2015年09月23日

「デザイナーベイビー」1話「ノゾミ」(9月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「デザイナーベイビー」1話「ノゾミ」(9月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<1話あらすじ>

ノーベル賞間近と言われる近森博の赤ちゃん・ノゾミが城南大学病院から誘拐された。ノゾミは産まれて一週間の新生児。妊娠8か月の捜査一課刑事・速水悠里(黒木メイサ)は、日村(神保悟志)に呼び出され、ノゾミの母・優子(安達祐実)の監視役を命ぜられる。年下の相棒・土橋福助(渡辺大知)と夫婦を装いながら産科病棟に潜入、関係者のアリバイを探り始める。そして速水は須佐見医師(渡部篤郎)に疑いの目を向ける。
(公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)。

<ネタバレあらすじ>

その日、城南大学病院産婦人科では近森優子が担当医の崎山典彦と共に取材に応じていた。
優子が子供を出産したことがニュースとなっていたのだ。
優子は元アスリート、夫は天才物理工学博士として名高い近森博である。
2人の間には長男・新がおり、生まれた女児は2人目の子供であった。
また、崎山は生殖医療の権威で優子が不妊治療の末の出産だったことも話題性を呼んだのだ。

同じ頃、病院の裏口では産婦人科教授・須佐見誠二郎が1人の女性と揉めていた。
女性の正体は岸田トモ、彼女は不本意ながらも妊娠した子供を流産により失っていた。
須佐見にその責任を追及していたのだ。
須佐見はそんなトモに何やら説明を重ねているが、トモの激情は静まらない。
怒りに任せたトモはその場を後にする。

それから数十分後、取材を終え自室へ戻った優子は顔色を変えた。
其処に居た筈の娘が消えたのだ。

こうして誘拐事件が発生。
警視庁捜査一課特殊班捜査係の係長・日村健吾らが捜査に乗り出した。

だが、産婦人科という「特別な場所」だけに捜査は難航する。
特に、事情聴取の段階で優子と看護師の間で供述が異なってしまった。

看護師は「優子の部屋に居た赤ん坊が誘拐された」と主張。
当の優子は「育児室に居た赤ん坊が誘拐された」と主張したのだ。

そもそもの犯行現場が異なってしまっては捜査自体も混乱してしまう。
其処で日村は信頼するエースを招聘した。

その名は、速水悠里。
特殊班捜査係のメンバーであるが、妊娠8ヶ月となり産休を一週間後に控え庶務課へ異動している人物である。

渋々、命令に従った悠里は捜査に参加するや見事な手腕で優子の嘘を認めさせることに成功する。
優子は誘拐の責任を感じ、少しでも罪の意識から逃れようと犯行現場を偽っていたのだ。

こうして犯行現場が特定され、犯行時間も絞り込むことが出来た。
これによりアリバイの無い関係者が生じることに。

誰あろう須佐見である。
その時間帯、須佐見はトモと別れた直後で休憩していたところであった。
トモについて語ることを避けた須佐見は日村から疑いの目を向けられる。

一方、悠里はこの見解に否定的であった。
営利目的ではなく、赤ん坊を欲しがった者の犯行ではないかと考えていたのだ。

これを受けた日村は城南大学病院にて流産死産した患者のリストに目を付ける。
この動きを察した須佐見は「まさか……」と思い至る。
そう、トモの犯行を疑ったのだ。

早速、須佐見は岸田家に連絡を入れた。
すると、夫である岸田裕也の背後に赤ん坊の声が聞こえるではないか。
岸田によれば、帰宅したところトモが見知らぬ赤ん坊を連れていたらしい。
誘拐犯は岸田トモだったのだ。

須佐見の動きを密かに監視していた日村も岸田トモの存在を確認、捜査員を岸田宅へ走らせるが既にもぬけの空であった。
トモは須佐見によれば不妊治療を担当したが流産した患者だそうだが……。

事態を受けて近森一家が城南大学病院は集まった。
取り乱す近森の姿を目にした優子は倒れてしまう。

倒れた優子を介抱する悠里。
優子によれば赤ん坊の名は「望」を予定していたらしい。
また、「望」は体外受精で授かった子供なのだそうだ。

心痛を抱える優子の姿に同じく心を痛める悠里。
ふと思い至った悠里は夫である下地浩介へと連絡を入れた。
実は浩介は再婚、先妻との間に悠介なる14歳の息子が居る。
ちなみに、悠里と悠介の仲はお世辞にも上手く行っているとは言えない状態であった。
一言、二言、言葉を交わし通話を終えた悠里の目の前を救急患者が通り過ぎて行く。

「流産しないんですよね」
タンカで運ばれて行く妻、それに付き添い必死に叫ぶ夫。

「遺伝子操作でもしたかな」
そんな夫婦を横目に医療関係者らしき女性が呟く。

「あるいは、遺伝子の選別、着床前診断か……いや、デザイナーベイビーだって作れるのではないか?」
何やら続ける女性、その正体は胚培養室に勤務する山原あけみであった。
その姿に何かを感じる悠里。

一夜明けたが岸田の行方は杳として知れなかった。
日村が次に採用した方法は「須佐見を監視し岸田からの接触があれば岸田を説得すること」であった。
岸田は流産の件で須佐見を恨んでいる、必ず接触すると考えたのだ。
こうして、悠里が須佐見と共に待機することとなった。

この狙いは図に当たる。
岸田は抱えた不満をぶつけるように須佐見に連絡を入れて来た。

「あんた、あのとき言っただろ?ミスは無かったってな」
叫ぶ岸田に言葉を失う須佐見、彼に代わって悠里が優子を演じつつ交渉に乗り出す。
しかし、岸田は優子(実は悠里)へも不満をぶつける。

「2度も流産してやっと授かった子だったんだぞ!!絶対にあり得なかったんだ!!」
またも耳にした「絶対にあり得なかった」との言葉に疑問を抱く悠里。

「体外受精で生んだ子なんです!!」
だが、悠里は優子から聞いた情報を用いて岸田との会話を繋ぐ。

「今日の昼12時、新宿東口地下街だ」
結果、遂に岸田は具体的な金額を提示し須佐見に身代金を運ぶように命令する。

こうして、岸田との接点が生じた。
一方で、悠里は岸田家の死産に謎があるのではと考え始める。

その頃、岸田たちの潜伏先を監視する謎の男の姿が。
男は城南大学病院の院長秘書・有吉久美から誘拐について情報を手にしているようだが。

同じ頃、優子は残された長男・新に語りかける。
「望はあなたの為に作った子供なの」と―――2話へ続く。

<感想>

ドラマ原作は岡井崇先生による同名作品。
過去にネタバレ書評(レビュー)していますね。

『デザイナーベイビー』(岡井崇著、早川書房刊)ネタバレ書評(レビュー)

タイトルにもなっている「デザイナーベイビー」の意味は「生まれて来る前に遺伝子に調整を施し両親が望む子供を手に入れる方法」のこと。
此処での調整は「健康」であったり「身体能力の向上」であったりします。
この方法ならば両親が望む子供が得られることに。

この手法は既にSF世界やアニメなどでは一般的となっており、例えば森岡浩之先生「星界シリーズ」(早川書房刊)に登場するアーヴや「機動戦士ガンダムSEED」のコーディネーターなどが挙げられます。

「機動戦士ガンダムSEED」(2002年、日本)

ディスティニープラン発動!!

ちなみに出産を取り扱ったサスペンス系ドラマでは同じNHK系火曜22時枠にて海堂尊先生原作ドラマ「マドンナ・ヴェルデ」も放送されています。

『マドンナ・ヴェルデ』(海堂尊著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

NHKドラマ10「マドンナ・ヴェルデ」第1話(第1回)「希望の卵」(4月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)

では、ドラマ版の感想を。
ドラマ1話や公式HPを視た限りではかなりアレンジが加わっている様子。
いや、むしろ原作よりは原案に近いかもしれない。
それほど異なっています。

例えば、悠里を取り巻く環境自体が別物だし。
近森夫妻の設定も異なるし、そもそも望関連もかなり違う。
望が誘拐された点こそ同じであるものの、むしろ共通する点を探す方が難しいくらいか。

つまり、原作既読者であっても新鮮な気持ちで楽しめるドラマと言えそうです。
そんな視点から本ドラマ版を視聴したところ、次のような点がポイントとなりそうです。

まず、優子が新に述べた「望が新の為の存在」であると言うこと。
これは「新」が何か病気を患っており「望」がその臓器のドナーとして生まれた存在であることを指すのではないでしょうか。
ただ、それだとタイトル「デザイナーベイビー」の意味が弱くなるので他にも何かありそうか?

岸田夫妻たちが口にする「絶対にあり得なかった」は「それこそ遺伝子調整を施された子供だった為に流産はあり得なかった」との意味でしょうか?

でもって、誘拐事件は岸田から謎の男に引き継がれそうな感じですね。
ちなみに「謎の男」の正体ですが、公式HP上から該当しそうなキャラは病院長の息子・峠則孝かなぁ……。

さらに、悠里と夫の連れ子・悠介の関係。
望誘拐事件を通じ、生さぬ仲から悠里のお腹の子供も含めて家族を構築する様子を描くのではないかと思われる以上、此処もポイントでしょう。
それにしても、どうして名前に同じ「悠」が入っているのでしょうか……これも意味があるのか。

2話にも注目ですね!!

◆関連過去記事
『デザイナーベイビー』(岡井崇著、早川書房刊)ネタバレ書評(レビュー)

『マドンナ・ヴェルデ』(海堂尊著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

NHKドラマ10「マドンナ・ヴェルデ」第1話(第1回)「希望の卵」(4月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)

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2015年09月22日

「掟上今日子の備忘録」第2話「隠館厄介A」(西尾維新原作、浅見よう画、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「掟上今日子の備忘録」第2話「隠館厄介A」(西尾維新原作、浅見よう画、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
掟上今日子:「最速探偵」にして「忘却探偵」の名を冠する少女。
隠館厄介:あらゆる事件に巻き込まれる男。

紺藤:出版社の編集者。
里井:有名漫画家。

<あらすじ>

あらゆる事件の容疑者となってしまう男・隠館厄介。
そんな隠館に出版社の編集者・紺藤が助けを求めて来た。

何でも紺藤が担当している漫画家・里井について問題が発生したらしい。
里井が所持していた100万円が盗み出されたのだが、犯人から返して欲しければ1億円を寄越せと脅迫電話がかかって来たのだそうである。

100万円の為に1億円……通常ならば考えられないことだが、里井はこれに応じるつもりのようだ。
其処で紺藤はこの謎について解き明かし、犯人を突き止めて欲しいらしい。

過去、出版社でアルバイトしていた際にも事件の容疑者とされたところを紺藤に救われていた隠館は恩を返すべく掟上今日子を紹介する。

現れた今日子は隠館についての記憶をすっかり喪失していた。
些かがっかりしつつ依頼を行う隠館。
今日子はこれに「解決は最速、秘密保持に関しても安心して欲しい」と宣伝しつつ引き受ける。
何しろ、今日子はどのような秘密でも「1度寝てしまえば」すっかり忘れてしまう。
同じ理由で、その日の内に解決する宿命を背負っているのだ。

早速、今日子たち一行は里井のもとへ。
何やら思い悩んだ表情で今日子たちを迎え入れる里井。
今日子が自己紹介し、彼女をリラックスさせようとするがその表情は変わらない。

里井によれば100万円はスタジオの冷蔵庫に保管していたらしい。
ところが、何者かに盗み出されてしまったのだ。

数少ない情報から、少しでも手掛かりを掴もうと更なる質問を重ねる今日子。
だが、里井は肝心の「100万円を1億円で購入しようとする理由」については頑なに明かそうとしない。
「探偵さんには分からないんです」と繰り返すばかりだ。
それどころか「里井の漫画」や「そのアイデアノート」について尋ねるや激怒さえしてしまう。

だが、今日子はこの僅かな遣り取りから真相に辿り着いていた。
里井にとって100万円は1億円払っても取り戻したい品であると指摘する今日子。
つまり、里井が盗まれた100万円は現金としての価値だけではなく別の意味があるのだ。

此処で今日子は里井が忘れっぽい性質であることを指摘する。
里井は今日子に自己紹介されながらも彼女を「探偵さん」と呼び続けた。
何故なら、今日子の名を覚えていなかったからだ。

そして、アイデアノートについて触れるや激怒した。
これが何を意味するか?

1万円には紙幣番号が記されている。
里井はその番号を日常生活に纏わる様々な物の暗証番号にしていたのだ。
言わば、メモ代わりだ。

当然、其処には漫画のアイデアが保存されたPCのパスワードも含まれる。
他にもネットバンキングなどの暗証番号もあったに違いない。
1万円が100枚ある以上、100通りのパスワードとなっていたのだ。
それが失われてしまえば、里井は何1つ出来なくなってしまう。
里井にとって、その価値は確かに1億円支払っても惜しくないものだったのである。

では、犯人は誰か?
里井にとって盗まれた100万円の意味を介することが出来る人物。
それは彼女の身近な人物に限られる。

此処に今日子は「里井のスタッフの1人だろう」と指摘する。
そして、里井も犯人に気付きつつ庇っているのだ。

この指摘を受けて紺藤が調べたところ、ベテランのチーフアシスタントが犯人であることが判明した。
すべて今日子の推理通りだったのである。

事件を解決し、その場を去る今日子。
そんな今日子を見送りつつ、紺藤は「彼女を海外で目にしたような……」と口にする。
だが、紺藤が知る今日子はもっとおどおどとした印象の人物だったそうだ。

ふと、今日子の過去を全く知らないことに気付いた隠館は複雑な想いを胸にするのであった―――エンド。

<感想>

西尾維新先生原作『掟上今日子の備忘録』が浅見よう先生によりコミカライズされました。
連載が開始されたのは「月刊少年マガジン 2015年9月号」から。

その2話「隠館厄介A」です。

今回は「何故、100万円に1億円を支払うのか?」との「ホワイダニット」の回でした。
100万円は通常で考えれば「通貨」としてのみ価値がある。
しかし、其処には別の側面もありました。
今回は、そんな1つの事物が持つ別の側面を活かした見事な回でしたね。

言わば、属性について問う展開。
あの解答には、思わず「おおっ!!」と唸らされました。

ただ、100万円ということで100通りのパスワードがあるワケなのですが「どの1万円がどのパスワードに対応しているか」を分かっている時点で相当に記憶力が優れているような気がします。
これが覚えられるならパスワード自体も覚えられそうな気も……。
「アイデアノートが入ったPCのパスになる1万円が盗難され100万円を要求された」的なストーリーの方がより納得出来たかも。

そう言えば、似たような話を何処かで見たような気がする……。

そして、クローズアップされる今日子の過去。
此の点も気になります。

そう言えば、今日子は眠りにつくことで基本情報に立ち戻ると言った形のようです。
それ以外のことは身体に記したメモにより情報を得ている様子。
つまりはメモを偽装することさえ出来れば今日子の行動を操ることも出来そうですが……。
なかなか興味深い設定ですね、次回にも期待!!

また『掟上今日子の備忘録』は日本テレビ系にて実写ドラマ化も決定。
こちらも期待!!

ちなみに、あらすじでは良さを伝え切れてません。
本作自体を読むべし!!

◆関連過去記事
「掟上今日子の備忘録」第1話(西尾維新原作、浅見よう画、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年9月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

西尾維新先生「傷物語」がアニメ映画化決定!!

「掟上今日子の備忘録」です!!
掟上今日子の備忘録





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「掟上今日子の推薦文 (講談社BOX)」です!!
掟上今日子の推薦文 (講談社BOX)





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「掟上今日子の挑戦状」です!!
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月曜ゴールデン「佐々木譲サスペンス 北海道警察4 密売人編 累計200万部突破!!史上最大の追跡ドラマ 北海道三都同時殺人!裏切り者は誰だ?消えた親子に迫る魔の手!驚愕の真実とラスト」(9月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)

月曜ゴールデン「佐々木譲サスペンス 北海道警察4 密売人編 累計200万部突破!!史上最大の追跡ドラマ 北海道三都同時殺人!裏切り者は誰だ?消えた親子に迫る魔の手!驚愕の真実とラスト」(9月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

北海道警察大通署生活安全課の小島百合(財前直見)と後輩の佐伯宏一(鈴木一真)はいつものように剣道の稽古をしていた。道警本部刑事部長の橋場清彦(大浦龍宇一)に推薦され捜査一課に仮配属が決まった佐伯は百合と離れるのが寂しい一方、百合は佐伯のことを心から祝う。そんな佐伯のもとに、中年夫婦の遺体が車内で発見されたという知らせが入った。佐伯は現場に急行する。
その後、百合ら生活安全課メンバーは、元警察官で今はボランティア団体会長の薬師政孝(名高達男)と秘書の森崎洋子(北川弘美)とともに、札幌市内の幼稚園で園児向けの防犯劇を行っていた。課長の長沼行男(高田純次)は薬師に取り入り定年後の再就職先を探しているようだ。翌朝、百合は少女誘拐事件が発生したと長沼から連絡を受ける。やがて、その犯人は少女の実の父・米本忠志(中村繁之)だと分かったが、何か裏がある様子。百合が米本を調べると、やはり意外な事実が発覚する。米本はある暴力団の情報を警察に流し、組長逮捕に一役買った情報提供者だったのだ。そしてその暴力団員・加治木(中山俊)が報復のため動き出しているという。百合は米本を保護するため動き出す。
百合と佐伯は互いの事件を捜査するなか偶然出会う。米本と中年夫婦殺害の件を照らし合わせると、2つの事件に加治木が関係していたことが分かり、そして新たな事実も浮かび上がる…。
(月曜ゴールデン公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)。

小島百合は大通署生活安全課に勤務する婦警である。
後輩の佐伯宏一とは剣道の師弟として親しい。
ただ、佐伯は百合に師弟以外の感情を抱いているようだが……。

そんな佐伯だが、刑事部長である橋場の推薦で異動が決定していた。
大出世ではあるが、百合と離れることに不満を洩らす佐伯。

矢先、赤松夫妻が不審な死を遂げた。
この捜査に乗り出した佐伯は事故ではなく他殺と睨む。

一方、百合の前には奇妙な誘拐事件が立ち塞がる。
誘拐されたのは米本忠志の娘である。
ところが、調べ始めたところ誘拐事件ではなく米本が家族を連れて逃げていることが分かった。
ボランティア団体会長の薬師政孝やその秘書・森崎洋子の手助けを得て米本一家を追う百合。

最中、米本を知る藤堂刑事から意外な情報が。
米本は過去に犯罪組織の長であった大曾根会長を逮捕する際に協力した情報提供者「S」の1人だったらしい。
しかも、重ねて調べたところ、赤松夫妻もまた「S」だったことが判明。
さらに、同じく「S」であった飯森までもが殺害される。
どうやら、大曾根会長の部下である加治木が復讐しているようだ。

米本一家の身柄保護と併せて別の「S」を確認する百合。
だが、当時の「S」を把握していた藪原は5年前に横領により自殺していた。
その全体像は藪の中なのだ。

ところが、加治木は的確に復讐を遂げている。
どうやら、内通者が情報を洩らしたと思われた。

直後、百合は米本一家の所在を突き止め身柄の保護に成功する。
米本は何者かに襲われ殺害される直前であった。

やはり、これも加治木の犯行なのか!?
加治木の行方を追う百合であったが、当の加治木が他殺体で発見された。

加治木の所持品から犯行を証明するVTRが発見され、赤松夫妻、飯森以外にも為田なる人物を殺害していたことも明らかに。
実は為田もまた「S」であった。

橋場は加治木による連続殺人であることを発表し終結を図る。
だが、百合は当の加治木を殺害した人物を調べ始めた。

その翌日、「カフェ・ソミュール」で食事を摂っていた百合。
するとウェイトレスが「昨日はマスターが扁桃腺悪くして休んじゃって」とぼやく現場に遭遇する。

一方、百合は薬師が元監察室室長であり藪原の件も担当していたことを知る。
しかも、時を同じくして薬師は妻の手術費用を何処からか捻出していた。
これは何を意味するのか!?

薬師への疑惑を深める百合だが、これを後押しするように加治木の遺体発見現場からカイガラムシが発見された。
実は薬師の事務所の観葉植物にもカイガラムシが付いていたのだ。

翌日、薬師について調べるべく秘書の洋子と「カフェ・ソミュール」で食事を共にする百合。
洋子は「一昨日も此処で食べたんですけど美味しかった」と笑う。
百合はこれまで秘密にしていた米本一家の居場所を「薬師に伝えて欲しい」と洋子に明かす。

その夜、百合が洋子に伝えた場所に不審な人物が現れた。
その人物は米本を殺害するべくスタンガンを手に周囲を見回す。
しかし、其処に居たのは百合と佐伯たちであった。

百合は目の前の人物―――洋子に「あなたが加治木を殺したのね」と語りかける。

百合は「カフェ・ソミュール」での会話から洋子を疑ったのだ。
洋子は「カフェ・ソミュールで一昨日も食事した」と述べた。
ところが、その前日にウェイトレスが「昨日は休み」と口にしていたのだ。
つまり、洋子は何故か嘘を吐いたのだ。

洋子が嘘を吐いた当日は加治木が殺害された日である。
洋子は無意識にアリバイを作るべく嘘を吐いたのだ。

また、薬師の事務所の観葉植物に触れることが出来るのも彼女だ。
カイガラムシを運んだのは洋子だったのだ。

洋子は過去に両親を轢き逃げされ自殺を図ったが薬師に救われた。
薬師は轢き逃げ犯を逮捕し洋子の精神的なケアまで行っており、洋子の恩人でもあったのだ。

洋子は加治木殺害と米本殺害未遂を認める。

加治木は薬師を脅迫していたのだそうだ。
その現場を目撃した洋子は加治木を殺害した。
ところが、加治木は死の間際に「米本も薬師の罪を知っている」と口にした。
其処で、洋子は米本の口封じを図ろうとしていたのであった。
もちろん、加治木の言葉は真っ赤な嘘である。

では、薬師が加治木に脅迫される原因は何だったのか!?
5年前、薬師はある人物を見逃してしまった。
それが原因であった。

見逃された人物とは橋場であった。
橋場こそ加治木にSの情報を流した内通者だったのだ。
加治木と橋場は共生関係にあったのである。
薬師は妻の手術費用を橋場に用意して貰う代わりにこれを黙認していた。

為田殺害について捜査を中断させたのも橋場であった。

この告発を受けた橋場だが「証拠が無い!!」と叫ぶ。
しかし、1枚の名刺でこれが崩れた。
5年前に橋場が加治木と薬師の間を取り持った際に遣り取りした名刺が動かぬ証拠となったのだ。

橋場の罪が暴露され、薬師も罪を問われることとなった。

佐伯の異動は取り消しになった。
だが、百合と離れずに済んだ佐伯は何処かホッとしていた。
もっとも、肝心の2人の仲に進展自体が見られないのではあるが―――エンド。

<感想>

ドラマ「北海道警察」シリーズ第4弾。
原作は佐々木譲先生によるシリーズ第5弾『密売人』(角川春樹事務所刊)。

そのあらすじはこちら。

<あらすじ>

10月も半ばを過ぎ肌寒くなってきた北海道で、ほぼ同時期に三つの死体が発見された。函館の病院にて為田俊平の転落死、釧路の漁港にて飯森周の水死、小樽の湖畔にて赤松淳一の焼死。それぞれの事件は個々に捜査が行われ、津久井卓巡査は小樽の事件を追っていた。一方、札幌大通署生活安全課所属の小島百合巡査は、登校途中の女子児童が連れ去られた一件に、不穏な胸騒ぎを感じていた。三か所で起こった殺人と小島の話から、次に自分のエス(協力者)が殺人の狙いになると直感した佐伯宏一警部補は、一人裏捜査を始めるのだが・・・・・・。
(角川春樹事務所公式HPより)


佐々木譲先生は『廃墟に乞う』(文芸春秋社刊)で第142回直木賞を受賞された実力派。
その著作『警官の血』も、既にドラマ化されていますね。

速報!!第142回「直木賞」&「芥川賞」発表される!!

では、ドラマ版感想を。

なかなか凝ってましたね。
特に「追われる米本一家とそれを護ろうとする百合たち」との導入がかなり魅力的でワクワクドキドキしながら視聴してました。
それだけに、加治木死亡によりその設定が崩れた中盤以降が少し中弛みしたかな。
むしろ、米本一家を襲う魔の手と百合&佐伯たちの攻防とラストに明かされる黒幕だけでも良かったぐらいかなぁ……。
とはいえ、全体的に一定の品質は保たれていたように思えます。良し。

では、此処からは気になった点を。

「カフェ・ソミュール」の伏線はそれ単体では成立し得ないものですが、盛り込み方が面白くて個人的に好印象。あれ、もっと決定的な証拠になるように上手く反映させてたら良かったな。

それと、加治木の名刺に橋場の指紋が付着しているのは出処が薬師の証言に依存してるから「証拠品として見たことがあって偶然、触れたことがある」とも言い逃れできそう。
少なくとも出処を証明しないと橋場の罪を証明するには弱そう。

ちなみにあらすじからは省略しちゃいましたが、洋子が疑われた論拠に「米本を襲撃した際にガソリンを浴びてしまい、匂いを消すべく香水を用いた」とのものがありましたが「香水で上書き図るくらいなら、着替えて風呂に入る」か「ガソリンに誤って触れてしまった理由を無理にでも作る」方が自然だったのではないかと思ったり。
なので、此の点は割愛しました。

原作にはストックがあるし、シリーズ続編にも期待!!

◆関連過去記事
『巡査の休日』(佐々木譲著、角川春樹事務所刊)ネタバレ書評(レビュー)

月曜ゴールデン「北海道警察 巡査の休日 札幌で発見された白骨死体…北海道に舞い戻った指名手配犯…YOSAKOIソーラン祭りで何かが起きる!直木賞作家が送る至極ミステリー」(10月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)

月曜ゴールデン「佐々木譲サスペンス 北海道警察 笑う警官 警官殺しの男は道警の闇を知る証人だった!?タイムリミットは48時間…札幌の街で繰り広げられる追跡劇 容疑者を死守せよ!」(7月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)

月曜ゴールデン「佐々木譲サスペンス 北海道警察3 人質 札幌・小樽・帯広−四年前の冤罪事件が繋ぐ新たな殺意と凶行!人質監禁事件の裏に潜む真実とは!?救いを求める声なき声が北の空に響く…」(11月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)

月曜ゴールデン「佐々木譲サスペンス 制服捜査 敏腕刑事が左遷で青森・八戸の駐在所へ…牧場主が猟銃で惨殺された!20年前の不審な火事と妻の死?制服警官が知った哀しい親子の愛〜」(8月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

<キャスト>

小島百合(北海道警察大通署生活安全課):財前直見

佐伯宏一(北海道警察大通署刑事課):鈴木一真

大塚サキ(北海道警察大通署生活安全課):松本莉緒

薬師政孝(「札幌安全な町づくり協会」会長):名高達夫

森崎洋子(薬師の秘書):北川弘美

橋場清彦(北海道警察本部刑事部長):大浦龍宇一
藤堂欣也(北海道警察本部組織犯罪対策局):中丸新将
二階堂猛(北海道警察本部捜査一課係長):長谷川公彦
加治木隆治(「北海興業」専務):中山 俊
大伴大介(北海道警察本部捜査一課):宮本大誠

長沼行男(北海道警察大通署生活安全課長):高田純次 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)


ドラマ原作となったシリーズ5作目「密売人 (ハルキ文庫 さ 9-6)」です!!
密売人 (ハルキ文庫 さ 9-6)





シリーズ第6作「人質」です!!
人質





「北海道警察」シリーズ1作目「笑う警官 (ハルキ文庫)」です!!
笑う警官 (ハルキ文庫)





こちらは映画版「笑う警官 [DVD]」です!!
笑う警官 [DVD]





シリーズ2作目「警察庁から来た男 (ハルキ文庫)」です!!
警察庁から来た男 (ハルキ文庫)





シリーズ3作目「警官の紋章 (ハルキ文庫)」です!!
警官の紋章 (ハルキ文庫)





シリーズ4作目「巡査の休日 (ハルキ文庫 さ 9-5)」です!!
巡査の休日 (ハルキ文庫 さ 9-5)





「駐在警官・川久保篤シリーズ」の1つ「制服捜査 (新潮文庫)」です!!
制服捜査 (新潮文庫)





キンドル版「制服捜査」です!!
制服捜査





「駐在警官・川久保篤シリーズ」の1つ「暴雪圏 (新潮文庫)」です!!
暴雪圏 (新潮文庫)