水曜ミステリー9「小杉健治サスペンス 保身 正義の刑事が巨大権力に挑む緊迫のドラマ!絞殺事件とひき逃げ…2つの裏に警察が隠す重大な過ち 空白4時間の謎」(7月1日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!
<あらすじ>
職場でも家庭でも面倒事に巻き込まれないよう生きてきた“ことなかれ主義”の捜査一課五係主任刑事・宮下文也(小泉孝太郎)。一匹狼の上司・藤浦静香(泉ピン子)が定年を迎えたため、気が進まないながらも送別会に顔を出す。宮下以外のメンバーは管理官の蓮見大吾(木下ほうか)を囲んで盛り上がるが、当の蓮見は電話で呼び出されたのか途中で退席してしまう。
数日後、ある団地で女性の絞殺体が発見される。死亡推定時刻は、偶然にも静香の送別会が行われていたのと同じ頃だった。被害者の大畑真智子(阿部朋子)は外出着姿で殺されており、帰宅した際、室内に身を潜めていた犯人に襲われたらしい。近頃、県警内で不祥事が続いているため名誉挽回に燃える管理官・坂江川義久(相島一之)の指示のもと、宮下らは捜査にあたる。
事件現場周辺での聞き込みに向かった宮下は、鑑識課の須崎貴史(水橋研二)と遭遇。絞殺事件と同じ日に、殺害現場の近隣の道路でひき逃げ事件があり、田畑忠幸(おかやまはじめ)という男性が死亡したことを聞く。そこへ、持ち去られていた大畑真智子のクレジットカードを使おうとした男がいるとの情報が入る。防犯カメラの映像を手掛かりに犯人の特定を急ぐ中、宮下は東深津署のベテラン刑事・下川正春(エド山口)から呼び出される。防犯カメラに映っていた人物が、7年前に殺人未遂で逮捕し取り調べた金谷次郎(伊東孝明)に酷似しているというのだ。しかも金谷はつい最近出所し、下川のところへ挨拶に来たという。
下川の情報をきっかけに捜査は大きく進展し、都内で金谷の身柄が拘束される。金谷の取り調べにあたった宮下だったが、金谷は終始余裕の表情を浮かべ殺人容疑を否認。しかも突然、宮下は捜査担当から外されてしまう。本部長の村瀬孝雄(中村橋之助)直々の命令と聞き、従わざるを得ない宮下。金谷次郎の容疑はクレジットカードの窃盗のみに絞り捜査をすることになったという。
突然、捜査方針が変更されたことを不審に思う武蔵新報の記者・羽村真琴(片瀬那奈)は、刑事を引退した静香のもとを訪ねる。
上層部の命令に納得がいかない宮下が再び事件現場の団地へ足を運ぶと、そこには静香の姿があった。静香は宮下に、金谷がひき逃げ事件の現場を目撃した可能性があると語る…。
そして徐々に、絞殺とひき逃げの二つの事件は、警察組織を揺るがすつながりを見せ始める!
(公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……宮下文也は捜査一課五係主任刑事。
彼は「事なかれ」を信条に生きて来た。
上司の命令は絶対でそれに従って来た―――だからこそ、今の彼の地位があるのだ。
宮下は現状に満足していた。
そんな中、一匹狼の上司・藤浦静香が定年を迎え、送別会が行われた。
静香は宮下とは真逆で「上司に異を唱えること」も辞さない性格。
当然、宮下は表立ってこそ反発しないものの、内心では静香を敬遠していた。
宮下としては送別会に参加すること自体が気乗りしないことであった。
とはいえ、送別会にはエリート管理官として知られる蓮見大吾も参加している。
蓮見の覚えが目出度くなることは宮下にとっても喜ばしいことであった。
こうして参加した宮下であったが、当の蓮見は早々に帰ってしまう……。
数日後、大畑真智子の絞殺体が発見された。
どうやら、帰宅したところを潜んでいた犯人に殺害されたらしい。
そして、死亡推定時刻は奇しくも静香の送別会が行われていたその時であった。
この事件を担当した管理官・坂江川義久は宮下たちに何としても犯人を捕らえろと厳命を下す。
実は内部で横領やセクハラなど不祥事が頻発したことからバッシングが続いており、組織の信頼回復の為にも此処で実績を挙げておく必要があったからだ。
こうして捜査に乗り出した宮下。
現場周辺で聞き込みを行ったところ、奇しくも犯行時刻付近に現場近くで轢き逃げ事故が発生していたことを知る。
なんでも、田畑忠幸なる男性が轢き逃げされ死亡したのだそうだ。
矢先、事件後に真智子のクレジットカードを使用した人物が浮上。
その人物は7年前に殺人未遂で逮捕されていた窃盗犯・金谷次郎であった。
金谷が真智子宅に盗みに入り、彼女と遭遇した為に殺害したと思われた。
こうして、金谷が容疑者として追われることに。
すぐに身柄が確保されたのだが……。
何故か、金谷は余裕の表情を崩さない。
しかも、宮下が目を離した隙に金谷は坂江川と接触する。
金谷から何かを聞かされた坂江川は顔色を失い、本部長の村瀬孝雄に連絡を入れる。
数時間後、宮下は本部長命令により捜査から外されることに。
しかも、金谷は殺人ではなく窃盗容疑のみの被疑者とされてしまった。
これに納得のいかない宮下だが……。
同じ頃、静香のもとをやり手の記者・羽村真琴が訪れていた。
真琴は宮下が捜査から外されたことや、金谷の容疑が窃盗のみとされたことに疑惑を抱き、静香を動かそうと考えたのだ。
真琴から事態を聞かされた静香は上層部の思惑に気付き、密かに動き出した。
翌日、未だに納得が出来ず現場前に立ち尽くしていた宮下は静香と出会う。
静香は宮下から状況を聞き出すと、金谷が轢き逃げ現場を目撃し取引しているのではないかと推測を口にする。
まさか……と戸惑う宮下。
静香の推測が正しければ、金谷が目撃した轢き逃げ犯は取引に応じることが出来る上層部の関係者になってしまうのだ。
そんな中、さらに宮下を動揺させる事態が発生。
なんと、田畑が真智子殺害と窃盗の容疑者とされたのだ。
これにより、金谷は釈放されることに。
金谷の犯行を確信する宮下は静香の推測が的中していることを確信。
調べたところ、宮下の知らないところで金谷が「蓮見を呼べ!!」と叫んでいたことが分かる。
もしも、轢き逃げ犯が蓮見だとしたら……。
蓮見は送別会の帰路に飲酒運転し轢き逃げしてしまったことになる。
これは大変なスキャンダルだ。
だからこそ、村瀬らは必死に隠蔽しようとしているのだろう。
その頃、村瀬は蓮見や坂江川らを前に次なる手を講じていた。
それは組織を守る為の強硬策であった。
翌日、金谷が謎の転落死を遂げた。
此処に宮下は察した、金谷は口封じされたのだ。
あまりの遣り口に憤りを感じた宮下は静香や真琴と共に告発に動き出す。
まずは、真智子殺害の罪を着せられた田畑の無実を証明すること。
田畑には死亡前に空白の4時間が存在し、だからこそ犯人とされていたのだが。
これがボランティアを行っていたことを突き止めた。
続いて、真琴はこの事実を記事にし田畑の無実を訴えた。
新事実の発覚に、世間の注目が集まり始めた。
此処に村瀬らは蓮見を切り捨てることに。
その夜、蓮見が自殺した。
当事者の死により事件は幕引きとなった。
宮下は真琴に情報を流したことが原因で職を追われることとなった。
その翌日のことである。
村瀬らの罪を追及出来なかったことを悔やむ宮下のもとへ、真琴から連絡が入った。
なんと、蓮見が告発文を遺していたのである。
これにより、村瀬らの罪は白日のもとに曝されることとなった―――エンド。
<感想>
ドラマ原作は、小杉健治先生『保身』(双葉社刊)。
あらすじは次の通り。
<あらすじ>
殺人犯が現場から逃走するときに目撃したのは、県警幹部が犯した轢き逃げだった。県警側は幹部を庇い、殺人事件の捜査すらも、捻じ曲げようと画策する。その事実を知った殺人事件の担当刑事が苦悩の末に出した結論は!? 守るべきは正義か、組織か!?
(双葉社公式HPより)
では、ドラマ感想を。
「組織の正義」と「個人の正義」、それに伴う「組織による隠蔽工作」と「抵抗する個人」との構図でしたね。
結末も「勧善懲悪」で後味は良かったですね。
ただ、扱っているテーマに比して全体的なトーンが些か軽過ぎたかなぁ……。
もう少し、視聴者にテーマについて考えさせる余地を残しても良かったかなぁ……とは思う。
そうなると重くなり過ぎるので避けたのかな?
ちなみに、蓮見の告発文は彼の正義というよりは彼を見捨てた村瀬たちへの復讐だったような気がしますね。
正義だと言うのならば、もっと前の段階で告発していただろうし。
それと蓮見の告発文で村瀬たちが一掃出来るかどうかは不明かなぁ……。
あの後の村瀬たちの裏工作とそれに対抗する宮下たちとの丁々発止こそが寧ろ物語として盛り上がりそうなんだけどなぁ。
これまた重くなり過ぎるので避けたのかな?
とはいえ、キャスト的には小泉孝太郎さん、泉ピン子さん、中村橋之助さん、片瀬那奈さん、嶋田久作さん、紺野まひるさん、大後寿々花さん、木下ほうかさん、相島一之さんと豪華キャストだったので満足です。
それにしても、最近の中村橋之助さんは悪役が多い印象。
これはこれで意外な側面が見られてアリなのですが、実は管理人は中村橋之助さんのファンでもあるのです。
そろそろ主人公を助ける役割でも登場して欲しい!!
また、小泉孝太郎さん、嶋田久作さん、木下ほうかさんのファンでもあるので今回はキャストの点で相当楽しめました。
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宮下文也:小泉孝太郎
藤浦静香:泉ピン子
村瀬孝雄:中村橋之助(特別出演)
羽村真琴:片瀬那奈
木藤邦彦:嶋田久作
宮下圭子:紺野まひる
田畑亜利沙:大後寿々花
蓮見大吾:木下ほうか
坂江川義久:相島一之
金谷次郎:伊東孝明
増沢良三:田中隆三
須崎貴史:水橋研二
下条誠司:阿部亮平
井村和人:乃木涼介
下川正春:エド山口 ほか
(公式HPより転載、順不同、敬称略)