2015年10月21日

「相棒season14」第2話「或る相棒の死」(10月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「相棒season14」第2話「或る相棒の死」(10月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season14」第2話「或る相棒の死」(10月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)。

<ネタバレあらすじ>

霧が立ち込める森の中を眼鏡をかけた男性が踏み込んで行く。
男性は一本の木の前に立つと何やらロープを手に取った。
そしておもむろにロープを木に吊るし始めた。
この奇妙な行動の主、その正体はなんと冠城(反町隆史)であった。
何故、冠城が眼鏡を着用しているのか……それにはある秘密が!?

同じ頃、右京(水谷豊)は甲斐峯秋(石坂浩二)と大河内(神保悟志)に呼び出されていた。
大河内によれば冠城が上位のアクセス権限を求めて来て対処に困っているらしい。
大河内は冠城を警戒しているようだ。
右京はそれに答えずはぐらかしてしまう。
峯秋はと言えば、そんな右京を「君らしい」と笑いつつお茶を奨める。
ところが……。

「カフェインは1杯分と決まっていますので」
右京はにべもなく断ってしまう。
流石に憮然とする峯秋だが、右京は気にせずに退出してしまう。
何しろ、この後に右京はスリランカの良質なセカンドフラッシュの茶葉を飲むつもりなのだ。

数時間後、特命係では冠城が角田課長たちにコーヒーを振る舞っていた。
どうやら、冠城はコーヒーに拘りがあるらしい。
ドリップコーヒーについて熱く語りだす冠城、其処へ右京が戻って来た。
右京は冠城の靴に付着していた土に目を留めると「おや?」と片眉を上げる。
その反応に驚いたのか「公園の土ですよ」と慌てて口にする冠城。
だが、右京はそれを信用せず密かにこれを採取する。

早速、米沢に土の鑑定を依頼した右京。
すると、その土は公園の物とは似ても似つかぬことが分かった。
嘘を吐かれたと察した右京は何やら調べ始める。

その夜、冠城はフルフェイスのヘルメットを被った2人組の男から襲撃を受ける。
冠城の様子に不審を抱き尾行していた右京が助けに入り、冠城は命拾いすることに。

事情を尋ねる右京に冠城はある人物を引き合わせる。
やって来たのは埼玉中央署捜査一課・早田刑事(宅間孝行)と千原麻衣なる女子学生。
麻衣は元刑事でフリージャーナリストに転身した千原順司(関戸将志)の娘、早田は千原の元相棒であった。

実は、当の千原が不審な死を遂げていたのだ。
これを担当した埼玉中央署が自殺と処理してしまったらしい。
麻衣によれば順司と漫画家・山猫先生と引き合わせて貰える約束をした矢先の出来事。
到底、自殺は考えられないと言う。

冠城と千原は中学の同級生、冠城は千原にある借りがあった。
其処で冠城が密かに調べていたのである。
麻衣によると、早田と冠城は千原の信頼する人物なのだそうだ。

冠城は千原の遺品となった手帳を所持していた。
どうも、襲撃犯の狙いはこの手帳だったようである。
手帳の中には数字が羅列されていた。

右京は手帳を解読するべく冠城から取り上げてしまう。
一方で、早田が所持する万年筆に興味を示し始めた。
それは千原と早田が事件解決し本部長賞を貰った記念だそうだ。
その万年筆には女性らしき名が刻まれていた。

千原の遺体発見現場へ向かった右京たち。
其処は冠城が立ち行っていた森の中であった。
冠城は遺体発見現場を独自に調べていたのである。

千原は森の中にあった大木で首を吊っていたのだそうだ。
また、千原の頭部には損傷があり、縊死時にロープをかけた枝が折れて出来た物とされていた。
だが、折れたとされる断面を右京が見たところ、切断面が綺麗過ぎることに気付いた。
どうも「頭部の損傷が折れた木によるもの」との所見は偽装のようだ。

続いて、千原の死を担当した埼玉中央署の刑事に話を聞くことに。
すると、署長の浦上は警視庁副総監・坂之上の名を出し牽制する。
どうやら調べられては困ることがあるようだ。

担当刑事の2人組・松木と清水に話を聞いた右京。
会話の中に「ごーえい」、「ものいか」と出たことに興味を抱く。
担当によれば「ごーえい」は「えいごー」、「ものいか」は「いかもの」のことらしい。
つまり、「えいごー」は「前歴照会」、「いかもの」は「前歴者」を指すことになる。

此処から右京は千原の手帳に書かれた数字が暗号となっていることに気付く。
数字はアルファベットと50音を示していたのだ。
解読したところ、先の言葉以外にも「たいじら」こと「じらたい(自動車警邏隊)」や「ふらてん」こと「てんぷら」などの言葉が浮かんで来た。

どうやら、部署名と個人名、担当案件と協力者への謝礼金が記されたメモのようだ。
さらに謝礼金のキックバックについても触れられていた。
埼玉中央署では領収書の残らない謝礼金で裏金を作っていたのだ。
右京は手帳はあくまでメモに過ぎず、より詳細なデータが何処かにある筈と見込む。

その頃、峯秋に坂之上が声をかけていた。
坂之上は峯秋を侮る様子を見せるが……。

右京と冠城は千原宅を調べることに。
PCにはロックがかかっており、中身は確認出来ない。
さらにプレゼント用に包装された箱を見つける右京、中身は大人用のアンクレットであった。

千原が風俗店に出入りしていたことを知った右京は、このアンクレットが千原が通い詰めていた店の従業員への贈り物だと突き止める。
従業員によれば、千原はかなりの上客だったのだそうだが……。
冠城は千原の行動に幻滅しショックを受けてしまう。

右京はそんな冠城の様子をしげしげと観察。
特命係に戻っても、彼が鞄を置いて立ち去ったことを確認するや何処かへ連絡を入れる。

連絡相手は大河内であった。
右京は冠城が埼玉中央署の不正疑惑を調べていることを教える。
さらに、冠城の鞄に目をやりつつ「彼は帰宅しました」と告げ、自身もその場を去ることに。
残された大河内の目は自然と冠城の鞄へ……。

同じ頃、冠城は早田と密会していた。
其処に麻衣から助けを求める電話が入った。
どうやら、例の2人組に狙われているらしい。
結局、特に何事もなく麻衣は帰宅出来たようだが……。

一方、右京は千原宅のPCに挑み、ロック解除し中身を確認することに成功していた。

その夜、早田と共に歩いていた冠城。
其処へ例のフルフェイス2人組が立ちはだかる。
これに「うちの署の者か?」と問いかける早田、2人組は頷くとある取引を持ちかける。

特命係に戻った右京は冠城の鞄が消えて居ることに気付いた。
角田に確認したところ、戻って来た冠城が持って行ったらしい。
何やら頷く右京に、米沢が鑑定結果を告げにやって来る。

数時間後、当の冠城は早田と共に浦上たちと密会していた。
例のフルフェイス2人組の正体は松木と清水だったのだ、浦上の命令で動いていたらしい。
浦上はまたも坂之上の名を出すと「悪いようにはしないから」と捜査から手を引くように持ちかける。

だが、これを聞いていた冠城が突然笑い出した。
冠城は所持していた鞄をかざす。
其処には盗聴器が仕掛けられていた。
右京の連絡を受けた大河内が仕掛けた物だ。

同時に、右京が大河内や伊丹たちを連れ、その場へ乱入する。
動揺する浦上を告発する大河内、さらに松木や清水は傷害罪で逮捕されることに。
これに松木たちは「証拠がない」と訴えるが……。

証拠は存在していた。
それこそ冠城が着用していた眼鏡だ。
なんと眼鏡には録音機能が備わっていたのだ、音声データは冠城襲撃の動かぬ証拠である。

追い込まれた浦上は何度となく坂之上の名を口にするが、右京たちには無意味であった。
しかし、まだ告発すべき相手が残されていたのである。

右京は早田の万年筆に刻まれた名前について触れる。
そして、千原の万年筆にも名前が刻まれていたことを明かした。

それぞれの万年筆に刻まれた名は「岩崎玲奈」と「白石綾子」。
それは千原と早田が本部長賞を受賞した際の連続殺人事件の被害者である。
早期解決出来なかったことで被害者となってしまった2人を悼んだものであった。
この名前が千原が使用していたパソコンのIDとパスワードに使用されていたのだ。

中身を確認した右京だが、裏金のデータは既に消去されていた。
千原殺害犯が消去したのだろう。

さて、此処で問題がある。
IDとパスワードに気付きうる人物はたった1人。
千原と共に名前を刻んだ早田しか居ない。
すなわち、千原殺害犯は早田だったのだ。

逮捕された早田は千原殺害の真相を語り出した。

千原が退職した理由は早田が先に昇進した為であった。
だが、退職したは良いがフリージャーナリストとしても行き詰まりを覚えていた。
其処で古巣の不正を追及し金に変えることにしたのだ。
千原は元上司や同僚を恐喝していたのだ。
其処で、浦上らに請われた元相棒の早田が交渉に及んだ。
だが、決裂し殺害してしまったのだ。

元相棒を殺害してしまった早田。
千原については後悔しておらず「上司の命令でたまたま組まされていただけ」と述べる。

冠城は麻衣にすべてを包み隠さず打ち明けた。
もちろん、千原の本当の姿も含めてである。
これに「ありがとうございます」と礼を述べる麻衣。

その翌日、峯秋と大河内に招かれた右京と冠城。
峯秋は冠城にお茶を奨めるが……またも「1日に摂取出来るカフェインはコーヒー1杯分なので」と断られてしまう。

「僕の出したコーヒーを飲まなかったのは君で2人目だ」と苦笑いする峯秋。
「誰の事か分かりますけどね」と右京を眺めつつ肩を竦める冠城。

右京と冠城が退出し、残された峯秋と大河内。
大河内は坂之上が失脚したことを口にしつつ「あの2人を利用したんですか?」と問う。
これに静かに微笑む峯秋。

一方、退出した右京と冠城。
右京は冠城に「千原への借り」について尋ねてみた。
冠城は昔を懐かしみつつ事情を明かす。

中学時代、冠城はお洩らしをしてしまったが千原がこれを見逃したのだ。
冠城は「自分にとって良い人間でも他人にとっては酷い人間であることもある」と寂しそうに振り返る。

そんな冠城に「最初から利用するつもりだったんですか?」と重ねる右京。

眼鏡、靴についた土、鞄まで全て冠城の狙い通りだったのだそうだ。
冠城は直接相手に伝えることなく、それとなく手掛かりを出すことで右京の介入を誘導したのである。
冠城は右京を試したのだ。

「相棒を逮捕した男」と右京を呼ぶ冠城。
「スリランカの良質なセカンドフラッシュの茶葉を飲まなければ」と呟く右京。

其処には奇妙な信頼関係が生じつつあるのかもしれない―――2話了。

<感想>

シーズン14第2話。
脚本は真野勝成さん。

サブタイトルは「或る相棒の死」。
主に冠城版「裏切者(season5の15話)」で、この一部に「ライフライン(season10の4話)」が加えられたとの印象。
テーマ的には「相棒関係」が扱われており「右京と冠城」、「千原と早田」2組の相棒を対比していましたね。

まずは、急造相棒である右京と冠城。
こちらは結成期間も短くかなり歪な相棒ではありますが、奇妙な信頼関係がある。
冠城は右京の正義と能力を評価し、右京もまた冠城の正義と能力を評価している。
だからこそ、冠城は右京へ手掛かりを残した。
右京もまた冠城の真意に薄々気付きつつも、それに応えた。
油断ならない相棒関係と言えるでしょう。

一方、千原と早田。
こちらは長きに渡る相棒ながら信頼関係を喪失し憎悪に彩られていました。
結果、いがみ合い殺人にまで発展することに。
過去には共に手柄を分かち合い、共に万年筆に名を刻む間柄だったにも関わらず。
そう言えば、千原は自身が使用するPCのIDとパスを悔しい想いをした事件の被害者の名を使うほどの男だったのにその過去の苦汁を共にした仲間たち相手に恐喝者になってしまったのか……。

それ以外にも右京と冠城自体の対比も行われていましたね。
例えば、分かり易いところだと「紅茶とコーヒー」。
一方で、峯秋のお茶を共に断ったように共通点もある。
同時に峯秋にとって2人が共に危険人物であることも示していました。

とはいえ、当の峯秋も健在。
曲者ぶりを強調されていましたね。
きっと、峯秋からお茶を出された人々は「テストされている」と戦々恐々するのでしょう。

それにしても、今回はいろいろと想定外の展開でした。

まず「浦上たちの不正が殺害動機と思わせて、早田の個人的な事情による犯行」だとばかり思っていました。
てっきり、万年筆の女性の名前で痴情のもつれが犯行動機だと。
でもって、フルフェイスの2人を利用して浦上たちへ容疑を向けて攪乱しているのだと。
何しろ、フルフェイスの2人はわざわざ麻衣を脅してるし、冠城の前で刑事であることを暴露していたし。
あれもこれも早田の誘導だと終盤まで疑っていませんでした。

それと冠城の鞄の件は「冠城が仕掛けた罠で中にビデオカメラが仕掛けられており覗こうとした人物を撮影している」だと思ってました。
冠城は「それにより信頼出来る人間を見極めようとしているのだ」とばかり。
だから「これを看破した右京は大河内を使って確認しようとした」的なオチで「油断ならない相棒間の信頼」を表現すると思ってたんだけどなぁ……これまた想定外。

前回の「右京=鬼、冠城=仏」に続き「右京=紅茶、冠城=コーヒー」と印象的な対比が続いています。
少しずつ定着しつつある冠城、次回にも期待です!!

そう言えば、冠城の眼鏡を目にしてコレを思い出しました。

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2016年1月の土曜ドラマは「逃げる女」とのこと!!

NHKさんの「土曜ドラマ」と言えば「骨太な人間ドラマ」の印象がありますが2016年1月も引き続きソレに期待出来そうです。
早くも2016年1月から放送されるドラマが明らかになりました。

2015年10月現在放送中の「破裂」に続く、そのドラマの名は……「逃げる女」だそうです。

「破裂」2話「ベールをぬぐ戦慄の陰謀…ぴんぴんポックリで老人の数を減らす?」(10月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)

気になるキャストは水野美紀さん、仲里依沙さん、賀来賢人さん、田畑智子さん、でんでんさん、遠藤憲一さんら。
水野さんは主人公である梨江子を演じられるようです。

こうなると気になるのはストーリーですが次の通り(下記は管理人がまとめたあらすじです)。

8年もの長きに渡り冤罪により投獄されていた梨江子。
ようやく無実が証明され出所することに。

梨江子が無実にも関わらず投獄されたことには理由があった。
唯一のアリバイ証人であった親友・あずみに偽証された為だ。
あずみを恨んだ梨江子は彼女の行方を追い求める。

一方、そんな梨江子を刑事の佐久間が密かに追う。
梨江子の狙いを察し阻止する為だ。
そして、佐久間は8年前に梨江子を逮捕した当事者でもあった。

そんな中、梨江子の前に美緒を名乗る女性が現れる。
何故か梨江子に近付く美緒だが……。

と、こんな感じらしい。

パッとあらすじを目にしたときには「美緒があずみの整形した姿なのだろうか」とサスペンス的な妄想をしてしまいましたが、公式HPによると「美緒に秘密がある」のは正しいもののその秘密とは「どうやら殺人を犯している」ことのようです。
また「梨江子が逃避行を余儀なくされる」らしい。

此処から推測すると「美緒があずみを殺害し、その容疑が梨江子に向かってしまう」のか!?
あるいは「美緒に同行されていた梨江子が巻き込まれ逃避行を余儀なくされる」のか!?
おそらく前者の可能性が高いと思われますが。
だとすると、8年前の事件にも美緒が関与しているのか!?

いずれにしろ、佐久間が8年前に続き今回も梨江子を追うことになるのか。
おそらく当初こそ梨江子を疑うものの、最終的に8年前の過ちを悔いて梨江子の無実を立証しようとする筈。
なかなかに複雑な人間模様が描かれそうですね。

ちなみにタイトル「逃げる女」は「逃避行せざるを得なくなった梨江子」や「8年前に梨江子から逃げたあずみ」のことを指して居るように思えますね。
また、あるいは「登場人物が現実から逃げる」ことも示しているのかもしれない。
とはいえ、逃避行の中で梨江子の再生を描いて行くのではないでしょうか。

描写にもよるがかなり骨太なドラマになりそうな予感!!
そんな土曜ドラマ「逃げる女」は2016年1月9日スタート、全6回放送予定。

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「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」1話「衝撃サスペンス初回2時間SPで今夜開幕 相棒刑事は恋人…猟奇殺人現場に現れた完全悪女が僕の彼女を獲物にした…謎を追え!」(10月20日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」1話「衝撃サスペンス初回2時間SPで今夜開幕 相棒刑事は恋人…猟奇殺人現場に現れた完全悪女が僕の彼女を獲物にした…謎を追え!」(10月20日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<1話あらすじ>

警視庁機動捜査隊員の里見偲(松坂桃李)は、先輩で相棒の猪熊夕貴(木村文乃)と周囲には内緒で付き合っている。 ある日2人は変死体発見現場で、橘カラ(菜々緒)に出会う。カラの猪熊に対する異様な視線に不安を覚える里見。翌日カラは里見のアパートを調べ上げ、猪熊の行動を監視すべく向かいのマンションに住む渡公平(光石研)に接触し、部屋に転がり込む。 目的は分からないもののカラのターゲットにされてしまった猪熊。そんな中、口の中に白いソックスが詰められた女性の変死体が発見される。刑事課の速水翔(北山宏光)からの報告を聞き、里見は上司の安藤実(船越英一郎)に「連続殺人事件では?」と進言するが相手にされない。 その夜里見は自宅で『シリアルキラー』という本を読んでいた。「シリアルキラーはしばしば被害者をストーキングする。獲物が決まったら獲物の信頼を得ようとする…」。里見が犯人像を探る中、カラが乗り込んだタクシーが闇へ消えて行く…。 また新たな遺体が発見され、被害者の携帯電話から殺害した女性達の写真が見つかる。そして遺留品には『シリアルキラー』の本が…。自分の推理が当たっていたにも関わらず、どこか腑に落ちない里見は猪熊と居酒屋で“ある香り"を嗅ぐ。「最近よく嗅ぐんだよね。いい香り…」。その言葉を聞いて静かに席を立ったのは、2人を尾行していたカラだった。勘の良い里見に、カラは「邪魔だな…」とつぶやいてー。
(公式HPより)


<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
里見偲:男性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の猪熊と恋人同士。
猪熊夕貴:女性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の里見と恋人同士。
橘カラ:女性マネージャー急性アルコール中毒死(実は他殺)の犯人。猪熊に興味を持つ。
渡公平:猪熊の寮の向かいに住む。カラを家に置くこととなった。
月本圭:美容整形外科医。
乃花:カラの元同僚。不倫の恋に生きていたがカラに殺害される。
千歳:生活安全課所属の刑事。


魑魅魍魎が跋扈する暗闇の中、此処にも1人の鬼の姿があった。
其処では1人の男が女性を吊り下げていたのである。
男は自身を許された者と確認すべく女性を殺害するシリアルキラー、吊るされた女性はその為の生贄であった。
男は女性を吊り終えると口に白いソックスを押し込め、タクシー運転手の本業へと戻って行く。

同じ夜のこと、警視庁機動捜査隊に所属する刑事・里見偲は先輩であり相棒でもある猪熊夕貴ら同僚たちと共にカラオケボックスにて強かに泥酔していた。

廊下で伸び切り醜態をさらす里見。
ふと見上げればそんな里見を虫けらのように見下ろす女性の姿があった。
女性は里見へ視線をやりつつも、興味が無いように歩き去る。
何故か女性の姿が心に残る里見であった……。

翌朝、里見のベッドには猪熊の姿があった。
実は周囲には秘密だが里見と猪熊は恋人として交際していたのだ。
2人は共に捜査一課を志望しており、どちらが一課に異動しても結婚しようと約束していた。

そんなある日、里見と猪熊に出動要請が。
なんとキャバクラ店で変死体が発見されたのだ。
死亡したのは小坂瞳という名のマネージャーであった。
経営者によれば瞳はファッションセンスに優れていたので従業員からも人気があったのだそうだ。

店の従業員に取調を行う猪熊と里見。
すると、里見は見知った顔を其処に見出す。
前夜、醜態を目撃されたあの女性だったのだ。
女性の名は橘カラ、カラは里見ではなくその背後の猪熊へ熱い視線を送る。
これに何故か背筋を凍り付かせる里見であったが……。

一方、当のカラは猪熊の姿に「見つけた」と呟く。

翌日、都内を流していた里見たちは彼が8年前に出会った事件について話始める。
それは酒屋の息子殺人事件、被害者は金属バットで滅多打ちにされていた。
未だ犯人は捕まっていない。

「あんなこと出来る奴ってどんなだろ……」
洩らす里見が車の外を目にすると、何時の間に近付いたのかカラが立っていた。
ゾッとする里見だがカラが見ている相手は猪熊だ。
里見を無視し、猪熊へと軽く挨拶を交わすカラだが……。

其処へ次なる事件発生の報が。
それこそ、あのタクシー運転手の犯行であった。
白い靴下を口に突っ込まれた遺体を目にした里見はその手口から連続殺人ではないかと疑う。

同じ頃、カラは猪熊の身許を突き止めこれに接近しようとしていた。

これを知らない猪熊は久しぶりに実家へ帰省し父・又一に挨拶していた。
実は猪熊は又一の養女、また猪熊家は警官一家であった。
又一はひょんなことから里見と猪熊が交際していることを知り、里見に挨拶を迫ろうとするが……。

その夜、カラは猪熊が女子寮に住んでいることを突き止めると猪熊の部屋を監視すべく向かいのマンションに住むデザイナーの渡公平に目を付ける。
こうして、カラは事故に見せかけ彼へと接近を図る。

翌日、白靴下殺人事件について連続殺人を主張する里見だが誰も耳を貸そうとしない。
里見は理解されないことに苦悩する。

その頃、カラは渡宅へ上り込み共同生活を開始。
とはいえ、カラに渡の姿は映っていない。
カラは渡宅から猪熊の様子を監視し、猪熊が白靴下殺人事件を追っていると知るや動き出した。

カラは同じシリアルキラー独自の嗅覚からタクシー運転手へ辿り着く。
さらに、敢えてその獲物となるよう行動し、見事に相手を釣り上げると隙を突き殺害するのであった。
残念ながらタクシー運転手は彼が信ずるような「許された者」では無かったのである。

こうして事件が発生し、里見と猪熊は現場へ急行する。
其処にはカラから猪熊へのメッセージが残されていた、『シリアルキラー』の本である。

その夜、打ち上げを行う里見と猪熊は整形を行っていた逃亡犯が逮捕されたニュースを目にする。
と、その場で「あれ、この匂い」と口にする里見。
それはカラの香水であった。
そう、里見たちは気付いていないがカラが密かに監視していたのである。

同じ頃、渡はカラへの恋心を募らせていた。
アプローチ方法を模索する渡は「いずれモノにしてみせる」と意気込むが……。
当のカラは猪熊を手に入れる為に里見排除を目論んでいた。

其処でカラは2つの方針を立てる。

1つ、猪熊の役に立つこと。
2つ、猪熊の弱味を握ること。

そんなカラに友人の乃花が声をかける。
乃花とカラは月本圭が経営する整形外科にて整形手術を受けていた。
それだけに乃花はカラに心を許していた。
乃花はカラへ不倫の恋の悩みを打ち明けるが、これを聞いたカラの脳裏には別の思惑が。

カラは乃花を利用することを目論みつつ、猪熊へとさらなる接近を図る。
猪熊はカラが予想した通り正義感の塊であった。
カラは猪熊へどんどん惹かれて行く。

そして、遂にカラは計画を実行に移す。
乃花を利用し不倫相手の妻を殺害すると、その罪を乃花に着せてしまったのだ。

その上で猪熊に情報提供者として接触し、捜査を誘導。
結果、その懐に飛び込むことに成功する。

猪熊からある程度の信頼を得たと確信したカラは、遂に乃花を自殺に偽装し殺害してしまう。
こうして、事件は被疑者死亡で落着とされてしまった。

この結論に疑問を抱く里見だが、またもや誰も耳を貸そうとしない。
納得出来ない里見は独自の捜査を開始しようと考え始める―――2話へ続く。

<感想>

ドラマ原作は『週刊モーニング』(講談社刊)にて連載された山崎紗也夏先生による同名コミック。
過去記事にネタバレ批評(レビュー)がありますね。

「サイレーン」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ

実は原作は管理人が連載当初から追っていた作品でして、かなり思い入れがあります。
それだけに気になるドラマ版ですが、その感想を!!

事前情報によるとラストが原作と異なるのだそうです。
とはいえ、現状のところドラマ版は細部に異なる点こそあれどかなり原作に忠実ですね、好印象です。
その上で2時間と限られた時間の中で些か展開こそ急なものの、原作のエピソードを上手くまとめていました。

例えば、原作では偶然だったシリアルキラー同士の邂逅が仕組まれた物となっていました。

他にも、今回里見が読み上げていたシリアルキラーの習性は実はかなり重要。
これはタクシー運転手の事であると同時にカラの事でもあるから。
タクシー運転手が白靴下で獲物との距離を縮めようとするように、カラもまたタクシー運転手や他の事件の犯人(実はカラだが)を餌に猪熊に近付こうとする。
そして、信頼を獲得したと見るや獲物を隔離し犯行に及ぶ。
最終的には同じ経緯でカラが猪熊へ牙を剥くこととなります。

ちなみにドラマ版1話では原作の1話「相棒の秘密」から18話「第二の作戦D」までが映像化されました。

「サイレーン」第18話「第二の作戦D」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)

また、ドラマ版はキャラクターとして里見の勘の良さがかなり強調されてましたね。
そして、その慎重なスタイルも強調。

一方、猪熊に原作にない養女設定が。
それに伴い兄弟については触れられず。
これがどう影響するのか!?

ちなみに本作は街中に潜むシリアルキラー・カラと彼女に狙われた猪熊、そんな猪熊を救おうと奔走する里見の物語。
そして、カラはその名の通り「空」。
自身に欠けている点を他者に求め、これを殺害することでその特徴を取り込むと彼女自身が信じている。
実は里見が語った8年前の酒屋の息子殺人事件にも意外な関連が!?
里見と猪熊は如何にしてカラに対抗するのか……ドラマ版も注目です!!

それにしても、久しぶりに里見偲と猪熊夕貴の名を入力しました!!
そして、レナとアイも登場するのかが気になります。

そう言えば、月本役の要潤さん好演されていましたね。
同じく「月」繋がりで「東京喰種」が実写化された暁には月山役を演じて欲しいと思ったり。

やがて来るであろう第二部に向けて……「東京喰種」を考察してみる

◆関連過去記事
「サイレーン」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ

キンドル版「[まとめ買い] サイレーン」です!!
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