を営む小蔵屋(こくらや)。店はその品揃えと、店主である杉浦 草(そう)、通称「お草さん」を慕う客で、今日も賑わっている。ある時、店の周りで待ち伏せしていた怪しい男が常連の寺田に近づいてくるが、それは15年前に周囲から大金を借りて姿をくらませた同級生・大竹だった。はじめは仲間を裏切った大竹を拒否する寺田だが、お草さんによって、その裏側にやむにやまれぬ思いがあったことに気づかされて行く。さらに別の謎に、店に居座る謎の客・松井も絡んで――。
(公式HPより)


では、続きから……(一部、重複アリ)。

北関東にある紅雲町には和食器と珈琲豆の販売を営む瀟洒なお店・小蔵屋がある。
その店主は杉浦草、76歳。
常連客から通称・お草さんとして慕われる看板店主だ。

また、草はその経験を活かし様々な相談事に応じている。
結婚式の引き出物に困るお客が居れば、在庫商品同士を組み合わせた咄嗟の創意工夫でこれを助けるなどと言った具合だ。

そんなある日、草は常連客から近所のマンション「クオリティ・ライフ」についての噂を聞かされる。
何でも血塗れの幽霊が窓際に立っているのだそうだが……。
この噂を耳にした草の胸に奇妙な違和感が残った。

一方、草にとっては他にも気になることが幾つかあった。

まずは最近になって小蔵屋に出入りするようになった謎の客・松井。
他には小蔵屋の常連客の1人で運送屋の寺田と、彼の高校時代の野球部メンバーだったらしい大竹のこと。
さらに、紅雲町が生んだ著名ピアニスト・清瀬小枝子のこと。

そんな中、「クオリティ・ライフ」の住人・須賀の言葉が草の胸をざわつかせた。
須賀の下にある201号室から、何やら奇妙な音が聞こえて来るのだそうだ。
須賀によれば201号室の住人は最近になって祖母を引き取って暮らしているそうだが。

これを聞いた草は「老人虐待」との言葉を思い浮かべる。
例の幽霊も血塗れになった祖母のことだとしたら……。

居ても立っても居られなくなった草は「クオリティ・ライフ」の様子を窺うことに。
201号室の住人は小宮山というらしい。
それから草は連日の如く小宮山家を見守り始めた。

しかし、この行為が仇となり通報されてしまう。
これは瞬く間に街の噂になってしまった。

高齢の草だけに口さがない噂が飛び交う。
曰く、徘徊が始まったのではないか。
曰く、前々からその兆候はあった。
曰く、どうやら入院も近いようだ。
いや、既に入院してしまったらしい。

当然、小蔵屋の常連客もこれを耳にする。
草のもとには物見遊山と心配の客が足繁く通って来ることとなった。

とはいえ、根も葉もない噂に過ぎない。
誰しもが草の姿を確認するや、安堵の息か期待外れの溜息を吐くこととなった。

もちろん、寺田は前者である。
元気そうな草の姿にほっとした寺田はある悩みを持ち出す。
なんと、大竹が近隣で続く窃盗の容疑者として逮捕されたらしい。
だが、寺田にはどうにも信じられない。
しかも、寺田によれば大竹がある女性と密会する現場を目撃したのだそうだが……。

これを小蔵屋の隅で聞いていた松井。
「真犯人は別に居る!!」と叫ぶや店を飛び出して行ってしまう。

その翌日、大竹が小蔵屋にやって来た。
なんでも真犯人が逮捕された為に大竹は釈放されたらしい。
大竹は寺田を呼び出すと50万円を手渡す、過去に借りていた金の返済のつもりのようだ。
だが、寺田は金を受け取ろうとしない。
寺田は大竹が密会していた女性を脅迫し金を作ったと考えたのだ。
これに大竹は頭を下げると小蔵屋を後にする。
50万円入りの封筒がその場に残された。

この封筒を拾った草は小首を傾げる。
中には50万円の他に小枝子のコンサートチケットが入っていたのだ。
脅迫された人間がコンサートチケットを同封するだろうか。

ふと、大竹が岩崎楽器で働いていたことを思い出した寺田。
そう言えば、小枝子も岩崎楽器でバイトしていたと聞いたことがあった。
もしかして……と考えた草は寺田に小枝子の写真を確認させる。
すると、ドンピシャであった。

岩崎楽器に滞在中の小枝子を訪問した草と寺田。
岩崎楽器のオーナーによれば「確かに大竹も働いていたが、店の金に手を出した疑いがあり辞めて貰ったことがあった」そうだ。
どうやら、大竹はあちこちで疑われているようだ。

これを聞いた寺田は「あなたも大竹の被害者なんでしょ」と小枝子に迫る。
だが、小枝子は力強く首を横に振った。

小枝子の母は素行が悪く、小枝子は苦労して大きくなった。
そんな中、小枝子は岩崎楽器のピアノ教室の教師の計らいで海外留学が決定。
ところが、小枝子の母が岩崎楽器から売上を盗み出してしまった。
この容疑が小枝子に向かい、困った小枝子は大竹に相談。
大竹が小枝子を庇うと決意し、寺田たちから金を用意したのであった。

寺田が目撃した大竹と小枝子の密会風景は脅迫の現場ではなく、小枝子が当時を大竹に謝罪し金を返している現場だったのだ。

「無口で真面目な奴だったのに……」
真相を知り、今更ながら大竹の性格を思い出した寺田。
そう言えば、そういう奴だったのだ……大竹は。
にも拘らず大竹を疑ってしまった寺田は後悔する。
寺田は大竹を探し、彼との友情を復活させることに。

一方、謎の客・松井はそれからもたびたび小蔵屋を訪れていた。
ふと、草は自ら松井に声をかけた。
突然のことにも気さくに応じる松井。

話し込みつつ草は、店頭に並べていた「金継ぎのカップ」に松井が興味を抱いていることに気付いた。
どうやら、その「傷を持ちながらも生まれ変わった」との在り方に好感を抱いているようだ。
そんな松井の様子に何かを感じ取った草は「傷があるからこそ出来ることがある」と彼に語って聞かせる。

それから数日後、草はひょんなことから小宮山の妻・真知子と出会う。
真知子を小蔵屋に誘う草、何かに疲れた表情の真知子は縋るように付いて来た。
ところが、小蔵屋で小学生の男の子を見るなりそそくさと真知子は逃げ去ってしまう。

その男の子にそっと尋ねてみた草。
少年によれば真知子の息子と同級生なのだが、3週間も休んでいるそうだ。
連絡がつかないので心配しているらしい。

これを聞き何かを決意する草、そんな草に今度は松井が声をかける。
松井は彼が知るある女性について語り出す。

その女性は嫁ぎ先に子供を残し離婚した。
ところが、後にその子供は事故死してしまった。
これを知った女性は後悔の念に駆られながら今も生きているのだそうだ。

そう、この女性こそ草だった。
草は「やれば良かったではすまされない。今度こそ過ちは繰り返さない」と宣言する。
さらに「あなたを雇います!!」と松井に告げる草……その意味とは!?

その夜、松井を連れた草が小宮山家の前に立っていた。
草は松井に頼み込み小宮山家に忍び込んで貰うことに。

松井は慣れた様子でスルスルと小宮山家に侵入して行く。
そして、中へ消えた。

草にとって長い長い時間が過ぎた。
いや、実際はものの数分だったのだろうか。

やがて、何かを胸に抱えた松井が戻って来た。
よく見れば抱えられているのは衰弱し切った少年であった。
彼こそ、3週間も学校を休んでいる小宮山家の子供だ。
小宮山は息子に虐待を行っていたのである。

草と松井の配慮により、小宮山少年は無事に保護された。
小宮山の虐待行為は保護された小宮山少年と苦しんでいた真知子の告発により明らかとなった。
だが、この影に草と松井が居たことは誰も知らない。

松井に礼を述べ、報酬を渡そうとする草。
だが、松井はこれを固辞するや背中を向けて歩き去る。
「報酬は貰ったから」
そう、草に言い残して……。

後日、店頭でカップを確認していた草の顔が不意に綻ぶ。
あの「金継ぎのカップ」が消えて居たのだ。
なるほど、松井は確かに報酬を受け取っていたようだ―――エンド。

<感想>

文藝春秋社より刊行されている吉永南央先生「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズのドラマ化です。
シリーズには2015年4月現在時点で第1弾『萩を揺らす雨』、第2弾『その日まで』、第3弾『名もなき花の』、第4弾『糸切り』の4作が存在してます。

今回の原作は第1弾『萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ』と第2弾『その日まで』。
とはいえ、共に短編集なので実際はその中に収録された短編『紅雲町のお草』などが原作となっています。
ちなみに第1弾『萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ』はネタバレ書評(レビュー)ありますね。

『萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ』(吉永南央著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

さて、そのドラマ版。
当初こそ些か足早にエピソードを展開し過ぎたかとも思いましたが、後半で巻き返せていたかな。
特に『紅雲町のお草』を原作とする終盤の展開は良かった。

ちなみに小宮山家の虐待事件こそ、この『紅雲町のお草』で語られたエピソード。
とはいえ、『紅雲町のお草』では泥棒の名前は明かされず、報酬の点も異なっており、此の点はアレンジが加えられていました。
このアレンジがドラマ版で上手く活かされており、今回は奏功した印象です。

まず、お分かりの通り松井は泥棒でした。
原作だと盗みの最中に草と遭遇したことから現役のようですが、ドラマ版だと引退している感じですね。

そして、此処で「金継ぎ」のエピソードが絡む。
「傷があるからこそ出来ることがある」
劇中にて松井に草が語った台詞ですが、この傷とはもちろん松井が元泥棒であること。
また、草が息子・良一を引き取らなかった為に死なせてしまったことを指します。

2人にとって、この傷があるからこそ「2度と同じ間違いを犯さない」為に「小宮山少年を救う」との挙に出ることに。
此処での間違いとは「草が良一を救えなかったこと」であり「松井が盗みに手を染めていたこと」。
だから2人は、看過することが出来ず強引とも言える手法を用いたワケです。

そして、小宮山少年を救ったことで2人が共にこれからについて自信を抱くことが出来た。
それが「松井が金継ぎを報酬として盗み出した」ことに繋がる。
いや、「盗み出した」と言うと松井が罪を反省していないことになるので「持ち出した」と評すべきか。

また、これにより松井が「金継ぎ」を持ち出したことで「小蔵屋」を再訪するつもりがない(劇中にて草が小蔵屋に来さえすれば金継ぎでコーヒーが飲めると勧めている)ことも示しています。
きっと、松井はこの小宮山少年を救った想い出を胸に街を流れて行くことになるのでしょう。
それは松井の心を強く励まし温かくするものに違いありません。

そう、草は小宮山少年を救い、真知子の苦しみを取り除き、自身の後悔についても乗り越えた上で、松井の罪をも償わせたのです。

此の点が原作よりもドラマ版の方が奏功しているとした由縁。
詳しくは原作をご覧頂きドラマ版と比較して頂きたい。

ただ、前半の寺田たちのエピソードがこの後半部分に貢献していないことで完全に独立した話になっちゃってるのが些か不満かなぁ。
出来れば小宮山家のエピソード単独で、難しいならばかなりのアレンジとなりますが寺田たちも加えた上で小宮山家のエピソードを描いて欲しかった。
とはいえ、これはこれでかなり難しくなりそうだけど。

さて、総評。
全体的に原作もかなり尊重しつつ、このレベルにまとめ上げた手法は評価すべき。
『紅雲町のお草』既読者としては、ドラマ版はかなり完成度の高い作品だったと思います。
原作はかなりストックあるし、是非、連続ドラマ化して欲しい!!

◆関連過去記事
『萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ』(吉永南央著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

シリーズ第1弾「萩を揺らす雨―紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫)」です!!
萩を揺らす雨―紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫)





こちらはキンドル版「萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ」です!!
萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ





シリーズ第2弾「その日まで―紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫)」です!!
その日まで―紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫)





こちらはキンドル版「その日まで 紅雲町珈琲屋こよみ」です!!
その日まで 紅雲町珈琲屋こよみ





シリーズ第3弾「名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫)」です!!
名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫)





こちらはキンドル版「名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ」です!!
名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ





シリーズ第4弾「糸切り 紅雲町珈琲屋こよみ」です!!
糸切り 紅雲町珈琲屋こよみ





こちらはキンドル版「糸切り 紅雲町珈琲屋こよみ」です!!
糸切り 紅雲町珈琲屋こよみ



posted by 俺 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月29日

「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第10話「湖畔の殺人」(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第10話「湖畔の殺人」(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)です!!

登場人物一覧:
英玖保嘉門:往年の名探偵、引退を考えていたが……。ポアロポジション。
朝倉平助:英玖保の元助手、ブラジルから帰国した。ヘイスティングズポジション。
日之元警部:英玖保や朝倉と知己の警部。共に多くの事件を解決した英玖保を信頼している。

ABC:英玖保に挑戦状を送り付けた犯人。
阿部力:『歯車』に執着する男。

芦屋留三:安の別れた夫。
芦屋安:煙草屋を経営する老女、第一の被害者。
土浦まり子:安の姪。

坂東美代:弁天島のカフェに勤める女給。
鳴門降三:美代の婚約者。
灰川善太郎:静岡県警察部長。
片山清:浜松署署長。
黒武:浜松署の刑事。実は英玖保のファン。

<10話あらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

バーバラ・アレンの死の真相を暴いた名探偵・英玖保嘉門。
そんな英玖保に「ABC」を名乗る人物から挑戦状が届く!!

矢先、浅草の「芦屋煙草店」の店主・芦屋安が何者かに殺害されてしまう。

英玖保は芥川龍之介『歯車』の一節を口ずさむ男に注目。
一方、当のその男―――阿部力はある手紙をしたためていた。

そして、英玖保に宛てて「ABC」から第二の挑戦状が届く。
その場所は「B」で始まる「弁天島」であった。

・前回はこちら。
「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第9話「弁天島へ」(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ABC」の次なる犯行を阻止すべく弁天島を訪れた英玖保嘉門たち。
だが、機先を制され坂東美代が殺害されてしまった。

「弁天島」で「坂東」、すなわち「B」の犯行は達成されてしまったのだ。

これにショックを受ける英玖保だが「ABC」の手掛かりを求めて美代周辺を調査する。
すると、美代の評判が頗る良いことが分かった。

同僚も、父親も一様に褒めそやすのだ。
父親などは「婚約者の鳴門降三とも上手く行っていたのに……」と悔しそうだ。

そんな中、美代の姉の様子に疑念を抱いた英玖保は美代に裏の顔があったのではと考える。
この英玖保の指摘を受けて、美代の姉は美代の本性を語り出す―――11話に続く。

<感想>

エルキュール・ポワロが名探偵・英玖保嘉門として我々ファンの前に再臨しました!!
この英玖保嘉門、まさにポアロそのものの容姿です。

そして、その助手である朝倉もまた、まさに和製ヘイスティングズとの風貌。
これはかなり期待出来そうな作品ではないでしょうか。

その10話、サブタイは「湖畔の殺人」。
「ABC」による第二の犯行が完遂されてしまいました。
そして、原作通りならば大きなポイントとなるであろう第三の犯行が近付くことに。

と、その前に被害者となった坂東美代に秘密がある様子。
まずはこの謎がクローズアップされそうです。
次回に注目すべし!!

なお、3話までの原作『厩舎街の殺人』は早川書房『死人の鏡』収録作品なので興味のある方はチェックするべし!!

そうそう、ポアロと言えば2015年1月には三谷幸喜先生版「オリエント急行の殺人」が2夜に渡って放送されました。
こちらでのポアロポジションは「勝呂武尊」。

フジテレビ開局55周年特別企画「オリエント急行殺人事件 第1夜(前編) 原作アガサ・クリスティ 黒幕三谷幸喜 史上最も豪華な容疑者たち・世紀の話題作は今夜発進!」(1月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)

フジテレビ開局55周年特別企画「オリエント急行殺人事件 第2夜(後編) 原作アガサ・クリスティ 黒幕三谷幸喜 犯人側から事件を描く世界が初めて目にする復讐劇・今夜完結!」(1月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

過去には赤冨士鷹も居ましたし、今度は勝呂武尊に英玖保嘉門とポアロこそ、まさに八面六臂の活躍を示す怪人物となりつつあるようです。
同時にこれはシャーロック・ホームズに続くエルキュール・ポアロブーム到来の兆しか!?

それを証明するように「カフェ・ポアロ」も期間限定オープン。
こちらは2015年2月27日(金)まででした。

さらに幻のシリーズ続編『ポアロとグリーンショアの阿房宮』も2015年1月9日に発売!!

2015年はポアロがブームに!?先駆けとなる「カフェ・ポアロ」が期間限定でオープンとのこと!!

やっぱりポアロブーム!!幻のポアロシリーズ続編『ポアロとグリーンショアの阿房宮』が2015年1月9日発売!!

ポアロシリーズと言えば、公式に正統続編として認められた『モノグラム殺人事件』もあります。
ファンはチェックせよ!!

これまでの登場人物一覧:
英玖保嘉門:往年の名探偵、引退を考えていたが……。ポアロポジション。
朝倉平助:英玖保の元助手、ブラジルから帰国した。ヘイスティングズポジション。

・「厩舎街の殺人」編(1話から3話まで)
馬老大人:華僑の元締。英玖保の依頼人。
加藤警部:地元の警部。
バーバラ・アレン:被害者。
プレンダーリース:バーバラと同居していた女性。
西喜一郎:バーバラの婚約者。
ユースタス:バーバラの元夫。貿易商。

・「ABC殺人事件」編(4話以降)
日之元警部:英玖保や朝倉と知己の警部。共に多くの事件を解決した英玖保を信頼している。
ABC:英玖保に挑戦状を送り付けた犯人。
阿部力:『歯車』に執着する男。
芦屋留三:安の別れた夫。
芦屋安:煙草屋を経営する老女、第一の被害者。
土浦まり子:安の姪。
坂東美代:弁天島のカフェに勤める女給。
灰川善太郎:静岡県警察部長。
片山清:浜松署署長。
黒武:浜松署の刑事。実は英玖保のファン。

◆関連過去記事
「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第1話(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第2話「南京街の事件」(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第3話「死の真相」(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第4話「手紙」(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第5話「戒厳令下の殺人」(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第6話「英玖保の憂い」(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第7話「歯車の男」(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第8話「第二の手紙」(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第9話「弁天島へ」(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

◆関連過去記事
【書評(レビュー)】
・「ホロー荘の殺人」ネタバレ書評(レビュー)
「ホロー荘の殺人」(アガサ・クリスティー著、中村能三訳、早川書房刊)

『オリエント急行の殺人』(アガサ・クリスティー著・山本やよい訳 、早川書房刊)ネタバレ書評(レビュー)

・ポアロシリーズ最終作「カーテン」ネタバレ書評(レビュー)はこちらから。
「カーテン」(アガサ・クリスティー著・中村能三訳 、ハヤカワ書房刊)

「ねじれた家」(アガサ・クリスティ著、早川書房刊)ネタバレ書評(レビュー)

【映像化作品】
フジテレビ開局55周年特別企画「オリエント急行殺人事件 第1夜(前編) 原作アガサ・クリスティ 黒幕三谷幸喜 史上最も豪華な容疑者たち・世紀の話題作は今夜発進!」(1月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)

フジテレビ開局55周年特別企画「オリエント急行殺人事件 第2夜(後編) 原作アガサ・クリスティ 黒幕三谷幸喜 犯人側から事件を描く世界が初めて目にする復讐劇・今夜完結!」(1月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

【映画化関連情報】
【速報】ミス・マープルものがディズニーで映画化されるとのこと!!

アガサ・クリスティ原作「ねじれた家(Crooked House)」が映画化!!

アガサ・クリスティー原作映画「ねじれた家」キャスト発表!!

シュワちゃんがアガサ・クリスティ原作映画に出演!?「そして(敵が)誰もいなくなった」な映画のタイトルは「サボタージュ(原題)」!!

映画「オリエント急行殺人事件」がリメイクとのこと!!

【イベントその他】
アガサ・クリスティー生誕120年展覧会開催中!!

金沢にてアガサ・クリスティー原作「検察側の証人」舞台上演決定!!

舞台「検察側の証人」東京公演決定!!

「名探偵ポワロ」ニュー・シーズン DVD-BOX3は2010年12月3日発売開始!!

アガサ・クリスティ「ポアロにうんざり」発言にファン「え〜〜〜っ!!」と叫ぶ

「ザ・リッツ・カールトン大阪」にて「アガサ・クリスティー ナイト」開催!!

【注目】「アガサ・クリスティ大事典」が話題に

「名探偵ポワロ DVDコレクション」刊行中!!

アガサ・クリスティー『オリエント急行の殺人』が初の邦版翻案ドラマ化!!その名は「オリエント急行殺人事件」!!

2014年の今もポアロシリーズ続編が刊行されていた!?その名も『モノグラム殺人事件』(早川書房刊)に注目せよ!!

2015年はポアロがブームに!?先駆けとなる「カフェ・ポアロ」が期間限定でオープンとのこと!!

やっぱりポアロブーム!!幻のポアロシリーズ続編『ポアロとグリーンショアの阿房宮』が2015年1月9日発売!!

「ABC殺人事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)」です!!
ABC殺人事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)





『厩舎街の殺人』収録「死人の鏡 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)」です!!
死人の鏡 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)





「名探偵ポワロDVDコレクション 25号 (厩舎街の殺人) [分冊百科] (DVD付)」です!!
名探偵ポワロDVDコレクション 25号 (厩舎街の殺人) [分冊百科] (DVD付)





「モノグラム殺人事件 (〈名探偵ポアロ〉シリーズ)」です!!
モノグラム殺人事件 (〈名探偵ポアロ〉シリーズ)





これを読めばあなたもアガサ・クリスティー通!!
「アガサ・クリスティー完全攻略」です!!
アガサ・クリスティー完全攻略





こちらもアガサ通必読の書!!
「アガサ・クリスティ大事典」です!!
アガサ・クリスティ大事典





こちらは「名探偵ポワロ 全巻DVD-SET」です!!
名探偵ポワロ 全巻DVD-SET





アガサ・クリスティを語るには下記の3作は必須!!
是非、この機会に一読を!!

「そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)」です!!
そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)





「アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)」です!!
アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)





「オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)」です!!
オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)



posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする