月曜ゴールデン「遺品整理人 谷崎藍子5 遺体なき殺人〜二つの顔を持つ女が仕組んだ完全犯罪!?36年前の未解決事件が引き裂いた家族の秘密とは?丹後ちりめんの遺品が語る復讐のメッセージ」(7月27日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!
<あらすじ>
あるアパートの一室で男性(渡辺哲)が孤独死した。男は病死と見なされ、身元不明のまま火葬された。大家の依頼で遺品整理専門会社「青い鳥社」で働く遺品整理人・谷崎藍子(高畑淳子)と中野(須田祐介)がその部屋を片付ける。藍子は遺品を見つめながら、いくつかの矛盾に気付き疑問を抱く。知り合いが出入りしている様子がまったくなかったという男の部屋に誰かがいたのではないか? さらに押入れからは赤いランドセルが見つかり、その中には母娘の写真が挟まった「昭和の未解決事件」という本が入っていた。
藍子は三田村刑事(矢崎滋)の助けを借り、ランドセルの持ち主である薬剤師の矢野和美(石田ひかり)を探し当てランドセルを届けることに。認知症の母・初枝(岩本多代)と二人で暮らしていた和美は、孤独死した男は自分の父親で、幼い頃に別れたその父のせいで自分と初枝が苦労させられたと語る。藍子は和美の話に耳を傾けつつ、遺品と同じ未解決事件の本があることに気付く。本が二冊あることは偶然だろうかと栗山社長(加賀まりこ)に語りかけながら、書籍の中のある記事が目に止まり、藍子はハッとする。それは36年前に警察が厳重に警戒する中、赤いランドセルを背負った少女に5千万円が持ち去られた現金恐喝事件で、この時少女を目撃したのが若き日の三田村刑事だったのだ。
孤独死した父親と和美はこの事件に関わっていたのではないか。藍子は疑問を持つ。
そんな矢先、和美は自分が金を持ち去った少女本人で、父親が事件の主犯だったとマスコミに名乗り出る。
一方、遺品に向き合う藍子には、孤独死した男は殺されたのではないかとの疑惑が湧いてくる。
謎を解く手がかりは、男の遺品のネクタイと少女の遺留品の髪飾りだ。それらは同じ丹後ちりめんを素材とする品物だった。
京丹後市へ向かった藍子は、ちりめんの関係者である曽根(志賀廣太郎)と太田(ラサール石井)を訪ね歩き、ちりめんを織る母と漁師の父親、そして娘の三人が、かつてこの地で幸せに暮らしていたことを知る。だが、一家を餌食にしようと狙う悪意によって、5千万円事件に加担させられ、家族は引き裂かれた。
藍子は犯行を告白した和美の真意に次第に気付くのだが・・・。
(月曜ゴールデン公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……。遺品整理会社・青い鳥社のベテラン社員である谷崎藍子は男性の孤独死の現場に立ち会っていた。
部屋を整理していた藍子は其処で奇妙な点に気付いた。
孤独死の筈が何者かが存在していた形跡が残されていたのだ。
さらに、男性にそぐわない品が数点見つかる。
例えば、押入れの奥から赤いランドセルが見つかった。
さらに、その中から『昭和の未解決事件』との書籍、母娘の写真が見つかったのである。
藍子はランドセルの持ち主を探し、これが薬剤師の矢野和美であると突き止めた。
和美は母・初枝と2人暮らし。
和美によれば死亡した男性の名は矢野俊彦、幼い頃に生き別れとなった左利きの父親で妻子に対しても暴力的だったらしい。
と、藍子は和美が『昭和の未解決事件』を所持していることに気付き興味を抱く。
この本に注目した藍子は36年前、昭和53年5月10日に起こった事件を知ることに。
実はこの事件には藍子と旧知の三田村刑事も関わっていた。
当時、駆け出しであった三田村はある恐喝事件の捜査に駆り出された。
毒物を無作為にばら撒く事件が発生していたのだが、これに乗じて脅迫が行われていたのだ。
脅迫者は5000万円を要求。
これに従ったところ、側溝の上に置かれたゴミ箱に5000万円を遺棄するようにとの指示があった。
それにも応じたのだが、何時の間にか5000万円が消えて居たのである。
ゴミ箱の底には穴が開いており、側溝伝いに赤いランドセルを背負った小学生が5000万円を持ち去ったのだ。
この少女を目撃していた三田村により似顔絵が作成され全国に手配された。
また、現場から遺留品とみられる丹後ちりめん製の髪飾りも回収されていた。
だが、犯人は捕まらず仕舞いであった。
36年経過したことで既に時効が成立したこの事件、藍子は和美こそが三田村が目撃した少女ではないかと考え始めた。
その頃、和美は自ら匿名を名乗って「週刊トップニュース」の記者・近野に「36年前の事件の犯人とされる少女は矢野和美だ」とタレコんでいた。
当然、近野は和美に取材を敢行。
和美がこれを認めたことで事件は一躍ニュースとなった。
さらに、和美は主犯が父・矢野俊彦で先日死亡してしまったと繰り返した。
状況を眺めていた藍子は和美に何か狙いがあると考え、彼女について調べ始めた。
俊彦の故郷である丹後を訪れた藍子はちりめん業者の曽根に話を聞くことに。
昭和53年当時、丹後ちりめんは「ガチャ万」とも呼ばれる存在であった。
ガチャッと折り機を一度動かせば1万円儲かった時代だったのだ。
そして例の髪飾りが「変りちりめん」と呼ばれる品であり、その考案者が当時「室田織物」で働いていた矢野初枝であることも判明する。
そう、和美の母親の初枝である。
さらに、矢野俊彦と親しかった太田により俊彦が右利きだったことが判明。
当時、俊彦は野球部に所属しておりキャッチャーを担当していたが相方の横暴な左腕ピッチャーに悩まされ続けて居たらしい。
その後、野球部のマネージャーだった初枝と結婚し和美を得た。
家族仲は睦まじかったが、地元では何をやっても上手くいかず都会へと出たのだそうだ。
和美が語る俊彦の印象とかけ離れた情報に驚く藍子。
そもそも、利き腕が違う。
これはどうしたことだろうか!?
その頃、和美への取材は苛烈さを増していた。
その1つ1つに丁寧に対応した和美は、そのたびに「矢野俊彦は死んだ」と繰り返し主張していた。
一方、藍子は調べて行くうちに彼女が担当した俊彦とされる死者が別人であると気付いた。
さらに、その男性が左利きだったことから死亡者が例のピッチャーだと判明。
そんな中、三田村たちが男性の死に不審を抱き捜査を開始。
三田村たちは初枝と和美が共謀し男性を殺害したと見ていた。
そんなある夜、テレビを視ていた藍子は和美たちを見かける。
「お父さん、何処に居るの?」
「お父さんはもう居ないのよ、お母さん」
テレビでは初枝が俊彦を求め、和美がそれを押し留めているように見えた。
これに和美の狙いを察した藍子は死亡したと見られるピッチャーについて調べ始めた。
ピッチャーの名は室田邦夫、初枝が過去に働いていた「室田織物」の社長であった。
だが、生糸相場に手を出して負債を背負い、これまた地元を出ていた。
やはり、藍子が担当した死者は室田で間違いないようだ。
さらに、藍子は俊彦を騙った偽手紙を初枝たちに送り付ける。
其処には落ち合う場所と時間が記載されていた。
同じ頃、三田村は初枝が余命幾許もないことを突き止め、これが動機だと察しを付けていた。
翌日、遂に初枝と和美に逮捕状が出た。
だが、三田村は藍子の為に時間を稼ぐ。
捻出された時間の中で、藍子は偽手紙に誘い出された初枝と和美のもとへ向かう。
藍子は和美たちを騙したことを謝罪しつつ、事件の真相を突き付ける。
36年前の脅迫犯・矢野俊彦が死亡したことを世間に知らしめる為に、和美たちは室田を殺害したのだ。
同時に、それは俊彦に初枝たちの前に出て来るよう訴える為の手段でもあった。
和美は初枝に残された時間の中で、俊彦と再会させようと奔走したのだ。
これを認めた初枝と和美は逮捕された。
2人は互いに互いを庇い合う。
そんな2人の状況を聞かされた藍子は姿を消している俊彦を探そうと動き出した。
初枝と和美は過去を思い返していた。
高校時代に野球部のマネージャーであった初枝。
甲子園の地区予選に出場する室田と俊彦を応援していた。
だが、その決勝にて俊彦のミスにより逆転負けを喫してしまう。
室田は俊彦の所為で甲子園に出場出来なくなったと恨んだ。
8年後、俊彦は初枝と結婚し和美をもうけた。
俊彦は漁師として生活するも仲間からはドジと評されていた。
初枝は「室田織物」で働き「変りちりめん」で大ヒットを飛ばす。
そんな中、俊彦は室田に生糸相場に誘われ大損してしまった。
以来、借金取りに追われることになり、妻子を連れて故郷を捨てた。
だが、都会に出たあとも借金取りに追われ続けた。
ある日、俊彦は自らのミスで事故に遭い仕事を辞めることに。
そして、遂に初枝が風俗で働くことになった。
いつしか、俊彦は初枝に依存するようになった。
初枝の仕事先は少しずつ過激な場所へと移って行った。
やがて、俊彦に紹介された客と寝るようにまでなった。
そんなある日、俊彦の前に室田が現れた。
室田は「良い仕事がある」と俊彦と和美を誘った。
それこそ、5000万円恐喝事件だったのだ。
だが、室田は利用するだけ利用し5000万円を手に入れると俊彦と和美を捨てて逃げてしまった。
残されたのは室田に利用された為に矢面に立たされていた俊彦と和美である。
特に、和美は似顔絵まで出回ってしまった。
この事態に、俊彦は初枝と和美を連れ逃げようとした。
だが、娘を巻き込んだ俊彦の行動に初枝が激怒し、遂に俊彦は1人で逃げ出すこととなった。
とはいえ、これで事態が好転するワケもない。
和美は似顔絵が出回ったことで人目から逃れるような生活を余儀なくされた。
そして、36年が過ぎた。
ある日、初枝の病状が明らかになった。
初枝はひと目で良いから俊彦に逢いたいと訴え出した。
そんな中、室田を発見した和美は一計を案じた。
NPOの職員を語り室田に近付きその生活を調べ尽くすと、隙を見て室田を殺害したのだ。
すべては室田に復讐し、テレビで俊彦に呼びかける為であった。
これこそ事件の真相であった。
その頃、藍子は室田の遺品から勝尾寺のメモを発見し俊彦の居所を突き止めた。
俊彦は寺男になっていたのだ。
数日後、証人として法廷に現れた俊彦。
だが、彼は自身を恐喝事件の主犯・室田だと名乗り、死亡した男こそ俊彦だと主張する。
さらに、俊彦は病死だと繰り返すことに。
初枝と和美は「お父さ〜〜〜ん」と泣き叫び、たちまち法廷は混乱に陥った。
暴れる俊彦、初枝、和美の3人。
その様子に涙を誘われる藍子。
結局、俊彦の偽証は認められなかった。
初枝と和美には懲役15年の判決が下されることに―――エンド。
<感想>
「遺品整理人 谷崎藍子」シリーズ5作目。
前回は2014年1月20日の放送なので、実に1年6ヶ月ぶりのシリーズ新作です。
シリーズは過去にネタバレ批評(レビュー)してますね。
興味のある方は過去記事リンクよりどうぞ!!
では、ドラマの感想から。
え〜〜〜っと、今回は流石に演出過剰としか言えないなぁ。
ラストの法廷シーンは涙を誘うよりは、そのパニックぶりに呆然とする方が先に来たし。
本シリーズは物語が主で演出が従だからこそ魅力的だったのに、今回は物語が従で演出が主になっていた印象です。
これまでのシリーズは強い物語が先に存在していて強い演出をリードしていた印象、それが今回は物語が押し負け強い演出にリードされていたとでも言うべきか。
どうにも物語の惹きが弱かった。
例えば遺留品として登場したネクタイと髪飾りも、これまでのシリーズに登場した遺留品に比べて和美たちの心情を表現したり改心に繋がるアイテムだったワケでもなく本筋で上手く活かせていなかった気がする。
現にあらすじからネクタイを端折っても成立してるし。
加えて、本編に全く感情移入出来なかったこともそう感じさせたのだろう。
この感情移入出来なかった理由は、何と言っても全ての原因が俊彦にあるように思えたこと。
他に原因があって避けようもなく巻き込まれたのではなく、あくまで俊彦が原因としか思えない。
甲子園予選決勝のエラーで室田に負い目があったとは言え、その後の行動は俊彦自身の責任だしなぁ。
確かにエラーについて贖罪の意識は必要だろうけど、それと室田に従うのとは別。
他の方法を模索すべきだろうし、初枝のヒット商品で室田に対しては借りを返しているワケで。
負い目ならば室田1人だけではなくチームメンバー全員に対して負う必要が出て来るだろうし。
結局、俊彦の意志の弱さが全ての原因に見える。
そもそも生糸相場も初枝がヒットを出したことに焦った行動だろうし。
室田はあの時点では強要していないのだから断れば良いじゃない。
あれが「断ったら初枝をクビにする」とかなら、また話が別かもしれないけど。
でも、それならそれで夫として妻子を支える気概を持てば良い話だしなぁ。
その後の東京での生活や恐喝事件についても、俊彦自身が積極的に関与しているし。
どうも、俊彦には問題が多いような……。
妻子と離れた後も送金していた様子も無いし、テレビで呼びかけを受けても応じるつもりは無かったようだしねぇ。
これだったら「36年前の事件で影のある生活を余儀なくされた和美が室田と俊彦に復讐しようと図った」とかの方がしっくり来たかなぁ。
室田を俊彦として殺害し、俊彦を誘き出しこれをも殺害するとか。
あるいは「和美自身が俊彦ではなく室田に暴行された初枝の娘」とかでもない限りは苦しいかなぁ。
さらに「俊彦は昔から室田の尻拭いをさされ続けており、36年前も和美の出生の秘密を本人に報せると脅迫され仕方なく従っていた」とか。
いや、これでもかなり苦しいぐらいだなぁ。
ああ、苦しいと言えば矢野家を追っていた借金取りは36年前から何処に消えたのか!?
これも大きな謎だなぁ。
初枝が1人で返済したのだろうか?
苗字が変わっていないから俊彦と籍を抜いていない以上、初枝に返済義務が生じるだろうし。
それと、初枝たちは俊彦と一緒に居たらダメになっていた気がする。
いや、正確に言うと俊彦と初枝が揃うとダメな気が。
だって、現に初枝が俊彦を求めた途端に和美が罪を犯す羽目に陥ったし。
初枝、和美、俊彦は3人共別々に生活していることには問題が無かったようだし。
それと、俊彦の偽証も無茶だなぁ。
なにしろ、室田が俊彦となってしまうと和美は「父親殺し」になっちゃうワケで。
いくら「俊彦が病死だ」と主張しても、他殺だと判断されたから罪を問われているのだし。
あの庇い方は逆に初枝と和美を追い込むことにしかならないなぁ。
さらに、俊彦自身の偽証罪も加わって誰も救われないなぁ……。
あれなら、父として夫として罪が少しでも軽くなるように証言した方が有効だったと思うなぁ。
どうにも、話の内容がモヤモヤした。
と、その一方で和美は36年前に7歳なので現在は43歳と推測されるのですが、和美役を演じた石田ひかりさんも同じ43歳なのです。
これに気付いたときは「おおぅっ!!」と驚いてしまいました。
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谷崎藍子:高畑淳子
○
矢野和美:石田ひかり
○
矢野初枝:岩本多代
室田邦夫:渡辺 哲
矢野俊彦:不破万作
中野:須田祐介
○
曽根:志賀廣太郎
太田:ラサール石井
○
三田村刑事:矢崎 滋
○
栗山スミ子:加賀まりこ ほか
(公式HPより、敬称略)