<ネタバレあらすじ>
1話のマフィアの階層から別の階層へとやって来た私服姿のチハヤ(千流)。
其処は小洒落た街並みが続く平和な階層であった。
同行していたオカマと別れたチハヤは近くのオープンカフェで休憩することに。
今この時だけは……と小悪魔・メリックと共にスイーツを楽しんでいた。
と、其処に学生服姿のチハヤが現れる。
何故か、彼女の手にはスポーツバッグが握られているが……。
私服姿のチハヤは現状について制服姿のチハヤに問う。
これに寂しく首を振る制服姿のチハヤ。
此処はオウカの精神世界内、そしてオウカを巡る追いかけっこは長きに渡り続けられて来た。
しかし、チハヤに捕まりそうになったオウカはそのたびに「魔銃・パラベラム」を用いて自殺し、次なる階層に逃げてしまうのだそうだ。
同時に、オウカに内包されたチハヤがまた1人増える。
いつしか、チハヤは過剰状態になりつつあるらしい。
当然、先行するチハヤの中には過激な行動に出るものも居るのだそうだ。
その頃、学生服姿のチハヤの言が正しいことを知らしめるように隻眼のメリックを連れたスーツ姿のチハヤが暴挙に及ぼうとしていた。
その眼前には追い詰められたオウカが居る。
オウカは咄嗟に「魔銃・パラベラム」に目を移す。
途端、オウカの手が破裂した。
いや、ただ破裂したのではない狙撃されたのだ。
さらに、オウカの膝が射抜かれて行く。
もはや、オウカは身動き取れない状態となっていた。
辛うじて生きているだけの存在である。
そんなオウカにマシンガンを手にしたチハヤが笑う。
オウカの両手両足を撃ち抜いたのはこのスーツ姿のチハヤであった。
「やっと、捕まえた」
喜色を満面に表すチハヤ。
オウカはただ怯えるだけである。
と、スーツ姿のチハヤの首から刃が生えていた。
もちろん、自然にそんなものが生える筈もない。
何時の間にかチハヤの背後には隻眼の覆面(3話の謎の覆面と同じ人物?)を被った人物が立っていた。
この隻眼覆面がスーツのチハヤを刺し貫いたのだ。
チハヤは血の塊を口から吐き出すと瞬時に絶命した。
その虚ろな目に「猫柳」と銘打たれた隻眼覆面の剣が映る。
そんなチハヤに駆け寄ったのは隻眼のメリックだ。
必死に呼びかけるが失われたものは戻らない。
やがて、隻眼のメリックも砂のように崩れ去り消えて行った。
一方、瀕死のオウカはそんな隻眼覆面に止めを刺すよう懇願する。
これに「あなたがそう望むなら……」と刃を振り下ろす隻眼覆面。
此処にこの階層のオウカは消えた。
同じ頃、制服姿のチハヤは「私はもう諦めた」とこぼす。
その手のスポーツバッグの中にはオウカの頭部が収められていた。
追いかけっこにより、オウカの遺体はあちこちに散乱している。
どうやら、制服姿のチハヤはそんなオウカの遺体を放置するに忍びなく回収しているらしい。
ここに別れを交わした2人のチハヤ。
残されたのは私服姿のチハヤが1人。
彼女は呟く「私は諦めない」と。
そんな私服姿のチハヤの前に聞きなれた歌が聞こえて来た。
ふと振り返れば其処にはあの枯葉(3話の登場人物)が。
枯葉もまたこの階層に降り立ったようだ。
2人は行動を共にすることに―――第7話へと続く。
<感想>
『メフィスト』の新連載第6回。
前回(5話)に引き続き、この6話により、かなり物語の全貌が見えて来ましたね。
やはり、この世界はオウカの精神世界であり、オウカとチハヤが追いかけっこを続けるうちに多重構造となっている様子。
結果、複数のオウカとチハヤが並存している状態。
今回では3人のチハヤが登場しました。
まず、オウカを追っているメリックを連れたチハヤ。
続いて、鞄を手にオウカの遺体を回収しているチハヤ。
そして、隻眼のメリックを連れていたが隻眼覆面に殺害されたチハヤ。
ちなみに、隻眼のメリックを連れていたことから5話の兎覆面の正体は6話で殺害されたチハヤで決まりか。
そして、そんなチハヤを殺害した隻眼覆面の人物の手には猫柳が―――彼女もまたチハヤなのか!?
そうならば、オウカの逃避行に手を貸しているチハヤも存在することに。
一方、枯葉がチハヤに急接近。
枯葉はオカマと共に本作のキーキャラクターのようだし、何かの意味がある筈。
もちろん、メリックにも何かある筈。
次回も見逃すなかれ!!
では、此処からは6話までのまとめ。
状況を簡単にまとめるとこんな感じかな。
まず、オウカが死ねないことを知りつつパラベラムを用いて自殺未遂、昏睡状態に。
これを救うべくチハヤがオウカの深層心理世界に飛び込む。
その目の前で深層心理世界のオウカが自殺。
これにより、チハヤがオウカに内包される。
内包された状態のチハヤが深層心理世界のオウカを救うべくさらにダイブ。
これを繰り返すことで、マトリョーシカ状態のオウカとその中で複数のチハヤが存在しているものか。
どうやら、オウカの身体の中が既にパラレルワールドとなっているようだ。
そして、オウカ自身の自殺未遂も何らかの目的があってのことか。
考え得るのは幾重にも続く運命の螺旋にチハヤを取り込むことかなぁ。
それにより、永遠にチハヤと共に居ることが可能になるとか。
ちなみに「スーサイド」が「自殺」や「破滅」を意味する英語、「パラベラム」が「戦いに備える」とのラテン語だそう。
本作タイトルを仮に和訳すれば「破滅(自殺)への戦いに備える」と言った意味合いか。
あるいは意訳すれば「(次なる)戦いに備えた破滅(自殺)」とも解釈出来そう。
そして4話に登場した「サムサラ・エクスプレス」。
「サムサラ」は「輪廻転生」を表す言葉。
つまり「サムサラ・エクスプレス」は「輪廻転生列車」。
だからこそ環状線になっており、今生の終着駅は次の人生の始発駅となるのだろう。
オウカが4話で語った夢のうち、列車旅は4話、アイドルは3話、ギャングのボスは1話で達成済み。
オウカはその度に、次のステージへと移動して行く。
これをチハヤが追い続ける。
この流れも「輪廻転生」と言えそうだ。
これらからは「輪廻転生」と同じく「終末へ向けてのリセット(またはその繰り返し)」と言った意味が引き出せる。
今回の描写と組み合わせると、チハヤがオウカを追って彷徨うこの世界は「現実から逃避するオウカの深層心理」が作り出した世界なのだろう。
全体的に抒情的な世界で繰り広げられるチハヤとオウカの追いかけっこ。
次なる舞台は何処になるのか?
次回も楽しみです!!
ちなみに『メフィスト』が遂に電子書籍化されています。
詳しくは下記記事をどうぞ!!
・講談社刊『メフィスト』も遂に電子書籍に参入とのこと!!
◆関連過去記事
・『スーサイド・パラベラム』第1話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・『スーサイド・パラベラム』第2話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・『スーサイド・パラベラム』第3話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・『スーサイド・パラベラム』第4話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・『スーサイド・パラベラム』第5話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト』連載)ネタバレ批評(レビュー)