2015年10月24日

「掟上今日子の備忘録」第3話「2億円の名画が破られた!?忘却探偵が黒髪コスプレで潜入調査」(10月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「掟上今日子の備忘録」第3話「2億円の名画が破られた!?忘却探偵が黒髪コスプレで潜入調査」(10月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<3話あらすじ>

美術館で警備員の仕事を始めた厄介(岡田将生)。彼が警備をする美術館に、今日子(新垣結衣)が何度も訪れる。今日子は、美術館に来るたびに『母』というタイトルの絵を熱心に見ていた。厄介は、その絵を見ている今日子に声をかけた。厄介が、なぜいつもこの絵の前で立ち止まるのかと聞くと、今日子は「この絵には2億円ほどの価値がある」と言う。
翌日、仕事が休みだった厄介は、客として美術館へ。彼は、美術館に来るはずの今日子に声をかけて、彼女と距離を縮めようと考えていた。厄介が待っていると、今日子が現れる。しかし、今日子は、いつもじっくり見る絵の前をすぐに立ち去ろうとする。厄介が声をかけると今日子は「この絵の価値は200万円程度」と、前日とまったく違うことを口にする。
数日後、美術館で『母』の絵が傷つけられるという事件が発生。事件は、厄介の警備中に起こった。絵を見た老人が、なぜか激怒して暴れ始め、厄介が取り押さえようとして揉み合ううちに、老人の持っていた杖が突き刺さり、絵に穴が開いてしまったのだ。
厄介は美術館館長の敷原に責任を押し付けられ、仕事をクビに。さらに敷原は、警備会社との契約を解除すると言い出す。厄介は、自分が世話になった警備会社の主任警備員・櫛部にまで迷惑がかかるのは申し訳ないと思い、櫛部を救うために真相を明らかにしようと決意。厄介は、今日子に真相究明を依頼する。
老人は、なぜ絵を見て激怒したのか? 今日子と厄介は、今日子が同じ絵を見て、たった1日で2億円と200万円というまったく違う評価をしたことを手がかりに推理を始める。しかし、1日で記憶がリセットする今日子は、自分がそんな評価をした理由を覚えていなかった。
今日子は、美術館職員に変装して内部調査を開始。同じ絵なのに、1日で何が変わってしまったのか? 今日子は、その絵に秘められた謎を解明する!
(公式HPより)


登場人物一覧:
掟上今日子:「最速探偵」にして「忘却探偵」の名を冠する少女。
隠館厄介:あらゆる事件に巻き込まれる男。
絆井法郎:今日子が所属する探偵斡旋所の所長。
水本:画家、『母』の作者。
色原:美術館館長。
謎の老人:絵を破壊した人物。
陸:絵の上手い少年。

<あらすじ>

あらゆる事件に巻き込まれる男・隠館厄介は掟上今日子に恋をした。
掟上今日子はどんな事件でも1日で解決する「最速探偵」にして、完璧な守秘義務を誇る「忘却探偵」。
それもその筈、今日子は一度寝てしまうと記憶がリセットされてしまうのだ。
果たして、この恋は報われるのか!?

そんな隠館は東洋美術館の警備員になっていた。
彼は水本画伯作『母』なる絵を警備することに。

其処へ連日、今日子が通って来た。
どうやら『母』は今日子のお気に召したらしく2億円の価値とまで評する。

さて、此処で隠館は一計を案じることに。
今日子は1度寝てしまえば記憶を失う。
リセットされた今日子の前で何も知らない素振りで『母』を評価すれば、きっと興味を持たれるに違いない!!
今日子が『母』を高く評価していることを知っている隠館はそれを利用して今日子の気を惹こうと考えたのだ。

その翌日のこと、話題の新作が展示され大勢の来館者が訪れる中、早速計画を実行に移した隠館。
ところが、今日子は『母』を見ても特に興味を示さない。
それどころか「200万円ぐらいですかね……」と冷淡に評する。
まるで別人のようだ。

あまりのことに肩を落とす隠館だが、彼への受難は続く。
その数日後、杖を手にした老人が『母』を目にするや激怒し暴れ始めたのだ。
隠館がこれを取り押さえようとしたところ、老人が誤って『母』を傷付けてしまったのだ。
老人は逃げるようにその場を去り、残された隠館に対し色原館長はクビを宣告する。
それどころか隠館を雇い入れた警備会社の責任を追及するとまで騒ぎ出した。

隠館は悲劇が起こる直前に老人が館長から「先生」と呼ばれていたことを思い出した。
もしかすると、この騒動には裏があるのではないか……そう考えた隠館は様々な可能性を考慮する。
例えば、老人こそが水本画伯その人ではないか?
だが、水本画伯と老人は別人であった。
結局、隠館には真相が分からない。

其処で隠館は今日子に助けを求める。
こうして今日子が調査に出馬することに。

今日子は自身が2億と評した絵を200万円と評価したことを聞かされ、其処に意味があると考える。
これに隠館は絵が損壊する前日の出来事を思い出す。

その日、隠館の前で少年が『母』を模写していた。
少年の模写は再現度が高く隠館は舌を巻く。
そんな隠館に少年はタイトル『母』の意味が「母なる地球」であることを語って聞かせる。
さらに「この美術館は絵に敬意が足りない」とまで述べていたが……それが今日子の評価額が変動した理由と繋がるのか?

今日子は東洋美術館に潜入することに。
其処で色原館長が全部偽物の「贋作展」を行ったことを突き止めた。
どうやら、コスト削減を狙ったらしい。
他にも色原館長は自身が役員を務める民間のカフェを誘致するなどして私腹を肥やしているらしい。
館長にとって芸術は二の次、かなりダーティーな人物のようだ。
当然、スタッフからの評判も悪く、キュレーターなど退職するスタッフも多いらしい。

これを聞いた今日子は「大切なのはコストバランス」と口にする。
隠館は色原館長が『母』を贋作と摩り替えたと推理。
あの老人が贋作家であり、本物として飾られていた為に激怒したと仮説を立てる。

ところが、絵の作者である水本画伯に確認したところ壊された絵は間違いなく本物だったそうだ。
さらに水本画伯から『母』がP120号と聞くや「やはり」と頷くことに。
一方、当の水本画伯は老人が絵を壊したと聞かされるや「先生が絵を壊すなんて……」と押し黙ってしまう。

水本までもが老人を「先生」と呼んだことに疑問を抱く隠館。
水本の経歴を調べたところ、過去に彼が「アトリエ荘」で修行していたことを知る。
今日子と隠館は「アトリエ荘」に。
ところが、彼らのイメージと異なり「アトリエ荘」は最新のハイテクマンションであった。

「最初の思い込みが印象を左右するんですよね」
今日子は何やら意味ありげに語る。

「アトリエ荘」内に入ろうとする今日子だがオートロックの為に上手く行かない。
試みに部屋のインターホンを押してもそもそも反応がない。

特に困るでもなく「どうしましょう?」と呟く今日子。
其処に絵が地球であることを教えてくれた少年がやって来た。
彼は自身を「陸」と名乗る。

今日子は陸に老人が絵を壊したことを明かす。

「やっちゃったか、先生短気だからなぁ」
「では、取り換えられているんですね」

何やら、これまた意味深長な会話を交わす2人。
どうやら、今日子は既に真相に辿り着いているようだ。
今日子は陸へ老人に対して「館長が全ての責任を警備会社に押し付けようとしている、それでいいんですか?」と言伝を頼む。

改めて東洋美術館を訪れた今日子たち。
此処で今日子は自身の服を示し「色は同じだが、すべて異なる柄に着替えていた」ことを明かす。
だが、隠館はこれに気付けなかった。
「人は注意深くなければ気付けないことも多い」とまとめる今日子。

其処へ色原館長がやって来た。
「キュレーターやスタッフが退職してしまったからこそ起こったミスなんですよね」
館長に語りかける今日子。

続いて例の杖の老人が現れる。
彼こそは額縁匠の和久井であった。
額縁匠とは額縁職人のことだ。

此処に『母』の評価額の急変があった。

2億のときは和久井作の特注の額縁。
200万円のときは全く別の額縁だったのだ。
額縁も含めての絵画、今日子はトータルバランスを考慮して評価を付けていたのである。

では何故、額縁が変わったのか?

色原館長は話題の新作用に額縁を発注していた。
だが、サイズを間違えてしまった為にP120号サイズではなくF120号で発注してしまった。
その差は18.3センチにもなる。
慌てて代用の額縁を揃えたが、豪華さに欠ける。
其処で完成度の高い和久井の額縁を転用したのだ。

しかし、和久井の額縁は『母』の為に作られたもの。
その転用は冒涜であった。
これに陸が気付き、事情を聞かされた和久井が怒鳴り込んだのだ。
そして隠館と和久井が揉み合う内に損壊してしまったのだ。

結局、色原は幾つもの企業から賄賂を受け取っていた為に解雇されることとなった。
とはいえ、隠館は絵を守れなかったことを悔い、解雇を受け入れた。

一方、今日子は隠館が一計を案じたことを見抜き、好意を察した上で拒否してしまう。
隠館はそんな今日子に「淋しくないか」と呼びかけるのだが、それでも今日子に拒否されてしまった。

意気消沈する隠館。
そんな隠館に和久井から連絡が入る。
なんと、今日子と共にアトリエ荘に来て欲しいらしい。

早速、向かったところ和久井が血塗れで倒れていて―――4話に続く。

<感想>

ドラマ原作は西尾維新先生『掟上今日子の備忘録』シリーズ(講談社刊)。
ちなみに『月刊少年マガジン』では浅見よう先生によりコミカライズされています。

そのドラマ版3話です。

今回は「何故、今日子の評価額が急変したか」また「和久井が何故、激怒したか」との「ホワイダニット」でした。
絵画でなければそれを飾るもの……ということで早期に額縁がポイントになることを気付いた方も多いのではないでしょうか。

それにしても、まさに今日子自身が意図せず謎を創出し、その解答にも最初から辿り着いていたワケですね。
「トータルバランス」や「先入観」などと言った形で解答が提示されていました。
流石は「最速探偵」、始まった時点で既に解答は出ていたことに。

また、隠館は今日子の観察者と言えそうです。
そして、今日子にとっては同じ一日を何度も繰り返しているのと同じような物。
つまり、『七回死んだ男』や「リピートアフターミー」などある種のループ物と同じ。
隠館は何度もアタックを繰り返し最適解を見出すことも出来るかも……と思いきや既に急接近してますね。
意図せず、今日子の本質に近付いていると言えそうか。

『七回死んだ男』(西澤保彦著、講談社刊)ネタバレ批評(レビュー)

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次回も引き続き和久井や陸が登場する様子。
次回にも期待!!

◆関連過去記事
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【コミカライズ版】
「掟上今日子の備忘録」第1話(西尾維新原作、浅見よう画、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年9月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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西尾維新先生「傷物語」がアニメ映画化決定!!

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「2015年11月14日」の「土曜ワイド劇場」は「ゴーストライターの殺人取材2」が放送予定とのこと!!

「掟上今日子の備忘録」「破裂」「テディ・ゴー!」とミステリードラマが豊作となっている2015年10月期の土曜日。

「掟上今日子の備忘録」第2話「忘却探偵に恋の罠…水泳選手殺しの犯人は今日子さんの恋人!?」(10月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「破裂」2話「ベールをぬぐ戦慄の陰謀…ぴんぴんポックリで老人の数を減らす?」(10月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「テディ・ゴー!」2話「クマ最大のピンチ」(10月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)

とはいえ、忘れてはいけないのが2015年時点で38年の歴史を誇る「土曜ワイド劇場」。

【緊急特別批評(レビュー)】「SmaSTATION!!祝35周年土曜ワイド劇場の秘密(秘)相棒(秘)家政婦は見た(秘)法医学(秘)西村京太郎矢沢永吉&松田優作&鶴瓶主演のレア作品も」(5月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)

そんな「土曜ワイド劇場」2015年11月14日放送予定作品が「ゴールドライタン」……ならぬ「ゴーストライターの殺人取材2」であることが判明しました。

「ゴールドライタン」と言えば「黄金戦士ゴールドライタン」と言う名のアニメでライター型のロボットが……。
おっと失礼、「ゴーストライターの殺人取材」でしたね。

「ゴーストライターの殺人取材」と言えば2012年8月4日に放送された「浅野ゆう子さん演じる売れない作家の鮫島悠里が若村麻由美さん演じる妹で編集者の鮫島彩乃に勧められて著名人が書く自伝のゴーストライターになるものの事件が発生。鶴見辰吾さん演じる悠里の弟で刑事の鮫島一希と共に捜査に乗り出す」との物語。

つまり、浅野ゆう子さん、若村麻由美さん、鶴見辰吾さんが姉弟役を演じるドラマ。
この鮫島姉弟がなかなかにキャラが濃く、その設定も相俟ってなかなかにインパクトのある作品でした。
過去記事にも批評があります、興味のある方はチェックすべし!!

土曜ワイド劇場「ゴーストライターの殺人取材〜セレブの罪を代筆する女!美貌のカリスマネイリストに疑惑の結婚歴…別れた夫の死体が歩いた!?」(8月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)

そんな「ゴールドライタン」いえ「ゴーストライターの殺人取材」が遂に第2弾放送となったようです。
特に何も無ければ2015年11月14日に視聴出来る筈、楽しみ楽しみ(^O^)/!!

ちなみに「ゴールドライタン」と「ゴーストライター」って語呂が似てる……よねぇ!?
と言うワケで「ゴールドライタン」と「ゴーストライターの殺人取材」共に注目せよ!!

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『夢うつつ殺人事件』(麻耶雄嵩著、角川書店刊『小説野性時代』2015年10月号掲載)

『夢うつつ殺人事件』(麻耶雄嵩著、角川書店刊『小説野性時代』2015年10月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<感想>

「謎解きLIVE」から生まれた「ももあおコンビ」が遂にシリーズ化です。
シリーズとしては『伊賀の里殺人事件(忍びの里殺人事件のノベライズ版)』に続く第2弾となっています。

【未視聴ながらやっちゃいました】「謎解きLIVE 忍びの里殺人事件」雪月花ブログの謎にチャレンジしてみた!!

そんな今回は「原因」と「結果」が逆転する構図が美しいですね。
「愛宕殺害計画」が先にあって「相生が盗み聞きしてしまった」と思いきや「相生が盗み聞きしてしまった」からこそ「愛宕殺害計画」が生まれた。
ある意味、『メルカトルと美袋のための殺人』収録のある作品をアレンジした印象か。

そう言えば『伊賀の里殺人事件』もある状況を逆転させる必要がありましたが、このシリーズ「逆転」がテーマとなるのでしょうか。

そして相生が耳にした最初の会話の構成も秀逸です。
ちなみに、相生に悪戯(嫌がらせ)を仕掛けたのは車坂と伊予っぽいねぇ。

またまたちなみに、登場人物は全員が地名をもとにしていたりします。

ネタバレあらすじはまとめ易いように改変しています。
興味のある方は本作それ自体をご覧になられたし!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
伊賀もも:「ももあおコンビ」の1人。直感的推理担当。
上野あお:「ももあおコンビ」の1人。論理的推理担当。
伊賀空:ももの兄、刑事。
顧問:美術部顧問。
部長:美術部部長。
相生:女子美術部員。
田端:相生の友人。
愛宕:男子美術部員。
徳居:女子美術部員。
車坂:女子美術部員。
伊予:女子美術部員。


高校生である伊賀ももと上野あおは「ももあお」として知られる名コンビ。
ももが直感的推理、あおが論理的推理を得意としており、ももの兄である刑事・伊賀空に協力して2人で幾つかの事件を解決して来た。

そんな2人のもとに同級生の女子生徒である田端が美術部員の相生を連れて相談に来た。
何でも相生がとんでもない話を耳にしてしまい、狙われているらしい。

話は1週間ほど前に遡る。
怖がりの相生は野外でデッサンを行っていた途中でうたた寝してしまった。
と、夢現のところに男女の声が届いて来た。
どうやら、美術室か隣室の準備室からの声のようだ。

声によれば「愛宕が二股をかけて」「殺す」などと不穏当な内容。
また「お堀の幽霊の仕業に偽装しよう」などとも聞こえて来た。

「お堀の幽霊」とは学校に伝わるまことしやかな伝説の1つ。
無念の死を遂げた女子生徒が血に濡れた赤い右手を翳して追って来るとの逸話である。

これに恐れ戦いた相生だが、気になってしまったのでその時間に美術室と準備室に居たメンバーを調べ始めた。

美術室に居たのは男子生徒が愛宕1人、女子生徒が徳居、車坂、伊予の3人。
準備室には部長と顧問の教師だけ次期部長について相談していたと言う、ちなみに2人とも男性である。

はて、此処でおかしなことになってしまった。
相生が耳にしたのは「男女の声」だ。
だが、準備室には男性2人のみ、美術室には男性は殺害計画の対象となった愛宕のみ。
到底、条件を満たす人物が居ないのだ。
其処で相生はもしかすると夢かもしれないと放置していた。

ところが、先日になって美術室に置いてあった相生の鞄に「お堀の幽霊」のエピソードにちなんだとみられる右手の手形が残されていたのだ。
それは美術室の「右手のヴィーナス」を用いて絵具で付けられたもの。
もしかして、話を盗み聞いてしまったことを知られ警告されたのだろうか?
怖くなった相生が田端に相談し「ももあお」を頼ったのである。

これを聞いた「ももあお」は取り敢えず様子を見ようと決めるのだが……。
その矢先、愛宕が相生が盗み聞きした状態通りに殺害されてしまう。

捜査に訪れた空に協力することとなった「ももあお」。
空によれば愛宕は徳居と美術室に残っていたが、別れた直後に殺害されたようだ。
愛宕の死を知った徳居は号泣して取調も出来ない状態のようだ。
また、愛宕の鞄には相生と同じく「お堀の幽霊」をモチーフにした手形が残されていた。
ただし、今回は愛宕の血を用いた左手のスタンプだ。
どうやら、今回も美術室に置いてあった「左手のヴィーナス」を使ったらしい。

其処にあおが口を挟みかけた途端、ももが「2人で一度に話されても分からないよ!!」と叫ぶ。
これに、あおは真相に気付く。

相生が盗み聞きした話は別々の2組の会話であった。
おそらく美術室と準備室での会話だろう。

美術室では「相生に対して行うお堀幽霊を模した悪戯についての会話」。
準備室では「部長と顧問が愛宕を次期部長にすべきか否かについての会話」。

美術室にて女子同士、準備室にて男子同士。
相生は意図せずそれぞれから女子と男子の言葉をピックアップしてしまったのだ。

つまり、その時点で愛宕殺害計画は存在しない。
ところが、実際に愛宕は相生の聞いた話通りに殺害されてしまった。
すなわち、犯人はこの計画が存在すると信じてしまった者である。

この存在しない計画について知っているのは相生、田端、もも、あおの4人。
もも、あおには動機が無い。残るは相生と田端だ。

此処で「何故、左手でスタンプされていたのか」がポイントとなる。
本来ならば「右手のヴィーナス」を用いるべきところ「左手のヴィーナス」を用いている。
犯人は「右手のヴィーナス」の存在を知らなかったのだろう。
それは美術部員ではない田端しか居ない。

おそらく田端は愛宕と交際していたのだ。
ところが田端は相生の話を耳にし、愛宕の浮気を疑った。
そして、徳居の狼狽えぶりを見る限り、愛宕は徳居とも交際していたに違いない。
この事実を田端が知ってしまったのだ。
其処で殺害に発展。
咄嗟に相生から聞いた計画を利用することを思いついたのだが、そもそも存在しないものだったのである―――エンド。

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