「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第49話「捏造怪談」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。
ネタバレあります、注意!!第49話登場人物一覧:
赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。
奥宮サキ:墓地で殺害された被害女性。
荒井忠良:サキと交際していた男性、姿を消している。
君近良雄:サキと交際していた男性、姿を消している。
これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。
<ネタバレあらすじ>
〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
高校生になった赤木蛍は行方不明となっていた兄・圭一と思わぬ形で再会を果たすことに。
なんと、圭一が幽霊として蛍のもとに戻って来たのだ。
しかも、圭一は悪意が関わる事件を察知し悪意を消滅させる能力を手に入れていた。
だが、圭一は現世に介入することが出来ない。
これでは折角の力も無意味である。
其処で圭一から協力を求められた蛍は、兄妹で力を合わせ1人でも多くの人を助けるべく動き出すことに。
・前回までのあらすじはこちら。
「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」第48話「オバケの出る公園」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「えっ、怪談の語り部役が来ない?」
町内会主催で子供たち相手の肝試しが行われていた。
行き交う大人たちの中、主催者側の手伝いとしてアレコレと手配しているのは蛍である。
普段から家内を取り仕切っている蛍にとって、まさに適性とでも言うべき役割であった。
今も、怪談の語り部役と連絡が取れないと知るや緊急の対応を迫られている。
そんな蛍が選んだ方法は自身が語り部の代役をこなすこと。
残り数分と時間が迫る中、蛍はスマホでそれらしい話に目を通すと咄嗟に盛り上がりそうな怪談を捏造することに。
同じく手伝いとして参加していた幼馴染の真島慎一はそんな蛍の姿に改めて惚れ直していた。
子供たちの前に立った蛍は「七本腕を持つ三頭の幽霊」について語って聞かせる。
その幽霊は人を襲うのだが「裁判費用はこちらで持つ」と告げると退散する設定である。
この捏造怪談は効果覿面、子供たちは悲鳴を上げて大騒ぎだ。
蛍は何とか切り抜けたと冷や汗を拭うことに。
続いて子供たちはグループを作って順に墓地へと繰り出して行く。
これを幽霊役の大人たちが雰囲気たっぷりに驚かすのだ。
圭一もその場の雰囲気に呑まれたのか、あるいは幽霊としての面子からか子供たちを驚かそうと試みる。
ところが、そもそも圭一は蛍以外には視認できないのであった。
改めてショックを受ける圭一は膝を抱えてしまう……。
そんな中、あるグループが泣きながら戻って来た。
墓地の隅で、蛍が語った幽霊を見たと言うのだ。
捏造した幽霊が実際に現れる筈はない。
驚かす筈が驚かされることとなった蛍は現場へ直行。
すると、其処には女性の他殺死体が倒れていた。
こうして事件が発覚し肝試しは中止となった。
事件の報を聞き付けやって来た楓は、またも蛍が関わっていると知り溜息を吐く。
とはいえ、蛍が意図した事ではないのだから仕方がない。
蛍と共にその場に居合わせた慎一からも事情を説明することに。
説明を受けた楓は、異性に免疫が無いのか慎一を見遣りつつ頬を真っ赤に染めて情報を語り出した。
何でも、被害者は奥宮サキなる女性で派手な交友関係があるらしい。
さらに楓は「子供たちが目にしたのは重なり合う加害者と被害者だったのかもしれないな」と仮説を述べる。
これに疑問を抱く蛍であったが、翌朝さらなる困惑に見舞われることに。
前夜の肝試しに参加していた少女から「教えてくれてありがとう」とお礼のメールが届いたのだ。
何でも、ベッドで寝ていたところ「七本腕に三頭の幽霊」が現れたのだと言う。
其処で蛍が教えた「裁判費用はこちら持ち」との言葉を唱えたところ、笑いながら消えたらしい。
これは尚更、蛍を戸惑わせた。
それもその筈、全ては蛍の捏造であり本来ならば実在しない幽霊である。
「もしかすると幽霊が捏造怪談に便乗したのか」とも考えた蛍は調査に乗り出した。
一方、奥宮サキ殺害の捜査本部に紛れ込んでいた圭一。
すると、サキの奔放な異性関係についての捜査結果が飛び込んで来た。
どうやら、サキは派手に遊んでいたようだ。
ところが、最近になって少し落ち着いたらしく荒井忠良と君近良雄の2人に絞って交際していたとのことである。
さらに、当の荒井と君近も消息が掴めない状況にあった―――次話に続く。
ネタバレあらすじはまとめ易いように展開などをかなり改変してます。
気になる詳細は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!
<感想>
「名探偵マーニー」から3ヶ月……我らが木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」に還って来た!!
というワケで、その新作「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」です。
1巻、2巻、3巻に続き、早くも4巻が発売!!
さて、その49話。
サブタイは「捏造怪談」。
「七本腕で三頭の幽霊」は「サキ、荒井、君近の集合体」のようです。
ポイントは「裁判費用はこちら持ち」との言葉か。
何かサキたちが裁判の当事者となっており費用負担を避けようとの意志があの行動に繋がったのか?
あの言葉が具体性を帯びているだけにエピソードの本筋に関わることは間違いない筈。
もう1つ気になるのは「3人の集合体」だと仮定して「腕が6本ではなく7本ある」こと。
どうにも1本多い。
これが何を意味するのか……気になります。
そう言えば、そもそも怪談の語り部役が欠席したのも気になる。
もしかすると、彼こそが犯人なのか!?
そして、慎一を意識して頬を染める楓。
これは……もしかしてもしかする!?
此の点も注目です!!
やっぱり、本作は面白い!!
次回にも注目です!!
木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。
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木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。
「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。
衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。
既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。
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赤木蛍:主人公。今年の春から「聖マルス学園」に特待生として進学した。
圭一:蛍の兄。正義感の強い警官だったが失踪。幽霊となって戻って来た。
獣を連れた男(10人と1匹の獣):圭一の死に関わる人物。獣は殺意のことらしい。
PND(疑われざる者):静香によれば圭一が追っていた謎の人物らしい。獣を連れた男と同一人物なのか?
十二人委員会:警察内部に存在する犯罪者を私的制裁する組織、メンバーは12人居るらしい。
フード男:「十二人委員」の1人。展望台から多くの犯罪者を抹殺した。
死神:黒い影の男の正体。「桐島静香の秘密」「謎の桃園」「騙された死神」「母の父」に登場。
【赤木家とその周辺】
蛍の父:赤木興業の社長。
赤木真知恵:蛍の母。バーのような店を経営している様子。
節:蛍の妹。
和也:蛍の弟。
紀理香:真知恵の姉、長女。
陽香:真知恵の姉、次女。
おじいちゃん:真知恵の父、蛍にとっては母方の祖父。44話で死去。
謎の少年:蛍の初恋相手らしい。11話に登場。
真島慎一:蛍の幼馴染。彼女に恋心を抱いている。9話から登場。
【聖マルス学園関係者】
緑川楓:蛍のクラスメート。実は少女探偵であった。
桃園霧子:「聖マルス学園」2年生とされる謎の令嬢。「謎の桃園」「崖の下の呪い家」「恋する桃園」「オバケの出る公園」に登場。
青葉:「聖マルス学園」2年生女子、学園1の天才。
黄多川礼:「聖マルス学園」の女子生徒。実は武闘派。
志田りか:聖マルス学園の生徒。2話から登場。
塞田康平:蛍のクラスの担任教師。割とミーハーらしい。
見場創太:3話ラストに登場した怪しい男。学園の生徒であった。
校長:聖マルス学園の校長。
教頭:聖マルス学園の教頭。
千葉:鐘楼登頂に挑み謎の転落死を遂げた男子学生。
沼代:22話ラストで鐘楼登頂に挑んでいた男子学生。
5人の成功者:過去に鐘楼に登頂することに成功した面々。
五島:5人の成功者の1人だが……。
東条春道:霧子の幼馴染、人気者。
創さん:「聖マルス学園」の成績優秀者。
野間:「聖マルス学園」の成績優秀者。
郷里良子:「聖マルス学園」の女子生徒。「ザ・ボディーガード」に登場。
垣木:「聖マルス学園」の女子生徒。柔道部の猛者だが……。「ザ・ボディーガード」に登場。
【警察関係者】
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
逸見:楓の知人の刑事。
桐島静香:圭一の同期であるキャリア。現在は警察署長に。
大島:南具署の刑事。
光芝:圭一と静香の同期。
久毛山:圭一と静香の同期。
紅梅:圭一と静香の同期。
二階堂:警部。白い服の男。静香に想いを寄せていたらしい。
山本巡査長:在りし日の圭一の上司。今は田舎の派出所に勤務している。
蓮宮:県警の担当者。
【その他】
志田高志:りかの兄。りかにストーカーしているとのことだが……。
実山:赤木興業を担当している会計士。
貝塚俊雄:実山会計士事務所の職員。比較的若手。
役丸みつえ:実山会計士事務所の職員。紅一点。
三島:実山会計士事務所の職員。太目。
丸木田:実山会計士事務所の職員。ダンディ。
麻依:貝塚の元婚約者。
緑川宗達:楓の祖父。推理能力に長けた名刑事として有名らしい。
末為良則:12話で遺体で発見される。場津間高校の教師であった。
逸見:楓の知人の刑事。
葉森了:場津間高校の学生。末為の教え子。
葉森美和:蛍が廃病院で出会った女性。了の母で入院していた毛羽病院で落命していた。
間岩:米城警察病院の看護師。
怪物:人中に居ようとも誰も興味を向けない怪物。
大人しい人間:怪物に付き添う不可思議な人影。
栗山将秋:怪物たちが暮らしている部屋の契約者。
三ツ矢:誘拐事件の被害者とされる子供の母親。
満島:節の担任教師。
鏡二郎:呪いの家の過去の所有者。
円卓:「占いの館」の占い師の1人、「ジュエル」を名乗っていた。「緑川楓の誤算」に登場。
蝶野:「占いの館」の占い師の1人、「カラスアゲハ」を名乗っていた。「緑川楓の誤算」に登場。
丹下七郎:携帯ショップの店員、35歳。「騙された死神」に登場。
真利奈:七郎の姪。「騙された死神」に登場。
能美功次:「城町西学園」の成績優秀者。「フックマン」を抱えている。
能美一郎:過去に町止小学校襲撃殺傷事件を引き起こした犯人、当時37歳であった。
三橋:能美一郎と親しかった男性。
赤沼茂樹:工学部の院生、ミステリーマニア。
広重将美:赤沼の同期、テレビで一躍大ブレイクを遂げた著名人。
奥宮サキ:墓地で殺害された被害女性。
荒井忠良:サキと交際していた男性、姿を消している。
君近良雄:サキと交際していた男性、姿を消している。