ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
●北森鴻氏推薦――「これまでもこれからも、僕の短編ミステリの大切なお手本です」
捜査そっちのけの警部と美女の死体に張り切る鑑識官コンビの殺人現場リポート「煙の殺意」を表題に、知る人ぞ知る愛すべき傑作「紳士の園」や、往復書簡で綴る地中海のシンデレラストーリー「閏の花嫁」など、問答無用に面白い八編を収める。
目次
「赤の追想」
「椛山訪雪図」
「紳士の園」
「閏の花嫁」
「煙の殺意」
「狐の面」
「歯と胴」
「開橋式次第」
(東京創元社公式HPより)
<感想>
短編集『煙の殺意』に収録された短編です。
主人公の完全犯罪が、被害者・安子の女性らしい見栄から崩壊する物語。
解剖を担当した夫自身がソレと気付かなかったことから、あの事実は夫にも内緒だったんだろうなぁ……。
B.S.バリンジャー『歯と爪』をアレンジしたタイトルも面白い。
・『歯と爪』(ビル・S・バリンジャー著、大久保康雄訳、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
ちなみに、ネタバレあらすじはかなりアレンジを加えているので注意。
真に衝撃を味わう為にも原典に当たるべし。
<ネタバレあらすじ>
・『歯と胴』
司法解剖医である教授に反抗心を抱く助手は、いつしか同様に教授に不満を抱く教授の妻・安子と不倫関係を持つことに。
助手は安子の豊満な胸に溺れることに。
いつしか、安子は教授に愛人がいることを指摘し、彼を殺すので協力して欲しいと依頼する。
これに一度は応じる助手だったが……。
よくよく考えれば教授を殺すことにメリットがないことに気付いた助手。
それよりも、安子が生きていることの方が不倫の秘密が露見しかねず危険である。
こうして、助手は安子に協力する振りをしつつ彼女を殺してしまった。
安子を解体し、手足は指を一本一本切断し海に撒いた。
残った胴を埋め、これで万全かと思われたが……。
数年後、教授は安子の失踪を気にする様子も無く、これに乗じて愛人と再婚してしまった。
助手を疑う素振りも無い。
その矢先、安子の胴が発見されてしまう。
しかも、担当の解剖医は教授になってしまった。
なんという奇縁だろうか。
とはいえ、今更だ。
特定される筈もないと高をくくっていた助手だが。
解剖していた教授は口にする。
「おや、これは珍しい。豊胸手術をしているじゃないか。これならすぐにでも特定出来るだろう」と―――エンド。
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