ネタバレあります、注意!!
<16話あらすじ>
ビールを飲みながら一家で寿司をつまんでいたマイケルにトシから電話が入る。「まさか寿司を食べながらビールなんて飲んでないだろうな?」とまるでこちらの様子を見透かしたようなトシに焦るマイケルだったが、日本酒のうまさを知るため造り酒屋に行くよう勧められる。向かった先で出された日本酒の味が、自分の知っている日本酒とは全く違うことに衝撃を受ける!
(公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)
今日も寿司屋を訪れていたマイケル、リスン、アスガー、エミルたち。
カウンター越しには「ハマチ、赤貝、サーモン」などの注文の声が飛び交い、それに応じた寿司の提供が行われている。
さながら戦場で飛び交う弾丸のようだ。
その場の雰囲気に飲まれたマイケルはタジタジである。
それでも周囲の喧騒に負けないようにと注文に挑戦。
「ビール、ビール、ビール、ビール、ビール、ビール」と連呼したまでは良かったが……。
どうやら、全て通じていたようでジョッキに入ったビールが6杯も届いてしまう。
一方、エミルはリズムに乗りつつ合いの手のように上手に注文を入れ、自身の食べたい物を食べたいだけ口にしていた。
これに感心するマイケル、其処へトシから電話が。
「まさか、寿司と一緒にビールを飲んでないよなぁ」
トシはマイケルが電話に出るなり先制パンチ。
「び、微炭酸のジュースを飲んでいたんだ」
慌てて取り繕うマイケルだが、声が上擦っていた。
そんなマイケルにトシは日本酒を飲むようにと提案。
これに珍しく反発するマイケル。
過去にマイケルは日本酒に苦い想い出があったのである。
「お前はまだ本物を知らないだけだ、世界が変わるぞ」
自信満々に奨めるトシ。
此処まで言われてはマイケルも後には退けない。
こうして、トシお奨めの酒店を訪れることに。
ちなみに、日本酒とは米麹を発行させて作る酒のことである。
店には壮年の男性が1人でマイケルを待っていた。
店主は無言でマイケルにコップを差し出す。
中には日本酒が入っていた。
(酒より燃料の臭いがするぅ〜〜〜、しかもマズイ!!)
出されたソレに顔を顰めるマイケル。
ところが店主は次のコップを差し出して来た。
中には先程と同様に日本酒が。
これを口にした途端、マイケルは驚く。
マイケルの知るソレとは全くの別物だったのである。
そんなマイケルの様子を見て、コイツは味が分かっていると認めた店主はようやく声を発した。
店主によると、どちらも同じ日本酒だが違いは手間暇にあるのだそうだ。
日本酒は手間暇によって大きく質が変わるらしい。
続いて出された烏賊の塩辛をつまみにコップの中身を口にするマイケル。
すると、これまた上手い!!
そんなマイケルの様子に店主はニッコリ微笑むや、酒造りを生業としているゴンドウを名乗る。
ゴンドウは日本酒の製造と販売を兼ねているようだ。
後に出された日本酒もゴンドウが生産した酒らしい。
ゴンドウは「日本酒と最高に合う料理を出す店に案内する」とマイケルを連れ出す。
どんな店なんだろう……と胸を膨らませるマイケル。
ところが、連れて行かれた先はピザの専門店であった。
「ピザ・マルゲリータ」と共に運ばれて来たのは「辛口の本醸造」である。
ちなみに、日本酒には様々な種類があり原料となる米の精米具合で異なる。
70パーセント以下の物を本醸造と呼び、他に純米吟醸などがあるのだそうだ。
加えて、同じ本醸造でも甘口やら辛口などの種類があるらしい。
ピザを肴に本醸造(辛口)を飲むマイケル。
これまた上手い!!
ゴンドウによれば本醸造の辛口はチーズやトマトと合うらしい。
それから暫くして……マイケルはすっかり日本酒の魅力に参っていた。
今はゴンドウと共に居酒屋で「寿司には純米酒ですよね」と語れるようにまでなっていた。
ところが、ふと周囲を見回したマイケルは誰もが日本酒ではなくビールを飲んでいることに驚く。
それもその筈、ゴンドウによれば日本酒は今や往時の3分の1程度の消費量となっているらしい。
これに憤慨したマイケルは取材と称して周囲の客にアンケートを敢行。
すると、見事に「ダサい」、「オヤジ臭い」、「色味がちょっと」、「悪酔いするし」と悪評ばかりが集まることに。
結果を聞かされたゴンドウは泣きながら大酒を喰らい悪酔いし始めた。
しかも、一線を越えたのか周囲の客相手に強引に日本酒を奨め始めた。
ゴンドウの剣幕に戸惑うマイケルたちだが……。
翌朝、強引に日本酒を飲まされた客たちも含め、皆が日本酒の魅力を認めていた。
「良かったですね」と語るマイケル。
しかし、ゴンドウの表情は浮かない。
所詮、付け焼刃に過ぎないと言うのだ。
これを聞いたマイケルは「海外に出してみてはどうか」と提案する。
何しろ、日本酒の輸出量は2倍に増えて来ているのだ。
「それもそうだな」と笑顔を取り戻したゴンドウに、マイケルは「取材の為にはもっと飲まないと」と次の店の案内を依頼するのであった。
その夜、帰宅したマイケルはすっかりヘベレケであった。
リスンたちはそんなマイケルを見て呆れ返ることに―――エンド。
<感想>
原作はマイケル・ブース著『英国一家、日本を食べる』と『英国一家、ますます日本を食べる』(共に亜紀書房刊)。
NHKさんにて毎週木曜日0時40分から1時まで放送中、全24話予定。
前半はマイケル一家を中心としたカートゥーンパート、後半はトシ視点のドキュメンタリーパートからなる。
この16話のテーマは「日本酒」について。
その「魅力」と「現在置かれた状況」について様々に語られました。
一方、今回もエミルの魅力が爆発。
リズムに乗りつつ注文を行うシーンは面白かったですね。
おっと、本題に戻って。
具体的には、カートゥーンパートでは「日本酒の置かれた状況」を中心に、実写パートでは「日本酒の相性」が取り上げられました。
まず、「カートゥーンパート」ですが「日本酒の置かれた状況」として「消費量の減少」が訴えられていました。
とはいえ、これはアニメの原作となった2010年当時のこと。
その後、2014年から2015年に至るや「海外経由で日本酒ブームが到来」したことで「消費量は増加傾向」にあるようです。
奇しくも作中でマイケルが語っていた海外進出が契機となり本国でも再認識されたとの形となるのかな。
続いて、実写パートでは「老舗酒店の4代目・君嶋哲至さんにインタビューし、日本酒と相性の良い料理を紹介」して貰っていました。
ちなみに調べたところ、君嶋さんは「情熱のSAKE 横浜君嶋屋」の社長さんのようです。
君嶋さんによると「日本酒と一口に言っても温めたり冷やしたりにより相性がある」のだそう。
例えば「冷やし端麗辛口の純米酒は野菜」に合う、今回は「バーニャ・フレッダ」との組み合わせが推奨されていました。
他にも「温かい純米酒と相性が良いのは鮪のステーキ」、「濁り酒にはトリッパ」だそうです。
また、この相性の良い組み合わせのことを「マリアージュ」と呼ぶとのこと。
勉強になるなぁ……。
ちなみに本作「英国一家、日本を食べる」の旨味も此の点にあるような気がします。
「カートゥーンパート」と「実写パート」の「マリアージュ」が視聴者の心を動かすのでしょう……面白いワケです。
次回も楽しみな作品です。
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