「仮面の祝祭 表紙 おどろおどろしい雰囲気の表紙です」
「仮面の祝祭 裏表紙 サンタクロース、アリバイ気になりませんか?」
仮面の祝祭2/3DATA
笠原卓:著
東京創元社:刊
初版:1994年3月25日
ジャンル:本格ミステリ
備考:ページ数463ページ、サンタクロース
内容紹介
商店街で雇った三人のサンタクロース。
その内の二人には問題となる時刻に確かなアリバイがあった。
だが、当日に限って三人の女子大生とも化粧が濃く、
その二人が誰と誰なのかは識別できない。
三人の内のどの二人にアリバイがあり、誰にないのか?
続いて起こる第二の殺人。
動機の見出せない連続殺人に、捜査陣の苦渋は深くなり……!?
(公式HPより)
これ、目次が凝ってます。
「仮面の祝祭 目次 これで半分」
「仮面の祝祭 目次 これで残り半分
章題がすべて有名ミステリからのタイトルのもじりだと気がつきましたか?
よければ、全部のオリジナルを当てるのもありかも」
それと、この本のタイトル。
気になりませんか?
何故3分の2なのか。
3人のうち1人の犯人を当てるなら3分の1ですよね。
ここら辺についての考察も下で述べてますんでどうぞ。
ここからネタバレあります。
下の「続きを読む」をクリックしてください。
「仮面の祝祭 登場人物一覧」
人気歌手殺害事件が発生。
目撃者によれば犯人はサンタクロース!?
当時、隣町の商店街には3人のサンタクロースがいた。
しかし、歌手殺害の時間に確認されていたのはそのうち2人。
当然、残りのひとりが歌手殺害の犯人のはず。
しかし、サンタクロースに扮装していた3人の女子大生は全員同じ主張を繰り返し、3人のうち誰と誰がその場にいたのかわからない。
一体、3人のうち誰が歌手を殺害したのか?
が、この作品のテーマかと思いきやそうでもない。
新しいテーマが次々出てきて、サンタクロースの謎は埋もれていきます。
(この記事の一番下にサンタクロースの犯人が記されています。ネタバレダメっ!!な人は気をつけて)
もの凄く練り込まれたプロットであるのは間違いないが、
そのプロットに反し最初の殺人以降のストーリー展開が大人しい。
管理人は割と好きなんだけど。
すべては最初のサンタクロースアリバイへの興味をどこまで持ち続けられるか。
従ってまとめて長時間読むのはつらいかも……。
通勤・通学途中、あるいは時間を決めて進めると読了は容易か。
一日一章ペースがオススメ!!
追記:作者である笠原卓氏の「カーニバル」考も結構凄い。
ここから、完全ネタバレ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
えーと、サンタクロースに扮していた3人の女子大生は誰も犯人ではありません。
犯人は別人です。女子大生3人は犯人に同情して協力していただけです。
犯人は登場人物一覧に載ってます。
完全ネタバレを名乗る以上、名前を明かさねばなりませんが、その前に推理をどうぞ。
ある程度、勘でいけるかもです。本編中でも割と唐突に明かされるので。
そうそう、で、この本のタイトルが何故3分の2なのか。
犯人を当てるのだから普通は3分の1ですよね。
これ、サンタクロースが事件の犯人じゃないからでしょうね。
つまり、タイトルからして、3人の女子大生が扮したサンタクロースが犯人じゃないことを匂わせてる。
では、答え合わせを。松方美和……はい、そうです。彼女が犯人です。動機は社会派に属する類で、非常に重いです。どうしても、気になる人は本書で確認だ!!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【関連する記事】
- 『どこかでベートーヴェン』(中山七里著、宝島社刊)
- 『通いの軍隊』(筒井康隆著、新潮社刊『おれに関する噂』収録)
- 『クララ殺し』最終話、第6話(小林泰三著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.7..
- 『自殺予定日』(秋吉理香子著、東京創元社刊)
- 『タルタルステーキの罠』(近藤史恵著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.76 ..
- 『歯と胴』(泡坂妻夫著、東京創元社刊『煙の殺意』収録)
- 『迷い箱』(長岡弘樹著、双葉社刊『傍聞き』収録)
- 『噂の女』(奥田英朗著、新潮社刊)
- 『追憶の轍(わだち)』(櫻田智也著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.69 F..
- 『コーイチは、高く飛んだ』(辻堂ゆめ著、宝島社刊)
- 『恋人たちの汀』(倉知淳著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.75 FEBRU..
- 『東京帝大叡古教授』(門井慶喜著、小学館刊)
- 『傍聞き』(長岡弘樹著、双葉社刊『傍聞き』収録)
- 『動機』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『動機』収録)
- 『愚行録』(貫井徳郎著、東京創元社刊)
- 『転生の魔 私立探偵飛鳥井の事件簿』(笠井潔著、講談社刊『メフィスト 2016v..
- 『声』(松本清張著、新潮社刊『張込み』収録)
- 『黒い線』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『陰の季節』収録)
- 『図書館の殺人』(青崎有吾著、東京創元社刊)
- 『陰の季節』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『陰の季節』収録)