ネタバレあります、注意!!
<4話あらすじ>
為頼英介(西島秀俊)は、早瀬順一郎(伊藤淳史)から犯因症の治療を頼まれる。しかし、為頼は自分には症状が見えるだけで、直すことは出来ないと答えた。精神的なアドバイスを与えようとする為頼だが、刑事として常に犯罪と対峙する早瀬はあきらめられない。早瀬は治癒不能な患者に寄り添うというのは、為頼の自己満足だと罵ってしまう。その後、久留米実(津嘉山正種)を往診した為頼は早瀬とのやりとりを話す。すると、久留米から早瀬には為頼の助けが必要だと諭された。
そんな時、早瀬は野々村涼(奥野瑛太)殺害事件を担当。石で頭部を何度も殴られた惨殺だった。ニュースで事件を知った高島菜見子(石橋杏奈)は驚く。野々村は菜見子が良く行くコンビニの店員で、昨夜も仕事帰りに立ち寄っていたからだ。すると、菜見子の携帯が佐田要造(加藤虎ノ介)からのメールを着信。コンビニでの菜見子と野々村の写真が添付されたメールのテキストは“天罰が下った”。凍りつく菜見子。
佐田は2年前に菜見子が瀬野愛莉という少女のカウンセリングを担当していた頃に交際していた。愛莉は快方に向かったが、佐田は次第に菜見子への独占欲を露わにしだす。ついに暴力までふるわれようになった菜見子は佐田の下を去った。
一方、白神陽児(伊藤英明)は、病院内で騒ぎを起こした南サトミ(浜辺美波)のカルテを取り寄せて会いに行く。白神はサトミに自分のメールアドレスを教えた。
(公式HPより)
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
為頼英介:主人公、様々な病気を見抜く眼を持つ医師。
早瀬順一郎:熱血漢の刑事。
高島菜見子:臨床心理士。
白神陽児:クリニックの経営者。実は……。
イバラ:白神のもとで働く男。実は……。
南サトミ:菜見子の担当患者。
久留米実:元医師、為頼の師。
井上和枝:為頼の義姉。
???:菜見子のストーカー。
医師の為頼英介は外観から患者の状態を診断する眼を持っている。
それは遂に、将来的に犯罪を犯すであろう「犯因症」を見抜くことまで可能にしていた。
この能力は為頼を他者と一線を画す存在としたが、同時に彼に限界を報せることにもなった。
皮肉なことに、為頼が幾ら相手の状態を見抜いたとしても治療法を現在の医療水準に頼る以上、治療法が確立されていない病気の場合に為す術がないのは他の医師と同じなのである。
むしろ、より正確に不可能を知るだけに虚無感に支配されていた。
そんな為頼にクリニックの経営者である白神院長が接触を図って来た。
実は白神もまた為頼と同じ眼を持っており、それ故に為頼の能力を認めていたのだ。
白神は患者に苦痛を与えない「無痛治療」を提唱し、為頼にスカウト話を持ちかける。
しかも、白神はこれを実現させる為に「先天性無痛症」を患うイバラを研究していたのである。
白神によればイバラは「痛みが分からない為に感情に乏しい」らしい。
具体性を伴う白神のプランに揺らぐ為頼。
やがて、「犯因症」を患う早瀬の治療法を見出すべく白神へ協力を申し出る。
犯罪者の心理の1つとして「相手の痛みを理解出来ないこと」が挙げられており「無痛症」を調べることで「犯因症」に繋がる何かを見出せると考えたのだ。
一方、菜見子はストーカーと化した佐田要造に怯えていた。
2年前、佐田は菜見子の恋人であった。
当時、臨床心理士として駆け出しであった菜見子は瀬野愛莉なる少女を担当していた。
だが、愛莉は菜見子に心を開かず、菜見子は悩みを抱えていた。
そんな菜見子に優しく声をかけて来たのが佐田だったのだ。
菜見子は佐田と交際を始めた。
佐田との交際は菜見子に自信を与え、それは愛莉への態度にも繋がった。
菜見子に余裕が芽生えたことで、愛莉に信頼感を与えることに成功したのだ。
結果、些か強引ながらも菜見子は愛莉に人生の先輩として指針を示すことが出来た。
愛莉はプライベートについても菜見子に相談するようになった。
ある日、愛莉は今の彼氏に過去の自分について明かすべきかどうか相談して来た。
愛莉は過去に薬物や売春を行っていたのだ、それは相当に重い過去である。
相談したからには愛莉にもその認識があったに違いない。
これに菜見子は「本当に愛しているなら許してくれる筈よ、信じなさい」と打ち明けるよう促した。
一方、佐田と菜見子の関係に変化が訪れた。
優しく見えた佐田だったが、異常なほど独占欲と猜疑心が強かったのだ。
それは菜見子への暴力に発展し、菜見子は佐田に別れを切り出した。
だが、佐田は菜見子を諦めずストーカーと化していたのだ。
同じ頃、菜見子はサトミと出会ったのである。
そして現在―――菜見子は佐田の目に怯えながら帰宅途中にコンビニへ立ち寄った。
其処で店員の野々村涼に声をかけられた。
野々村は菜見子に興味があるらしく、菜見子が何度断っても執拗に迫って来ていた。
その日も菜見子は例の如く断りを入れると帰路に就いた。
その翌朝、野々村の遺体が発見されたのだ。
遺体の腕には煙草の火で焼かれた痕跡があった、それも一面である。
これを目にした早瀬は「なんて酷い」と犯人に対し怒りを燃やすことに。
この報をニュースで目にした菜見子の携帯に佐田からメールが届く。
其処には「天罰が下った」との一文が記されていた。
菜見子は佐田の犯行を疑い恐怖する。
その頃、早瀬は煙草の火で焼かれた皮膚にタトゥーが彫られていたことを突き止めた。
その内容は「Aハート」、さらにある人物の名前が刻まれていて……。
その日の午後のこと、「犯因症」の治療法確立に向けて白神を訪ねた為頼はある女性に「犯因症」を見出し後を追う。
一方、当の女性は菜見子のもとを訪れる。
女性を目にするなり微笑む菜見子は「お久しぶり、愛莉ちゃん!!」と親しみを込めて名を呼ぶ。
すると、愛莉の表情が急変。
怒りを露にするや「あんたの所為で捨てられた!!信じろと言ったから信じたのに」と刃物を手に菜見子に襲い掛かる。
愛莉を追っていた為頼と、タトゥーから愛莉を犯人と突き止めた早瀬が駆け付け事無きを得ることに。
愛莉は早瀬に逮捕された。
そう、愛莉が過去の自分を打ち明けようとしていた彼氏こそ野々村だったのだ。
菜見子に背中を押された愛莉はタトゥーに互いの名を刻むほど愛し合っていた野々村に全てを打ち明けた。
ところが、野々村は「流石にソレは……」と愛莉を捨ててしまった。
逆上した愛莉は野々村を殺害し、愛の誓いであったタトゥーを焼いた。
そして、背中を押した菜見子へ報復に及んだのだ。
「なんで?ねぇ、どうして?」
何故、恨まれるのか理解出来ない菜見子は困惑する。
為頼はかける言葉も無い。
そんな2人の様子を凝視する影が1つ、佐田である。
佐田は菜見子に寄り添う為頼へ怒りを向ける。
早瀬はと言えば愛莉を連行する中で、サトミの描いた「一家4人惨殺の絵」を目にし注意を惹かれる。
いよいよ、事態は急展開を迎えようとしていた―――5話へ続く。
<感想>
ドラマ原作は久坂部羊先生による同名作品。
シリーズ続編として『第五番 無痛2』も存在している。
過去にネタバレ書評(レビュー)していますね。
・『無痛』(久坂部羊著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『第五番 無痛2』(久坂部羊著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)
タイトルにもなっている「無痛」の意味は登場人物の1人・イバラが「無痛症」を患っていることを示しています。
また、登場する「他者の痛みを理解しようとしない人々」のことをも指すのでしょう。
さて、人は白神が主張するように「無痛」に生きるべきなのか?
それはドラマ最終回にて答えが明かされることでしょう。
では、ドラマ版4話の感想を。
まず、4話ですが野球延長の為105分繰下げて放送されました。
そんな今回は「2年前の菜見子の愛莉への態度」と「現在の為頼の早瀬への態度」が重ねられていました。
為頼は早瀬に無責任を指摘され、これを克服すべく前向きに治療法を探り始めた。
これは正しい医師と患者としての関係を築きつつあることを示す。
だが、菜見子は愛莉と正しい臨床心理士と患者としての関係を築かず、単なる話し友達に終始してしまった。
そして、彼女が本当に必要としていた心の治療を疎かにしてしまった。
結果、愛莉は菜見子の無責任とも言える励ましを受けて暴走してしまうことに。
此の点、愛莉は正しい治療を受けられなかった早瀬とも言えるかもしれない。
もっとも、愛莉の場合は「相手の痛みを理解しない」など本質的に早瀬と異なる部分も多々あるが。
ただ、確かに愛莉の逆恨みは言語道断ではあるが、菜見子にも全く責任が無かったとは言い難いところがあるだろう。
菜見子は臨床心理士として不覚であったと言わざるを得ない。
そんな菜見子にはサトミという患者が居る。
果たして、今度こそ菜見子はサトミを救えるのか!?
そんな中、早瀬がサトミの存在に注目。
また、次回予告によれば一家4人惨殺の捜査がいよいよ動き出す模様。
かなり原作に沿ったストーリーが展開されそう。
一方で佐田も暗躍、これまた原作通りでイバラ活躍の日も近そう。
早瀬が人一倍悪を憎むが故に悪を断つべく悪に手を染めてしまいかねない皮肉。
これを救うべく動き出した為頼。
未だ為頼は気付いていないが、その前に立ち塞がるのは白神とイバラである。
どうやら「痛みを知る男:為頼と早瀬」と「痛みを知らない男:白神とイバラ」の対決になりそうですね。
原作通りならば次回以降も事件は加速して行く筈、5話にも注目ですね!!
◆関連過去記事
【久坂部羊先生著作関連】
・『無痛』(久坂部羊著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『第五番 無痛2』(久坂部羊著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『破裂』(久坂部羊著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)
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