水曜ミステリー9「ハガネの警察医 信州諏訪野連続殺人〜仕組まれた突然死!緊急搬送患者の皮膚炎で事件見抜くやっかい者ドクター!湖に誓った決意」(4月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。
<あらすじ>
石ノ森龍之介(高橋英樹)は長野県諏訪市で活躍するスーパードクターであると同時に、警察医というもう一つの顔を持つ。変死体と向き合うのは監察医と同じだが、監察医と違い解剖ができず、外表所見で死因を判断しなければならないため犯罪を見逃しかねないとの指摘もあるが、石ノ森は一切妥協せず死因を追求し、事件性を見抜いてしまう。それで警察からは厄介ものとされるが、数々の事件の真相を明らかにしてきたスーパー警察医だ。
普段は臨床医として一般患者の診察・診療を行っている石ノ森のもとに、呼吸困難に陥った野々村大樹(戸塚純貴)が救急搬送される。娘で医師の楓(すみれ)と看護師の小橋洋子(高橋ひとみ)とともに救命に尽力するも、死亡してしまう。楓と陽子は急性心不全と思いきや、石ノ森は警察へ連絡。長野県警諏訪中央署の星野公彦(石黒賢)と柏木光一(篠田光亮)が駆けつける。石ノ森は野々村の死の状況から事件性があると確信していた。長野医科大学の法医学教室教授、副島信行(笹野高史)にすでに連絡していたりと勝手な行動に星野は不快感をあらわにするが、そんな星野も、投げやりな態度もあって署内で厄介者扱いされていた。
やがて副島教授による行政解剖の結果、体内から除草剤に使われる薬品メチルビオロゲンが検出され、首筋に残された皮膚炎はトウダイグサという植物に触れてできたものであることが判明。県警も殺人事件と見て捜査することに。野々村は、3年前に起きた傷害事件の犯人で、半年前に出所したばかり。被害者の小嶋佐織(山口あゆみ)は現在も意識が戻らないまま。捜査会議では、沙織の母・久美子(原日出子)、父・靖史(石倉三郎)、恋人・松井務(杉浦タカオ)、そして3年前の事件の共犯者・葛西宏太(小橋川建) 、野々村の恋人・成瀬美由紀(折井あゆみ)などが容疑者として捜査線上にあがった。
そんな中、被害者の首筋のかぶれが気になり、トウダイグサを探していた石ノ森は、ある廃校舎に辿り着く。やがて野々村と男が体育館に入ったという目撃者情報も見つかった。
そんな時、小嶋靖史が突然行方をくらました!その直後、ある人物が遺体となって発見される…。
(公式HPより)
では、続きから……(一部、重複アリ)。石ノ森龍之介は長野県諏訪市に暮らす医師である。
彼は日本でも有数のスーパードクターであり、近隣住民からも愛されている。
今日なども手首を捻挫したとして尾形充ら、多くの患者が彼のもとを訪れている。
また、石ノ森は正義感が非常に強いことでも知られ警察医も務めている。
警察医とは、監察医と異なり解剖せずに外表所見から死因を判断する仕事である。
此の点でも石ノ森はスーパードクターぶりを発揮しており、数々の事件の存在を明確にして来た。
そんなある日、石ノ森のもとへ野々村大樹という患者が運び込まれた。
石ノ森らの奮闘虚しく野々村は落命。
野々村は顕著な呼吸困難の症状を示しており、石ノ森の娘で同じく医師の楓は急性心不全と所見する。
だが、石ノ森の所見は異なっていた。
石ノ森は「事件性あり」と判断し、やって来た長野県警諏訪野中央署の星野公彦刑事に解剖するよう主張する。
これに難色を示す星野だが、石ノ森に押し切られる形で解剖が行われることに。
解剖を行ったのは長野医科大学の法医学教室教授である副島信行。
結果、除草剤に使われるメチルビオロゲンが遺体から検出された。
どうやら、野々村は何者かに殺害されたようだ。
しかも、野々村の首筋にはトウダイグサに触れて出来た皮膚炎が残されていた。
つまり、野々村はトウダイグサが群生している場所で除草剤を口にさせられたことになる。
やはり、石ノ森の所見通り殺人事件だったのだ。
こうして、殺人事件として捜査が開始された。
すると、すぐに容疑者が浮上する。
野々村は3年前に傷害事件を起こしていたのだ。
この被害者は小嶋佐織という女性で、事件以来ずっと意識不明の状態である。
容疑者はその親しい人物、あるいはこの傷害事件に関与していた人物と思われた。
まずは佐織周辺の人物だ。
佐織の父である小嶋靖史、その妻・久美子。
そして、佐織の恋人である松井務。
続いて、野々村と共に佐織に暴力を奮っていた葛西宏太。
葛西へ聞き込みに訪れた星野はその腕に輝く銀色の高級腕時計を目に止める。
どうやら、相当に羽振りが良いようだ。
さらに、野々村の恋人である成瀬美由紀も容疑者に。
果たして、此の中に犯人は居るのか!?
そんな中、石ノ森は星野から疎ましがられながらも独自の調査を行い、トウダイグサの群生する廃校舎を発見する。
石ノ森の熱心さに舌を巻く星野。
だが、その一方で星野もまた石ノ森に感化されて行く。
最初はやる気を見せなかった星野だが、やがて石ノ森に負けず劣らずの熱血ぶりを見せ始める。
そんな星野の活躍により、廃校舎に野々村と男が出入りしていたことを突き止めた。
その男が野々村を殺害した犯人のようだ。
矢先、小嶋が姿を消した。
さらに、今度は葛西が遺体で発見される。
葛西の黒い腕時計が19時で止まっていたことから、19時前後が死亡推定時刻と思われた。
星野の指名で葛西の遺体について外表所見を述べる石ノ森。
断定は出来ないが他殺の可能性も残されるらしい。
さらに、葛西の背中に花びらのような鬱血点が残されていることを気に掛ける石ノ森だが……。
一方、星野もまた葛西の遺体に違和感を抱いていた。
どうも何かがひっかかるのだが……。
その翌日、姿を消していた小嶋が発見された。
小嶋によれば何者かに呼び出された挙句、ナイフを突きつけられ遺書を記すよう強要されたそうだ。
その後にスタンガンを浴びせられ、付近の小屋に閉じ込められていたらしい。
直後、野々村と葛西の関係が良好では無かったことが発覚する。
野々村と葛西は援助交際の斡旋を行っており客を秘密裏に脅迫していたのだが、どうも分け前の問題で葛西が野々村を恨んでいたようなのだ。
しかも、廃校舎に野々村と出入りしていた男が葛西だと判明。
葛西が野々村を殺害した後に小嶋を襲ったが、気が変わり自殺したと結論付けられた。
だが、石ノ森と星野はこの結論に納得出来ない。
現に、葛西の遺体からは軟膏らしき物質も検出されていたのだ。
少なくとも第三者が居たことに間違いは無い。
矢先、星野は楓から石ノ森が仕事に真摯である理由を知ることに。
石ノ森の妻、つまり楓の母は20年前に謎の事故死を遂げていた。
だが、石ノ森はこの死に不審を抱いており、未だに納得出来ないらしい。
だからこそ、同じような気持ちを抱く人間が1人でも減る様にと努力しているのだそうだ。
これを聞いた星野は自身の過去を振り返る。
10年前、星野は「既に解決した」とする捜査本部の見解に反発し独自の捜査を決行。
結果、真犯人を突き止めたのだが抵抗に遭い先輩を殉職させてしまっていた。
以来、何事にも事なかれを貫いて来ていたのだ。
星野は石ノ森に「正義」を見た。
こうして星野は石ノ森を「相棒」に捜査を進める。
まるで、10年前のソレのように。
その甲斐あってか、星野は葛西が脅迫に用いていた写真データを入手する。
其処に写っていた人物の中に、見知った顔を見出す石ノ森。
翌日、2人はその人物のもとへ。
それはあの尾形充であった。
手首を捻挫していた尾形、石ノ森は軟膏を処方していたのだ。
これに尾形は葛西に脅迫され呼び出されたことは認めたが、その殺害は否定する。
尾形は22時30分頃に現場を訪れたが、その際には既に葛西は死亡していたそうである。
しかも、何やら光る花びら型のバッチのような物を目撃していたそうなのだが……。
花びら型のバッチ、それこそが葛西の背中に鬱血点が出来た理由だろう。
葛西の身体の下にあったそれが鬱血点を作ったのだ。
しかし、遺体発見時には既に消えて居た。
それこそ犯人の手掛かりであり、持ち去られてしまったに違いない。
と、新事実に意気上がる石ノ森と星野の前を松井が通りがかる。
その腰に光るアクセサリーに驚愕する石ノ森。
アクセサリーは尾形が供述していた花びら型だったのだ。
こうして、松井が取調を受けることとなった。
だが、松井は黙秘を貫く。
これを不審に思った星野と石ノ森は真犯人に確信を抱く。
翌日、石ノ森たちは久美子と小嶋を訪ねた。
例の花びら型のアクセサリー、実は佐織が家族全員で持とうと佐織、松井、小嶋、久美子の4人分を購入していた物だった。
つまり、小嶋と久美子も所有しているのだ。
さらに、星野はある事実を語り出す。
星野は葛西の遺体に違和感を抱いていた。
その正体がようやく分かったのだ。
葛西の腕時計が銀色の高級時計から黒い時計に変わっていたのだ。
おそらく、実際の犯行時刻を誤認させる為に壊れやすい黒い時計に摩り替えたのだ。
そして、その購入者を追跡したところ久美子だと判明したのである。
星野と石ノ森は久美子こそが犯人だと指摘する。
これを聞かされた小嶋はすべて自身の犯行であると主張し倒れてしまう。
小嶋は病気を患っていたのだ。
石ノ森が救命に奔走し小嶋は一命を取り留めた。
危機は去ったのだ。
だが、この状態の小嶋に葛西殺害は不可能である。
やはり、すべては久美子の犯行だった。
小嶋を葛西に襲撃させたのも久美子、尾形を呼び出させたのも、葛西を殺害したのも彼女であった。
そして何より、葛西を唆し野々村を殺害させたのも久美子だったのだ。
どうやら、葛西は援助交際をネタに脅迫を繰り返していたのだが、中の1人に逆に脅迫され困っていた。
其処を久美子が利用し、野々村を殺害するよう誘導したのだ。
それにしても何故、小嶋を危険に曝したのか―――疑問を抱く星野。
これに久美子は「いつまでも復讐に踏み切らない小嶋に嫌気がさした」と吐き捨てる。
だが、石ノ森はこれを否定する。
久美子は犯行が露見した場合に備え、佐織の為に小嶋を巻き込まない必要があったのだ。
だからこそ、葛西に小嶋を襲わせたのであった。
しかし、復讐に目を奪われたばかりに小嶋の病状を見逃してしまったのである。
これを石ノ森に指摘された久美子は罪を後悔し、償いを決意するのであった―――エンド。
<感想>
新シリーズ「ハガネの警察医」第1弾。
本作には原作がありません、オリジナル作品です。
では、そんなドラマ版の感想を!!
高橋英樹さんが医師役ということで火曜サスペンス劇場で放送されていた「街の医者・神山治郎シリーズ」を思い出しますね。
とはいえ、本作は実は変則的な「バディ」物でした。
医師(石ノ森)と刑事(星野)のコンビものということで、むしろフジテレビ系「外科医・鳩村周五郎シリーズ」やTBS系「外科医・零子」を想い出した。
そう言えば「外科医・零子」こそ、刑事役で石黒賢さん出演されていましたね。
本作自体にも何処か懐かしさを感じました。
・
金曜プレステージ「外科医鳩村周五郎13 止まったら死ぬ…!恐怖の仕掛けを身体に埋め込まれた男たちの共通点は?国民的人気キャスターと共に周五郎は謎に包まれたある“団体”に迫る!」(7月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)そんな中でも、本作は星野が石ノ森に感化され自分に素直になって行くのが痛快でしたね。
そして星野もまた石ノ森同様に熱い男だった。
そう、ラストでも強調されていましたが、実は似た者同士だった2人。
此の点も面白かった。
しかも、石ノ森だけでなく星野にもきちんと活躍の場が与えられていたのは良かった。
2人のバランスが上手く取れていたように思います。
外表所見など医師として活躍する石ノ森。
星野は刑事として腕時計の件など要所要所で活躍してました。
そして、石ノ森の妻の死の謎。
これも今後のシリーズとしてのテーマでしょう。
もしかすると、星野の先輩が殉職した件もクローズアップされるかも。
と、此処まで書いて来て思ったのは、本作が「外科医・鳩村周五郎シリーズ」初期の頃に似ていると言うこと。
先述した医師と刑事のコンビ、実は似た者同士、妻の死に謎……外科医と警察医の違いこそあれ、なるほど似ている。
何処か懐かしく感じたのはそれが理由なのかもしれません。
これは「外科医・鳩村周五郎シリーズ」同様に是非、シリーズ化して欲しい!!
<キャスト>
石ノ森龍之介:高橋英樹
星野公彦:石黒賢
小嶋久美子:原日出子
副島信行:笹野高史
石ノ森楓:すみれ
テレビの占いアナウンサー:高橋真麻
小嶋靖史:石倉三郎
小橋洋子:高橋ひとみ
尾形充:徳井 優
柏木光一:篠田光亮
立石則夫:冨家規政
松井務:杉浦タカオ
石ノ森美津江:山本みどり
野々村大樹:戸塚純貴
葛西宏太:小橋川 建 ほか
(公式HPより、敬称略)