2016年01月23日

【エピソード最終話】「人形島殺人事件」最終話、第13話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【エピソード最終話】「人形島殺人事件」最終話、第13話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

「金田一少年の事件簿R」第8弾は「人形島殺人事件」!!
「火吐潟島」を舞台に発生する新たなる殺人事件に金田一少年が挑む!!


【「人形島殺人事件」登場人物一覧】
金田一:主人公。最終エピソードまで犯人にも被害者にもならないでしょう。
美雪:言わずと知れた金田一少年のベストパートナー。最終エピソードまで犯人にも被害者にも(以下略)。

朱鷺田忍:不動高校の日本史教師。
漢田切裏子:3人組の覆面作家「ペルソナドール」の1人。道化師姿。
紅小路巴:3人組の覆面作家「ペルソナドール」の1人。日本人形姿。
鈴丘魔矢子:3人組の覆面作家「ペルソナドール」の1人。アンティークドール姿。
星坂花梨:ミステリー雑誌の編集者。
雨野影近:金田一が出会った青年。
詩村瞳:金田一が出会った少女。
赤神双一郎:眼帯姿の男性。
田中豪:ポニーテールが印象的な男性。

林堂みずほ:「人形荘」の女将。
林堂まこと:幼馴染のまことちゃん、実は男性であった。
林堂まゆみ:まことの妹、故人。
蟻塚至:「人形荘」の番頭。
首代胴玄:村長人形のモデル。

時田朋江:5年前に消息を絶ったベストセラー作家。
弓月清吾:まゆみを轢き殺し、田中の母を殺害した犯人。
弓月時雨:清吾の妻。
弓月楓:清吾と時雨の娘。

いつき陽介:ご存知、ルポライター。
剣持警部:金田一のもう1人のベストパートナー。

<あらすじ>

朋江殺害を認めた花梨は動機を語り出した。
「姉は私の中で生きている」と叫ぶ花梨、その意味は生体臓器移植を受けていることにあった。

実は花梨と時雨は血の繋がらない姉妹であった。
互いの父母が再婚した際の連れ子だったのだ。
にも関わらず、時雨は花梨を実の妹のように可愛がった。

ところが、ある日のことである。
花梨は臓器移植が必要な身体となってしまった。
これに適合し、臓器提供を行ったのが時雨である。

当時、時雨は清吾と結婚し既に楓を出産していた。
だが、清吾が事故を起こしたことでその賠償金に追われていたのだ。
当然、時雨もパートで働き必死に清吾を支えていた。
それでも、時雨は無理を押して生体臓器移植を行った。

深く感謝した花梨であったが、事態は急変する。
なんと、賠償金に窮した清吾が強盗殺害事件を起こし自殺してしまったのである。
加害者遺族となった時雨と楓には好奇の視線が注がれるようになった。
さらに時田朋江が事件をモチーフとした小説を発表。
其処では妻の時雨と思しき人物が清吾らしき男を罪に追いやったとされていた。
これが追い打ちとなり、時雨と楓への風当たりはさらに強まることに。
時雨たちの窮状を知った花梨は姉の暮らすアパートへ足を運ぶが、取り囲む取材陣に恐れを為して逃げ出してしまう。
時雨と楓が心中してしまったのはその翌日のことであった。
あの日、逃げ出しさえしなければ……と考えた花梨は復讐を図ったのだった。

こうして逮捕された花梨。
その後、金田一は思い切って収監中の花梨を訪ねた。
金田一は時雨たちの死に責任を感じた朋江が「ペルソナドール」での利益を加害者家族をサポートする団体に寄付していたことを明かす。
さらに、朋江が「ペルソナドール」の死を演出しようとしたのは真実を告白するつもりであったことも明らかに。
これを聞いた花梨は泣き崩れる。
そんな花梨に金田一は「もう自分を責めないで」と励ますのであった。

その帰路、同行していたいつきが複雑な表情を浮かべる。
どうやら、花梨が臓器移植を行っていたことでいつきにとっても他人事とは思えなかったらしい(詳しくは「金田一少年の殺人」参照)。
そんないつきの傍らでは美雪がまこととメールの遣り取りを……。
これを見咎めた金田一は美雪を追い回す。
今日も今日とて金田一と美雪の関係性は変わらないのであった―――「人形島殺人事件」エンド。

<感想&推理>

「金田一少年の事件簿」が「金田一少年の事件簿R」として帰って来ました。
その第8弾は「人形島殺人事件」です!!

今回はその最終話、第13話でした。
同時に解決編の第4話です。

姉・時雨に救って貰いながらも肝心なときに彼女を救えなかったことを後悔していた花梨。
花梨は自責の念に苦しんでいたのでしょう。
その矛先が時田朋江へと向かったのか。

とはいえ、その朋江もまた花梨のように自身の行いを後悔していた。
そして、2度と同じようなことが起こらないように加害者家族のサポート団体を密かに支援していた。

こう考えると花梨の罪はかなり重いですね……。
確かに朋江と比べれば時雨との間柄が親族と他人の差があり、それ故に冷静さを欠いていたと言ったこともあったのでしょうが、率先して行動を起こし同じ過ちを犯さないように動いていた朋江に対し花梨のやったことは同じ立場の人間を追い込んでしまったことに他ならない。
何しろ、大きな力となっていたに違いない支援の手を私怨で絶ってしまったのですから。
花梨の手により第2、第3の花梨を生み出したのかもしれないと考えると……かなり切ない。

もちろん、朋江の罪が軽いとは言い切れないかもしれない。
とはいえ、朋江の作品はあくまで「ノンフィクションテイストのフィクション(創作物)」だったワケで「不謹慎の誹り」は免れえないでしょうが殺されるほどだったかと言うと首を傾げます。
言わば、現実に起こった事件と似た設定のドラマと同じ。
それはどんなにリアリティーがあってもドラマであり現実とは異なる筈なのです。
朋江の著作を目にした読者もそれは理解している筈。
此の点、どちらかと言えばこれに乗じて直接的に時雨たちを追い詰めた人々こそ復讐の対象になりかねないと思うのですが……どうして出版社に就職した花梨がこれを見逃したのかが難しいですね。
朋江憎しの想いが強過ぎて、それだけ冷静さを欠いていたと言えるのかもしれません。
いずれにしても、とても切ないラストでした。

そして、気になる「カフェふくろうのマスターが高遠と連動している説」は今回も適用されましたね。
ちなみに「カフェふくろうのマスターが高遠と連動している説」とは次の通り。

高遠とカフェふくろうのマスターに何らかの関係があるのではないかとの謎。
新シリーズ「金田一少年の事件簿R」になって以来、カフェふくろうのマスターが登場するエピソードには高遠も必ず登場している(「亡霊校舎の殺人」「蟻地獄壕殺人事件」)。
例として挙げるには2作と些か心許なくはあるが、これは新シリーズになってからの高遠の登場自体が上記2作に限られている為。
つまり、今のところ100%となっている。
どうも、この登場には何か意味があるのではなかろうか。
マスター自身が高遠の変装なのか……それとも高遠のルーツ(父親)がマスターに関わって来るのか。
今後もこの法則が守られるのかどうかに注目したい。

ちなみに次回は「明智警視」が活躍する短編とのこと、注目!!

さて、既にご存知のことと思われますが2015年10月よりアニメ「金田一少年の事件簿R」が日本テレビ系にて放送中。
次回(2016年1月23日)からは「雪鬼伝説殺人事件」が放送予定とのこと注目すべし!!

・「金田一少年の事件簿R」より「雪鬼伝説殺人事件」のまとめはこちら。
「雪鬼伝説殺人事件」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

【2015年10月】アニメ「金田一少年の事件簿R」が「RETURNS」の名の通り帰還を果たす!!さらに「魍邪ノ館殺人事件」とは!?

そう言えば『小説 野性時代』(角川書店刊)でも樹林伸先生『ドクター・ホワイト』が2014年11月号から連載開始されています。
こちらも注目すべし!!

綾辻行人先生「Another」シリーズ続編『Another 2001』が『小説野性時代132号(11月号)』にて連載開始!?

また、樹林伸先生による連続ドラマ「石川五右衛門」がテレビ東京系にて放送予定。
こちらも注目です!!

「金田一少年の事件簿」原作者・樹林伸先生による連続ドラマ「石川五右衛門」がテレビ東京系にて放送予定!!主演は市川海老蔵さん!!

◆「人形島殺人事件」関連過去記事
【新章開幕】「人形島殺人事件」第1話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【舞台整う!!】「人形島殺人事件」第2話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【第一の殺人発生】「人形島殺人事件」第3話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【黒い影に秘密が!?】「人形島殺人事件」第4話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【第二の事件発生!?】「人形島殺人事件」第5話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【トリック解明宣言!?】「人形島殺人事件」第6話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【続・トリック解明宣言!?】「人形島殺人事件」第7話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【続々・トリック解明宣言!?】「人形島殺人事件」第8話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【問題編最終話】「人形島殺人事件」第9話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【解答編1話】「人形島殺人事件」第10話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【解答編2話】「人形島殺人事件」第11話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【解答編3話】「人形島殺人事件」第12話(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

◆シリーズ関連過去記事
・「金田一少年の事件簿R」より「なぜ暖炉は燃えていたか?」のまとめはこちら。
「なぜ暖炉は燃えていたか?」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ

・「金田一少年の事件簿R」より「吸血桜殺人事件」のまとめはこちら。
「吸血桜殺人事件」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ

・「金田一少年の事件簿R」より「蟻地獄壕殺人事件」のまとめはこちら。
「蟻地獄壕殺人事件」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿R」より「学生明智健吾の事件簿」のまとめはこちら。
「学生明智健吾の事件簿」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿R」より「狐火流し殺人事件」のまとめはこちら。
「狐火流し殺人事件」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿R」より「亡霊校舎の殺人」のまとめはこちら。
「亡霊校舎の殺人」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)まとめ

・「金田一少年の事件簿R」より「雪鬼伝説殺人事件」のまとめはこちら。
「雪鬼伝説殺人事件」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「薔薇十字館殺人事件」のまとめはこちら。
「薔薇十字館殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「香港九龍財宝殺人事件」のまとめはこちら。
「香港九龍財宝殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「暗黒城殺人事件」のまとめはこちら。
「暗黒城殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「人喰い研究所殺人事件」のまとめはこちら。
「人喰い研究所殺人事件」(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)まとめ

・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」のまとめはこちら。
「ゲームの館殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・「金田一少年の事件簿」より「錬金術殺人事件」のまとめはこちら。
「錬金術殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・同じく「高度1万メートルの殺人」のまとめはこちら。
「高度1万メートルの殺人」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・さとう先生による読み切り「トキメキトキナ消失宣言」のネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「別冊少年マガジン」(講談社)より「トキメキトキナ消失宣言」ネタバレ批評(レビュー)

【ドラマ版】
ドラマ版「金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件・アジア北米同日放送〜美雪誘拐!破滅の街の悲劇…死体出現密室トリックの謎はすべて解けた!」(1月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件 マレーシアのジャングルで合宿中の生徒達が次々と消えた…太陽と月が交わる時暴かれる驚愕のトリック!謎はすべて解けた!」(1月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「金田一少年の事件簿N」(日本テレビ系、2014年)まとめ

「金田一少年の事件簿R(8): 週刊少年マガジン」です!!
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◆金田一少年の事件簿シリーズコミックはこちら。


◆金田一少年の事件簿シリーズ映像作品はこちら。


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『十五秒』(榊林銘著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.74 DECEMBER 2015』掲載)

『十五秒』(榊林銘著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.74 DECEMBER 2015』掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

思いがけず与えられた人生最期の「十五秒」の使い道とは!? 第12回ミステリーズ!新人賞佳作
(東京創元社公式HPより)


<感想>

本作は「第12回ミステリーズ!新人賞」佳作です。
第12回は応募総数503編、本作の他に受賞作として伊吹亜門先生『監獄舎の殺人』も栄冠に輝いています。

『監獄舎の殺人』(伊吹亜門著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.73 OCTOBER 2015』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

「第12回ミステリーズ!新人賞」受賞作発表!!栄冠は伊吹亜門先生『監獄舎の殺人』に!!

そんな本作は「佐奈に殺害された私が、与えられた15秒の間に如何にして反撃するか」または「真相を伝えようとするか」がメイン。
つまり「わずか15秒の刹那の攻防を描く作品」で緊迫感に溢れる一作となっています。

そしてポイントは「時は誰にも平等である」こと。
もちろん「15秒」についても。

「私」と「佐奈」の一人称で描かれている為に「私」に感情移入しているとこの事実に気付きにくく、気付かされたときのサプライズは効果抜群!!

この時系列については次の通り。
本作には存在していなかった【私@】や【佐奈@】のナンバリングをあらすじ内で便宜上振ったのはこの仕掛けを説明する為だったりします。

まず、【私@】→【佐奈@】→【私A】→【私B】→【佐奈A】→【佐奈B】が時系列順。

【私@】【佐奈@】で私が狙撃を受け薬剤の瓶を投擲。
【私A】の間に佐奈が回り込む。
【私B】で私が佐奈の第2射を受ける。
【佐奈A】【佐奈B】は私の死亡後の出来事となっています。

つまり、同作中であっても「私」と「佐奈」に流れる時間が異なっているワケです。

また、私が中盤で報復の手を緩めることとなった「良心の呵責」が佐奈への最大の攻撃になった点も特筆すべきでしょう。

特殊状況下を描いた短編としてかなり面白かった。

ちなみにネタバレあらすじは大幅に改変しています。
興味のある方は本作それ自体を読むことをオススメします!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
私:佐奈に殺害された被害者
黒猫:死を具現化した存在
佐奈:私を殺した犯人
頼子:佐奈の母

【私@】

此処はとある地方の診療所、私は薬剤師として働いている。
いや、「いた」。
何故なら、つい先ほど私は何者かから銃撃を受け瀕死の重傷を負っているからだ。
もはや、「働いていた」と言って差し支えは無いだろう。

今、目の前には人語を解する黒猫が立っている。
彼(いや、彼女かもしれないが……)は自身を「死」と呼んでいた。
どうやら、死が具現化したものらしい。

黒猫によれば私にはあと「15秒08」ほど時間が残されているらしい。
私は黒猫に、この「15秒08」について任意で時間を進められるように頼み込んだ。
何やら考え込んでいた黒猫であったが、嫌らしい笑みを浮かべるとこれを許した。
こうして、私は「15秒08」を用いて「犯人を確認し、その人物を告発、あるいは復讐する」こととなった。

最初の数秒を用いて振り返った私は相手が佐奈であることに気付いた。
同時にその動機にも見当が付いた。
佐奈は彼女の母・頼子が私に殺されたと勘違いしているのだ。

佐奈と頼子は診療所の患者である。
頼子が長く病床に臥し、佐奈がこれを介護していた。
ところが、頼子が服毒自殺を遂げた。
佐奈はアレを目にして、私の犯行と誤解してしまったのだろう。

私は時を止めると佐奈の様子をじっくりと観察した。
手には猟銃が握られ、その足元にはゴム長靴が履かれている。
さて、どうすべきか……私は周囲を探ると「薬剤棚の瓶」、「花瓶に活けられた水仙」、「資料の置かれたテーブル」、「テーブルに並ぶマジックペン」に目を留めた。
これならなんとかなりそうだ。

私は再び時間を進めると「薬剤棚の瓶」を佐奈の足元へと投げつけた。
瓶はあっけなく割れ、中の粉が床へと撒かれた。
上手く道を塞ぐこととなったことを確認すると、私は佐奈の第二射を警戒しつつテーブルへと駆け寄った。

【佐奈@】

佐奈は目の前の光景に愕然としていた。
弾丸が当たった筈のあいつが振り返るなり、何か薬剤の瓶を投げつけて来たのだ。

もしかして、弾が当たらなかったのだろうか?
些か不安になりつつも、佐奈は未だ優位を確信していた。
何しろ、反撃らしき一投を回避できたのだ。
とはいえ、足元には割れた瓶から溢れだした粉がばら撒かれている。

追撃をかけようと足を出しかけて、ハタと気付いた。
迂闊に踏み込めば足跡を残してしまうことに。

なるほど、これが狙いだったのだろう。
だとすれば、対応は簡単だ。
此処は診療所、外来患者用のスリッパが備え付けられている。
この長靴を脱いで履き替えれば良いだけだ。

あいつには何としても復讐を果たさなければならない。
佐奈は見ていた、あの女が頼子の薬を摩り替えるところを。
頼子はあの女に殺されたのだ。

復讐心を燃やす佐奈は玄関へと急いだ。

【私A】

一方、私は痛む身体を引き摺りつつも次の作業に移っていた。
まずは資料を手荒く払いのけると、マジックペンを手にテーブルに線を引いて行く。
横に一本、次いで縦に三本。
すなわち「サナ」だ。

だが、これで終わりではない。
私はさらに時間を使うと、花瓶の水をテーブルに撒き散らし抜いた水仙を2本ほど近くのコンセントに突き刺した。
水仙が導線となり、テーブル上に電気を這わせる仕掛けだ。

私の行動を疑問に感じたのか黒猫が問いかけて来る。
私は時を止めてこれに応じた。

先の「サナ」との「ダイイングメッセージ」は罠なのだ。
あれを目にした佐奈はメッセージを消そうとテーブルに近付くだろう。
其処でテーブルに流れる電流により感電するのだ。

先の「薬剤の瓶」も、この布石であった。
あれにより佐奈は長靴を脱ぎ、来客用のスリッパに履き替えている筈だ。
通電の条件を満たすこととなる。

私の狙いは「佐奈の犯行の告発」ではない「佐奈の死」であった。
私の命を奪った相手なのだ、これは適性な報復だろう。

【佐奈A】

暫くして佐奈は診察室へと足を踏み入れた。
もちろん、長靴からスリッパへと履き替えている。
息絶えたあいつの死体を眺めつつも、その位置が不自然なことに気付いた。

次いでテーブルの上へと視線が動く。
やはり……佐奈は其処に「サナ」との文字を見出していた。
あの薬剤の瓶を投げた理由は1つ、時間稼ぎだったのだ。
だとすれば犯人である佐奈の告発に違いない……そう考えた佐奈の読みは当たっていたようだ。

危なかったが、これで大丈夫だ。
佐奈はテーブルに転がるマジックペンを手に取ろうとして感電した。

【私B】

佐奈の死を確信していた私に黒猫が語りかけて来た。
それで良いのか、と。

黒猫は私までもが殺人を犯す必要はないと言う。
被害者として加害者を告発するに留めておくべきではないか、と。
復讐は遺された私の家族が悲しむ行為ではないか、と。

正直、それは私の良心の呵責であった。
的確に痛いところを突いてくる黒猫に、私は妥協点を提案した。
水仙の数を2本から1本に変えることで死亡確率を下げたのだ。
これならばショックを与えることは出来るが、死亡にまでは至らないだろう。

こうなれば次の方法を模索すべきだろう。
テーブルの上の「ダイイングメッセージ」は佐奈により消されてしまうに違いない。
だが、払いのけた書類の裏に「サナ」と書き、書類の束に隠してしまえば見つけられないだろう。
残りは5秒、充分であった。

私は再びペンを取るべく時間を進めようとして胸に強い衝撃を受けた。
真正面から窓越しに銃で撃たれたのだ。

慌てて時を止めると、黒猫の笑顔が目に付いた。
それはこれまでにないほどの満面の笑みだ。

意味が分からない私に、先程とは逆に黒猫が説明を始めた。
私が怖れていた第二射を受けたのだ。
私が時間を進めていた間、佐奈にも同じだけ時間があった。
その時間は10秒、玄関を抜けて窓越しに第二撃を喰らわすには十分な時間だ。
佐奈は私に止めを刺すべく回り込んでいたのだ。

黒猫はコレを知りつつ放置していたのだ。
そして、私の復讐の邪魔をした。

先程の一撃により残るは1秒を切っている。
もはや「ダイイングメッセージ」は不可能だ。
だが、何か、何かしなければ……。

焦る私の目に書類に紛れた茶色い封筒が見えた。
アレは確か……。

【佐奈B】

ただただ驚いた。
一瞬の気絶から立ち直った佐奈はあいつの仕掛けに気付き愕然としていた。
なんて奴だ、あの瞬間に罠を仕掛け報復を目論んだのだ。
だが、幸いなことにこうして命はある。
佐奈の復讐心があの女の復讐心に勝ったと言うことだろうか。

とはいえ、あまりに時間をかけ過ぎた。
人がやって来る恐れがある。
佐奈はテーブルの上の文字をマジックペンで消した。
これで此の場の痕跡は大丈夫だろう。

と、あの女が手にした封筒に目が留まる。
佐奈は封筒を回収するとその場を逃げ出した。

翌日のこと、感電の影響から立ち直りつつあった佐奈は封筒の中を目にして驚愕していた。
それは頼子の遺書だったのだ。
しかも、佐奈を連れて心中すると記されていた。

其処で佐奈は気付いた。
あいつは頼子が用意した毒薬を別の薬と摩り替え、遺書を持ち去ったのだ。
これを察した頼子が自殺したに違いない。
だとすれば、命の恩人を仇と狙い殺してしまったことになる。

衝撃を受ける佐奈のもとを警察が訪ねて来た。
犯行現場から佐奈の毛髪が検出されたのだ。
とはいえ、佐奈には既に反論する気力は失われていた。
佐奈は静かに罪を認めるのであった―――エンド。

◆関連過去記事
『監獄舎の殺人』(伊吹亜門著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.73 OCTOBER 2015』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

「第12回ミステリーズ!新人賞」受賞作発表!!栄冠は伊吹亜門先生『監獄舎の殺人』に!!

『十五秒』が掲載された「ミステリーズ! vol.74」です!!
ミステリーズ! vol.74



『監獄舎の殺人』が掲載された「ミステリーズ! vol.73」です!!
ミステリーズ! vol.73





キンドル版「監獄舎の殺人 第12回ミステリーズ!新人賞受賞作」です!!
監獄舎の殺人 第12回ミステリーズ!新人賞受賞作

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