ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
マヤ(多部未華子)と代官山(大倉忠義)は、放火事件で犠牲になったカップルから佐々木(ナカムラユーキ)という男が恐喝されていたことを突き止めるが、その佐々木も焼死してしまう。恐喝の事実を掴みながら、マヤ(多部未華子)が報告を怠っていたことを知った不二子(吉田羊)は、静かに激怒する。
有栖川(勝村政信)たちが佐々木について捜査を進める中、マヤは代官山(大倉忠義)と共に半年前に焼身自殺をした女性・凛子の母・時枝(中尾ミエ)の元へ。凛子は、息子が事故死をした公園で自殺を図ったのだが、時枝によるとその公園の近くで酔っぱらった男が道路に飛び出したせいで救急車が遅れ、そのために凛子の息子は命を失ったのだという。マヤは情報屋の由良(石井正則)から、道に飛び出した男・西川(相馬圭祐)に当日酒を飲ませたのが神宮寺という男だったことを聞く。
同じ頃、数十名の女性と同時進行で交際していた佐々木が伸子という女性から2000万円をだまし取っていたことが判明。伸子が佐々木だけでなく荒木たちをも逆恨みで殺害した可能性があると、不二子と浜田(八乙女光)が伸子の事情聴取へ向かうことに。しかし伸子は思わぬ姿で発見され、不二子はマスコミから叩かれることになってしまう。そんな中、救えたかもしれない命を助けられなかった自分たちに腹を立てた代官山から、厳しい言葉を投げつけられたマヤは…。
(公式HPより)
では、続きから……(一部、重複アリ)。
・前回はこちら。
「ドS刑事」第2話「連続放火殺人!だけど合コンに潜入しなさい!?爆走ポリス・コメディ!」(4月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
荒木と由衣に続き、佐々木までもが焼死を遂げた。
これを連続殺人と見た不二子らは佐々木の交際関係を洗い、容疑者を突き止めようと意気込む。
結果、佐々木の交際相手の1人で彼に多額の現金を貢いでいた上原伸子が浮上する。
セントラル楽器での伸子の上司・松浦健一郎と部下の九條保奈美によれば、信子は保奈美をイジメていたそうだが……。
一方、当の伸子は姿を消しており行方は杳として知れなかった。
その頃、マヤはと言えば代官山と共にまたも独自捜査に臨んでいた。
マヤは佐々木が荒木と由衣から脅迫されていたことを気に掛けていた。
また、犯行の手口から「焼死」をキーワードに焼身自殺を遂げた前園凜子に注目する。
凜子の母である時枝を訪ねたマヤと代官山。
時枝によれば、凜子の死の原因はその息子・遊真の死にあるらしい。
公園で遊んでいた遊真が遊具から転落してしまい、病院へ運ばれたのだが間に合わなかったのだ。
凜子はその2日後に遊真の後を追った。
時枝は「すべてがあいつが悪い」と憎悪を覗かせる。
なんでも、救急車の到着が遅れた為に遊真の治療が間に合わなかったのだ。
この救急車の到着が遅れた理由が1人の酔っ払いにあったのだ。
その名は西川英俊。
西川は酔っ払った挙句、路上で暴れ大渋滞を引き起こしたのである。
マヤと代官山は西川を訪ね時枝の言葉を伝える。
これを聞いた西川は「歯科技工士の神宮寺が無理矢理酒を飲ませたのが悪い」と神宮寺の責任を主張する。
西川の言葉を携え、歯科技工士の神宮寺を訪ねたマヤたち。
すると神宮寺は「そんなこと言ってたら、俺だって……」と洩らす。
どうやら、歯科医の岩波からパワハラを受けているらしい。
同じ頃、伸子を追っていた不二子だが意外な形でその消息を知ることに。
なんと、伸子もまた佐々木たちと同様に焼死体で発見されたのだ。
同一犯による犯行らしい。
不二子は責任者としてメディアから非難を浴びる。
これに苛立った不二子は有栖川係長に怒りをぶつける。
当の有栖川係長は「お前がきちんと捜査しないからだ」と代官山を叱りつける。
叱られた代官山は「全部、マヤさんの所為だ」とマヤを批判することに。
此処でマヤは視点を変えるべくグルグル回転に代官山を誘う。
しかも、今回はグルグル逆回転も加えたのだ。
岩波、神宮寺、西川、佐々木、荒木、由衣……様々な名を思い浮かべるマヤ。
そして、ある仮説に辿り着く。
不二子たちを前に仮説を述べるマヤ。
佐々木は恐喝されたことで荒木と由衣を恨んでいた。
上原伸子は金を貢がされたことで佐々木を恨んでいた。
松浦健一郎と九条保奈美は上原伸子を恨んでいた。
松浦の妻・妙子は不倫している夫と保奈美を恨んでいた。
歯科医師の岩波は事あるごとに鬱憤を晴らそうと難癖をつける患者・妙子を恨んでいた。
歯科技工士の神宮寺は自身にストレスをぶつける歯科医師の岩波を恨んでいた。
西川英俊は事あるごとに自分に対し尊大に振る舞う神宮寺を恨んでいた。
すなわち、西川英俊→神宮寺→岩波→松浦妙子→松浦&保奈美→上原伸子→佐々木→荒木&由衣の流れで恨まれているのだ。
犯人は恨みの連鎖を遡り殺人を行っているに違いない。
つまり、西川を恨んでいる人間こそが犯人なのだ。
では、西川英俊は誰に恨まれているのか!?
そう、西川が酔っ払ったことで救急車の到着が遅れ娘と孫を失った前園時枝だ。
マヤは時枝こそが犯人だと断言する。
時枝は凜子と遊真の死の原因を西川を通じて荒木にまで求めたのだ。
この仮説、一見すると突拍子がないものである。
到底、受け入れ難く思われたのだが……不二子はマヤの推理を支持。
此処に課員一丸となって時枝を捜査することとなった。
矢先、時枝が姿を消した。
松浦と保奈美が埠頭で密会を重ねていることを知ったマヤは埠頭へ向かう。
時枝は次なる犯行に及ぼうとしているのだ。
埠頭に駆け付けたマヤは間一髪、松浦たちを助けた。
時枝と対峙するマヤ。
時枝は復讐という犯行動機を隠す為に今回の犯行を計画したのだ。
追い詰められ火炎瓶で自殺しようとする時枝。
これをマヤの鞭が止める。
しかし、時枝は直後に倒れてしまう。
時枝は病を抱えており余命幾許もない状況だったのだ。
だからこそ、復讐に走ったのだろう。
1つの小さな悪意が1つの命を奪った。
ならば、1つの小さな善意が巡り巡って命を救うこともあるのではないか。
不二子は事件をそう振り返る。
それはあまりに希望的な観測だろうか。
だが、時枝が入院する病院に謝罪すべく足を運ぶ西川の姿が……。
そう言えば、何故、不二子がマヤの推理を支持したのか?
それはマヤが佐々木の死を本気で後悔しているらしいと考えたからであった。
一方、有栖川係長たちも今回の事件を振り返っていた。
今回の事件を「風が吹けば桶屋が儲かる」と評する彼ら。
だが、1人代官山だけは「風が吹けば花屋が儲かる」と口にする。
風が吹けば厚着になる。
厚着になればモコモコして気持ちがおおらかになる。
気持ちがおおらかになれば財布の紐が緩む。
財布の紐が緩めば余計な買い物をしたくなる。
余計な買い物……ということで花でも飾ろうとなり花屋が儲かるのだそうだ。
これを聞いたマヤたち、暫く絶句すると弾かれたように爆笑するのであった―――4話に続く。
<感想>
原作は七尾与志先生「ドS刑事シリーズ」。
2015年4月時点でのシリーズは既刊4冊、それぞれ第1弾『ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件』、第2弾『ドS刑事 朱に交われば赤くなる殺人事件』、第3弾『ドS刑事 三つ子の魂百まで殺人事件』、第4弾『ドS刑事 桃栗三年柿八年殺人事件』となっている。
過去には第1弾『ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件』をネタバレ書評(レビュー)してますね。
・『ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件』(七尾与志著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)
そのドラマ版ですが、アレンジを加えつつ第1弾『ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件』が描かれました。
ただ、あの原作のラストまでは活かせなかったか……これについては原作を是非読んで欲しい。
とはいえ、1時間のドラマ枠としては充分に原作を活用出来ていたと思います。
途中の「メディア→不二子→有栖川係長→代官山→マヤの批難の連鎖」もその後の動機を示していたんですね。
なかなかの好印象。
これだと「朱に交われば赤くなる」と「三つ子の魂百まで」もエッセンスを凝縮した内容になるのかな。
ただ、今回に限っては出来れば時枝による復讐の殆どが終わった後にマヤたちが捜査に乗り出す形にした方がもっとすんなりあの動機を描けたかも……。
ちなみに「風が吹けば桶屋が儲かる」とは次の通り。
風が吹くと埃が舞う。
埃が舞うと目に入る。
目に入ると失明する人が出る。
失明すると三味線弾きが増える(琵琶法師みたいなもの)。
三味線弾きが増えれば三味線の需要が増加する。
需要に対応すべく原材料の猫の皮が必要となり、猫が乱獲される。
猫が減れば天敵が居なくなった鼠が増える。
増えた鼠が各家庭で桶を食い荒らす。
結果、桶の需要が高まり桶屋が儲かる。
代官山の「花屋バージョン」と比べてみるのも面白いかも。
全体的に小ネタも満遍なく散りばめられていてなかなかでしたね。
ちなみにネタバレあらすじはテンポを重視すべく大幅に改変しているので注意!!
◆「七尾与史先生」関連過去記事
【ドS刑事ドラマ版】
・「ドS刑事」第1話「攻撃系女子とピュア巡査バディの痛快ポリス・コメディー!潜入捜査で女装しなさい」(4月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「ドS刑事」第2話「連続放火殺人!だけど合コンに潜入しなさい!?爆走ポリス・コメディ!」(4月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【著作関連】
・『ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件』(七尾与志著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『死亡フラグが立ちました!』(七尾与史著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『キルキルカンパニー』(七尾与史著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
【ドラマ関連】
・「超再現!ミステリー」(日本テレビ系、2012年)まとめ
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