2016年03月27日

「実は私は」第153話「紅本茜」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第153話「紅本茜」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧は本記事下部に移動しました。

<あらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜

「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒峰朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?

矢先、実は宇宙人であった委員長・渚、狼男で肉食系女子な獅穂、悪魔っ娘の茜、未来人の凛、幼馴染のみかん、天使の華恋も加わって……。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

数百年前、茜は大人の姿をした大妖であった。
当時の茜はその圧倒的な力で周囲から怖れられ、まさに悪魔に相応しい存在であった。

しかし、とある僧侶と出会ったことで彼女は変わった。
人間との共存について考え始めたのである。

以来、時と共に茜は容姿を幼くし続けた。
そして、今に至るのである。

「らしくもない……」
過去を振り返り呟く茜。
今、茜はある決意を固めていた。
その視線の先には朝陽と葉子たちが居る。
彼らはにこやかに笑っていた。

その数時間後、生徒会室の華恋のもとにボンテージに網タイツ姿の源二郎が駈け込んで来た。
どうやら、茜に悪戯されたらしい。
だが、華恋は「源二郎、隠さなくても良いのよ」と奇妙な理解を示す。

「だから、ちが〜〜〜う!!」
必死に誤解を解こうとする源二郎。
しかし、事態はさらに悪化する。

「茜ちゃんに呼ばれて来たんだけど……」
なんと、桐子が訪ねて来たのだ。
源二郎を目にしつつ、そっと目を逸らす桐子。

「おお〜〜〜い、桐子ぉぉぉぉぉ」
必死に呼びかける源二郎だが、桐子は目を合わせようとしない。

茜はと言えばそんな彼らを外から眺めつつ、高校時代の彼らを思い返していた。
あの日までは上手く行っていたのだ。
あの時、源二郎が暴走するまでは……。
そして、その陰にはロングヘアーのあの女が居たのだ。

今度こそ、あの悲劇を繰り返させるワケにはいかない。
だからこそ、あいつを排除せなばならない。

茜はそっと屋上へと歩き出した。
其処に待っていたのはあの箱女である。

「その箱が私の感知から逃れた理由か!?」
叫ぶや否や箱女への攻撃を開始する茜。

鉄柵を一撃で消失させる茜の攻撃。
これを悠々と躱す箱女。

しかし、茜はさらなる追撃をかける。
其処にいつもの手加減はない、何処までも本気である。

槍を振りかぶりつつ、使い魔であるカラスを介して全方位から光線を浴びせる茜。
さしもの箱女もこれは回避出来ない、被った箱の側面を光線が焦がして行く。
其処からロングヘアーが垣間見える。

「やはり、ロングヘアー」
何やら納得し、更なる猛攻を加える茜。

「20年ぶりか……今度こそ排除するぞ前諸晴高校校長・白雪!!」
その気の昂ぶりを示すように叫ぶ茜だが……。

「えっと、それ誰?」
「へっ?」
ようやく身構えた箱女の呟きに、気持ちを挫かれてしまった。

「実は私は……ゴニョゴニョ」
呆気に取られる茜に近付くと耳打ちする箱女。
少しずつ茜の頬が紅潮する。

数分後、屋上では寝転がり身悶えする茜の姿があった。
決死の覚悟で白雪へ対決を挑んだ茜。
ところが、白雪と思われた箱女は別人であった。
引っ込みのつかなくなった茜は恥ずかしさに悶え苦しむ。
しかも、例の悪戯の件で此の後に源二郎と桐子から手酷く追及されることになるのだが、未だ知らないのである―――154話に続く。

充実の「実は私は」が読めるのは「週刊少年チャンピオン」だけ。
本誌で確認せよ!!

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻に続き2巻、3巻、4巻、5巻、6巻、7巻、8巻、9巻、10巻、11巻、12巻、13巻、14巻、15巻も重版出来とのことで目出度い。さらに16巻も発売。
そして、本作かなり面白い!!

2015年7月にはアニメ化も果たしており、シーズン2製作の報が待たれます。

【第EXTRA話】アニメ版「実は私は」スタッフさんとキャストさんの一部を明らかにされよう!

また、本作が遂に舞台化とのこと。
こちらも注目です!!

増田英二先生「実は私は」が舞台化とのこと!!

その153話。
サブタイは「紅本茜」。

今回、茜の自爆回かと思いきや実は重要回か。

やはり、茜なりにビジョンがあって朝陽と葉子の様子を見守っているようです。
おそらく、茜の理想は「人とそれ以外の種との共存」か。
この実現に向けて源二郎と桐子が居たが、白雪によって妨害された。
其処で朝陽と葉子に託していると思われます。

そして、色付きキャラ「白雪」が登場。
「実は私は」では苗字に色が入るキャラはレギュラーキャラ。
しかも、茜とは浅からぬ因縁の持ち主の様子。
分かっていることは「茜の前任の諸晴校長」であり「20年前に茜に追放された」こと。
また「人とそれ以外の種との共存についても否定的」だった様子。
おそらく、源二郎の暴走に始まり退学の原因を作ったのも白雪でしょう。
今回、茜が死をも覚悟していたことや「紅本」と「白雪」で「紅白」と対になることから、かなり強いらしいことも窺えますね。
朝陽や葉子たち、最大の障壁になりそう。

そして、「箱女」。
茜の感知網から逃れていたことから見ても彼女もなかなかの存在。
ただし、茜がその正体を聞いて放置していることから敵ではない。
おそらく、彼女も凛や結香同様に未来からやって来たものと思われる。
凛が「朝陽と○○(おそらく葉子)の娘」と「岡とみかんの息子」の間の子、結香が「嶋と獅穂の孫」とすると「さくらと明里の孫」の可能性もあるか?
箱を被っているのは顔や頭部に特徴があるからだとすれば角を隠しているとも考え得る。
ただ、あのロングヘアーから考えると朝陽と葉子の娘の可能性もありそう。
こうなると114話での箱女の台詞の意味が気になるなぁ……。

うむ、今回も充実した回ですな。
多くは語るまい、とりあえず読め!!

そう言えば、上でもお伝えした通りコミックス15巻も発売。
表紙は1巻の葉子、2巻の渚、3巻の獅穂、4巻の茜、5巻のフクちゃんとみかん、6巻の凛、7巻の明里さんに続き、8巻が銀華恋、9巻が渚とみかんのコンビ、10巻が1周回って葉子、11巻は獅穂と凛コンビ、12巻は緑苑坂弓と桐子の夫婦コンビ、13巻は桃地結香、14巻は水奈川咲と葉子に!!
そして15巻は獅穂たち三人娘に!!ああ、嶋よ……。
こうなると16巻は「明里とさくら」か「明里、茜、華恋」かなぁ。
と思いきや16巻表紙は「ウェディングドレス姿の明里」に、一瞬誰だか戸惑うほどの変身ぶりを見せる表紙となっていますね。
どうやら、17巻は「みかんと岡」か「みかん単独」になりそうか。

ちなみに、上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

◆関連過去記事
「実は私は」第1話から第150話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ

「実は私は」第151話「焼き芋を作ろう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第152話「血を吸おう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。

藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
藍澤涼:渚の兄、意外な形で登場することに……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本明里:教師。彼女にも秘密が……。
黄龍院凛:33話より登場した謎の少女。彼女にも秘密が!?
黄龍丸:凛が駆るドラゴン。52話にて意外な正体が明らかに。

朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「外道クイーン(オレンジ)」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。眼鏡が特徴。割と友人想いの様子。146話にてフルネームが「岡田奏」と判明。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。124話にてフルネームが「嶋田結太」と判明。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
フクちゃん:「福の神見習い」を名乗る眼鏡。
フクの介:フクちゃんの先輩。やはり眼鏡。
フク太郎:フクちゃんとフクの介の先輩。やはり眼鏡。
フク蔵:フクちゃんとフクの介とフク太郎の先輩。やはり眼鏡。
手崎:文字通り茜の手先な料理教室のシェフ。

朝陽の父:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の母:朝陽の家族。22話に初登場。
黒峰鳴:朝陽の妹。22話、28話、48話に登場。48話にて名前と顔が判明。92話で高校に進学。
白神源二郎:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。39話にて名前が判明。
白神桐子:葉子の母で人間。和服の美女。38話にて名前が判明。
銀華恋:茜に続く第2のツノツキ……の筈だったが。58話から登場。

緑苑坂弓:朝陽たちの副担任、実は源二郎。92話から登場。
桃地結香:忍者少女、92話(実際は105話)から登場。ある秘密が……。
黄龍院閃:鳴、結香のクラスメートの男子。瓶底眼鏡に腰の日本刀がトレードマーク。132話で苗字が判明。
水奈川咲:結香、閃、鳴のクラスメート。109話から登場。ある秘密が……。
箱入り娘:114話終盤に登場した謎の人物!?
白雪:茜の前任の諸晴高校校長、153話に名前が登場。

稲葉:葉子のクラスメイト。
松本:葉子のクラスメイト。
佐々木:葉子のクラスメイト。彼氏と別れたばかり。

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posted by 俺 at 12:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

土曜ワイド劇場「タクシードライバーの推理日誌39 スキャンダルな乗客 舞台上の連続殺人!!三人の女優が仕掛ける嘘と秘密!?引きちぎられたネックレスに偽りの遺言!!」(3月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「タクシードライバーの推理日誌39 スキャンダルな乗客 舞台上の連続殺人!!三人の女優が仕掛ける嘘と秘密!?引きちぎられたネックレスに偽りの遺言!!」(3月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

タクシードライバーの夜明日出夫(渡瀬恒彦)は、元警視庁の敏腕刑事。ある日、ひとりの女性客が夜明のタクシーに乗って来た。しきりに後ろを振り向き、尾行を気にしている様子だ。それもそのはず、その女性は有名劇団“城塞”の看板女優、三条亜希子(高橋ひとみ)だった。しかも劇団に着いた亜希子を待っていたのは、夜明の娘・西村あゆみ(林美穂)。あゆみは、劇団30周年の記念書籍の編集のアルバイトをしているという。
夜明がずっとファンだと打ち明けると、亜希子は劇団の稽古場を見学するよう勧める。そこでは、劇団30周年の演目『奇跡の人』のヘレン・ケラー役の最終オーディションに残った少女たちが稽古に励んでいた。案内してくれた亜希子の付き人・森川時枝(中山忍)によると、27年前、同じ『奇跡の人』のヘレン役でデビューを飾った亜希子が、今度はサリバン役を演じることで注目されているという。

同じ頃、亜希子たち劇団幹部は、主宰の椎名一馬(西岡コ馬)との会議に出席していた。その席で、「オーディションは芝居重視ですよね」と椎名に詰め寄ったのは、演出助手の湯沢英也(隈部洋平)だった。実は、今回の『奇跡の人』ヘレン役オーディションでは大手プロダクション所属のアイドル・島本エリカ(尾碕真花)が本命視されていたが、実は劇団幹部がプロダクションとエリカを推す密約を交わしているとの噂がささやかれていたのだ。その湯沢に対し、「そんなことを先生に確認するなんて失礼よ」と一喝したのは、亜希子と人気を二分する女優、長谷麻里子(筒井真理子)。言い争う湯沢と麻里子を制したのは、椎名の驚きの発言だった。椎名はこの記念公演を最後に代表を退く決意を固めたという…。

翌朝、お台場の海辺で男性の撲殺死体が発見され、東山刑事(風見しんご)たちが臨場する。被害者は戸川聡(土屋佑壱)というフリーライターで、主に芸能スキャンダルネタを週刊誌に売り込んでいたらしい。調べてみると、戸川は元“城塞”の座付き脚本家だったが、現在は古巣のスキャンダルを狙っており、亜希子の付き人・時枝を追いかけていたようだ。さっそく“城塞”に向かう、東山刑事たち。だが時枝は、確かに戸川には会ったが、死亡推定時刻の午後6時から8時には、すでに自宅にいたと主張する。
そんなとき、戸川のアパートを捜索した馬場刑事(正名僕蔵)が、戸川の自宅パソコンから亜希子の盗撮写真を発見する。最後の1枚は、前日の午後4時、亜希子がタクシーに乗り込んで出かける写真だった。「何だかいやな予感がする」と言う神谷警部(平田満)たちだが、その推測は的中! 亜希子が乗ったのはやはり夜明のタクシーで、夜明はその時間、亜希子の故郷、西伊豆・堂ヶ島まで彼女を送っていたと証言する。
その矢先、またしても“城塞”から西伊豆・松崎までのロング指名が、夜明に舞い込む。依頼者は、なんとあゆみ! ヘレン役をエリカと争う女子高生・沢田梓美(荒川ちか)の母・小百合(中島ひろ子)が事故に遭ったと知らせが入り、急いで彼女を故郷の松崎まで送ってほしいというのだ。梓美は、ヘレン役候補の中で抜きんでた実力の持ち主だったが…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)

夜明日出夫はタクシードライバーである。
しかし、彼には裏の顔が……いや、そこまでではないけど別の顔があった。
夜明は元警視庁の敏腕刑事だったのだ。
今も後輩たちからは「伝説」と呼ばれ、日夜アドバイスを求められている。

ちなみに、タクシー業界での夜明は「ロングの夜明」と呼ばれている。
それは夜明が「客から長距離の指名を受けることが多い」ことに由来している。
しかも、恐ろしいことに「乗せた客はほぼ100パーセント(例外はある)の確率で夜明をアリバイトリックに利用する」のだ。
故に、メタ的であるが夜明のタクシーを長距離で利用した時点で「その客はこれから犯人となる確率がダントツで跳ね上がる」のである。
心ある視聴者としては、いつか夜明自身もこれに気付いて未然に客の犯行を防いでくれるのではないかと期待しているが……今のところ全くその様子はない。
まことにもって残念なことである。

そんな夜明が今回乗せた客は三条亜希子、有名劇団「城塞」の2枚看板の1人だ。
実は亜希子の大ファンだった夜明は上機嫌で「城塞」が所有する劇場まで彼女を運ぶことに。

道中、亜希子のネックレスに目を留める夜明。
それは妙に夜明の印象に残った。

ところが、当の亜希子は何やら周囲を気に掛けている。
どうやら、誰かに尾行されているようだ。
夜明も周囲に気を配りつつ、亜希子を無事に送り届けてホッとするのだが……直後に驚かされることに。

なんと、「城塞」ではあゆみがアルバイトをしていたのである。
夜明のタクシーに乗車し、あゆみのバイト先の人間。
ヤバイ……かなりヤバイ。
この時点で視聴者に浮かぶのは「ああ、今回の犯人はこの人か……」との感慨だ。

一方、夜明はと言えば亜希子と知り合えたことに大喜び。
そんな無邪気な夜明に亜希子は劇団の稽古場を見学出来るように取り計らう。

亜希子の付き人・森川時枝の案内で劇場を巡る夜明。
其処では劇団「城塞」30周年として「奇跡の人」の練習が行われていた。
特に主役であるヘレン・ケラー役の最終オーディションを控えた候補の少女たちが練習に励んでいたのだ。

ヘレン・ケラー役については次の2人が本命視されていた。

1人は島本エリカ、大手プロダクションに所属するアイドル。
演技力はほどほどだがプロダクションの後押しを受けており、マネージャーの三池なども必死に売り込みを行っている。
また、「城塞」内でも買収された幹部が出ており、最有力と専らの噂である。

もう1人は沢田梓美、こちらは何処にも所属していない。
だが、演技力が優れており候補の中では1番との評である。
しかし、後ろ盾が居らず不利とされていた。

同時刻、亜希子は主宰である椎名一馬のもとオーディション会議に出席していた。
ところが、この席で騒動が勃発する。
演出助手の湯沢英也が「オーディションに不正がある」とぶちまけたのだ。
湯沢は劇団幹部がエリカのプロダクションに買収されているとの噂を取り上げたのである。

これに対し激怒したのは女優・長谷麻里子だ。
麻里子こそ亜希子と並ぶ「城塞」が誇る2枚看板の1人。
とはいえ、麻里子と亜希子の仲は芳しくなく、麻里子が一方的に亜希子を敵視していることもあって険悪と言っても良いほどであった。
そして、麻里子こそ湯沢が指摘した買収された幹部の1人だったのである。

睨み合う湯沢と麻里子。
ところが、此処で椎名が「この公演を最後に引退する」と発表。
会議は結論が出ることなく終わってしまう。

その夜、夜明は亜希子からロングの依頼を受ける。
向かった先は西伊豆・堂ヶ島だ。

ああ……決まった。
この瞬間、溜息を吐く視聴者も多かろう。
だが、まだだ、まだ分からない。

ところが、その翌朝になってお台場の海辺で男性の撲殺死体が発見されてしまう。
被害者は戸川聡なるフリーライターであった。

捜査に乗り出した東山刑事たちは戸川が亜希子について調べていたことを突き止める。
どうやら、戸川は亜希子の致命的なスキャンダルを握ろうとしていたようだ。
亜希子が尾行に気を配っていたのは戸川を警戒していたのだ。

さらに、戸川のPCから亜希子の写真が発見。
容疑者として亜希子に注目が集まるのだが……亜希子にはアリバイがあった。

そう、夜明のタクシーで西伊豆・堂ヶ島に移動し一泊していたのだ。
夜明の証言もあり、一旦は諦める東山たち。

そんな中、夜明に再度のロング依頼が舞い込む。
依頼者はあゆみ、梓美の母で鏝絵職人の小百合が事故に遭ったので梓美を実家に届けて欲しいと依頼されたのだ。
目的地は奇しくも西伊豆・堂ヶ島であった。

小百合のもとに梓美を送り届けた夜明、小百合の怪我は比較的軽いものだった。
どうやら、小百合は怪我を口実に梓美を呼び戻すことが目的だったようである。
だが、梓美は怪我が軽いと知るや最終オーディションの為に再び「城塞」へと舞い戻る。

翌日、梓美が何者かに歩道橋から突き落とされる事件が発生。
負傷した梓美はオーディション参加が危ぶまれることに。
娘の急を聞き小百合らが駆け付ける中、制止を振り切って梓美はオーディションに参加する。

これにより、最終オーディションは大荒れに荒れた。
当初、麻里子が推すエリカが優位と思われたが、梓美の演技を目にした亜希子が彼女を支持したことで割れたのだ。
さらに、椎名自身も梓美の演技に何かを感じたようで支持に回った。

加えて、梓美転落事件の犯人としてエリカのマネージャー・三池が逮捕されたのだ。
三池は梓美の演技に危機感を抱いていたらしい。
だが、戸川殺害は否定する。

こうして、梓美に追い風が吹くかに思われたが……直後に椎名が何者かに殺害されてしまう。
これを好機と見た麻里子は理事に根回しした上で記者会見を開き、自身が椎名の後継者であると宣言し「ヘレン・ケラーはエリカ」との椎名の遺書を持ち出して来た。
実はこの遺書は椎名が参考までに考えていた組み合わせに過ぎない。
しかし、麻里子は椎名が死亡したことを利用し彼の遺志を騙ったのだ。

一転、エリカに主役が決まり、悲嘆に暮れる梓美。
そんな娘を必死に慰める小百合。
小百合は亜希子との関係を明かす。

実は亜希子と小百合は幼馴染。
過去に共に芝居を目指したが大成したのは亜希子だったらしい。

同じ頃、麻里子の遣り方に反発する湯沢は亜希子に独立を促すが、ショックを受けた亜希子は倒れてしまう。
夜明は亜希子を「高島ペインクリニック」へと運び込む。
どうやら、亜希子は何らかの病を患っているようだ。

ところが、その翌日になって事態は急展開を迎える。
なんと、椎名の主役指名が音声として残されていたのだ。
椎名は親しい仲である演劇評論家・藤山次郎に「梓美を主演させる」と伝えていたのである。

これにより、麻里子の工作が露見。
優勢から一転し追い込まれることに。

焦った麻里子は再逆転を狙って時枝に接近する。
実は時枝もまた過去に女優だったのだが、亜希子が原因で事故に遭い女優の夢を捨てていたのだ。
麻里子は時枝に「亜希子の致命傷となる情報がある筈だから教えてくれ」と迫る。
しかし、時枝は「私も亜希子さんは憎いが、あなたに教えることはない」と厳しく拒絶する。

その翌日、西伊豆で麻里子が転落死を遂げてしまった。
何者かに殺害されたようだ。

東山たちは麻里子と揉めていた時枝を疑う。
何故か黙秘を貫く時枝、これに神谷は何かを隠していると考えるように。

こうして例の如く神谷が夜明に相談を持ちかけた。
手土産の一升瓶に釣られた夜明は麻里子の遺体写真を目にして違和感を抱く。
麻里子の手に何か紐状の物で擦れた痕跡があったのだ。

その日、亜希子を乗せた夜明は彼女のネックレスが消えていることに気付く。
もしかして……こうして夜明は真相に辿り着くことに。

夜明は亜希子が犯人だと告発する。

麻里子の手の傷は亜希子のネックレスにより出来た物であった。
亜希子こそ麻里子殺害の犯人だったのである。

亜希子は全てを語り出す。

まずは戸川殺害である。
お台場で殺害されたと思われていた戸川。
しかし、実は堂ヶ島で殺害されお台場に運び込まれていた。
これならば亜希子のアリバイは成立しないのだ。

では、戸川殺害の動機は何か?
実は梓美は亜希子と椎名の間の娘だったのである。
これを戸川が嗅ぎ付けたのだ。

過去、亜希子は椎名との子供を妊娠し困り果てていた。
見かねた小百合が実子として引き取ったのである。

そして現在、女優を目指し最終オーディションにまで残った梓美。
亜希子は小百合との約束から「梓美を女優にはしない」と決めていた。
あの日はその約束を確認する為に小百合宅を訪問していたのだ。
ところが、これを戸川に目撃された。
全てを暴露すると脅す戸川を咄嗟に口封じしたのである。

その後、転落事故が起こり最終オーディションで梓美の演技を目にした亜希子は「梓美を女優にしたい」と考えを変えた。

一方、椎名は演技を目にして梓美が亜希子との間の娘であると気付いた。
実は椎名は生体肝移植の必要な身体であった、引退を宣言したのもその為だ。
だが、実娘の存在を知り惜しくなった。
なんと、椎名は梓美にドナーを強要しようとしたのだ。

これを聞かされ逆上した亜希子は椎名を殺害してしまった。
何故なら、亜希子もまた余命幾許もない状態だったからである。
「高島ペインクリニック」に通っていたのはその為だったのだ。
これが最後の舞台と決めていた亜希子は梓美と舞台に立ちたいと望んだのだ。

其処で、亜希子は西伊豆に麻里子を呼び出すと全てを打ち明け協力して貰えるよう懇願した。
ところが、麻里子はこれを拒否。
それどころか、梓美を殺人犯の娘として告発するとまで言い出した。

亜希子は麻里子を殺害した。
しかし、この際にネックレスを奪われたことが致命傷となったのである。

時枝は亜希子の事情を全て知りつつ、これを庇っていた。
とはいえ、亜希子の為ではない。
時枝は梓美の演技に惚れ込み、彼女を支えようと誓ったからである。

逮捕された亜希子は梓美に女優として生きるよう身を以て伝えるのであった。
梓美は別の劇団からデビューすることとなった。

数日後、夜明はと言えばあゆみに焼肉をたかられるのであった―――エンド。

<感想>

前回の2015年8月29日放送分(第38弾)に次ぐ第39弾です。
第38弾からはほぼ半年ぶりの新作放送となりました。

では、ドラマの感想を。

今回もお約束が満載でしたね。
「寝起きドッキリ」に「メザシ」に「ロング乗車」と良かったですね。

そして、今回の内容をまとめると……。

セオリーがあるからこそ其処からどう捻って来るか、それとも全く捻らないのかがポイントでした。
捻って来る?いや、捻って来ない?いやいや、捻って来る?いやいやいや、捻って来ない?
2時間「亜希子が犯人だ」と思いつつ「いや、小百合か」、「いやいや、やはり亜希子か」と揺れ続けました。
これだけでも楽しめましたね。
これは「2時間サスペンス」に詳しければ詳しいほどイロイロ考えられる筈。
ある意味、本作は「2時間サスペンス」ファン御用達の番組と言えるでしょう。

そんな今回の本作はまさにセオリーの集大成。
例えば、「2サス」で登場する劇中の女優には隠し子が居る。
例えば、女優に幼馴染が居て、その幼馴染に子供が居れば「女優の隠し子」の可能性が高い。
例えば、敵役の女優は何処までも悪辣……とか。
本作はお約束を外しませんでした。

そして、戸川殺害のアリバイトリックがまさかの鉄道トリックだった点も印象的でした。

また、麻里子の記者会見時の「しょうますとごーおん」もなかなかでしたね。
てっきり「小升と轟音」と空耳してしまいました。
ちなみに「Show Must Go On」は「続けなければいけない、止めるワケにはいかない」と言った意味です。

さらに、磨き抜かれて行くメザシ芸。
これだけでも必見でしょう。

それにしても、小百合は亜希子と梓美に親娘の名乗りを上げさせようと考えていたようですが、流石に殺人犯の娘になるのは女優としてハンデが大き過ぎるので亜希子の対応があれに関しては正しい気がします。
あくまでも梓美を中心に考えるべきだと思うので。

でもって、今回も「犯人が夜明を利用した」と言うよりは「夜明のタクシーを利用したので犯人になってしまった」との印象。
ロングを使った時点では戸川を殺害するつもりは全く無かったワケだし。
乗客を犯行に誘う夜明のタクシー、恐るべし!!

さて、此処からは「タクシードライバーの推理日誌」に倣ってシリーズに受け継がれていく感想を。
下記は以前から受け継がれている感想(つまり、前回からのコピペ)ですが、次回にも此の感想は適用可能なのか?
此の点も注目です!!

改めて思ったのは、やっぱり神谷優秀だなぁ……。
夜明さんとあゆみは犯人を引き寄せてるから別格なんだよ。
あれはもうギフトの域だよ、常人で対抗出来る筈がない。
前にも述べたが、きっと夜明の長距離運転が催眠暗示を搭乗者にもたらし何かを起こさせてるんだよ。
その点、神谷は普通に優秀なんだから卑下する必要は無いって。

さらに確信したが「夜明のタクシーにロングで乗車」し「あゆみの職場の関係者」であれば「犯人確率99パーセント以上」だな。
とりあえず条件を満たした者は未遂、既遂問わず調べるべきかもしれない。
神谷には此の点も頑張って欲しい。

いや、むしろ神谷は夜明とあゆみに次のように伝えるべきだな。
「夜明さん、ロングは拒否してくれませんかね。それが犯人の為なんで」
「あゆみちゃん、そろそろ1つの職場に腰を据えて貰った方が良いかもしれないなぁ」と。
そうすれば、犯人が罪を犯さずに済むかもしれない。

恐るべし「夜明の法則」。

そう、今回も「夜明の法則」は健在でした。
この法則をいかにストーリーに放り込んで来るか(または捻ってくるか)が本シリーズの見所。

解説!!夜明の法則とは―――

土曜ワイド劇場「タクシードライバーの推理日誌」にて適用される法則。

犯人(女性)は夜明のタクシーに乗りアリバイを作る。
そして、最初に疑われる。
が、夜明が「あの人は犯人じゃない、だってアリバイあるし」と頑固に庇う。
別の容疑者浮上。
だが、急に夜明の気が変わる(偶然、何かに気付く)。
夜明アリバイ崩しに挑戦。
やっぱり、あの人が犯人でした。
―――完―――

のこと。
はい、普通に発動してました。
今回も王道でしたね。
やっぱり、これがないと「タクシードライバー」じゃないよ。
と言うワケで、この点は満足です。

遊び心も満載で次回にも期待ですね!!

ちなみに「タクシードライバー」シリーズの原作は「木枯らし紋次郎」の著者で知られる笹沢左保先生の「タクシードライバーの推理日誌」シリーズ。
とはいえ、本作においてはモチーフというべきでしょう。
完全に別物なので、そこは注意。

◆関連過去記事
【シリーズはこちら】
土曜ワイド劇場「タクシードライバーの推理日誌26 東京〜京都・琵琶湖、土地鑑のある乗客」(1月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)

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土曜ワイド劇場「タクシードライバーの推理日誌 能登和倉〜午前3時の同乗者!!深夜ラジオに届いた殺人リクエスト!?」(12月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)

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土曜ワイド劇場「タクシードライバーの推理日誌 東京〜京都〜博多、殺人犯を追う乗客 10年目の再会と疑惑の銃弾!!その女に指紋なし!?」(1月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)

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2011年3月19日(土)……今夜の土曜ワイド劇場は傑作選「タクシードライバーの推理日誌26 東京〜京都・琵琶湖、土地鑑のある乗客」です!!

<キャスト>

夜明日出夫:渡瀬恒彦
神谷警部:平田 満
東山刑事:風見しんご
三条亜希子:高橋ひとみ
森川時枝:中山 忍
長谷麻里子:筒井真理子
沢田小百合:中島ひろ子
椎名一馬:西岡コ馬
馬場刑事:正名僕蔵
小林係長:徳井 優 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)


笹沢先生の作品はこちら。
「生存する幽霊―タクシードライバーの推理日誌 (徳間文庫)」です!!
生存する幽霊―タクシードライバーの推理日誌 (徳間文庫)





同じく「招かれざる客―笹沢左保コレクション (光文社文庫)」です!!
招かれざる客―笹沢左保コレクション (光文社文庫)





同じく「霧に溶ける―笹沢左保コレクション (光文社文庫)」です!!
霧に溶ける―笹沢左保コレクション (光文社文庫)



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