2015年09月12日

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第39話「恋する桃園」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第39話「恋する桃園」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第39話登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

桃園霧子:「聖マルス学園」2年生とされる謎の令嬢。「謎の桃園」「崖の下の呪い家」「恋する桃園」に登場。
東条春道:霧子の幼馴染、人気者。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

高校生になった赤木蛍は行方不明となっていた兄・圭一と思わぬ形で再会を果たすことに。
なんと、圭一が幽霊として蛍のもとに戻って来たのだ。
しかも、圭一は悪意が関わる事件を察知し悪意を消滅させる能力を手に入れていた。
だが、圭一は現世に介入することが出来ない。
これでは折角の力も無意味である。
其処で圭一から協力を求められた蛍は、兄妹で力を合わせ1人でも多くの人を助けるべく動き出すことに。

・前回までのあらすじはこちら。
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第38話「騙された死神」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

早朝から街を全力疾走する蛍と圭一、いつもの登校風景と思いきや些か異なる様子。
何やら周囲も顧みずに全力疾走している。
それもその筈、遅刻寸前だったのである。

と、通りの角を曲がった途端に何やらぶつかる蛍。
ぶつかった相手は「聖マルス学園」の制服を着込んだ男子生徒。

「あっぶねぇなぁ!!」
「何よ、あんたこそ!!」

売り言葉に買い言葉、互いに見つめ合う2人。

(あっ、この人)

キュン……蛍の胸が大きく高鳴り、相手の男性も何やら運命を感じた様子。
やがてお互いに頬を染めて……。

―――と言ったことは残念ながら無い。現実は非情である。

とりあえず急いでいた蛍は相手の男子生徒に頭を下げるとその場を後にする。
相手の男子生徒も体勢を整えると学校へ。
こうして、2人は別れたのだが……思わぬ形で関わることとなるのである。

その日の午後、蛍は楓からある依頼を受けることに。
なんでも「ある女子生徒から恋人の素行調査の依頼を受けた」らしい。
だが、楓は複数の案件を抱えており手が回らないそうなのだ。
其処で蛍に話を持って来たのであった。

最初は難色を示す蛍だが報酬が出ると聞くや一も二も無く引き受けることに。
ところが、調べる相手を確認してビックリ仰天。
なんと、今朝方にぶつかった男子生徒だったのである。

男子生徒の名は東条春道。
確かに容姿に優れており、女子生徒の人気も高いようだ。

此処で蛍は朝の件を口実に東条に接近。
それとなく恋人の有無を聞き出そうとするが……。
東条は恋人の存在については言葉を濁してしまう。

蛍はこの東条の態度に浮気相手の存在を確信する。
恋人の存在を蛍に明かせないのは、あわよくば蛍に好意を持たれたいとの気持ちの表れと考えたのだ。
とはいえ、これはあくまで蛍の推論に過ぎず証拠がなければ意味が無い。
其処で圭一が東条を尾行することに。
一方で楓に依頼人の名を尋ねるのだが……。

その頃、蛍から東条を尾行するように頼まれた圭一。
可愛い蛍の頼みとあれば断れない圭一は東条の様子を観察していた。
とはいえ、圭一とて思うところが無いワケではない。
「最近の蛍は人使いが荒いなぁ……」とこぼす圭一、その身体が突然に崩れ始めた。

これは圭一よりも上位の存在が現れた兆候である。
「聖マルス学園」で圭一をあっさりと戦闘不能に追い込めるのは1人しか居ない。

同じ頃、楓から依頼人を聞き出した蛍は愕然としていた。
なんと、桃園霧子だったのだ。
だとすれば、圭一では分が悪い。

慌てて圭一のもとへ駆け付けた蛍は、頭部を残して消滅しかけた圭一を発見することに。
どうやら、霧子は既に去った後らしい。

何とか復活した圭一から話を聞き出す蛍。
圭一によれば、霧子と東条は幼馴染。
しかも、霧子が一方的に東条に想いを寄せている様子。
そんな霧子に東条は疲れてしまったようだ。
其処で東条が霧子から距離を置こうとしたところ、霧子が誤解し浮気相手を探っていたのだろう。

もっとも、霧子と東条はそもそも交際していない。
だからこそ、東条は恋人について聞かれても言葉を濁したのだ。
何しろ、東条にとって霧子は恋人では無いが、かといって否定も出来ない存在だったのだから。

状況を理解した蛍。
さらに、圭一によれば東条には「何か黒い影」が付きまとっているようだが……。

そんな蛍を密かに監視する「目の怪物」。
これは一体!?

こうして、蛍は圭一と共に東条の尾行を開始した。
すると、圭一の言葉通り東条の背後には「黒い影」が。
「黒い影」は日に日にその存在感を増しているようだ。
しかも、それに伴い東条の身には様々なアクシデントが重なるように。
どうやら、すべて「黒い影」の仕業のようだ。

そんなある日、東条が友人たちと歩いていると天候が急変。
空に雷雲が立ち込める。

これを見ていた蛍が驚愕する。
なんと、例の「黒い影」が雷を呼んでいるのだ。
放置すれば東条は落雷により感電死してしまうだろう。

此処で圭一が真相を察した。
おそらく、あの「黒い影」は命を奪う存在なのだ。
昔から東条に付いており直後に死んでいても不自然では無かったのだが、東条を愛する霧子の力で抑制されていたのだろう。
だが、東条が霧子から距離を置いた為に活性化して来たのである。

「黒い影」を排除すべく発砲する圭一だが、相手はびくともしない。
此の間にも雷はすぐ其処まで迫っている……焦る蛍に声をかける人物が居た―――霧子である。
霧子は「蛍が東条を誘惑した」と激怒し批難する。
どうやら、「目の怪物」は霧子の視線を意味していたようだ。

前門の東条、後門の霧子。
まさに挟み撃ち状態の蛍はイチかバチか勝負に出る。

「あ、いやぁ、バレちゃいましたか。でも、流石ですね。東条先輩、ビクともしませんでしたよ。余程、好かれてらっしゃるんですね。お2人の絆の前には私なんて……」

なんと、霧子の望む通り「2人の仲が特別な物である」と強調したのだ。
途端に霧子が破顔した。
同時に東条の背後の「黒い影」は爆発四散する。

恐るべし、霧子のパワー。
東条を自身の所有物と認識した霧子が彼に仇為す物を無意識に打ち払ったのだ。
事の顛末に、狙ったとはいえ絶句する蛍。

「いやぁねぇ〜〜〜そんな本当のこと。まぁ、身の程を弁えてくれれば良いのよ」

その間にも霧子は本当に嬉しそうに笑い続けるのであった―――次話に続く。

ネタバレあらすじはまとめ易いように展開などをかなり改変してます。
気になる詳細は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!

<感想>

「名探偵マーニー」から3ヶ月……我らが木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」に還って来た!!
というワケで、その新作「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」です。
1巻、2巻。3巻に続き、早くも4巻が発売予定!!

さて、その39話。
サブタイは「恋する桃園」。

前回の死神と同じく「謎の桃園」「崖の下の呪い家」に続き、3度目の桃園霧子登場。

恐るべし霧子。
その力が無意識の発露ゆえに、それと知らずに周囲に多大な影響を与えているようです。

そんな霧子に見込まれた東条君。
どうやら、逃げ道は無さそうです。
とはいえ、霧子が傍に居る限り東条君も安泰でしょう。

ただ、東条君が想いを寄せた相手や想いを寄せる相手は痛い目に逢いそう。
また、霧子の気が変わると……。
果たして東条君は生き残ることが出来るのか!?

それにしても「崖の下の呪い家」に続き今回も蛍は霧子の力で切り抜けていますね。
真に恐るべきは蛍なのかも……。

そして「幼馴染」と言えば蛍の幼馴染・真島慎一。
そろそろ彼にも再登場して欲しいところ。
蛍の初恋の相手の謎もあるし。

次回にも注目です!!

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」関連過去記事
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)第1話から第30話までネタバレ批評(レビュー)まとめ

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第31話「謎の桃園2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第35話「崖の下の呪い家3」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第36話「緑川楓の誤算1」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第37話「緑川楓の誤算2」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第38話「騙された死神」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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これまでの登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。

獣を連れた男(10人と1匹の獣):圭一の死に関わる人物。獣は殺意のことらしい。
PND(疑われざる者):静香によれば圭一が追っていた謎の人物らしい。獣を連れた男と同一人物なのか?
十二人委員会:警察内部に存在する犯罪者を私的制裁する組織、メンバーは12人居るらしい。

死神:黒い影の男の正体。「桐島静香の秘密」「謎の桃園」「騙された死神」に登場。

【赤木家とその周辺】
蛍の父:赤木興業の社長。
赤木真知恵:蛍の母。バーのような店を経営している様子。
節:蛍の妹。
和也:蛍の弟。

謎の少年:蛍の初恋相手らしい。11話に登場。
真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。

【聖マルス学園関係者】
志田りか:聖マルス学園の生徒。2話から登場。
塞田康平:蛍のクラスの担任教師。割とミーハーらしい。
見場創太:3話ラストに登場した怪しい男。学園の生徒であった。
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
校長:聖マルス学園の校長。
教頭:聖マルス学園の教頭。
千葉:鐘楼登頂に挑み謎の転落死を遂げた男子学生。
沼代:22話ラストで鐘楼登頂に挑んでいた男子学生。
5人の成功者:過去に鐘楼に登頂することに成功した面々。
五島:5人の成功者の1人だが……。
桃園霧子:「聖マルス学園」2年生とされる謎の令嬢。「謎の桃園」「崖の下の呪い家」「恋する桃園」に登場。
東条春道:霧子の幼馴染、人気者。

【警察関係者】
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
逸見:楓の知人の刑事。
桐島静香:圭一の同期であるキャリア。現在は警察署長に。
大島:南具署の刑事。
光芝:圭一と静香の同期。
久毛山:圭一と静香の同期。
紅梅:圭一と静香の同期。
二階堂:警部。白い服の男。静香に想いを寄せていたらしい。
山本巡査長:在りし日の圭一の上司。今は田舎の派出所に勤務している。
蓮宮:県警の担当者。

【その他】
志田高志:りかの兄。りかにストーカーしているとのことだが……。
実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。
麻依:貝塚の元婚約者。
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
末為良則:12話で遺体で発見される。場津間高校の教師であった。
逸見:楓の知人の刑事。
葉森了:場津間高校の学生。末為の教え子。
葉森美和:蛍が廃病院で出会った女性。了の母で入院していた毛羽病院で落命していた。
間岩:米城警察病院の看護師。
怪物:人中に居ようとも誰も興味を向けない怪物。
大人しい人間:怪物に付き添う不可思議な人影。
栗山将秋:怪物たちが暮らしている部屋の契約者。
三ツ矢:誘拐事件の被害者とされる子供の母親。
満島:節の担任教師。
鏡二郎:呪いの家の過去の所有者。
円卓:「占いの館」の占い師の1人、「ジュエル」を名乗っていた。「緑川楓の誤算」に登場。
蝶野:「占いの館」の占い師の1人、「カラスアゲハ」を名乗っていた。「緑川楓の誤算」に登場。
丹下七郎:携帯ショップの店員、35歳。「騙された死神」に登場。
真利奈:七郎の姪。「騙された死神」に登場。

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「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第99話「ゴーストカー」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第99話「ゴーストカー」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
森羅:主人公。C.M.B.の指輪の主。多大な影響力を持つ。
七瀬立樹:森羅のパートナー。身体を動かすことが得意。

犬柳:画家。
犬柳猫次郎:犬柳の弟。犬柳のプロデュースを行っていた。
犬柳の息子たち:犬柳と離れて暮らしていた兄弟。

<99話あらすじ>

野外実習に赴いた森羅たちは其処で崖から落ちたと見られる無人の車を発見する。
車は木々の間に挟まれており、運転席も助手席も塞がれてしまって中から人が脱出出来た様子はない。
運転手の生存は絶望的と思われたのだが……そもそも中には誰も乗車していないと言う不可解な状況であった。

車の持ち主を調べたところ、画家の犬柳と判明。
ところが、犬柳は半年前に既に死亡していたのだ。
しかも、犬柳の死因は同じ車を運転中の事故死であった。

亡くなった犬柳が車を運転していたのか?
それとも、車が犬柳を追って崖から飛び降りたのか?
謎が謎を呼ぶ中で、森羅は犬柳家の遺産相続問題に巻き込まれる。

犬柳家では犬柳のプロデュースを担当していた実弟の猫次郎と、犬柳の息子たちが争っていたのである。
犬柳は高名な画家であったが名声に反して資産には恵まれず、残されたのはアトリエのある土地と絵画のみ。

とはいえ、それぞれ資産価値は高い。
まず、アトリエだが犬柳の仕事場であり例の車が駐車されていた蒲鉾型の固定式ガレージがある場所で億を超えるだろう。
次いで、絵画は1000万円を超える価値のある絵が1点。
このように純粋な資産価値で比較すればアトリエの土地の方が高いと言えた。

これを犬柳は遺書により、アトリエの土地を猫次郎に、絵画を息子たちに遺すとしていたのだ。
これに息子たちは反発した。
なにしろ、アトリエの土地の方が価値が高いのだ。

しかも、そんな不満を爆発させるような事件が勃発。
遺産とされた絵画が不意に消えたのである。
サイズとしてはちょっとした部屋なみの大きさで容易に隠せる代物ではない。
保管場所から持ち出された形跡も特になく、例の車の事件と共に犬柳の幽霊の仕業かとも思われたのだが……。

これを聞いた森羅は真相を突き止める。
崖下に転落した車と消えた絵画には関連性があったのだ。

まず、森羅は猫次郎が犬柳の遺産を独り占めすべく絵画を盗み出したと指摘。
では、消えた絵画は何処にあるのか?

森羅は車が転落していた崖がアトリエ近くであったことから、次のような推理を述べる。
猫次郎は隙を突いて絵画をアトリエから持ち出し、その外壁に並べた。
そしてガレージと車にロープを結び付けると崖から車を落とした。
ガレージは車に引き摺られ、ちょうどアトリエの前に置かれた絵を隠すように移動し止まる。
後は猫次郎がロープを伝って崖を降り、車に結ばれたロープをほどくとソレを伝って戻ったのだ。

そう、消えた絵画はアトリエとガレージの隙間に隠されていたのである。
ジャッキによりガレージを動かすと例の絵画が現れた。
こうして、犬柳の息子たちは無事に絵画を相続することに成功した。

とはいえ、未だ納得出来ない様子の息子たち。
そんな彼らに森羅はこっそりと犬柳の真意を耳打ちする。

一見、資産価値が高いと思われる犬柳のアトリエ。
しかし、周辺の崖と共に補修する必要が認められるらしい。
その補修費用を捻出すれば、相続したところで持て余すほどだそうだ。
犬柳はこれを知っていた為に息子たちには絵画を遺したのだ―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン」2015年10月号掲載「99話 ゴーストカー」です。

犬柳は猫次郎の欲深さを知っていた故に先を予見して遺書を残していたのでしょう。
結果、それは的中した。
とはいえ、森羅が居なければ故人の想いも水泡に帰していたかと思えば危いところでしたね。
今回も森羅の活躍に読者の1人して胸のすく思いです。

そして、今回は大掛かりな物理トリックも特徴的でした。
あれはサプライズでしたね。

次回にも期待!!

ちなみに、あらすじでは良さを伝え切れてません。
本作自体を読むべし!!

◆関連過去記事
【「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」シリーズ】
「C.M.B. 森羅博物館の事件目録(「月刊少年マガジン」2012年6月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録(「月刊少年マガジン」2012年7月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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「C.M.B. 森羅博物館の事件目録(「月刊少年マガジン」2012年9月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 68話 ガラスの楽園・後編(「月刊少年マガジン」2012年11月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 69話「螺旋の骨董品店」(「月刊少年マガジン」2012年12月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 70話「4枚目の鏝絵」(「月刊少年マガジン」2013年1月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 71話「足摺厚焼き卵店」(「月刊少年マガジン」2013年2月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 72話「Nobody」(「月刊少年マガジン」2013年3月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 73話「グラウンド」(「月刊少年マガジン」2013年4月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 74話「二笑亭」(「月刊少年マガジン」2013年5月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第75話「ダイヤ泥棒」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年6月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第76話「レース」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年8月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第77話「掘り出し物」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年9月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第78話「バッグ ストーリー」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第79話「その朝、8時13分」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2013年7号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第80話「香木」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年12月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第81話「ゴンドラ」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年1月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第82話「ライオンランド(前篇)」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年2月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第83話「ライオンランド(後篇)」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年3月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第84話「兆し sign」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年4月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第85話「アステカのナイフ」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年5月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第86話「爆破予告」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年7月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第87話「幸運」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年8月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第88話「キジムナー」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年9月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第89話「空き家」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第90話「プラクルアン」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年11月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第91話「ホリデー(前編)」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年12月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第92話「ホリデー(後編)」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年1月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第91話「被害者、加害者、目撃者」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年2月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第92話「椿屋敷」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年3月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第93話「自白」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年4月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第94話「ドリームキャッチャー」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年5月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第95話「宗谷君の失踪」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年6月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第96話「JOKER」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年7月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第97話「ピーター氏の遺産」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年8月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第98話「地獄の穴」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年9月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B.番外編 M.A.U. “ブラック・マーケットの魔女”の事件目録 箪笥の中の幽霊」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2013年6号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【「Q.E.D.証明終了」シリーズ】
「Q.E.D.証明終了(「月刊少年マガジン+(プラス)」2012年3号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス)」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了(「月刊少年マガジン+(プラス)」2012年4号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス)」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 金星(「月刊少年マガジン+(プラス)」2013年5号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス)」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 初恋」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年7月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 失恋」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2013年6号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 巡礼」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 陽はまだ高い」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2013年7号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 代理人」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2014年8号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 iff」1話(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジンR 2015年1号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了iff」2話「素っ裸の王様」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジンR 2015年2号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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