ネタバレあります、注意!!
第21話登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
怪物:人中に居ようとも誰も興味を向けない怪物。
大人しい人間:怪物に付き添う不可思議な人影。
栗山将秋:怪物たちが暮らしている部屋の契約者。
これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。
<ネタバレあらすじ>
〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
高校生になった赤木蛍は行方不明となっていた兄・圭一と思わぬ形で再会を果たすことに。
なんと、圭一が幽霊として蛍のもとに戻って来たのだ。
しかも、圭一は悪意が関わる事件を察知し悪意を消滅させる能力を手に入れていた。
だが、圭一は現世に介入することが出来ない。
これでは折角の力も無意味である。
其処で圭一から協力を求められた蛍は、兄妹で力を合わせ1人でも多くの人を助けるべく動き出すことに。
そんな中、圭一が怪物と連れ添う人間らしき人影を目撃。
圭一によれば怪物が連続猟奇殺人を行っているらしい。
こうして蛍は怪物を調べることとなったのだが……。
相手に気付かれ襲撃を受けることに。
・前回までのあらすじはこちら。
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第20話「怪物のセオリー」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
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圭一から聞かされた怪物を調べていた蛍。
だが、相手に気付かれ背後から襲撃を受けてしまう。
怪物により首を絞められた蛍は振り解こうともがくのだが、相手は離そうとしない。
蛍の危機を見かねた圭一は思わず手にしている拳銃を撃つ。
すると、狙い違わず弾丸は怪物の手を射抜いた。
物質的なモノは射抜けない圭一の拳銃だが、相手が怪物だったことが功を奏したのだ。
想像していなかった反撃を受けた怪物は右腕をその場に残し逃走する。
何とか命を拾った蛍。
そんな蛍に楓からメールが届いた。
どうやら蛍が依頼していた怪物たちが暮らす部屋の契約者を突き止めたらしい。
早速、楓と合流したところ、楓の通報により警察が部屋を調べたことが判明。
其処から他殺体が多数発見され、今は大騒ぎになっていると言う。
楓によれば、部屋の契約者の名前は栗山将秋。
目立たないタイプの男性で、人付き合いも皆無だったようだ。
警察は栗山を手配したようだ。
「こんなタイプの男がねぇ……」
意外とばかりに口にする楓。
だが、その写真を目にした蛍は事実と異なることに気付く。
その写真の人物は怪物に付き添っていた男性の幽霊そっくりだったのだ。
すなわち、怪物本人ではない。
此処で蛍はある仮説に辿り着く。
確かに部屋の契約者は栗山なのだろう。
しかし、栗山もまた被害者なのだ。
おそらく怪物は栗山を殺害し、栗山に成り済ますことで犯行の露見を防いでいるのだ。
怪物は頃合いを見計らい、また別の獲物を殺害すると被害者に成り済ますつもりなのだろう。
これまでにも同様のことを続けていたに違いない。
つまり、怪物の犯行は隣人との交流の少ない都会的な犯罪なのだ。
蛍は怪物が栗山という隠れ蓑を失ったことで、次の隠れ蓑となる獲物殺害を急ぐに違いないと判断。
これを阻止すべく誘き出すことに。
その頃、栗山の幽霊を連れた怪物は圭一に奪われた右腕の痛みに苦しんでいた。
また、栗山という格好の立場も失ってしまったことに憤慨していた。
怪物は蛍への復讐心を募らせていたが……。
其処に蛍から栗山名義の携帯にメールが届いた。
何でも紫橋で待っているとのことだが。
怪物は右腕を取り戻すべく紫橋へ急ぐ。
紫橋にて怪物を待ち構える蛍。
待ち人はすぐに現れた。
怪物は蛍を再び襲うとするのだが……当然、圭一もまた控えていた。
圭一は銃口を怪物へ向け発砲。
弾丸は怪物の頭部を射抜き、怪物と化していた犯人本来の人格が表に現れた。
その人格に向け、罪を償うように訴える蛍。
人に戻った犯人はこれまでの犯行を思い出し、罪の意識に押し潰され崩れ落ちた。
こうして犯人は逮捕された。
怪物の被害者として、その行動を見張っていた栗山の幽霊は蛍に一礼すると消えて行った。
蛍はふと思う。
もしかして、圭一が生前に見た「獣を連れた男を含む10人の人々」もこれと同じでは無かったか。
すなわち「獣を連れた男」こそ「怪物となった連続殺人犯」なのではないか―――次話に続く。
いよいよ始まった蛍と圭一の奇妙な相棒物語。
ちなみに、ネタバレあらすじはまとめ易いように展開などをかなり改変してます。
気になる詳細は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!
<感想>
「名探偵マーニー」から3ヶ月……我らが木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」に還って来た!!
というワケで、その新作「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」です。
2015年4月8日には早くも1巻が発売されています!!
さて、その21話。
サブタイは「陰謀のセオリー」ならぬ「怪物のセオリー」。
怪物に連れ添う幽霊が被害者である点までは予期していましたが、まさか怪物が被害者に成り済ましていたことまでは想定外でしたね。
隣人との関係が薄い都会ならではの犯行でした。
また、最後まで怪物の名が明かされなかったことで「不特定の誰か」と言った色合いが強まったのもポイントでした。
さらに蛍により「怪物と栗山の関係」が「例の獣を連れた男たち」と重なることも判明。
すなわち、何者かが獣(怪物)と化して犯行を繰り返し、その周囲に被害者を連れて歩いていたことになるのか。
これまではてっきり「10人の中に獣と化した人物が居る」と考えていましたが「獣と化した1人が被害者9人の幽霊を連れている」可能性が高くなったか。
そして、この獣と化した1人こそ「PND」なのか!?
次回も見逃すなかれ!!
木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。
・木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!
さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。
「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。
衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。
既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。
◆「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」関連過去記事
・「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)第1話から第20話までネタバレ批評(レビュー)まとめ
◆関連過去記事
・「名探偵マーニー」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「フランケン・ふらん 最終話(最終回) Dream」ネタバレ批評(レビュー)
・「フランケン・ふらん 59話 BestFriend」ネタバレ批評(レビュー)
・「Phase20」(木々津克久作、「チャンピオンRED 2012年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「鋏女(チャンピオンRED 5月号掲載)」ネタバレ批評(レビュー)
・「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)
これまでの登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。
獣を連れた男:圭一の死に関わる人物。獣は殺意のことらしい。
PND(疑われざる者):静香によれば圭一が追っていた謎の人物らしい。獣を連れた男と同一人物なのか?
死神:黒い影の男の正体。
【赤木家とその周辺】
蛍の父:赤木興業の社長。
赤木真知恵:蛍の母。バーのような店を経営している様子。
節:蛍の妹。
和也:蛍の弟。
謎の少年:蛍の初恋相手らしい。11話に登場。
真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。
【聖マルス学園関係者】
志田りか:聖マルス学園の生徒。2話から登場。
塞田康平:蛍のクラスの担任教師。割とミーハーらしい。
見場創太:3話ラストに登場した怪しい男。学園の生徒であった。
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
校長:聖マルス学園の校長。
教頭:聖マルス学園の教頭。
【警察関係者】
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
逸見:楓の知人の刑事。
桐島静香:圭一の同期であるキャリア。現在は警察署長に。
大島:南具署の刑事。
光芝:圭一と静香の同期。
久毛山:圭一と静香の同期。
紅梅:圭一と静香の同期。
二階堂:警部。白い服の男。静香に想いを寄せていたらしい。
【その他】
志田高志:りかの兄。りかにストーカーしているとのことだが……。
実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。
麻依:貝塚の元婚約者。
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
末為良則:12話で遺体で発見される。場津間高校の教師であった。
逸見:楓の知人の刑事。
葉森了:場津間高校の学生。末為の教え子。
葉森美和:蛍が廃病院で出会った女性。了の母で入院していた毛羽病院で落命していた。
間岩:米城警察病院の看護師。
怪物:人中に居ようとも誰も興味を向けない怪物。
大人しい人間:怪物に付き添う不可思議な人影。
栗山将秋:怪物たちが暮らしている部屋の契約者。