2015年07月24日

「英国一家、日本を食べる」13話「ラーメンキング」(7月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「英国一家、日本を食べる」13話「ラーメンキング」(7月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<13話あらすじ>

深夜のグルメ番組を見てラーメンを無性に食べたくなってしまったマイケルは、ついつい我慢できずコンビニへ駆け込むことに。そこで手に入れたインスタントラーメンでは飽き足らず、あくる日禁断の場所“ラーメンのテーマパーク”に足を踏み入れてしまう。そして出会ったのは自らをラーメンキングと名乗る男だった。ラーメンについて熱弁するキングにすっかり心酔したマイケルは、家族とともに福岡へ飛ぶ!
(公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)

北海道―――宿泊先のホテルにて深夜のグルメ番組を視ていたマイケルは空腹に耐えかねていた。
食べたい、アレが食べたい。

此処で言うアレとはインスタントラーメンのことである。
手に入れるのは容易だ。
近くのコンビニに駆け込めば良い。
だが……この時間帯に食べるのは健康上どうなのか!?

「食べちゃダメだ、食べちゃダメだ、食べちゃダメだ」
エヴァンゲリオンのシンジ君よろしく、自身に言い聞かせるマイケルであったが……。

十数分後、マイケルの目の前には空になったインスタントラーメンが転がっていた。
やってしまった……大いなる満腹感と多少の罪悪感に包まれるマイケル。
とはいえ、ラーメンは美味しいのだ!!

と言うワケで、その翌日のこと。
マイケルはラーメンを求めて1人でラーメンテーマパークを訪れていた。

ちなみに、ラーメンとは小麦粉を主原料とした麺にローストポークなどの具材を乗せたもののこと。
また、お手軽なインスタントラーメンは世界でも人気である。
そして、ラーメンテーマパークとは多数のラーメン店が並ぶラーメン好きには堪らない場所なのだ。

早速、店舗の1つに飛び込んだマイケル。
衝動に従い醤油味、味噌味、塩味と3杯も平らげてしまう。

やってしまった……昨晩に続いてまたも後悔の念を抱くマイケル。
それにしても人は何故、こんなにもラーメンを食べてしまうのだろうか!?
奥深い悩みに囚われたマイケルは我知らずそっと溜息を吐いた。

「おや、ラーメンでお悩みですか?」
そんなマイケルに声をかける人影が……。

「誰だ!?」とばかりに振り向いたマイケルの視線の先には7杯の丼が積まれていた。
すべてが見事に食べ尽くされている。
そして、丼の陰には見慣れぬ男性が座っていた。

その男性こそ「ラーメンキング」、「ラーメン界にこの人あり」と知られる人物である。
年に千杯食べるという彼の知識量は尋常ではなく、その知識を活かした多数の著書でも知られている。
実はマイケルのラーメン知識も彼の著作によるところが大きい。

憧れのラーメンキングに出会えた喜びに打ち震えるマイケルは彼に先程の疑問をぶつけてみた。

すると、ラーメンキングは「安さと食べ合わせにこそラーメンの魅力がある」と言う。
さらに「ラーメンには多様性があり、理想を捜し歩く楽しみがある」らしい。

「多様性?」と戸惑うマイケルにラーメンキングは説明を始めた。

ラーメンには「タレ」、「出汁」、「麺」の三要素がある。
タレを出汁で割った物がスープとなり、これに麺を絡めた物が「ラーメン」である。

まず、出汁には動物性、魚介、野菜の組み合わせで多様なバリエーションが存在する。
続いて、醤油、味噌、塩の3つが基本のタレとなる。
此の時点でも組み合わせは多数だ。
さらに麺も小麦粉、かん水の配分により変わって来る。
何より風土や季節によっても麺は変化する。
つまり、麺とスープの組み合わせによるラーメンの可能性は無限大なのだ!!

「ラーメンは宇宙だ!!」と熱く語るキング。
これにマイケルは目を潤ませて賛同する。

一方、キングは「稚内に良い店が出来た」と聞くやラーメン行脚に出てしまう。
これに誘われたマイケルだが、リスンたちを思い出し断ることに。

その翌日、マイケルは家族を連れ博多へと向かっていた。
誘いを断ったものの、やはりラーメンへの想いは絶ち切り難く博多の屋台街へ足を運んだのだ。

屋台とは移動式の簡易店舗のこと。
これが多数集まっているのが博多の屋台街である。
其処は餃子、ステーキなどなんでもござれだ。

エミルは周囲を見回し「なんこつ食べたい」と口にする。
どうやら、なんこつもお気に入りのようだ。

しかし、しか〜〜〜し。
今回のマイケルのお目当てはあくまでラーメンである。
ラーメンキングが認めた「博多とんこつラーメン」を食することに。

カウンターに出て来たのは乳白色のスープに満たされた丼であった。
「クリーミィ〜〜〜」
一口啜るや大喜びのマイケル。
これには同じくリスン、アスガー、エミルも大満足だ。

此処でふとマイケルは考えた。
キングは「ラーメンの魅力が多様性にこそある」と語っていた。
つまり、基本を知っているからこそ変化を楽しめるのだ。
だが、ラーメン初体験のアスガーやエミルも楽しめているではないか。
これはどうしたことか、初めてラーメンを食べたエミルでさえ魅了するラーメンの魅力とは!?

またも悩み始めたマイケル。
すると、前回同様に「おや、ラーメンでお悩みですか?」との声が。
まさか……慌てて隣を見遣ると其処にはキングが座っていた。

「此処で出会えるとは!!」感激したマイケルは悩めるラーメンの迷い子に導きの手をとばかりに先程の質問を行う。
多様性こそが魅力ならば初めてラーメンを食べても満足出来るのは何故か?と。

これにフムフムと頷くキング。

「理由はいろいろ考えられるさ。例えば、とんこつで出汁をとったスープは肉食の欧米人にも受け入れやすい。だが、ラーメンの魅力は他にもある!!」

熱く語り出したキングはさらに続ける。

「もっとシンプルになれ、マイケル!!考えるな、感じろ!!ただ1杯の丼こそが全てなのだ!!」

叫ぶや、キングは目の前の丼に挑み始めた。

ズルズル、ズズー。
麺を啜り、スープを吸うラーメンキングの食べっぷりはマイケルを感動させた。
マイケルは何やら答えを得たように「うんうん」と頷き始めた。

「全然。質問の答えになってないわ」
この遣り取りに唖然とするリスン、アスガーたち。

そんな家族のツッコミも届かない様子のマイケルはキングと2人の正解に没入している。
すると、キングの携帯に着信が。

「新潟に良い店が出来たとの情報が入った。君も行くかい?」

気さくに誘いかけるキングに、ふらふらとついて行こうとするマイケル。
だが、エミルに止められハッと正気に返った。

「いや、僕はお断りします」
「そうか……では、失礼しよう!!ラーメンの導きがあらんことを!!」
手を振るマイケルに見送られ颯爽と去って行くキング。

「人にはそれぞれ器がある、僕は自由より家族を選んだ」
何やら1人でまとめに入るマイケル。

「食べ物の為に家族を地球の反対側にまで引っ張りまわすことが自由でなければ何が自由なのかしら……」
リスンの声が夜空に消えて行く―――エンド。

<感想>

原作はマイケル・ブース著『英国一家、日本を食べる』と『英国一家、ますます日本を食べる』(共に亜紀書房刊)。
NHKさんにて毎週木曜日0時40分から1時まで放送中、全24話予定。

前半はマイケル一家を中心としたカートゥーンパート、後半はトシ視点のドキュメンタリーパートからなる。

この13話のテーマは「ラーメン」について。
その魅力について様々に語られました。

具体的には、カートゥーンパートでは「北海道と博多のラーメン事情」を中心に、実写パートでは「ラーメンブルース」と「ポップス調のインスタントラーメンの歌」が取り上げられました。
それぞれ「ラーメンブルース」では各地のラーメンが紹介され「東京ラーメン、富山の漆黒ラーメン、佐野ラーメン。名古屋の台湾ラーメン、和歌山、尾道、喜多方ラーメン、徳島ラーメン、つけ麺」などが挙げられました。
「ポップス調のインスタントラーメンの歌」では「インスタントラーメンに刻みトマトを乗せる」との調理法が歌われていましたね。

すなわち、ラーメンの魅力の1つがその多様性にあるのは間違いないでしょう。
「タレ」、「出汁」、「麺」の組み合わせにより生まれるバリエーション。
そして、ご当地ラーメンに代表されるような土地柄を活かした物も存在する。
それはインスタントラーメンでも同じなのでしょう。
ただ、これは大きな魅力の1つではあるが本編後半に浮上したように「それだけではない」。
その理由は語ることが出来るものから、語り尽くせないようなものまで、おそらく食べている我々1人1人に寄り添うような理由があるのかもしれません。
それこそ、ラーメン道の奥深さなのでしょう。

一方で、カートゥーンパートでは幾つかの遊びが盛り込まれていました。
例えば「食べちゃダメだ、食べちゃダメだ、食べちゃダメだ」でエヴァの碇シンジ君。
さらにラーメンキングの「ラーメン愛」が「スターウォーズ」のフォースそのものでしたね。
こういった遊び心も本作の魅力であり、同様にラーメンの魅力でもあるのでしょう。

ちなみに本作「英国一家、日本を食べる」の旨味も此の点にあるような気がします。
「多様性」とは「展開のバリエーション」、これが多ければそれだけ物語の懐も深くなる。
時にシリアス、時にバラエティ色豊かに、そして「専門性」や「テーマ性」が作品に問われ「ギャップ」や「メリハリ」が作品に彩りを添える。
さらに「視聴者の欲する情報やシチュエーション」が盛り込まれれば……面白いワケです。
次回も楽しみな作品です。

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原作「英国一家、日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)」です!!
英国一家、日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)





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同じく原作「英国一家、ますます日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)」です!!
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2015年07月23日

「エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY」シーズン1 12話「Mの悲劇」ネタバレ批評(レビュー)

「エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY」シーズン1 12話「Mの悲劇」ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

公認会計士ヴィッカーズの家で、大量の血だまりが発見された。ヴィッカーズが殺されたと見られるが、死体はない。犯人の手がかりはまったくなかったが、ホームズはロンドンで追跡していた連続殺人犯Mによるものだと直感する。被害者を逆さ吊りにし、血をすべて抜いてから死体を遺棄する手口が彼の特徴なのだ。Mの顔は誰も見たことがなかった。分署を挙げて捜査をしようとしていたとき、ホームズの家にMの声明文が届いて……。
(公式HPより)


<ネタバレあらすじ>

大男に三脚から逆さ吊りにされる男、彼こそは哀れな被害者である。
三脚に逆さで固定された男の首に大男が手にするナイフが光る。

数時間後、公認会計士ヴィッカーズ宅で大量の血溜が発見された。
どうやら、冒頭の被害者こそヴィッカーズだったようだ。
だが、肝心の死体が持ち去られていた。

事件発生の報を受けて、現場に駆け付けたホームズはこの様子に宿敵の存在を嗅ぎ取る。
その名は「M」。

ホームズがロンドンで追跡しながら、遂に捕まえられなかった猟奇連続殺人鬼である。
ホームズによれば、この猟奇性は演出の可能性が高く「M」は非常に高度な知性の持ち主らしい。
さらに、ホームズが知るだけで37人を殺害しているとのことだが……。

その「M」が何故、ニューヨークへ?
さらに「M」登場以来、何処か様子が異なるホームズにワトソンは不安に駆られる。

矢先、ホームズ宅に「M」からの挑戦状が届く。
これにワトソンらは不敵との印象を受けるが……。

一方、ホームズは事あるを予期しカメラを仕掛けていた。
これにより「M」の姿を捉えたホームズ。
だが、誰にも明かすことなく密かに捜査を続ける。

数日後、ホームズの留守中に少年がやって来た。
何でもホームズが探していた相手を見つけたらしい。
少年の手にある写真を目にしたワトソンは驚愕する。
それこそ予告状を仕掛ける「M」の姿だったからだ。

ホームズが何かを隠していることを察したワトソンはホームズを問い詰める。
これにホームズは1年半前にアイリーンが「M」に殺害されたことを打ち明ける。
ホームズにとって「M」はアイリーンの仇。
だからこそ、自身の手で裁くつもりらしい。

止めようとするワトソンだが、ホームズは聞かない。
遂には家を出てしまう。

ワトソンはグレッグソン警部に急報しホームズの復讐阻止に動く。

一方、ホームズは例の少年から「M」の居場所と次の標的を聞き出していた。
先回りしたホームズは「M」を不意討ちし虜にする。

後手に回るワトソンとグレッグソン警部。
ホームズの立ち回り先を予測し追跡することに。

その頃、ホームズは「M」を追及していた。
これに「M」は名を「セバスチャン・モラン」であること。
さらに「自分は殺し屋として雇われているだけだ」と主張。
遂には、36件の犯行は認めるが「アイリーンは殺害していない」とアリバイまで伝え出す。

驚くべき事実に呆然とするホームズ。
そんなホームズにモランは「雇い主の名がモリアーティであること」を明かすのであった。

数時間後、ワトソンたちは事態が急変したことを知る。
ホームズが「M」ことモランを出頭させたのだ。

モランはモリアーティに裏切られたことを察したのだ。
その上で、ホームズに共闘を申し込んだ。
知り得る限りの情報を教える代わりに、モリアーティへの復讐を依頼したのだ。
ホームズはこれに応じ、モランを出頭させたのである。

もはや、今のホームズにあるのは「打倒、モリアーティ」のみ。
いよいよ、敵の姿が見えたのだ―――12話了。

<感想>

「現代版シャーロック・ホームズ」と言えば2つの作品が挙げられます。
1つが英国「SHERLOCK(シャーロック)」、そしてもう1つが米国「エレメンタリー」。
本作「エレメンタリー」はワトソンが女性との大胆なアレンジを加えた「現代版シャーロック・ホームズ」なのです。

その第12話。
いよいよ見えて来た「モリアーティ」の影。
このモリアーティ、何故、モランをホームズに引き渡すような真似をしたかと言えば……。
その秘密は21話から最終話(24話)にかけて明かされ始めます。

ちなみにポイントと言えば、この「エレメンタリー」ではアイリーンの秘密が凄いです。
なにしろ、彼女こそが……なんだもんなぁ。
アレには本当に驚いた。
当批評(レビュー)で本作に興味を抱かれた方は、是非、本作を視て欲しい。

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【エレメンタリー関連】
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「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第97話「ピーター氏の遺産」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年8月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第97話「ピーター氏の遺産」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年8月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
森羅:主人公。C.M.B.の指輪の主。多大な影響力を持つ。
七瀬立樹:森羅のパートナー。身体を動かすことが得意。

マウ・スガール:「ブラック・マーケットの魔女」と呼ばれる少女。
ピーター・シモン:資産家。射殺される。
カティア・シモン:ピーターの妻。
リディア・シモン:ピーターとカティアの娘。
エンゾ・シモン:ピーターとカティアの息子。

<97話あらすじ>

「ブラック・マーケットの魔女」と呼ばれるマウ・スガールに連れられ森羅が訪れたのは資産家のシモン家。
其処で森羅はカティア・シモンとその子供たち、娘・リディアと息子・エンゾに迎え入れられる。

シモン家ではカティアの夫であったピーターが急死。
その莫大な遺産が彼らが住む屋敷の何処かに隠されているとされていた。
しかし、カティアはそれが何処にあるのか分からない。
其処でマウを通じて森羅たちを招いたのだ。

しかし、カティアは何かを隠している様子。
森羅がマウを問い質したところ、驚愕の事実が判明する。

なんと、カティアはピーター殺害の罪で起訴されていたのだ。
だが、正当防衛で無罪となっていた。

マウから語られた経緯は次の通りである。

その日、カティアとピーターは庭に植えた花が原因で揉めた。
このとき、カティアは怒りのあまりピーターへ植木鉢を投げつけ彼を負傷させた。
その夜、ピーターは猟銃を手にカティアの部屋へ乱入。
室内に居たカティアが護身用の銃で射殺したとされていたのである。

この様子は廊下に仕掛けられた防犯カメラの映像でもある程度確認されていた。
慌てるように自室を出たピーターは猟銃を手にカティアの部屋の扉を開けたのである。
其処で猟銃を構えたところを銃撃され廊下で倒れた。
少しして、部屋の中からカティアが現れピーターに駆け寄り事件を通報したのだ。

カティアの部屋の中が見えないことと、音声が録音されていないことを除けばカティアの供述通りである。

と、森羅はピーターの部屋の様子に違和感を覚えた。
其処にはピーターの趣味が作りかけの状態で放置されていたのだが……。

森羅はピーターの遺産の在処を明かすと共に事件の真相を明らかにする。

まず、森羅はピーターにカティア殺害の意図は無かったと断定。
何故なら、ピーターに殺意があれば趣味を放置して猟銃を持ち出さないからだ。
少なくとも完成させるか、片付けてから事に及ぶだろう。

つまり、ピーターはカティアの部屋から聞こえた何かに驚いて駆け付けたのだ。
そして、射殺された。

だが、これはカティアの犯行ではない。
部屋から飛び出したのはカティアだが、もう1人部屋に居たのだ。
それがエンゾであった。

エンゾはピーターとカティアの喧嘩の現場を目撃し、植木鉢を父に投げつけたカティアに激怒した。
其処で深夜に部屋に押しかけ詰問したのだ。

しかし、カティアは全く後悔する様子を見せない。
逆上したエンゾはカティアの護身用の銃を持ち出し、彼女に突き付けた。
この騒動を聞き付けたピーターが誤って射殺されてしまったのだ。

ピーターを介抱しようとしたカティアは彼がエンゾを庇うように言い残した為に、彼を庇ったのであった。

一方、ピーターの遺産は屋敷には存在していなかった。
ピーターは家族との想い出の城を家族に黙って購入し、其処に高価なコレクションの形で遺産を残していたのである。

全てを暴かれたエンゾは両親に守られていたことを改めて確認し、罪を償う道を選ぶことに―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン」2015年8月号掲載「97話 ピーター氏の遺産」です。

トリッキーさには欠けるものの、全体の構図がなかなかの一編。
主に家族間における人間関係を描いています。

それにしてもシモン家は男女ではっきりと分かれていたのでしょうか?

例えば、ピーターと彼の行動を理解出来ないながらも支持していたエンゾ。
そんなピーターの行動を同じく理解出来ず、それ故に批判的であったカティアとリディア。

結局、ピーターはカティアには内緒で城を買っており、これをカティアが全く気付かず(その必要がない買い物なので気付くことは難しい)にいたワケですが、これも俗に言う「夢を追う男性と現実を追う女性」の差異だったのかもしれません。

そしてまた、俗に「夫婦のことは夫婦にしか分からない」と言われるように、日頃、息子であるエンゾの目から見て仲が悪そうに見えた夫妻が息子のことで一致団結し共に身を犠牲にして守ろうとした点は重要でしょう。
確かに、エンゾからすれば不仲に見えた夫妻も実際はそれほどでも無かったのかもしれません。

此処で冒頭の問いに戻りますが、分かたれていたように見えた家族ですが実は根底で繋がっていたのでしょう。
それを証明するように夫妻が息子を庇い、息子もまた父母を想った。
つまり、家族自身も理解していなかったが彼らは確かに家族であった。
其処がこの物語のポイントなのではないでしょうか。

次回にも期待!!

ちなみに、あらすじでは良さを伝え切れてません。
本作自体を読むべし!!

それと「Q.E.D.iff ―証明終了―」と「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」で記念イベントが開催中とのこと。
詳しくは下記の過去記事をどうぞ!!

【2015年】あなたが「Q.E.D.iff ―証明終了―」と「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」に登場する!?記念イベントに参加せよ!!

◆関連過去記事
【「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」シリーズ】
「C.M.B. 森羅博物館の事件目録(「月刊少年マガジン」2012年6月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録(「月刊少年マガジン」2012年7月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録(「月刊少年マガジン」2012年8月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録(「月刊少年マガジン」2012年9月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 67話 ガラスの楽園・前篇(「月刊少年マガジン」2012年10月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 68話 ガラスの楽園・後編(「月刊少年マガジン」2012年11月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 69話「螺旋の骨董品店」(「月刊少年マガジン」2012年12月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 70話「4枚目の鏝絵」(「月刊少年マガジン」2013年1月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 71話「足摺厚焼き卵店」(「月刊少年マガジン」2013年2月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 72話「Nobody」(「月刊少年マガジン」2013年3月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 73話「グラウンド」(「月刊少年マガジン」2013年4月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 74話「二笑亭」(「月刊少年マガジン」2013年5月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第75話「ダイヤ泥棒」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年6月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第76話「レース」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年8月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第77話「掘り出し物」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年9月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第78話「バッグ ストーリー」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第79話「その朝、8時13分」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2013年7号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第80話「香木」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年12月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第81話「ゴンドラ」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年1月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第82話「ライオンランド(前篇)」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年2月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第83話「ライオンランド(後篇)」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年3月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第84話「兆し sign」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年4月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第85話「アステカのナイフ」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年5月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第86話「爆破予告」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年7月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第87話「幸運」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年8月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第88話「キジムナー」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年9月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第89話「空き家」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第90話「プラクルアン」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年11月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第91話「ホリデー(前編)」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年12月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第92話「ホリデー(後編)」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年1月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第91話「被害者、加害者、目撃者」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年2月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第92話「椿屋敷」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年3月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第93話「自白」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年4月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第94話「ドリームキャッチャー」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年5月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第95話「宗谷君の失踪」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年6月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第96話「JOKER」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年7月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B.番外編 M.A.U. “ブラック・マーケットの魔女”の事件目録 箪笥の中の幽霊」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2013年6号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【「Q.E.D.証明終了」シリーズ】
「Q.E.D.証明終了(「月刊少年マガジン+(プラス)」2012年3号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス)」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了(「月刊少年マガジン+(プラス)」2012年4号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス)」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 金星(「月刊少年マガジン+(プラス)」2013年5号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス)」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 初恋」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年7月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 失恋」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2013年6号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 巡礼」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 陽はまだ高い」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2013年7号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 代理人」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2014年8号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 iff」1話(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジンR 2015年1号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了iff」2話「素っ裸の王様」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジンR 2015年2号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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