2015年07月17日

「エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY」シーズン1 8話「長すぎた導火線」ネタバレ批評(レビュー)

「エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY」シーズン1 8話「長すぎた導火線」ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

ワトソンの契約が残り数週間となり、ホームズに生涯のアドバイザーとなる“支援者”を探す必要が出てきた。だが、ホームズは乗り気ではない。そんな中、マンハッタンのビルで爆発事件が発生。爆弾の起爆装置に使われたポケベルをホームズが発見し、ポケベルに電話して起爆させた人物が突き止められた。だがその人物は誤ってそこに電話したことが判明。さらに、爆弾が仕掛けられたのは4年前だったことが分かり……。
(公式HPより)


<ネタバレあらすじ>

ワトソンとの契約が残り数週間を切った。
ワトソンは自身に代わるホームズの支援者を探そうと躍起になるが、ホームズは非協力的である。

矢先、マンハッタンのビル内にあるソフト開発会社で爆発事件が発生。
これにより2人が死亡、多くの者が重軽傷に。
どうやら、通風孔に爆弾が仕掛けられていたようである。
だが、不思議なことに通風孔に触れたものは此処数年居なかった。

どういうことなのか!?
ホームズは爆破跡にてポケベルや新聞の切れ端を発見。
どうやら、全てが爆弾の部品らしい。
爆弾自体はポケベルに着信があれば起爆するように設定されていた。

これを証明するように、起爆する直前に何者かから電話が入っていた。
此処から爆弾を起爆させた人物が特定されたのだが……彼はピザ屋と番号を間違えたと主張。
調べたところピザ屋は実在しており、この証言が事実と判明する。

さらに、爆弾自体が新聞の内容から4年前の2008年に製作されたことが分かる。
どうやら、ソフト開発会社を狙っての犯行ではなく、その前のテナントを狙った爆弾が残っていたようだ。
それが偶然にも番号違いで起爆したのだ。

調べたところ、前のテナントはヴァン・オーエン女史が経営する会社。
ヴァン・オーエン女史は一代で財を成した財界の大物。
その資金の出処は謎とされていた。

オーエン女史によれば、2008年当時にはエコテロリストであるELMから脅迫状が届いていたとのこと。
ELMは環境保護を目的に4件もの爆破テロを敢行していた。
こうして、ELMに注目が集まることに。

そんな中、ホームズはテレビにも出演する著名なエコロジストであるエドガー・ノールズがELMの幹部にして爆弾魔の正体であると看破。
これに詰め寄るが……ノールズは4件の犯行は認めたものの、ヴァン・オーエンに対しては脅迫状しか仕掛けていないと犯行を否定する。

ホームズはこの言を認め、犯人はELMの犯行に偽装しようとしたヴァン・オーエンに恨みを持つ者であると推測。
解雇者を調べ始めた。

すると、1人該当者が。
その名はプラディープ・シン。

シンは幾度となく賃上げを要求。
これを認めさせたが、あまりに執拗に要求されたことでオーエン側が難色を示した。
すると、ある日を境に出社して来なくなったのだそうだ。

シン家を訪ねたホームズは、シンの妻・ヒマリーからシンが消息不明になっていることを聞かされる。
このとき、ホームズはシン家の壁に違和感を抱く。
早速、調べたところ、遺体となったシンが壁に埋められていた。
シンは既に殺害されていた。

ホームズは当時のシンのオフィスを調べ、其処こそが爆弾の真下であったことを知る。
これに犯人の標的はシンであったと結論付ける。
つまり、犯人はシンをELMの犯行に偽装し爆殺するつもりであったが、シン自身を直接殺害した為に犯行を中止。
爆弾を放置していたところ、4年後に思わぬ理由で起爆したといった経緯らしい。

さらに、シンの所持品から貸金庫の鍵が検出。
これを調べたところ、意外な真相が……。

貸金庫から出て来たのは1本のVHSテープ。
その中身は高級娼婦がシンを相手にしているシーンであった。
どうやら、シン自身がビデオを仕掛けていたようである。

問題はこの高級娼婦にあった。
なんと、若かりし日のオーエン女史だったのだ。
謎とされていたオーエンの起業資金は高級娼婦の報酬だったのだ。

シンは趣味でオーエンとの情事を撮影。
それから数年後にヴァン・オーエン女史の部下になった。
其処で気付いたのだ。
ボスが過去に抱いた高級娼婦であることに。
シンはオーエン女史を脅迫し始めた。
これに危機感を抱いたオーエン女史が爆弾を用意したが、使用前にシンを殺害することとなったのだろう。

拘束されたオーエン女史は証拠がないと言い張る。
だが、爆弾から回収された新聞の切れ端が決め手となった。

「ヒントは痛みの敵、答えはノボカイン」
オーエン女史は新聞のクロスワードに挑んでおり、これをメモしていた。
その筆跡が動かぬ証拠となったのである―――8話了。

<感想>

「現代版シャーロック・ホームズ」と言えば2つの作品が挙げられます。
1つが英国「SHERLOCK(シャーロック)」、そしてもう1つが米国「エレメンタリー」。
本作「エレメンタリー」はワトソンが女性との大胆なアレンジを加えた「現代版シャーロック・ホームズ」なのです。

その第8話。
まさに「長すぎた導火線」でした。
これは数年の眠りを経た爆弾そのもののことですが、オーエン女史にとっては「過去の殺人」という名の爆弾に繋がる長い長い導火線をも指し示していました。
完全犯罪に終わった筈が自身の仕掛けた罠によりホームズの介入を招き自滅することに。
因果応報と言えるでしょう。

そして、巡り巡る本格的な「フーダニット」を堪能せよ!!

ちなみにポイントと言えば、この「エレメンタリー」ではアイリーンの秘密が凄いです。
なにしろ、彼女こそが……なんだもんなぁ。
アレには本当に驚いた。
当批評(レビュー)で本作に興味を抱かれた方は、是非、本作を視て欲しい。

◆関連過去記事
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「英国一家、日本を食べる」12話「北の海藻キング」(7月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「英国一家、日本を食べる」12話「北の海藻キング」(7月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<12話あらすじ>

ポンコツのレンタカーで北海道の広い大地を函館市南かやべに向かってひた走るマイケルたち。車の長旅に飽き飽きしているアスガーをよそに、マイケルのテンションは最高潮だった。なぜなら、向かう先は交渉に5週間もかけてようやく訪問が実現できた昆布の養殖場だからだ。約束の相手に会えたマイケルだったが、無愛想なその態度にぼう然とする。
(公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)

11話より北海道に滞在中のマイケル一家。
本日はレンタカーを借りて札幌を出ると函館方面へ向かっていた。

既に出発してから久しい。
当然、耐え兼ねたアスガーは不満を洩らし始めた。
ところが、対照的にエミルが大人しい。

「おや?」と疑問に思うマイケル。
そんなマイケルに「何時、札幌に着くの?」と尋ねるエミル。
どうやら、札幌の観覧車が痛く気に入ったらしい。

しかし、マイケルたちは札幌から出発したのだ。
もはや、戻るつもりはない。
そのことを不用意に答えたマイケルであったが……。

途端にエミルの口が噤まれた。
眉根が寄せられ、眉間に皺が出来る。
同時にエミルの中に負のオーラが蓄積されて行く……。

最初にエミルの異変に気付いたのはアスガーであった。
だが「あああああ……」と絶望の声を上げることしか出来ない。

次いで子供たちの異変に気付いたリスン。
しかし、既に遅かった。
エミルに蓄積されたオーラが咆哮として放出されることに。

数分後、車内には笑顔のエミルが居た。
その手にはマイケルがSAで購入したアイスクリームが買い与えられていた。
何とか機嫌を直したようだ。

一方で、困り顔のリスン。
エミルの手に握られたアイスクリームから目が離せない。
なにしろレンタカーである、汚しでもしたら大変なことになってしまうからだ。

そんな妻子の葛藤を横目に、運転席から目的地について語り出すマイケル。
今回の取材対象は「昆布」である。
ミネラルを多く含み、用途も出汁からお菓子までバリエーションに富んだ食材だ。

マイケルは家族に向けて「昆布」の素晴らしさを熱く語って聞かせる。
当然、前方への注意が疎かになっていた。
と、車体が路上に落ちていた石を踏み大きく揺れた。

「うおっ!!」
「きゃああああああああ」

マイケルの動揺と共にリスンの悲鳴が上がる。
何とか車を立て直したマイケル。
ところが、リスンの悲鳴は止まらない。
それもその筈、この衝撃でエミルのアイスクリームが車のシートへと綺麗に着地を遂げていたのだ。

トーンを上げて行くリスンの悲鳴。
それを聞きつつゆっくりと目を閉じるマイケル。
目的地まではまだ遠い……。

道中、幾つかのトラブルに見舞われながらも、マイケルたちは目的地である南かやべに到着していた。
此処は養殖昆布の有名な産地で50億円の収穫を誇る。
また、献上昆布とも呼ばれる最高級昆布を輩出する土地柄なのだそうだ。
それだけに取材のハードルも非常に高く許可を取るのに5週間、さらに顔写真とパスポートのコピーまで送ってようやく了承を得ていたのであった。

苦労を語り出したマイケル、その前に養殖場の責任者・風間が現れた。
これまでの人々に比べ、無愛想な風間。
その態度は招かれざる客であることを雄弁に物語っていた。

そんな風間の態度に怯えつつも、養殖昆布について家族に説明を始めるマイケル。
その目の前で漁船が昆布を収穫していた。

収穫の様子を指差しつつ、すぐに乾かさなければ白くなると語るマイケル。
さらに、目の前の昆布を「3メートルほどかなぁ……」と評するが。

これを聞いていた風間の目が光る。
すかさず「いい加減なことを言わないでくれ」と口にするや「6メートル」との訂正が入ることに。

続けて、風間は現地が3500トンの漁獲量を誇ることを説明。
だが、最近ではこれが減っていることも明かす。

これに「地球温暖化が原因なんですね」と自説を述べるマイケル。
すると風間は、またも「いい加減なことを言わないでくれ」と口にするや「嵐が原因なんだよ」と訂正する。

風間との遣り取りにペースを乱されるマイケル。
取り敢えず、家族のみで戻って来た漁船の見学をしたいと申し出る。
これが受け入れられるや逃げるようにその場を離れてしまった。

残った風間がふと隣に目をやると……エミルが居るではないか。
どうやら、自主的に居残ったようだ。
おずおずとエミルに語りかける風間だが、エミルもまた独自のペースの持ち主。
今度は風間がペースを乱されることに。

それから数分、エミルが居ないことに気付いたマイケルたちが元居た場所へ戻って来たところ―――。
風間とエミルはすっかり意気投合していた。
それどころか、風間はエミルを抱きかかえて観覧車ごっこに及んでいたのである。
厳めしい顔をしていた風間だが、根は気の良い男だったのだ。

エミルを通じてマイケル一家を理解したのか、笑顔を浮かべる風間は先程とは変わって柔らかく説明を始めた。

なんでも、昆布には2年間も熟成される物があり、さらに10年ものも存在するのだそうだ。
これを聞いたマイケルは「ワインと似ている」と感想を述べる。
今度は頷く風間は「昆布ソムリエ」こと「コブリエ」が存在することも明かす。

こうして、いつしかエミルだけでなくマイケルたちも風間と打ち解け始めた。

すっかりペースを取り戻したマイケルは昆布と記念写真を撮影し始める。
さらに、いつものように昆布について熱く語り出した。
「出汁に用いる昆布の素晴らしさ」、「グルタミン酸の効能」、さらに「精進料理に用いられること」などを説明するマイケル。

これではどちらが案内しているのか分からないほどだ。
これに今度は風間がたじろぐことに。

だが、まだまだ語り足りないマイケルは「含まれるミネラル」や「脂質やカロリーは極めて少ない」ことなどを語り続けた。

そうこうしているうちにすっかり日も暮れて、別れの時がやって来た。
風間に懐いたエミルは彼との別れを惜しむのであった―――エンド。

<感想>

原作はマイケル・ブース著『英国一家、日本を食べる』と『英国一家、ますます日本を食べる』(共に亜紀書房刊)。
NHKさんにて毎週木曜日0時40分から1時まで放送中、全24話予定。

前半はマイケル一家を中心としたカートゥーンパート、後半はトシ視点のドキュメンタリーパートからなる。

この12話のテーマは「昆布」について。
同時に前回に続き「北海道の豊かな食の一端」が取り上げられました。

具体的には、カートゥーンパートでは「昆布の養殖場」を中心に、実写パートでは「函館名物朝市」が取り上げられ「昆布」について紹介されました。
ちなみに、この「函館名物朝市」は「店の数は250、道内最大級の朝市」だそうで「水揚げ量が多いのはイカ」で「その場で刺身にする」のだとか……美味しそうです。
加えて今回は「利尻昆布」や「日高昆布」にも触れられ「昆布が松前漬けとの相性が良い」ことが語られた後に「かごめ昆布」がクローズアップされることに。
この「かごめ昆布」はキャラメル、チョコレート、クッキー、調味料に用いられ、さらに創作料理もあるのだとか。
その具体例として「さらさらのカレーにねばねばのがごめ昆布を入れたスープカレー」が挙げられていました。

でもって、今回も本作「英国一家、日本を食べる」を象徴する回でもありました。
マイケル一家の日常を描きつつ、日本の料理を紹介する―――これこそが初回に見られたような本作の王道。
また「土地に根付く豊かな産物」の紹介はそれこそ「日本という土地の北から南までの名産物」の紹介でもある。
これを通じて日本の文化もまた浮かび上がるのです。次回も楽しみな作品です。

ちなみに本作「英国一家、日本を食べる」の旨味も此の点にあるような気がします。
「マナー」とは「思いやりの心」、すなわち「相手(視聴者)のニーズを察する心」でもあります。
「専門性」や「テーマ性」が作品に問われ「ギャップ」や「メリハリ」が作品に彩りを添える。
さらに「視聴者の欲する情報やシチュエーション」が盛り込まれれば……面白いワケです。
次回も楽しみな作品です。

◆関連過去記事
「英国一家、日本を食べる」1話「新宿・思い出横丁」(4月16日)ネタバレ批評(レビュー)

「英国一家、日本を食べる」2話「最高の天ぷら」(4月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)

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原作「英国一家、日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)」です!!
英国一家、日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)





キンドル版「英国一家、日本を食べる 亜紀書房翻訳ノンフィクション」です!!
英国一家、日本を食べる 亜紀書房翻訳ノンフィクション





同じく原作「英国一家、ますます日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)」です!!
英国一家、ますます日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)





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こちらは同作者によるシリーズ最新作「英国一家、フランスを食べる」です!!
英国一家、フランスを食べる



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