2015年05月28日

「Q.E.D.証明終了 iff」1話(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジンR 2015年1号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了iff」1話(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジンR 2015年1号」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
燈馬想:言わずと知れた主人公。
水原可奈:言わずと知れたヒロイン。

三砂大命:彫刻家。
押鳥:三砂のマネージャー。
土橋:三砂の弟子(男性)。
真鴨:三砂の弟子(女性)。
百舌優花:三砂のモデルを務めていた女性。

<あらすじ>

3年生に進級した燈馬想と水原可奈。
そんな2人を今回待ち受けるのは彫刻家・三砂大命殺害事件。
三砂は密室となったアトリエで何者かにより絞殺されていたのである。
現場には三砂が完成させたと思われる像の頭部が破壊された状況で残されていた。

この容疑者となっているのは4人。

三砂のマネージャー・押鳥。
押鳥はアトリエの鍵を預かっており、殺害当日もアトリエ付近に控えていた。

三砂の弟子で男性の土橋。
三砂からは邪見にされており、遺体の第一発見者となったのは彼である。

三砂の弟子で女性の真鴨。
三砂からはかなり可愛がられており、近く彼と共に海外で個展を開く予定であった。

三砂のヌードモデルを務めていた百舌優花。
大学でモデルを務めていたところ、三砂から声をかけられ仕事を引き受けた。
ところが、それから半年経過しても作品は完成せず困惑していたらしい。

殺害当日の状況は次の通り。

まず、アトリエで三砂、押鳥、土橋、真鴨でミーティングを行った。
この際、三砂は海外の個展を真鴨とのみ行うと発表。
外された理由を尋ねた土橋は厳しく叱責されることに。

此処に約束を入れていた優花が訪問。
納得いかない様子の土橋であったが、押鳥らに連れられ外へ。

土橋と真鴨は三砂宅を辞去。
押鳥はアトリエ付近に立っていた。

残された優花は三砂と2人きりに。
三砂は優花をモデルとして作品に取りかかった。
1時間後、約束の時間を過ぎたことで優花はアトリエを後にした。
だが、優花によれば押鳥は見かけなかったと言う。
これは押鳥も同様でトイレかお茶に立っていたのかもしれないらしい。

1時間後、土橋が三砂を訪ねて戻って来た。
土橋は押鳥と共にアトリエへ。
すると、中には作品に取り組む三砂の背中が見えたと言う。
押鳥が声をかけると、手で「さっさと行け」と合図されたのだそうだ。

だが1時間後、諦め切れなかったのか土橋がまたも戻って来た。
押鳥は不安になりながらも土橋をアトリエへ通したところ、少しして土橋の悲鳴が!!
駆け付けると三砂が死亡していたそうである。
慌てて周辺を調べたが何者かが潜んでいる痕跡も無かったのだ。

これが死体発見の状況であった。

容疑者4人に聞き込みを行う可奈。

押鳥はかなり金遣いの荒い性格のようだ。
三砂との付き合いは長いが、彼の女癖の悪さには辟易していたそうだ。
三砂は過去にも複数の女性と関係していたらしい。

土橋はかなり真面目な性格のようだ。
三砂の死にショックを受けており、容疑者とされていることにも動揺している様子。
三砂との不仲から独立を計画していたらしい。

真鴨はかなり狡猾な性格のようだ。
三砂の死を利用し自身を後継者として売り込む予定らしい。

優花は今回の事件に困惑しているようだ。
三砂は彼女の内面を作品に反映させたがっていたが、内面を掴めずに焦っていたらしい。
特に作品の腕の角度に悩んでいた様子だったと言う。
さらに「まさか犯人が作品の頭部を破壊するなんて……」とショックを受けていたそうである。

さて、此処までの情報を受けた燈馬想は犯人を看破する。

関係者を呼び出した想は、それぞれに動機が考え得ることを指摘する。
押鳥はマネージャーとして三砂の遺産を狙った金銭目的の犯行。
土橋は三砂への恨みからの犯行。
真鴨は三砂の後継者を狙っての犯行。
優花は当初の契約以上に拘束された事への苛立ちからの犯行。

だが、それぞれに弱い点が残る。

押鳥は密室にする必然性がない。
土橋は第一発見者を偽装し犯行可能だが、そもそも独立を考えていた以上は動機が無くなる。
真鴨は三砂あって初めてやっていけるタイプなので犯行に至るとは思えない。
優花は動機が軽すぎる。

此処で角度を変えてみよう。
何故、三砂は作品制作に悩みを抱いていたのか?
その上で、動機ではなく誰ならば犯行が可能だったかを考えるのだ。

三砂は優花の内面を作品に反映させようとして出来なかった。
何故なら、三砂は優花の真意を知らなかったからである。

実は優花は三砂に捨てられた娘だったのだ。
ところが、三砂はこれに気付いていなかったのである。

そして優花は三砂に愛憎半ばする感情を抱いていた。
それはある日には愛情に、ある日には憎悪に傾いていた。
それがあの日には大幅に憎悪に傾いたのだ。
何時まで経っても娘だと気付かない三砂に、優花は殺意を抱き殺害したのである。

犯行を果たしたのは三砂と優花が2人きりになった時点だ。
では、1時間後に土橋と押鳥が目にした三砂はなんなのか!?

それは優花の変装であった。
優花は顔に粘土を塗り作品のように偽装すると、三砂の身体に寄り添いつつ二人羽織で袖から手を出し彼のてのように偽装した自身の手で「さっさと出て行け!!」とのジェスチャーを行ったのだ。
これを隠す為に像の頭部を破壊したのであった。

しかし、これを可奈の前で洩らしたのが失言であった。
優花の供述通りならば像の頭部が破壊された事実を知ることは出来なかったからである。
それを知るのは現場を目にしている人間だけだ。
どうやら、想は此処から優花に疑惑を抱いたようだ。

こうして、優花の犯行が明らかになった。
優花は逮捕されることに。

可奈は三砂が優花をモデルにした作品の腕の角度に悩んだ理由に思い当たった。
それは優花自身が娘として父を抱き止めようとする想いと、憎い相手として絞殺したいとの想いとが錯綜していたからなのだ。
それが殺害の瞬間に定まったのである―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジンR」2015年1号掲載の1話です。

個人的にはなかなかの回。

確かに、内容的には不可能トリックである点(彫刻家で男性の三砂とモデルで女性の優花では手が違い過ぎる。手で合図する以上、押鳥や土橋には手をまじまじと目撃されるので気付かれてしまう)やロジックに弱点(犯行の不可能性で犯人を絞り込むならば上記の弱点により優花は犯人足り得ない。また真鴨が三砂に依存するならば後継者になるべく殺害する動機が発生しうるので動機面で否定された真鴨が復活。寧ろ真鴨の犯行になりかねない)もありましたが、それでも興味深い回でした。

何と言ってもメインは「三砂が芸術家としての直感で優花の本質を察していたところ」か。
此の点は品性はどうあれ三砂が本物の芸術家であったことを示しているのでしょう。

また、優花の真意は「父に認められたい」と「父を許せない」の2つの間で揺れ動いており、犯行が実行されるまでは「腕の角度が決まらなかった」ことなどは「シュレディンガーの猫」的な面を感じます。
何しろ、三砂が悩んでいた優花の腕の位置はその日、その時、優花が彼への殺意を固めるまで未確定だったのですから。

振り返れば、今回はコレこそがメインだったと言えるでしょう。
次回にも期待!!

ちなみに、あらすじでは良さを伝え切れてません。
本作自体を読むべし!!

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