2016年01月30日

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第103話「混信」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2016年2月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第103話「混信」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2016年2月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
森羅:主人公。C.M.B.の指輪の主。多大な影響力を持つ。
七瀬立樹:森羅のパートナー。身体を動かすことが得意。

ヨシヒロ:少年
タカオ:ヨシヒロが無線で出会った顔も知らない相手
アニキ:タカオの兄貴分

<103話あらすじ>

ヨシヒロ少年は不満を抱えていた。
周囲の友達は携帯電話を持っているのに、自分だけ携帯電話を持っていないのだ。

一念発起したヨシヒロ少年はクリスマスを利用してサンタさんに携帯電話をお願いすることに。
ところが、届いた品は携帯電話ではなくトランシーバーであった。

些かガッカリしつつも公園にて弟とトランシーバーで交信していたヨシヒロ。
すると、ノイズと共に聞いたことのない声が混ざって来た。
どうやら混信したようだ。

その内容はタカオとアニキの会話だ。
会話の端々には「クスリ」との言葉も含まれており、どうにも不穏当な空気が漂っている。

やがてアニキが消え、タカオが残った。
ヨシヒロは思い切ってタカオに話しかけてみることに。
するとタカオは最初こそ驚いていたが打ち解けた様子を見せる。

それから数日が過ぎた。
ヨシヒロはトランシーバー越しにタカオと会話するのが楽しみになっていた。
いつしか、その話題はサッカーチーム「ストロベリーズ」の勝敗など多岐に及ぶようになっていた。

すっかり心を許したヨシヒロ。
だが、タカオは友達面して近付く悪い人間も居るから気を付けろと諭す。
どうやら、タカオ自身がそうした悪い仲間に引っかかっているようだ。

そんなある日のこと、ヨシヒロは今日もタカオと会話していた。
ところが、タカオが現場をアニキに抑えられてしまった。
トランシーバー越しのアニキはタカオに対し激怒し何やら暴力を奮い始める。
タカオの悲鳴が聞こえたかと思うと、長い沈黙が訪れた。

恐怖に駆られたヨシヒロ。
そんなヨシヒロにアニキが名前を問いかける。

身の危険を察知したヨシヒロは救いを求めようと周囲を見回し、近くに居た男女に助けを求めた。
その相手こそ森羅と立樹であった。

ヨシヒロから事情を聞いた森羅はタカオとアニキが薬物の取引を行っていたと推測。
その連絡を取り合う為に無線を使用しており、これがヨシヒロのトランシーバーと混信したと考える。
だとすれば、タカオはかなり危険な状況にあると思われた。

急ぐ森羅はトランシーバーの受信範囲からタカオとアニキの居場所と思われるビルを突き止めた。
早速、警部を伴いビルへ突入した森羅。
すると、エレベーターの天井の上に隠れていた不審なグループを摘発することに成功する。
やはり、タカオとアニキはグループのメンバーだったのだ。
ところが、肝心のタカオが見つからない。

数分後、駐車場に停められていた車のトランクから重傷を負った男性が発見され病院へ搬送された。
男は自身をタカオだと名乗っていると言う。
これに疑問を抱いた森羅は、それとなく見舞うと「ストロベリーズ」について話題に出してみた。
しかし、男は何のことやら分からない様子。

それを確認した森羅は男こそがタカオではなくアニキであると断定する。
アニキはタカオの振りをしてやり過ごそうとしたのだ。

こうしてアニキは逮捕された。
本物のタカオは後に遺体で発見されることに。

さらに数日後、トランシーバーを手に遊びに出かけたヨシヒロ。
それとなくタカオに呼びかけてみるが返事は無いのであった―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン」2016年2月号掲載「103話 混信」です。

サブタイ「混信」は日向を歩くヨシヒロと日陰を歩くタカオの人生が交錯したことを示すものか。

ヨシヒロにとって辛い結末となりました。
彼はタカオがアニキに殺害されてしまったことを知らされていないのでしょう。
だから、姿も知らぬタカオからの返事を待っている。

一方、タカオは友達面したアニキたちに騙されなし崩しで協力を余儀なくされていたのでしょう。
そんな生活に嫌気がさしていたところをヨシヒロと出会った。
純粋に日向を生きるヨシヒロにタカオは憧れ、彼と友達となりたいと願ったのかもしれません。
それはアニキたちから抜け出したいとのタカオの悲痛な叫びでもありました。

ですが、彼には救いの手が間に合わなかった。
結果、儚く命を落とすことに……切ない結末です。
ただ、森羅と立樹が居たことでヨシヒロが救われたのが救いと言えるでしょうか。

かなり重々しいテーマでありながら、軽やかにかつ過不足なく描き切った今回はかなりの良エピソードだと思います。
100話を超えるシリーズ中でもベスト10に入ると思うほど。
もちろん、次回にも期待!!

ちなみに、あらすじでは良さを伝え切れてません。
本作自体を読むべし!!

◆関連過去記事
【「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」シリーズ】
「C.M.B. 森羅博物館の事件目録(「月刊少年マガジン」2012年6月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録(「月刊少年マガジン」2012年7月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録(「月刊少年マガジン」2012年8月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録(「月刊少年マガジン」2012年9月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 67話 ガラスの楽園・前篇(「月刊少年マガジン」2012年10月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 68話 ガラスの楽園・後編(「月刊少年マガジン」2012年11月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 69話「螺旋の骨董品店」(「月刊少年マガジン」2012年12月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 70話「4枚目の鏝絵」(「月刊少年マガジン」2013年1月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 71話「足摺厚焼き卵店」(「月刊少年マガジン」2013年2月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 72話「Nobody」(「月刊少年マガジン」2013年3月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 73話「グラウンド」(「月刊少年マガジン」2013年4月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 74話「二笑亭」(「月刊少年マガジン」2013年5月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第75話「ダイヤ泥棒」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年6月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第76話「レース」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年8月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第77話「掘り出し物」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年9月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第78話「バッグ ストーリー」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第79話「その朝、8時13分」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2013年7号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第80話「香木」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年12月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第81話「ゴンドラ」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年1月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第82話「ライオンランド(前篇)」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年2月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第83話「ライオンランド(後篇)」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年3月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第84話「兆し sign」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年4月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第85話「アステカのナイフ」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年5月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第86話「爆破予告」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年7月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第87話「幸運」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年8月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第88話「キジムナー」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年9月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第89話「空き家」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第90話「プラクルアン」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年11月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第91話「ホリデー(前編)」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年12月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第92話「ホリデー(後編)」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年1月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第91話「被害者、加害者、目撃者」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年2月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第92話「椿屋敷」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年3月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第93話「自白」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年4月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第94話「ドリームキャッチャー」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年5月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第95話「宗谷君の失踪」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年6月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第96話「JOKER」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年7月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第97話「ピーター氏の遺産」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年8月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第98話「地獄の穴」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年9月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第99話「ゴーストカー」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第100話「動き回る死体」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年11月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第101話「第27回探偵推理会議」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2015年12月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第102話「灯火」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2016年1月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B.番外編 M.A.U. “ブラック・マーケットの魔女”の事件目録 箪笥の中の幽霊」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2013年6号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【「Q.E.D.証明終了」シリーズ】
「Q.E.D.証明終了(「月刊少年マガジン+(プラス)」2012年3号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス)」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了(「月刊少年マガジン+(プラス)」2012年4号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス)」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 金星(「月刊少年マガジン+(プラス)」2013年5号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス)」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 初恋」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年7月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 失恋」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2013年6号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 巡礼」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン 2013年10月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 陽はまだ高い」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2013年7号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 代理人」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス) 2014年8号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 iff」1話(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジンR 2015年1号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了iff」2話「素っ裸の王様」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジンR 2015年2号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了iff」4話「三人の刺客」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジンR 2015年4号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了iff」5話「自転車泥棒」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジンR 2015年5号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

キンドル版「[まとめ買い] Q.E.D.iff ―証明終了―」です!!
[まとめ買い] Q.E.D.iff ―証明終了―



キンドル版「[まとめ買い] Q.E.D.―証明終了― (1-25)」です!!
[まとめ買い] Q.E.D.―証明終了― (1-25)





キンドル版「[まとめ買い] Q.E.D.―証明終了― (26-50)」です!!
[まとめ買い] Q.E.D.―証明終了― (26-50)





キンドル版「[まとめ買い] C.M.B.森羅博物館の事件目録 (1-25)」です!!
[まとめ買い] C.M.B.森羅博物館の事件目録 (1-25)





キンドル版「[まとめ買い] C.M.B.森羅博物館の事件目録 (26-28)」です!!
[まとめ買い] C.M.B.森羅博物館の事件目録 (26-28)





「NHK TVドラマ「Q.E.D.証明終了」BOX [DVD]」です!!
NHK TVドラマ「Q.E.D.証明終了」BOX [DVD]





posted by 俺 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月29日

『挑戦者たち 4』(法月綸太郎著、新潮社刊『小説新潮 2016年2月号』掲載)

『挑戦者たち 4』(法月綸太郎著、新潮社刊『小説新潮 2016年2月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

――襲い来る「読者への挑戦」。恐れるな、必要な情報は示されている
(新潮社公式HPより)


<感想>

「読者への挑戦」により成立している短編、その第4弾です。

『挑戦者たち』(法月綸太郎著、新潮社刊『小説新潮 2014年5月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

『挑戦者たち 2』(法月綸太郎著、新潮社刊『小説新潮 2015年1月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

『挑戦者たち 3』(法月綸太郎著、新潮社刊『小説新潮 2015年9月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

「読者への挑戦」とは「手掛かりは既に示されている。読者諸氏に置かれては犯人を的中されんことを!!」のアレのことですね。
これを、レイモン・クノー(レーモン・クノー)の『文体練習』に基づいて、複数の「読者への挑戦」単体で短編として成立させたのが本作。
流石は『ノックス・マシン』の著者と言うべき仕上がりになっています。

その「読者への挑戦」がバラエティに富んでいて凄い。
まさにありとあらゆる「読者への挑戦」が存在することに。

その第4弾。
今回の管理人のお気に入りは次の3つ。

まずは「十戒」風「読者への挑戦」。
内容は『そして誰もいなくなった』だったり。

続いては「ゲームブック」風「読者への挑戦」。
その名の通り「ゲームブックテイストな読者への挑戦」になっています。

さらに「モニター募集」風「読者への挑戦」。
これまた「モニター募集広告」を模したものに。

他にも東洋風などとにかくパロがスゴイ!!
これが単行本化されたときのことを思うと……胸が高鳴るな。

そう、本作は単行本化が予定されています。注目です。

ちなみに、これの犯人は「作者」であり「読者」になるのでしょうか。
読むべし!!

◆関連過去記事
『キングを探せ』(法月綸太郎著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『三人の女神の問題』(法月綸太郎著、光文社刊『犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『一の悲劇』(法月綸太郎著、祥伝社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『赤い部屋異聞』(法月綸太郎著、角川書店刊『小説野性時代 2015年9月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

『挑戦者たち』(法月綸太郎著、新潮社刊『小説新潮 2014年5月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

『挑戦者たち 2』(法月綸太郎著、新潮社刊『小説新潮 2015年1月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

『挑戦者たち 3』(法月綸太郎著、新潮社刊『小説新潮 2015年9月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

『挑戦者たち 4』が掲載された「小説新潮 2016年 02 月号 [雑誌]」です!!
小説新潮 2016年 02 月号 [雑誌]



『挑戦者たち 3』が掲載された「小説新潮 2015年 09 月号 [雑誌]」です!!
小説新潮 2015年 09 月号 [雑誌]





『挑戦者たち 2』が掲載された「小説新潮 2015年 01月号 [雑誌]」です!!
小説新潮 2015年 01月号 [雑誌]





「挑戦者たち」が掲載された「小説新潮 2014年 05月号 [雑誌]」です!!
小説新潮 2014年 05月号 [雑誌]





『赤い部屋異聞』が掲載された「小説 野性時代 第142号 (新野性時代)」です!!
小説 野性時代 第142号 (新野性時代)





『ノックス・マシン』です!!
ノックス・マシン





『都市伝説パズル』が収録された「法月綸太郎の功績 (講談社文庫)」です!!
法月綸太郎の功績 (講談社文庫)





コミック版もあります。
「都市伝説パズル―法月綸太郎の事件簿 (SUSPERIA MYSTERY COMICS)」です!!
都市伝説パズル―法月綸太郎の事件簿 (SUSPERIA MYSTERY COMICS)



posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「スペシャリスト」3話(1月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「スペシャリスト」3話(1月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

主人公・宅間善人(草ナギ剛)は、冤罪で10年服役した経歴を持つ刑事。服役中に記憶したあらゆる犯罪データを駆使して鮮やかに事件を解く!宅間の同僚刑事・我妻真里亜(夏菜)は、かつて自分の家庭教師をしていた女(鶴田真由)によって、密室に閉じ込められる。目の前に置かれた2つのケース。女が言うには、一方を開ければ助かり、もう一方を開ければ爆発すると…。タイムリミットが迫る中、究極の心理戦が繰り広げられる!
(公式HPより)


では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……

新設された「総合事犯対応係(仮称)」。
メンバーには10年と10ヶ月に渡り冤罪で服役し犯罪に精通した宅間。
未だ対応係に慣れない様子の我妻。
個性的なメンバーのまとめ役・姉小路。
システムに強い松原。
元SPでイケメンの堀川。
そして、このメンバーを集めた滝道が居る。

ところが2016年1月28日のこと、不意に我妻が姿を消してしまった。
その直前の様子を目にしていた宅間は我妻がどうして姿を消したのかを推理することに。

まず、我妻は何かの資料を手に動画サイトを確認していた。
資料と動画サイトを見比べた後に、何やら真剣な表情で出かけたのだ。

此処から宅間は我妻が手にしていた資料を用意。
それは我妻の父・公昭が10年前の1月29日に事故死を遂げた事件の資料であった。
ところが、不思議なことに事故であるにも関わらず事件として資料が保存されていたのだ。

さらに、我妻が注目していた動画を発見。
それはとある予備校での騒動が撮影された物。
映像自体は悪ふざけの域を出ない代物であったが、その映像に資料と共通する女性が映り込んでいることが確認出来た。

どうやら、我妻はこの女性に会いに行ったらしい。

と、我妻のPC宛てに謎のリアルタイム動画が配信されて来た。
内容を確認した宅間たちは驚愕する。

其処には何処かの倉庫に監禁された我妻の姿が。
我妻の目の前には先程の女性が立っている。
女性は自らを丹羽奈津美と名乗ると、我妻の前に白と黒2つのアタッシュケースを提示する。
奈津美によれば、1つには爆弾、もう1つには爆弾を解除するリモコンが収められているらしい。
爆弾を選べば爆死してしまう、リモコンを選べば生きてこの場を出られるとの寸法のようだ。
タイムリミットは0時までと繰り返す奈津美。

さらに、奈津美は公昭の死が事故死ではなく彼女による殺人だったと告白。
その経緯を語り出した。
なんでも公昭は公安調査庁の職員で奈津美を協力者としてある組織に潜入させていたらしい。
奈津美は組織から爆弾開発の依頼を受け当初はこれを拒否していたが、公昭に「愛している、助けてくれないか」と告白され引き受けてしまったのだそうだ。
ところが、公昭は奈津美が再度止めたいと切り出すや態度を豹変させ恫喝して来たのだと言う。
これに失望した奈津美が先の我妻と同じようにアタッシュケースを用いた罠で爆殺したようだ。

我妻にはこれに覚えがあった。
公昭は死の直前、我妻に対し「お前と母さんのこと愛してるぞ、これでいいのか」と電話を入れていたのだ。
その音声は今も我妻の携帯にデータとして残されている。
我妻にとって公昭の死の謎を解き明かす唯一の手掛かりとなっていた。
まさか、それがこんなことだったとは……ガックリと肩を落とす我妻。

一方、動画を通じて我妻の状況を察した宅間たちは救出に動く。
まず、奈津美が10年前から予備校事務員として目立たぬように暮らしていたこと。
さらに、奈津美宅から「女か虎か」の書籍を発見。

「女か虎か」はF・R・ストックトンの有名な「リドル・ストーリー」。
内容は次の通りである。

ある若者が自国の王女と恋に落ちた。
ところが、これを知った王様が激怒し若者にある難題を与えた。
「2つの扉から1つを選べ」とのものだ。
1つには美女が、もう1つには虎が入っている。
どちらにどちらが入っているかは分からない。
美女を選べば美女と結婚し助命されるが、虎を選べば食い殺されてしまう。
確率は2分の1だ。

これを見かねた者が居た、王女である。
王女としては若者に助かって欲しい。
だが、若者が助かるということは美女と結婚することに他ならない。
悩んだ王女はある扉を開けるように若者に告げた。

さて、困ったのは若者である。
王女の言葉を素直に受け止めて良いものだろうか。
もしかすると、王女は若者を取られるくらいなら……と考えても不自然ではない。
王女を信じるべきか、それとも……若者は決意するとある扉を開けた。
果たして其処には……とのストーリーだ。

結論は読者に委ねられている。
だからこそ「謎の物語」すなわち「リドル・ストーリー」なのだ。

宅間は今回のアタッシュケースがこれと同じだと指摘する。
一方で微かな違和感を覚えることに。
集中した宅間は奈津美の真意を悟った。

10年前の公昭死亡現場を訪れた宅間は其処に奈津美を発見し身柄を確保することに。
取調室へと運ばれる奈津美だが、未だに余裕の表情は崩れない。

そして、1月29日の午前0時がやって来た。
ところが、動画の中では何も起こらない。
これを確信していた宅間は「時効成立おめでとう」と奈津美に声をかける。

宅間は我妻が監禁されてはいなかったと指摘する。
爆弾ももちろん嘘だ。
そして、公昭とのエピソードも嘘だったと。

妻子を愛する公昭は最後まで奈津美と男女の一線を乗り越えなかった。
だが、奈津美が手を引いてしまった為に焦った公昭が製作を引き継ごうとして誤って爆死したのだ。
此の場合、殺人ではなく過失致死だ。

殺人に時効は無いが、過失致死ならば時効は10年。
奈津美は10年が過ぎるまで予備校に姿を隠そうとした。
しかし、例の動画が流れた為に身を隠すことが難しくなった。
其処で時間を稼ぐべく我妻誘拐と監禁の芝居を目論んだのだ。
あくまでちょっと手の込んだドッキリに過ぎず、罪に問われることはない。
現に宅間たちに動画を配信したのもそれを証明する為だ。

目的を果たし取調室から立ち去ろうとした奈津美。
ところが、その前に我妻が現れる。

奈津美の目的を察した宅間により、我妻は既に解放されていた。
我妻は彼女の携帯に残されている公昭の音声データを宅間に手渡す。
当時こそ分からなかったが、10年の時が技術を進めたことである事実を掴んだのだ。

「お前と母さんのこと愛してるぞ、これでいいのか」
「違うわそっちじゃない、信管なら黒い方よ」
公昭の声の後に、ノイズ交じりに奈津美の声が入っていたのだ。
そう、奈津美はわざと公昭に偽の情報を教え爆死を誘ったのだ。
これは立派な殺人である。

こうして、公昭殺害の罪で奈津美は逮捕されることになった。

その日の夜、我妻は姉小路に公昭の死について語り出す。
我妻によれば、公昭の死亡時に伯父である白川警察庁長官が「公昭君は我々のことを調べていなかったか」と尋ねて来ていたらしい。

その頃、宅間は手に入れたリストの中に公昭の写真を見出していた。
それが意味するところとは―――4話へ続く。

<感想>

「スペシャリスト」の連続ドラマ版、その第3話です。

時は皆に平等に流れます。
宅間が10年の時を檻の中で過ごしていた頃、我妻もまた父・公昭の喪失感を胸に10年を過ごしていたワケです。
そして、奈津美はその10年に「罪からの逃亡」を期待していたことになります。
しかし、皮肉にも同じ10年が奈津美の罪を暴く技術を発展させる時間になりました。
さらに、宅間が生み出されたのもその10年。
今回、奈津美は10年に期待し、10年に裏切られたとも言えそうです。

奈津美と言えば、10年前の公昭の死に関する真相が二転三転していったのも特徴。
公昭はアタッシュケースを開け爆死した。
公昭は爆弾製作を奈津美から引き継ぎ爆死した。
公昭は奈津美に謀られ爆死した。
此の点、多重解決ものとしても秀逸でした。

一方、そんな奈津美が用いた「女か虎か」。
これは「リドル・ストーリー」で有名なストックトンの物語。
主人公が「女(生存)」か「虎(死亡)」の二者択一を迫られることになる作品です。
詳しくはあらすじ中に盛り込んでいますので興味のある方はチェックを。

可能性を純粋に物語として楽しむことも出来る、それが「リドル・ストーリー」。
「リドル・ストーリー」に興味がある方は山口雅也先生による『謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル)』(早川書房刊)がオススメです。
中でも『異版 女か虎か』が面白いので読んでみてください。

『異版 女か虎か』(アブラハム・ネイサン著、山口雅也訳、早川書房刊『謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル)』収録)ネタバレ書評(レビュー)

◆関連過去記事
土曜ワイド劇場 サスペンス特別企画(ドラマスペシャル)「スペシャリスト〜無実の罪で10年服役した刑事と殉職警官の妻…異色タッグが京都を揺るがす4つの殺人連鎖に挑む!」(5月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場 サスペンス特別企画(ドラマスペシャル)「スペシャリスト2〜全ての犯罪を知る刑事VS完全犯罪を操る男!京都の街に現れた謎の暗号…女性議員を狙う殺人計画の罠」(3月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場 サスペンス特別企画(ドラマスペシャル)「スペシャリスト3 無実の罪で10年服役した刑事!7体のフィギュアが結ぶ連続殺人 冤罪の謎が解ける衝撃の結末とは!?」(2月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場 サスペンス特別企画(ドラマスペシャル)「スペシャリスト4」(12月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「スペシャリスト」1話(1月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「スペシャリスト」2話(1月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「ドラマスペシャル 「スペシャリスト2&3」 ダブルパック Blu-ray」です!!
ドラマスペシャル 「スペシャリスト2&3」 ダブルパック <Blu-ray>





「ドラマスペシャル 「スペシャリスト2&3」 ダブルパック DVD」です!!
ドラマスペシャル 「スペシャリスト2&3」 ダブルパック <DVD>





「ドラマスペシャル スペシャリスト DVD」です!!
ドラマスペシャル「スペシャリスト」DVD





「ドラマスペシャル スペシャリスト[Blu-ray]」です!!
ドラマスペシャル「スペシャリスト」[Blu-ray]





「スペシャリスト [Blu-ray]」です!!
スペシャリスト [Blu-ray]





「スペシャリスト [DVD]」です!!
スペシャリスト [DVD]



posted by 俺 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。