2015年07月08日

「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第15話「秘書の証言」(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第15話「秘書の証言」(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)です!!

登場人物一覧:
英玖保嘉門:往年の名探偵、引退を考えていたが……。ポアロポジション。
朝倉平助:英玖保の元助手、ブラジルから帰国した。ヘイスティングズポジション。
日之元警部:英玖保や朝倉と知己の警部。共に多くの事件を解決した英玖保を信頼している。
布村女史:英玖保嘉門の古馴染、ライバルにして同志。

ABC:英玖保に挑戦状を送り付けた犯人。
阿部力:『歯車』に執着する男。
馬老大人:華僑の元締。英玖保の依頼人。

芦屋留三:安の別れた夫。
芦屋安:煙草屋を経営する老女、第一の被害者。
土浦まり子:安の姪。

坂東美代:弁天島のカフェに勤める女給。第二の被害者。
鳴門降三:美代の婚約者。
灰川善太郎:静岡県警察部長。
片山清:浜松署署長。
黒武:浜松署の刑事。実は英玖保のファン。

千代田千寿郎:千倉に住む富豪。第三の被害者。
千代田祐司郎:千寿郎の弟。
ソーラ・グレコワ:千寿郎の女性秘書。

<15話あらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

バーバラ・アレンの死の真相を暴いた名探偵・英玖保嘉門。
そんな英玖保に「ABC」を名乗る人物から挑戦状が届く!!

矢先、浅草の「芦屋煙草店」の店主・芦屋安が何者かに殺害されてしまう。

英玖保は芥川龍之介『歯車』の一節を口ずさむ男に注目。
一方、当のその男―――阿部力はある手紙をしたためていた。

そして、英玖保に宛てて「ABC」から第二の挑戦状が届く。
その場所は「B」で始まる「弁天島」であった。
犯行を阻止するべく向かった英玖保だが、時既に遅く坂東美代が殺害されてしまう。

さらに、第三の挑戦状により「千倉」での犯行が示唆された。
早速、駆け付けた英玖保たちだが、またも犯人に先を越され被害者が……。

・前回はこちら。
「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第14話「第三の被害者」(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

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「第三の事件」を阻止出来なかったことにより、公開捜査が開始。
マスコミはセンセーショナルな三件の連続殺人を「ABC殺人事件」と名付け連日書き立てた。

そんな中、英玖保嘉門は第三の被害者・千代田千寿郎について調査を進めていた。
秘書であるソーラ・グレコワに話を聞く英玖保。

すると彼女は千寿郎に好意を抱いていたことを打ち明けた。
とはいえ、男女の仲ではなく病床にある千寿郎の妻も同様に尊敬しているらしい。

これを聞いた英玖保は千寿郎の妻に話を聞くべく足を運ぶと告げる。
途端に、何やら表情を失くすソーラ・グレコワ。

一方、阿部は「ABC殺人事件」の報道を受けて自身が犯人ではないかと悩み始めていた―――16話に続く。

<感想>

エルキュール・ポワロが名探偵・英玖保嘉門として我々ファンの前に再臨しました!!
この英玖保嘉門、まさにポアロそのものの容姿です。
そして、その助手である朝倉もまた、まさに和製ヘイスティングズとの風貌。
これはかなり期待出来そうな作品ではないでしょうか。

情報によると、遂にそんな本作の1巻が発売準備中とのこと。
見逃すな!!

その15話、サブタイは「秘書の証言」。
秘書であるソーラ・グレコワが登場しました。
一方で、阿部が悩み始めることに。
今のところ、大筋は原作通りか!?

そもそも、三件目に限って予告状到着に差異が出たのは何故か?
その意味は明瞭です、三件目の犯行のみは何としても阻止されるワケにはいかなかったから。

なお、3話までの原作『厩舎街の殺人』は早川書房『死人の鏡』収録作品なので興味のある方はチェックするべし!!

そうそう、ポアロと言えばデビッド・スーシェ版「名探偵ポワロ」のBlu-ray BOX化が明らかになりました。
なんと、2ボックス構成でそれぞれ「BOX1」が2015年11月3日、「BOX2」が2015年12月18日発売予定とのこと。

【注目せよ】遂にデビッド・スーシェ版「名探偵ポワロ」Blu-ray BOXが発売決定とのこと!!

他にも2015年1月には三谷幸喜先生版「オリエント急行の殺人」が2夜に渡って放送されました。
こちらでのポアロポジションは「勝呂武尊」。

フジテレビ開局55周年特別企画「オリエント急行殺人事件 第1夜(前編) 原作アガサ・クリスティ 黒幕三谷幸喜 史上最も豪華な容疑者たち・世紀の話題作は今夜発進!」(1月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)

フジテレビ開局55周年特別企画「オリエント急行殺人事件 第2夜(後編) 原作アガサ・クリスティ 黒幕三谷幸喜 犯人側から事件を描く世界が初めて目にする復讐劇・今夜完結!」(1月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

過去には赤冨士鷹も居ましたし、今度は勝呂武尊に英玖保嘉門とポアロこそ、まさに八面六臂の活躍を示す怪人物となりつつあるようです。
同時にこれはシャーロック・ホームズに続くエルキュール・ポアロブーム到来の兆しか!?

それを証明するように「カフェ・ポアロ」も期間限定オープン。
こちらは2015年2月27日(金)まででした。

さらに幻のシリーズ続編『ポアロとグリーンショアの阿房宮』も2015年1月9日に発売!!

2015年はポアロがブームに!?先駆けとなる「カフェ・ポアロ」が期間限定でオープンとのこと!!

やっぱりポアロブーム!!幻のポアロシリーズ続編『ポアロとグリーンショアの阿房宮』が2015年1月9日発売!!

ポアロシリーズと言えば、公式に正統続編として認められた『モノグラム殺人事件』もあります。
ファンはチェックせよ!!

これまでの登場人物一覧:
英玖保嘉門:往年の名探偵、引退を考えていたが……。ポアロポジション。
朝倉平助:英玖保の元助手、ブラジルから帰国した。ヘイスティングズポジション。

・「厩舎街の殺人」編(1話から3話まで)
馬老大人:華僑の元締。英玖保の依頼人。
加藤警部:地元の警部。
バーバラ・アレン:被害者。
プレンダーリース:バーバラと同居していた女性。
西喜一郎:バーバラの婚約者。
ユースタス:バーバラの元夫。貿易商。

・「ABC殺人事件」編(4話以降)
日之元警部:英玖保や朝倉と知己の警部。共に多くの事件を解決した英玖保を信頼している。
布村女史:英玖保嘉門の古馴染、ライバルにして同志。
ABC:英玖保に挑戦状を送り付けた犯人。
阿部力:『歯車』に執着する男。
馬老大人:華僑の元締。英玖保の依頼人。
芦屋留三:安の別れた夫。
芦屋安:煙草屋を経営する老女、第一の被害者。
土浦まり子:安の姪。
坂東美代:弁天島のカフェに勤める女給。第二の被害者。
鳴門降三:美代の婚約者。
灰川善太郎:静岡県警察部長。
片山清:浜松署署長。
黒武:浜松署の刑事。実は英玖保のファン。
千代田千寿郎:千倉に住む富豪。第三の被害者。
千代田祐司郎:千寿郎の弟。
ソーラ・グレコワ:千寿郎の女性秘書。

◆関連過去記事
「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第1話(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

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「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第13話「第三の手紙」(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第14話「第三の被害者」(作画・星野泰視 原作・アガサ・クリスティー、小学館刊『ビッグコミックオリジナル』連載中)ネタバレ批評(レビュー)

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【書評(レビュー)】
・「ホロー荘の殺人」ネタバレ書評(レビュー)
「ホロー荘の殺人」(アガサ・クリスティー著、中村能三訳、早川書房刊)

『オリエント急行の殺人』(アガサ・クリスティー著・山本やよい訳 、早川書房刊)ネタバレ書評(レビュー)

・ポアロシリーズ最終作「カーテン」ネタバレ書評(レビュー)はこちらから。
「カーテン」(アガサ・クリスティー著・中村能三訳 、ハヤカワ書房刊)

「ねじれた家」(アガサ・クリスティ著、早川書房刊)ネタバレ書評(レビュー)

【映像化作品】
フジテレビ開局55周年特別企画「オリエント急行殺人事件 第1夜(前編) 原作アガサ・クリスティ 黒幕三谷幸喜 史上最も豪華な容疑者たち・世紀の話題作は今夜発進!」(1月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)

フジテレビ開局55周年特別企画「オリエント急行殺人事件 第2夜(後編) 原作アガサ・クリスティ 黒幕三谷幸喜 犯人側から事件を描く世界が初めて目にする復讐劇・今夜完結!」(1月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

【映画化関連情報】
【速報】ミス・マープルものがディズニーで映画化されるとのこと!!

アガサ・クリスティ原作「ねじれた家(Crooked House)」が映画化!!

アガサ・クリスティー原作映画「ねじれた家」キャスト発表!!

シュワちゃんがアガサ・クリスティ原作映画に出演!?「そして(敵が)誰もいなくなった」な映画のタイトルは「サボタージュ(原題)」!!

映画「オリエント急行殺人事件」がリメイクとのこと!!

【イベントその他】
アガサ・クリスティー生誕120年展覧会開催中!!

金沢にてアガサ・クリスティー原作「検察側の証人」舞台上演決定!!

舞台「検察側の証人」東京公演決定!!

「名探偵ポワロ」ニュー・シーズン DVD-BOX3は2010年12月3日発売開始!!

アガサ・クリスティ「ポアロにうんざり」発言にファン「え〜〜〜っ!!」と叫ぶ

「ザ・リッツ・カールトン大阪」にて「アガサ・クリスティー ナイト」開催!!

【注目】「アガサ・クリスティ大事典」が話題に

「名探偵ポワロ DVDコレクション」刊行中!!

アガサ・クリスティー『オリエント急行の殺人』が初の邦版翻案ドラマ化!!その名は「オリエント急行殺人事件」!!

2014年の今もポアロシリーズ続編が刊行されていた!?その名も『モノグラム殺人事件』(早川書房刊)に注目せよ!!

2015年はポアロがブームに!?先駆けとなる「カフェ・ポアロ」が期間限定でオープンとのこと!!

やっぱりポアロブーム!!幻のポアロシリーズ続編『ポアロとグリーンショアの阿房宮』が2015年1月9日発売!!

【注目せよ】遂にデビッド・スーシェ版「名探偵ポワロ」Blu-ray BOXが発売決定とのこと!!

「ABC殺人事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)」です!!
ABC殺人事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)





これを読めばあなたもアガサ・クリスティー通!!
「アガサ・クリスティー完全攻略」です!!
アガサ・クリスティー完全攻略





こちらもアガサ通必読の書!!
「アガサ・クリスティ大事典」です!!
アガサ・クリスティ大事典





「名探偵ポワロ Blu-ray BOX1」です!!
名探偵ポワロ Blu-ray BOX1





「名探偵ポワロ Blu-ray BOX2」です!!
名探偵ポワロ Blu-ray BOX2





こちらは「名探偵ポワロ 全巻DVD-SET」です!!
名探偵ポワロ 全巻DVD-SET





アガサ・クリスティを語るには下記の3作は必須!!
是非、この機会に一読を!!

「そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)」です!!
そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)





「アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)」です!!
アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)





「オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)」です!!
オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)



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『ナイフを失われた思い出の中に』(米澤穂信著、東京創元社刊『街角で謎が待っている がまくら市事件』収録)

『ナイフを失われた思い出の中に』(米澤穂信著、東京創元社刊『街角で謎が待っている がまくら市事件』収録)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

ここ蝦蟇倉(がまくら)市では、不可能犯罪がよく起こる。廃墟や神社に死体を隠す少女、互いに秘密を抱えたまま無人の球場で会話する高校生、そして事件を追って街を訪れるルポライター。高台にあるレストランで、古書マニアが住むアパートの一室で、森の中の美術館で──。この街で起こる事件は、仕掛けと遊び心に満ちている。架空の都市を舞台に同世代の人気作家が競演する「街」の物語。(『蝦蟇倉(がまくら)市事件2』を文庫化にあたり改題) 解説=福井健太
(東京創元社公式HPより)


<感想>

本作『ナイフを失われた思い出の中に』は「ベルーフシリーズ」の1作です。
「ベルーフシリーズ」は『さよなら妖精』(東京創元社刊)に登場した太刀洗万智を主人公とするシリーズ作品のこと。

『さよなら妖精』(米澤穂信著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)

これまでに発表されている作品は、長編が『さよなら妖精』の1作、短編が『失礼、お見苦しいところを』、『恋累心中』、『ナイフを失われた思い出の中に』、『名を刻む死』の4作品。
これに2015年7月発売予定のシリーズ最新作『王とサーカス』が続きます。

「名を刻む死(ミステリーズ!vol.47掲載)」(米澤穂信著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)

そんな本作ですが特に『さよなら妖精』との繋がりが深い作品となっています。
作中でも伏線が配されラストにて明かされますが、ヨヴァノヴィチはマーヤ(『さよなら妖精』の登場人物)の兄だったんですね。
つまり、『さよなら妖精』ラストで万智に手紙を出したその人と言うことになります。

おそらく、タイトル『ナイフを失われた思い出の中に』にも2つの意味があると思われます。

まず、良和がナイフを隠した場所のこと。
此の場合、「焼失した図書館跡」が「焼失した=失われた」と「図書館跡=頭=記憶=思い出」となりそうです。

そして、万智とヨヴァノヴィチによる「失われたマーヤの思い出」を偲ぶこと。
此の場合、ナイフとは「万智が切れ味鋭く良和の心情を看破したこと」あるいは「良和が起こしたとされる痛ましい事件そのもの」を指すことになりそうです。

ちなみに、本作の舞台は『さよなら妖精』から15年後。
2015年7月発売予定のシリーズ最新作『王とサーカス』は『さよなら妖精』から10年後。
つまり、『王とサーカス』よりも5年後の出来事となります。
此の点も注目すべきでしょう。

ちなみに、未収録短編もそろそろ短編集で単行本化されないかなぁ……とファンとしては切に願うところ。

ネタバレあらすじは大幅に改変しています。
興味のある方は本作それ自体を読むことをオススメします!!

<ネタバレあらすじ>

その日、ヨヴァノヴィチは蝦蟇倉の街にやって来た。
妹の友人・太刀洗万智と会う為だ。
万智もまた蝦蟇倉を仕事の為に訪れていたのである。

万智と出会ったヨヴァノヴィチは若く見える彼女に驚く。
そんなヨヴァノヴィチに万智はあれから15年が経過していることを告げた。
実に15年、それはヨヴァノヴィチと万智にとって非常に長い時間であった。

ヨヴァノヴィチは万智を良く知る為に彼女の仕事に同行したいと申し出た。
今度は万智が驚く番だったようだが、彼女はこれを了承した。

迂闊なことに万智の仕事を知らないヨヴァノヴィチは彼女の職業を問う。
万智によれば彼女はルポライターなのだそうだ。

これに過去を思い出すヨヴァノヴィチ。
彼の母国でソレは忌むべきものであった。
何故なら、ソレは正義を標榜して現れたにも関わらず、正義を行わなかったからである。
むしろ、国をボロボロにしたのだ。

そんなヨヴァノヴィチの反応に「ジャーナリストは目である」と伝える万智。
そして、万智がソレについてどう思っているかを彼女の仕事を見て考えて欲しいと述べたのだ。
こうして、ヨヴァノヴィチは観察者となった。

万智は何か目的があるのか蝦蟇倉の街を進んで行く。
市場があれば蝦蟇倉の胃袋と紹介し、主要道路は蝦蟇倉の動脈と紹介した。
近頃、焼失してしまった図書館は街の頭脳と紹介し、街の中心部は心臓と評した。

と、此処でようやく万智が仕事の内容について語り出した。

今、万智が蝦蟇倉の街で追っているのは16歳の良和による姪・花凛の殺害事件。
その遺体は惨たらしいほどに滅多刺しだったそうである。
良和自身は蝦蟇倉の街を逃走中に逮捕されていた。
だが、凶器は依然発見されていない。

さらに詳しく事件の概要について語る万智。
当時、花凛の母で良和の姉である良子は家を3時間も空けていた。
どうやら、酒を飲んでいたようだ。
その間に良和が犯行に及んだのである。

さらに良和は手記を残していた。
それによれば花凛を殺害後、凶器を頭に突き刺したとされていた。
この手記も公開され、センセーショナルな内容として注目を集めているのだそうだ。

此処まで聞いていたヨヴァノヴィチは万智の謎かけの意味に気付いた。
ヨヴァノヴィチは焼失した図書館へと万智を誘う。

ヨヴァノヴィチは其処に未だ発見されていない凶器があると考えたのだ。
そして、実際に其処には凶器が埋まっていた。

ヨヴァノヴィチは万智が良和の手記の意味を読み解いた上で、ヒントを与えていたと指摘する。
それが蝦蟇倉の街を人体に喩えたこと。
そして、良和の手記でも凶器を頭に刺したとしていた。
それは「その場所に凶器を隠した」との良和の表明である。

此処で万智は真意を明かす。

良和は花凛殺害犯ではないのだ。
誰かを庇っているのである。
だが、彼は庇い続けることに疲れ果てている。
其処で手記と言う形で真相を明かした。
もはや早晩、自らの口で真相を告白することになるだろう。

しかし、今回の騒動はそんな良和の想像を遥かに上回っている。
悪意ある報道も行われており、良和がたとえ無実だとしても傷は深く残ることになる。
だから、それを避ける為に万智は調べる必要があったのだ。

良和は花凛殺害犯が良子だと思い込んでいる。
だから、庇ったのだ。
だが、万智が見る限り良子は犯人ではない。
むしろ、状況から良和と良子の父親こそが犯人だと見ていた。
万智はこの事実を記事にすることで良和の負担を少しでも軽くしたいと考えていたのである。

これを聞いたヨヴァノヴィチは万智の本質が15年前と変わっていないと口にする。
ヨヴァノヴィチ自身は万智を知らないが、今は亡き妹から彼女のことを聞かされていたのだ。

ヨヴァノヴィチは万智の理想を知り、彼女を認めることとした。
その上で、改めて妹の思い出話をさせて欲しいと申し出るのであった―――エンド。

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キンドル版「さよなら妖精 (創元推理文庫)」です!!
さよなら妖精 (創元推理文庫)





『失礼、お見苦しいところを』が掲載された「ユリイカ2007年4月号 特集=米澤穂信 ポスト・セカイ系のささやかな冒険」です!!
ユリイカ2007年4月号 特集=米澤穂信 ポスト・セカイ系のささやかな冒険





『恋累心中』が掲載された「ミステリーズ! vol.26」です!!
ミステリーズ! vol.26





『ナイフを失われた思い出の中に』が収録された「街角で謎が待っている がまくら市事件 (創元推理文庫)」です!!
街角で謎が待っている がまくら市事件 (創元推理文庫)





キンドル版「街角で謎が待っている がまくら市事件 (創元推理文庫)」です!!
街角で謎が待っている がまくら市事件 (創元推理文庫)





『名を刻む死』が掲載された「ミステリーズ! vol.47」です!!
ミステリーズ! vol.47





古典部シリーズ『長い休日』が掲載された「小説 野性時代 第120号」です!!
小説 野性時代 第120号





古典部シリーズ『連峰は晴れているか』が掲載された「野性時代 第56号 62331-57 KADOKAWA文芸MOOK (KADOKAWA文芸MOOK 57)」です!!
野性時代 第56号 62331-57 KADOKAWA文芸MOOK (KADOKAWA文芸MOOK 57)





古典部シリーズ『鏡には映らない』が掲載された「小説 野性時代 第105号 KADOKAWA文芸MOOK 62332‐08 (KADOKAWA文芸MOOK 107)」です!!
小説 野性時代 第105号 KADOKAWA文芸MOOK 62332‐08 (KADOKAWA文芸MOOK 107)





◆米澤穂信先生の作品はこちら。
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