月曜名作劇場「横山秀夫サスペンス 刑事の勲章 横山秀夫最高傑作「64(ロクヨン)」の原点!書籍未収録の「刑事の勲章」に名作「動機」を加えたストーリー!刑事達が手にする真の勲章とは!?二渡が下す人事とは!?」(4月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。
ネタバレあります、注意!!<あらすじ>
平成13年3月。県警に人事の季節がやってきた。県警警務部警務課の調査官・二渡(仲村トオル)は部下・上原(長谷川朝晴)を昇進人事で高田署刑事官として送り出した。刑事官は刑事部門の統括者だが、上原は管理部門で生きてきた男で現場経験はない。そんな自分に刑事たちのまとめ役が務まるのか。上原はかつての先輩・大和田(北見敏之)に二渡人事の愚痴をこぼす。
翌日、刑事官拝命の初日に迂闊にも遅刻してしまう上原。しかも、高田署の刑事課では殺人事件の捜査会議が行われていた。皆から管理畑出身だと知られている上原は、刑事課長の野本(山中聡)からOB会の世話をしてほしいと事実上の厄介払いをされてしまう。その頃、二渡は自ら提案し試験運用されることになった「警察手帳の一括保管」の状況確認のため高田署を訪れていた。刑事を中心として“刑事の魂”を事務方に取り上げられたくないという抵抗が多く署全体では運用されていないが、集められた手帳は警務課主任の大和田と部下の神谷(細田善彦)が指差し確認の上保管庫で管理されていた。
その夜、OB会主催の上原着任歓迎会が催された。上原のことを心配する二渡が会場を訪れると、歓迎会とは名ばかりでここでも上原は邪険に扱われていた。さらに“動の湯上沢”(石橋蓮司)と呼ばれた元エース刑事にバカにされてしまう。しかしその直後、湯上沢と同期の“静の葉山”(寺田農)が上原に何かをつぶやく。湯上沢と葉山は現役時代からライバルで、退官した今でもライバル意識を燃やしていた。
数日後、高田署から保管していた警察手帳30冊が盗まれたと連絡が。県警警務部長の赤間(滝藤賢一)は3日間で解決するよう監察課次席の新堂(矢島健一)に内部調査を命じる。二渡は新堂と共に高田署での取り調べに挑むが、どう考えても実際に手を下せるのは大和田しかいない。しかし実直で退官まで1年あまりの大和田には動機がない。逆に刑事たちの反発は予想以上に強く全員に動機があるが、手段はない。大和田に動機があるとすれば……。二渡は七尾(和久井映見)との何気ない会話から解決の糸口を見出す。
(公式HPより)
では、続きから……(一部、重複アリ)。平成13年3月、「陰の季節」直後の出来事である。
人事異動が行われ、森島が更迭される一方で上原は高田署刑事官に昇進することとなった。
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月曜名作劇場「横山秀夫サスペンス 陰の季節 横山秀夫最高傑作「64(ロクヨン)」の原点!第5回松本清張賞受賞作品 不朽の名作「陰の季節」が蘇る!「ロクヨン」と並ぶもう一つの未解決事件!その真相に涙する!」(4月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)だが、上原の顔は浮かない。
何故なら、刑事官は刑事部門の統括者、警務畑出身の上原にとっては全くの畑違いだったからである。
二渡としては別の畑での経験を積ませることで視野を広げさせようとの親心だったのだが、上原にとっては昇進を餌にした追い出しだと感じられたのである。
不満を抱く上原は高田署の警務課に勤務する元上司・大和田徹に愚痴を零してしまう。
その夜、上原は続いてスナックへと繰り出した。
意気投合したホステスとその場限りの関係を結んだ上原であったが、大切な転属初日を寝過ごしてしまう。
慌てて駆け付けた上原であったが、高田署では捜査会議の真っ最中。
なんと、昨晩に強盗殺人事件が発生していたのだ。
しかも、これと上原とは無関係では無かったのである。
犯行現場は上原が遊んだスナック、被害者はその店のママだったのである。
ただでさえ畑違いである上原はホステスと一夜を過ごし遅刻したことで尚更軽んじられてしまう。
そんな中、さらに上原を狼狽させる出来事が。
湯上沢を名乗る人物から一方的な電話が入ったのだ。
湯上沢は上原を嘲笑すると「また電話するからな」と不吉な予告と共に電話を切ってしまう。
刑事課長の野本によると湯上沢は捜査一課OB会「一の会」の幹事。
未だに高田署に強い影響力を誇っているらしい。
上原は野本から「一の会の世話役をお願いします」と体良く捜査本部から追い出されてしまう。
同じ頃、二渡は彼が提案主導した「警察手帳の一括保管」の運用確認をすべく高田署を訪れる。
「警察手帳の一括保管」とは「これまで個々人で管理を義務付けられていた警察手帳をそれぞれの署の警務担当者が署内でまとめて保管する」とのものだ。
高田署では警務課主任の大和田と、その部下・神谷潤一がこれを担当していた。
しかし、この運用については批判も多く、高田署の漆原署長も消極的であった……。
その日、大和田と神谷は外出先で危険運転を行う自転車を発見。
これに注意を行おうとするが逃げられてしまう。
その夜、上原が気がかりな二渡は彼の着任歓迎会へ参加する。
主催は「一の会」、つまり湯上沢らOBたちによる歓迎会だ。
ところが、此処でも主賓の筈の上原は蚊帳の外に置かれていた。
それどころか、酒の肴とばかりに上原は参加者から一方的に揶揄され続けていたのである。
「一の会」は「動の湯上沢」と「静の葉山」の2人を中心としていた。
湯上沢と葉山は現役時代からのライバル、その関係は今も続いているようだ。
上原攻撃の急先鋒として舌鋒を奮っていたのは、この湯上沢であった。
これに対し、葉山はと言えば何やら上原を励ましているようで……。
その様子に不穏な何かを感じた二渡は上原に内容を尋ねるがあしらわれてしまう。
それどころか上原は彼が監察時代に同期に引導を渡したことを引き合いに出し「ああはならない」とまで断言する。
かなり精神的に不安定な上原を見かねた二渡は「何も無ければ2年で呼び戻すから」と約束することに。
ところが、その翌日のこと。
二渡のもとに高田署から一括保管していた警察手帳30冊が消えたとの報が届く。
もともと強い反発を押し切って導入しただけに、二渡への風当たりは強い。
わずか3日以内に解決するようにと厳命を受けてしまう。
これに失敗すれば二渡の前途に暗雲が漂うこととなるだろう。
監察課次席の新堂隆義が内部調査を行うこととなり、手掛かりが欲しい二渡は彼に協力を求める。
まず、二渡が疑ったのは大和田であった。
何と言っても実行可能なのは彼しか居ないのだ。
だが、大和田は退官を1年後に控えている。
何かしら不満があったとしても、今更行動に移すとは思えなかった。
つまり、動機が無いのである。
いや、強いて上げれば無くもない。
上原だ。
上原は大和田の元部下である。
もしかして、上原が大和田に泣き付き二渡へ復讐しようとしているのではないか!?
二渡の疑惑は膨らむばかり……。
同じ頃、当の上原は葉山宅を訪れていた。
実は前夜に葉山から「スナックママ殺しの犯人を知っている」と告げられていたからである。
上原は畑違い故に軽んじられている状況を打開すべく、大手柄を求めて葉山に助けを求めたのだ。
これに葉山は「湯上沢の甥・健太郎が犯人だ」と教える。
葉山によれば「湯上沢は健太郎が犯人であることを知っているが、秋の叙勲を控えて隠蔽しようとしている」らしい。
此処までを咳き込み、咳き込み語る葉山。
しかし、何故か上原の心に留めて周囲には洩らすなと口止めする。
大和田・上原共謀説を疑う二渡は新堂に自身の仮説を語って聞かせる。
だが、新堂は些かこれに懐疑的な様子。
新堂は上原の監察官時代の上司であったが、上原には潔癖症なところがあり復讐の為とはいえ其処まではしないだろうと考えているらしい。
いつしか話題は近付く叙勲へと移り、二渡は七尾友子に叙勲者リスト作成を依頼する。
候補としては湯上沢と葉山が上がっており、このいずれかが対象となるそうだが……。
根を詰めた様子の二渡をリラックスさせるべく、友子は「息子が床に絵具を零したことを隠す為にバケツの水をぶち撒けた」エピソードを語って聞かせる。
その頃、上原は葉山から聞かされた湯上沢の甥・健太郎を尾行していた。
ところが、其処へ大和田が介入して来た。
何やら健太郎に詰め寄る大和田、上原は大和田もスナックママ殺害を追っていたと考え情報を求めるが彼は「何も知らない」と断言する。
その夜、二渡はどうしてもあの日の上原と葉山の様子が気にかかって仕方が無くなり葉山宅へ。
葉山は上原に語って聞かせたことを同じ内容を二渡に明かす。
これに二渡は叙勲を控えて葉山が湯上沢を蹴落とす為の罠ではないかと疑う。
しかし、葉山は「叙勲は不要、候補からは外してくれ」と二渡の疑いを否定する。
葉山宅を辞去した二渡であったが、入替るように現れた男性の姿を目に留める。
2日目の朝がやって来た、二渡は新堂に上原が辞めさせた同期について尋ねる。
その名は猪熊、ギャンブルの為に借金があったことで上原から退職に追い込まれていた。
しかも、猪熊は葉山の元部下であった。
部下思いの上司が部下の敵討に及んでいる。
手帳紛失事件を大和田と上原の共謀と考えていた二渡だが、この構図が葉山と猪熊に当て嵌まることに慄然とする。
つまり、葉山と猪熊が共謀し上原に復讐を目論んでいるのだ。
上原を救うべく二渡は高田署へ急行する。
同時刻、湯上沢は健太郎から紙袋を受け取っていた。
中身に目を落とすや湯上沢の顔色が一変する。
同じ頃、手柄を焦る上原は「健太郎が犯人だ」と野本たちの前で主張していた。
しかし、「そいつはもう調べてますよ。シロです」と一蹴されてしまう。
「そんな、馬鹿な……」
絶句する上原のもとへ二渡が駆け付ける。
二渡は「これこそが葉山の復讐だった」と主張。
そんな二渡たちに、県警捜査一課長の松岡は「刑事は人との繋がりを絶対に切らない」と諭す。
新堂のもとへ戻った二渡は友子の息子のエピソードを思い出す。
絵具を隠す為により大きな騒ぎを起こした。
もしかして、1冊の手帳が無くなった為に他の29冊を隠したのではないか!?
そう考えた二渡は、大和田が手帳を紛失した為に29冊を隠したと考える。
深夜、急ぎ大和田宅を訪れた二渡は敢えて「犯人から連絡があった、29冊を返却するつもりらしい」と語り、残りを返却すれば不問に付すと持ちかける。
そして、約束の3日目がやって来た。
13時から記者会見を控え、気が気では無い二渡。
一方、上原は猪熊に呼び出されていた。
上原を恨んではいないと語る猪熊はスナックママ殺害犯を彼に教える。
もうすぐ、野本たちが逮捕にやって来るらしい。
上原は畑違いの誹りを払拭するべく、一番槍となって犯人に飛び掛かる。
こうして、犯人は逮捕された。
同じ頃、高田署の敷地内から消えた警察手帳が発見される。
だが、その数は29冊ではなく28冊であった。
不足していたのは……大和田と神谷の手帳である。
これに二渡は真相を察する。
手帳を紛失したのは大和田ではなく神谷であった。
自転車を危険運転していた男を追っていたところ、無くしてしまったらしい。
大和田は若い神谷の身を慮って彼を庇うべく29冊を盗んだのだ。
責任を取ると語る神谷に「大和田さんの本意に反する」と拒否する二渡であった。
こうして、二渡は期限内に事件を解決することに成功した。
数日後、某所で葬儀が執り行われていた。
その席で二渡は湯上沢から神谷の手帳を返却される。
湯上沢の甥・健太郎こそ危険運転していた自転車の主だったのだ。
これを突き止めたからこそ、大和田も健太郎に詰め寄っていたようだ。
湯上沢から手帳を受け取った二渡はこれも不問に付すことに。
「それにしても、先を越されちまったな」
苦笑いする湯上沢、その視線の先には遺影となった葉山の姿が。
この葬儀は葉山のものであった。
葉山は余命幾許も無いことを知り、猪熊の復讐に動いたのだろう。
いや、あれは復讐よりも「繋がりを軽んずるな」との警告だったのかもしれない。
そして、葉山は死亡叙勲により湯上沢に先んじて叙勲者となった。
「全く敵いませんね」
こう零したのは上原だ。
当初こそ、狼狽していた上原だったがあの事件を通じて刑事官として職務を全うする誓いを立てたようだ。
半年後、二渡は人事異動の草案を仕上げていた。
彼は広報室を強化すべく、刑事部のある人物を充てるつもりであった。
今回、上原の姿に畑違いと雖も輝ける可能性を見出したからである。
その候補こそ、二渡の同期・三上であった―――映画版「64」へ続く。
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土曜ドラマ「64(ロクヨン)」(NHK系、2015年)まとめ・
『64』(横山秀夫著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)<感想>
ドラマ原作は横山秀夫先生による「D県警シリーズ」の短編『刑事の勲章』(単行本未収録)と「ノンシリーズ」の『動機』(文藝春秋社刊『動機』収録)。
『動機』は過去にネタバレ書評(レビュー)していますね。
ちなみに『動機』はキンドル版でこそシリーズに数え上げられていますが「D県警シリーズ」ではありません。
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『動機』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『動機』収録)ネタバレ書評(レビュー)これまたちなみに『刑事の勲章』と『動機』には同じTBS系「月曜ドラマスペシャル」にて上川隆也さんが二渡役を演じられてたバージョンもあります。
上川さん版では『動機』は「本作とほぼ同じ」、『刑事の勲章』では「葉山の罠にかかるのは二渡自身であるものの、ほぼ同じ」でした。
そして今回、二渡を演じられたのは仲村トオルさん。
どうやら、映画版「64」公開を控えて、同じキャストでのリメイク作品となったようです。
映画版「64」でも仲村トオルさんが二渡役です。
また、映画版「64」で活躍する三上役の佐藤浩市さんも少しだけ登場されていました。
映画版「64」は前後篇での公開を予定しており、前篇が2016年5月7日、後篇が2016年6月11日とのこと。
ちなみに「64」は2015年4月にNHKさんにて連続ドラマ化されています。
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『64』(横山秀夫著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)・
土曜ドラマ「64(ロクヨン)」(NHK系、2015年)まとめ・
横山秀夫先生『64』(文藝春秋社刊)が続々実写化!!まずは2015年4月に連続ドラマ化、次いで2016年に映画化とのこと!!では、ドラマ版の感想を。
今回は前回に比べて原作を上手く融和させていた印象。
『刑事の勲章』と『動機』の要所を押さえつつ、互いを繋ぎ合わせていました。
これは映画版も期待出来そうな予感……!!
<キャスト>
二渡真治:仲村トオル
七尾友子:和久井映見
上原勇三:長谷川朝晴
大和田 徹:北見敏之
新堂隆義:矢島健一
神谷潤一:細田善彦
野本保彦:山中 聡
湯上沢太郎:石橋蓮司
葉山智之:寺田 農
赤間 肇:滝藤賢一 ほか
(公式HPより、順不同、敬称略)
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