2015年09月13日

「実は私は」第127話「紫々戸獅穂B」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第127話「紫々戸獅穂B」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧は本記事下部に移動しました。

<あらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜

「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒峰朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?

矢先、実は宇宙人であった委員長・渚、狼男で肉食系女子な獅穂、悪魔っ娘の茜、未来人の凛、幼馴染のみかん、天使の華恋も加わって……。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

狼男であることをみかんと渚に知られた獅穂。
拒否されることを怖れる獅穂であったが、2人は葉子や朝陽のように素顔の獅穂を受け入れる。
こうして、新たな友を得た獅穂であったが……。

その日、登校途中の獅穂に葉子が声をかけて来た。
花火大会へのお誘いである。

「花火大会」と言えば何かあったような……考えていた獅穂たちの表情が凍り付く。
それぞれの秘密の件ですっかり忘れていたが、そもそも「獅穂の未来の夫が嶋問題」が放置されていることに気付いたのだ。

そして、結香はこうも言っていた。
「獅穂と嶋の馴れ初めが花火大会にある」と。
すなわち、葉子の誘いに乗ることは嶋との未来を受け入れることに繋がりかねない。

だが、獅穂はあえて花火大会への参加を決める。
そんな獅穂を必死に押し留めるみかんと渚だが、彼女の決意は固かった。

獅穂によれば嶋との馴れ初めに興味があるらしい。
また、朝陽へ告白するつもりなのである。
そして何より、自分自身と向き合う良い機会だと考えているようだ。

その夜、葉子と共に花火大会へやって来た獅穂は彼女から今回の発案者が朝陽であることを聞かされ驚くことに。
どうやら朝陽は獅穂が花火大会に参加したがっているものの躊躇していることを知っていたらしい。

もはや、獅穂の想いは止められなかった。
獅穂は「友情を壊すかも」と怯えつつ、葉子に朝陽への告白を告げる。

これに対しライバル宣言で返す葉子。
葉子は獅穂を親友と認めた上で正々堂々勝負しようと伝える。
そんな葉子に獅穂は「良い友人に恵まれた」と涙ぐむのであった。

いよいよ朝陽へ告白を決行する獅穂。
そのとき、朝陽は―――128話に続く。

充実の「実は私は」が読めるのは「週刊少年チャンピオン」だけ。
本誌で確認せよ!!

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻に続き2巻、3巻、4巻、5巻、6巻、7巻、8巻、9巻、10巻、11巻、12巻も重版出来とのことで、目出度い。
さらに、13巻も発売予定。
そして、本作かなり面白い!!

そんな「実は私は」が遂にアニメ化。
テレビ東京系列にて2015年7月6日から放送開始とのこと見逃すなかれ!!
ちなみに、登場人物に黄龍院凛らの名前が無いことを見ると序盤をアニメ化する予定なのかな。
さらに、アニメ版は早くもブルーレイ、DVD化が発表されています。

【第EXTRA話】アニメ版「実は私は」スタッフさんとキャストさんの一部を明らかにされよう!

その127話。
サブタイは「紫々戸獅穂B」。

遂に125話目から「!」なしのサブタイが登場。
まさに新シリーズ「未来を変えよう」編の幕開けと言えるでしょう。

そんな127話は怒涛の展開に発展。
なんと、獅穂が遂に朝陽へ告白です。

とはいえ、この結果は火を見るより明らか。
朝陽には何と言っても葉子が居ます。

これにより獅穂は朝陽を吹っ切ることとなるのでしょう。
そして、其処へ嶋がアプローチをかける展開か。
つまり、ほぼ獅穂の夢の通り。
でもって、これが馴れ初めになりそうな予感。
言わば、獅穂と嶋を結び付けたのは朝陽になりそうか。

そもそも、獅穂の朝陽への想いは「狼男であることを知っても人格を認めてくれた初の異性」だったことに由来してそうなところもあるし、愛よりは好意に近かったのかもしれないなぁ。

うむ、今回も充実した回ですな。
多くは語るまい、とりあえず読め!!

そう言えば、上でもお伝えした通りコミックス12巻が発売。
表紙は1巻の葉子、2巻の渚、3巻の獅穂、4巻の茜、5巻のフクちゃんとみかん、6巻の凛、7巻の明里さんに続き、8巻が銀華恋、9巻が渚とみかんのコンビ、10巻が1周回って葉子、11巻は獅穂と凛コンビ、12巻は緑苑坂弓と桐子の夫婦コンビ。
そして、13巻は桃地結香!!
となれば、次回は登場順で水奈川咲かな?

ちなみに、上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

◆関連過去記事
「実は私は」第1話から第120話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ

「実は私は」第121話「流しそうめんを食べよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第122話「カブトムシを採りに行こう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第123話「気を引こう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第124話「未来を変えよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第125話「紫々戸獅穂@」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第126話「紫々戸獅穂A」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。

藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
藍澤涼:渚の兄、意外な形で登場することに……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本明里:教師。彼女にも秘密が……。
黄龍院凛:33話より登場した謎の少女。彼女にも秘密が!?
黄龍丸:凛が駆るドラゴン。52話にて意外な正体が明らかに。

朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「外道クイーン(オレンジ)」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。眼鏡が特徴。割と友人想いの様子。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。124話にてフルネームが「嶋田結太」と判明。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
フクちゃん:「福の神見習い」を名乗る眼鏡。
フクの介:フクちゃんの先輩。やはり眼鏡。
フク太郎:フクちゃんとフクの介の先輩。やはり眼鏡。
フク蔵:フクちゃんとフクの介とフク太郎の先輩。やはり眼鏡。
手崎:文字通り茜の手先な料理教室のシェフ。

朝陽の父:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の母:朝陽の家族。22話に初登場。
黒峰鳴:朝陽の妹。22話、28話、48話に登場。48話にて名前と顔が判明。92話で高校に進学。
白神源二郎:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。39話にて名前が判明。
白神桐子:葉子の母で人間。和服の美女。38話にて名前が判明。
銀華恋:茜に続く第2のツノツキ……の筈だったが。58話から登場。

緑苑坂弓:朝陽たちの副担任、実は源二郎。92話から登場。
桃地結香:忍者少女、92話(実際は105話)から登場。ある秘密が……。
閃:鳴、結香のクラスメートの男子。瓶底眼鏡に腰の日本刀がトレードマーク。
水奈川咲:結香、閃、鳴のクラスメート。109話から登場。ある秘密が……。
箱入り娘:114話終盤に登場した謎の人物!?

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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

土曜ワイド劇場「おとり捜査官〜最新作 罪深き美女・連続殺人!ひとりの男が3人の妊婦と暮らす怪しい家の謎…セレブ夫婦たちの隠された秘密!!」(9月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「おとり捜査官〜最新作 罪深き美女・連続殺人!ひとりの男が3人の妊婦と暮らす怪しい家の謎…セレブ夫婦たちの隠された秘密!!」(9月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

北見志穂(松下由樹)は、警視庁捜査一課の刑事。自ら“おとり”となって事件の渦中に飛び込み、数々の難事件を解決してきた。強盗犯による立てこもり事件が解決した直後、志穂は所轄署から異動してきたばかりの香坂凛(水野美紀)とコンビを組むよう、主任の井原(小木茂光)に命じられる。実は、急所を的確に外して強盗犯を狙撃し、立てこもり事件をスピード解決に導いたのは、ほかならぬ凛だった。井原によると、凛は射撃の達人で、警務部勤務時代に五輪の代表候補になったこともあるという。競技引退後は本人の希望で現場の警察官となり、その後の所轄での検挙率は群を抜いていたようだ。しかし、凛は群れるのを嫌う性格らしく、志穂が食事に誘っても素っ気ない返事しか返ってこなかった。
数日後、河川敷に放置された盗難車から、後頭部を殴打されたホステス・安永千秋(秋山莉奈)の死体が発見される。千秋には6年前、生後まもない我が子を炎天下、車内に放置し熱中症で死なせてしまった過去があり、保護責任者遺棄致死罪で懲役3年・執行猶予5年という判決を受けていた。志穂は、子どもを死なせたときと同じ状況で被害者の遺体が見つかったことに胸騒ぎを覚える…。
志穂は単独行動を取りたがる凛を制しつつ、被害者宅を捜索。部屋の中から産婦人科医院のスタンプが押された、ひと月以上も前の古い週刊誌を見つけ、手がかりを求めてそのクリニックを訪ねる。院長の岡野典子(伊藤かずえ)は1週間ほど前、下腹部の痛みを訴える千秋を診察したものの保険証がないと泣きつかれ、結局カルテを作らず、診察料もとらなかったと話す。
 
翌日、またしても河川敷に停められた盗難車からホステス・宮島理香子(小野麻亜矢)の死体が見つかった。遺体の顔を見た志穂と凛は、ハッと気づく。前日、典子のクリニックで、彼女を見かけていたのだ。千秋の事件と現場の状況は酷似しており、やはり彼女も6年前、炎天下に赤ん坊を車内に放置して死なせ、同様の判決を受けていた。犯人は同一人物で、被害者2人の執行猶予判決を不服に思い、彼女たちに制裁を加えたのだろうか…!? だが、殺害される前、2人とも同じクリニックを訪れていたことも偶然とは思えない…。志穂と凛は、典子のマークを続行する。
そんな中、被害者が遺棄された車が盗難に遭った現場付近で、同じバイクが目撃されていたことが発覚。ナンバーから、元保育園送迎バス運転手・徳丸武弘(庄野崎謙)が捜査線上に浮かぶ。すぐに徳丸の潜伏先に向かった、志穂と凛。だが、「応援が来るまで動かないように」という志穂の指示を無視し、凛は単独で潜入してしまう。凛との格闘の末、徳丸は逃走、出くわした主婦・竹山すみれ(原史奈)の車を奪って行方をくらましてしまった。しかも、心臓に持病があるすみれは、ショックで発作を起こして入院してしまい、凛は深く責任を感じて…。
一方、彼女の夫で弁護士の竹山伸治(原田龍二)と対面した志穂は、千秋の部屋に残されていた、あの古い週刊誌のグラビアに、竹山夫妻の記事が載っていたことを思い出して…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)


では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……

北見志穂は、警視庁捜査一課の刑事。
囮捜査官として数々の事件を解決して来た。

そんなある日、志穂は上司の井原主任から香坂凛とコンビを組むよう命じられる。
凛は優秀と評価されながらもスタンドプレーが災いして周囲から疎まれているらしく、井原は志穂と組ませることで変化を期待したのだ。

数日後、安永千秋の他殺体が発見される。
千秋は6年前に実子を虐待死させていた。

千秋宅を調べた志穂と凛は「岡野聖母子クリニック」のスタンプが押された古い週刊誌を発見する。
その中には竹山伸治弁護士、すみれ夫妻とその愛娘・杏奈が載っていた。

志穂は「岡野聖母子クリニック」に注目し、クリニックの院長・岡野典子を訪ねる。
典子は千秋は患者の1人と説明するが……。

その翌日、新たな被害者が。
殺害されたのは宮島理香子、彼女も千秋と同じく子供を虐待で死なせていた。
しかも、同じく「岡野聖母子クリニック」に出入りしていたのである。

凛は子供を虐待死させた母親を許せない何者かが千秋と理香子を殺害したのでは……と仮説を立てるが。

千秋と理香子の殺害現場付近にて「火を噴くドラゴンのヘルメット」を着用したライダーが目撃されていたことが判明。
そのナンバーから徳丸武弘が容疑者に浮かぶ。

徳丸の自宅へ向かった志穂と凛。
志穂は応援を待つように訴えるが、凛はこれを振り切って強襲。
しかし、徳丸の激しい抵抗に遭い逃亡を許してしまう。
しかも、その途中で徳丸はすみれが運転していた車を奪い、すみれに怪我をさせてしまう。

これに責任を感じた凛は退職すら考えるように。

一方、志穂はすみれを通じて竹山弁護士と対面する。
竹山は彼の事務所に所属するもう1人の弁護士・西崎と共にすみれの負傷を憤る。

そんな中、志穂はある雑誌の特集記事「ネグレクトする母親たち」を発見。
其処に千秋と理香子が取り上げられていたことに気付く。
この記事には第2弾も存在しており、其処では垣之内萌と新井里美なる子供を虐待死させた母親が取り上げられていた。
拘置所に居る里美はともかく、萌が危ないのではないかと考えた志穂は急行。
しかし、時既に遅く萌も何者かに殺害されていた。

記事通りに被害者が出ていることに注目した志穂。
記事を書いた記者・山田悟へも目を向けることに。
ところが、山田は姿を消していた。

山田を調べたところ、4年ほど前に彼が3人の妊婦と共同生活を送っていたことを突き止める。
驚くべきことに、この妊婦のうち2人は千秋と理香子であった。
だが、千秋と理香子には4年前に出産の記録は無い。

矢先、雑誌に掲載されなかった「ネグレクトする母親たち」の第3弾が存在することが明らかに。
記事で取り上げられたのは6年前に子供を脱水症で死なせた白木敦子。

この敦子こそが山田と共同生活を送っていた3人目の妊婦を判明する。
だが、敦子にも4年前に出産の記録は無い。

とはいえ、敦子が次の標的となる可能性が高い。
敦子は7月20日に新たな夫と結婚式を挙げる予定であった。
この日に狙われると考える志穂たちだが……。

その頃、山田は「7月20日か……絶対に許さない」と呟いていた。

そんな中、竹山と山田が大学時代の同級生であったことが分かる。
しかも、山田と典子にも接点が存在した。
さらに、徳丸と山田にも接点があったことが明らかに。

すべてに山田が関わっているのだ。
俄に山田がクローズアップされることとなった。

その翌日、志穂は凛の正義感の理由を知る。
凛は過去に父親を通り魔に殺害されていた。
人一倍悪を憎むのはそれが理由だったのである。

その夜、山田の自宅から押収した書類を調べた志穂は出生届を発見。
其処には佐藤夫妻の一子・大樹や前川夫妻の子供の名が書かれていた。
しかも、届はすべて4年前の物で、典子が出産に携わっている。

これを目にした志穂は代理母出産を疑う。
おそらく山田が千秋や理香子を紹介し典子が手を貸したのだろう。
そして、千秋は竹山夫妻とその娘・杏奈の記事を所持していた。
千秋が生んだ娘こそが竹山の娘・杏奈ちゃんだと確信する志穂。

典子に取調べを行ったところ、これが正しいことが確認された。
何でも山田がすみれから依頼を受け千秋や理香子たちを集め、典子の手を借りて実行に移したようだ。
佐藤夫妻や前川夫妻も不妊に苦しんでおり、すみれの紹介で参加したそうである。

ところが、数日前になって千秋が典子を訪問し代理母の秘密を盾に金銭を要求した。
これに屈した典子は竹山たちの存在を教えたのだそうだ。
千秋は7月7日にすみれへ2000万円を要求したらしい。
また、千秋に事の顛末を聞いた理香子も典子から佐藤夫妻の存在を聞き出し脅迫していたそうである。

井原主任は山田と徳丸が共謀し、千秋たちを殺害したと考える。

典子の弁護を西崎が引き受けることになる中、7月20日が近付く。
それは敦子の結婚式である。
当然、敦子の身に危機が迫ることとなる。

「私、囮になります」
志穂が宣言し、志穂が敦子を演じる囮作戦が決定した。

ところが、同日に里美が保釈されることとなった。
標的候補は2人、しかし志穂は1人だ。
困り果てる志穂に、凛もまた囮を志願する。

こうして、敦子を志穂が、里見を凛が囮として演ずることとなった。
人員を2手に分けてそれぞれの警護を行う井原たち。

そんな中、凛の前に徳丸が現れた。
凛に襲い掛かる徳丸だが、あっさりと取り押さえられてしまう。

一方、山田は遠目から志穂の姿を確認し囮と看破し逃走する。
これを追う井原主任たち。
ところが、その隙を突き志穂が何者かに捕まってしまう。

同じ頃、徳丸は垣之内萌殺害は認めるが、他の犯行は否定する。
ただし、主犯の正体を知っており死体遺棄を依頼されたようだ。

山田の身柄も確保された。
しかし、山田は襲撃者ではなく、犯人を捕まえようと動いていたことが分かる。
山田が許せなかったのは千秋たちではなく、彼女たちを殺害した犯人だったのだ。
どうやら、山田も敦子が狙われると考えて密かに守っていたらしい。

その頃、目覚めた志穂の前には西崎弁護士が立っていた。
そう、千秋と理香子殺害の真犯人は西崎だったのだ。
西崎こそが徳丸の黒幕だったのだ。

3ヶ月前、西崎は山田から徳丸の話し相手になってやって欲しいと相談を受けた。
徳丸宅を訪れたところ、徳丸は自殺しようとしていた。
徳丸は児童虐待を強く憎んでおり、無力な自分に絶望していたのである。
これを助けた西崎は徳丸の心を掴み、彼を支配し千秋たちへ憎悪を向けさせた。
そして、千秋と理香子の死体遺棄に協力させ萌殺害や里美殺害未遂に及ばせたのだ。

西崎はすみれを愛していた。
だが、すみれは竹山を愛した。
それでも、西崎はすみれを愛した。
むしろ、それですみれが幸せになるのなら良いとさえ思ったのだ。

ところが、そんなすみれを苦しめる存在が現れた。
他ならぬ千秋だ。
千秋は代理母の事実ですみれを脅迫した。

西崎はそんな千秋を許せず殺害を決意し実行。
だが、千秋だけが殺害されてしまってはすみれが心を痛めるかもしれない。
また、すみれは佐藤夫妻や前川夫妻が同様に脅迫されるのではないかと怯えていた。
そんな中、実際に理香子が佐藤夫妻を脅迫してしまったのだ。

其処で禍根を断つべく、残る2人の殺害をも決意し理香子を殺害したのであった。
そして残るは敦子だったのだが……志穂の囮に引っかかったのだ。

志穂を殺害しようとする西崎。
だが其処へ、徳丸から全てを聞き出した凛たちが駆け付ける。
急転直下、西崎は逮捕されることに。

こうして、志穂と凛が相棒になった初の事件は無事に解決した。
凛は志穂から相棒と認められ刑事を続けることに。
どうやら、此処にまた名コンビが誕生したようだ―――エンド。

<感想>

土曜ワイド劇場「おとり捜査官北見志穂」シリーズ19作目。
今作からタイトルが「おとり捜査官」に変更となっています。

前作は2014年4月5日に放送されているので、ほぼ1年5ヶ月ぶりの最新作。
シリーズのいくつかは過去記事でネタバレ批評(レビュー)してますね。
興味のある方は過去記事をどうぞ!!

なお、袴田刑事役の蟹江敬三さんが2014年3月30日にお亡くなりになっています。
19作目となる本作はその意味でもリブート作となっているようです。

蟹江敬三さん、死去……

では、ドラマの感想を。

志穂の新相棒となったのは凛でした。
そして2人で囮役を演じることに。
だからこそのタイトル変更のようです。
ちなみに「Wおとり捜査官・志穂&凛」でも良いかもと思ったり。

そして、犯人の西崎。
このシリーズの犯人はかなり犯行動機が独善的で大胆なことが多いのですが、今回に限っては割と頷ける動機だった点がサプライズでした。
手段こそ誤っていましたが、その全てが「すみれの為」と言う動機は寧ろ千秋たちよりも視聴者の同情を惹いた筈。
しかも、すみれを愛しつつも竹山との関係を温かく見守ろうとする姿は手段さえ間違わなければ心強いほどだし。
返す返すも極端な犯行に及んだ点が惜しい。

それにしても、西崎は典子こそ狙うべきだったような。
なにしろ、典子が生きている限り情報漏洩の危険性は常に付きまとうワケだし。
現に保身の為に千秋、理香子に洩らしてるからなぁ。
しかも、典子が取調を受けた為に代理母が露見する羽目になってるし。
敦子に関しても典子さえ明かさなければ前川夫妻の存在は分からないのだから問題ない筈だし。
此の点が何とも不思議だ。

そう言えば、山田のミスリードもなかなかに捻っていましたね。
本シリーズのお約束により山田がミスリード役であることは分かっていましたが、あの「許せない」が「友人である竹山一家を脅迫した千秋たち」ではなく「その千秋たちを殺害した犯人であった」点はサプライズでした。
ただ、山田にも千秋たちの死の責任の一端があるんだよなぁ。

そんなリブート回でしたが、袴田不在の中でもシリーズらしさが盛り込まれていたように思います。
少なくとも本シリーズのお約束は守られていましたし。

本シリーズは次のような展開がお約束となっています。

1.事件発生
2.容疑者らしき人物が特定される。
3.その犯行の証拠を掴む、あるいは現行犯で逮捕する為に北見が囮を志願。
4.此処に想定外の真犯人が登場、北見がピンチに!!
5.事態に気付いた袴田が助けに入る。
6.事件解決

この流れが特徴となっていて、特に3の場面で北見が口にする「私、囮になります」との台詞が有名。
今回もコレがありました。5の部分が袴田から凛に代わったワケですね。
次作にも期待出来そうです!!

ちなみにドラマ原作は「神狩り」で知られる山田正紀先生の「女囮捜査官(おとり捜査官)」シリーズ。
シリーズは「女囮捜査官 1 触覚」などのように「タイトル+五感」となっておりシリーズはきちんと5冊(触角、視覚、聴覚、嗅覚、味覚)発行されている。
もし仮に原作で次があるとすれば(ないだろうが)、「女囮捜査官 第6感(直感)」となるのだろうか?
あるいは「女囮捜査官 共感覚」かも……。

◆関連過去記事
土曜ワイド劇場「おとり捜査官・北見志穂 “幸福の絶頂”美女連続殺人!富士山だけが知る、黒いベールの女の秘密…被害者3人に謎の接点」(4月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「おとり捜査官・北見志穂 右手を挙げた美女連続殺人・最強の知能犯蟻食いと対決!スペイン?罠の女…被害者達に謎の接点」(6月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)

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土曜ワイド劇場「おとり捜査官北見志穂 獄中女に間違われた女刑事!銀行襲撃犯が殺される理由…消えた拳銃と2300万の謎」(8月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)

・「共感覚」といえば思い浮かぶのはこれらの作品。
「臨床真理」(柚月裕子著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「キョウカンカク」(天祢涼著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

<キャスト>

北見志穂:松下由樹
香坂 凛:水野美紀
竹山伸治:原田龍二
岡野典子:伊藤かずえ
竹山すみれ:原 史奈
西崎亮一:阿部 力
山田 悟:蟹江一平
井原主任:小木茂光
三上 勉:半田健人
佳代:赤座美代子 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)


「神狩り」で知られる山田正紀先生の「おとり捜査官 1 触覚 (朝日文庫)」です!!
おとり捜査官 1 触覚 (朝日文庫)





◆「おとり捜査官」シリーズ関連書籍です!!