ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
『このミステリーがすごい!』大賞受賞作家による全書き下ろしミステリー!佐藤青南の大人気「行動心理捜査官・楯岡絵麻」こと、エンマ様の新シリーズ連載スタート!「さよならドビュッシー」の中山七里が描く音楽シリーズ「どこかでベートーヴェン 第五話」、乾緑郎の鍼灸院ミステリー「鷹野鍼灸院」シリーズ最新作「坂道に立つ」、友井羊の「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん」シリーズ最新作「シチューの人」など、話題作家競演の一冊。
(宝島社公式HPより)
<感想>
中山七里先生「岬洋介シリーズ」の最新作『どこかでベートーヴェン』の第5話が発表されました。
長編第3作である『いつまでもショパン』と同様に『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK』に掲載されています。
これにより、何時か来るシリーズ第4作『どこかでベートーヴェン』の発売が明らかに。
そんな「岬洋介シリーズ」は「難聴を抱える天才ピアニスト岬洋介が関わった事件を描く」シリーズ作品。
あくまで関わった事件なので、中心視点人物は各作品ごとに別の人物となっており、岬は事態解決やアドバイスなどを行う探偵役の立場となっています。
いつか岬自身が視点人物となる日がやって来るのでしょうか。
なお、今回の『どこかでベートーヴェン』は『いつまでもショパン』の後から始まる物語。
ただし、ある事柄(『いつまでもショパン』での出来事)により一躍有名になった岬を見かけた高校時代の同級生が当時(高校時代)に起こった事件について振り返るとの内容になっています。
この為、実際は回想が主になりそうかな。
そして、いよいよ5話で物語が動きました。
4話時点では災害に対しての岬の活躍を描くストーリーになるのかと思いきや、なんと殺人事件の発生です。
被害者は岬と対立していた岩倉、そして岬が容疑者に!?
さらに、岬の家族関係の一端も明かされました。
今のところ、岬はアリバイのない棚橋を疑っているようですが……。
5話を読んだ限り、もっと有力な容疑者が居ますね……春菜です。
事件が起きたとされる前後で春菜はずっとジャージを着込んでいます。
もしかすると、制服が濡れるような状況に置かれていたのではないでしょうか。
あるいは岩倉の死因が撲殺であることから返り血が付着したか。
春菜のアリバイ自体も岩倉の姿が見えなくなった時間から成立しているものですし割と容易に崩せます。
例えば、途中で下校したと思われていた岩倉が学校内に潜んでおり春菜とトラブルになり殺害された。
あるいは、下校したとされる時間の時点で既に春菜の手で殺害されていればアリバイは成立しません。
いずれにしても死体運搬がネックになって来ますが、それこそ学校前が急な坂であり、当時の状況を考えればクリア出来ないことも無さそうだし。
これは岬と鷹村にとって辛い結末が待ち構えて居るのかも……。
さらに本作はタイトルが『どこかでベートーヴェン』とされている通り、岬の難聴も大きく絡んで来るのかもしれません。
ちなみに、「岬洋介シリーズ」には長編が『さよならドビュッシー』、『おやすみラフマニノフ』、『いつまでもショパン』の3作(刊行順、作中時系列順)と短編が短編集『さよならドビュッシー前奏曲(文庫化に際し『要介護探偵の事件簿』を改題)』(『さよならドビュッシー』の前日譚を描いたスピンオフ)、『間奏曲(インテルメッツォ)』(『いつまでもショパン』と同時期に起こっていた事件を描くスピンオフ)の2作が存在しています。
記念すべきシリーズ第1作『さよならドビュッシー』は映画化もされています。
書籍版については、すべてネタバレ書評(レビュー)していますね。
興味のある方はネタバレあらすじ後の関連過去記事へどうぞ!!
ちなみに、ネタバレあらすじについては管理人によりかなり改変されています。
本作を楽しんで頂くには直接お読み頂くことをオススメします!!
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
岬洋介:シリーズ主人公、今回は高校時代が描かれる。
鷹村亮:『どこかでベートーヴェン』の視点人物。音楽科の学生。
岩倉:音楽科の学生の1人。
板台:音楽科の学生の1人、バンドを組んでいる。
春菜:鷹村が憧れる同級生。
美加:音楽科の学生の1人。
棚橋:音楽教師。
佐久間:数学教師。
横屋:教師。
・4話はこちら。
『どこかでベートーヴェン 第四話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.9』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
学校に居たところ、嵐による土砂崩れに見舞われた岬たち音楽科の面々。
道も通信も途絶し孤立した学校を救うべく、岬は1人助けを呼びに街へ向かう。
一方、学校では……。
担任の棚橋も病欠しており残された同級生たちがパニックに陥ることに。
この事態に鷹村は教師の横屋と共に仲間たちを励ます。
岬が残していた言葉により、比較的頑丈と思われる体育館へ避難することにした面々。
春菜は濡れても良いようにと常にジャージ姿であった。
移動を終えた面々だが、不安は募るばかり。
そんな中、遂にレスキュー隊が駆け付けた。
岬が呼んだ助けが間に合ったのだ。
ほっと胸を撫で下ろす鷹村だが意外な事実を知ることに。
なんと、当の岬が拘留されているらしいのだ。
しかも、同級生である岩倉殺害の容疑である。
数時間後、棚橋と合流した鷹村はある程度の事情を聴く。
土砂崩れの前に学校を下校した筈の岩倉が、土砂崩れ後に道の途中で死体で発見されたのだ。
その道は岬が助けを求めるべく通った道であった。
土砂崩れが起こったことで人通りは殆どない。
其処で岬の犯行が疑われたのである。
岬の性格を知る鷹村は彼の犯行を否定するが……。
そんな中、取調を担当していた刑事は岬の父親を知るや彼を解放する。
なんと、岬の父は有名な検事だったのだ。
岬の家庭環境に憧れる鷹村だが、すぐにその考えを改めざるを得なくなる。
岬の父は彼の音楽の実力を認めておらず、音楽家になることに反対していたのだ。
岬の実力を知るだけに信じられない想いを抱く鷹村であった。
岩倉の葬儀が行われ参列することとなった岬。
ところが、岩倉の両親から参列を拒否されてしまう。
取調を受けたことから未だに容疑者と思われているようだ。
岬は自身の無実を証明するべく真犯人探しに乗り出す。
まずは、病欠しアリバイのない棚橋を疑っているようだが―――『どこかでベートーヴェン』6話(あるいは本編)に続く。
◆「中山七里先生」関連過去記事
【岬洋介シリーズ】
・『さよならドビュッシー』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『おやすみラフマニノフ』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『いつまでもショパン』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『いつまでもショパン』第1回(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK』連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『どこかでベートーヴェン 第一話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.6』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『どこかでベートーヴェン 第二話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.7』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『どこかでベートーヴェン 第三話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.8』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『どこかでベートーヴェン 第四話』(中山七里著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK vol.9』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『間奏曲(インテルメッツォ)』(中山七里著、宝島社刊『このミステリーがすごい!2013年版』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『要介護探偵の事件簿』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【刑事犬養隼人シリーズ】
・『切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人』(中山七里著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
【その他】
・『連続殺人鬼カエル男』(中山七里著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『静おばあちゃんにおまかせ』(中山七里著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『残されたセンリツ』(中山七里著、宝島社刊『このミステリーがすごい! 四つの謎』収録)ネタバレ書評(レビュー)
【ドラマ版】
・土曜ワイド劇場「切り裂きジャックの告白 〜刑事 犬養隼人〜 嘘を見抜く刑事VS甦る連続殺人鬼!?テレビ局を巻き込む劇場型犯罪!どんでん返しの帝王が挑む衝撃のラストとは!?」(4月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「このミステリーがすごい!〜ベストセラー作家からの挑戦状〜 天才小説家×一流映画監督がコラボした、一夜限りの豪華オムニバスドラマ!味わいの異なる4つの謎=各25分の濃密ミステリー!又吉×希林の他では見られないコントも!」(12月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)
「さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード)~要介護探偵の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)」です!!
さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード)~要介護探偵の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
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