ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
二人は運命を共にし、男を一人殺すことにした。
「わたしたちは親友で、共犯者」
復讐か、サバイバルか、自己実現か−−。
前代未聞の殺人劇が、今、動き始める。
望まない職場で憂鬱な日々を送るOLの直美。
夫の酷い暴力に耐える専業主婦の加奈子。
三十歳を目前にして、受け入れがたい現実に追いつめられた二人が下した究極の選択……。
「いっそ、二人で殺そうか。あんたの旦那」
すべては、泥沼の日常を抜け出して、人生を取り戻すため。
わたしたちは、絶対に捕まらない−−。
ナオミとカナコの祈りにも似た決断に、やがて読者も二人の〈共犯者〉になる。
比類なき“奥田ワールド
(幻冬舎公式HPより)
<感想>
クライムサスペンス作品です。
外商の仕事に従事しながら意に沿わぬ仕事を続け日々に不満を募らせて行く直美。
結婚したものの夫・達郎からDVを受け続け不満を募らせる専業主婦・加奈子。
そんな2人が再会したことから、現状への不満が爆発し遂にはある行動に出ることに。
そんな2人の驚くべき行動は、当初こそ読者の眉を潜ませますがやがて読者を魅了して行くように。
そして何時しか読者も2人を応援し心情的な共犯者となるまでに至る……そんな作品です。
特に直美と加奈子の前に立ちはだかる達郎の妹・陽子に対しては何時しか敵役とすら認識してしまいかねないほど。
これはつまり、著者である奥田先生の視点が直美と加奈子側にあることを示している。
その筆は直美と加奈子に優しいのだ。
だが、直美と加奈子は追われる身。
当然、そのラストは些か不穏な物となっている。
一見、2人は自由を掴んだかに見える。
しかし、自由を掴んだとは明記されていないのだ。
あの直後に、黒服の男たちが現れて2人を拘束しても不思議ではない。
此の点で、現代版「明日に向かって撃て!」と言えるかもしれない。
なお、あらすじはまとめ易いようにかなり改変しています。
興味をお持ちの方は本作それ自体を読まれることをオススメ致します。
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
直美:外商部に勤務する女性。
加奈子:夫・達郎にDVを受け続ける女性。
達郎:加奈子の夫。
陽子:達郎の妹。
外商部に勤務する直美は仕事が出来るにも関わらず、周囲から認められずその存在を軽んじられていた。
学生時代に望んだ未来と余りに乖離した現実に直美は押し潰されそうになっていた。
一方、夫・達郎と結婚し幸せを掴んだかに見えた加奈子。
だが、加奈子は達郎からDVを受けるようになってしまう。
そんな直美と加奈子が再会した。
2人は大学時代の同級生だったのだ。
学生時代を思い返し、現在の境遇について打ち明け合う2人は互いに思わぬ未来を歩いていることに苦笑を禁じ得ない。
だが、何処かで2人は共鳴していた。
数日後、直美は達郎に良く似た外国人を発見し一計を案じる。
達郎を殺害し人知れず処分すると、これに良く似た外国人を達郎を名乗らせ国外へ行かせるのだ。
これで書類上は達郎は帰国することなく国外に居続けることになる。
そうすれば達郎殺害は露見しない。
直美は加奈子と共謀し、達郎殺害計画を実行に移す。
達郎の死体を2人でトランクに詰めて運び出し処分し、偽物の達郎も国外へと無事に出発した。
こうして計画は成功したかに思われたが……。
思わぬ障害が立ち塞がることに。
達郎の妹・陽子だ。
達郎を愛する陽子は彼の失踪を疑い、興信所を用いて加奈子を調べ始めた。
陽子の執念は直美と加奈子を追い詰めていく。
陽子の行動により、達郎の失踪が疑問視され始めた。
警察までもが動き出し、遂に2人が達郎の死体を運び出したことまで防犯カメラ映像から突き止められてしまった。
進退窮した直美と加奈子は国外逃亡を目論む。
この動きを逸早く掴んだ陽子は興信所の職員と共に逃亡阻止を狙う。
しかし、直美と加奈子の行動力は陽子を上回った。
2人は陽子の追跡を振り切ると空港へと辿り着く。
彼女たちの自由はもうすぐ其処である―――エンド。
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