2015年11月26日

『監獄舎の殺人』(伊吹亜門著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.73 OCTOBER 2015』掲載)

『監獄舎の殺人』(伊吹亜門著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.73 OCTOBER 2015』掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

明治維新後の京都、 六角獄舎で起きた毒殺事件。 処刑執行の日、 なぜ囚人は殺されたのか。 第12回ミステリーズ!新人賞受賞作
(東京創元社公式HPより)


<感想>

本作は「第12回ミステリーズ!新人賞」受賞作です。
第12回は応募総数503編、本作の他に佳作として榊林銘先生『十五秒』も栄冠に輝いています。

「第12回ミステリーズ!新人賞」受賞作発表!!栄冠は伊吹亜門先生『監獄舎の殺人』に!!

そんな本作は「処刑が迫った囚人を何故、毒殺する必要があったのか?」との「ホワイダニット」がテーマ。
また、かなり特徴的な作品で一読して山田風太郎先生『明治断頭台』(筑摩書房刊)や物集高音先生『大東京三十五区 冥都七事件』(祥伝社刊)を思い出しました。
他にも先述の「ホワイダニット」からラストのサプライズに繋がる構成も見事。

司法省の江藤と言えば「佐賀の乱」の江藤新平、作中の平針と重ね合わせて後の事を思わせる作風も印象的でした。

ちなみにネタバレあらすじは大幅に改変しています。
興味のある方は本作それ自体を読むことをオススメします!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
師光:司法省の役人、江藤の部下。
円理:師光の部下。
平針:円理の父を殺害した下手人。
江藤:司法省の司法卿。


時は明治維新を迎えた日本、場所は京都にある六角獄舎でのこと。
司法省の役人・師光は司法卿である江藤の命で彼の地を訪れていた。
目的は獄に繋がれている平針へ刑の執行を伝えること、その刑とは死刑である。

平針は剣鬼として名高い人物、幕末を舞台に薩長閥の指示で暗殺者として行動していた。
だが、維新を迎えて待遇に不満を抱き弟子を連れて決起したのだ。
しかし、この反乱はあっさりと鎮圧され逮捕されるに至っていた。
江藤は平針が知る過去の暗殺事件についてこれを機に明かしたいと願っていたが、薩長閥の圧力により処刑執行が決められたのだ。

江戸の流れが未だ色濃い当時、処刑は斬首と定められていた。
この処刑の実行役として看守の円理が選ばれた。
円理の父は平針により暗殺されており仇の間柄だったからである。
若手の円理は斬首と聞き緊張の面持ちを見せる。

矢先、師光と円理が監視する中で粥を口にした平針が毒殺されてしまう。
どうやら、粥に石見銀山が混入されていたようだ。

犯人は誰なのか?
何故、斬首を控えた平針をわざわざ毒殺せねばならなかったのか?
師光はさまざまに考えを巡らせる。

平針は薩長の汚れ仕事の実行役であり生き証人。
だからこそ、口を封じられたのか?
だが、そもそも処刑を実行するよう指示したのも薩長なのだ。

思い悩む師光は「毒薬が平針を殺す為のもの」ではなく「平針を生かす為のもの」だったのではと考えるように。
そして、犯人を突き止める。

犯人は円理であった。
若い円理は斬首を失敗することを恐れたのだ。
其処で鍛錬する時間を欲した。
平針が毒により体調を崩せば処刑は延期される。
それが狙いだったのだ。

円理はこれを認め、罪に服することとなった。

だが、師光は何処か納得がいかなかった。
そして、ふと気付いた。
もう1人、平針の延命を願った人物がいたことに。

他でもない司法卿の江藤だ。
江藤は取調の時間を欲していた。
円理と同じように考えても不思議ではない。

円理も江藤も致死量に満たない石見銀山を用いた筈だ。
だが、これが重なったことで奇しくも平針を死に導いたのであった―――エンド。

◆関連過去記事
「第12回ミステリーズ!新人賞」受賞作発表!!栄冠は伊吹亜門先生『監獄舎の殺人』に!!

『監獄舎の殺人』が掲載された「ミステリーズ! vol.73」です!!
ミステリーズ! vol.73





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「無痛 診える眼」8話「真犯人の孤独」(11月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「無痛 診える眼」8話「真犯人の孤独」(11月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<8話あらすじ>

為頼英介(西島秀俊)は、イバラ(中村蒼)が佐田要造(加藤虎ノ介)を殺害したことに疑問を感じる。イバラに犯因症を診ることが出来なかったからだ。しかし、逮捕直前のイバラには突然、犯因症が診てとれた。為頼は『白神メディカルセンター』への出勤も見合わせ、必死に何かを調べ始める。
白神陽児(伊藤英明)はイバラの事件に少なからず動揺していたが、病院のイメージ失墜を防ごうとしていた。一方、職場復帰した高島菜見子(石橋杏奈)はサトミ(浜辺美波)に、ある提案をする。

為頼の診療所に早瀬順一郎(伊藤淳史)が来た。早瀬によると、イバラは殺害時のことを覚えていないと話していた。このままでは精神鑑定に持ち込まれると焦る早瀬に、為頼はイバラとの面会を求める。

為頼の面会に、イバラは佐田のオペをしたと認めるが殺害は覚えていないと言う。為頼は続けてイバラに服用していた薬について尋ねた。強くなれる薬だと答えるイバラだが、大量摂取した後のことは覚えていない。反対にイバラは、為頼に白神の様子を聞く。イバラにとって白神は“大切な人”。さらにイバラは“大切な人、大切な場所…”とつぶやく。

次の日、菜見子がサトミを連れて為頼を訪ねてくる。菜見子はサトミに温かい家庭を見せたいと井上和枝(浅田美代子)に頼んでいた様子。食事が始まるとサトミの表情が少し和らぐ。すると菜見子はサトミに、翌日、刑事が話を聞きに来ると告げ、為頼にも同席を求めた。
(公式HPより)


<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
為頼英介:主人公、様々な病気を見抜く眼を持つ医師。
早瀬順一郎:熱血漢の刑事。
高島菜見子:臨床心理士。
白神陽児:クリニックの経営者。実は……。
イバラ:白神のもとで働く男。実は……。
南サトミ:菜見子の担当患者。
久留米実:元医師、為頼の師。
井上和枝:為頼の義姉。
佐田要造:菜見子のストーカー。


医師の為頼英介は外観から患者の状態を診断する眼を持っている。
それは遂に、将来的に犯罪を犯すであろう「犯因症」を見抜くことまで可能にしていた。

この能力は為頼を他者と一線を画す存在としたが、同時に彼に限界を報せることにもなった。
皮肉なことに、為頼が幾ら相手の状態を見抜いたとしても現在の医療水準に頼る以上、治療法が確立されていない病気の場合に為す術がないのは他の医師と同じなのである。
むしろ、より正確に不可能を知るだけに虚無感に支配されていた。

そんな為頼にクリニックの経営者である白神院長が接触を図って来た。
実は白神もまた為頼と同じ眼を持っており、それ故に為頼の能力を認めていたのだ。
白神は患者に苦痛を与えない「無痛治療」を提唱し、為頼にスカウト話を持ちかける。
しかも、白神はこれを実現させる為に「先天性無痛症」を患うイバラを研究していたのである。
具体性を伴うプランに揺らいだ為頼は白神へ協力を申し出る……のだが。

当のイバラが佐田殺害犯として逮捕されてしまったことで揺らぎ始める。
また、イバラ自身に佐田殺害についての記憶が存在していないことも為頼の不審を助長することに。

一方、一家4人惨殺事件についてサトミが少しずつではあるが記憶を回復させつつあった。

そんな中、早瀬はイバラと一家4人惨殺事件の関係に気付いた。
イバラが口にした「大切な人、大切な場所」との言葉が被害者の1人・石川秋子の新聞投稿と合致していたからである。

矢先、イバラが留置所から脱走してしまう。
逃げた先は「白神メディカルセンター」の白神のもと。
だが、イバラは白神から「お前はもう必要ない」と切り捨てられてしまった。

これにショックを受けたイバラはその場を飛び出し、サトミの病室へ逃げ込む。
イバラを目にしたサトミはその衝撃から一家4人殺害現場で彼を目にしたことを思い出す。

直後、イバラとサトミが消えた―――9話へ続く。

<感想>

ドラマ原作は久坂部羊先生による同名作品。
シリーズ続編として『第五番 無痛2』も存在している。
過去にネタバレ書評(レビュー)していますね。

『無痛』(久坂部羊著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)

『第五番 無痛2』(久坂部羊著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)

タイトルにもなっている「無痛」の意味は登場人物の1人・イバラが「無痛症」を患っていることを示しています。
また、登場する「他者の痛みを理解しようとしない人々」のことをも指すのでしょう。

さて、人は白神が主張するように「無痛」に生きるべきなのか?
それはドラマ最終回にて答えが明かされることでしょう。

では、ドラマ版8話の感想を。

いよいよ、イバラとサトミが物語の中心へ。
それに伴い白神の存在もちらほらし始めたか。
それにしても、イバラ無双は凄かった。

今回の描写を目にした限り、一家4人惨殺事件は原作に忠実と見ても良さそうか?
そして「無痛治療」に拘りを見せる白神、その狙いとは?

また予告を目にした限り、どうも白神は早瀬を上手く利用するつもりの様子。
早瀬に犯因症が出ていることを知る白神。
おそらく、悪を憎む早瀬の心を利用し彼にイバラを殺害させるつもりなのか?

「痛みを肯定する者」と「痛みを否定する者」とに分かれつつある本作。
原作通りならば次回以降も事件は加速して行く筈、9話にも注目!!
ちなみに9話は2015年12月9日放送予定とのこと注意すべし!!

◆関連過去記事
【久坂部羊先生著作関連】
『無痛』(久坂部羊著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)

『第五番 無痛2』(久坂部羊著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)

『破裂』(久坂部羊著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)

【ドラマ関連】
「ドラマ版破裂」
「破裂」1話「超高齢化をめぐる問題作、始動…エリート医師に国家的陰謀が迫る」(10月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「破裂」2話「ベールをぬぐ戦慄の陰謀…ぴんぴんポックリで老人の数を減らす?」(10月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「ドラマ版無痛」
「無痛 診える眼」1話「新ヒーロー誕生…!?病気を見抜く天才は、犯罪を見抜けるか?」(10月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「無痛 診える眼」2話「同じ能力を持つ男が天才に迫る」(10月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「無痛 診える眼」3話「熱血刑事が抱える…殺意の秘密」(10月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「無痛 診える眼」4話「天才が見抜くせつない女心」(10月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「無痛 診える眼」5話「金髪の少女が抱える殺人の記憶」(11月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「無痛 診える眼」6話「診えない眼」(11月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「無痛 診える眼」7話「犯人死す…新たな殺人の理由」(11月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「無痛 (幻冬舎文庫)」です!!
無痛 (幻冬舎文庫)





キンドル版「無痛」です!!
無痛





「第五番 無痛U (幻冬舎文庫)」です!!
第五番 無痛U (幻冬舎文庫)





キンドル版「第五番」です!!
第五番



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