2015年09月20日

「実は私は」第128話「紫々戸獅穂C」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第128話「紫々戸獅穂C」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧は本記事下部に移動しました。

<あらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜

「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒峰朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?

矢先、実は宇宙人であった委員長・渚、狼男で肉食系女子な獅穂、悪魔っ娘の茜、未来人の凛、幼馴染のみかん、天使の華恋も加わって……。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

狼男であることをみかんと渚に知られた獅穂。
拒否されることを怖れる獅穂であったが、2人は葉子や朝陽のように素顔の獅穂を受け入れる。
こうして、新たな友を得た獅穂は朝陽へと思いの丈をぶつけることに。

花火大会当日、遂に獅穂は朝陽へと恋心を打ち明ける。
しかし……その答えは獅穂自身が予期していたものと同じであった。

そう、朝陽には葉子が居るのだ。
だが、寧ろ獅穂は何処かこの答えを待っていたことに気付く。
そんな獅穂を朝陽は傷付けまいと優しく労わるのであった。

その頃、同じく花火大会へ参加していた嶋。
傷心の獅穂を見かけ慰めるように声をかける。

これに嶋を見直した獅穂は交際を申し込もうとするのだが……。

な、なんと、あの嶋が。
異性と見れば見境なく飛び付いていた嶋が。
事今回は「それには及びません」と断ったのである。

そう、中身が男性である涼や弓にさえ交際を申し込んだ嶋が。
今回は「いや、結構」とキッパリ、アッサリ断ったのである。
どうやら、獅穂に限っては好みではないらしい。

「そ、そんな……」
プライドを痛く傷付けられた獅穂はあろうことか自ら振り向かせて見せると宣言することに。

そんな2人の様子を遠くから見ていたみかん、凛、結香たち。
「ねぇ、もしかして……紫々戸さんの方が積極的だったの!?」
みかんの問いに無言で彼方を見上げる凛であった―――129話に続く。

充実の「実は私は」が読めるのは「週刊少年チャンピオン」だけ。
本誌で確認せよ!!

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻に続き2巻、3巻、4巻、5巻、6巻、7巻、8巻、9巻、10巻、11巻、12巻も重版出来とのことで、目出度い。
さらに、13巻も発売予定。
そして、本作かなり面白い!!

そんな「実は私は」が遂にアニメ化。
テレビ東京系列にて2015年7月6日から放送開始とのこと見逃すなかれ!!
ちなみに、登場人物に黄龍院凛らの名前が無いことを見ると序盤をアニメ化する予定なのかな。
さらに、アニメ版は早くもブルーレイ、DVD化が発表されています。

【第EXTRA話】アニメ版「実は私は」スタッフさんとキャストさんの一部を明らかにされよう!

その128話。
サブタイは「紫々戸獅穂C」。

遂に125話目から「!」なしのサブタイが登場。
まさに新シリーズ「未来を変えよう」編の幕開けと言えるでしょう。

そんな128話は獅穂と嶋の馴れ初めが明らかに。
どうやら、獅穂が積極的に嶋に迫る展開のようです。
数話前までは想像も出来なかった急展開。
これは、嶋が照れ隠しをしている可能性もあるのか!?
嶋は案外、追うことは得意でも追われることには弱いのかも。

それにしても、125話「紫々戸獅穂@」では「追う嶋、逃げる獅穂」だったのにねぇ。
まさに「攻守逆転」です。

「実は私は」第125話「紫々戸獅穂@」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

うむ、今回も充実した回ですな。
多くは語るまい、とりあえず読め!!

そう言えば、上でもお伝えした通りコミックス12巻が発売。
表紙は1巻の葉子、2巻の渚、3巻の獅穂、4巻の茜、5巻のフクちゃんとみかん、6巻の凛、7巻の明里さんに続き、8巻が銀華恋、9巻が渚とみかんのコンビ、10巻が1周回って葉子、11巻は獅穂と凛コンビ、12巻は緑苑坂弓と桐子の夫婦コンビ。
そして、13巻は桃地結香!!
となれば、次回は登場順で水奈川咲かな?

ちなみに、上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

◆関連過去記事
「実は私は」第1話から第120話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ

「実は私は」第121話「流しそうめんを食べよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第122話「カブトムシを採りに行こう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第123話「気を引こう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第124話「未来を変えよう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第125話「紫々戸獅穂@」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第126話「紫々戸獅穂A」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第127話「紫々戸獅穂B」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。

藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
藍澤涼:渚の兄、意外な形で登場することに……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本明里:教師。彼女にも秘密が……。
黄龍院凛:33話より登場した謎の少女。彼女にも秘密が!?
黄龍丸:凛が駆るドラゴン。52話にて意外な正体が明らかに。

朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「外道クイーン(オレンジ)」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。眼鏡が特徴。割と友人想いの様子。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。124話にてフルネームが「嶋田結太」と判明。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
フクちゃん:「福の神見習い」を名乗る眼鏡。
フクの介:フクちゃんの先輩。やはり眼鏡。
フク太郎:フクちゃんとフクの介の先輩。やはり眼鏡。
フク蔵:フクちゃんとフクの介とフク太郎の先輩。やはり眼鏡。
手崎:文字通り茜の手先な料理教室のシェフ。

朝陽の父:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の母:朝陽の家族。22話に初登場。
黒峰鳴:朝陽の妹。22話、28話、48話に登場。48話にて名前と顔が判明。92話で高校に進学。
白神源二郎:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。39話にて名前が判明。
白神桐子:葉子の母で人間。和服の美女。38話にて名前が判明。
銀華恋:茜に続く第2のツノツキ……の筈だったが。58話から登場。

緑苑坂弓:朝陽たちの副担任、実は源二郎。92話から登場。
桃地結香:忍者少女、92話(実際は105話)から登場。ある秘密が……。
閃:鳴、結香のクラスメートの男子。瓶底眼鏡に腰の日本刀がトレードマーク。
水奈川咲:結香、閃、鳴のクラスメート。109話から登場。ある秘密が……。
箱入り娘:114話終盤に登場した謎の人物!?

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posted by 俺 at 12:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

土曜ワイド劇場「天才刑事・野呂盆六ファイナル 盆六 暁に死す!天才刑事VS. 英国帰りの双子の兄!謎の暗号「37564」?必殺の拳銃トリックを暴け!」(9月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「天才刑事・野呂盆六ファイナル 盆六 暁に死す!天才刑事VS. 英国帰りの双子の兄!謎の暗号「37564」?必殺の拳銃トリックを暴け!」(9月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

<あらすじ>

祇園のクラブのママ・芦屋遥比(藤真利子)の豪邸で、“第3回京都ミステリーマニアの会”と、“滝水美々奈先生の初出馬を激励する会”が、盛大に行われていた。滝水美々奈(東風万智子)は、昨春に処女作『巷に・・雨降る』で日本一のミステリー大賞、大江戸晴彦賞を受賞した新人作家。秋には参議院選に出馬するという。遥比にとって、彼女の店でホステスとして働いていた美々奈は娘以上の存在だった。
そこへ、招待を受けた警視庁捜査一課の警部補、野呂盆六(橋爪功)がやって来た。すると、美々奈におもちゃの拳銃を手渡す遥比。パーティーのサプライズ演出だったが、美々奈が拳銃を放つと、盆六は吹っ飛んでしまう。拳銃はおもちゃではなく、本物だったのだ。だが、聞こえた銃声は2発。見れば、会場の壺が倒れていた。驚いた一同が銃声の聞こえたベランダに飛び出すと、そこにはパイプをくゆらす盆六の姿が。実は、彼は盆六と7歳の時に別れ、イギリスに住む日本人夫婦の養子となった双子の兄・大当瓶五(橋爪功の二役)だった。今はイギリスで売れないミステリー作家をしている瓶五は、ズタ袋のおかげで命拾いした盆六と再会を果たす。
ところが、ベランダの植え込みで、京都地裁の元判事で“マニアの会”の理事長・小佐野洋元(西田健)の死体が見つかる。毒殺のようだが、死体の胸ポケットや、植え込みで発見された拳銃の銃口には謎の数字が書かれた紙切れが…。
射撃大会で優勝した経験もある美々奈は、念のため盆六から狙いをはずし、壺を撃ったと証言。また、遥比はおもちゃの拳銃はフリーライターの伊原堤(比留間由哲)に調達を頼んだと明かす。しかし、彼女にはかつて判事だった小佐野によって、詐欺の常習犯だった母親が有罪判決を受け、不慮の事故で亡くなるという過去があった。だが、遥比は店の上得意である小佐野を殺すはずがないとキッパリ否定。
そんな折、おもちゃの拳銃が、伊原の編集担当で彼の恋人の雨宮小町(黒坂真美)のカバンの中から見つかる。盆六が伊原の自宅を訪れると、部屋の中に1枚の写真を発見。それは、“マニアの会”のメンバーである小佐野、遥比、美々奈、伊原、小町が“二天神社”を訪れた際の写真だった。しかも、そこには狛犬の陰から首だけ出している瓶五も写っているではないか。実は“二天神社”には、ここで写真を撮ると死ぬ、という言い伝えがあるとか。さらに、美々奈の処女作『巷に・・雨降る』の舞台になっている場所だとも。
自身も容疑者として疑われている瓶五は、遥比夫人を犯人だと断言し、盆六と真っ向から対立。捜査が膠着するなか、伊原、小町と例の写真に写っている人物が次々と殺されていく。そして核心にたどり着けないまま、瓶五にも魔の手が忍び寄り…。
(公式HPより)


では、続きから……(一部、重複アリ)。

「京都ミステリーマニアの会」による「清水美々奈先生の初出馬を激励する会」が芦屋遥比の豪邸で開催されていた。
遥比はクラブの経営者であり、美々奈はその元ホステスであった。
ちなみに、美々奈は昨春に処女作『巷に・・雨降る』にて「大江戸晴彦賞」を受賞したばかり、この1作で作家を引退し代議士に転身しようとしていたのだ。

参加者は遥比、美々奈以外に「マニアの会」の理事長・小佐野洋元、フリーライターの伊原堤、伊原の編集で恋人でもある雨宮小町、遥比の付き人である小松ミイ子などが居た。

そして、招待客として警視庁捜査一課の警部補・野呂盆六が現れた。
ところが、これを出迎えた美々奈が「覚悟ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」と大音声で叫ぶや拳銃を発砲。その実弾が盆六を襲う。

実弾は狙い違わず盆六を直撃。
だが、際どいところを荷物によって命拾いする。
会場がパニック状態に陥る中、外へ飛び出してみると盆六と瓜二つの男性が座っていた。

「あんちゃん!!」
叫ぶ盆六。それもその筈、相手は盆六の双子の兄・瓶五だったのだ。

ところが、思わぬ兄弟の再会に周囲が驚く中で小佐野が毒殺されてしまった。
どうやら、トリカブトの毒らしい。
遺体の傍にはメモに「64」との数字が残されていた。

この事件に盆六が乗り出した。
まず、盆六は自身の狙撃事件を調べる。

発砲した美々奈によると全てはサプライズで遥比に頼まれたらしい。
本来は玩具の筈だったが、何時の間にか本物になっていたそうだ。

また、美々奈は盆六ではなく近くの花瓶を撃ったと主張。
主張通り花瓶からは実弾が発見される。

しかも、銃声が2発あったとの証言があり調べたところ、影にもう1丁の拳銃と自動発射装置の痕跡を発見。
これは美々奈の発砲音と同時に発射するように仕組まれていた。
どうやら、こちらが盆六を撃った物ではないかと思われた。
ところが、この拳銃からも謎のメモ「375」が発見される。

そんな中、45年前に遥比の母が当時判事であった小佐野に有罪判決を下されていたことが判明。
その後、護送中に脱走した遥比の母は事故死を遂げていた。
当然、遥比には小佐野を殺害する動機があるのだが……。

玩具の拳銃を用意したのが伊原だと判明。
伊原は確かに玩具の拳銃だったと証言、その一方で「二天神社で写真を撮ったからだ……」と恐れ戦く。
伊原によれば「二天神社」には写真を撮ってはならないとの言い伝えがあるらしい。
ところが、小佐野、遥比、美々奈、伊原、小町の5人が写真を撮影していたのだ。
しかも、其処には何故か瓶五までもが写り込んでいた。
伊原は「64」と「375」のメモが「37564(ミナゴロシ)」を示していると主張するのだが。

瓶五に写真の件について問い質す盆六。
瓶五によれば美々奈に興味があるらしい。

まず、処女作にて大賞を受賞しながら引退してしまう謎。
そして、『巷に・・雨降る』の『・・』の意味がとても気になったのだそうだ。

そんな瓶五だが「今回の犯人は遥比に違いない」と譲らない。
これに首を横に振る盆六、どうやら目星が付いているようだ。

盆六は「375」と「64」が『巷に・・雨降る』の章題を指して居ることに気付いていた。
まず「375」は「二つの銃弾」、「64」は「トリカブト毒」だ。
つまり、『巷に・・雨降る』を用いて殺害方法を示していたのだ。

矢先、美々奈が伊原から呼び出しを受けたと盆六に連絡を入れて来る。
何かを察した盆六は現地に向かうが伊原は既に殺害された後であった。
しかも、伊原の遺体の傍にも「117」とのメモが残されていたのだ。
さらに、この第一発見者が遥比だったのである。

盆六はアリバイを整理するが、誰もが犯行可能であると結論付ける。

そんな中、小町までもが殺害されてしまう。
遺体の傍からは「337」と書かれたメモが発見された。

またもメモである!!

此処に盆六は美々奈を犯人だと主張。
盆六は自動発射装置が花瓶に向け発砲し、美々奈が盆六を狙ったと考えていた。
何しろ「覚悟ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」と叫ばれたことが相当堪えていたのだ。

一方、瓶五は遥比を追い詰めて行こうとする。

ところが、これを面白がるように遥比は美々奈を、美々奈は遥比をそれぞれ犯人として指摘。
瓶五も盆六も2人の前に翻弄されることに。

そんな中、遥比が国外へ出国。
同じ頃、瓶五が「謎が解けた」と盆六に連絡を入れる。
早速、瓶五のもとへ駆け付ける盆六であったが、瓶五は背後から美々奈に刺されてしまった。

だが、盆六はこれを知らない。
ドアの前で佇んでいた美々奈と共に室内へ入ると刺された瓶五が!!
まだ息のあった瓶五は病院へと運び込まれる。

一方、盆六は瓶五が解いたと宣言していた手掛かりを探していた。
盆六の目を惹いたのは暖炉の中で燃えていたメモ用紙の束だ。
其処には奇妙なアルファベットが並んでいた。
これは何を意味しているのか!?

翌日、遥比に続き美々奈も国外への途に就こうとしていた。
しかし、その前に立ち塞がる人物が!!
もちろん、我らが盆六である。

こうして、盆六の復讐戦が開始された。
だが、先手を取ったのは美々奈だ。

「何故、3人を殺す必要があるのか?」と問う美々奈。

これに小佐野殺害の動機について語る盆六。

14年前、美々奈は小佐野を告訴しようとしていた。
その内容は美々奈が小佐野に暴行され妊娠し強引に中絶させられたことにあった。
この恨みからの犯行らしい。

だが、小町に対しては動機がない。
これは素直に認める盆六。
小町は動機もなく殺害されたらしい。

では、伊原はどうか。
盆六は伊原殺害の動機について触れる。

『巷に・・雨降る』の「・・」は「=」を示していた。
すなわち、「巷に」=「雨降る」。
これをアルファベットに置き換えると「TIMATANI」=「AMEHURU」。
さらに、アナグラムで「NAME=IHARA TUTUMI」となるのだ。
その意味は「名前は伊原堤」。
作者の名は伊原堤と示していたのだ。

つまり『巷に・・雨降る』は美々奈ではなく伊原の作品だったのだ。
他にも『巷に・・雨降る』の中で用いられていたセンテンスが伊原の他の作品でも用いられていたのである。

しかも、これまでの伊原の作品群『ゴールデンバット』『ストックホルム』『ライオン太郎』『ターキー女とストライク男』『ハワイの逆襲』『足し算掛け算活火山』『デスペラード』それぞれの上2文字を拾うと「ゴーストライターハワタシデス」となるのである。
伊原の密かな主張であった。

美々奈の大賞受賞作は伊原の作品だったのだ。
これを隠蔽する為に美々奈は伊原を殺害したのだ。

「そうよ、あたしが犯人よ!!」
盆六の指摘に犯行を認める美々奈。

ちなみに、数字のメッセージは盆六への挑戦状だったのだそうだ。
美々奈は盆六が嫌いだった為に挑戦したのだそうである。

こうして、美々奈が逮捕され事件は解決した。

未だ意識を取り戻さない瓶五を見舞う盆六。
と、突然、瓶五が笑い出す。
どうやら、割と元気なようだ。

盆六は長期休暇を取ることとなった。
何時かまた帰って来るのかもしれないし、そうでもないのかもしれない。
それは盆六の気持ち次第なのだ―――エンド。

<感想>

「天才刑事・野呂盆六」シリーズ10作目。
シリーズ前作は2014年7月19日に放送されているので1年2ケ月ぶりの新作となりました。
前作については、感想の後に過去記事があります。
興味のある方はどうぞ!!

シリーズの生みの親だけに当然と言えば当然ですが、脚本は長坂秀佳先生。
長坂先生は「江戸川乱歩賞」を受賞したミステリ作家でもあります
詳しくは下記過去記事をどうぞ!!

「刑事・野呂盆六シリーズ」の脚本家・長坂秀佳先生がミステリ作家であることを知っていますか?

では、ドラマ感想。

本作はシリーズ最終作だそうです。
ただ、ファイナルと銘打ちつつ何時帰って来ても不思議では無さそうなのが本作らしいと言えばらしい。
と言うか、むしろこっそり続いても良いんやで(盆六に対抗し方言を用いてみる)!!

ちなみに、今回もかなり濃かった。

何しろ、もっとも怪しい行動していた美々奈が本当に犯人だったんだものなぁ。
折角、盆六の双子の兄が出て来たのでそれを活かして犯人に罠を仕掛けるのかと思いきや、これも特になし。
意味ありげなページ数も美々奈の挑戦状以外に特に意味は無い。
もちろん、実は遥比が黒幕だったとしても特に不自然は無い。

他にも、シリーズを代表するアナグラムも登場。
何故、あれだけあるアルファベットから左辺にNAMEを並べなければならないのか!?との問いは野暮なのでしょう。

そして伊原の出版物から飛び出すメッセージ。
『巷に・・雨降る』の章題に仕込んでいるのならともかく、伊原、何年がかりであんな仕込みを……頑張り過ぎだろ!!とのツッコミも野暮なのでしょう。
そもそも、あの書籍群の中のセンテンスが『巷に・・雨降る』に使われていたらしいのに、どうして『巷に・・雨降る』の前の作品にあんな仕掛けを施す必要があったのだろうか!?
伊原は既に先を予見していたのか!?

それにしても伊原、お前は何処まで美々奈の為に尽くすのか。
そんなに嫌なら「嫌や」とはっきり言って良かったんやで!!
と言うか、何故、伊原は其処までしてゴーストライターになったのか?
美々奈の動機よりもそっちの方がよっぽど謎だ!!と言うのも野暮なのでしょう。

同じく、盆六が挙げた証拠は「伊原が美々奈のゴーストライターであった」ことを証明できても(伊原の一方的な告白だけだし出来ているかどうかは疑問だが)、「美々奈の犯行の証明」にはならないんだよなぁ。
あくまで「美々奈にも動機がありました」的な。
にも関わらず、美々奈は犯行を認めちゃうのかよ!!認めちゃうのかよ!!

でもって、美々奈の台詞「(盆六を)殺しておくべきだった」も何もいきなり必殺だったじゃん!!
って言うか、呼ばなきゃ良かったんじゃ……と言うのも野暮なんでしょうねぇ。

そう言えば、あの拳銃のサプライズは言い出したのは遥比だよね。
何で、遥比はあんなサプライズを思いついたのか。
そもそも美々奈が盆六を撃つ必要は一切無かった気もする。
あれ、その後の殺人と余り関係してないし。

ちなみに、仮にあの場で美々奈が盆六射殺に成功して居たら、その方が「ゴーストライター」よりもダメージが大きそうなのだが、大丈夫なのか美々奈!?
例え自動機械の犯行に偽装してもダーティーなイメージが付きまとうのではないか?
しかも、それまでのどれよりもメインで殺害する必要の無い盆六相手にもっとも手間暇かけるとはどういう料簡なんだ美々奈!?

美々奈と言えば、瓶五のホテルの部屋のピッキング技術は何処で身に着けたんだ!?
一芸の域をとうに超えてるぞ!!

そう言えば「ピカピカ光って自己主張する盗聴器」もあったなぁ。
あれ仕掛けたのは遥比なんだろうけど何故、仕掛けたのか?
遥比は美々奈の犯行に気付きつつ放置していたのだろうか?
謎が多過ぎるぅぅぅぅぅぅ!!

いかん、ツッコミどころが多過ぎて息切れしてきた。
とはいえ、これこそが本作の醍醐味!!
2時間十分に楽しめました。
この調子でファイナルなんて何のその、しれっと「野呂盆六11」とか「野呂盆六リターンズ」とか「続々・野呂盆六」とか放送して欲しいなぁと思います(何時の間にか標準語)。

◆関連過去記事
土曜ワイド劇場「天才刑事・野呂盆六(5)〜いい死、旅立ち〜富山・宇奈月温泉復讐殺人!難病の娘と父を奪った男を殺せ!哀しき美女の挑戦状」(6月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

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<キャスト>

野呂盆六・大当瓶五:橋爪 功
滝水美々奈:東風万智子
木曽レイカ:平山あや
小佐野洋元:西田 健
大船 豊:新井康弘
伊原 堤:比留間由哲
雨宮小町:黒坂真美
小松ミイ子:大平夏実
尾形伸輔:小木茂光
芦屋遥比:藤 真利子 ほか
(公式HPより、敬称略)


あなたもアナグラム無しで「野呂」になれる!!
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