2015年12月14日

「実は私は」第140話「紅本先生とさくらさんA」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第140話「紅本先生とさくらさんA」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧は本記事下部に移動しました。

<あらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜

「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒峰朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?

矢先、実は宇宙人であった委員長・渚、狼男で肉食系女子な獅穂、悪魔っ娘の茜、未来人の凛、幼馴染のみかん、天使の華恋も加わって……。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

・前回はこちら。
「実は私は」第139話「紅本先生とさくらさん@」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

さくらから明里への告白を賭けた体育祭。
当初こそ有利に進めていた朝陽やさくらたちであったが……明里が参戦した途端に事態は急変。
綱引きでは単騎で多数を組み伏せるなど、明里の驚異的な力により次々と1位を奪われてしまう。
それまで積み重ねてきた点差はあっという間に追い付かれ、あっさりと逆転を許してしまった。

何時にも増して圧倒的な明里に動揺する朝陽たち。
華恋によれば目の前で友人たちの結婚を見送り続けたことで明里の中に秘められていた婚活衝動が遂に暴発した結果らしい。
もはや、尋常な方法では勝てる相手では無い。

これに焦りを募らせたのはさくらだ。
少しでも明里に抗すべく、不良時代の自身を思い起こし奮起することに。
だが、どれだけ過去に近付こうとも明里の力の差は埋まらない。

そんな中、玉入れが開始。
ここでも驚異的な力で押し切ろうとする明里に、さらに不良時代を思い出すさくら。
ところが……。

「それが紅本先生に見て欲しい姿なの?」

朝陽の指摘に硬直するさくら。
そんなさくらに葉子や渚、みかんたちが玉を回し始めた。
もちろん、岡や嶋、獅穂たちも一緒だ。
クラス一丸となりさくらを勝たせる為にチームプレイに徹しているのだ。

さくらの中で何かが弾けた。

ふと嶋を見咎めた明里。
手にした玉入れの籠を「邪魔だ」とばかりに投げつける。

その破壊力は絶大、地を裂き、山をも砕く。
当たれば即死は免れない代物だ。

死の籠は恐怖のあまり硬直してしまった嶋へと迫る。
と、さくらが嶋を庇うように立ち塞がった。

そして一閃。
すると、籠が左右に割れたではないか!!
さくら自身に意識は無いが、それは確かに明里の境地に達する一撃であった。

結局、玉入れも明里が圧勝。
こうして最終種目の騎馬戦を迎えるのだが……。

先のさくらの様子を脅威と感じた茜が妨害に乗り出した。
茜の魔力に応じ、光と共に変化するグラウンド。

光が晴れた後に現れたのは空中に浮かぶ城と其処へ続く長い階段であった。
その名も「天空独神城」、これを攻略すれば100万点の大ボーナスだ。
だが、尋常では攻略不可の城である。

城で待つのは婚活衝動に目覚めた明里。
其処へ向かうは団結の力に目覚めたさくらと朝陽たち。
勝敗は果たして―――141話に続く。

充実の「実は私は」が読めるのは「週刊少年チャンピオン」だけ。
本誌で確認せよ!!

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻に続き2巻、3巻、4巻、5巻、6巻、7巻、8巻、9巻、10巻、11巻、12巻、13巻、14巻も重版出来とのことで目出度い。さらに15巻も発売予定。
そして、本作かなり面白い!!

2015年7月にはアニメ化も果たしており、シーズン2製作の報が待たれます。

【第EXTRA話】アニメ版「実は私は」スタッフさんとキャストさんの一部を明らかにされよう!

その140話。
サブタイは「紅本先生とさくらさんA」。

まさにさくらにとって決戦の時。
明里の「ずば抜けた個人の力」に対抗するは、さくらを支えようとする朝陽たちの「衆の力(団結の力)」。
そして、さくらは「団結の力」を自身の力に変えることに目覚めた様子。
これは壮絶な戦いが始まる……のか!?

ただ1つ言えることは、茜が采配ミスを犯したことか。
あの時点で圧勝していたのだから逆転出来る100万点にする必要は無かったのになぁ……。
充分に勝ち逃げ可能だったのに。

ただ、これによりさくらが明里への告白を成功させそうな予感。
こうなると、明里がそれにどう応えるかがポイントか。
おそらく「教師と生徒の関係上から卒業までは保留も、卒業後に交際開始」となりそうな気がする。
果たして!?

うむ、今回も充実した回ですな。
多くは語るまい、とりあえず読め!!

そう言えば、上でもお伝えした通りコミックス14巻も発売。
表紙は1巻の葉子、2巻の渚、3巻の獅穂、4巻の茜、5巻のフクちゃんとみかん、6巻の凛、7巻の明里さんに続き、8巻が銀華恋、9巻が渚とみかんのコンビ、10巻が1周回って葉子、11巻は獅穂と凛コンビ、12巻は緑苑坂弓と桐子の夫婦コンビ、13巻は桃地結香!!
そして、14巻は水奈川咲と葉子に!!
気になる15巻は鳴か、それとも閃か、あるいはその両方か!?
はたまた、獅穂と嶋の可能性もあるのか!?

ちなみに、上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

◆関連過去記事
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「実は私は」第139話「紅本先生とさくらさん@」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。

藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
藍澤涼:渚の兄、意外な形で登場することに……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本明里:教師。彼女にも秘密が……。
黄龍院凛:33話より登場した謎の少女。彼女にも秘密が!?
黄龍丸:凛が駆るドラゴン。52話にて意外な正体が明らかに。

朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「外道クイーン(オレンジ)」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。眼鏡が特徴。割と友人想いの様子。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。124話にてフルネームが「嶋田結太」と判明。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
フクちゃん:「福の神見習い」を名乗る眼鏡。
フクの介:フクちゃんの先輩。やはり眼鏡。
フク太郎:フクちゃんとフクの介の先輩。やはり眼鏡。
フク蔵:フクちゃんとフクの介とフク太郎の先輩。やはり眼鏡。
手崎:文字通り茜の手先な料理教室のシェフ。

朝陽の父:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の母:朝陽の家族。22話に初登場。
黒峰鳴:朝陽の妹。22話、28話、48話に登場。48話にて名前と顔が判明。92話で高校に進学。
白神源二郎:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。39話にて名前が判明。
白神桐子:葉子の母で人間。和服の美女。38話にて名前が判明。
銀華恋:茜に続く第2のツノツキ……の筈だったが。58話から登場。

緑苑坂弓:朝陽たちの副担任、実は源二郎。92話から登場。
桃地結香:忍者少女、92話(実際は105話)から登場。ある秘密が……。
黄龍院閃:鳴、結香のクラスメートの男子。瓶底眼鏡に腰の日本刀がトレードマーク。132話で苗字が判明。
水奈川咲:結香、閃、鳴のクラスメート。109話から登場。ある秘密が……。
箱入り娘:114話終盤に登場した謎の人物!?

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『悪党たちは千里を走る』(貫井徳郎著、幻冬舎刊)

『悪党たちは千里を走る』(貫井徳郎著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

しょぼい騙しを繰り返し、糊口を凌ぐ詐欺師コンビの高杉と園部。美人同業者と手を組み、犬の誘拐を企むが、計画はどんどん軌道をはずれ思わぬ事態へと向かう。ユーモアミステリの傑作。
(幻冬舎公式HPより)


<感想>

疾走感のあるクライムサスペンスです。
コミカルな展開も多く、肩肘張らずに読むことが出来ます。

何と言っても印象的なのは、その登場人物たち。
ルパン的な高杉や峰不二子的な菜摘子の活躍には目を惹かれる筈。
もちろん、それだけではなく随所に仕掛けられた意外な手掛かりも見所でしょう。

また、貫井先生は『ななつのこ』で知られる加納朋子先生の旦那様でもあります。

ちなみに、ネタバレあらすじはまとめ易いように改変を加えているので、興味のある方は本作それ自体をご覧になるべし!!

<ネタバレあらすじ>

高杉と園部は詐欺師コンビ。
とはいえ、これまでの仕事はどれも小さな物に留まっている。

そんな2人の次のターゲットは健康食品会社を経営する金本。
それなりに手広く商売を行っている金本からならば大きな利益を得られると考えたのだ。

詐欺師といえどビジネスマナーは遵守すべし。
高杉は指定された時刻よりも些か早めに、馬糞の匂いが立ち込める金本宅を訪れた。
少し早目に到着したつもりだったが、金本宅の時計はちょうど予定時刻を示していた。
どうやら時計を進めているようだ、気を取り直した高杉は金本に「徳川埋蔵金を見つけたので発掘に投資して欲しい」と持ちかける。

当初、金本がこれに興味を示したことで成功を確信する高杉。
ところが、横から現れた絵画ディーラーを名乗る三上菜摘子に割り込まれたことで失敗してしまう。
高杉は這う這うの体でその場を逃げ出すことに。
代わりに菜摘子はリトグラフを金本に売りつけていた。

数日後、高杉は新たなターゲットとして資産家の渋井家に目を付けた。
ところが、其処にも菜摘子が出入りしているではないか!!

どうしても我慢が出来なかった高杉は菜摘子を掴まえ追及することに。
実は菜摘子もまた詐欺師だったのである。
金本は彼女の正体を見抜き、邪魔されたことに気付いたのだ。
菜摘子が金本に販売したリトグラフは単なるカラーコピーだったのである。

正体が露見した菜摘子だが全く悪びれないどころか、寧ろ捕まらないように窮地を救ってやったのだと嘯く。
その豪胆さに惹かれた高杉は「渋井家へ仕掛けようとしている計画」を打ち明ける。

渋井家には両親と1人息子、さらに飼い犬が居る。
このうち、飼い犬を誘拐し身代金をせしめようと企んでいたのである。

高杉が想定している身代金は1500万円。
これを聞いた菜摘子は高杉の計画に加わることを約束する。
何しろ、菜摘子にとって状況が悪くなれば逃げれば良いだけなのだから。

早速、決行を視野に入れて動き出した高杉たち。
ところが、此処で想定外の出来事が。

渋井家の1人息子・巧と接触してしまった上に、彼から狂言誘拐を持ちかけられたのだ。
巧は「液晶テレビが欲しいのだが買って貰えないので資金を捻出したい」と動機を語り、高杉を閉口させる。
また、巧は幼さに似合わぬ鋭敏さを見せる。
どうやら、かなり賢い子どものようだ。
そんな巧、唯一のコンプレックスは馬糞アレルギーであることだそうだ。

とはいえ、高杉にもプライドがある。
いや正直、其処まで事態を大事にはしたくなかった。
丁重にお断りすることとなった高杉だったが……。

直後、謎の犯人により本当に巧が誘拐されてしまった。
巧誘拐犯は高杉たちを脅迫し身代金6000万円を渋井家から引き出すように命じる。
巧の安否を確認する高杉に、電話口の巧はくしゃみを繰り返すのみ。
巧を人質に取られた高杉たちは実行犯が別に居ることを伏せた上で渋井夫妻から6000万円を手に入れることに。

この間、散々真犯人に振り回される高杉たち。
犯人は何故か事あるごとに高杉たちの行動に対して「遅い」と非難し続ける。
特に時間に遅れてなどはいないにも関わらず。

高杉は気付いた。
高杉たちの時間が遅れているのではない。
誘拐犯の時計が進んでいるのだ。

また、巧のくしゃみにも意味があった。
巧は馬糞アレルギー、つまり馬糞の匂いが立ち込める場所に居ることを教えていたのだ。

其処から導き出される結論は1つ。
誘拐犯は金本だ!!

こうして、金本のもとへ乗り込んだ高杉。
この推測は的中し、巧を取り戻すことが出来た。

後難を怖れた高杉は金本にも身代金の分け前として1千万円を与える。
さらに、高杉は菜摘子らとも身代金を少しずつ頂くと残りを巧と共に返却することに。

此処で高杉は気付いた。
巧が狂言誘拐を持ち出したのは液晶テレビが理由では無かったことに。
巧によれば保健所で殺害される犬や猫を減らすべく活動しているボランティアに寄付するつもりだったのだそうだ。

こうして事件は解決。
その数日後、巧の言葉が気にかかった高杉は件のボランティアを訪れてみた。
すると、一匹の小型犬と出会う。
以来、高杉の生活は変わった。
それまでに比較して健康的な生活になったのだ。

そんな高杉のもとへ巧からお礼の品が届く。
どんな高級品か胸を躍らせる高杉であったが、中身はドッグフードであった。
巧には全てお見通しだったのだ―――エンド。

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